鋼管を用いた木製遊具柱脚接合部の 水平抵抗評価
北海道大学農学部森林科学科
木材工学研究室 冨高亮介
目次
1. 緒言 ... 1
2. 試験材料... 2
2-1. 試験体 ... 2
2-2. ドリフトピン ... 3
2-3. 鋼管脚部 ... 3
2-4. 試験体組立 ... 3
3. 試験方法... 4
3-1. 試験条件 ... 4
3-2. 変位計設置位置 ... 5
3-3. 予備試験 ... 6
3-4. 加力方法 ... 6
4. 試験結果... 7
4-1. 引き抜け量 ... 7
4-2. 変形角の定義 ... 9
4-3. 初期すべりの取り扱い ... 9
4-4. 荷重-見かけの変形角曲線 ... 9
4-4-1. 「鋼管挿入深さ104mm,ドリフトピンなし」の場合 ... 10
4-4-2. 「鋼管挿入深さ104mm,ドリフトピン1本平行」の場合 ... 11
4-4-3. 「鋼管挿入深さ104mm,ドリフトピン1本直交」の場合 ... 12
4-4-4. 「鋼管挿入深さ300mm,ドリフトピンなし」の場合 ... 13
4-4-5. 「鋼管挿入深さ300mm,ドリフトピン1本平行」の場合 ... 14
4-4-6. 「鋼管挿入深さ300mm,ドリフトピン1本直交」の場合 ... 15
4-4-7. 「鋼管挿入深さ300mm,ドリフトピン2本」の場合 ... 16
4-6. 曲げ撓み ... 17
4-7. 接合性能 ... 17
4-7-1. 評価方法 ... 17
4-7-2. 接合性能 ... 17
4-6-3. 接合性能考察 ... 23
4-8. 荷重低下率 ... 24
5. 解析 ... 25
5-1. 真の回転中心の推定 ... 25
5-2. 真の変形角による剛性 ... 27
6. 結論 ... 28
7. 謝辞 ... 29
参考文献 ... 30
1. 緒言
平成
18
年9
月に閣議決定された森林・林業基本計画には,市民や児童の木材 への親しみや理解を深めることを目的とし,材料としての木材の良さやその利 用の意義を学ぶ,いわゆる「木育」の必要性が謳われている。この観点から木 製玩具,とりわけ木製遊具は,子供が楽しく体を動かすことで健全な体を育む と同時に,木材とのふれあいの機会を与えるため,木育に大きく寄与すること ができる。しかしながら,木製遊具を安全に利用する上 で,劣化対策は重要な課題である。国交省が平 成
19
年に行った公園遊具調査によると,修理・撤去等の安全確保措置が必要となった遊具は全
遊具数の
9.5%であった。これに対し,措置が必
要と判断された木製遊具は
34.5%でもっとも高
い割合であったことがわかった。これより,鋼 製遊具に比較して木製遊具は維持管理の重要性 が大きいと考えられる。とりわけ木製遊具の支 柱は,脚部を地面に直接埋めた掘立式が多く,地際での腐朽劣化を招き易い。
この課題に対し,木製の支柱を地面から切り 離し,地面からの吸水を防ぐことが有効な手段 であると考えられる。
本研究では,木製遊具の長期利用を目的とし た鋼管を用いた柱脚接合部の水平加力試験を実 施し,この水平抵抗評価を行った。
写真 1-1 劣化した木製遊具支柱脚部
(1993 斎藤)
2. 試験材料
今回用いた試験材料は以下の通りである。
2-1. 試験体
試験体には長さ
1200mm,105mm
角芯去りスギ(Cryptomeria japonica)製材を用いた。
比重及び縦振動法により測定した固有振動数から,動的ヤング係数を算出し た。動的ヤング係数の平均と標準偏差が概ね等しくなるように,後述の試験条 件の試験体組み合わせを決定した。各試験体の動的ヤング係数,比重,含水率,
及び試験条件毎の平均,標準偏差を表
2-1
に示す。表 2-1 試験体一覧
90mm 285mm
0.33 4.12 23.6
0.29 4.87 18.8
0.29 5.33 13.4
0.36 5.57 18.4
0.32 6.14 16.5
0.36 6.24 20.5
0.34 4.12 15.9
0.31 4.86 14.3
0.29 5.15 12.0
0.32 6.22 16.9
0.35 6.48 15.0
0.29 4.95 13.1
0.36 4.50 12.1
0.35 6.08 13.7
0.36 6.59 20.6
0.28 4.60 16.2
0.36 5.01 19.5
0.29 5.98 17.5
0.32 6.13 18.5
0.36 6.41 18.3
0.29 4.19 16.4
0.33 4.41 18.8
0.37 4.60 19.5
0.29 5.93 16.4
0.36 6.23 24.4
0.39 6.45 29.5
0.35 6.48 16.6
0.30 4.92 11.2
0.33 5.06 17.1
0.33 6.20 19.2
0.33 4.40 12.3
0.35 4.80 19.7
0.31 5.07 14.7
0.29 5.44 15.5
0.34 6.24 18.2
平行 -
1.09
6 6
3
- -
平行 -
3
5 直交 -
104mm
- -
含水率
(%)
動的ヤング係数
(GPa)
ドリフトピン
配置 比重
木口からの距離
平均 S.D.
