【論 文
1
UDC :691 :620.
178.
7 日本 建 築 学 会 構 造 系 論 文 報告 集 第 358 号・
昭 和 60 年12月脆性材料
を
対象
と
し た
衝
撃 曲
げ
強
さ
の
評 価 法
に
関
す
る
基
礎 的
研
究
正 会 員 正 会 員 正 会 員* 榊 ホ ホ ホ
次
典
昭
泰
泰
孝
治
藤
保
久
佐
松
大 §1.
序JIS
規 格の ある各 種 建 築 材 料の う ち,
屋 根 材 料,
外 壁 材 料などの板 状 材 料で は,
衝 撃 強さ試 験を規 定して いる 例が多い。
こ れ らの衝撃 試 験で は, 飛 来 物の衝突な ど を 想 定し, 試 験 法と し て鋼 製 ナス ビ形の錘 を板 面 上に落 下 さ せ,
損 傷の有 無 を調べ る な どの方 法が採 用さ れてお り,
材料の耐 衝 撃 性 能を定量的に表す方法 が採ら れてい る例 は少な い。 すな わ ち,
これ らの 方 法は そ れ ぞ れ具 体的な 衝 撃形態を仮 定し て,
その材 料固有の試 験 法と し て定め てお り,
製品規 格と して は合 理 的な試 験 法 とい え るが,
各種材料相互の衝 撃 強さ比較に は必 ずしも適さ な い。 本 研 究は,
各 種 材 料 相互の衝 撃 性 能の良 否の判 定が可 能な汎 用性のある衝撃強さ試験法を確 立す ることを目的 とし た研 究であ る。 材 料の強 度 試 験 法は,
常に具 体 的な試 験 方 法の上に成 り立つ もの であり,
衝 撃強さ試験法も例 外で はない。
本 研 究で は,
単 純 支持 状 態のはり状 試 験 体の中 央に衝 撃 体 を 衝突 させ, 衝 撃 時に生 ずる衝 撃 体の加 速 度の変 化よ り 評 価 値を得る こ と を試み た。
こ れ は,
JIS
に定め た シャ ル ピー
試 験 法 等と同 様に衝 撃 曲げ 試験の範 疇に入 る 試 験 法であ る が,
本研 究で は, 試験 体の衝撃に対す る曲 げ耐 力を試 験体自身が強 度 特 性と し て持つ衝 撃 曲 げ強さと質 量特 性と して持つ 慣 性 抵 抗 力の 2つ の要 素か ら な る と し, 両 者 を分 離し て考 察して いる。 本 論 文は,
脆 性 材 料を対 象と し た衝 撃 曲げ強さ試 験の 解 析を行い,
モデル試験 体を用い た実験に よっ て これを 検 討 し,
本 論 文で提 案し た試 験 方 法が,
各種 材料相互の 衝 撃 強さ比較がで き る合 理的な衝撃試験方法お よび評価 法の一
つ であ るこ と を示し た もの であ る。
§2.
衝 撃 曲 げ試 験の解 析 本論文の一
部を昭和59年 度大 会学術 講演 梗概集お よび 昭和 59年,
60年の 九州 支 部 研 究 報 告 集で発 表し ている。 1 九州 大 学 教 授・
工博 # 九 州 大 学 助 教 授・
工博 # 1 九 州 大 学 大 学 院 生・
工修 〔昭 和 60 年 3 月 ll 日原 稿 受 理日,
昭 和 60 年 5 月 31 日改 訂 原 稿 受 理日,
討 論 期 限 昭和 61 年 3 月 末日) 2.
