ただ、9ページの頭にも書いてありますが、やはり財務省などは、こういう補助金を ちゃんと厳しく見ていくという背景には、需給大学の半数以上が5年以上続く定員割れ で、補助金がこうした大学の延命策になっているのではないかというような指摘です
【資料③-9】。確かにこれは数からいえばそうだと思います。ただ、地方で厳しい環境 の中で教育を担っている大学を潰していいはずがありません。その中で頑張っている大 学はちゃんと補助金が減額をされないような措置が必要なのかなと思っています。
11ページでも、「指針はマニュアルではない。型にはめることを意図していない」と いうことで、それを実行するための教学マネジメントとして学長のリーダーシップの ほか、具体的なマネジメント改善の重要性についても指摘をしています【資料③-11】。 例えば私が非常に新鮮に読ませていただいたのは、「指揮命令系統を明らかにすること」
というような書き方です。これは今まであまり使われたことがない。大学で指揮命令系 統という言葉自身が嫌われていたのかもしれませんけれども。しかし、やはり組織であ る以上、決定権者と実行するところの責任の所在ははっきりしていかないといけない。
大学は議論するところですので、徹底的に議論をすればいいと思います。その上で一 旦、決定したらやはり実行する。このあたりの組織的なところは非常に重要だし、指針 は冒頭でマネジメントがなぜ教育のところに出てくるのかとか、教学マネジメントとは 一体何なのかというようなことが、丁寧にかなりの紙幅を割いて説明をされていますの で、そういうところについても、はっきり認識を共有するという点では非常に重要では ないかと、外から読ませていただいて思いました。
真ん中のところで、「はじめに個々の授業科目があるのではなく」とゴシックで書い てありますが、こういうことが指針の随所に強調されているところが非常に重要ではな いかと思いました。
11ページの終わりのあたりから、具体的に公開する資料とか集めなければいけない 資料の話が出ています【資料③-11】。これはもう日比谷先生が詳しく先ほど具体的な 指針の中身を示して解説をしていただきましたので、全く飛ばして12ページまで行っ ていただいて結構かと思います。ただ、こういう資料を提示した後に、必ず出てくるの はあくまで例示だと。各大学が自主的に判断し、公表を進めることを期待する。あるい は集めることを期待するというような文言で終わっています。このあたりのところはや はり重要です。各大学が自分の目標を達成するために何の資料を集めるのかという考え 方をはっきりして出していけば、基本、問題はないのではないか。つまり、指針に書い てあることを全部やらなければいけないといふうに読む必要はないのではないかと思っ ています。
ただ、例えば公表項目についていうと、教育改善の具体的なやり方まで踏み込んだ項 目がありますので、こういうものが一遍出てくると、先ほど言ったように認証評価の具 体的な基準で、これをやっていないとだめだというふうに使われてくると弊害がいろい ろ出てくるし、ましてや補助金の点数の基準になっていくと実害が出てくると思います
【資料③-12】。
その後に書いてありますように、中教審はこれからまた新しい部会を設置して、大学 設置基準を抜本的に見直す方針が決まったと。私は新聞でしか読んでいませんが、そう いうことですので、これから法改正がどういう形でされてくるのかというのもまた注意 深く見ていかないといけません。法律で決まればやらざるを得ないということで、日本 は法治国家なので「私は意見が違うからやりません」とは言えません。ただ、それをど こまで自分たちの目標達成に生かすような形で活用していくのかというところは、常に 考えていかなければいけないのではないかと思います。
先ほども日比谷先生がおっしゃったように、その次のところに書いてある「教育目標 実現に指針を生かす視点」というところで、「指針に対する大学現場の関心は高かった」
と書いてあります。これはなぜかといったら、来年から例えば教務部局で、あるいは学 長や副学長先生が何をこれから教育についてやらなければいけないかということの具体 的な中身を指針に全部書くということでしたので、大学現場からすれば一番関心が高い のは当然だと思います。先ほどの議論経過で申し上げたように、統制をしていく、みん なにこれをやってもらうんだというような文科省なりの考え方というのは、一方で非常 に強かったものですから、非常に危惧する意見もありました。大学も学習指導要領につ いになったというような形で批判をされる先生方もいました。こういう心配も全くおか しいとも言えないような流れだったのではないかと思います。
改めて答申本文のところでそのあたりのところを振り返ってみると、13ページの注 1を見ていただきたいのですが、10月の段階で示された答申本文というのは命令口調 だったんですね【資料③-13】。そこにありますように、「各大学の教学面での改善・改 革にかかる取組を促していくために」「マネジメントの指針を作成し、各大学へ一括し て示す」。これで終わっていたんですね。
私は最後の会議でも、かなりしつこく申し上げまして、我々のワーキンググループで は、その下に書いてあるように、「教学マネジメントは大学が自らの責任の下、各大学 の事情に合致した形で構築すべき」「指針は特定の取組を大学に強制するものではない」
「各大学が創意工夫を行い学士課程の質的転換に向けた取り組みを確立することが重要」
だという審議のまとめを既にしているんですね。これを入れないとだめだと。やはり命 令して強制しても、それは質向上にはなっていかないと。
その次に文部科学省のホームページで公開されていた、最後のワーキンググループ、
10月25日の議事録を抜き出したもののほんの一部を入れさせていただきました。日比 谷先生のお名前が冒頭にありますし、義本高等教育局長も参加していただいていた会議
です。
後半のほうです。自らの質保証をどうやっていくのか。この構築が重要だと、そうい うメッセージを出していかないと、やはり主体的な受けとめにならない。何かやれ、や れと言われて、それに仕方がないから嫌々、抵抗感を持ちながらやるというのでは、外 部からの強制になってしまって内部質保証にならない。だから、こういう文面を答申の 中にも入れるべきだということで、最終的には入れていただいていました。教学マネジ メントの指針の冒頭でもこの部分を強調して入れていただいていますので、我々大学現 場からすればこれは一つのよりどころになるのではないかとは思っています。