(1)のとおり、今般の改正により、事業者の裁量の幅が広 がったことから、事業者に対し、作業計画をあらかじめ作成 して当該作業計画により作業を行うとともに当該計画を関係 労働者に周知することを新たに義務づけることとしたこと。
(7)…高圧下の時間に係る規制の廃止(旧高圧則第15条関係)
旧高圧則では呼吸用ガスとして空気のみが想定され、高圧 室内業務を行うときの作業時間についての基準が旧高圧則 第15条及び別表第1から別表第3までに規定されていたが、呼 吸用ガスとして酸素と呼吸用不活性ガスを混合した混合ガ ス(以下「混合ガス」という。)が実用化されるなど技術の 進展が見られること等を踏まえて、高圧下の時間に係る基準 のあり方を下記(10)のとおり抜本的に見直すことに伴い、
本条は廃止することとしたこと。
(8)…ガス分圧の制限(新高圧則第15条関係)
ア… 酸素及び窒素による急性の健康障害(酸素欠乏症を含 む。)を防止するため、酸素及び窒素の分圧に制限を設け ることとし、炭酸ガスの抑制について旧高圧則第16条に規 定されていた内容を含めて規定したこと。
イ… ヘリウムは窒素と同じく呼吸用不活性ガスとして用い られる気体であるが、特に中毒を生じないため、分圧の制 限は設けないこととしたこと。
(9)…酸素ばく露量の制限(新高圧則第16条関係)
酸素による慢性の健康障害を防止するため、酸素分圧が人体 に有害とされている50キロパスカル以上の場合における酸素へ のばく露の程度(酸素ばく露量)について、一定期間内に一定 量を超えないよう制限を設けることとしたこと。
(10)…減圧の速度等(新高圧則第18条関係)
ア 第1項関係
第2号は、旧高圧則第15条において規定されていた減圧の 方法を抜本的に見直し、いわゆるビュールマン ZH-L16モデ ルや諸外国の例を参考に、人体に溶け込む窒素の分圧とヘリ ウムの分圧をそれぞれ計算により求め、その分圧の合計が人 体の許容することのできる最大の不活性ガスの分圧(いわゆ る M値)を超えないように減圧を行うこととしたこと。
なお、減圧の速度については、これまでと同様であること。
イ 第2項関係
旧高圧則第15条第2号及び第3号において規定されていた 事項を見直し、減圧を終了した時から14時間は、重激な業務 に従事させてはならないこととしたこと。
なお、「重激な業務」については、昭和36年4月22日付け基 発第368号により昭和23年8月12日付け基発第1178号に示す 業務をいうものとしてきたところであるが、第3の1(7)イ
(イ)のとおりその解釈を明確化したこと。
(11)…作業の状況の記録等(新高圧則第20条の2関係)
(8)…及び(9)に伴い、作業状況の記録等を、減圧時のみな らず加圧時や作業時についても義務づけることとしたこと。
(12)…高圧室内作業主任者の携行器具(新高圧則第26条関係)
(5)…と同様に(8)アを踏まえ、酸素の濃度を測定するた めの測定器具を追加したこと。
(13)…潜水時間(旧高圧則第27条関係)
潜水時間についても(7)と同様であること。
(14)…作業計画等の準用(新高圧則第27条)
高圧室内業務及び高圧室内作業者に係る規定のうち潜水 業務及び潜水作業者に準用することが適当なもの((6)、(8)
から(11)までに係るもの。)については、必要な読替えを行っ て準用することとしたこと。
(15)…浮上の速度等(旧高圧則第31条関係)
(14)に伴い、(10)と同様の見直しを行うこととしたため 本条は削除することとしたこと。
なお、この場合においても浮上の速度の最大値については
労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について
基発0331第9号 平成27年3月31日 厚生労働省労働基準局長 都道府県労働局長 殿
労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成27年厚生労働 省令第30号。以下「改正省令」という。)が平成27年3月5日に 公布され、平成27年7月1日から施行することとされたところで あるが、その改正の趣旨、内容等については、下記のとおりで あるので、その施行に遺漏なきを期されたい。
記 第1 改正の趣旨
足場からの墜落・転落災害の防止については、平成21年6月 に労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」
という。)を改正し、足場、架設通路及び作業構台(以下「足場等」
という。)の墜落防止措置等の見直しを行ったところであるが、
当該見直しに係る労働災害防止の効果等を検証し、必要な対策 について更なる推進を図る必要があるとの観点から、専門家に よる「足場からの墜落防止措置の効果検証・評価検討会」(以 下「検討会」という。)において、足場からの墜落・転落災害 の防止対策の検討が行われてきた。
今般、検討会において足場からの墜落・転落災害の防止対策 について報告書が取りまとめられ、その結果を踏まえ、足場等 からの墜落・転落に係る労働災害防止対策の強化を図ることと し、所要の改正を行ったものである。
第2 改正の要点
1 特別教育の追加(第36条及び第39条関係)