試験体数
直交
平行 直交 -
0.80
0.89
6 5.38
5.30
5.72
300mm
5.38 0.91
0.93 5.68
5.39
5.19
0.70
0.70 6
2-2. ドリフトピン
ドリフトピンには鋼種
SS400
の鋼棒(φ=12mm)を110mm
の長さで切断し たものを使用した。2-3. 鋼管脚部
鋼管脚部の治具として一般構造用炭素綱鋼管(外径
48.6mm,
肉厚5mm)を
厚さ12mm
のスティールプレートに溶接したものを用いた。鋼管脚部の変形を 抑えるため,溶接箇所にリブをつけ補強している。2-4. 試験体組立
支柱の木口面に径
50mm
深さ300mm
または104mm
の先穴を設けた。支柱 に鋼管を挿入する際,試験体によってがたの大きさにかなりのばらつきが認め られた。しかし,鋼管に対して先孔が小さく挿入しづらいケース,つまりがた が全くない試験体は認められなかった。ドリフトピンを用いる試験体において,径
13mm
の先穴を設けた。加工時の ずれによりドリフトピンが入りづらい場合,叩き込んでドリフトピンを挿入し た。写真 2-1 鋼管脚部
3. 試験方法 3-1. 試験条件
本試験では,鋼管挿入深さの影響,ドリフトピンの有無および配置の影響を 明らかにするために,
①鋼管挿入深さが
300mm
と104mm
②ドリフトピンの本数が
0~2
本③ドリフトピンが加力方向に対して平行または直交に配置
といった計
7
つの試験条件を設定し,各条件3~6
体ずつ試験を行った。表3-1
に一覧を示す。加力方向
鋼管深さ(mm) 104 30 0
ドリフトピン(上) - - - 直交
ドリフトピン(下) - 平行 直交 - 平行 直交 平行
試験体数 6 6 3 6 6 3 5
木口からの距離 ドリフト
ピン(上):285mm ドリフト
ピン(下):9 0mm
表2 試験体条件及び試験体数 表 3-1 試験条件と試験体数
3-2. 変位計設置位置
試験体下端木口を基準として,高さが
300, 500, 700,
及び加力点の842mm
の水平変位を片側から測定した。反対側で矢高変位を測定した。下端木口から50mm
の高さで4
ヵ所にL
字型金具を木ねじで固定し,試験体の鉛直変位を測 定した。図3-1
に変位計設置位置を示す。図 3-1 変位計設置位置
写真 3-1 水平変位及び矢高変位の測定 写真 3-2 鉛直変位の測定
3-3. 予備試験
繰り返しスケジュールを決定するため,予備試験として,鋼管挿入深さ
300mm
及び104mm
の試験体を1
体ずつ,単調加力試験を行った。これにより得られた荷重-見かけの変形角曲線を図
3-2
に示す。これより,後述の繰り返し スケジュールを決定した。鋼管挿入深さ104mm, ドリフトピンなし
0 1 2 3 4 5
0 20 40 60 80 100 120
見かけの変形角(×10-3 rad)
荷重 (kN)
鋼管挿入深さ300mm, ドリフトピンなし
0 1 2 3 4 5
0 20 40 60 80 100 120
見かけの変形角(×10-3 rad)
荷重 (kN)
3-4. 加力方法
正負交番繰り返し加力で,加力点の水平変位±10mm, 20mmを一回ずつ繰り 返し,その後破壊に至るまで単調加力し続けた。試験は荷重が最大荷重の
60%
まで落ちるか,変形角が
1/10 rad
に達した時点で終了とした。図 3-2 荷重-見かけの変形角曲線(予備試験)
4. 試験結果 4-1. 引き抜け量
図のように,
2
点の鉛直変位がa, b
であるとき,引き抜け量は(a+b)/2と表す ことができる。木口から50mm
の位置で4
箇所において鉛直変位を計測した。終局加力方向側とその反対側でそれぞれ平均をとった計測値より,引き抜け量 を算出した。図
4-1,2
に各試験条件の引き抜け量のグラフ(横軸は加力点水平変 位)を示す。なお,割裂の発生に伴い変位計にずれが生じ,引き抜け量を計算 できなくなるため,割裂発生前の範囲でグラフを描画した。グラフより,鋼管挿入深さ
300mm
の試験体において,少なくとも加力点の 水平変位が20mm
の範囲では,ほとんど引き抜けが生じていないと言える。-1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
