照 融
16
12
279
□ j 歳 児 の 父 規
□4歳児の父親
■5歳児の父親
三 一 & 愚 畢
平
whatwhe1・ewhenwh》.whohowyes‑noor伽#1{、lノ川復11{汽略イく・,.,身成陳述文復唱史命令虫
Figure2形式による分類:各年齢の幼児に対する父母の発話のノ形式(̲とは母親下は父親の平均種とS、ノ
親,5歳児の親におけるターンの平均個数はそれぞれ 2.85,200,1.53であった)。また,質問が4回以上含 まれるターンは,5歳児の親く3,4歳児の親で差が有 意だった(3歳児の親,4歳児の親,5歳児の親におけ る平均個数はそれぞれ0.41,0.29,0.03であった)。低 年齢の幼児から何とか話を聞き出そうと努力している親 の様子がうかがわれる。
内容の分析
ここでは,what質問の内容を活動(whathappen)
と事物(whatobject)に,またyes一no質問と付加質
問の内容を時間,場所,人物等に分けて分析した。なお,付加質問は数が少ないのでyes‑no質問に含めて分 析した。以下のyes‑no質問の分析には付加質問も含ま
れている。
内容による分析の結果をFigure3に示す。各カテゴ リーに含まれる質問数について,年齢(3)×親(2)の 分散分析を行ったところ,事物に関するwhat質問と,
場所,人物,活動,感情に関するyes‑no質問に有意差
が見られた。以下,詳細に述べる。事物に関するwhat質問と,活動,感情に関するyes−
no質問では,年齢の主効果が見られた(それぞれF(2,
43)=6.62,p<、01;F(2,43)=757, <,01;F(2, 43)=6.05, 〈.01)。まず,事物に関するwhat質問で
は3歳児の親く5歳児の親の差が有意であった。また,活動に関するyes‑no質問は5歳児の親く3,4歳児の
親において,感情に関するyes‑no質問は4,5歳児の 親く3歳児の親において,差が有意だった。場所に関するyes‑no質問は交互作用が有意だった (F(2,43)=4.33,p<,05)。4歳児の父親は3歳児,5
:‑ 坐 歳
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子どもから少しでも多くの情報を引き出そうとするのだ ろう。
父母を比較すると,父親は母親よりもyes‑no質問,
復唱質問命令文が多かった。父親は自分が予想する事
柄をyes‑no質問で尋ね,子どもの反応を確認し,また
子どもの発話を制御する傾向が強いといえる。また,母 親では3歳児の母親と4歳児の母親の間に,父親では4 歳児の父親と5歳児の父親の問に,有意な差があった。母親に育児・世話が期待される中国では,一般に,母親
の方が子どもと接触する時間が長い。そのため,母親は 子どもの言語発達に早く気がつき,足場を減らす時期も 早くなるのかもしれない。ところで,対話には「面白かったの?その後何を見た の?公園で何を見たの?ラクダに乗ったの?話して」な ど,1ターンの中で質問が何度も繰り返されるケースが 少なくなかった。こういった連続質問は,子どもが黙っ ているのでやむなく質問を繰り返したり,分かりやすい 質問を模索して言い換えを行うことで生じるのかもしれ ない。これらの質問は,子どもの発話を引き出すための 親の努力を反映しているといえるだろう。
そ こ で , 2 回 以 上 の 質 問 が 含 ま れ る す べ て の タ ー ン を,質問が2回含まれるターン,3回含まれるターン,
4回以上含まれるターンに分類し,各分類ごとのターン 数について,年齢(3)×親(2)の分散分析を行った。
その結果,質問が2回含まれるターンと4回以上含ま れ る タ ー ン に お い て , 年 齢 の 主 効 果 が 見 ら れ た ( 2 回 :
F(2,43)=3.44,p〈.01;4回以上:F(2,43)=5.92, p<,01)。質問が2回含まれるターンは,5歳児の親く
3 歳 児 の 親 で 差 が 有 意 だ っ た ( 3 歳 児 の 親 , 4 歳 児 の
時 間 場 所 人 物 謂 物 感 情 状 態 活 勤
発 達 心 理 学 研 究 第 1 3 巻 第 3 号
日常的に関わる場所や人物についての知識を十分もちあ わせておらず,そのために,より多くの質問をしなけれ ばならなかったのかもしれない。