1 解 析の対象 試 験体に衝 撃体を衝突さ せ て試 験体の衝撃強さ を知ろ う と す る試 験 法では,一
一
va
に,
衝 撃体は衝撃試験装置の 加 力 要素と して位置づ け ら れ,
衝 撃 体の挙 動を計 測して 試 験 体の耐 力を知ろ う と す る方法n・
2痔,
直接,
試 験 体の 挙動 を計測 する方 法3〕,
ある い は,
これら の両 者の挙 動 を計測す る方 法4)が あ る 。 この 中で,
衝 撃 体の挙 動を測 定 対 象と す る方 法は, 試 験 装置の計 装 化が容 易と な る利 点がある。
衝 撃 体が試 験 体に比べ て十 分に剛であ れ ば,
衝 撃体の 加 速 度の経 時 変 化は,
衝 撃 時の試 験 体の 応 答を示す と考 え ら れ る。
本研究では,
単純支持状態の は り 型試 験体の 中央に衝 撃体を 衝突さ せ る 場 合 を対 象と し,
測定さ れ た 衝撃体の加 速度波形か ら求め た力積によっ て衝撃力 を評 価す ること と し た。
2.
2 つ り合 方 程 式 単純 支持 状態の試験体の中央に衝撃体を衝突さ せ る 場 合,
衝撃 体と試験 体との衝撃 接触 時 間 中の時 刻t
に お け る 力の つ り 合い は,
(2.
1
)式で表 さ れ る。
FKt
)十F
粛)十Fs
(の=P
(t
}・
・
…・
・
……・
…・
tt
(2.
1 ) こ こ に,
FKt
):慣 性 抵 抗 力 FMt ):粘 性 減 衰 力Fs
(t):衝 撃 抵 抗 力P
(t
):衝撃力 右辺の 衝 撃 力P
(t)は,
衝 撃 体と試 験体との接 触 時間中 の衝撃 体の加 速 度よ り得られ,
衝撃 体が十 分に剛であれ ば (2,
2)式で与え て も差し支えない。
・(
t
)− Mdl
{
’1
;
121t
)一
〃・(・)…・
一 ………・
…
(・.
・) こ こ に,M
:衝 撃体の質量 a〔t):衝 撃 体の 加速度 衝 撃 力を受け る試験体が,
静 的 外 力 を受ける場 合と著 し く異な る点は,
(2.
1)式の左 辺 第1項の試 験 体の慣 性 抵抗力E
(t
)を無視で き ない ことで あ る。 左辺第2
項の 粘 性 減 衰 力Fo
(t}は,
本研 究の よ うに,
試 験体を必 ず一
打 撃で破 壊する場合,F
,(t
),Fs
(t}に比べ て極め て小さ く
,
衝 撃 時 間 中の影 響は無 視できる。
第3
項は,
試 験体 自身が強 度と して持つ 衝 撃に対する 抵抗 力で,
静 的 曲 げ 試 験におけ る試 験 体の曲 げ強さ に相 当す る。 既 往の研 究で は, 衝 撃 前 後の衝 撃体の運動エ ネルギー
の差や衝 突 前の衝 撃 体の位置エ ネルギー
等, 衝 撃 力 をエ ネルギー
の単 位で表し たもの が 多い。
しか し一
般に, 衝 撃 力は (2。
3
)式に示さ れ るよ うに力 積の形で定 義さ れ るs}・
fi13。P
一ゐ
P
ωd
‘・
…一 …・
一…・
……・
・
…・
…
(2.
3)At
:衝 撃 作 用 時 間武 藤ら7,は外 力が瞬 間 的に作 用する現 象におい ては , 変形は力 積に比例し
,
破 壊は外 力の大 き・
さでは な く力 積 の大き さで定まる こと を報告し て い る。
筆 者ら も, 衝 撃 試 験に おいて は,
力 やエ ネルギー
の物 理 量で評 価す る よ り も,
強さ という立 場からは力 積 を 用い る のが適 切で あ る と考え る。
そ こで,
(2.
1)式に おい て,
Fo(t)・
=
O と 仮 定し, さ らに接触時間全域につ い て積 分し た結 果 を,
(2.
4)式で与え る。
Fs; P−
F,・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
t…
一
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
t−
〔2.
4 ) こ こ に,
Fs を静 的 曲 げ強さ に対 応する意 味で, 衝撃 曲 げ強さ と呼ぶ。P
は衝 撃 力,
F,は慣 性 抵 抗 力である。
ま た試 験 体の慣 性 抵抗 力 も含ん だ全 衝 撃 抵 抗 力 を考え る 場 合には,
君+Fs,
すな わ ちP がこ れ を 示す。
こ れ を 衝 撃曲げ耐 力と呼び,
衝 撃 曲 げ強 さFs
と 区 別 する。
2.3
衝 撃 力 (衝 撃 曲 げ耐 力 )P 衝 撃 時に衝 撃 体に生ずる加 速 度は, 定性 的に は, 図一
2.