0 10 20 30 40
加力点水平変位(mm)
引き抜け(mm)
-0.4 -0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6
0 10 20 30 40
加力点水平変位(mm)
引き抜け(mm)
図 4-1 引き抜け量の計算・引き抜け量(鋼管挿入深さ 104mm)
-0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2
0 10 20 30 40
加力点水平変位(mm)
引き抜け(mm)
ドリフトピンなし
ドリフトピン 1 本, 平行 ドリフトピン 1 本, 直交
-0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4
0 5 10 15 20 25
加力点水平変位(mm)
引き抜け(mm)
-0.4 -0.35 -0.3 -0.25 -0.2 -0.15 -0.1 -0.05 0 0.05 0.1
0 5 10 15 20 25
加力点水平変位(mm)
引き抜け(mm)
-0.2 -0.15 -0.1 -0.05 0 0.05 0.1 0.15
0 5 10 15 20 25
加力点水平変位(mm)
引き抜け(mm)
図 4-2 引き抜け量(鋼管挿入深さ 300mm)
-0.35 -0.3 -0.25 -0.2 -0.15 -0.1 -0.05 0 0.05 0.1
0 5 10 15 20 25
加力点水平変位(mm)
引き抜け(mm)
ドリフトピンなし
ドリフトピン 1 本, 平行 ドリフトピン 1 本, 直交 ドリフトピン 2 本
4-2. 変形角の定義
接合部の剛性を評価するにあたって,回転中心を定義する必要がある。しか し,鋼管挿入接合部のめり込み応力分布が不明なため,真の回転中心を決定す ることは容易でない。ここでは,鋼管挿入深さの
2
分の1
の位置を回転中心と 定義して,見かけの変形角(rad)を荷重変形曲線の横軸とした。4-3. 初期すべりの取り扱い
各試験体を鋼管に挿入した状態で,加力点水平方向に±0~12mmの初期すべ りが認められた。初期すべりの影響を除去した鋼管挿入接合部の水平抵抗につ いて比較検討するため,荷重-見かけの変形角曲線において,荷重がかかり始め た点を原点とした。
4-4. 荷重 - 見かけの変形角曲線
試験条件ごとに荷重-見かけの変形角曲線ならびにその破壊形態を示す。±
10, 20mm
の範囲では正負交番繰り返し加力における影響はみられなかったため,このグラフは包絡処理を施して示した。
図 4-3 変形角の定義
4-4-1. 「鋼管挿入深さ 104mm,ドリフトピンなし」の場合
見かけの変形角が
49/1000~72/1000rad
において木口に割裂が生じた。割裂が 生じた後は,荷重がかからなくなった。割裂が生じる部位は試験体によって異 なったため,試験結果と破壊性状から破壊モードを特定することはできなかっ た。これは他の多くの試験条件においても同様の傾向であった。0 1 2 3 4 5
0 20 40 60 80 100 120 140
見かけの変形角(×10-3 rad)
荷重 (kN)
終局加力方向
図 4-4 「鋼管挿入深さ
104mm,ドリフトピンなし」の
荷重変形曲線及び破壊性状4-4-2. 「鋼管挿入深さ 104mm,ドリフトピン 1 本平行」の場合
変形角が小さい範囲では,ドリフトピンに荷重がかかっていないように観察 された。荷重変形曲線より,見かけの変形角が
50/1000rad
前後でドリフトピン に荷重がかかり始めていると推定される。見かけの変形角が
30/1000~60/1000rad
において木口に割裂が生じた(1体のみ
1/10rad
まで破壊に至らなかった)。割裂が生じても,10%程度の荷重低下,もしくは荷重が落ちず,試験終了には至らなかった。試験終盤に,ドリフトピ ンの先穴を通るように割裂が生じた。
0 1 2 3 4 5
0 20 40 60 80 100 120 140
見かけの変形角(×10-3 rad)
荷重 (kN)
図 4-5 「鋼管挿入深さ
104mm,ドリフトピン 1
本平行方向」の4-4-3. 「鋼管挿入深さ 104mm,ドリフトピン 1 本直交」の場合
見かけの変形角が