機能の分析
最後に,発話の機能について分析した。各カテゴリー に分類された発話について,年齢(3)×親(2)の分散 分析を行ったところ,「同じ出来事(すでに話題にして いること)について情報を求める質問』,「新しい話題に
ついて情報を求める質問」,「確認を求める質問」,「感情
に関する質問」で有意差が見られた。これらの質問を,以下,同じ出来事,新情報,確認,感情と略す。結果を Figure4に示す。
「同じ出来事」では年齢と親の主効果が有意で(F(2,
43)=8.64,p<,01;F(1,43)=6.05,p<、01),5歳児
の親く3,4歳児の親の差,母親く父親の差が有意だっ た。「新情報」と「感情」については年齢の主効果が有意
だった(F(2,43)=9.75,p<,01;F(2,43)=6.05,p
〈、01)。「新情報」は5歳児の親く3,4歳児の親で,
「感情」は4,5歳児の親く3歳児の親で,有意差が見 られた。
2086 11
平均値280
□3歳児の母線
□4歳児の母親
■5歳児のh蹴り
Z4
2n
20
活 動 事 物 what質NHl
時 間 場 所 人 物 事 物 感 情 状 態 沼 動
Figure4鶴能による分湧f各年齢の幼妃に対する父 母の発話の機能(̲とは母親下は父親の平均 値とSDノ
Ves‑no質問(付加質問も含む)
2086420 11
平均値yes‑no質問(付加質問も含む)
□3歳児の父親
□ 4 歳 児 の 父 親
■ 5 歳 児 の 父 親
中韓蓉...pH﹃︑︲101−
帆
活 動 事 物
一
what質IHI
開
840
いhWi
精 綴 化 同 じ 出 来 I F 新 情 報 確 認 感 情
□ 3 歳 児 の 母 親 国 4 歳 児 の 母 親
■ 5 歳 児 の 母 親
歳 児 の 父 親 よ り も 質 問 が 多 い 。 ま た , 人 物 に 関 す る yes‑no質問も父親の方が多かった(F(1,43)=5.13,
p<、05)。
形式の分析で述べたように,what以外のwh質問 (where,who等)は数も少なく,年齢による差もない。
内容の分析から示唆されるように,親は、場所,人物,
感情などについて尋ねる場合,wh質問ではなくyes−
no質問を用いるのだろう。一般に,yes−no質問やo,‐
質問など,答えの範囲が限られるクローズ質問は,wh 質問(オープン質問)に比べ,少ない情報しか引き出し 得ない(Hershkowitz,Lamb,Stemberg,&Esplin,
1997)。また,クローズ質問は誘導や暗示になりやすい (Lechtman&Ceci,1995;Lepore&Sesco,1994;仲,
2001)。しかし,むしろクローズ質問のこのような性質 が , 子 ど も の 反 応 を 方 向 づ け , 足 場 と し て は 有 効 に 機 能 す る の か も し れ な い 。
な お , 父 親 は 母 親 よ り も , 場 所 や 人 物 に つ い て の yes‑no質問をたくさん行っていた。父親は,子どもが
62
11平均雪値
Figure3内容による分類:各年齢の幼娼に対する父 母の賃涛内容(f上は母親下は父湧の平均値 とSDノ
□ 3 歳 児 の 父 淵 回−1歳児の父親
■5歳I,早の父、籾 精 織 化 同 じ 出 来 1 F 新 情 報 確 認 感 情
口 鐘 ,
4
06284n
2211
平均値
中 国 人 親 子 に よ る 出 来 事 の 対 話 281
「確認」については年齢,親の主効果と交互作用が有
意だった(F(2,43)=5.97,p〈、01;F(1,43)=
5.02,p〈、05;F(2,43)=4.81,p〈.01)。5歳児の
親く3,4歳児の親,母親く父親において,有意差が見 られた。また,母親では3歳児の母親と4歳児の母親の 間で,父親では4歳児の父親と5歳児の父親の間で差が 大きい。4歳児においては,母親く父親の差が有意だっ た。質問以外のカテゴリーでは,「承認」の年齢の主効果
が有意だった(F(2,43)=3.82,′〈、05)。3歳児の親
が特に多い。また,「しつけ」は親の主効果と交互作用が有意だった(F(1,43)=5.06,p<、05;F(2,43)=
3.48,p〈、05)。父親の方がしつけが多く,特に4,5
