【論 文】
UDC :691
.
32:666.
97 :620.
179.
1日本 建 築 学 会構 造 系論 文 報 告 集 第425号
・
1991年7月Journal of Strvct
.
Constr.
Engng,
AIJ,
No.
425,
July,
lgglコ
ン
ク
リ
ー
ト
の
内部 条
件
が
超 音 波 伝 播
に
及
ぼ
す
影
響
EFFECTS
OF
INTERNAL
STRUCTURE
OF
CONCRETE
UPON
PROPAGATION
OF
ULTRASONICS
野 崎 喜 嗣
*Yoshitsugu
AiOZAKI
Internal
structure of concrete may affect on propagation properties,
those may cause errors inestimating quality of concrete using ultra
−
sonic method.
The
paperdicribed
an experimental sしudy about propagation characteristics of ultra−
sonics in concrete sepecimens having severalinternal
conditions
.
From the亡ests results,
it
canbe
saidfirstly
,
that water content of concrete mayinflu
.
ence pulse velocity
,
in other words decrease in water contente of l% maydecrease
in pulse velocity about go m /sec,
or 2 %to average velocity of 4,
000 m /sec.
,
Secondly, water absorption of cQncrete
is
concidered as closely related tointernal
structure,
mayinfluence
pulse velocity,
andincrease
in
water absorption of l%,decrease
in velocity 130 m /sec.
,
the valueis
3
% to average velosity.
Internal
crack mayinfluence
pulse velocity same as that of inteTnal structure of concrete,
but
this effect is rather slight and can be negrect in invesigating existing concrete struc−
tures.
Thirdly,
large
voidsin
concrete mayinfluellce
propagation path,
and hence propagation time.
With
[egard todimension
of large void in co 皿crete, if larger than wave
length
of ultraso−
nics
,
pulse can not transmitdirectly
from
transmitter to receiver,
and if smaller than wavelength,
pulseしransmitdirectly
,
It canbe
said that,
the criticaldimension
of voidis
almostly equal to thatof wave
length
.
Keg
ωOiits :concr「
ete,
nondestructive test,
読厂α一
∫0加 method.
wate 厂 content,
water αゐ∫0ア’
Ption
,
勘厂geuaid コ ンクリ
ー
ト,
非 破 壊 検 査,
超 音 波伝 播 法,
含 水 量,
吸水率,
粗大空 隙1.
は じめに 高 耐 久 性コ ンクリー
トの普 及や, 建 築工事に お け る品 質 管 理の徹 底,
既 存 建 物の構 造 信頼性の診 断等社会的な 意 識の変 化を背 景と し て,
コ ン ク リー
ト構 造物の設計や 施工管 理,
維 持 管 理において構 造体の性 質を直接 的に把 握す ることの必 要 性がます ま す強 く なっ て き た。
し かし 現在実施さ れ て い る の は,
別 途に作 成し た 供 試体やコ ア 供 試 体 等による間 接 的な評 価で あ る。
非破 壊試 験によ る 構造 体コ ン クリー
トの性 質の 直接 的な評 価につ い て の試 みにつ い て,
そ の歴 史は長い が,
い ま だに決 定 的な 方 法 が な く,
そ の後 も多くの検 討が継 続 的に行わ れ ている。 各種の非 破 壊 検 査 方 法の な かで, 強 度の 推 定が可能で,
かつ コ ン ク リー
トの内 部 状 態 をあ る程 度モ ニ ター
でき,
ま た比 較 的 手 軽で, 測 定にそ れ ほ ど専門的な熟 練 を要し ない,
とい っ た諸 条 件に対 し て,
比 較 的 満足度が 大で あ るの は超音波法であると言わ れ て い る。
しか し,
コ ン ク リー
トに対する超音波の伝 播の測 定 結 果 例で は,
原 因の 推 定が困 難なバ ラ ツキを生じ る ことも あり, そ の結 果 伝 播 速 度 法の適 用が不 適 切 と されて しま う場 合 が ある が,
それは複 合 材 料で ある コ ン ク リー
ト中の超 音 波の伝 播に つ い て の基 本 的性 状の不 明さ に起 因する こ と が ほ と ん ど であり,
方 法が問 題で は な く,
基 本 的な問 題 点で解明さ れ て い な い部 分が多い こと が原 因で ある と考え ら れ る。
特に コ ン クリー
ト中に隊 モ ル タルマ トリク スと空・
水 隙 や 粗 骨 材との界 面 等,
音 響 的に不 連 続 面と考え ら れ る 部 分が多く内在 し,
音 波の伝 播につ いて の微 視的 な 意 味 で の解 明は困難と言え よ う。
し か し,
波 動 理 論で は,
そ れ等の内 部 不 連 続 部に影 響 を受 けない範 囲の音 波に よっ て,
被 検 部の平 均 的な性 質の検 討 を行うことは可 能で あ る と さ れ,
基 礎 的 事 項の把 握に よっ て実 施コ ン ク リー
ト 構 造 物の非 破 壊 検 査へ の適 用の可 能 性は大と な ろ う。
こ こで言うコ ン ク リー
トの 内部 条 件と は,
その固有の 内 部 構 造 と 内 部 状 態 と を 総 称 する抽 象 的な表 現で あ り, 幾っ かの性 質の集 合し た概 念であ る と 把握さ れる。
そ れ 本 報 告の内 容の一
部は文献 11},
14〜
18}と して主に本 学 会に発 表 済であり,
ま tt一
部 分は,
本 学 会 材 料 施 工 委 員 会 [コ ンク リー
トの非 破 壊 試 験 法研 究 小 委 員 会]の 活 動 と し て作 成.
