トップPDF 国際的ジャーナリストの草分け、エンリケ・ゴメス=カリーリョの塵の世を浮游する魂 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

国際的ジャーナリストの草分け、エンリケ・ゴメス=カリーリョの塵の世を浮游する魂 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

国際的ジャーナリストの草分け、エンリケ・ゴメス=カリーリョの塵の世を浮游する魂 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

とにさほど無理はないように思われる」 13) 。  そうした動機もとにつづられた本邦印象記『誇り高く優雅な国、日本』は、「東京」「吉 原」「雄々しき」「太刀」「社寺」「サムライ」「洗練された精神」「ハラキリ」「詩歌」「女性」 「山水」「貧困」「名誉規範」「笑い」という全十四章から構成されている。特筆に値するは、 ゴメスカリーリョ日本見る眼確かさ、偏りない公正さであって、これには舌巻か ざるえない。たとえば、「東京」に見られる大和撫子について記述は、以下とおり。  「(…)ほっそりした体つきに、血の気少ない薄く透けるような琥珀色肌、首筋に浮きで ている細い血管。顔かたちは完璧な卵形。目は大きくはないが切れ長で、そのはなはだしく 細く長い目には肉感的な甘美さがあり、古 いにしえ 日本歌人たちが和歌中で、女性男性そそらせる媚薬とくらべている気持ちがわかる気がした。華奢な手指は青白く透きとお るようだ。口許はといえば、たえず笑み浮かべて半開きになっており、そのしっとり潤った 唇から米粒ような上品な歯並びがのぞいている。わたし前にあらわれたこの女性は、 汽車でいっしょだった娘たちが着ていた灰色無地着物とは違い、薄い黄色地に白百合一 面に描いたもの身につけていた。まるでそこだけ春が来たようだった。ボッティチェリ 『春』ほど偉大さや輝きはないが、心そそられる点では勝るとも劣らない。わたしは茫然と
さらに見せる

13 さらに読み込む

想い出すことども 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

想い出すことども 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

 帯文案は縦書きで、「空前絶後 宗教史家ミルチャ・エリアーデ 中心思想と方法論  余すところなく捉えた、新進気鋭 28 歳 スペイン人哲学研究者 マルセリーノ・アヒース・  ビリャベルデ恐るべき才能つぶさに伝える 学会デビュー作、本邦初登場」というもので あった。じつは、これがわたしいちばんお気に入り「訳者自装」本にほかならない。  この本については、エリアーデ『イメージとシンボル』(せりか書房)訳された和光大学 名誉教授、前田耕作氏が、読書新聞 〔2013 年(平成 25 年)7 月 19 日(金曜日)〕 に書評寄せてく ださった。それによると、〈エリアーデ伝記ふくめた最初本格な研究書邦訳は、デイ ヴィッド・ケイヴ『エリアーデ宗教学世界』(せりか書房・1996 年/原題:新しいヒュー マニズムへミルチャ・エリアーデ視線・1992 年)が初めてであった。ケイヴ著作も次 年に刊行されたダニエル・デュビュイッセンもまた「エリアーデと聖なるもの」(『20 世紀神 話学―デュメジル/レヴィ・ストロース/エリアーデ』・1993 年)主題としながら、それら より先に刊行されていたアヒース=ビリャベルデ処女作でもある本書(1991 年・サンティア ゴ・デ・コンポステーラ大学出版局)にはまったくふれていない。本書邦訳が刊行されなけ れば、エリアーデ「中心思想と方法論」淵源歴史に抽出し、その思考枠組み緻密 かつ包括に論じた本書私たちがついに目にすることはなかったかもしれない〉。
さらに見せる

10 さらに読み込む

有余年の大学生活を振り返って 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

有余年の大学生活を振り返って 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

27 30 有余年大学生活振り返って 福 井 七 子  関西大学時間は、学問中心として私生活に彩り添えてくださった人々おかげで、 非常に恵まれた期間だった。30 有余年にわたって、まったく波風がたたなかった時期がなかっ たとは言えない。ルース・ベネディクトという複雑な女性研究テーマ中心にしたことで、 彼女思想・文化捉え方、また彼女異文化理解に迫ろうともがき続けた年月であった。  研究性質から、私は常に一次資料求めようとした。資料集めがうまくいき、というより 納得いくまでやり続けたというべきかもしれないが、そして多く人々に助けられ、これまで あまり研究がなされていなかった分野少しは明らかにできたではないかと思っている。  アメリカには 6 回ほど調査旅行した。第一回目調査旅行は実に不安な気持でいっぱいで あった。プキプシーにあるベネディクト・コレクション中心に、エール大学や議会図書館に も出かけた。ニューヨーク図書館では思いもかけなかった資料得ることができた。結果 に私心配は杞憂に終わっただが、資料収集だけでは何も発信できない。収集以上に努力が 求められるは、それ読み解き、まるでジグゾーパズルように時間軸中心に埋め込んで いかねばならない。
さらに見せる

