• 検索結果がありません。

PDF 「逃れる」の階層フレーム分析とその意義 - Kyoto U

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2024

シェア "PDF 「逃れる」の階層フレーム分析とその意義 - Kyoto U"

Copied!
9
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

「逃れる」の階層フレーム分析とその意義

「言語学・心理学からの理論的,実証的裏づけ」のある言語資源開発の可能性 中本 敬子 黒田 航

1 はじめに

本研究では,フレーム指向概念分析

(Frame Ori- ented Concept Analysis of Language: FOCAL) [16, 5]

に基づく

y

x{

;

から

}

逃れる

の意味フレー ム分析の結果を報告する.本研究の提案は下記の通 り

: (a) NLP

技術の成果

(

表層格フレーム辞書

)

を利 用すれば言語学者による人手解析の省力化が可能,

(b)

人手解析とその妥当性確認のための心理実験を 行うことで小規模ながら質の高い資料を構築するこ とが可能,さらに,

(c)

表層格フレーム辞書に対し 直接

(b)

の手法を適用することで意味資源に変換で きる可能性がある.

1.1

階層フレーム分析の概要

階 層

(

意 味

)

フ レ ー ム 分 析

(Hierarchical Frame Network Analysis; HFN(A))

は黒田らによって考 案されたフレーム指向概念分析

(FOCAL)

の一手法 である.基本的には,次の分析手続きからなる.

(a)

動詞を中心にコーパス事例を偏りなく収集し,

(b)

状況レベルの意味フレーム

(e.g., h h

捕食者

i

, h

獲物

i

, . . . , h

襲う

i i)

として,その動詞および 共起する語が実現している文脈に最適化された意 味を手作業でコード化する.このコーディングの基 本精神は次の意味で「発見」的なものである

:

「辞 書」的な意味を,実際に使われている語句の意味 に

(

強引に

)

当てはめるのではなく,逆に辞書的な 意味記述を仮定せずに文脈に特殊化した意味を同 定し,これを通じて得られた記述を帰納的に一般化 することで辞書的な意味を得ようとする.この際,

意味型

(semantic types)

の指定と意味役割

(semantic roles)

の指定を区別する

(

この区別の詳細は

[13]

を 参照のこと

)

.具体的には,共起語

(

主に主語,目的 語などの名詞句

)

の「自然類」的な意味型

(

の階層

)

京都大学教育学研究科

† (

)

情報通信研究機構 けいはんな情報通信融合研究セン ター

(e.g., [

インパラ

] IS-A [

草食哺乳動物

] IS-A [

哺乳動 物

] . . . )

と,状況相対的に定義される意味役割

(

の階 層

) (h

インパラ

i IS-A h

獲物

i IS-A h

被害体

i . . . )

を おのおの同定する.意味フレームの区別と意味役割 の同定は,動詞の項となっている名詞句の意味型の 共変関係を元に特定されると言ってよい.

更に,

(c)

意味フレーム同士を

具体化

: [

上位フ レーム

] [

下位フレーム

] OR [

具体例

]”

抽象化

: [

下位フレーム

] OR [

具体例

] [

上位フレーム

]”

の 関係を指定し,ラティス構造を得ることによって関 係づける.これによって,意味フレームを単なる用 例の分類ではなく,互いに関係づけられた,異なる 粒度での意味記述を可能にする資料として体系づけ ることができる.また,並行して,意味フレームの 内実を,フレーム間の弁別を可能にする意味素性の 集合として記述する.

FOCAL

では,更に

(d) HFN(A)

が基本的に少数 の言語学者の直観に基づいていることから,結果の 妥当性を確認するために一般話者の直観との整合性 を確認する心理実験を行っている.

1.2

格フレーム辞書の利用

これらから明らかな通り,先行研究での

HFN(A)

には次のような難点があった.

一つ目は,非常に労力と時間を要するという点で ある.偏りのないサンプルに対し解析を行うにはあ る程度の数

(

数百程度

)

の文を扱う必要がある.し かも,サンプル収集の対象となるコーパスにどのよ うなフレームがどのような分布で含まれているか不 明なため,サンプルの抽出は全数,あるいは適当な 数を指定しての無作為抽出となる.しかし,このよ うに得たサンプルには類似の文が多数含まれてお り,しかもそれは人手で解析するまで分からない.

これは作業の非効率性につながっている.

二つ目は,逆に数百のサンプルに全てのフレーム を具現化する文が含まれているとは限らないこと である.サンプルの規模を大きくすることは理屈で

(2)

は可能だが,実際の労力や分析者の注意力,記憶力 の限界を考えると,それは現実的ではない.この点 については,分析者の直観によりサンプルには含ま れていないがあり得るフレームの存在を予測し,作 例や

Web

検索によりその存在を確認するという手 段が取られてきた.だが,直観は常に揺れを含むの で,不確実な直観による予測誤差を減らすことがで きれば,それに越したことはない.

これらの問題点を克服するために,

逃れる

HFN(A)

では,コーパスからの事例の分析に加え,

表層格フレーム辞書

[18]

を資料として参照した.

格フレーム辞書を参照することには以下のような 利点がある.まず,格フレーム辞書は動詞の直前格 要素の意味属性の類似性によって用例パターンを分 類することで作成されている.意味属性の決定は,

NTT

日本語語彙大系

[6]

に基づいてなされている.

語彙大系は一種のシソーラスであり,これは格要素 の意味型の類似性により用例を分類する試みと見 なしうる.つまり,格フレーム辞書は特定の格要素 の意味型に基づいて用例を分類している.この特性

が,

HFN(A)

に格フレーム辞書を利用する第一の効

用につながる

:

つまり,格フレーム辞書は

HFN(A)

で問題となる類似用例の重複に対し,

(

大まかではあ るが

)

ある格要素の意味型での一致による分類とい う点で一つの解決を与えている.意味型と意味役割 が排他的でない点に関しては

[13]

を参照されたい.

HFN(A)

での対象用例数の問題に関しては,表層

格フレーム辞書は計算機による自動化に基づいて構 築されていることから,大量のデータを扱っている ことは間違いない.そのため,これを参照すること は,人手解析で扱える標本数の限界を間接的に解消 すると考えられる.

