表4-9-4 八重山諸島におけるコアジサシの繁殖地状況(2015)
合計 平均±SD 最小-最大
石垣島 1 33 10 -
-西表島 1 43 48* -
-合計 2 76 58 29.0±26.87 10-48
島 名 繁殖地数 成鳥数 営巣数
*複数回の調査により確認された積算営巣数
⑧ 生息を妨げる環境の評価、⑨ 環境評価
エリグロアジサシとベニアジサシの本年の繁殖成績は非常に低く、推定3週齢を超える巣立 ち前後の幼鳥の確認数は、石垣島と西表島を合わせてもエリグロアジサシが0羽、ベニアジサ シでは 20 羽に満たなかった。繁殖失敗の主要因は台風9号、13 号、および 15 号の影響であ った。
その他に西表島軍艦岩ではミサゴの飛来が間接的に繁殖地放棄を引き起こした可能性や、石 垣島平離島ではオサハシブトガラスによるコロニー内への侵入も確認された。また、西表島の 主要繁殖地の一つである鳩離島では、ヤギ数頭が放し飼いにされている(写真4-9-4)。
アジサシ類の繁殖する岩礁や小島に上陸して、釣りや採集(遠方のため何を採集していたかは 判断できなかった)を行なうことや、岩礁の周辺でスノーケリングやカヤックをするツアーな ども各地でみられた。これらの人間活動がアジサシ類の繁殖にどの程度の影響を及ぼしている かは、本モニタリングでは明らかにすることができなかった。少なくとも繁殖期間中の上陸自 制の協力を求める看板の設置等、周知の努力が望まれる。
石垣島の新港地区の造成地では、コアジサシの繁殖期にコロニーに人が侵入しないような目 印を施すなどの対策が施されたことがあるといった情報を得たが、近年も継続されているかは 不明であった。西表島の仲間港防波堤では、コンクリートの平坦な面に営巣するため、弱い風 でも卵が転出し、繁殖失敗に至ることが多かった。アジサシ類の個体数や巣数の変動と人為的 な影響や捕食者との関連を把握するため、今後も継続したモニタリングが必要である。
⑩ 引用文献
環境省自然環境局生物多様性センター (2006) 平成 17 年度 重要生態系監視地域モニタリン グ推進事業(モニタリングサイト 1000)海鳥調査業務報告書.
環境省自然環境局生物多様性センター (2010) 平成 21 年度 重要生態系監視地域モニタリン グ推進事業(モニタリングサイト 1000)海鳥調査業務報告書.
環境省自然環境局生物多様性センター (2013) 平成 24 年度 重要生態系監視地域モニタリン グ推進事業(モニタリングサイト 1000)海鳥調査業務報告書.
Mizutani, A. and Kohno, H. (2007) Breeding status of Black-naped and Roseate Terns in the Yaeyama Islands, Ryukyu Islands, Japan, in 2001. J. Yamashina Inst. Ornith. 39:
138
101-111.水谷 晃・河野裕美 (2009) エリグロアジサシとベニアジサシのモニタリング手法の提案 - コロニー外からの観察による営巣数の計数と雛の齢査定に基づく産卵時期の推定-.山階 鳥類学雑誌 40: 125-138.
水谷 晃・河野裕美 (2011) 八重山諸島における海鳥類の現状.海洋と生物 194, 33: 225-232.
Spendelow, J. A., Mostello, C. S., Nisbet, I. C. T., Hall, C. S., Welch, L. (2010) Interregional breeding dispersal of adult Roseate Terns. Waterbirds 33: 242-245.
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⑪ 画像記録
写真4-9-1 西表島仲間港埋立造成地(No.108)のエリグロアジサシ、約5m 四方に 積まれた砂利・サンゴ礫の上で営巣した(2015 年7月 14 日)
写真4-9-2 石垣島轟川北海岸(カメ岩)(No.3)のベニアジサシ、
抱卵・抱雛姿勢の成鳥数を営巣数とみなした(2015 年8月4日)
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写真4-9-3 西表島仲間港防波堤(No.109)のコアジサシ(2015 年5月 19 日)
写真4-9-4 西表島の鳩離島(No.88)のアジサシ類繁殖地で放し飼い にされていたヤギ(2015 年 7 月 14 日)