提 出し たもの である。
*
武 蔵工業 大 学工学 部 建 築学 科 講 師・
工 修 Lecturer,
Dept.
of Architecture,
Faculty of Engineering Musashi In・
stitute of Techno且ogy
,
M、
Eng、
等の性質は, マ ト リク ス お よ び骨 材の構 成 材 料の性 質, 構 成比t 界 面の性 質
,
内 部 空 気 泡やク ラ ック等の存 在 状 態,
比 重や吸 水 率お よ び含 水 状 態 等で表 現 され る物 理 的・
物理化 学的な性 質等を 指す。
コ ン ク リー
ト中の超 音 波 伝 播 速 度は,
上 記の 内 部 条件の内で, 物理的な 1側 面 を表し て い るもの と考え られ る。
伝 播 速 度に直 接 関 連す る要 囚と して は,
これ らの条件の 内で,
構成 材料の種 類, 構成比その他の条件につ いて, 特にコ ンク リー
トの強 度 や弾 性 係 数と伝播速 度との関 連につ い て検 討 を 行っ た例 は多く報 告さ れて い る。 し か し,
含 水条件等の要因が伝 播速度に及ぼ す影 響が大で あ ること が経 験 的に分かっ て い る に もか か わらず,
ま だ検討が不十 分な部 分 も少な く ない。 本 研 究は超 音 波 伝 播 速 度 法の非 破 壊 試 験へ の適 用の可 能 性の追 及を目指 し,
そ の た め に必要と な るコンク リー
ト中の超 音 波 伝 播の基本的 性 質 を 明ら かにするこ と を目 的 とし て検 討 を行っ たもの であ る。 コ ンクリー
トの内 部 条件の内で,
特に既往の文 献 中で検 討が不 十 分な事 項と し て, コ ン ク リー
トの含 水 分,
吸 水 率,
内部.
ク ラ ッ ク を 要 因 として,
超 音波 伝 播の性 質に及ぼす 影 響を明らかに し,
ま た,
音 響 的 不 連 続 部 分とし て,
粗 大な内 部空隙を 有す る試 験体 中の伝 播 経 路 を 明らか にする ことを 目的と して実 験 室 実 験 を行っ た。
これら の検 討によっ て,
伝 播 速度法 を構造体コ ンク リー
トの非 破 壊 検 査に適 用し た場 合,
従 来検討が出来な かっ た測 定 値の バ ラ ツキにつ い て の説 明が可 能と な り,
材質の評価の精 度 が 向 上し よ う。
また,
コ ン ク リー
トの どの よ う な特性 を定量的に表す こ と が可 能なのか,
ま た は そ の評 価の 限界が 明 らか と な ろ う。
能 性が増 加し た こと が当 初の諸 研 究の主旨との 主 た る相 違と言え よう。 これらの研 究 成 果の ま と め と して,
ユ970〜1980
年代 に い くつ か の規 格・
規 準・
指 針 類が 整備さ れ だ 1−
51。
既 往の研 究で,
本研 究に関 連 する成 果は以 下であ る。 1) コ ン ク リー
トに入力し た 超音 波は約4km
/sの速度 で伝 播し,
使 用 材 料,
調 合,
含 水 率,
鉄筋の存 在 等の影 響 を 受 ける。 使 用 材 料は,
特に粗 骨 材の 石 質につ いて R.
Jones
は各種 粗 骨 材を用い たコ ンク リー
一
トにつ い て 強 度との 関連 式 を 示 し そ の 影 響が 大で あ る こ と を 述 べ 61,
調 合 条 件につ いて,
谷 川ら は粗 骨 材 率に よ る伝 播 速 度へ の影 響につ い て報 告して いる% ま た,
鉄 筋の存 在の影 響は H.
W.
Chung は鉄 筋径と伝 播 経路位 置の関 連に関する実 験か ら そ の影 響 (補正 )係 数を提 案し て い るS)。
また,
コ ンク リー
ト含 水 分の超 音 波 伝 播 速 度へ の 影響は大である こと が多く指 摘さ れ て い るが, 定 量 的 傾 向につ いて は明 確ではない。
次に,
コ ン ク リー
ト中の微 小 空 隙は明ら か に そ の弾 性 的性 質を低下 させ, そ の結 果 超 音 波 伝 播 速 度の減 少 を招 くこと が指摘さ れて い る。
また,
内 部の クラック の影 響 も 同様であ る と考え られ るが,
そ の傾 向につ い て の検 討 も 必ずし も 十 分で はない。
2
)・
一
方, 超 音 波の波 長 寸 法 を 超える ような粗 大な不 連 続 部 分 (主と して ひび割れ等 }にっ い て,R .
H .
Elvery
はコ ンク リー
ト表面に設置した送・
受信 端子で その深さ の測 定を試み,
その成 果はB .S .
と し て規格化さ れ てい る。・
一
一
方,M .
F .
Kaplan
は半 間 接 方 法に よ るひ び割れ 深さの測 定につ いて述べ て い る が10),
これ らにつ いて は ま だ不 明な部 分も あっ て, 検討 が 必要と 思 わ れ る。
2.
本 研 究に関 する既 往の研究 超 音 波 法の,
コ ン クリー
トの非 破 壊 試 験へ の適 用につ い て は,
多くの検 討 例が報 告さ れ てい る が, その ほ と ん ど は強 度 推 定を主た る目的と し, 鋼 材等の他の場 合に比 し て か な り特徴的で あ る。
超 音 波 法の コ ン ク リー
トの 非破 壊 試 験へ の 適 用は 1945年 以 降で,
1950年代に は海外で は亅ones , Leslie−
Cheesman,
Whitehurst,
Kaplan
ら,
我が国で は奥 島・
小阪
,
明石,
亀 田ら多くの 研 究 成 果 が 報 告 されて い るn そ れ らの ほ と ん どの検討の趣 旨は測 定 装 置の 開 発に関 す る ものお よ びコ ン ク リー
トの各 種の条 件,
性 質と音波 伝 播速度の関連分析に関す る主題であっ た。
その後し ば ら くは顕 著な研 究 報 告は見ら れ な かっ た が 1970 年以 降, 再び研 究 報 告 数が増 加して来てい る。
そ れ ら は海 外で はElvery
,
Facaoaru,
Malhotra,
ら国 内で は小 阪・
谷川・
山田
・
尼崎らで ある。
こ の年 代の 研 究主 題 は IC 等の計 測 技 術の 進 展に伴っ て測定機器の発達や測 定 精 度が向上 し たこ とに よっ て,
こ の 于法の新し い分 野へ の適用の可3.