2 さらに読み込む

ファーゴー教授 ヘンリー・ジェイムズ 著 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

ファーゴー教授 ヘンリー・ジェイムズ 著 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

 「そうです!」と彼は言った。「肉体とが一緒でなければならないという恥ずべき必要性へ さもしい譲歩なんです。ときどき、たとえ一時間でも耐えられないと感じるときがあります。 このような犠牲払って真実について語る聞いてもらうくらいなら、たとえ運命命ずる ところにしたがって溺れようとも、あの厚かましいペテン師と別れた方がましだと感じるとき があります。黙って口閉じ、あの男卑劣な詐欺行為に対して少なくとも私は何要求もし ないと主張することで万事おさまっているですが、彼と付き合っていること自体が制裁であ り、あのいまいましい見世物に参加していることが純粋な真実へ冒涜なです。ご覧とお り、私は不幸にも何か信じてしまったです。知ってしまったです。そして知性に関して は、毒含んだくず口にするか、真科学という熟した甘い果実口にするかが重要である と考えているです!私は毎晩目閉じ、顎固定し、歯噛みしめているです。しかしあ くだらない戯言聞かざる得ないです。始めから終わりまで恥ずべき嘘塊です。 今ではもうすべて暗記してしまいました。立ち上がって私にもぺらぺらと話すことができます。 それは一日中私耳で鳴り響いています。長い布きれかぶせたテーブル下に屈み込んでテ ーブル叩いている恐ろしい夢見るです。外に教授が立っていて聴衆に向かって『これは アルキメデス霊です』と言うです。そして、私は息苦しくなってテーブルひっくり返し 千人も前に詐欺師共犯者として登場するです。私無視された人類へメッセージ 価値があまりにも大きく、あまりにも計り知れないので、私がそれ口にすること可能に する手段は正当だと信じることができる瞬間があります。黄金島に向かって航海するときは、 力誇示する海賊がその船大洋に引っぱっていってもかまわないです。そのような気分で、 目つぶって聞かないようにしながら壁にもたれて陰に座っているときは、本当に聞こえない です!私心ははるか遠いところにあるです ― 空中に浮かび、発明翼に乗って高く舞 い上がっているです。しかし突然、忌まわしい現実が私に襲いかかるですが、ここに座っ ているが本当私 ― 山ような黄金よりも一粒科学真理が貴重だと考えている私 ― だという自分感覚が信じられなくなるです!」
さらに見せる

28 さらに読み込む

ある肖像画の物語 ヘンリー・ジェイムズ 著 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

ある肖像画の物語 ヘンリー・ジェイムズ 著 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

必要はないだと判断していた。結婚リスクと利点レノックスはよく考慮し、目よく開 いて結婚するだ。人にはそれぞれ好みがあるし、三五歳ジョン・レノックスは、エベレッ トが見かけどおり女性ではまったくないかもしれないと忠告されなければならない年齢では ない。バクスターはこのように、レノックスは二人目妻として可愛いだけ女性 ― 人も てなしたり、彼ように美しく使ったりすることに才能ある女性 ― 意図に選 んだだと思い込んだ。バクスターにはこの気の毒な男性情熱真剣な性質については何も 分からなかったし、バクスターが幻想と呼ぶものにレノックス幸せがどの程度抱き込まれて しまっているかも分からなかった。彼唯一関心事は仕事上手く仕上げることだけだっ た。人魅了するマリアン顔に対して彼が以前持っていた関心おかげで、その分だけ彼 仕事は上手く仕上がった。性格造形におけるあの力、そして、レノックス関心捉えた現実 あの深さ実際バクスターが肖像画中に吹き込んだことは紛れもない事実だった。しかし それは、彼がまったく意識せず悪意持たずにしたことだった。バクスター芸術家として 気質が失望糧にし、喜びと苦悩によって脂肪蓄え、バクスター人として部分に旺盛な 影響力発揮した。つまり、簡単に言ってしまうと、この若い男性は本当意味で芸術家だっ たということである。強力で感じやすい彼性質測り知れない奥深い所で、彼才能は彼 心と交感し、失望と諦めという重荷キャンバス上に移し換えたであった。マリアンと ちょっとした関係あと、バクスターは一生愛し続け信頼し続けることができると感じた若い 女性と知り合った。この新しい感情によって目覚まされ力づけられた彼は、古い恋愛によっ てできた不足よりはっきりとした明晰さで埋めることができた。それゆえ彼は心込めて肖 像画描くことができた。彼にはそれ以外に何かできることがあるなどエベレットには想像も できなかっただろう。彼は心底から正直に最善尽くした。その確信は招かれなくても訪れ たし、そのために彼正直さはさらに優れたものとなった。
さらに見せる

