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2016 年 3 月 21 日発行 第 612 号

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1 2016年3月21日発行 第612号

CONTENTS

中国ニュース 3.14‐3.20 ... 2 読後雑感:2016年 第6回<小島正憲> ... 6

【中国経済最新統計】 ... 10

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中国ニュース 3.14‐3.20

HEADLINES

 中国は2020年に世界最大の消費市場に

 中国経済2016年1~2月の速報が明るく、未来に期待

 世襲の大富豪、中国は僅か2%

 世界トップ企業が注目した中国両会の議題は?

 1~2月の中国対外直接投資額、前年同期比71.8%増

 中国、1月も引き続き米国債保有額減少も依然最大の債権国

 特許の国際出願、米日中の順位変わらず

 ネット金融従事者の85%は他業界から

 中国のサイト総数420万以上、東部に約7割

 北京・天津・河北で深刻な大気汚染が続く

中国は 2020 年に世界最大の消費市場に

【3月14日 光明網】中国の代表的な経済学者である胡鞍鋼・清華大学国情研究セ ンター長(教授)が全国人民代表大会で討議された「第13次5カ年計画(2016~

20年)」について説明した。第13次5カ年計画は、年平均6.5%以上とする経済成 長目標を示し、構造改革と経済成長を両立させ、絶対的貧困の撲滅、環境汚染の減 廃、イノベーションなどを推進す るとのことである。2020年に中国 は世界最大の消費市場となり、国 内総生産(GDP)は為替レートと 購買力平価のどちらで換算した数 値も世界の 5 分の 1(20%)に達 するとの見通しを明らかにした。

胡氏は経済、政治、社会を総合的に とらえる「国情研究」の第一人者で ある。

中国経済 2016 年 1~2 月の速報が明るく、未来に期待

【3月15日 人民日報】2016年1~2月、消費、投資を含む中国の経済速報は明る い。消費が喚起され、投資が安定的に増加し、工業構造の改善が続いている。年初 のよいスタートは中国の経済発展に信頼感と原動力をもたらしている。中国では消

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3 費の「量と質がともに向上する」段階に入っている。中国国家統計局によると、1

~2月の中国におけるネット通販の総売上高は前年同期比25.4%増と、社会消費財 総売上高の伸び幅を 15.2ポイント上回った。年初来のトレーディングアップを目 指す措置は成果を挙げ始めていると、北京科技大学管理学院経済貿易学部の何維達 主任は取材を受けて述べた。

世襲の大富豪、中国は僅か 2%

【3月15日 参考消息網】米ピーターソン国際経済研究所(PIIE)が1996~2015 年におけるフォーブスの世界長者番付の名簿を分析した最近の報告書によると、全 世界の富豪のうち、30.4%は世襲富豪であり、韓国では世襲富豪の比率が 74%に 上っている。専門家は「他国に比べ、韓国では世襲富豪が圧倒的に多く、創業富豪 の比率は低い。これは財閥を中心とした経済構造、資本市場の未成熟、安定した職 場の高人気が主因となっている。韓国に比べ、中国の世襲富豪は全体のわずか2%

程度で、日本は18.5%、欧州(25ヵ国)は35.8%だ。全世界の創業富豪の比率は 1996年に44.7%であったのが、2001年には58.1%、2014年には69.6%へと上昇 した。

世界トップ企業が注目した中国両会の議題は?