コ ン ク リー
ト中の含 水 分が超音波伝 播に 及ぼす影 響 に関 する実 験m 3.
1 実 験の 目的と方 法 本 章はコ ンク リー
ト中の含 水状態が その超音波 伝播に 及ぼ す影 響につ いて定 量 的に把 握す ることを 目 的と し て 実 験室実 験を行っ たn 使 用 材 料お よ び調 合 条 件 等を表一
1に示す。
供試 体はiP
10×20 cm の 円柱 体で20
℃ 水中に28
日 間養 生し,
そ の後に 110℃ を 超 え ない 温度の恒温槽で重 量 変 化が 見 ら れ な く なっ た時 点と し て 2週 間 (予 備 実 験 結 果よ り設 表一
1 使 用 材 料,
調合 材 料 調 含 セ メン ト 普 通ボ ル ト ラン ド 細 骨材 相 模川砂 5mm ρ 2・
57 水セメン ト 比 単 位 水 量 調 合 5D鎚 B飃 合 65玉 200k郎 阻3 細骨 材 率 35 男 粗 骨 材 相 模川砂利 25団皿 ρ 2.
60 15 c旧、
混 和 剤 AE 剤 スランプ 値 (目標 )10
一
定し た)乾燥を行っ たが
,
そ の経 過 中 供 試 体の重量 と 超 音波 伝 播速度を経 時 的に測 定し た。
3,
2
実 験 結 果実 験 結 果の 1例と して
,
供試体の飽 水 状 態か ら乾燥過 程の重 量と超 音 波 伝播速 度の 変 化 状 況 を 図一
1に示 し た。W
/C
の異な る2種 類の供 試体共に ほと ん ど同 様の 傾 向 を示して い るこ と が 分 か る。
そ の傾き はや や曲 線 的 で あ る が, 直線回帰と して分 析を行っ た結 果, 同 図中に 示し た よ うに高 度に有意な相関 関 係と なっ た。
そこ で 2 種 類の調合に つ い て相 関 散布図 を作 成し, 圓帰分 析を行 い そ の結果を図一
2に示し た。 同 図 中に記 し た 回帰式か ら,
実 用 的なコ ンク リー
トの範 囲と して のA
調合(W
/C
; 50%)の場 合 とB
調 合 (W /C ;65%)の場合で その 傾 き に わずか な差があるが,
図上では両 者の差は観察さ れ ず,F
検 定,
T
検定から も 差は認め ら れ な かっ た。
そ こ で両 調合の合 計22体の供 試体につ い ての全 測 定 結 果 404個に関して相 関・
回 帰 分 析 を行い, その結果も併せ て 図一2
に示し た が,
直線 的な比 例 関 係が観 察さ れる。
20 90 ら3
{
り 噐 ≧潤
)
』 〉 60 50 00 」5
3 囲 淵 塵 旧 煽 恥 刷 2
.
70 1.
口a 5.
00 5.
O口 言水 寧 w 〔$) 7.
00 図一
1 供 試体の乾 燥 過 程 中の超 音 波 伝 播 速 度 (1例 〉 同 図か ら は含 水 率が絶 乾 状 態に近い部 分で はや やバ ラ ツ キ が大であ る が,
そ れ以 外の部 分では比 較 的 密 接な関係 が あ る と言え よ う。
回 帰 式は以 下; Y・
=
aX +b
の ユ次 式 を 仮 定し て a=
87 b=
3290 を彳ξ手た囗
上式の係 数 α は直 線の傾き で あ り, 結局こ の場合はコ ンク リー
ト中の含 水 率の 1%の減 少で伝 播 速度は約 90 m /sec 減 少する ことが分か っ た。
コ ン ク リー
トの平 均 的 伝 播 速 度 4,
000m /sec に対 し て2.
2
%程 度の 変 化で あ る。 コ ン クリー
ト中の含 水 率の変 化に よ る弾 性 係 数の変 化は岡 島12 ),
椎 名]3 ] ら も指 摘してい る が,
特に椎 名に よ れ ば コ ン クリー
トの含 水 率の低下 に よっ てヤング係 数は3
%低 下す る と述べ て い るが,
伝 播 速度と ヤ ング係 数 との対 数 的 関 係 を 考え合わ せ る と,
本実 験 か ら得ら れ た 値と同 様 と言え よ う。
3.
3 本 章の ま とめ 本 章で は同一
一
・
の 円 柱 供 試体の含 水率 変 化に伴う 超音 波 伝 播 速 度の追 跡測定を行っ て,
その 関 連を検 討した もの で ある。
実 験 結 果か らコ ン ク リー
ト中の含水 分が減 少す る に従っ て超 音波 伝播速度が 減少す る とい っ た比 例 的な 関 係が認め られ た。
回 帰 分 析の結 果か ら その影 響は,
含 水 分の 1%の 変化に 対し て音速の 変化は 約90m /sec で,
コ ン ク リー
ト中の 超音波伝 播速度の平 均 的な値とし ての 4,000m
/sec に比 して お よ そ2.2
%で ある。 こ の 値は別 途報告し た他の実験シ リー
ズlq ) (材 料,
調 合,
養 生 条 件 等が 異 な る)で得られた値と 近似し て い る こ と, お よ び他の研 究 者に よ る含 水 率の弾 性 係 数に及ぼ す影 響 につ い て の検討 結 果の分析か らも近 似した関 係が得ら れ・
.
。・ た。
これ らの検 討か ら上記の値は本 実 験の成 果と し てコ ンク リー
ト中の含 水 分がそ の超 音 波 伝 播 速 度に及 ぽ す影 響の目 安 値とし て提 案する値で あ る。
〔
p 寄丶
旦》
畠 〉 閥 躍 鯉 邸 煽 即 4.
20 3.
90 3.
60 3.
30 3,
0D 2.
70−
0.
50 1.
50 3.
50 含 水 串ω
(勁 5.
5e ec) 7.
50 9,
50 図一
2 供 試 体の含 水 率と 超 音 波 伝 播 速度の関 係11
4.