2 “y x を 逃れるの階層フレーム分析

HFN(A)

は,まず,日英対訳コーパス

[8]

から収

集した動詞

逃れる

を含む全ての文

86

例を対象と して始めた.まず,従来の方法と同じく,文内

(e.g.,

h

逃れるモノ

i

h

避ける対象

i

h

逃げ元になる 場所

i

h

逃れ先になる場所

i

を表す文字列を取り出 し,それらの意味役割を特定した.例を上げれば,

都会の児童が戦火を逃れた

は次の形の特徴づけを 与えられる

:

(1) h

脱出

: h A GENT :

脱出者

:

児童

i

, h P UR -

POSE :

危険

:

戦火

i

を避けるため

, h S OURCE :

1 “

逃れる

の理解に利用される意味フレーム群

!"#$ %&

'()*+,-./0 12345678.9:;<=>

'()?+@ABC.<DEF GHIJ.K=5@LMNOJGPH;<=>

'()Q+RS.BTU VWVXY57Z.UB[>\;<=>

'(]*+,^./0 _`ab.c5de.fg;<=>

'(]?+@ABC.<DEF hi.jkl.mn85opq,;<=>

'(]Q+rR./0 stu.vwxyz5{|}~•€>•‚;<=>

'(ƒ*+,-./0 yv„y…†‡5ˆ‰Š‹."#Œ#;<=>

'(ƒ?+@ABC.<DEF •Žu.…c••5‘’.@“;<=>

'(ƒQ+”“./0 …†u.’•5JG!„’.–“;<=>

'(—+˜…†™5‘.”“;<=O š!›H.œ•5žŸ. ¡;<=>

'(¢*+£¤.,¥./0 ¦§¨©.ª«;¨¬-®5¯°±²;<=>

'(¢?+³´µ¶BC.<DEF ·¸¹;º»U>¼½.½¾5@¿;<=>

'(¢Q+³´ÀF./0 ÁÂÃÄÂU>Å85’Æ;<=>

'(Ç+ÈÉ ÊÆu.ËÌÍ5ÎÏ;<=>

'(Ð+ÈÑ ÒÓÔÕu.Ö85×ØÙÚ;<=>

'(Û+<Ü )—Ý.Þ-5ßà~áâã;<=>

'(ä*+œåæçBC.0è éêë5¾ìNíî•.ïð;<=>

'(ä?+ñòæçBC.0è óô.œ•5õò.óö¹;<=>

')(*+ñòæçBC.0è ÷„.K=5öó.øö;<=>

')(?+œåæçBC.0è uùú•.jûüj5ðS;<=>

'))+Èý ñþU>-®5ÿNBC.!";<=>

危険な場所

:

都会

i

から

, h G OAL :

安全な場 所

: NULL i

, h G OV :

逃れる

:

脱出する

i i

同様の分析を数多く行なうことにより,

h

避ける 対象

i

h

危険

(

なモノか場所

) i

h

不利

(

なモノか 場所

) i

に大別できることが明らかになった.その 結果が図

3

にある

HFN

である.

この分析を元に,格フレーム辞書を参照し,分析 を進めた.具体的には辞書を参照し,格フレームの 一覧から高頻度で特徴的な用例を中心にガ格,ヲ 格,カラ格名詞句を拾い出した

1)

.それを元にして 作例により具体例を補いつつ,フレームの分化と統 合を繰り返す作業を行った.格フレーム辞書の参照 は,当初の

86

文には現れなかった意味フレームの 存在を確認できるだけでなく,辞書無しでの作例に 比べ,分析者のバイアスを低減する働きがあると考 えられる.また,実際にコーパスから得る生のデー タに比べ,分析に必要な要素だけを取り出す手間が 少なく,省力化につながると思われる.

これらの手順を経て特定されたフレームの一覧 を,表

1

に示す.それらの元になった

HFN

を図

3

に示す.

基本的には

11

個のフレームが同定されたが,幾 つかのフレームでは更に下位に分化する可能性が あったため,合計で

21

個のフレームを検証の対象 とした.

1)

ただし,特徴性の判断の明示的な基準はなかった.この明 示化は今後の検討課題である.

(3)

3 心理実験

3.1

言語材料

1

のフレームに対応する文を,

y

x

を逃れ た

形式で各フレーム

2

文ずつ作成した.また,フ レーム弁別の意味素性を評定項目化した

(e.g.,

y (

逃れた側

)

x (x

h

逃した側

i

h

逃れた対象

i)

に よって命を失う可能性があった」

)

変数

x, y

x 1

y 1

を襲った

” [5]

y 2

x 2

か ら逃げた

” [10]

x { 1,2 } , y { 1,2 }

にある程度合わせ ている(例えば,

ライオンがインパラの群れを襲っ た

インパラの群れがライオンを逃れた

”)

.た だし,

x i

x j

y i

y j

との間には相関があるが,完 全に一致するわけではない

(

例えば

逃げる

h

体物の流出

i (

暖まった空気がドアの隙間から逃げ た

)

に対応するフレームは

襲う

にも

逃れる

に もない

)

.更に,同じ表層形が使えるとしても,意味 型の強要

[7]

によって意味型が変更されている可能 性もある.

X = { x 1 , x 2 , x 3 }

Y = { y 1 , y 2 , y 3 }

の包 含関係を調べ,

X , Y

の間の相関を見ることも,

襲 う

逃げる

逃れる

の分析で変数を揃えたこ との目的の一つである.分析は現在も進行中である が,部分的な結果を付録

A.1

に示した.

3.2

カード分類課題

方法 大学生

37

名に材料文を

1

文ずつ印刷した カード

42

枚を

1

組ずつ配布し,文意の類似性に基 づいてカードを任意の数のグループに纏めるよう教 示した.

結果と考察

逃げる

で表される状況の分類パ ターンを見るため,

2

つの文が同じカテゴリーに配 置された頻度を類似性の指標と見なし,

Ward

法に よる階層クラスター分析を行った.結果として得ら れた樹形図を図

1

に示す.図

1

に示される通り,一 般の日本語話者の直観的な分類は,

HFN(A)

とよく 一致している.

3.3

意味素性評定課題

方法 意味素性を翻案し

33

個の評定項目につい て,各文が表す状況にこれらの項目が当てはまる程 度を

5

段階

(1.

全くそう思わない

— 5.

強くそう思 う

)

で評定するよう求めた.

80

名の被験者が実験に 参加した.各被験者は

21

文に対し,

16

個もしくは

17

個の素性評定項目に解答した.