1に示 すような経 時 変 化 を示 す。
加 速 度が立 ち上っ て 再び零に戻る までの時 間At
を衝 撃 体と試 験 体との接 触 時 間 と す る。
衝 撃力 (衝 撃 曲げ耐 力 )P は, 加 速 度 波 形 をAt
の範 囲で積分 して衝 撃 体の 速度の 減 少量 AV を求め,
衝 撃 体の質 量 を乗じ た力 積で与え ら れ る。
2,
4 慣 性 抵 抗 力F
, 中 央に集 中 荷 重 を受ける単 純 支 持試 験 体で は,
試 験 体 形 状,
ス パ ンおよび衝 撃 速 度に応じ た変 形モー
ドを 経て 破 壊に至るS )。 こ こ で は,
最 も基 本 的な場 合と して,
図一
2.
2に示す よ うな変 形モー
ドで破 壊す る場 合につ い て 検 討 する。
こ の場 合, 試 験 体の支 持 条 件 を,
図一
2.
3に α「
.
.
・
.
.
.
L
−
。t
一
図一
2.
1 加 速 度 波 形 士 衝 撃刀 P義
、
\一
!・
/ 図一
2.
2 変形モー
ド 〈 平 面 〉 (A )隆
く立 面》 〔衝突 前 }”
一
’
t
−
.
.
園
}
}
試霾 佐 く衝突後 1 回 転中心 試験体ホル ダー
図一
2.
3 衝突 前 後の試 験体と衝 撃ハ ン マー
の動き 示す よ うに, 破壊さ れ た試 験 体が支持 点 回りに回転 する よ うに制 御す る と, 試 験体の慣性抵 抗 力は以 下のよ う に な る。
衝 撃 体が速 度 V。で衝 突 し た場 合,
衝 撃 体は試 験 体 を 二分 割し た後,
速 度Vi
で通 過 し,
二 分 割 された試 験 体 は各支持点 回り に同じ角速度で回 転を開 始す る と仮 定 す る。
衝 撃 点か ら片側,
す な わ ち二 分 割さ れ た試 験 体の一
方の 支持 点回りの慣 性モー
メ ン トをJ’
とすれ ば,
接 触 時間中の各時刻に お け る支持 点 回り の モー
メ ン トで表し た 慣性 抵抗 力Fl
(t)は 次 式で与 え ら れる。F
;(・)一 ・・’
¥
’( tt )…・
…・
…・
…・
……・
−
ny
−t
(・.
・) ca(t
);試験 体の角速度ま た
,
∬’
は (2.
6)式によっ て与え ら れ る。
・
’
一
去馴
(・一
・β・ ・β・ )(
号)
t +D・}
・
…
(… ) こ こ に,
m :試 験 体の質量L
:試 験 体の長さ1
:曲げスパ ン D :試 験体の せい 1β
=
T
(2.
5)式で示し た Fl(t)は試 験 体の支 持 点回 りの モー
メ ン トに関する慣 性 抵 抗 力である。
(2.
1 )式に お い て,
Fp
(t
)=0
と し,
Fs
(t
)が 試 験 体の衝 撃 力 を受け る位 置に 集 中 して作 用 する モ デルを考え れ ば,
接触時間中の時 刻t
に お ける支 持 点 回りの モー
メ ン トに関するつ り合 式 は,
(2.
1)式 より次 式で与えられ る。 Fl(の十Fs(t}・
r=P
)・
r・
…・
………・
……
(2.
7 ) た だ ・, ・尋
支黼 ・ 齷 点・・聯 )・… (… 〉 式に (2.2
)式お よび (2.5
)式 を代入 し て整 理す れば,
一 11 一
次 式を得る。 た だ し
,1
= 21’
と す る。ll
−
@i
・lft2it
}・ 凡ω一
鰐
i
‘L
・
・
………
(・・
8) (2.