コンク リー
トの吸 水 率 が超 音 波 伝 播に及 ぼ す 影 響に 関す る実験15〕4.1
実験の目的, 方 法 本 章は,
コ ン ク リー
トの 内 部 状 態のお お よ その指 標と してその吸水 率を考え, 超音波伝 播速度に及ぼす影 響に つ い て検討し た も ので あ る。
コンク リー
トの吸水率は正 確に は内部の 独 立 気 泡の 判別はで き ないなど 若 干の問題は あ るに して も
,
実 用 的に は効果的な指標で あ り, こ こ では柱状供試体の.
ヒ下 方向に よ る内 部 粗 密 度の差に起因 す る内 部 状 態 を実 験 因子 と し た。
な お,
コ ンクリー
トの 吸 水 率は骨材の試験方 法に準じて,
llO℃ を 超えない 温 度の乾 燥 器 槽内に2
週 間, 水 中 浸 漬2週間に よっ て乾 燥 状態 お よ び 飽和状態 を定 義した。
使 用 材 料は表一
2に示す とお りで, また調 合はA ,B
の 2種 を 目標ス ラン プ値15
,21cm
と し て同表の と お り定め た。
供 試 体は 150Xl50 ×530 cm の 直方体型枠を柱状に設 置 し て 500mm 高さ に打ち 込 み, 実 験 室 内で湿 布 掛 空 中 養 生を行っ た。 材令 8週で,
図一
3に示す よ うに上.
ト部 分 を除く5個の 試 験 片に切 断し, 2週間水 中浸漬お よび そ の後の 2週 問110
℃ を超え ない恒温恒 湿 槽で乾 燥 し, 各 時 点で の比重,
吸水 量お よび 超 音 波伝 播 速 度 を測 定し た。
4,
2 実 験 結 果 (1) 表一
3は結 果の 1 例とし てA
調 合の 試 験体に関 し て, 切断し た各 試 験 片の絶 乾 状 態,
湿 潤 状 態にお け る 超 音 波 速 度,
比 重,
吸 水 率を示し た、 同表か ら,
各性質 は下 方 向に比 例 的に変 化し て お り,
音 波速度は 上下 間で 約200m
/sec , 絶 乾 比 重は約 0.
07,
吸 水 率は約 L2 程 度 の 差が 見 られ る。
そ の上 トの差は各 性 質と もに約 10% 表一
2 使用材料,
調 合 材 料 調 合 セ メ ン ト 普 通 ボル ト ラン ド 水セ メ ント比 60 男 細 骨 材 北上川砂 5田 旧 ρ Z,
55 単 位 水 量 A 200kg /m3内
B 235k呂〆m’
粗 骨 材 只 見川砂利 25ma 細 骨 材 率 35 % ρ 2.
60 ス ラ ンプ 値 (目副 A l5cm B 21c 皿 150 一 12345● ● ● ● ● ● ●●
● o ● ■ ● ■ o ■ ● o ● ● ●●
■
■●
・ O●
● ● ● ■■
●
・ . lmm 〕12 一
図一
3 角 柱 試 験 体 測 定 位 置 で ある こと が推 定さ れ る。
す な わ ちコ ンク リー
トの打ち 込 み の一
ヒ下 位 置によ る内 部 品 質の 差 と 超音 波 伝 播 速 度は 密 接な関係が あ る と考え ら れ る。 (2) 吸 水 率と超 音 波 速 度との椙 関 散 布 図を作 成し たの が 図一
4で,
バ ラ ツキは若 干大 きいが お よそ一
次の逆 比 例 的な関 係にあるこ と が分か る。 図 中に回 帰 式 を記し た が,
その係 数に示す と お り吸 水 率1
% の変 化に対して音 速は 130m /sec 程 度 減 少する とい う傾 向が見ら れ る。 こ の値は コ ン クリー
ト中の平 均 的な音速 4,
OOO m /sec に対 しておよそ3%で あ る。 (3> 本 実 験か ら得ら れ た絶 乾 状態,
湿潤 状態にお け る 超 音 波 伝 播 速 度の差 を 吸 水 率で除し た値はおよそ 60−
80m /sec で あり,
こ の値は前 章の含水 分の影 響に 関す る実 験 値と同様とな っ た。
な お,
こ こ で は測 定 結 果は省 略し たが, リニ アー
トラバー
ス法によっ て求 めた断 面に 表れ た粗 骨 材 率 (測 線 法に よっ て 5mm 以上の 骨材 を横 切る長 さの総 延 長 距 離に対す る比 )は,
本 実 験で使 用し 表一
3 実験結果CA
調合の例 ) 位 Vp (m/S) Wdl 匡) ww ω 絶 乾 吸水 率 医o 置 表 乾 絶 麓 絶 乾 表 乾 比 重 ω (拓日
t) 137393 ユ773495.
63839.
52、
099.
8 2378831923222.
7353q,
62,
089.
6 133836323 石 377L84121.
52、
109.
2 卓 38163293319 ε,
23q80.
o2.
且38.
8 53 呂36321 ユ 4Z60.
54638.
4211 &.
8 6391 ユ 33203640,
03953.
32,
13 呂、
6 1371430673432.
93774,
12,
079.
9 23770313 弖 3149.
63 ξ53.
72.
09I g.
61 2337763 ユ腿 3743.
04087,
E.
2,
i29,
2 43 &30312436 η,
o4005.
02.
129.
0ー
539133278 弓149.
54519.
ε 2.
10 呂.
9ー
63gq132353735.
94052.
32.
14 呂.
召1394933153524
、
63859.
Z2.
0& 9.
・
1 239G831943121.
634 ユ5、
O2,
]o9.
q 3339 託 3Σ803 δ6:.
巳 弓193.
52,
]58.
5 昌 39373294392L δ q258.
12、
L4 &5 Ii 〜 139953z144091.
54437,
52.
148.
4 6399933003596.
B399552,
168.
D(
30 軋 ひ oロ
螽 躍)
10 航 凸 〉 OO む
ア 3 L 囲 躍 寝 匹 馬 融
闇
3 50e.
O口 8、
50 9.
OD 吸水 串 δ ( $19.
s。一
でD。 図一
4 1及水 率と超 音 波伝 播 速 度た 供 試体で は 明 ら か な 上下差は見ら れ な い こ と から
,
こ の場 合の超 音 波 伝 播 速 度へ の粗 骨 材 率の影 響は無い と考 え ら れ る。
4.
