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日米における資格制度の差異に関する考察

第4章 信用リスクの組織論と資格制度

4.11 日米における資格制度の差異に関する考察

米国では、認定団体の歴史が長く、規模も大きい。認定する資格が専門家と しての能力を証明するものであると広く認知されている。一方、日本では、認 定団体の歴史は浅く、知名度は低い。資格自体も、米国のようなステータスを 獲得するに至っていない。

日本で人気があるのはTOEICなど英語関連や宅建、簿記などの資格である

(表3)。10位にランクインしたビジネス法務検定は、今回の対象となる与信管 理の資格に、内容的には最も近い。この資格も、資格を取得することで、でき る仕事があるわけではないが、ある程度、普及しており、日本で与信管理の資 格を普及させるうえで参考になる。

84 表3 資格人気度ランキング

順位 資格名

1 中小企業診断士

2 TOEIC(レベルC)

3 TOEIC(レベルB)

4 TOEFL

5 宅地建物取引主任者

6 日商簿記2級

7 日商簿記3級

8 TOEIC(レベルA)

9 TOEIC(レベルD)

10 ビジネス法務実務検定

(出所:日経ビズアカデミーのホームページより筆者作成)

日本と米国では、Credit Manager(与信管理部長、審査部長)の社内におけ るポジションが違う。米国のCredit Managerは、与信判断に対する権限を持ち、

与信申請を却下することもできる。一方、日本のCredit Managerは、ほとんど の会社で、営業部門に対して、アドバイスをする立場にあり、最終的な決定は 営業部門にゆだねられていることが多い。

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また、日本では、企業で与信管理に携わる人たちの立場がどちらかというと 弱いことが多い。近年では、与信管理部門の人員を削減していることや、コン プライアンス部門の中に取り込まれていることも弱体化の一因となっている。

日本企業の倒産件数がここ数年減少傾向にあることも大きな理由である。多く の会社は、与信管理よりは営業開拓に興味がいきがちである。

日本の信用調査会社の歴史は、興信所から始まっており、私立探偵のような マイナスイメージがある。大手の信用調査会社でさえも、労働環境が悪く、残 業が多いブラック企業として評判が悪い。一方、米国では最大手のD&Bは、4 名もの米国大統領を輩出した名門企業と考えられている。

与信管理には財務と法律の知識が不可欠である。しかし、ビジネスパーソン が、その両分野での専門性を外部に証明しようと考える場合、知名度の低い与 信管理の資格を取得するよりは、社会的に認められた公認会計士や弁護士の取 得に挑戦しようとする。

与信管理業界において、業界全体をリードする大手企業がいないため、業界 横断的な強力な業界団体が存在しないことが結果的に、資格制度の認知度の低 さにつながっている。業界最大手の会社は、業界団体や資格制度の創設に重要 な役割を担う必要がある。または、日本で多くの資格が輸入されているように、

NACMやFCIBの資格を日本にそのまま持ち込むのも一案である。

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注記

[1] NACM Ethics & Standards, https://nacm.org/ethics-a-standards.html

参考文献

FCIB: Finance, Credit and International Business Association, http://fcibglobal.com/

NACM: National Association of Credit Management, https://nacm.org/about-nacm.html

RMA: Risk Management Association, https://www.rmahq.org/who-we-are/

一般社団法人日本与信管理協会、https://yoshin-kanri.com/system/index.html

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