評定項目の作成

本実験では,

h

逃げる主体

i

および

h

逃げの起点

? i

0.5 5.0 50.0

䏏䏒䏊䎋䎧䎬䎶䎷䎌 㪝㪇㪈㪸㪈㤥䊍䊢䉡䈏ኒ⁸⠪䈱ᝡ⚝䉕

㪝㪇㪈㪹㪉䉪䉳䊤䈱ⷫሶ䈏ㅊ〔䈚䈩䈒䉎⦁䉕 㪝㪇㪈㪺㪉䊜䉴䈱㊁䊈䉵䊚䈏䊐䉪䊨䉡䈱⿷䉕 㪝㪇㪈㪹㪈䉟䊮䊌䊤䈱⟲䉏䈏ㅊ䈦䈩䈒䉎䊤䉟䉥䊮䉕 㪝㪇㪈㪸㪉૗඘䈎䈱䉡䉰䉩䈏䉺䉦䈱⋡䉕 㪝㪇㪈㪺㪈䉨䉺䉨䉿䊈䈏⁸Ꮷ䈱䈚䈎䈔䈢⟂䉕 㪝㪈㪇㪹㪈ਛ࿖⷏ㇱ䈱䉦䊝䉲䉦䈏ੂ₪䉕 㪝㪇㪐㪹㪉ᄢ㒽ᮮᢿਛ䈱㘧ⴕ⦁䈏┥Ꮞ䉕 㪝㪇㪐㪹㪈ጊ᧛䈱ੱ䇱䈏⓭ὼ䈱ጊἫ੐䉕 㪝㪈㪇㪸㪈䉰䊦䈱⟲䉏䈏Ἣጊ䈱ྃἫ䉕 㪝㪈㪇㪸㪉ᴒ䈱䉦䊝䊜䈏䋲ᣣ㑆䈮䉒䈢䉎ᄢ፲䉕 㪝㪈㪇㪹㪉Ꮉ䈱਄ᵹ䈮䈇䈢䉟䊪䊅䈏᳓⾰ᳪᨴ䉕 㪝㪇㪊㪹㪉ァ㓌䈎䉌ㅏ䈕䈢౓჻䈏⣕⿛౓⁚䉍䉕 㪝㪇㪊㪸㪉஦ኤ౓䈏ᢜ䈱቞஻㓌䈱⷗ᒛ䉍䉕 㪝㪇㪊㪸㪈䉴䊁䊦䉴ᚢ㑵ᯏ䈏⋧ᚻၮ࿾䈱䊧䊷䉻䊷䉕 㪝㪇㪊㪹㪈᠗ㅌਛ䈱ᚢゞㇱ㓌䈏ᢜ౓䈱ㅊ᠄䉕 㪝㪇㪊㪺㪉⒖േਛ䈱ዊ㓌䈏ㄭ〒㔌䈎䉌䈱῜᠄䉕 㪝㪇㪊㪺㪈ᚢ㑵ਛ䈱౓჻䈏䊤䉟䊐䊦౓䈱⁓᠄䉕 㪝㪇㪋㩷㪈䉝䊐䉧䊮䈱ੱ䇱䈏☨ァ䈱ⓨ῜䉕 㪝㪇㪋㩷㪉ዋᢙ᳃ᣖ䈏⁛ⵙ⠪䈮䉋䉎⯦Ვ䉕 㪝㪇㪏㩷㪉ୃ㆏჻䈢䈤䈏䊨䊷䊙Ꮲ࿖䈱ᒢ࿶䉕 㪝㪇㪐㪸㪈ㄘᄦ㆐䈏㐳ᒁ䈒᡿ㇹ䈪䈱ౝੂ䉕 㪝㪇㪐㪸㪉ᄙ䈒䈱Ꮢ᳃䈏ᚢ࿾䈫ൻ䈚䈢Უ࿖䉕 㪝㪇㪍㩷㪈ᙼᓎਛ䈱ರᖡ‽䈏⁛ᚱ䉕 㪝㪇㪍㩷㪉଻⼔ಣಽ䈱ዋᐕ䈏ዋᐕ㒮䉕 㪝㪇㪎㩷㪈ᒝ೙౉㒮ਛ䈱ᖚ⠪䈏㓒㔌∛᫟䉕 㪝㪈㪈㩷㪉ਛၷ䈱૞ᦛኅ䈏䊂䊎䊠䊷૞䈱๡❈䉕 㪝㪈㪈㩷㪈⥄┙䈚䈢ᅚᕈ䈏ฎ䈒䈎䉌䈱ᘠ⠌䉕 㪝㪇㪏㩷㪈㪈㪋ᱦ䈱ዋᅚ䈏䈜䈘䉖䈣ኅᐸ䉕 㪝㪇㪎㩷㪉ᨵ㆏ㇱ䈱ᣂੱ䈏෩䈚䈇วኋ↢ᵴ䉕 㪝㪇㪌㪺㪈ᄢቇ䈮ㅴቇ䈚䈢⧯⠪䈏౓ᓎ䉕 㪝㪇㪌㪸㪉䊁䊆䉴ㇱ䈱೽ㇱ㐳䈏ㇱຬ䈱⋙〈ᓎ䉕 㪝㪇㪌㪸㪈୫㊄ᜬ䈤䈱ⷫᚘ䉕ᜬ䈧ᅚᕈ䈏ㅪᏪ଻⸽䉕 㪝㪇㪌㪹㪉෼⾔⇼ᖺ䈱⼏ຬ䈏⸽ੱ༐໧䉕 㪝㪇㪌㪹㪈ਇ␽੐䉕⿠䈖䈚䈢ળ␠䈱␠㐳䈏ㅊ᳞䉕 㪝㪇㪌㪺㪉ㆬ᜼ᴺ㆑෻䈱᡽ᴦኅ䈏ᙼᓎೃ䉕 㪝㪇㪉㪺㪉㊄ᐶ⎕䉍䈏ข䉍᛼䈘䈋䉋䈉䈫䈜䉎⼊஻ຬ䉕 㪝㪇㪉㪺㪈ẜફਛ䈱䊁䊨䊥䉴䊃䈏〯䉂ㄟ䉖䈪䈐䈢౏቟䉕 㪝㪇㪉㪸㪈㘶㈬ㆇォ䈱ゞ䈏ᷓᄛ䈱ᬌ໧䉕 㪝㪇㪉㪸㪉ኒャᬺ⠪䈏⒢㑐䈱䉼䉢䉾䉪䉕 㪝㪇㪉㪹㪈ᣂኋ䈱䉦䉳䊉䈱⚻༡⠪䈏৻ᢧ៰⊒䉕 㪝㪇㪉㪹㪉㤗⮎䈱ኒᄁੱ䈏䈍䈫䉍ᝡᩏ䉕

1 “

逃れる

のカード分類のクラスター

に適切な意味役割名を想定するのが困難なこと,お よび

h

襲う

i

の素性群に対する評定実験の結果との 比較可能性を高めるといった理由から,

h

逃げる主 体

i

X

h

逃げる起点

? i

Y

とおいて,評定項目 を作成した.

結果と考察 例文ごとに,各評定項目の被験者 間平均を算出した.文間のばらつきの小さい

4

項 目を除き,市販ソフト

Viscovery SOMine 4.0

を用 いて自己組織化マップにより文の類似性を視覚化し た.マップの大きさは

31 ×25

とした.結果を図

2

に示す

(

歪み測度

0.0113;

量子化誤差

0)

.図から明 らかな通り,素性評定からも上手く意味フレームの 意味的布置が得られている.

4 総合考察

以上の結果は次のことを示している

:

(2) a.