3 本 実 験のま と め 高さ50cm の角 柱 試 験 体の高さ方向に関して切 断し た小 片につ い て,
各 種 性 質 と超 音 波 伝 播 速度との 関 連を 検 討し た。
そ の結 果, 超 音 波伝 播速 度はコ ン ク リー
トの 吸 水 率 と 音速は密 接な関係が あ ること が分かっ た。
その 関 係は お よ そ直 線 的な負の相関で,
回 帰 分 析の結果 か ら 吸水 率の 1%の 変化に よっ て超 音 波 伝 播 速 度は約ユ30
m /sec 変 化す る。
こ の値はコ ンク リー
ト中の超 音 波 伝播 速 度の平 均 的な値 4,
oeo
m/sec に対し て お よ そ3
% で あ る。 本 章では高 さ50cm の柱 状 試 験 体の場 合で あっ た が 打ち 込み の一
ヒ下 間に よ る明ら か な性 質の差が見 られ,
実 施構 造 物へ の本 方 法の適 用に際し て は, 本実 験で得ら れ た以上に無 視 し得 ない要 因 とな ると考え ら れ る。一
方,
超 音 波 伝 播 速 度は敏 感に こ れ を 反 映 してい る と言え る。
5.
コ ン ク リー
ト中の微 小ク ラッ クが超音波伝 播に及ぼ す 影 響に関 する実 験16, 5.
1 実 験の 目的, 方 法 本 章は柱 状 供 試 体に与え た載 荷履 歴に よっ て内 部に発 生 し た ク ラックを 断 面 観 察か ら その状態 を定暈化 し,
他 方で あ らか じ め測 定し た超音波伝播速度との関 連 分 析か らこれ らが超 音波 伝 播に及 ぼ す影 響につ い て検 討し よう とす る もの で あ る。
使用材 料は表一
4 に示 す と おり で, また,
調 合は水 /セ メン ト比60
% で,
単 位 水 量が226 kg/m3,
石 灰 岩 質の砕石コ ンク リー
トである。
供 試 体はφ10×20mm の 円 柱供試体を用い, 標準水 中 養 生 を 行っ た材 令
4
週で,
別途供 試 体の圧 縮 試 験 を 行っ た結 果か ら当 該 供 試 体に その破 壊 荷重の各々 100,
90,
70,
50,
30 %を 載 荷履 歴 し,
超音 波 伝 播 速 度を測 定し た。
さ らにその後に供試 体を載 荷 軸 方 向に 切断して,
直ちに赤 インクを 浸 透, 乾 燥さ せ,
その後に カー
ボラン ダム で切 断 面 を研 磨 し,
ルー
ペ に よっ て ひび割れ状 態 を 測 定 する。5.
2 実 験 結 果 (1) 図一
5は載 荷 履歴 を有す る 供 試体の 断 面の ク ラッ ク率 と超 音波 速 度 比の関 係を 示 し た もの である。
同 図は コ ン ク リー
トの断 面に表れ る骨材界 面とモ ル タ ルマ ト リ 表一
4 使用材 料,
調 合 材 料 胴 合 セ メ ント 普 通 ボル ト ラ ンド 水セメン ト 比 60z 細 骨 材 北 上 川 砂 2.
5m 単 位 水 量 226k縄/旧3 ρ 2.
55 2]cm 粗 骨 材 多 摩川産 石 灰岩 質砕石 20m鳳 ρ 2.
69 スランプ値 (目 標) 1.
00 o.
98 囲o,
% 聰 儲o.
9ら 0.
92 口.
O‘ 0.
07 0.
19 0,
13 クラッタ 長 / 断 面積比 (咀 ノc■L
) G N 図一5
ク ラッ ク量 比 と超音波伝播速度比の関係 クスとの付 着 部の ク ラッ ク (ボン ドクラック〉お よ びモ ル タル部 分の ク ラ ッ クを合 計し た全ク ラック長 さ を その 断 面 積の比 率で求めて横 軸に目盛つた。
次に その供 試体 の載 荷 前お よ び所 定の レベ ル まで載荷 し た後の超音 波 伝 播 速 度の比率を求め, 。 こ れ を縦軸に目盛っ て相 関 散 布 図 を作 成し た もので あ る。
同 図か ら 比較 的 密 接な一
次の 逆 比 例の関 係が観 察 さ れ る。
(2)一
ヒ記の図か ら内部ク ラッ クの 進 展に伴う音 速の減 小 程 度は ク ラックの総延長 長さ/ 断面積比が 10%に対 し て約ユ0% で あ ること が 分 か る。
こ の クラ ッ ク長さ は, 供 試 体に その破 壊荷重の約90%の 載 荷 履 歴 を与えた場 合に発 生し た ものであe) r ク ラッ クの超音 波 伝 播 速 度へ の影 響は少ない と 言 え よ う。
(3) 図一
4, 5を 比較す る と,
空 隙 やク ラッ クといっ た内 部 欠陥が超音波伝 播 速 度に明ら かに影 響 を 及ぼ すと い う類似 し た関係が見られる。
こ れ ら の欠 陥は寸 法的に は数mm 以内程 度で超 音 波の 波 長 (およ そ8cm
)に比 し て 十 分 に小さいと言える。
そ の場 合の影 響と して は直 接 波 が 伝 播 するが,
透過 時のエ ネル ギー
の減衰およ びコ ンク リー
トの弾 性 的 性 質の低 下に伴う音 速の低 下 を招い て い ると考え ら れ る。
これ は併せて測 定した動 弾 性係数 の変化率田 もこ れ を 示 唆 してい る と言える。
そ の影響 程 度は, 本 実 験に お ける コ ンク リー
トの 吸 水 率 8− 10
% の範 囲で超 音 波 伝 播 速 度の変化率は約7%,
ク ラッ クの 影 響につ い て は破 壊 荷 重の90
% 程 度まで載 荷 した供試 体の場 合で, 伝播速 度は約 10 %低 下 する。
5.