【2月24日 新華社】両会は、世界が中国の政策動向を知る窓口である。世界トッ プ企業の在中国上級管理者らは、両会の経済に関する議題に特に注目している。世 界最大のコングロマリットである米「ゼネラル・エレクトリック」の中華圏最高経 営責任者である段小纓氏は、「今年の両会期間中に、供給側の構造改革の強化、製 造強国を目指すべく、中国政府が発表した製造業の発展計画『メイド・イン・チャ

イナ2025』の実行などの対策に注目している」と語った。米清涼飲料水メーカー・

ザ コカ・コーラカンパニーの中華圏副総裁を務める張建弢氏は、「食品の安全、環 境保護、持続的発展が当社の特に注目している議題」とした。米自動車会社・テス ラモーターズの中国地域対外事務副総裁の陶琳氏は、「供給側の構造改革に特に注 目している」とした。

1~2 月の中国対外直接投資額、前年同期比 71.8%増

【3月18日 中国経済網】商務部によると、今年1-2月期、中国の非金融類対外 直接投資額は前年同期比71.8%増の1959億7000万元(約3兆3706億円)であ ったと述べた。データによると、中国の「一帯一路(1ベルト、1ロード)」関係諸 国への投資は前年同期比41.1%増の22億3000万ドル(約2483億円)で、前年 同期比総額の7.5%を占めた。国内投資家の構成を見ると、地方企業による対外直 接投資は昨年の 2.95 倍に当たる 258 億ドルで、昨年同期の対外直接投資総額の

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86.2%を占めた。投資分野に関しては、1-2 月期における対外投資の主な対象は

サービス業で、前年同期比31%増の102億6000万ドルで、投資総額の34.3%を 占めた。

中国、1 月も引き続き米国債保有額減少も依然最大の債権国

【3月17日 北京晨報】中国は今年1月も、引き続き米国債保有額を減少させた。

米財務省が今月15日に発表したデータによると、中国の今年1月末時点における 米国債保有額は前月から82 億ドル減 少して1兆2379億ドルとなり、10ヶ 月ぶりの低水準となったが、依然とし て米国最大の債権国となった。中央財 経大学中国銀行業研究センターの郭 田勇センター長は、「中国が米国の国 債を減らし続けるのは、主に外貨貯蓄 構造の調整を行っているためである。

以前のような単一的な米国債への投 資依存から多元的な投資ルートへの 転換が行われている」とした。

特許の国際出願、米日中の順位変わらず

【3月17日 中国新聞社】世界知的所有権機関(WIPO)が16日発表した 2015年の特許の国際出願件数は、国別で米国が最も多く前年比6.7%減の5万 7385件だった。2位は日本で同4.4%増の4万4235件、3位は中国で同16.8%

増の2万9846件だった。上位3カ国の順位は前年と変わらず、全体の出願件数 は同1.7%増の21万8000件だった。企業では、中国・華為技術(ファーウェ イ)が2年連続で首位となり、日本勢は三菱電機の5位が最高で、ソニーは10 位だった。教育機関では米カリフォルニア大学がトップで、東京大学は9位だっ た。

ネット金融従事者の 85%は他業界から

【3月16日 京華時報】ビジネス向けSNSのリンクトイン(中国)が発表した

「2016年中国インターネット金融人材白書」によると、インターネット金融業 界の人材のうち85%が他の業界からの転業者だという。同業界への流入が最も 多いのはハイテク業界で、以下、インターネット業界、金融業界の従事者と続 いた。所得を見ても、インターネット金融業の新入社員の年収は10万元(約 175万円)で、2~3年の経験を積むと50%増もざらだ。さらに、中核を担う人

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5 材なら25-35万元(約437万-612万円)、管理職なら約45万元(約787万 円)だ。インターネット金融業、インターネット業界の出世、昇給のスピード が速いのに対し、金融会社の従業員の出世は比較的おそいという。

中国のサイト総数 420 万以上、東部に約 7 割

【3 月20 日 人民日報】中国インターネット協会と国家インターネット応急セ ンター(CNCERT)が共同で発表した「中国のインターネットサイトの発展状況及 びその安全性報告(2016)」によると、2015年12月末現在、中国のサイト総数は 420万サイトを超え、前年と比べた純増数は 約62万サイトだった。昨年の純増数だけで 過去 5 年間の純増数の合計を上回ったとい う。同報告によると、ネットの発展状況には 地域間格差があり、地域内でも分布には相対 的な集中がみられる。15年末現在、サイトの うち東部地域のものが69.28%を占め、中部 地区は18.01%、西部地区は12.71%であっ た。