従来の

HFN(A)

に格フレーム辞書の参

照の利用を加えたことで分析が効率化 され,

(4)

!"#$%&'&()*+),#-)"./01)234,#-!)!5678

!"#$%

&'()*+,- !"#.%

/01+2345 !"6.#

78+9:;< !"6.%

=>+?@ !"AB#

CD+CDE !"FB%

GH+IJKL

!"#$#

M+NO8 !"6$#

PQR+STU !"FB#

VWXY:+Z[\] !"6^#

_X>+

!"AB%

`ab+cd

!"#.#

efgh:+ijMkl !"6$%

mH+nT !%%B%

opqrst

!"u^#

vOwxyzM !"#^%

{|}~x•+€<•

!"u.#

n‚+ƒ„n…M !"#^#

g†‡H+ˆ‰xŠ‹Œ•

!"6^%

st+Ž••9 !%%B#

‘’R+“”

!"u.%

••Xw+?–

!"—B#

˜W‚r™+š›

!"œB#

C•žŸ+ ¡ !"u^%

•¢£+¤¥¦¥

!"%^%

g§Hxk¨ !"—B%

Cs+©ª«¬R- !%".#

®¯°+±²³´

!"u$#

µw+¶–

!"·^#

¸ž+•¹jºqr»¼

!"%^#

½¾¿+À/xÁ !"u$%

n‚+– !"·^%

ÃÄÅ+ÆÇ !"·.#

ÈÉÊ+ËÌ

!%"^#

/ÍÎ+ÏÐ

!"%$%

ÑÀÑÒÓ+§ÔxÕ

!"%.%

+Ö®×Ø !"%$#

ÙÓÚÛ+Ü•'½xÝ !%".%

/ÍÞ/+Çß !"·.%

àáx:â+àãä !%"^%

¾åxæç+èã

!"%.#

•0Öxéê+?ëÊ !"œB%

ìÜíØx:â+î¶

2

素性評定値に基づく

逃れる

の自己組織化マップ

(SOM)

b.

得られた

HFN

は従来の解析結果と同様 に心理実験の結果と適合している.

この結果を元に,以下で簡単な議論を加える.

4.1

格フレーム辞書利用についての評価

本研究での

HFN(A)

構築に利用した生の事例は,

先行研究

襲う

” [5]

450

例,

逃げる

” [10]

200

例に比べると,

86

例と圧倒的に少ない.にも関わら ず,特定されたフレームは

11

(

さらに下位のレベ ルならば

21

)

と数多く,それらの妥当性を心理実 験によって裏付けることができた.このことは,

(

表 層

)

格フレーム辞書

[18]

の用例格フレームを適切に 解釈することができれば,分析を効率化し,かつ分 析の精度を損なわなくともよいことを示唆する.さ らに言えば,表層格フレーム辞書を直接の分析対象 にできれば,生コーパスからの事例収集や意味役割 を実現している文字列の切り出しといった

HFN(A)

の前処理の過程を完全に省略できるかも知れないこ とを示唆している.逆の観点から見れば,これは表 層格フレーム辞書を言語学者が適切に解釈すること で,意味フレームのデータベースという形の意味資 源に変換できる可能性があるということである.こ の場合,意味フレームと,用例の格フレーム,およ び個々の用例は,それぞれ,言語表現の背景にある

概念化の単位,概念化に対する言語表現の類型とし ての格パターン,実際に現れる言語としての表現形 と見なすことができる.一方で,一つの文に複数の 意味フレームがどのように埋め込まれているかを分 析する手法

MSFA [13, 12, 14, 15]

が開発されつつ ある.

4.2 HFN(A)

のこれまでの成果

:

先行研究との比較 本研究により,コーパスから帰納的に発見された フレーム分析と心理実験による検証を行った

HFN

は,

襲う

” [5]

逃げる

” [10]

に続き

3

つとなった.

これまでの成果について簡単にまとめてみる.

まず第一に,これら

3

つの分析はいずれも

Berke- ley FrameNet (BFN) [3]

を参照せず,独自に構成さ れた.これには二つの理由がある.第一に,

BFN

の 意味記述の粒度が私たちが意味記述において目指し ているものほど細かくないこと

(

詳細な比較は

[4]

で行われた

)

.第二に,

BFN

の日本語版である日本 語フレームネット

[9]

が利用可能なデータを提供し ていないことによる.

先述の通り,

HFN(A)

は数名の言語学者による人 手解析だが,少なくとも一般話者の直観と一致する という意味では心理実験によって妥当性が保証さ れた.これは,

HFN(A)

に基づいた概念分析が単な

(5)

ヒト[+human]が相手 [+dangerous, +human]

いる場所 [+dangerous,+location]

近づかない ヒト[+human]が場所

[+dangerous, +location]に近づかない

{F10,F11,F12}:

ヒト[+human]が危険な場所 [+dangerous,+location]から 離れ,場所[+safe,+loation]

移動する

ヒト[+human,]が場所 [+dangerous,+locati on]から離れるか,そこ に近づかない

F08: 逃亡:

ヒト[+human]が危険な相手 [+dangerous,+human]がいる場 [+dangerous,+dangerous] ら離れ,別の場所 [+safe,+location]に移動する

ヒト[+human]が相手 [+dangerous, +human]から 離脱するか,それのいる場所 [+location,+dangerous]に近

づかない ヒト[+human]が危険な状

[+dangerous,?

location]から脱する

ヒトが国を逃れる ヒトが国外に逃れる

ヒトがある場を避 ける ヒトが{台湾, イラン, ...}

避ける F09: 避難 ヒト[+human]が災害の起こっ

ている場所[+dangerous, +location]から離れ,別の場所 [+safe,+loation]に移動する

ヒトが{戦争,戦火}を逃れる

住民が山火事から逃れる F09b: 避難

ヒト[+human]が自然災害の起こってい る場所[–man-caused,+dangerous, +location]から離れ,場所 [+safe,+loation]に移動する F09a: 避難 ヒト[+human,]が人為災害(=同種の起こ

す災害)の起こっている場所[+man- caused,+dangerous, +location]から離

れ,場所[+safe,+loation]に移動する ヒト[+human]が「難」=

利益[–profitable]から脱する ヒト[+human]が危機 [+dangerous,+event,

?location]を逃れる

ヒト[+human,]が不利な状 [–profitable,?

dangerous,?location]回避する ヒト[+human]が不利益

な状況[–profitable,?

dangerous,?location]

を回避する

ヒト[+human] 自分を捕捉者 [+human,+catcher]から

逃れる

犯罪者が捜査の網(? )を逃れる 犯罪者が逮捕者の捜査を逃

れる 犯罪未遂者が監視を逃

れる

犯罪未遂者が監視の 目を逃れる 獲物が捕獲者の目を逃れる

犯罪者が罪を逃れる 犯罪(未遂者)が〜の適

用を逃れる

責任者が追及を逃れる 違反者が検査を逃れる

犯罪者が検挙を逃れる 犯罪未遂者が取り締

まりを逃れる 犯罪者が規制を逃れる 犯罪()が摘発を逃れる F02:

犯罪者[+crimina,+humanl] 逮捕[?human,+catcher]から

逃れる

F02c: 逮捕の回避 犯罪者[+criminal,+human] 逮捕者[+human,+catcher]の逮捕から

逃れる F01a: 発見の回避 獲物が捕獲者の探索から逃れる

F02a: 発覚の回避 犯罪者[+criminal,+human] 捜査を[+event,‒human,+catcher]を

回避する

ヒト[+human]が自分に 危害を加える相手 [+human,+catcher]=

「敵」から逃れる ヒトを含めた動物[+animate,?