30 さらに読み込む

国際協働プロジェクト参加を通しての「学びの質」 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

国際協働プロジェクト参加を通しての「学びの質」 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

た」、など含む《人とふれあいから得た相互理解実感》というカテゴリにつながる。一方 実際に人と触れることから、《多文化視野獲得》という認識にいたる。生き方・価値観など 文化差認識したという人、さらに一歩踏み込んで、違い受容すること大切さについて 記述する人がいる。また、出会った人出身国や滞在国へ関心高まりに関する記述、自ら 視野広がり認める記述含め、合計記述頻度がもっとも多いカテゴリである。次に《自 己と向き合い》《自己肯定変化認知》などに見られるように、自己に向かう記述が非常 に多い。自分見つめ直し、客観化し、欠けているもの認識すると同時に、新たな自分発 見する。また自己が良い方向に変化した、成長したと感じている。特に多かったが、すべて 単独でおこない自分で決定したことからくる自信、問題解決力や度胸が身についたというも である。また、自分日本人性へ気付きや自分将来像明確化にもつながっている。《コ ミュニケーションについて理解》というカテゴリに含むは、多く人と協同で活動したこ とを通して、コミュニケーションそのものについて気づいたり考えるきっかけとなったこと 示す一連記述である。理解しようとする気持ちが大事とか、自己開示し表現することが大 切、などコメントも多い。共通である英語でコミュニケーションを通して、《英語使う 自己像が明確化》した一方、自分英語力不足実感し、これが《学習必要性認知と学 習意欲》につながる。
さらに見せる

18 さらに読み込む

アディナ ヘンリー・ジェイムズ 著 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

アディナ ヘンリー・ジェイムズ 著 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

 目に見える影響暗くて古い町に与えるローマ初春空気は、ご存知とおり不思議な魅 力があるけれども、どちらかというと外国体にはしばしば辛いことがある。北アフリカか ら熱風が二週間途切れることなく続いたあと、ワディントン夫人活発だった気分が落ち込 んだ。彼女は「熱病」にかかるではないかと心配し、急いで医者と相談した。医者は、何も 心配することはなく彼女に必要なは単なる気分転換だと言った。そして、一ヵ月ほどアルバ ーノに行くこと勧めた。というわけで、二人女性はスクロープ付き添いもとアルバー ノに行くことになった。ワディントン夫人は親切にも私も一緒に来るよう誘ってくれた。しか し、親戚者がローマにやって来ることになっていて、私は彼らためにガイド役引き受け ることになっていたので、ローマに残っていなければならなかった。機会があればアルバーノ 訪れると約束だけはしておいた。私叔父とその三人娘は申し分ない観光客で、私には 次から次へとすることがあった。しかし、週末にはやっと約束果たすことができた。私は宿 に泊まっている彼ら発見し、二人女性が、汚れた石造り床としわ寄った黄色いテーブ ルクロスについて意識、窓から見える霧かかった海ように広大なローマ平原について 恍惚とした黙考に溶け込ませている見た。景観は別として、彼らは楽しい日々過ごし ていた。その地域美しさと山間見慣れない古い町美しい近郊思い出していただきたい。 その地方は早咲き草花が咲き誇っており、私友人たちは野外空気中で暮らしていた。 ワディントン夫人は水彩画スケッチし、アディナは野生花々摘んでいた。スクロープ は満足気に二人行ったり来たりして、時折、ワディントン夫人絵の具使い方やアデ ィナスイセンとシクラメン組み合わせについて歯に衣きせない酷評していた。みんな とても幸せそうで、嫌味ではなく私はもう少しで、神々からもっとも望ましい贈り物とは、 自身欠点なさに対する終始変わらない確信ではないかと思うところだった。しかも、心に やましいところある恋人でさえ、アディナ・ワディントンような自分人生における予想 もしない愛らしさ存在によって、当然報いというものが存在することが信じられなくなる ということがあるかもしれない。
さらに見せる