8 )式の 左辺第 1項, すな わ ち F’
Kt
)/r が,
(2.
1) 式に おける慣 性 抵 抗 力F,(t)に相 当す る。 さらに,
(2.8
)式を衝 撃開始 時t
。か ら,
接 触 時 間 中の 任 意の 時 刻 tまで積 分 すると (2.
9)式 を得る。
⊥ ω、+
F
、 、−
M (v。− v
,)一 ・
………・
一 …
(2.9
) な お, 記 号 添 字の tは,
時 刻t
に おける値 を示す。
こ こ で, 接 触 時 間 中に おける時 間 変 数 et を (2.
10) 式で定 義す る。
。尸 γ ω厂 Vt
.
.
.
.
.
_.
.
.
.
.
.
.
_……__….
.
.
(2.
10) (Z.
9)式,
(2」0)式よ りω εを消去す れば (2.
11
)式を 得る。
Mr ! IM (1+e、)v
,十FSt
Mr2−
etl Mre−
etl=
・
M (Vo− y
‘)………・
…・
…・
…一 ……・
…・
・
(2,
11 > (2.
11) 式の右 辺は力 積で あり,
し た がっ て FStも ま た 力積で表さ れ る。Mr
’ 》 ∬ の場 合,
す な わ ち一
般に, 衝 撃 体の質量 が試験体の質量 よ り十 分に大きい 場合には,
(2.
ll>式は (2.
12)式で近 似で き る。
(
1
+ et)去
硫+FSt−
M (V。−
Vt>「
・
・
………・
(2.
・12) 7 す な わ ち,
時 刻 tまで の慣 性 抵 抗 力は, 力 積で表 示 す れば,
(2,
12)式の左 辺 第1
項で与え られ る。F,t
−
(1+ e。ヒ〜
骸一 …・
………一 ……t・
(2.
13) 7 こ こ で,
(2.
13)式の et につ い て検 討する。
図一2.3
に示し た衝 撃 試 験 装 置の試 験 体ホル ダー
の片 方 の み に木 製お よ びア ク リル製の試 験 体をセ ッ トし,
種々 の速 度で衝 撃 体を衝 突さ せ た 場合, 衝撃 体の加 速 度,
速 度および試 験 体の衝突線上の平 均 速 度の経 時 変 化は図一
ロ Re・
1−一
一
4tl−
●画一
△t置
一
「鵠
t.
t“
tI 図一
2.
4 衝 撃 体 と 試 験体の運 動の概 念 図一 12 一
2.
4の よ うに な る。
測定に は加 速 度 計を 用い,
衝 突 線 上 の衝 撃 体と試験 体の双方に設置し た。
衝 撃 開 始 時 t。以 降,
衝 撃 体の速 度は減じ,
試 験 体に は回転運動が 生じ る。
衝 撃 体の加速度が最 大 値に達し た 時点 tmで衝撃体と 試 験体の衝 突 線上の平 均速度は等 し く な る。 そ の後, 試験 体の回転 速 度は増 加 し続け,
衝 突 線 上におい て, 衝 撃 体よ り も試 験 体の方が平均 的には速 い速 度 を持つ よ うになる が,
衝 撃 体と試 験 体の衝 突 部は 接 触 を保っ たま ま, 波 動の伝 播 を 行い相 互に干 渉し な が ら運 動し,
衝 撃 体の加 速 度が零に戻っ た時 点ti
で衝 撃 体は試 験 体か ら離れ る。
時 刻 翫 において は 〔2.14
}式が成 立す る。
rω 、。
=v
,。
”……一 ・
………・
…一 …・
……
(2.
14) これ を (2.
10)式に代 入 し て 次 式 を 得 る。
eε.
= 0・
・
・
・
・
・
・
・
…
t−・
・
・
・
・
・
…
一
一
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(2.
15) 衝 撃 接 触 開 始 時t
。か ら衝 撃 接 触 終 了時ti
の間に おい て,t
。一
tmお よび tM−
ti間の接 触 時間At ,
,
At
,に お ける慣 性 抵 抗 力を それぞれ Ftl,、
Fl2とする。
Fn は(2.