human]が自分を捕まえようと する相手[+animate,?

human,+catcher]から逃れる

ヒト以外の動物 [+animate,–human]

捕獲者[+animate,?

human,+catcher]から 逃れる

F01: 獲物の捕獲の回避 獲物[+animate,–human]

捕獲者[+animate,?

human,+catcher]を逃れる

MM

ヒトが暴力を逃れる

ヒトが戦闘を逃れる {F03,F04}: ヒトが敵からの

攻撃を逃れる

ヒトが弾圧を逃れる

獲物が網(?の目)を逃れる

MM MM

MM

F05b: 責任負担からの逃げ切り ヒト[?criminal,+human]が 責任[+duty,+unprofitable,?

dangerous]を逃れる F05a: 義務の発生の回避 ヒト[?criminal,+human]が 義務[+duty,?unprofitable,?

dangerous]を逃れる F05:

ヒト[?criminal.+human]が負担 [+duty,‒comfortable,+constr aining]{?から,を}逃れる

ヒトが()税を逃れる

ヒトが支払いを逃れる

ヒトが差し押さえを逃 れる ヒトが取り立てを逃れる ヒト[+human]が不自由

な状況[‒constraining,?

location]{から,を}脱する

F11: 脱却 ヒト[?criminal,+human]が呪縛 [+abstract,+constraining,?

location]{から,を}逃れる

{F05,F06}:

ヒト[?criminal,+human]が 相手によって実現された拘束状態 [+uncomfortable,+constraini ng,+location]から脱却する

{F10,F11,F12,F13,F14}: 

災難からの避難 ヒトを含めた動物が [+animate,?human]が危

険な場所[+dangerous, +location]から離れ,安全 な場所[+safe,+location]

に移動する

Abstract = Less Specific = More Generic Concrete = More Specific

MM?

ヒト[+human]が不利な状 [–profitable,?

location]から脱する

犯罪者が捜査の手を逃 れる

ヒトを含めた動物が [+animate,?human,]

が危険な状況 [+dangerous,?

location]から脱する

ニホンザルの群れが山火事を 逃れる F10: 避難

ヒト以外の動物 [+animate,–human]が災害の

起こっている場所 [+dangerous, +location]から

離れ,別の場所 [+safe,+loation]に移動する

F10a: 避難 ヒト以外の動物[+animate,–human]

が自然災害の起こっている場所[–auto- species-caused,+dangerous,

+location]から離れ,場所 [+safe,+loation]に移動する

F10b: ヒト以外の動物 [+animate,–human]が人為災害の場

[+auto-species- caused,+dangerous, +location]ら離れ,場所[+safe,+loation]に移動

する

野生動物が乱獲を逃れる ヒトを含めた動物

[+animate,?human]が自分 に危害を加える相手

[+animate,?

human,+catcher]=「敵」

から逃れる

MM

{F11,F12,F13,F14} : ヒトを含めた動物[+animate,?

human]が災害の起こっている 場所[+dangerous,+location]

から離れ,安全な場所 [+safe,+loation]に移動する

ヒトを含めた動物[+animate,?

human]が不自由な状況 [+uncomfrotable,+free,?

dangerous,?location]から 逃れる ヒト以外の動物

[+animate,?human]が危 険な状況[+dangerous,?

location]から脱する

“yxを逃れる“yxから逃れる HFN Kow Kuroda 11/26/2005

最下位フレームはピンクで縁取りした MM は Metaphorical Mapping の成立を表わす.

*MM は Metaphorical Mapping の不成立を表わす.

MM? は Metaphorical Mapping の関係かどうか怪しいことを表わす.

獲物が罠を逃れる

ヒトが敵の罠を逃れる MM

F06: 脱獄 犯罪者[+criminal,+human]が 拘留設備[+capative,+location]

から脱走する ヒト[+human]が苦痛

[+painful,+uncomfortabl e]な状況{から,を}脱する

ヒト[+human]が不快 [+uncomfortable]を回避

する

F07: 脱走 非犯罪者[‒criminal,+human]が 拘留設備[+capative,+location]

から脱走する

F01c: 捕獲の交わし 獲物が捕獲者の捕捉を交わす F01b: 追跡からの逃げ切り 獲物が捕獲者の追跡を逃れる

F02b: 追跡からの逃げ切り 犯罪者[+criminal,+human] 捜査を[+event,‒human,+catcher]を

回避する MM

MM

MM

F05c: 責任の回避 ヒト[?criminal,+human]が 責任[+duty,+unprofitable,?

dangerous]を逃れる シキタリから逃れる

束縛から逃れる 呪縛から逃れる

ニホンザルの群れが山火事を 逃れる {F09b,F10a}: 避難

ヒトを含めた動物[+animate,?

human]が自然災害の起こって いる場所[+dangerous, +location]から離れ,別の場所

[+safe,+loation]に移動する

F04: 非戦闘員が敵からの攻 撃を逃れる F03: 戦闘員が敵からの攻撃

を逃れる

ヒトが独裁政治を逃れる F03c: の回避 犯罪者[+criminal,+human] 逮捕者[+human,+catcher]の逮捕から

逃れる F03a: 発見の回避 犯罪者[+criminal,+human] 捜査を[+event,‒human,+catcher]を

回避する

F03b: 追跡からの逃げ切り 犯罪者[+criminal,+human] 捜査を[+event,‒human,+catcher]を

回避する

戦闘員がレーダーを逃 れる

戦闘員が銃弾を逃れる

部隊が爆撃を逃れる

民間人が爆撃を逃れる

3 “

逃れる

HFN (

実験試料の作成のための版

)

る一個人の主観ではなく,一般性を持つことを示し ている.逆に言えば,

HFN(A)

を行える分析者を確 保できれば,より多くの語に対して同様の解析を行 い,状況レベルの意味フレームとその実現例を意 味資料として蓄積できる可能性があることになる.

HFN(A)

の具体的な手順は簡単な手引き

[11]

が存

在するのみだが,コーディング済みの事例の公開と いった支援も行われており

2)

,今後,これらの資料 を拡充し,

HFN

分析者の訓練・養成法を開発する ことは不可能ではないかも知れない.

第二の点として,意味フレームの内容を記述する ために心理学的手法を利用することへの示唆が得ら れてきたと言える.言語表現から人が何を理解して いるかを記述する試みは,これまでのところ決して 多いとは言えない.本研究および先行研究で利用し

2) “

襲 う

の コ ー デ ィ ン グ 例 は

http://clsl.hi.h.

kyoto-u.ac.jp/˜kkuroda/

で公開中.