北京・天津・河北で深刻な大気汚染が続く

【3月18日 中国新聞網】16日、17日に、北京市、天津市、河北省は、深刻な 大気汚染に見舞われ、今後数日間、このような汚染は続くと、中国環境保護部(環 保部)は発表した。中国環保部環境観測司の羅毅司長によると、16 日、北京、天 津、河北域内に、PM2.5、PM10の平均濃度はそれぞれ1立方メートル160マイク ログラム、236マイクログラムに達し、前日比それぞれ60.0%、34.9%悪化した。

北京、廊坊、唐山、保定、徳州、鄭州などは大気汚染の黄色警報、天津はオレンジ 警報を発令して、緊急対策を導入している。環保部は、大気汚染の状況を注視し、

地方政府の対処を促している。

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読後雑感 : 2016年 第 6 回

22.MAR.16

アジア・アパレルものづくりネットワーク代表理事 株式会社小島衣料オーナー 東アジアセンター外部研究員 小島正憲 1.「地図ブック アセアン経済回廊」 2.「本音でミャンマー」

3.「老いを超える生き方」 4.「家族という名のクスリ」 5.「家族幻想」

1.「地図ブック アセアン経済回廊」 アジア国境研究会 キョーハンブックス 2016年1月20日

本書は ASEAN 域内のデータを、グラフや図、写真などでわかりやすく紹介している。こと に東西・南北の経済回廊を、大小さまざまな地図で紹介し、その周囲の工業団地なども書 き込まれている。日本食レストランや日本人対応の病院などの情報も盛り込まれており、貴 重である。ASEAN を手っ取り早く理解しようとする人にとっては、便利な書物である。

2.「本音でミャンマー」 寺井融著 カナリアコミュニケーションズ 2016年2月29日

副題:「もうこの国の建前論はいらない」 帯の言葉:「“沸騰”するミャンマー “果たして 最後のフロンティア”か」

久方ぶりに、ミャンマーに関する単行本が店頭に並んだので、購入して読んでみた。またこ の本の「本音でミャンマー」というタイトルにも興味をそそられた。しかし本書で、ミャンマーに ついて述べられているのは、約1/3で、あとは中国などの探訪記であった。本書はいわば寺 井氏の旅行記のようなもので、ミャンマーの実相に迫るほどの力作ではなく、その意味で「本 音でミャンマー」というタイトルにはふさわしくない。

多くの国についての旅行雑感が綴られているが、その信憑性については、若干、疑問が残 る。たとえば、「1977年11月、2週間の日程でベトナムに行った。これも“日本青年代表団”の 一員としてである。サイゴン陥落から2年半後だから、ベトナム反戦運動をやっていた青年も 多い。ハノイが米軍の空爆で廃墟となっている、と勘違いしていたらしく、フランス風の落ち着 いた町並みで、爆撃跡もほとんど見ることもない現実に、ただただ驚いていた」と書いている が、私がサイゴン陥落の3か月後に、ハノイに入ったときには、大通りには空爆除けのタコつぼ が無数に掘ってあり、まさに余塵がくすぶっているという感じであった。これは私がこの目で見 てきた事実である。寺井氏とはかなり違う。

またミャンマーのロヒンギャ族問題についての記述も、ミャンマー側からの視点のみで、バン グラデシュ側のラム市では、仏教徒がイスラム教徒に激しく襲われたという事実や、バングラデ シュ政府のロヒンギャ対応については、まったく言及されていない。寺井氏はロヒンギャ問題を 一面的に扱っているわけであり、この記述は深みに欠ける。またマンダレーについての記述 についても、レパダウン銅山問題にも、過激派仏教徒のイスラム教徒襲撃事件にも、言及して いない。これらは政治的に、極めて重要なものである。ながらく政治畑を歩いてきた寺井氏 が、これらについて、「本音」で語っていないことに、物足りなさを感じる。