37 さらに読み込む

福井七子教授 略歴および主要研究業績 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

福井七子教授 略歴および主要研究業績 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

「ルース・ベネディクトが遺したもの」(1996)新潟県長岡市特別文化講演会 「ルース・ベネディクト研究をめぐって」(1997)立命館大学言語文化研究所 「『菊と刀』著者ルース・ベネディクトからメッセージ」(1999)市整会研修会 テーマ『日本・日本人探る IV』「『日本人行動パターン』読む」(2003)中央市民大学教 養講座

4 さらに読み込む

英語語法における曖昧性の回避について 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

英語語法における曖昧性の回避について 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

英語語法における曖昧性回避について Some Notes on Avoiding Lexical Ambiguity in English Usage 奥 田 隆 一 Takaichi Okuda This paper aims to investigate how they avoid lexical ambiguity in English Usage. In order to understand the ways they disambiguate words or expressions, we are going to take three types of ambiguous expressions: the third finger, jewel case, and email. These expressions are ambiguous in some situations, but they use some means to disambiguate them: (1) register factors, (2) synonymous derived words, (3) a different expression.

11 さらに読み込む

at Workにみるルース・ベネディクトの肖像 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

at Workにみるルース・ベネディクトの肖像 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

 バッファローに行く前から私は「物書き」していました。ある夏日、オワトナから帰っ て牧場家にいた時、ウィルおじさんが私儲け数えていました。彼は私が 10 点ノートに書 き取ったら、1 ドルくれると言いました。何書いたかは覚えていませんが、大きな誇りと責 任感じた覚えています。母は子どもが書いたものに対して、子どもだからといって甘や かして、誇張した値段つけるはよくないと思ったかもしれません。しかし、その頃私が感 じていたマージェリー器用さとうまくバランスとるためには仕方ないと思ったかもしれ ません。バッファローでマージェリーが土曜日に美術学校に行き始めると、私は家で文書い て母に見てもらいました。4 月吹雪について書いた今でも覚えています。それはこんな ふうに始まります。 「春日差し日々を通して、お日さまは地球と交わり、毎日とてもとても 素敵でした。」それは詩ような拍子であったことがとても気になりました。でも他にどのよう に表現したらいいか分かりませんでした。この頃までに、私はかなり読んでいました。 ディケンズ、特にデイビッド・コパーフィールド、そしてスコット、特に「アイヴァンフォー」。 でもそこから学ぶことは特にありませんでした。この時期までに読んだ本で聖書に優る本はあ りませんでした。ルツ(旧約聖書一書)話はラモーナより良く、ジョブ詩はロングフェ ローより良いと思いました。今でも最初聖書持っており、それは注意深く赤と黒線が引 いてあり、一所懸命に書いた文章ページがはさまれています。バッファローに移った時から マージェリーと私は教会に行くと、週に 5 セントもらい、日曜学校で聖書 3 節 1 日におぼ え、日曜日には 6 節おぼえると 1 ペニーもらえました。私は何十も暗記しました。 「エバ ンジェリン」と「ヒアワサ」詩は高尚なものだと聞いていましたが、私はあまり好きではあ りませんでした。
さらに見せる

28 さらに読み込む

杉谷眞佐子教授 略歴及び主要研究業績 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

杉谷眞佐子教授 略歴及び主要研究業績 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

論文・事典項目執筆等 1976 年 Die Prozeß-Welt als Abhängigkeitssystem. 広島大学文学部『文学部紀要』第 36 巻 pp. 301 347.(単著) 1986 年 Literarische Kommunikation im Fremdsprachenunterricht.『関西大学文学論集 創立 百周年記念号』pp.523 550.(単著)