たカード分類と意味素性評定という課題自体は,心 理学的手法としては極めて頻繁に用いられるが,意 味の問題そのものに適用した例は

(

特に日本語では

)

さほど多いとは言えない.しかし,一連の研究は,

そのような心理学的手法の応用が意味記述に貢献し うる可能性を示していると言える.さらに,本研究 では,文の読み手が平均的に理解する内容の記述に 特化するのであれば(つまり,個人差などを検討し ないのであれば),課題を多くの被験者に分割して 課しても,全てを同一被験者に行わせた場合と,同 じような結果が得られるであろうことを示してい る.このことは,例えば,被験者一人あたりの負担 を減らせることを意味し,一般に向けて

Web

を通 じた評定の実施するといった新たな心理データ取得 方法の可能性を示唆する.

第三に言えることは,

HFN(A)

が従来のシソーラ スを越えたレベルで自然な分類を見出しているとい

(6)

う点である.格フレーム辞書は日本語語彙体系の概 念体系

C

を利用している.従って,今回の

HFN

は 間接的に

C

を利用していることになるが,得られた 結果は必ずしも,

C

から予測できるものではない.

特に

HFN

は次のような意味役割によって

y

x

を 逃れる

の意味分類を行なっている点に注意が必要 である

:

(3) a. F01: h

脱走者

y i:

h

捜索者

: x i (

h

: x i)

を逃れる

b. .. .

c. F09,10: h

受難者

yi:

h

災難

: x i (

h

影 響

: x i)

を逃れる

意味フレームの定義に現われる「脱走者」「捜索 者」「受難者」「

(

)

難」のような語は

[13]

の言う意 味での意味役割名であり,重要な役割を演じる.フ レーム

F

の意味役割

F.R

の名称となっていない他 の普通名詞がフレーム

F.R

を実現する場合,意味役 割名の表わす意味クラスのインスタンスとなる.こ の点は

[15]

で論じられているの,参照されたい.

このような形で,

HFNA

は外延の集合で定義さ れた格フレーム辞書を意味役割という内包で再定義 し,その有意義な「解釈」を提供することになる.

これは

NLP

自体にとっては特に嬉しいことではな いかも知れないが,言語学,言語心理学を含めた言 語の認知科学への寄与は大きい.このような再解釈 のプロセスを通じて格フレーム辞書の有用性が理解 され,それを継起にした連携が確立することで,今 後

NLP

と関連領域との意見交換が活発化すること は,決してありえないことではない.

付録 A 補遺

投稿原稿に間に合わなかった資料,発表の際に受 けた質問への回答などを付記する.

A.1

「襲う」「逃げる」「逃れる」の比較語彙意味論

x

y

を 襲う」の解釈空間を特定した

HFN

F01 F15 3)

をほぼ曖昧性なく実現し,「襲う」の用 法空間をほぼカバーする用例

45

(= 15 × 3)

につ いて,「

y

x

から逃げる」「

y

x

から逃れる」「

y

x

を逃れる」を機械的に生成,そのおのおのにつ いて

(4)

4

件法で評定を行い,その結果

(

平均値

)

を比較することで,比較語彙意味論を行なった.こ

3)

使用した

HFN

[17]

で示されたものを,その後の調査結 果を反映するように修正したものを用いた.

!"#$%

&'()*+, - . -/*.0

12 ./*-34

567 ./*-0

587 ./*-34

587

!9:# ;<=>? @AB7>C DEF9 DED9 9EG9 DEHH

!9:I JKLMNOPQ RST DEU9 DEG9 9EU9 DEFV

!9:W X=YZ=[\ ]Z=[\ DEU9 DED9 9EU9 HE99

!9D# ^_=`Nab cb HE99 :ED9 9EG9 9EFV

!9DI def=gh[T ijkli DEU9 9EU9 :E99 :E99

!9DW mnopq=rs tuovwxy HE99 9EF9 :E99 :EFV

!9H# ;<>=z{ |}=~• DEF9 9EG9 9EU9 9EFV

!9HI €b<=•j‚ƒ „…†‡h HE99 :EF9 9EU9 HE99

!9HW ˆ‰03Š‹OŒ ~•=Ž•• HE99 9EU9 9EG9 9EFV

!9G# ‘’“ ”•– DEU9 DEG9 9EF9 HE99

!9GI —˜F<=™šO› œ•žaOŸ ¡ DEU9 DED9 9EF9 HE99

!9GW DH¢£¤=Œ¥ ¦<3=‘•< DEU9 DEF9 9EG9 DEFV

!9—# pq‚v‚ §¨=©¥ DEF9 DEU9 :EG9 HE99

!9—I £¤=Œ ª<«4N=¬a-® HE99 DEF9 9EF9 DEFV

!9—W •C tj¯eq=©°•? DEF9 DEG9 :E99 DEFV

!9F# ±u ²³aOejv DEU9 DEG9 :EG9 HE99

!9FI ´eµ¶ e¶·´=¸8 HE99 HE99 9EU9 HE99

!9FW ¹eº»=¸8 b¼œ•=½¾? DEU9 DEG9 9EG9 HE99

!9V# p¿u¯À=Á¸ °Âà HE99 DEG9 DED9 DEHH

!9VI eÄkk ÅÄÆÇ’žÈÉaOŒ¥ DEF9 DEG9 :EG9 HE99

!9VW ÊË G:¢=ÌÍÎ DEG9 DEU9 :ED9 DEFV

!9U# Ï‘ÐÑ ÒaÓÔ’=ÕÖ :EU9 9EF9 DEU9 :EFV

!9UI J×NOq´ØÙ Á‘’Úa=ÛÜ• DEU9 9EF9 :ED9 :EFV

!9UW ÁÝÞßà áâã§=äP DEG9 9EU9 DEG9 DE99

!9å# æç mèé=oê‚ë‚ DEU9 DE99 DE99 DEHH

!9åI ìíî8 Pï DEU9 :EG9 :EU9 DE99

!9åW ðñò óàB7äP HE99 DEG9 DED9 DEHH

!:9# Áôò õöy÷ DEF9 9ED9 :EU9 :EFV

!:9I Áøùç úûüý HE99 9EF9 :EG9 :EFV

!:9W þÿøy! "# HE99 9EU9 :EF9 :EHH

!::# $¥=e¶%jº¶& t't(b DEU9 9EF9 :EF9 :EHH

!::I )pq *Úa=+ DEF9 :E99 DE99 :E99

!::W ºe¿ t%ov=b, DEU9 9EU9 :EG9 9EHH

!:D# Áø=-. /0=b, HE99 :ED9 :EF9 :EFV

!:DI 12=J3 1456 DEU9 9ED9 :EF9 :EFV

!:DW 789:; <=>? DEG9 :EF9 :EU9 :EFV

!:H# $¥=@¶ AÝB’=Œ¥ DED9 9EF9 DEG9 :EFV

!:HI CDE c=FGaHI DEF9 9E99 :EF9 :E99

!:HW JKL M<=N DEG9 9E99 :EU9 :EHH

!:G# OP à9=™© DEG9 9E99 :E99 9EFV

!:GI QR SÍTà¡ DEG9 :E99 :ED9 :EHH

!:GW UVW XÐE=Œ¥ DED9 9E99 :E99 9EFV

!:—# YaZ2=Þa-[ \]=^C DEU9 9EG9 :E99 :EFV

!:—I _Na`a a³bcdÞ¬¡ :EF9 :E99 9EG9 9EHH

!:—W e$W fgÝNO™š :EU9 9ED9 :E99 :EHH

hi*j*—k lHE9˜DE9m

n

lDE9˜:E9m oaoa

l:E9˜9m p

4

「襲う」「逃げる」「逃れる」の用法比較

れは広い意味での「言い換え」の調査とも言える.

