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⑤ 〈時〉:TIM

ドキュメント内 日本語における表層格と深層格の対応関係 (ページ 117-200)

 「〜しているところを」のように、状況設定と共に用いられ、年月臼等とは 共存しない。

       4.2 ヲ格   111

【実例】

 ヲ,TIM,あいずする,,たじたじと引きめになった所を、藤吉郎は、再び溺   を上げて左右の隊に合圏した。

 ヲ,TIM,いる:射,,賊のさわぐ所を、さんざんに射た。

 ヲ,TIM,うちしずめる,,敵ノ軍艦が近ヅイテ來ルト灘霞ヲ、〈略〉、魚需デ   打沈メテシマフノデアルガ、

 ヲ,T至M,うつ,文,敵は果して不意を討たれ、

 ヲ,TIM,とびまわる,,天氣の好い夏の日を、愉快さうに飛廻り鳴きたてま   す。

◎最後の例は、〈時間〉(DUR)にかなり近い。ただ動詞が「送る」「すごす」

「経る」などのように必須的、または準必須的にヲ格をとるものと違い、「夏の 日に」といっても差支えないものである。

(6> 〈時一始点〉:TFR

 「今を虫る」の例のみだが、意味が明瞭な:ので、他と統合しにくい。

【実例】

 ヲ,TFR,さる,,今を玄る千二百年の昔、

(7)〈時間〉:DUR

 本来は動作作摺の継続時間を示すために設けられた深層格であり、「30分間 漬ける」のように助詞の付かない場合を想定していたが、「夜を明かす」「余生 を送る」などに対して他に適当なものがないので、これを付与した。

【実例】

 ヲ,DUR,あかす,,三人は其の夜を涙の中に明かしました。

 ヲ,DUR,おくる:送,会,身輕になって老後を送りたいと思ふ。

 ヲ,DUR,おしとおす,,此の家にそだった乃木大回が、一生を忠誠質素で押   通して、

 ヲ,DUR,くらす,文韻,かすみ立つ長き春日を子供らと手まりつきつxこの   日くらしつ

112  4.作業の基準と実例

 ヲ,DUR,こす:越,,雪にうまって冬を越した人形が、

 ヲ,DUR,すごす,,思はず時を過して、

 ヲ,DUR,へる:経,文,社殿の右手に、幾百年を経たりと思はる}・・楠の老木   あり。

(8)〈場所〉:SPA

 ヲが場所をさす例は少ないが、代表的な語は「探す」である。「なくし物を 探す」「用例を探す」場合のヲ格は〈対象〉であるが、「室内を探す」「データ ベースを検索する」のように、あるものを求めてある範囲を探す場合は〈場 所〉になる。「引出しを片付ける」も引出しそのものを片付けるのではなく、

引出しの中を整理する意であるから、〈場所〉とする。ただし、数が少ないの で、〈場所一経過〉(STH)に統合すべきかとも思う。

【実例]