30/100~60/1000rad
において,ドリフトピンの先穴を通る ように割裂が生じた(3 体中2
体,2 体とも割裂が生じたのは片側のみ)。割裂 の発生後,荷重がいったん落ちるが,割裂が生じていない側のドリフトピンに 荷重が再度かかり始めた。0 1 2 3 4 5
0 20 40 60 80 100 120 140
見かけの変形角(×10-3 rad)
荷重 (kN)
図 4-6 「鋼管挿入深さ
104mm,ドリフトピン 1
本直交方向」の 荷重変形曲線及び破壊性状4-4-4. 「鋼管挿入深さ 300mm,ドリフトピンなし」の場合
見かけの変形角が
20/1000~60/1000rad
において木口より割裂が生じ,荷重が 落ち,試験終了に至った。0 1 2 3 4 5
0 20 40 60 80 100 120 140
見かけの変形角(×10-3 rad)
荷重 (kN)
図 4-7 「鋼管挿入深さ
300mm,ドリフトピンなし」の
荷重変形曲線及び破壊性状4-4-5. 「鋼管挿入深さ 300mm,ドリフトピン 1 本平行」の場合
割裂が生じ荷重は落ちたが試験終了には至らず,ドリフトピンが支柱の回転も しくは引き抜けに抵抗するため,再度荷重がかかり始めた。試験終盤でドリフ トピンの先穴を通るように割裂が生じた。
0 1 2 3 4 5
0 20 40 60 80 100 120 140
見かけの変形角(×10-3 rad)
荷重 (kN)
図 4-8 「鋼管挿入深さ
300mm,ドリフトピン 1
本平行方向」の 荷重変形曲線及び破壊性状4-4-6. 「鋼管挿入深さ 300mm,ドリフトピン 1 本直交」の場合
見かけの変形角が
25/1000~40/1000rad
の範囲で片側もしくは両側のドリフ トピン先穴を通るように割裂が生じた。割裂は一気に伸展し,脆性的な破壊で あった。0 1 2 3 4 5
0 20 40 60 80 100 120 140
見かけの変形角(×10-3 rad)
荷重 (kN)
図 4-9 「鋼管挿入深さ
300mm,ドリフトピン 1
本直交方向」の 荷重変形曲線及び破壊性状4-4-7. 「鋼管挿入深さ 300mm,ドリフトピン 2 本」の場合
割裂が生じ,一旦荷重が落ちるが,ドリフトピンが支柱の回転もしくは引き 抜けに抵抗するため,荷重は再度かかり始めた。割裂の発生後,荷重の増減を
2
度繰り返す挙動が,1体のみだが認められた。0 1 2 3 4 5
0 20 40 60 80 100 120 140
見かけの変形角(×10-3 rad)
荷重 (kN)
図 4-10 「鋼管挿入深さ
300mm,ドリフトピン 2
本」の 荷重変形曲線及び破壊性状4-6. 曲げ撓み
矢高変位計の計測結果より,見かけの変形角にしめる撓み角の割合は全体で
最大でも
0.02%程度であった。これより,試験体条件に関わらず,支柱の曲げ
変形の割合はわずかであり,試験体に生じた変形の大部分が鋼管頭部や木口面 におけるめり込みであることが推測される。
4-7. 接合性能 4-7-1. 評価方法
接合性能として,剛性(kN/rad),最大荷重(kN),見かけの変形角
30/1000, 60/1000, 90/1000rad
時荷重(rad),終局変形角(rad),見かけの変形角=30/1000,60/1000, 90/1000rad
までの吸収エネルギー(kN*rad)を評価した。
剛性に関して,以下の条件に基づき算出した。① 破壊時荷重を読み取れる場合,破壊時荷重の
10%および 40%の荷重にお
ける曲線上の2
点の傾きを剛性とする。② 破壊が生じていない場合,見かけの変形角が
1/10rad
時の荷重の10%お
よび
40%の荷重における曲線上の 2
点の傾きを剛性とする。 20%以上の荷重低下がみられたときの荷重を最大荷重とした。
試験終了条件に達した時点の見かけの変形角を終局変形角とした。
包絡線とx
軸,及び見かけの変形角=30/1000, 60/1000, 90/1000radの各変 位で囲まれた面積を所定変形時までの吸収エネルギーとした。4-7-2. 接合性能
表
4-1
に各試験条件の剛性(kN/rad),最大荷重(kN),見かけの変形角が30/1000, 60/1000, 90/1000rad