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7 また寺井氏は本書で、「ところで、なぜ2011年の民政移管となったのか」と問いを発し、「そ れはまず、ミャンマー国民自身が、民主化をのぞんでいたこと、それに尽きる。経済の低迷か ら脱出したい。近隣諸国の発展に追い付きたい。自由と民主主義で明るい社会を作りたい。こ れらは反体制、体制側を問わず、実は広く内なる国民の声であった」と答えている。これも模 範回答ではあるが、平凡なものであり、ミャンマー民主化の実相を解明する答えとしては、イン パクト不足である。

3.「老いを超える生き方」 枡野俊明著 さくら舎 2015年11月13日

副題 : 「禅的人生の英知」 帯の言葉 : 「毎日をかけがえのない“好日”にする方 法」

著者の枡野氏は、禅僧であり、坐禅や禅語を通じての人間の生き方を追求した著書が多く、

禅寺の庭園デザイナーとしても著名である。本書にも、禅語をもとにした「老いを超える生き方」

が書き込まれており、参考になる。ただし私がいつも言っているように、日本の歴史上でも、

「死」を前にして泰然としていた禅宗の高僧たちの方が少数派であり、修行を積んだ高僧たち の多くが、従容として死を迎えたわけではなく、むしろ生への執着心を断ち切れず、あたふた したという事実の前には、禅語も禅の修行も無力なのではないかと思う。現在の超高齢社会を 生きる老人に必要なものは、「楽しく死ぬ」思想である。この思想を、宗教家や哲学者が、総力 を上げて創出し、それを実践することが急務であると、私は思う。以下に、私が参考になった 個所や反面教師として学ばなければならないと思った個所を抜き書きしておく。

・下り坂なんてとんでもない! 若さのなれのはてが老いだなんてことは、断じて、ないのです。

楽しい上り坂が人生を終えるまで続く、それが老いという時期です。

・心のありよういかんで、青春期はいくらでも伸ばせるという気がします。いつまでも洟垂れ小 僧の心意気を持ち続けませんか?

・いたずらに喪失を憂うのではなく、その貴重な財産を活かすことにつとめる。そうすることで、

「いぶし銀」としての存在感がでてくるのです。

・禅では、そうじはみずからの心を清らかにし、磨いていくものだと考えています。

・「死ぬる時節には死ぬがよく候」(良寛)。これがおまかせするということでしょう。死ぬときがき たら、静かにそれを受け入れればいい。つねに一息を生ききっていれば、心残りも、未練も ありません。従容として死を迎えることができるのです。

・「人間はいつ死んでもいいと思うのが、悟りやと思うておった。ところがそれは間違いやった。

平気で生きていることが、悟りやった。平気で生きておることはむずかしい。死ぬときがきた ら死んだらいいんや。平気で生きておられるときは、平気で生きておったらいいんや」(永平 寺第78世貫首 宮崎奕保禅師)

・「寝床につくときに、翌朝、起きることを楽しみにしている人は幸福だ」(スイスの思想家 カー ル・ヒルティ)

4.「家族という名のクスリ」 金美齢著 PHP 研究所 2016年3月18日

帯の言葉 : 「家庭ほど安らぐ場所はなく、夫婦ほど支え合える関係はない」

帯には、上記の言葉に続けて小さな文字で、「下重暁子さん、上野千鶴子さん、あなたたち

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8 の“歪んだ家族論”に私は

反論させてもらいます」と書かれており、本文は下重氏や上野氏に対する挑戦状のようなもの となっている。金氏はテレビなどにもよく出演しており、その舌鋒が鋭いことで名を馳せている。

本書でも、金氏は下重と上野の両氏を、「結婚をしたことがない。子どもを産んで育てた経験も ない。代わりに高学歴で、メディアや学界などで仕事をしている関係から公的な立場を与えら れた彼女たちが、ちゃんと結婚し、子どもをなし、家族という共同体を営み、社会を支えている 人たちの生き方を批判する。家族は病であるとか、個人の自立を阻害するとか、形而上から高 説を垂れる。これを傲岸不遜と言わずして、なんと言おう。そして知に驕った傲岸不遜な人た ちに社会制度の設計を委ねてはならない」と切り捨てている。さすがに金氏は論客だけあって、