 ヲ,SPA,かたづける,,机の引出をかたづけて居ると、

 ヲ,SPA,こめる,文韻,朝霧野山をこめて、

 ヲ,SPA,さがす,,なほ其の灘をよく探すと、

 ヲ,SPA,さぐる,文,或は抱き或はふところを探る。

 ヲ,SPA,ほる,,オヂイサンガ、ソコヲホッテミマスト、

 ヲ,SPA,みたす,,古都が多く、それらがすべて古美術を以て満たされてみる。

(9)〈場所一始点〉:SFR

 ある場所から離れる場合に用いる。なお、純粋な場所以外のものもいくらか 含まれる(例:乳を離れる)。

僕例】

 ヲ,SFR,うごく,,何時までもそこを動かうとしなかった。

 ヲ,SFR,おちる,文,大塔宮の吉野を落ちさせ給ふ時、

 ヲ,SFR,おりる,,養老騨で電車を下りた。

 ヲ,SFR,さる,,つぼめはそろそろH本を去って行きます。

 ヲ,SFR,しゅつぼつする,手,露本を出獲してちやうど一箇月、

      4.2 ヲ格   一Zエ3 ヲ,SFR,たつ:発,手,明後二十五Nにこ〉を立って、

ヲ,SFR,たつ:立,,修行者は、座を立ってあたりを見廻したが、

ヲ,SFR,でる,,船は爆音高く根擦地を繊て行く。

ヲ,SFR,のがれる,,彼は其の場をうまくのがれた。

ヲ,SFR,はっする,文,松江を獲したる汽車は、

ヲ,SFR,はなれる,,舟は岸をはなれました。

ヲ,SFR,ひきあげる,,モモタラウハ、〈略〉、オニガシマヲヒキアゲマシタ。

⑳ 〈場所一終点〉:STO

 めざす場所・方角。「指す」「向くjr振り返る」「振り向く」などに関わる。

なお「めざす」の場合にく対象〉となっているのは、整合性を欠くので、どち らかに統一すべきかとも思うが、動詞によってはか格が〈対象〉となる(例:

針が北を指す)ので、〈対象〉への統一は慎重にする必要がある。このデータ では「めざす」のも地理的方角のみであるが、一般的には抽象的目標であるこ とが多いので、一応このままでよいと判断した。

【実例】

 ヲ,STO,ふりかえる,,後を振返ると、

 ヲ,STO,ふりむく,会,決してわきを振向くな。

 ヲ,STO,むく,,葉は、二枚重なったまx上を向いて居ます。

 ヲ,STO,さす,,鎌倉をさして上りました。

 ヲ,STO,さす,,寒空を物ともせず東南をさして飛んで居た鳩は、

㈹ 〈場所一経過〉:STH

 通過する場所を表す。この例はかなり多く、ヲ格の中で〈対象〉に次ぐ重要 な地位を占める。と同時に比較的分かりやすく、問題が少ない。ただし、純粋 な空間だけでなく、いくらか抽象的な例もまじる。