における荷重(kN),終局変形角(rad),見かけ の変形角が30/1000, 60/1000, 90/1000rad
までの吸収エネルギー(kN*rad)の 平均値及び標準偏差を示す。また,図4-11~19
に接合性能の試験条件毎の比較 を示した。90mm285mm平均S.D.平均S.D.平均S.D.平均S.D.平均S.D.平均S.D.平均S.D.平均S.D.平均S.D. --618.92.320.760.120.520.060.640.120.660.1172.620.19.01.0427.32.8045.65.77 平行-618.61.591.620.210.590.061.220.151.520.22100.10.088.41.4137.04.3479.08.83 直交-315.51.170.840.500.430.090.540.150.620.0961.835.87.20.2820.84.0138.67.17 --670.04.122.700.761.880.4842.411.228.35.25 平行-664.514.22.530.491.620.501.980.272.150.5550.325.724.05.2478.313.9139.519.9 直交-372.26.202.320.601.810.6233.56.7033.77.10 平行直交568.85.992.931.081.820.402.761.052.511.2053.131.027.93.43104.324.4179.856.08 ※加力方向に対する向き 表4-1 試験体条件・実験結果 さ
ドリフトピン配置 (※)試 験 体 数 剛性 (×103 kN/rad) 所定変形時荷重 (kN)最大荷重 (kN)終局変形角 (×10-3 rad) 所定変形時までの 吸収エネルギー(×10-3 kN*rad) 木口からの距離90/1000rad30/1000rad60/1000rad90/1000rad
10 4m
m m 0m 30
30/1000rad60/1000rad
図 4-11 試験条件毎の剛性
図 4-12 試験条件毎の最大荷重(kN)
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90
- - - - - - 直交
- 平行 直交 - 平行 直交 平行
104mm 300mm
0 1 2 3 4 5
- - - - - - 直交
- 平行 直交 - 平行 直交 平行
104mm 300mm
0 5 10 15 20 25
- - -
- 平行 直交
104mm 剛性(×103kN/rad)
0 0.5 1 1.5 2
- - -
- 平行 直交
104mm
最大荷重(kN)
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4
- - - - - - 直交
- 平行 直交 - 平行 直交 平行
104mm 300mm
図 4-14 試験条件毎の 60/1000rad 変形時荷重 図 4-13 試験条件毎の 30/1000rad 変形時荷重
0 1 2 3
- - - - - - 直交
- 平行 直交 - 平行 直交 平行
104mm 300mm
0 0.2 0.4 0.6 0.8
- - -
- 平行 直交
104mm
30/1000rad変形時荷重(kN)
0 0.4 0.8 1.2 1.6
- - -
- 平行 直交
104mm
60/1000rad変形時荷重(kN)
図 4-15 試験条件毎の 90/1000rad 変形時荷重
図 4-16 試験条件毎の 30/1000rad までの吸収エネルギー
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45
- - - - - - 直交
- 平行 直交 - 平行 直交 平行
104mm 300mm
0 0.4 0.8 1.2 1.6
- - -
- 平行 直交
104mm
90/1000rad変形時荷重(kN)
0 2 4 6 8 10 12
- - -
- 平行 直交
104mm 30/1000radまでの吸収エネルギー(×10-3kN*rad)
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4
- - - - - - 直交
- 平行 直交 - 平行 直交 平行