本書における反論は鋭く、ディベートとしては、金氏の方に軍配が上がると思う。しかし、私は 金氏の反論が、下重氏や上野氏の提起している問題とは、大きくかけ離れており、的違いの ように思える。

私は下重氏や上野氏の著作から、現代日本の抱える高齢者問題に、積極的に切り込もうと いう両氏の意図を読み取った。両氏は、家族という題材を利用して、超高齢社会では家族関 係を考え直さなければならないということを提起したと考えるべきである。したがって金氏は、

高齢者問題を解決するという視点で反論をしなければ、同じ土俵で論戦することにはならず、

それらはすれ違いで終わってしまう。本書で金氏は高齢者問題には一言も触れていない。こ のことについて、私は金氏に、「両親の介護をしたことがない。老老介護の悲惨な現場を体験 したことがない。老老介護が家族崩壊を招くという厳しい現実を知らない。認知症の親を虐待 するという直系家族(実の息子や娘)が多い現実を知らない。そんな論客が“家族という名のク スリ”の効力をいかに説いても、老人介護という現実の前には、家族はまったく無力であり、そ れこそが傲岸不遜である。このような人に超高齢社会の制度設計を委ねてはならない」と、反 論したい。金氏は現在、82歳であり、すでに十分、人生を堪能したはずである。金氏が今後、

自己決定力を喪失する前に、つまり介護を受ける境遇におちこむ前に、子ども達に排泄の世 話をしてもらうようになる前に、そしてクスリである家族から虐待される前に、いかに「楽しい死」

を選ぶのか、その勇ましい決意を聞きたいものである。金氏は「おわりに」で、「ひ孫を抱くこと が、楽しみ」などと書いている。そんな言葉は、論客としての金氏にふさわしくない。

金氏は、「家族をつくらずに生涯を過ごして、“おひとりさま”で死ぬとしても、その看取りをし てくれるのは、自分以外の誰かが産み育ててくれた子どもなのだ。やがて誰もいなくなった…

…という未来を描くのか、そうでない未来のために自分の人生を使うのか。私は、死の瞬間ま で後者でありたい」と書いている。金氏ほどの論客でさえも、「看取られる死」を前提にしている。

金氏には、「看取られない死」、「誰にも迷惑を掛けない死」を、積極的に語り、それを実践して もらいたいものである。金氏の年齢ならば、「死の瞬間」は目前に迫っているのだから。

5.「家族幻想」 杉山春著 ちくま新書 2016年1月10日

副題 : 「“ひきこもり”から問う」 帯の言葉 : 「“家族の絆”は神話である」

本書で杉山氏は、「ひきこもり」現象の調査研究の結果から、「“家族の絆”は神話である」と 言い切る。本書も前著に続き、現代における家族を題材にした書である。しかし「ひきこもり」

現象から、家族のあり方に切り込むという手法は、斬新できわめて面白い。この書を読んでい

(9)

9 て気がついたことだが、おそらく、これから「家族」論争が社会を賑わすのではないだろうか。

ひところの「格差」論争のように。下記に、杉山氏の見解を紹介しておく。私は家族に関する鋭 い分析を含む、含蓄のある文章だと思う。

ひきこもりの背後には、「自分に課す規範から自由になれないことがある。その規範が与え られるのは、多くの場合、

家庭=イエである」と私は書いてきた。規範を求めるのは高度化した産業社会だ。人の能力を 計り、選別し、社会に配属するシステムを持つ。だが一方、多様な人たちが生き延びるインフ ラも作られている。思いのほか、現代社会は多様であり、フレキシビリティである。過度に、「規 範」に身を添わそうとするのは、将来に不安を感じるときだ。まるで、泳げない子どもがプール のへりにしがみつくように。共同体と呼ばれていたものが形を失うとき、家族が孤立すれば、家 庭内の「規範」とは大きくずれる場合もある。これからの「規範」は、さまざまな出会い(それは 人だけではない)のなかで、常に新しく創造=クリエイトしていくものかもしれない。