3 さらに読み込む

社会科学の目的と「自由」に関する考察 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

社会科学の目的と「自由」に関する考察 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

 どの文化人類学者にとっても、前提となる懐疑主義は厳密に定義されねばならない。この懐 疑主義はいかなる正式な文化制度による影響も疑うものである。民主主義であろうが、君主 制度であろうが、金権主義であろうが、どの主義も活発で安定した国家において実現されてい る。確信もって自分目標追求した部落においても、また最悪魔法使うような部落で さえも、民主主義は君臨した。民主主義は、我々イデオロギーが賞賛する個人自由浸透 させるため政治形態でしかないことは明らかである。しかし、民主主義は個人自由必 ずしも保障するものではない。一夫多妻制度が安定したまとまりある家族形成することもあ る。他社会では一夫一婦制がその機能果たす。しかしそのいずれもがより大きな摩擦があ るような分裂した家族も生み出しうる。他文化な特徴に対しても同じことが言える。神聖 な王位であろうと、花嫁につけられる値段にしても、魔法にしても同じである。このような習 慣によって社会がスムーズに機能すると言える。また王が神と崇められるので、自分快楽 ために人利用したり、殺したりすることもある。花嫁に値段がつけられるため、若い男が結 婚できなかったり、魔術師が誰に対しても自分魔法が使えるために、社会対立や暴力があ るとも言える。
さらに見せる

16 さらに読み込む

岐路に立つルクセンブルクの3言語主義 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

岐路に立つルクセンブルクの3言語主義 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

 言語間習熟度に濃淡はあれ、3 言語習得はルクセンブルク人アイデンティティー礎 であり、どの言語欠かすわけにもいかない。ルクセンブルク人が最も得意な言語はルクセン ブルクであるが、ルクセンブルク政治・経済・学問領域で本格に使用するには綿密 なコーパス政策展開せねばならず、そればかりかフランス語とドイツ主要言語とするメ リットが失われることにもなるので損失は大きい。したがって、フランス語とドイツ役割 減じるような言語政策は国益に反するだろう。言語レベルだけ考えるならば、ほとんど母 として習得が可能なドイツ主要な公用するがルクセンブルク人にとって最も現 実な選択肢となろう。だが、ドイツに国土占領された経験持つルクセンブルク人にとっ て、ドイツと同じ言語国語とすることには抵抗感がある。最近では、特に若年層でドイツ態度が好転しており、居心地がいい外国一位にドイツが入っている点は特筆すべきであ る。また、最も得意な言語 2 位にドイツが位置していること考えるならば、ドイツ 使用域拡大環境が整っていること示唆している。しかし、憲法が規定するフランス語司 法上優位性と、主たる学術言語フランス語が担う言語教育政策守り続ける以上、フラン ス上位言語とする 3 言語主義は変わらないだろう。特に、EU ではフランス語が英語と並 ぶ「作業言語」(working language)として使われているため、EU 主要機関が立地するルク センブルクにとってフランス語主要言語とするメリットは計り知れないものがある。ただし、 ドイツにもフランスにも依存しない独立国であること示すには、ドイツとフランス語バ ランス取ることが重要になる。ドイツとフランス語というヨーロッパ 2 大言語公的に 使用することで、幅広い通用性持つインフラ提供しながら国際な求心力得るが小国 ルクセンブルク生き方であるからだ。
さらに見せる

14 さらに読み込む

翻訳を通して文化が規定するアブノーマルの概念を考える 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

翻訳を通して文化が規定するアブノーマルの概念を考える 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

 簡単にしか示すことはできなかったが、これらみると何がノーマルであるかは、文化 によって定義されているということ認めざる得ない。上に示したドブ族文化や北西海岸 文化中で育ち、欲望や人格形成された大人が私たち文化に連れてこられたら、その人 はまちがいなくアブノーマル範疇に入る。そして社会に受け入れられない心理葛藤味わ うことになる。しかし、自分文化なかでは、彼は社会に叩き込まれた道徳身につけた 社会中心となるような人であり、不安定な立場に追い込まれるようなことは一切ない。  どのような文化においても、人間がとり得る行動すべて社会規範に組み込むことはでき ない。言語で色々な音声が可能であり、様々な可能性なかからその言語がいくつかもの 選んで規範化しない限り、言語コミュニケーションが成り立たないと同様に、その土地衣 装や家造り方、そしてその人々倫理観や宗教に至るまで、可能な行動からその人たちがど ような選択するかによってその人たち組織立った行動は異なってくる。社会に認めら れた経済義務、あるいはセックスタブーといった選択は、どの音声がその言語で使われる かということと同じ位、理屈なしに、そして無意識に選ばれる。そのプロセスは、その集団 なかで長きにわたって形成され、数々孤立した歴史出来事や人々交流から成り立ってい る。どのような総合な心理研究においても、可能な行動膨大な選択肢なかで歴史に 何が選ばれてきたかという点は、非常に重要なことである。
さらに見せる