歳児の父親で顕著である。なお,「子どもの管理」は形 式の命令文の結果と同じである。低年齢児の親は,子どもの語ったことを確認しつつ,
さらなる情報を弓│き出そうとする。このような促しは,
子どもに「出来事を語ることは意義がある」という認識 をもたせるであろう。また,父親は母親よりも「確認」
や「しつけ」が多く,対話をより制御しようとしてい た。父母の差は4歳児において最も大きいが,これは形 式の分類でも示唆されたように,子どもの発達に対する 認識にずれがあるためかもしれない。
全 体 の 考 察
以上,親子が過去の出来事について対話をする場面を 取り上げ,親がどのように発話を行い,また,子どもの 年齢発達に応じて発話をどのように変化させるのか調べ た。発達的な変化としては,低年齢児の親は高年齢児の 親に比べ,(1)発話量が多いこと,(2)what質問,
yes‑no質問,復唱質問を多く行い,多くの連続質問を
行うこと,(3)事物に関するwhat質問や,場所,活動,感情に関するyes‑no質問を多く行うこと,(4)同じ出
来事や新しい出来事,感情について情報をもとめ,確認 やしつけを行うこと,などが明らかになった。低年齢児の親は,しつこいとも思えるほどの多くの質 問を用いて,「どこで,何をした,どう感じた」といっ た出来事の基本的情報を引き出している。子どもはこの ような働きかけを足場とし,出来事の何を記 億し(出来 事の表象),どう語ればよいのか(ナラティブスキル)
を学んでゆくのだろう。これらの発達差は,主に3歳と 4,5歳,3,4歳と5歳の間で見られた。Nelsonの いう「現在の体験者から過去と未来の語り部」への移行 を反映しているのだと解釈できる。
父母の差については,父親が母親に比べ,(1)発話量 が多い,(2)復唱質問や命令文が多い,(3)人物や場所に
ついてのyes‑no質問が多い,(4)確認やしつけが多い
という結果が得られた。
命令,確認,しつけなどに示される父親の制御的な態
度は,コミュニケーションにおける性差を反映している のかもしれないし,(特に確認は)子どもの日常生活に 対する知識の不足によるのかもしれない。また,母親で は3歳児の母親と4歳児の母親の間で,父親では4歳児 の父親と5歳児の父親の間で,差が大きかった。これ は,子どもの発達に対する認識のずれによるのかもしれ ないし,父母による子どもへの関心の向け方の違いを反 映しているのかもしれない。こういった父母の差が何に 起因するのかを明らかにすることは,今後の課題であ る。しかし,何に起因するにせよ,子どもは父母の違い に接することにより,語る相手によって求められる情報 や語り口が異なることを学ぶのだと考えられる。母親,父親という異なる聞き手の存在は,「誰に対して語るの か」が大きな意味をもつナラティブの,重要な一側面を 支えているといえるだろう。
本研究では,過去の出来事の語りに関し,対話の中で 与えられる父母の働きかけに注目した。しかし,いうま でもなく,語りの発達に影響を及ぼす要因は他にもあ る。例えばNelson(2000)は,対話のような社会的相 互交渉に加え,子ども自身の言語発達が大きな役割を果 たすと指摘している。また,時間や場所,活動内容,感 情の種類といった情報の語り方には,子どもの側の'性差 (Adamseta1.,1995;Fivusheta1.,2000;Hadenet
a1.,1997;Reese&Fivush,1993)や文化差(Minami,
1996;Minami&McCabe,1995;Wang&ROSS,2001;
Wangeta1.,2000)の影響があることも知られている。
本研究で扱った親による援助も,こういった要因から独 立ではないだろう。今後は,これらの要因にも目を向 け,「いつ,どこで,何を……」よりもさらに踏み込ん だ語りの内容から,過去の出来事の表象とナラティブに アプローチしていく必要がある。
文 献
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Buckner,』.P、,&Fivush,R,(2000).Gendered themesinfamilyreminiscin9.Mで"zoXy,8,401‑412.
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