一方、私たちのクラス日本では、「家族」の役割はとても大きい。家族規範も強い。子どもを 育てる責任は家庭が一義

的に持つことは当然だと思われている。責任は一方で「権利」でもある。わが子に家の規範を 伝えることは、その親の「権利」だと思われているようでもある。自分の大切な価値観をわが子 に伝えたいと思うこと、あるいは、そのことによってわが子を守りたいと思うことは、「愛情」と呼 ばれる。だが、それは本当に「愛情」なのだろうか。ひきこもりに苦しむ人たちを見ていると、そ んな問いが立ち上がってくる。

次世代に前の世代が与えるべきものは、まず「この社会は自分自身のための場所だ」という 確信だ。そして、命が本来持っている成長する力を尊重することだ。そこで初めて、親は子ど もの他者となり、伴走者になれるのではないだろうか。「私」の願いや怒り、価値観をわが子に 伝えるよりも、わが子に他者を感じていたほうが、社会に繋ぎやすい。わが子に他者性を持つ ことは、実は、現代の新しい「規範」なのではないか。だが、親自身が、自分自身が生きてきた 規範から自由になることは、案外難しい。それ以外の生き方を知らないからだ。ある行き詰まり を感じたときには、家族を開き、社会に繋がることが重要だ。そのとき、的確に繋がれる先が誰 にでも開かれていることが必要ではないだろうか。

以上

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10

【中国経済最新統計】

GDP 増加率 (%)

工 業 付 加 価 値 増 加 率 (%)

消費財 小売総 額 増 加 率(%)

消費者 物価指 数 上 昇 率(%)

都 市 固 定 資 産 投 資 増 (%)

貿 易 収 (億㌦)

輸 出 増 加 率 (%)

輸 入 増 加 率 (%)

外国直 接投資 件 数 の 増加率 (%)

外 国 直 接 投 資 金 額 増 加率 (%)

貨 幣 供 給 量 増 M2(%)

人 民 元 貸 出 残 高 増 加 率(%)

2005 10.4 12.9 1.8 27.2 1020 28.4 17.6 0.8 0.5 17.6 9.3

2006 11.6 13.7 1.5 24.3 1775 27.2 19.9 ▲5.7 4.5 15.7 15.7

2007 13.0 18.5 16.8 4.8 25.8 2618 25.7 20.8 ▲8.7 18.7 16.7 16.1 2008 9.0 12.9 21.6 5.9 26.1 2955 17.2 18.5 ▲27.4 23.6 17.8 15.9 2009 9.1 11.0 15.5 0.7 31.0 1961 ▲15.9 ▲11.3 ▲14.9 ▲16.9 27.6 31.7 2010 10.3 15.7 18.4 3.3 24.5 1831 31.3 38.7 16.9 17.4 19.7 19.8 2011 9.2 13.9 17.1 5.4 24.0 1549 20.3 24.9 1.1 9.7 13.6 14.3 2012 7.7 10.0 14.3 2.7 20.7 2303 7.9 4.3 ▲10.1 ▲3.7 13.8 15.0