事業者が労働者に特別の教育を行わなければならない業務 に、足場の組立て、解体又は変更の作業に係る業務(地上又は 堅固な床上における補助作業の業務を除く。)を追加すること としたこと。
2 架設通路に係る墜落防止措置の充実(第552条)
(1…)…改正省令による改正前の安衛則(以下「旧安衛則」という。)
第552条第1項第4号イでは、事業者は、墜落の危険のある箇 所には、設備として高さ85センチメートル以上の手すりを設 けなければならないこととされているところ、高さ85センチ
メートル以上の手すり又はこれと同等以上の機能を有する設 備(以下「手すり等」という。)を設けなければならないこ ととしたこと。
(2…)…安衛則第552条第1項第4号では、事業者は、墜落の危険の ある箇所には、手すり等及び高さ35センチメートル以上50セ ンチメートル以下の桟又はこれと同等以上の機能を有する設 備(以下「中桟等」という。)を設けなければならないこと とされているが、作業の必要上臨時に当該設備を取り外す場 合において、次の措置を講じたときに、適用しないこととし たこと。
①… 安全帯を安全に取り付けるための設備等を設け、かつ、
労働者に安全帯を使用させる措置又はこれと同等以上の効 果を有する措置を講ずること。
②…… ①の措置を講ずる箇所には、関係労働者以外の労働者を 立ち入らせないこと。
(3…)…事業者は、作業の必要上臨時に手すり等又は中桟等を取り 外したときは、その必要がなくなった後、直ちに取り外した 設備を原状に復さなければならないこととしたこと。
(4…)…労働者は、(2)の場合において、安全帯の使用を命じられ たときは、これを使用しなければならないこととしたこと。
3 鋼管足場に使用する鋼管等について(第560条関係)
(1…)…旧安衛則第560条第1項では、事業者は、鋼管足場に使用す る鋼管については、日本工業規格 A8951(鋼管足場)に定 める鋼管の規格(以下「鋼管規格」という。)又は同項各号 に定める材質等に適合するものでなければ使用してはならな いこととされているところ、鋼管足場に使用する鋼管のう ち、労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号。以下「令」
という。)別表第8第1号から第3号までに掲げる部材に係るも の以外のものについては、日本工業規格 A8951(鋼管足場)
に定める単管足場用鋼管の規格(以下「単管足場用鋼管規格」
という。)又は同項各号に定める材質等に適合するものでな ければ使用してはならないとしたこと。
(2…)…旧安衛則第560条第2項では、事業者は、鋼管足場に使用す これまでと同様であること。
(16)…さがり綱(新高圧則第33条第2項関係)
旧高圧則別表第2が廃止されたため、従前の内容と同等の 内容として3メートルごとに水深を表示すべき旨を本条に明 確化することとしたこと。
(17)…純酸素の使用制限(旧高圧則第35条関係)
(8)、(9)及び(14)により、酸素による健康障害の規制 がなされることとなることから、本条は削除することとした こと。
(18)…再圧室の使用(新高圧則第44条第2項関係)
加圧及び減圧の状況を記録した書類の作成とその5年間の 保存を明示的に義務付けることとしたこと。
(19)…その他
用語の見直し等所要の改正を行ったこと。
2 労働安全衛生規則の一部改正関係 1に伴い、所要の改正を行ったこと。
3 高気圧作業安全衛生規則第8条第2項等の規定に基づく厚生 労働大臣が定める方法等関係
(1)…予備空気槽の内容積の計算方法(第1条関係)
旧高圧則第8条第2項第2号において規定されていた計算方 法と同一のものを計算方法告示において規定することとし
(2)…酸素ばく露量の計算方法(第2条関係)たこと。
ア… 酸素ばく露量の計算方法及び酸素ばく露量の1日又は1週 間についての上限値を規定したこと。
イ… 酸素ばく露量の単位としては、酸素毒性を評価する
「肺酸素中毒酸素曝露単位 UPTD(the…Unit…Pulmonary…
Toxicity…Dose)」を用いたこと。
(3)…厚生労働大臣が定める区間等(第3条関係)
ア 第1項関係
新高圧則第18条第1項第2号に規定する「厚生労働大臣が定 める区間」として加圧の開始から減圧の終了までを窒素及び ヘリウムの濃度並びに加圧及び減圧の速度に着目して区分 した区間を定めたこと。
イ 第2項関係
新高圧則第18条第1項第2号に規定する「厚生労働大臣が定 めるところにより区分された人体の組織」として別表に掲げ る第1半飽和組織から第16半飽和組織までを定めたこと。
ウ 第3項関係
新高圧則第18条第1項第2号イに規定する「半飽和組織内に 存在する不活性ガスの分圧」を求める方法として半飽和組織 ごとに一定の計算式により求めた窒素分圧とヘリウム分圧 を合計する方法を定めたこと。
なお、第1号は窒素分圧について、第2号はヘリウム分圧に ついてそれぞれ定めたものであるが、計算の方法自体は同じ であること。
エ 第4項関係
新高圧則第18条第1項第2号ロに規定する「半飽和組織が許 容することができる最大の不活性ガスの分圧」(以下「M値」
という。)を求める方法として半飽和組織ごとに一定の式に より計算する方法を定めたこと。