24 さらに読み込む

北村 裕先生との四半世紀 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

北村 裕先生との四半世紀 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

外国学部紀要 第 10 号(2014 年 3 月) 2 となるだが、2002 年に外国教育学研究科として結実した時に、先生は涙流して心から喜 ばれた。この頃、すでに病得られ、心身ともにかなり苦しい状況であられたかと思うが、そ れでも小躍りするように喜ばれたお姿見たとき、私胸に強くこみ上げてくるものがあった。  先生からは、人生において大切なものも実にたくさん学ばせて頂いた。これら多く、先 生は自ら行動で示された。その時点では、行動意味がわからず困惑することも多々あった が、後になり意味が分かったときには、その深慮に驚くこととなった。また、時に言葉で示さ れることもあったが、これら至言は、先生行動とともに、今も私指針であり、その輝き 失わない。
さらに見せる

2 さらに読み込む

Analog pleasures in a digital world 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

Analog pleasures in a digital world 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

While teaching in Newark, I learned that another campus of Rutgers University wanted to hire someone to teach theater studies.. I applied, and had an interview.[r]

18 さらに読み込む

『水鏡』におけるビセンテ・ウイドブロの創造主義的手法の展開 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

『水鏡』におけるビセンテ・ウイドブロの創造主義的手法の展開 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

 上で触れた「新年」異稿とは、鉛筆書き自筆原稿である。この原稿は、実際に出版され た版執筆よりも前に記されたと考えられている 5) 。 “ La escala de Jacob / No era un sueño / Un ojo se abre frente al espejo / Y las gentes que bajan a la tela / han dejado su carne como un sobretodo viejo / El film 1916 / Va a comenzar / La lluvia cae delante de los espec- tadores / Detrás de la sala un viejo / muerto ha rodado al vacío ”(「   ヤコブはしご は/              夢ではない/片目が鏡前で開く/スクリーンに降りる人々 は/古いコートように肉脱ぎ捨てる/   映画 1916 が/   始まる/観客前に雨が 降る/   古い部屋背後で死者である/老人が空虚へと転げる」)まず視覚に注意引く は、7 つ行におけるオフセット、そして句読点廃止であろう。また 10 行にわたる単独 連で成り立っているところも、実際に印刷された版と大きく異なっている。
さらに見せる

12 さらに読み込む

博識無双の凛然たる人、北村裕教授 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

博識無双の凛然たる人、北村裕教授 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

 1994 年(平成 6 年)4 月発足本学総合情報学部英語専任教員として、英語教育界風雲 児たる北村先生に白羽矢が立ったは、至極当然である。英語教育工学ならびに認知言語学 専門家として新設総合情報学部で辣腕振るうお姿は、すぐれて「知人」そのものであ った。北村先生は、常に自己抑制心がけておられたようで、御専門以外事はあまり活字に はされなかったが、私知る限り、英米文学や文化に造詣が深かった。だからこそ、海向 こう研究者とも対等に勝負できただと私は確信している。実際、古典も含めて、現代英米 文学作品よく読んでおられた。やはり間違いなく北村先生根っ子には、本学文学部佳き 学統が存在する
さらに見せる

3 さらに読み込む

初めての英語発音指導 ―英語の歌を歌おう― 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

初めての英語発音指導 ―英語の歌を歌おう― 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

 腹式呼吸とは、息吸うと胸ではなくてお腹が膨らみ、お腹筋肉で息吐き出す呼吸仕 方です。日本語母語話者でも、日頃からよく歌歌う人、大声出してスポーツする人、舞 台でお芝居するような人たちは、自然と腹式呼吸が身についています。つまり、英文音読 するとき、日本語母語話者が頻繁に息吸うは、音読している言語が英語であるにもかかわ らず、日本語話しているときと同じように声帯震わせて母音多用して発声し、胸式呼吸 しているからです。そのあたり事情、スコット・ペリー氏は、朝日出版社月刊誌『CNN English Express 』2016 年 2 月号で次ように述べています。
さらに見せる

16 さらに読み込む

稀代の目利き、福井七子先生へ贈る言葉 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

稀代の目利き、福井七子先生へ贈る言葉 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

竹 内   理  敬愛する福井七子先生が、ご定年迎えられ、30 余年に及ぶ関西大学学究生活に別れ 告げられる。寂しさ感じずにはおられない。先生から折に触れて頂いた数冊改めて見 返してみると、その寂しさが一段とこみ上げてくる。それだけ先生存在感が大きかったので あろう。

1 さらに読み込む

Show all 10000 documents...

関連した話題