104mm 300mm
0 20 40 60 80 100 120 140
- - - - - - 直交
- 平行 直交 - 平行 直交 平行
104mm 300mm
0 50 100 150 200 250
- - - - - - 直交
- 平行 直交 - 平行 直交 平行
104mm 300mm
図 4-17 試験条件毎の 60/1000rad までの吸収エネルギー
0 10 20 30 40 50
- - -
- 平行 直交 104mm 60/1000radまでの吸収エネルギー(×10-3kN*rad)
図 4-18 試験条件毎の 90/1000rad までの吸収エネルギー 0
20 40 60 80 100
- - -
- 平行 直交
104mm 90/1000radまでの吸収エネルギー(×10-3 kN*rad)
4-6-3. 接合性能考察
挿入深さ
300mm
の試験条件グループの結果が挿入深さ104mm
のグループの 結果を全ての項目において大きく上回った。これは,先穴内壁と鋼管との接触 面積の差に起因していると考えられる。鋼管挿入深さ
104mm
のグループ内で比較すると,最大荷重,60/1000rad及 び90/1000rad
時荷重,60/1000rad
及び90/1000rad
までの吸収エネルギーにお いて,ドリフトピン加力方向に対して平行に挿入した場合の方が,ドリフトピ ンなし及びドリフトピンを直交方向に挿入した場合より高い値を示した。試験 終了条件の設定により取り方が変わってくるため,最大荷重の単純な比較は難 しいが,ドリフトピンなしの場合とドリフトピンを直交方向に挿入した場合の 結果を比べると,直交方向に挿入したときにばらつきがより大きいことがわか る。鋼管挿入深さに関わらず,ドリフトピン条件によって剛性に差が認められな かったことから,破壊に至るまでドリフトピンは荷重をほとんど負担していな かったものと考えられる。
4-8. 荷重低下率
鋼管挿入深さ
300mm
のグループにおける,試験条件別の割裂発生時の荷重 低下率を図4-20
に示す。ドリフトピンの本数が
1
本の2
条件に注目すると,荷重低下率の大小につい て比較はできないが,ドリフトピンが直交方向に挿入されている場合,平行方 向に挿入されている場合に比べてばらつきが大きいことがわかる。これは,回 転に対するドリフトピンの抵抗により支柱側面に割裂を誘発するが,この割裂 の入り方が試験体の木理や欠点の有無および位置等に大きく左右されるためで あると推測される。図 4-20 鋼管挿入深さ 300mm における割裂発生時の荷重低下率
ドリフトピン(上)
ドリフトピン(下)
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
- - - 直交
- 平行 直交 平行
(%)
5. 解析
5-1. 真の回転中心の推定
4-6
で示したとおり,部材の撓みが小さいことから,荷重変形曲線の直線域では,複数点の水平変位から真 の回転中心の位置を幾何学的に推定することが可能で あると考えられる。
木口から
l
Amm
の距離の水平変位をa mm,木口か
らl
Bmm
の距離の水平変位をb mm
としたとき,回 転中心の位置(木口からの距離がx mm)は,
より,
と求まる(図
5-1)。
例として,鋼管挿入深さ
104mm
及び300mm
ドリフトピンなしの試験条件グ ループの加力点水平変位(mm)を横軸,回転中心位置(木口からの距離, mm)を縦軸にとったグラフを図
5-2
に示す。式の性質上,水平変位が0
付近では値 が離散し煩雑になってしまう。試験条件ごとの回転中心位置を比較するため,代表値として最大荷重の
25%荷重時(剛性を求める際に用いた 2
点の中間点)の回転中心位置を抜き出し,図
5-3
に示す。なお,これらの回転中心位置の値 は,木口からの距離が300, 500, 700mm
の位置での水平変位を2
つずつ組み合 わせた,計3
通りの組み合わせから求めた回転中心位置の平均値である。ドリフトピンを加力方向に対して直交方向に挿入した試験条件以外のグルー プでは,仮の回転中心の位置とした鋼管挿入深さの
2
分の1
よりやや上側に真 の回転中心があることがわかる。また,変形に伴って回転中心が移動している ことは図5-2