13) 式において et=O
, 脇=
賑 とし た値に等し く,
(2.
16 ) 式で与え ら れ る。
揚1
一
塩…一 一
・
・
…・
・
………一 一 ・
・
…
(2・
16)こ こに
,Vtm
:衝 撃 体の加 速 度が最 大 値に達し た時点の 衝 撃 体の速 度 全 接触 時 間At =At
,+At,における慣 性 抵 抗 力F
,は, 次 式で与え られ る。
Fn
十Fn
Ftl十Fn ∬F
,、Fn =
F ,,
7
F
,=F
,巳+Fn
=・
・
7卩
7・
77r
・
・
r7
・
…
7・
・
…
7P・
…
(2.
17) 時 刻 らの 前 後におい て,
慣性 抵 抗 に よ る 加 速度波形 を ・ れ ぞ結
正黻 で近似すれば, (・・
17 }式C・ (・・
18 ) 式で表され る。
F・一
ム響 筝
臨一
器表
……・
一
(・・
18) 実 測 加 速 度 波 形 より,
At
,,
At2
お よ びVt.
を求め れば, (2.
18) 式よ り,
衝撃 体と試 験体との全 接 触 時 間に お け る試 験 体の慣 性 抵 抗 力を算定 す ること ができ る。
(2.
18) 式に (2.
6
)式を代入 し て整理 す る と, 衝 撃体と試 験 体 の接 触 時 間 全 域の力 積表示に よ る慣性抵 抗 力は,
(2.
19) 式で算 定で き る。A
,9
・1
(1−
・β・・β ・ )(
L2
)
2 +D・}
君
菰
(
12
)
2・
1
Vn−
∬
・呶ト
・
・
…
tt…
(・・
19 ) ま た,
試験 体の慣 性 抵 抗 力を,
衝 撃 体の失っ た運 動エ ネル ギー
に よっ て表 す 場 合,
これをU
,で表 示 する とU
, は, (2.
19
)式で算定し たF
,よ り (2.
20) 式で求め ら↑
臼 R,
’ ノ ノ ! !\壘‘
ノ 実 騏値 v・
衝 撃 速厦 %一
→ 図一
2.
5 丁 度一
打 撃で破 壊すると きの衝 撃 速 度 y,X
れ る。
u
,−SMV
:−
SM
(
F
,v・
「7
)
2−v。
F
,一
磊
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(2.
20
) 2.
5 衝撃曲げ強さ」e,衝
撃
体と試 験 体との接 触 時 間At
の間に,
衝 撃体が失 い,
試 験 体が得た運 動 量につ い て は,
(2.
12)式に (2.
18 ) 式を代入 し て,
次式が 成 立 する。器
÷
掃 周 (V・一
・V,)−
ttt
・
・
…
(・・
21>Vi
は 衝撃接 触 終 了 時の衝 撃 体の速 度 を表す。
Fs
が,
全 接 触 時 間に対す る 試 験体の衝撃曲げ強さを 力 積で表 示し た もの と な る。
また,M
(Ve−
Vt
)が,
試 験 体の衝 撃 曲 げ 耐 力 を表す。
衝 撃 曲げ強さ を衝 撃体の失っ た運 動エ ネルギー
で表 示 す る 場合,
力 積 表 示のFs
を (2.
22) 式に代 入す れば,
容易に変換で きる。
すな わ ち,
Us
一 腿一
磊
………一 一
………・
・
……
(・・
22) Us;エ ネ ル ギー
表 示によ る衝 撃 曲 げ強 さ 2.
6 丁 度一
打 撃で破 壊 する と き衝撃速度V
。 既 往の研 究9 )で,
衝 撃 強さ の基 準の一
つ と さ れる丁 度一
打 撃で破 壊すると きの衝 撃 速 度V 。
は以 下の ように し て求めること がで き る。 衝 撃 体が衝撃速度V
。 で試 験 体に衝 突し破 壊して試 験 体を離れ る まで の衝 撃 体の速度の減 少量AV
は (2.