3 本 実 験の ま と め (1) 載 荷履 歴 を 与 え たコ ン クリー
ト供 試 体につ いて,
そ の切断面の観察か ら,
内 部ク ラ ック の超 音 波伝播速度 に及ぼす影 響につ い て検 討し た。
その結 果,
供 試 体へ の 載荷前と載荷 後との超 音 波 伝 播 速 度の比 率 と,
ク ラ ッ ク 長 さ 比 との 間には負の 相 関 関 係が見られ た。
その傾 向は 破 壊 荷 重に対 して 90% 載 荷し た場 合に発 生す る ク ラッ ク の総 長さの断 面 積に対する比 は無載荷 時に比べ てお よ そ 10倍とな る が,一
方,
超 音 波 伝 播 速度の低下率は 10一
13
一
%以 内であっ て
,
比 較 的 小さい、
こ の結果 か ら超音波 伝 播速 度 はコ ン ク リー
ト中の微細 ク ラッ クの影 響にっ い ては や や 鈍 感であると言え よ う。
こ の傾向は載 荷 中の コ ンク リー
ト供試体の超 音 波 伝播速 度の変化の検討におい てIS’
),
荷重レ ベ ルの 伝 播 速 度へ の 影 響 が 少 ない こと もこ れを示 唆している と言え よ う。 (2) 前 記4章の結 果と併せ て検討す る と,
コ ンク リー
ト中の 2種 類の 微 小の 内部欠陥は,
超音波伝 播速度を 10% 減 少させ る とい っ た同様の 影 響を及ぼ す と言える。
し かし,
その両 者の影 響 度を比 較す る と,
前 者の内 部 気 泡 量に 関し て は わずか 50cm の縦 打ち試 験 体の場 合で 内 部 気 泡 率が約0.
5% 変 化 し,
音 速は約300m /sec の 変 化 となる。一
方,
後 者の内 部 微 小ク ラック の影 響に関 して は破壊荷重に近い載 荷 履 歴 を有する供 試 体で も音速 の変化は約ユ0
% である。
実 施 構 造 物 を想 定し た場合に コンク リー
トの超 音 波 伝 播 速 度へ の影 響は,
前 者の気 泡 量の影 響は大で あ り, そ の結果, 本方 法による内部状態 の相対的な評価は可 能と考え ら れ る が, 後 者の ク ラッ ク の 影 響は小で あ り,
実 務 的に はその影 響 を評 価す るこ と は困 難であ り,
逆にその影 響を 無視し得ると言え よ う。 6.
コ ンク リー
ト中の粗 大 空 隙 が音 波 伝 播に及 ぼ す影響 に関 する実 験17〕 6.
1 実 験の目 的と方 法 本 章は超 音 波の 波 長・
」’
法に比し て十分に大きい欠 損 (疑 似 欠 陥 )が超 音 波の 伝 播 特 性,
特に伝 播 経 路を推 定 す るこ と を 日的と して実 験を行っ たもの であ る。 使 用 材 料は, 本 章の実 験で は測 定 誤 差 要 因を少な くする た め に コ ンク リー
トの モデル とし て モ ルタル を用い,
水セ メ ン ト比60%, ワー
カ ビ リ チィー
はス ラ ンプ 値を18cm 相 当と し た。
使用材 料,
調 合は表一
5に示す。
供 試 体は直 方体で, 寸法は150×150×530cm , 内 部に図一
6 a〜
c 表一
5 使 用材 料,
調合 材 料 翻 合 セ メン ト 普通 ボル ト ラン ド 水セメン ト比 60 匿 細 骨 材.
多 摩 川 砂 2.
5 黶m ρ 2.
60 フロー
値 ( 目 標 ) 1呂0〜
20a ロ ロ に示すよ うな欠 損 部 (疑 似 欠 陥)を設け,
そ の幅は ユO,
20, 30mm,
長 さ は 300,
400 mm と し た。
超音波伝 播 の測 定は周 波 数50KHz の 端 子を用い,
図一
7に示す よ うに試 験 体の欠 損 端 直上部より Omm,
70 mm,140
mm の位 置に発 信 端 子を固 定し,
こ の位 置を L と し た。
次 に受 信 端 子は,
その対 抗 面 上 を 移 動・
走 査して各点にお ける最 初の受 信 波の到 達 時 間を求め た が,
この受 信 端 子 位置を空 隙 端か ら Pmm とし た。
P 点で受 信す る 音 波 は図一
7に示すよ うに 直接 経 路 1,
空隙 端で の回 折 経路 2,
お よび対 向 面の反 射 経 路3,
が想 定さ れ るe ま た,
図中で, 直接経路が空 隙 部を横 切る位 置を 空隙 端か らの 距 離でDmm
と し た。
伝 播に要し た実 測の所 要 時 間に 対して供 試 体の既 知の伝 播 速 度 (密 実 部 測 定によっ て得 る)か ら伝播距離を算定し, こ れ によっ て伝 播 経 路を推 定し よ う と す る もの で あ る。
6.
2 実 験糸吉果 (1) 密 実 部の 音波 伝播速 度 密実 部にお け る伝 播 速 度は, 9体の供 試 体につ い て測 定し た結果,
平 均 値は3.
432km /sec で,
バ ラ ツキは 1%以 内であっ た。
(2
} 欠損部分 に お け る測 定 結 果 欠損の 幅の 影 響につ いて は,
]O,
20,
30mm の問に は測 定 結 果の差がみ られ ない 故に こ こ で は 30mm の結 果につ いて記述 す る。
最初に欠 損 先 端 が 角 形の供 試 体の 場 合の 音波伝播の測 定 結 果 を 図一
8に示し た。
同 図は送 送 僧 端子位 置 L 1 :直接 透 過 経 路 2 :空隙 端 部 での 回折 経 路 3 :対 向 面で の 反射経路 直 接 透 過 騒 路が 空隊 を横 切 る 位 置 P:受 信 端子位 置 発 倡 端 子 位置 L 受 信 端子位 置 P 限 界 位 置 D ; (二
L−
〔L.
P) 〆2) 図.