よりわかるが,その移動量や動き方までこの解析で推定すること はできなかった。b a x l x
l
A :
B :
) ( mm b
a
l b l
x a
B A
図 5-1 回転中心位置の推定
x mm lAmm
lB mm a mm
b mm
回転中心
-100 -50 0 50 100 150 200 250 300
0 10 20 30 40 50 60
回転中心位置(mm)
加力点水平変位(mm)
図 5-2 回転中心位置(木口からの距離)
図 5-3 最大荷重の 25%荷重時の 回転中心位置(木口からの距離)
-100 -50 0 50 100 150
0 20 40 60 80 100 120
加力点水平変位(mm)
回転中心位置(mm)
0 50 100 150 200 250
- - - - - - 直交
- 平行 直交 - 平行 直交 平行
104mm 300mm
回転中心位置(mm)
鋼管挿入深さ 104mm, ピンなし 鋼管挿入深さ 300mm, ピンなし
5-2. 真の変形角による剛性
見かけの変形角の定義が妥当であったかを検討するため,
5-1
で求めた真の回 転中心を用いて,真の変形角による剛性を算出した。図5-4
に,横軸にみかけ の変形角による剛性,縦軸に真の変形角による剛性をとった散布図を示す。図より,各試験体の値は試験条件に関わらず,傾き
1
の直線上におおよそあ ることがわかる。このことから,鋼管挿入深さの2
分の1
の位置を回転中心と した見かけの変形角の定義は妥当であったと考えられる。0 20 40 60 80 100
0 20 40 60 80 100
見かけの変形角による剛性(×103kN/rad)
真の変形角による剛性(×103 kN/rad) 104mm
ピンなし 104mm 1本平行 104mm 1本直交 300mm ピンなし 300mm 1本平行 300mm 1本直交 300mm 2本
図 5-4 真の変形角と見かけの変形角に よる剛性の比較
6. 結論
本実験の結果,
鋼管挿入深さが深くなると,剛性,最大荷重,吸収エネルギーはより高い値 を示した。
ドリフトピンの有無及び配置は,剛性に影響を与えないが,最大荷重,吸収 エネルギーには影響を与える。特に,加力方向に対して直交方向にドリフト ピンが挿入されている場合,最大荷重及び破壊時の荷重低下率におけるばら つきが大きくなる。このため,施工に際して,ドリフトピンの挿入方向につ いて注意が必要である。
回転中心は鋼管挿入深さの2
分の1
の位置よりもやや上側にあり,支柱の変 形に伴ってその位置は移動する。
真の変形角による剛性と見かけの変形角による剛性はほぼ一致した。といったことがわかった。
また,今後の課題として,風や地震,さらに,人が利用する上で予想される水 平力に対する接合耐力評価を行い本柱脚接合部の具体的な性能を評価したい。
また,鋼管の先穴径が異なる場合の接合性能及び破壊性状の違いの分析や,こ の柱脚接合部を持つ木製遊具のフレーム解析を行いたい。
7. 謝辞
本研究を行うに当たり,ご指導を頂いた北海道大学農学部森林科学科木材工 学講座の平井卓郎教授,小泉章夫准教授,佐々木義久技官,また,材料の加工 をしていただいた下川町森林組合の皆さん,研究計画から実験結果の解析に渡 りご教授して頂いた北海道立総合研究機構森林研究本部林産試験場の野田康信 氏,小林裕昇氏,川等恒治氏,また特に,終始に渡りご指導,ご教鞭を頂いた 澤田圭助教には,深く感謝の意を表します。
参考文献
1)
平井卓郎:木材接合部の基礎性能,2. 木材のボルト面圧性能,北海道大学 農学部演習林研究報告46(4)
,967-988(1989)2)
日本木材学会編:木質構造設計基準・同解説,日本建築学会,20063)
国土交通省:都市公園における遊具の安全管理に関する調査の集計結果の内約,国土交通省報道発表資料(2009)
4)
島田沢彦:釘打ち合板ガセット接合部の変形性能に及ぼす部材端接触の影 響,北海道大学農学部林産学専攻修士論文(1995)5)
大友隆史:一様曲げモーメントを受ける鋼板挿入型ドリフトピン接合部の 変形,体力性能,北海道大学農学部林産学専攻修士論文(1996)6)
斉藤隆:木製遊具の超音波による劣化の診断と強度の関係,北海道大学農 学部林産学科木材工学講座卒業論文