23) 式 で求め られ る。
・ ・イ
・嚇…・
…
………・
…・
…・
・
(・23 )V
。= △V
の と き,
衝 撃 体は試 験 体を破 壊 し た直 後に停 止 す る。 し た がっ てV
。=
△V
は,
衝 撃 体が試 験 体に衝 撃を加え て丁 度 破 壊 する と きの臨 界 速 度である。Va=
AV
の と き,
力 積Q
と衝 撃 速 度の 間に は (2.
24)式が 成 立す る。Q
;MA
V =MVo ”・
・
・
・
・
・
・
…
−t・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
《2.
24
) 図一
2.
5の実 線は,
ある衝 撃 実 験に おける衝 撃 速 度 V。 と衝 撃 力P の 関 係 を力 積で表 示した ものである。 こ の 場 合,
同図で,
Q
=MV
。の点 線との 交 点が丁 度一
打 撃 で破 壊す るときの衝 撃 速 度 Vo であ る。 §3.
衝 撃 曲 げ試験装置お よ び測 定 方 法3.1
衝撃 曲げ試験装置 §2.
で述べ た解 析 方 法を用い て試験 体の慣 性 抵 抗 力 を算定す る た めには,
衝 撃 曲げ試 験 装 置の試 験 体 支 持 部 で衝 撃 曲げ を受け た試験体の運動を制御する必 要が あ る。
本 研 究では,
試 験 体ホル ダー
を有す る振り子 型 衝 撃 曲げ試 験 装 置L°1 を 用い た。
振 り子(衝撃 体 }の質量 10kg , 振り子 周 期2.
0秒で,
最 大 衝 撃速度 4.
2m
/s で あ る。 試 験 体は,
試験 体ホル ダー
に保持され,
衝 撃 体と そ れ ぞれ 重 心軸上で線衝 突し一
打 撃で破 壊 され た後,
ホルダー
に 保持された状 態で回転す る。
先の図一
2.
3に衝 突 前 後の 試験体と衝 撃体の動きの概 念 図 を 示し た。 加 速 度 計は衝 撃体の重心軸上,
図一
2.
3(A
)の位置に接 着 剤で固 定し た。
加速 度 計は動ひずみ計 (周 波 数 範 囲;O−
SO kHz } を介し,
デー
タレコー
ダー
(周 波 数 範 囲 ;O〜20
kHz
) に接 続し た。
デー
タレコー
ダー
に記 憶し たデー
タ を,一
旦,FFT
アナライザー
(周 波 数 範 囲 ;0−
20 kHz)に出 力し,
マ イコ ンを介して フロ ッ ピー
ディ ス ク に記 憶さ せ,
その後の解 析に用いた。
3.
2 加 速 度 計 (i
> 周 波 数 特 性 加速度 計に は,
圧電 式とひずみゲー
ジ式 が ある。
両 者 の周波数特 性を,
容量 1000g , 応 答周波 数O−
5kHz の 場合につ い て検討し た。
衝 突 部に鉄 板 を貼っ た木 製 試 験 体に衝 撃 体を衝 撃 速 度 V。=
1.
5m /s で衝 突さ せ た場 合の衝 撃 体の加速度 波 形を 図一3.
1に示 す。
加 速 度 波 形は,
高 周 波 領 域に差が あ る が後 述 する よ うに,
衝 撃 体 自身の加 速 度の変化を示す低 周 波部分は,
両加 速 度 計 共,
ほ ぼ同様の経時変化を示し・
て お り , いずれの加 速 度 計 を用い て も差 し支え ない。 (ii
) 周 波 数 解 析 測定され た衝 撃 体の加 速 度 波 形は,
衝 撃 時の 衝 撃 体自・
身の加 速 度 成 分の他に振り子アー
ムや衝撃 体の 振 動な ど の ノイ ズを含んで お り,一
般に複雑な波形 と な る。
本 研究では,
t
フー
リエ 変換に よっ て,
実 測 波 形 中の ノ イズ を除 去す る方法を採 用した。
同一
の試 験 体に衝 撃 を加えた場 合で,
衝 撃 体と試 験 体 の質 量 比や接 触の状 態な どに よっ て,
ノイズの振 幅が大 き く異なっ て重ね合わ さ れた例を 図一
3,
2(a),
(b
)に 示す。
また,
図一
3.
