本論文では,日常生活におけるコミュニケーション活動と個人活動の場からの情報の関 わりについて調査し,そこから得られた結果をもとに,所有物の情報を介したコミュニ ケーション支援の提案を行なった.友人や家族などの小規模なコミュニティを対象とした 社会的な絆(関係性)を深めるためのシステムとして,本研究で行なった提案に基づくオ ンラインコミュニケーションメディア POP を開発し,評価を行なった.
POPは,コミュニティのメンバー間で個人活動の場に存在する所有物の情報を共有す ることで,お互いの興味や趣味,状況を把握することができ,興味を持っているという感 覚を言葉ではなく行動によって知らせることができるシステムとして実装した.これは,
興味への気付きを支援するために,状況や興味を共有する情報共有型Awarenessと情報 への興味を知らせるアクティビティ型Awarenessを支援することで,Interest Awareness を実現する試みを行なうためである.
また,評価実験では,インタラクト操作を中心として,以下のような示唆が考察結果か ら得られた.
(1) お互いの所有物の情報を共有することによって,現在の状況や興味を把握すること ができる.
(2) インタラクト操作と被インタラクト操作の回数には強い関係性があり,被インタラ クトの回数が多い被験者には何らかの感情が生まれ,インタラクトの回数が多く
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62 第 6章 結論 なったと考えられる.これは,アンケート結果から被インタラクトによって嬉しさ などの感情を持つことがあったという結果を得ていることからも示唆できる.
(3) 被インタラクトの回数が少ない被験者ほど,所有物の情報を多く登録する傾向に あった.これより,インタラクトされたいという感情が被験者に発生したと考えら れる.
(4) インタラクト操作と所有物を登録するという操作に対して,ほとんどの被験者から 楽しいという感想を得ることができた.
POPによって,メンバー間の繋がりを醸成できたかについては,今回の実験では判断 することができなかった.しかし,(1)より情報共有型Awarenessが,(2)よりアクティビ ティ型Awarenessを支援することができたといえ,Interest Awarenessの実現要素をひと つ確認することができたといえる.また,直接会話を行わない情報への興味を知らせるこ とでも,コミュニケーション活動は成立するといえ,楽しさや嬉しさなどの感情を持つ被 験者が多かったことからも,本研究で提案したコミュニケーション支援手法は有用であっ たことが示唆でき,社会的な関係を醸成するための手がかりになるといえる.
6.2 ʻࢸƷᛢ᫆
本研究では, 興味 をキーワードとして個人活動の場からの情報に注目しコミュニケー ション支援を進めた.しかし,所有物ではなく他の物にもその人の興味や趣味,状況が表 れていることはある.たとえば,物に限定して考えるならば,所有はしていないが現在欲 しいと思っている物にも同様の情報が埋め込まれているといえる.事実,評価実験では,
実際には持っていない物まで登録した被験者がいた.日常生活における人のコミュニケー ション活動をさらに観察したうえでの,さらなるコミュニケーション支援手法の提案が必 要といえる.
今回,評価実験の実験期間は一週間であったが,個人活動の場に存在する所有物の情報 は短い期間では更新されることが少ない.また,コミュニティの社会的な絆(関係性)が 深まるためにはある程度の時間が必要である.よって,実験期間に長い期間を設けること も必要といえるであろう.
6.2 今後の課題 63 システムに関しては,被験者からの意見で多かった相手がオンラインであるかどうか把 握できない問題など,コミュニケーションメディアとして備えていなければならない必要 最低限の機能を実装していく必要がある.これらの意見から得られたフィードバックに基 づくシステム改善はPOPの有用性を正確に検証するためにも重要である.
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本研究を進めるにあたって,日頃から常に暖かいご指導,ご鞭撻を頂いた指導教官である 杉山公造 教授に心より感謝いたします.
また,副テーマのみならず,主テーマにおいても多くのアイデア,ご助言を頂き,研究 で悩んでいるときにいつも解決の糸口を作って頂いた,知識科学教育センターの 西本一 志 助教授に深く感謝いたします.
杉山研究室 前田篤彦 様にはご自身の研究でお忙しいにも関わらず,研究の方法からプ ログラミングまでとても有意義なご助言を頂きました.感謝いたします.
日頃から自主ゼミを行なったメンバーである 神谷俊輝 さん,白崎隆史 さん,森田篤 史 さんに感謝します.みなさんにはシステムの実装や分析など研究のディスカッション をはじめ,楽しい時間を提供して頂きました.また,知識構造論講座のみなさまにあらた めて感謝いたします.ありがとうございました.
最後に私事で恐縮ですが,今までさまざまな面で私をサポートして頂いた,母と祖父母 に感謝の意を記したいと思います.
2003年2月13日 小山田 泰史
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POP― システムの使用にあたって 小山田泰史[[email protected]]
お忙しいなか,実験に参加していただき,本当にありがとうございます.今回,みなさんに 使用して頂くシステム―POPは普段,日常的に行われているコミュニケーション活動をネット ワーク上で支援する目的で作成されたアプリケーションです.
システムの特徴としては,みなさんの個人活動の場であるブースに存在する物の情報を利用す ることです.本やCD,食べ物,ポスター,パソコン機器,などなど,ブースに存在する物であ れば何でも構いません.
システムにはこちらで考案したアイデアがいくつか組み込まれています.それらの有用性を見 るために,今回の実験を行います.研究上,組み込まれた機能がどのような目的で実装されてい るのかを説明することはできませんが,本書で説明する機能はできるだけ全部使用してみて下さ い.よろしくお願いします.
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1.1 お願い . . . . 2
1.2 注意事項 . . . . 2
2. ѣ˺ؾ 2 3. ឪѣ૾ඥ 2 4. ̅ဇ૾ඥ 3 4.1 ユーザ選択画面 . . . . 3
4.2 自分のウィンドウを開いた場合 . . . . 3
4.2.1 登録 . . . . 4
4.2.2 画面の見方〜共通. . . . 5
4.2.3 編集 . . . . 5
4.3 他のユーザのウィンドウを開いた場合. . . . 6
4.3.1 チャット . . . . 6
4.3.2 インタラクト . . . . 7
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1 ——————————————————————————– 知識構造論講座 杉山研究室