・
−
7 測 定,
分 析 説 明 図 t=
10。
20卩
30 nm とする (a) 欠 損 端 部が角型 (b} 欠 損 端 部 が 曲 型 〔c ) 図一
6 供 試 体の形 状と寸 法 欠 損が試験 体 端 部ま で一 14 一
140 ool 60 04 壓 智 鰹 項 斑 殖 3 反射 経 路
.
(計 算 面覊
1 〈.
N
’
、
メ
\
ノペ
2
/
/
:
/\
\
/
/
ノ 〆 τ一
丶 P’
直 接 縫路 〔計算値 〕、
回折 鰻 賂 (計算 値)u
諏
th14e 測 定 縞 果 LO 20 30 40 受信 端 子 位 置 Pcm L じロ 0.
O7.
0M.
0 平 均 P c田 U.
0z.
o一
6.
0一
D 己ロ 5.
54.
54 』 4.
7 0 θ(
U b 咀 醗 嘸 隠 督 南 欟 図一
8 超音波伝 播 経 路の検 討 〔1) 欠 損 端 部が角 型の場 合 3 反射 繕 路 (計 算 値 )一”
N
,/
実 測偲/
/
1 直接 経 賂 (計算 値)ボ
’
\
N
』 一
.へ
丶
\ ・/
/
\
鷺鬘
盤
, //
’
一
.
S
−
IL
’
P 刀 ゜ L鼎
位 置 , 4 °cmn
i
測 定 結 果 L cコ 0.
σ 7.
o14.
0 平 均 P c国 13.
03.
4一
2.
o一
Dc 逼 6.
55。
26.
o5.
9 図一
9 超 音 波 伝 播経 路の検 討 (2) 欠損 端 部が丸 型の場 合 信 端 子は欠 損 部 端 部 位 置に固定し,
受 信 端 子が そ の対 向 面 を 走 査 した場 合の結 果を示し た もの であ る。
横 軸は送 信 端子の欠 損部の端か らの距 離で,
縦 軸は伝 播 時間 を示 し て い る。
図 中の実 線は実測結 果,
すなわ ち,
各 位 置に お け る受 信 端丁一
が 受 信 し た最 初の波の到 着の所 要 時 間を 表 し た。
また図 中の点 線は送・
受信端子 間の 直線 距 離 を 平均伝 播速度で除し た値で,
超 音 波が 両端子間を直線 的 140 001 60 m 駄 蹕 澄 騷 潟 0 = L’
「
‘ , 9/
」
, ,!
認M
\
.
/
、
グ
L=
14/
t<
/
/
. ・.
・’
denHL k l/
.
1罰
;
一
10 測 定 縞 果 0 10 20 30 受 信 端 子 位 置 C皿 L c 国 0.
O7.
014,
0 甲 均 P c ロ 10.
24,
4一
3.
o■
D cn545.
25.
55.
4 図一
10 超音 波 伝 播 経 路の検 討(3) 欠損 が 試験 体 端 部まで の場合の実測 値 (L ;0.
0 70.
O l40.
0) に最 短 経 路 を伝播し た と仮 定し た場 合の計算 上の 所 要 時 間で あ る。
ま た,一
点 鎖 線は, 供 試体の端面か らの反 射 経 路 を伝 播し た と仮 定 した場 合の伝 播 時 間で,2
点 鎖 線 は欠 損 端部で超音波が回 折し たと仮 定し た場 合の計 算上 の所 要 伝 播時 間で ある。
(3
)同様に,
図一
9は欠 損 端 部が丸型の場 合で,
かっ 発信 端子 位 置を欠 損 端 部よ り70mm の位 置に設 置し た 場 合の結 果を示し た。
〔4
>ま た
,
同 様に図一
10は欠 損 部が試 験 体 端 部 まで 連 続して い る場 合の結果で,
発 信 端子 位 置を欠 損 端 部位 置,
お よ び 70,
140mm の位置に設置し た場 合の測 定 結 果 を示 し た。 (5) 音 波伝播 時 間の検 討上記の 3図におい て実 測の伝播時間を示す実 線が急 激 に増加す る位置が共 通 して確 認さ れ る
。
こ の位 置を P 点 とし,
受信端 子 位 置を 0 点, 直 線OP
が欠 損を横切 る位 置と欠 損 端との距 離 をD とす る と以下が分か っ た。
な お,
検 討につ いて の条 件と して,
モ ル タル中の伝 播 速 度は 3.
342km /sec,
周 波 数が 50KHz
の 場 合そ の波 長 は 3.
342/50,
OOO =O.
e66S
m す な わ ち,
約6.
68 cm であ る
。
a ;図一8
でP
点は11cm,
し た が っ て D は 5.
5cm (3 回の試 験の測 定 結 果の平 均 値 )であっ た。
b;図一
9で, 発信 端 子 位 置 L を7cm と した場 合ではP
点は3.
4cm,
結 局D
は5.
2cm (上記と 同様に 3回の平 均 値)と なっ た。
一 15 − .
c;図
一10
で,
発 信 端 子 位 置 をL =・
Omm,
70mm,
140 mm の場合の実 測 結 果 を示 し た。
伝 播 時 間 を 示す線の変 化点P
と 発信子位置 L を結ぶ線の欠 損 部との交 点P は 図中に示す よ うに 5.
1,5.
7,
5.
5cm で,
平 均 値は 5.
4cm,
こ の値 は 波 長 6.
68 cm に近 似し て い る。
d
;上記 3図に共通し て, 実 測 値は 0−
P 間で は点 線に近 似し,P
点を超え る位 置で は一
点 鎖 線に近 似し て い る。 す な わ ち0−P
間の範囲は発 信 端子か ら受 信 端 子へ 超 音 波が直接 透過 すると言え る。
次に 0−
P 問を超える位 置 では超音波は反 射 経 路に近 似した距 離 を伝 播す ること が 分かっ た。
以上の検 討か ら, コ ンクリー
ト中の超 音 波は発・
受 信子 問に空隙が あ る 場合,
その空 隙の大き さが 波 長 寸 法よ り 小さいと密 実 部と 同様に両端子 間を 直接 伝 播する が, 空 隙 が 波 長 寸 法 より大で あ る と直接透過波は伝播せずに, 影の部 分と な るnt) 。 その位置では対 向 面 等か らの反 射 経 路に近 似し た経路 を 伝 播 し た 音 波 が 受 信 さ れ る。
この場 合の欠 損は端 部の形状は角型, 丸 型お よ び欠 損の大き さ の影 響は見ら れ ない。
6.