【実例〕

 ヲ,STH,あがる,,旧い階段を上った時に、

 ヲ,STU[,あそびまわる,,廣い野原を回しさうに遊び廻ってゐました。

114  4.作業の基準と実例

 ヲ,STH,あるく,,なれない道を一月絵りも歩き績けて、

 ヲ,STH,いく,,泥水の中を行ったりもどったりする。

 ヲ,STH,いそぐ,韻,アゼミチヲ、トホイタンボヘイソギマス。

 ヲ,STH,いたる,,中山半島の西湖岸を休屋:に至る間は、

 ヲ,STH,いちじゅんする,,廣々とした農園や牧場を一巡する。

 ヲ,STH,いっしゅうする,文,林藏は樺太の海岸を一周せんと志ししが、

 ヲ,STH,うおうさおうする,,其の周團を、右往左往する人影がある。

 ヲ,STH,おおまわりする,,はるばる南アメリカの南端を大廻りしなければ   なりません。

 ヲ,ST9,Sb一しょせる,,すこぶる不規劉に射出する七つの街路を、入の波、

  車の波が刻々と押寄せる。

 ヲ,STH,おどる,,機は輕く地上ををどりながら滑る。

 ヲ,STH:,およぐ,,池の中を泳いでゐました。

 ヲ,STH,かえる,,行きには二時間絵りもかxつた道を、ほんの一息で村ま   で蹄つた。

 ヲ,STH,かけていく,,家の前を、村の消防隊が、〈略〉かけて行った。

 ヲ, STff,かすめる,,耳もとをかすめる鋭い音。

 ヲ,STH,かっそうする,,ちやうど飛行機が空中を滑走するやうに、

 ヲ,ST}[{,くぐる,会,一の鳥居をくx つてから、

 ヲ,STH,くだる,文,一行は黒龍注を下りて河口に至り、

 ヲ,STH,こうかいする:航海,会,大洋を西へ西へと航海して、

 ヲ,STH,こえる,文,山を越えて東岸に出でんとすれば、

 ヲ,STH,さかのぼる,手,黄浦江をさかのぼると  ヲ,STH,すかす,,たそがれの薄明かりをすかして、

 ヲ,ST9,すぎる,,町を過ぎ、村を過ぎ、

 ヲ,STH,すすむ,,むしろ當然の道を進んだものといへる。

 ヲ,STH,すどおりする,,先生のおっしゃることが、つい私の耳をす通りす   る。

 ヲ,STH,すべる,,林を縫って長距離を滑るのは、

       4.2 ヲ格   !15 ヲ,ST猛,たどる,,池のほとりをたどりながら、

ヲ,STH,つうかする,,間もなく第三・第四のトンネルを通過した。

ヲ,STH,つうじる,,イギリスは薩長を通じて宮軍に好意を見せようとして  みた。

ヲ,ST三つきぬける,,機は市街を西へ突抜けて、

ヲ,STH,つたう,,小船でjllや堀を傳って大阪の町々に上げられます。

ヲ,STH,つらぬく,四韻,やみを貫ぬく中佐の叫び。

ヲ,STH,でいりする,文,下關海峡を出入する船船の航路に接するを以て、

ヲ,STH,とおす,,又は黒くいぶしたガラスを通して太陽を見ると、

ヲ,STH,とおる,,静岡の上窒を通ったのも束の間、

ヲ,STH,とっぱする,,敵の寄手が若し門を突破すれぽ、

ヲ,STH,とびあるく,,そのまはりをとび歩きました。

ヲ,STH,とぶ,,ほの暗い空をte S 一直線に飛んでみるのだ。

ヲ,STH,ぬう,手,其の船の間を縫ふやうに、

ヲ,ST島ぬける,,杉の林を扱けると、

ヲ,STH,のぼる,文,櫻樹多き坂道を登る。

ヲ,STH,はいる,,門をはいって少し行くと、

ヲ,STH,はしる,会,釜山から四百五十粁を、七時間もかxらないで走った わけですね。

ヲ,STH,ひこうする,,人間をのせて空中を飛行することに成功したのは、

ヲ,STH,めぐる,文,旧く各地を巡りて資金をつのること三年、

ヲ,STH,わたる,手,宇治橋を渡って、

ヲ,STH,わたる,会,それ、川が渡れる。

働 く終状態〉:GOA

 動詞は「作る」「成す」などごく限られたものである。これらの動詞におい ても、単純にr作り出す」の意ではなく、「筏が列を作って」のようにガ格と

ヲ格の実体が重なる場合にのみ用いる。一般に行為の結果として生じるものは く終状態〉でなく、〈対象〉とする。

刀6  4.作業の基準と実例

(実例〕

 ヲ,GOA,つくる,,かういふ大きな筏が、時に十も十五も列を作って江心を   下る。

 ヲ,GOA,なす,,特に絶壁をなす奇岩の下には、

 ヲ,GOA,なす,,後世の歌集に比べて長歌の多いのが一つの特色をなしてゐ   る。

(13)〈属性〉:ATT

 ガ格名詞が〈対象〉であり、ヲ格名詞がその属性または部分を指すとき、ヲ 格を〈属性〉とする。「月が姿を現わす」のようにガ格名詞が〈対象〉となる 場合には、ヲ格に何か別の深層格を与える必要があるからである。「人が姿を 現わす」のも、特に「人」を〈動作主〉とすべき理由がな:ければ、「月が姿を 現わす」のと同等に、〈対象〉とく属性〉の組で表す。「姿を現わす」などは慣 用句にしても差支えないかもしれないが、第二例のように名詞に修飾語がつい たりすると取扱いがめんどうになるので、慣用句をあまり多く認めなかった。

[実例】

 ヲ,ATT,あらわす,,背びれのあたりを水面に現し、

 ヲ,ATT,あらわす,,其の奥に養老の瀧が完全な姿を現す。

 ヲ,ATT,いう,文,松平信綱は、幼名を長四郎といへり。

 ヲ,ATT,いっぺんする,,これを北から西から望む時、まるで乙子を一攣す   る。

 ヲ,ATT,うしなう,,せっかくの國法も償値を失ひ、

 ヲ,ATT,うつす,,とうろうの色鮮かに、江上に影をうつすさまは、

 ヲ,AT篶おしだす,,富士川が注いで、其の濁流を遠く海上に押出してみる   のが見られる。

 ヲ,ATT,おびる,,そろそろ北千島の漁場が活氣を帯びて來る。

 ヲ,ATT,くわえる,,師弟の關係は臼一日と親密の度を加へたが、

 ヲ,ATT,さしかわす,,櫻や楓の老樹が枝をさしかはす下道は、

 ヲ,ATT,しょうじる,,壁も覇裂を生じてはみるが、

ドキュメント内 日本語における表層格と深層格の対応関係 (ページ 117-200)

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