3(a),
(b
)に 図一3.
2 (a),
(b
)の 波形のパワー
ス ペ クトルをそ れ ぞ れ示す。 剛体とし ての 衝 撃体の加 速 度 成 分は,
ノイズ 成 分に比べ て低 周 波の成 分である。
1kHz 付 近と5kHz 付 近に パ ワー
の大き な波 が存 在し て い るが,
1kHz
付 近の波が衝 撃体の加速度の み を表す波 形で, 5kHz 付 近の波はノイズ成 分で あ る。 ノイズを除 去して衝 撃 体の加 速 度の み を取り出し た波 形 を図一
3.
2(a),
(b)に点 線で示 し た。 両 波形 は 同 じ特一
13
一
3
脳 鍛 農一
50
@ 暴O
(a) ひずみゲー
ジ式 (b) 圧 電 式 図一
3.
1 加 速 度 計の比 較 100503
R
o
一
50肅
o諞
s (a )振幅の小さい ノイ ズが 重ね合わ さ れ た 波 形 図一
3.
2 ◎ 蝿 園 目 R 1一
時 間 OAm5 (b) 振 幅の大 きい ノ イ ズ が 重ね合わ さ れ た波形 加 速度波 形(
o Φ の イ bo一
lb て t#
10’
, } 0 1 2 3 4 5 6 周波数CkHz
♪ (a ) 図一
3.
2(a)の パ ワー
ス ペク トル 図一
3.
3{
。
Φ o⊃・
冠)
lb て 0 Cx10’
1 [ (b) パ ワー
ス ペ ク トル 1 23
4 5 6 周 波 数lkHz
♪ 図一
3.
2(b)の パ ワー
スペ ク トル 性の波 形 を 示 してい る。
§4.
慣性 抵抗力4.1
試 験体§2
.
で解析 した衝 撃 力を受けて回 転 運 勤を生 ずる試 験体の慣 性抵抗力に関して, モ デル試 験 体 を用い て検 討 す る。 モ デル試験 体の材 質は木 材 (桧 ;比 重p=
0.
44,
松;ρ=O.
60,
楢 ;p=O.
77 , 桜 ;p・=O.
84)で, 試 験 体の 長さL
,=
18cm,
回転 中心 と衝 撃 点との距 離 r;
10 cm,
支 点 外の長さ (1一
β}L
,=
・
3cm で そ れ ぞ れ一
定 とし (図一
4.
1参 照 ),
試 験 体の幅 B,
せ い D,
質 量 Ml を変 数 とし た。 実 際の試 験体が,
衝 撃 体の衝 突 位 置を中心に左 右対称であ ること か ら, 試 験体ホル ダー
の 片方の み に試 験 体を セッ ト し, 種々 の速 度で衝 撃を与え,
(2.
19)式 と比較 検 討した。
本 節で用い た試 験 体は, (2.
4) 式に お い て Fs=
0と し たもの である。
し た がっ て,
本 節の実 験で は,
慣 性抵 抗 力F,と衝 撃 力P は等しく なる。 4.
2 実 験 結 果および考 察 形 状および質 量 を変え たモ デル試 験 体による実 験 結 果 を表一
4.
1に示 す。
試 験 体A ,B ,
・C
は, 質量,
せ い が それぞ れ一
定で幅の みが 異 なっ ている。
図一
4.
2に試 験 体A ,B ,
C
の慣 性 抵 抗 力 君(=
衝 撃 力P
)と衝 撃 速 度 V。の 関 係 を 示す。
各 試 験 体の 回帰 直 線は ほ ぼ一
致し て お り,
質 量など他の要 因が同じであれ ば,
幅に依 存せず,
回 転中心 一 せい H 衝 撃刀 幅B (A−
A断 面 ) 0.
5’
石・
O.
4 晶90
.
3 RO.
2
0.
1 0 (平 図一
4.
1 試 験 体 面冫 1.
0 2.
0
3.
0 衝 撃 速Et v・Cm
/s) 図一
4.