3 本 実 験の ま と め コ ン クリー
ト中の粗 大な欠損は,
音 波 伝 搬に明 らか な 影 響 を及ぼす。
音波伝播の直角方向に,
波 長に比し て十 分に大きい寸 法の空隙が あ る場 合,
その空隙の幅お よ び 端部の形に は影 響 を受 けず,
直接 透 過 波の 伝 播は妨げ ら れて影 を生じる。
本 実 験の範 囲で は波 長寸法を超え る寸 法 が影を生じる限 界 値で あっ た。 な お,
影の部 分には直 接透過波 以 外の波 が 到 達して いる が,
その 経 路は到 達 時 間の検 討か ら反 射 波の経 路と考え ら れ る。7.
まとめ コ ン ク リー
ト中の超 音 波 伝 播の,
基 礎 的 性質の把 握を 目的と した実験 室 実 験を行い,
その結 果の 検討か ら以下 が言え よ う。
1 ) コ ン クリー
トの含 水 分は伝 播 速 度に影 響を及ぽ す。
その影 響の程 度は, 含 水 率が 1%増すに従っ て伝 播 速 度が約90m
/sec 増 加するb
こ の値は絶 乾 状 態か ら表 乾 状態との 差 を見ると比 較 的 大き く,
伝 播 速 度の測 定 時に は含 水 率をでき るだけ正 確に把 握 し,
そ の影 響を考 慮し て実 質 的な伝 播 速 度を算 定する必要が あ る と言え る。
特 に構 造 体 間の差の検討等含 水 率が変 化する場 合で は注 意 を要す る。
た だ し1構 造物 内に お い て は,
測 定 対 象 部の コ ン ク リー
トの材令や養 生 条 件 等が 近似す る た め 含水 率 注 物 質 相 互 間の振 動の伝達に関 する検 討に.
音 響 的 インピー
ダン スが 用い られ る こと が あ る。 これ は音速と密 度の積で, コ ン ク リー
ト,
水、
空気に つ い て 求め る と,
各々 8.
1,
1.
50×10E’Nsm,
428.
6Nsm であ る。
す な わ ち,
コ ンク リー
・
トと水では その比率が 5程 度で比 較 的 近 似 し て い る が,
空 気の場 合は その比が 1び す なわち 約100万と なっ て,
著し い差 が あ るこ と が 分か る。
し たがっ て そ の両 者 間で は振 動 の伝 達は ほと ん ど ない と考えられ る。
一
16
一
の変 化は小さ く,
その影 響 も小さい。
特に強度推 定 等にあ たっ て は
,
含 水 分の影 響は強度に は負の効 果 が,
伝播 速 度へ は正の効 果が ある こ と は特 筆 すべ き傾向であ る。
2>コ ンク リ
ー
トの内 部 構 造は,
超 音波 伝 播速度に影響 を 及 ぼ す。
内 部構 造を表す1指 標とし て吸 水率を考え, 超音 波 伝播速 度との関 連 を検 討し た。 その結 果,
吸 水 率 の 1%増 加で伝 播 速 度は約 130m /sec 減 少す る といっ た 反 比例的な 関係が得られ た。
こ の影 響は 比較的 大であ り,
伝 播 速度か ら構 造 体コ ン クリー
トの 均 質 性を相対的 に評 価す ることは可 能である.
3) コンク リー
ト中の クラック は超 音 波伝播速度に影 響 し,
供試体に,
その破 壊 荷 重の 90 %の 載 荷 履 歴を与え た場 合の ク ラッ ク量の 及 ぼ す影 響は,
伝 播 速 度を約10
% 低 下さ せる。
し か し,
この値は他の条 件の影響に比 べ て小さ く,
実 施 構 造物の測 定では内 部 的な破 壊につ い て は伝 播速度か ら評価す ることは困 難であ る。 4}コ ンク リ
ー
ト中の超音 波の伝 播 経 路 中に,
粗 大な空 隙 等の不 連続 部が あ る場 合, その音 波 伝 播は著しい影 響 を受け る。
空 隙部を挾む対 向 面に設 置し た超音波の発信 端 子と受 信 端 子は,
両者を結ぶ 直線 経 路上に波 長寸法よ り大きい空 隙が あ る場合に は直 接 波は伝 播せ ずに影を生 じる。
波長 寸 法よ り小さい空 隙の場 合は直接 波が伝 播し,
その空 隙の影 響は わ ず かで,
実 務 的に は検 出する こと は 不 可 能である。 ま と めと し て,
本 研 究ではコ ン ク リー
トの含 水 率,
吸 水率,粗大な空隙 等の,
従 来定 量的に把 握さ れ て い な か っ た超 音 波 伝 播へ 及ぼ す影 響につ い て明らか に し た。 その 結果か ら,
コ ン クリー
トの内部 状 態の評 価,
特に吸 水 率 で表 現されるよ う な 内 部 状 態お よ び粗 大な空隙の存在の 評 価が可 能であり,
主 に構造体内の均 質 性の判 定には効 果的に利 用さ れ よう。一
方,
若 林 令 時には含 水 状 態の影 響が大き いと考え ら れ,
本研究の結 果によっ てその 影響 を 考 慮 すれ ば,
よ り精度の高い推 定が可 能と な る。 謝 辞な お, 本 研 究は早 稲田大学 田村
恭 教 授お よ び 芝浦工 業 大 学 十 代 田 知三教授の指導をう けて行っ たもの で
,
記 して深謝 致しま すe ま た,
引用 し た実 験は ほ と ん ど は武 蔵工業大学建 築 学 科の修 士 論文,
卒 業 論 文とし て実 施し た もの で,
尽 力 頂い た多くの卒 業 生 諸 君に感謝致し ま す。
参 考 文 献 ) 1 2) ) 3 コ ン ク リー
一
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