2013 7.7 9.7 11.4 2.6 19.4 2590 7.8 7.2 ▲8.6 5.3 13.6 14.1

2014 7.4 8.3 12.0 2.0 15.2 3824 6.1 0.4 4.41 14.2 12.2 13.6

1 2.5 19.8 319 10.5 10.8 -8.6 -4.5 13.2 14.3

2 2.0 -230 -18.1 10.4 1.3 4.0 13.3 14.2

3 7.4 8.8 12.2 2.4 17.3 77 -6.6 -11.3 6.1 -1.5 12.1 13.9

4 8.7 11.9 1.8 16.6 185 0.8 0.7 0.5 3.4 13.2 13.7

5 8.8 12.5 2.5 16.9 359 7.0 -1.7 8.4 -6.6 13.4 13.9

6 7.5 9.2 12.4 2.3 17.9 316 7.2 5.5 10.3 0.2 14.7 14.0

7 9.0 12.2 2.3 15.6 473 14.5 -1.5 14.0 -17.0 13.5 13.4

8 6.9 11.9 2.0 13.3 498 9.4 -2.1 5.2 -14.0 12.8 13.3

9 7.3 8.0 11.6 1.6 11.5 310 15.1 7.2 9.4 1.9 11.6 13.2

10 7.7 11.5 1.6 13.9 454 11.6 4.6 8.7 1.3 12.1 13.2

11 7.2 11.7 1.4 13.4 545 4.7 -6.7 -8.6 22.2 12.0 13.4

12 7.3 7.9 11.9 1.5 12.6 496 9.5 -2.3 6.1 10.3 11.0 13.6

2015 6.9 5.9 10.7 1.4 9.7 6024 -9.8 -14.4 11.0 0.8 11.9 15.0

1 0.8 600 -3.3 -20.0 2.2 -1.1 10.6 14.3

2 1.4 606 48.3 -20.8 49.8 0.1 11.1 14.7

3 7.0 5.6 10.2 1.4 13.1 31 -15.0 -12.9 0.3 1.3 9.9 14.7

4 5.9 10.0 1.5 9.6 341 -6.5 -16.4 2.9 10.2 9.6 14.4

5 6.1 10.1 1.2 9.9 595 -2.4 -17.7 -14.0 8.1 10.6 14.3

6 7.0 6.8 10.6 1.4 11.6 465 2.8 -6.3 4.6 1.1 10.2 14.4

7 6.0 10.5 1.6 9.9 430 -8.4 -8.2 9.6 5.2 13.3 15.7

8 6.1 10.8 2.0 9.1 602 -5.6 -13.9 23.9 20.9 13.3 15.7

9 6.9 5.7 10.9 1.6 6.8 603 -3.8 -20.5 5.2 6.1 13.1 15.8

10 5.6 11.0 1.3 9.3 616 -7.0 -19.0 2.5 2.9 13.5 15.6

11 6.2 11.2 1.5 10.8 541 -7.2 -9.2 27.7 0.0 13.7 15.3

12 6.8 5.9 11.1 1.6 6.8 594 -1.7 -7.6 17.2 -45.1 13.3 15.0

2016

1 10.3 1.8 18.0 633 -11.5 -18.8 14.1 -2.1 14.0 15.2

2 10.2 2.3 326 -25.4 -13.8 -11.3 -1.3 13.3 14.7

注:1.①「実質 GDP 増加率」は前年同期(四半期)比、その他の増加率はいずれも前年同月比である。

2.中国では、旧正月休みは年によって月が変わるため、1 月と 2 月の前年同月比は比較できない場合があるので注意 されたい。また、( )内の数字は 1 月から当該月までの合計の前年同期に対する増加率を示している。

3. ③「消費財小売総額」は中国における「社会消費財小売総額」、④「消費者物価指数」は「住民消費価格指数」に 対応している。⑤「都市固定資産投資」は全国総投資額の 86%(2007 年)を占めている。⑥―⑧はいずれもモノの 貿易である。⑨と⑩は実施ベースである。

出所:①―⑤は国家統計局統計、⑥⑦⑧は海関統計、⑨⑩は商務部統計、⑪⑫は中国人民銀行統計による。

参照

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4 1はひたすら手を動かすのみです。少し特殊な推移図になるので、きちんと整理して書かないとミスの原因にな ります。2からは1で発見した規則性をうまく用いることで解くことができます。気づいた人は大きな時間短 縮になったと思いますが、気づかなかった人は多くの時間を溶かしてしまったのではないでしょうか。このよう