結果を図

4

に示す.参考までに「襲う」の用法の変 異を特定する

HFN

に「逃げる」「逃れる」の用法の 成立可能性をマップしたものを図

5

に示した.

(4)3

:

何の違和感もなく理解できる普通の文

2

:

軽く違和感を感じるが,難なく理解でき

る文

1

:

理解できないことはないが,強く違和感 を感じる文

0

:

意味が通らない文

この結果には,次のような幾つか興味深いことが 示されている.

A.1.1 F06, F09

の特異性

A.1.2

メトニミー補完は語彙的に制御される

(5a)

はほぼ

(5b)

と同じ解釈をもつことが多い.

これは「神戸」という名詞に

[

都市名

住民

]

とい うメトニミー補正が行われていると解釈できる.と ころが,このメトニミー補正の適応は語彙的に条件 づけられている.なぜなら,

(5)–(7)

の三つの対が示

(7)

しているように,

(6a)

(

どういうわけか

) (7b)

と 同じ意味にはならない.これは,理由はともかく,

(7a)

に同じメトニミー補正が効かないということで ある

4)

(6a)

には,

(5a)

よりもメトニミー補正は効 きにくい.

(5) a.

神戸が地震を逃れた.

b.

神戸の人々が地震を逃れた.

(6) a. ??

神戸が地震から逃れた.

b.

神戸の人々が地震から逃れた.

(7) a. ?*

神戸が地震から逃げた.

b.

神戸の人々が地震から逃げた.

A.2 h

被害

i

が含まれる活動領域の記述

「襲う」「逃げる」「逃れる」「避ける」「防ぐ」「守 る」のおのおのの意味は,

h

被害

i

が含まれる活動 領域の,被害の受け手,あるいは起こし手の立場か ら見た部分的で記述である.これはフレーム意味 論

[1, 2, 3]

でよく例に上げられる

h

商売

i

フレーム

(commercial transaction frame)

に対応する比較的規 模の大きい意味クラスである.

(8) a.

x

y

を 襲う」

b.

y

x

から 逃げる」

c.

y

x

から 逃れる」

d.

y

x

を 逃れる」

e.

y

x

を 避ける」

f.

y

x

を防ぐ」

g.

z

y

x

から 守る」

私たちが一連の研究を始めた理由の一つは,一つ の活動領域の全体を定義するのに,どれぐらいの複 雑性,特に意味素性

/

特徴の集合が必要かを見積も るという目的があった.

x

y

を 襲う」に対し,「

y

x

から 逃げる」「

y

x

から 逃れる」「

y

x

を 逃れる」の

HFNA

,並 びにその心理学的妥当性を評価した.これらの他 に,準備段階で終っている分析がある.それは「

y

4)

ただし,これは,この文が解釈不可能だということではな い.例えば,これは「神戸代表の解答者が,自分の番に,

運良く自分の苦手とする地震の問題から逃げ回った」とい う意味に解釈できるし,同様の可能性を考えれば,無限で はないにせよ,もっと多くの解釈の可能性があるだろう.

とはえい,これは確かにメトニミー補正ではあるが,別の 種類のメトニミー補正であるし,このようなバリエーショ ンには事実上,際限がなく,それを追跡することが「逃げ る」の意味に関する興味深い一般化をもたらすと期待す るのは困難である.

x

を 避ける」「

z

y

x

から守る」「

y

x

を 防 ぐ」の三つである.これらは実は「逃げる」「逃れ る」よりも先に分析に着手し,「守る」と「避ける」

に関してはすで

HFN

が得られているのだが,カー ド分類課題と素性評定課題を使った心理実験による 妥当性の検証に移る段階で中断している.それはこ れらの語の用法空間を記述する

HFN

の規模が大き すぎるからである.

「守る」の

HFN

に関しては,最下位フレームの数 が

50

個強程度,「避ける」の

HFN

に関しては,最 下位フレームの数が

40

個弱程度,存在する.これ はこれまでの最大である「逃れる」の二倍の規模で ある.

一つのフレームに二,三個の例文を対応させるこ とことが必要となるので,これではカード分類にも 素性評定課題にも乗らない.カード分類の有効個数 は,経験的に

50

個程度が上限と言われており,こ れは信頼の置ける結果が得られる限界を越えた実 験を行なう必要が生じる

5)

.素性評定課題の実施は カード分類課題に較べると現実的だが,それでも分 割した課題の統合に調節が必要であり,それがどん な手法を用いるのが適当であるかは模索中の段階で あり,答えはない.従って,用法空間が大きい語の 特徴づけは,

HFN

をもってしても困難であるとい うことは認めざるを得ない.

いずれにせよ,このような事情から,「襲う」に 続いて手を付けた「守る」「避ける」より,結果的に

「逃げる」「逃れる」の分析が優先された.

参考文献

[1] F ILLMORE , C. J. Frames and the semantics of under- standing, Quaderni di Semantica, 6, 2 (1985), 222–

254.

[2] F ILLMORE , C. J. and A TKINS , B. T. S. Starting where the dictionaries stop: The challenge for com- putational lexicography, Compuational Approaches to the Lexicon (eds.Atkins, B. T. S. and Zampoli, A.), Clarendon Press, Oxford, UK (1994), 349–393.

[3] F ILLMORE , C. J., J OHNSON , C. R. and P ETRUCK , M. R. L. Background to FrameNet, International Journal of Lexicography, 16, 3 (2003), 235–250.

[4] K ANAMARU , T., M URATA , M., K URODA , K. and

5)

カード分類は対比の効果が顕著に出るので,課題を分割 するわけには行かない.

(8)

F07:

Nonpredatory Victimization

A,B,C,D,E (=ROOT):

Victimization of

Y by X

A,B:

Victimization of Animal by

Animal

C,D,E:

Victimization in Unfortunate

Accident

B3c: F01,02,03:

Resource-aiming Victimization

F01,02: Power Conflict between

Human Groups

F03: Robbery

F04: Persection

F05: Raping A: Victimization

of Animal by Animal (excluding Human)

F09,10(,11):

Natural Disaster D: Perceptible

Impact

F12: Social Disaster

More Abstract More Concrete

F08:

Misfortune

? C: Disaster

F01: Conflict between Human

Groups

?

F13,14,15: Getting Sick

= Suffering a Mental or Physical Disorder

F13: Long-term sickness

F14,15: Temporal Suffering a Mental or

Physical Disorder

F14: Short-term sickness

F15: Short-term mental disorder F07a: Territorial Conflict between Groups

F07b:

(Counter)Attack for Self-defense

MM 1d MM* 2

MM 6a

F12a: Social Disaster on Larger Scale

F12b: Social Disaster on Smaller Scale

MM 4b MM 7a F09: Natural Disaster

on Smaller Scale

F10: Natural Disaster on Larger Scale MM 1b

MM 3b

MM 5b

NOTES

• Yellow arrows indicate applicabilities.

• Instantiation/inheritance relation is indicated by solid arrow.

• Typical “situations” at finer-grained levels are thick-lined.

• Dashed arrows indicate that instantiation relations are not guaranteed.

attack is used to denote instantiations of A, B.

assault is used to denote instantiations of B3 (or B1).

hit, strike are used to denote instantiations of C.

• Pink arrow with MM i indicates a metaphorical mapping:

Source situations are in orange.

MM 2

F11: Epidemic Spead B3: Victimization

of Human by Human based on

desire-basis, Crime1

MM 1c

Hierarchical Frame Network (HFN) of "Victimization"

Classes

E: Conflict between Groups

B3a: Physical Hurting = Violence

F13,14: Suffering a Physical Disorder MM 1e

B0: Victimization of Human by

Animal (including Human)

MM 1a

MM 3a

MM 4a MM 5a

?

?MM 4c

?MM 7b

?MM 6b MM 0

E: Personal Disaster?

F02: Invasion F06: Predatory

Victimization

B3b: Physical Hurting = Abuse

L2 Level Situations

L2 Level Situations L1 Level Situations

L1 Level Situations

?

B2: Victimization

of Human by Animal (excluding Human)

B1: Victimization of Human by Human, Crime2

MM 9 MM 10 MM 11

?MM 12 MM 8

?

MM 13 MM 14

xが yを 逃がす

yが xを 免れる

Except F02,F03

Except F02,F03

?except F10,F12,F14,F15 yが xを 逃れる

yが xから (zに) 逃れる yが xから (zに) 逃げる yが xに 襲われる xが yを 襲う

捕獲,捕捉

逃亡,逃走

回避

yが z(の x)を 防ぐ;

yが (z) xを 防ぐ

zが yを xから守る 防衛,防御

自衛行動

yが xを 避ける 予防

MM 14

G: Selective victimization by

Entity??

5

4

の結果に基づく「襲う」の用法の変異を特定する

HFN

上での「逃げる」「逃れる」の用法の対応

I SAHARA , H. Obtaining Japanese lexical units for semantic frames from Berkeley FrameNet using a bilingual corpus, Proceedings of the 6 th Interna- tional Workshop on Linguistically Interpreted Cor- pora (LINC-05) (2005), 11–20.

[5]

中本敬子

,

黒田航

,

野澤元 素性を利用した文の意味 の心内表現の探索法

,

認知心理学研究

, 3, 1 (2005), 65–81.

[6] NTT

コミュニケーション科学研究所 日本語語彙大

,

岩波書店

,

東京

(1997).

[7] P USTEJOVSKY , J. The Generative Lexicon, MIT Press (1995).

[8]

内山将夫

,

井佐原均 日英新聞記事および文を対応付 けるための高信頼性尺度

,

自然言語処理

, 10 (2003), 201–220.

[9]

小原京子

,

大堀壽夫

,

藤井聖子

,

齋藤博昭

,

石崎俊 日 本語フレームネット

:

意味タグつきコーパスの試み

,

言語処理学会第

11

回大会発表論文集

(2005).

[10]

中本敬子

,

黒田航 「

y

x

から逃げる」の理解内容 の階層的意味フレーム分析

:

コーパスの人手解析と 心理実験を通して

,

日本認知言語学会第

6

回記念大

Conference Handbook (2005).

[11]

中 本 敬 子

,

黒 田 航

,

野 澤 元

,

金 丸 敏 幸

,

龍 岡 昌 弘

FOCAL/PDS

入 門

:

フ レ ー ム 指 向 概 念 分 析

/

並 列 分 散 意 味 論 の 具 体 的 紹 介

, [

未 発 表 論 文

: http:

//clsl.hi.h.kyoto-u.ac.jp/˜kkuroda/

papers/introduction-to-focal.pdf]

(2004).

[12]

黒田航

,

井佐原均 意味フレーム分析は言語を知識構 造に結びつける

:

x

y

を襲う

の理解を可能に する意味フレーム群の特定

, KLS 25: Proceedings of the 29 th Annual Meeting of Kansai Linguistic Society,

関西言語学会

(KLS) (2005), [

増補改訂版

: http:

//clsl.hi.h.kyoto-u.ac.jp/˜kkuroda/

papers/sfal-osou-kls29-rev2.pdf].

[13]

黒 田 航

,

井 佐 原 均 意 味 役 割 名 と 意 味 型 名 の 区 別 による新しい概念分類の可能性

:

意味役割の一般 理 論 は シ ソ ー ラ ス を 救 う

?,

信 学 技 報

, 105 (204) (2005), 47–54, [

増 補 改 訂 版

: http://clsl.

hi.h.kyoto-u.ac.jp/˜kkuroda/papers/

roles-save-thesauri-rev1.pdf].

[14]

黒田航

,

井佐原均 複層意味フレーム分析

(MSFA)

(9)

による文脈に置かれた語の意味の多次元的表現

,

6

回 日 本 認 知 言 語 学 会

Conference Handbook,

日 本 認 知 言 語 学 会

(2005), [

増 補 改 訂 版

: http:

//clsl.hi.h.kyoto-u.ac.jp/˜kkuroda/

papers/msfa-jcla05-handbook.pdf].

[15]

黒田航

,

井佐原均 複層意味フレーム分析

(MSFA)

に 意味役割の典型的実現値の情報を付加してシソーラ ス化する試み

,

言語処理学会第

12

回大会発表論文集

(2006),

発表

P1-11.

[16]

黒 田 航

,

中 本 敬 子

,

野 澤 元 意 味 フ レ ー ム に 基 づ く 概 念 分 析 の 理 論 と 実 践

,

認 知 言 語 学 論 考 第

4

(

山 梨 正 明 ほ か( 編 )

),

つ じ 書 房

(133–269), [

増 補 改 訂 版

: http:

//clsl.hi.h.kyoto-u.ac.jp/˜kkuroda/

papers/roles-and-frames.pdf].

[17]

黒田航

,

中本敬子

,

金丸敏幸

,

龍岡昌弘

,

野澤元「意 味フレーム」に基づく概念分析の射程

: Berkeley FrameNet and Beyond,

日本認知言語学会第

5

回大

Conference Handbook (2004).

[18]

河原大輔

,

黒橋禎夫用言と直前の格要素の組を単位 とする格フレームの自動獲得

,

自然言語処理

, 9, 1

(2002), 1–16.

参照

関連したドキュメント