2 衝 撃 力と衝 撃 速 度 (幅によ る影 響) 4.
O
表74
.
1 試験 体およ び実 験 結 果 試 篏 体 !舐ABCDEFGH1
一
嗚 B (15
.
06 .
58 .
05
,
05
.
O3 ,
06 ,09 .
o12 .
0
せ い H〔 ) 8。
08.
08 .
03,
08.
08.
0e.
08.
Oa .
o
質量 m 陶1540540540370370375780
,301490c (
骨
・
5’rゆ。
077α072 .
σ78.
◎43O.
α50.
054.
103o.
149o.
189謙
圃 ・
・m ).
043
ρ43α043O.
024 .
0310,
0310,
0600.
083o」04
騰
(
ゆ
・
・m ).
078.
0780.
07巳O.
043.
055.
055,
109.
150.
190 曇}r
・蔚
瞞 α旧 α悶(
『 鼠 邑 色 R 斟 耀 t’
’
σ 〆 るμ oo μ づ 83 /
=
=
σ DD趣
”
● が が ‘(
O ●0
図一
4.
3 1.
0 1.
0
2.
0
3.
0
4.
0
衝 撃 速 度v。 樋 /日, 衝 撃 力と衝 撃 速 度 (せい によ る 影 響)(
山 章》
o.
5R
● m1=
ユ4909 二 〇 m・=
:Ll30gzげ
艦
:
1
寧
4
蘿
鋼
〆
,遼
’
0
図一
4.
4 1.
0
2.
0
3,
0 4.
0 衝 撃 速 度橘 (nVs ) 衝 撃 力 と衝 撃 速 度 (質 量による影 響 ) 各 試験体は 同一
の慣 性 抵 抗 力 を 示す。 試 験 体D
,E
は,
質 量および幅を一
定と し,
せい の み を変えた場 合で ある。
図一
4.
3に,
試 験 体D,
E の慣 性抵 抗 力F
,と衝 撃 速 度 V。の 関 係 を 示 す。 試 験 体の せ いが大きい程 慣 性 抵 抗 力 も大き く,
質 量な ど他の要因 が 同じで も せい に よって試 験 体の慣 性 抵 抗 力は異な るこ と が明ら か で あ る。
試験体のせい を一
定と し,
質 量 を変 化させ た試 験 体がF
,G
,.
H
,1
で あ る。
実 験 結 果を図一
4.
4に示す。
試 験 体の質 量が大きい程,
慣 性 抵抗 力 も大きい値を示す。
い ずれの場 合 も,
慣 性 抵 抗 力F
,は,
衝 撃体の衝 撃 速 度 V。に比 例 し,
原点を 通.
る直 線 関係が得ら れ る。
その 比 例 定 数を c と し,
表一
4.
1に示 し た。
また解 析 式 (2.
19 )を V。で 除 し た 値妥
(
At
AtJVt、 r2v
。皿
)
・併・ ・示・t 。t
だ・
・
(・・
19
脚 ・お・ ・,
皿 鍋・
号
一
玩Sl
−
・t
し た覗
・嵐 実 験 結 果・ 比 例 定 数 c とよく一
致 して お り,
試 験 体の 形状が変化 し た場 合,
衝 突 部の局 部 破 壊や局 部 由りず等の 生じない領 域に お い て は
,
試 験 体の慣 性抵 抗力 は,
(2.
19) 式に よっ て 求め ること がで き る。
以上,
本 節で は,
(2.
4)式に おい てFs
= 0の場 合の 慣 性 抵 抗力につ い て, モ デル試 験 体 を用いて検討し た。
実 際の 曲 げ 試 験 体では,
Fs
>0
であり, 慣 性 抵 抗 力君 は 破 壊 時 間 を 通 して 存 在しFs
に依 存して変化す る。
こ の場 合, F,は (2.
19 )式 を用いて, 曲げ試験体の衝撃 破 壊 時の加 速 度 波 形よ り得られ るVt
。 を代入 し て求め る こと がで き る。
§5.
衝 撃を受け る曲 げ試 験 体と衝 撃 体 との応答 衝 撃 体と試験体の 衝 突は実 際には弾 性 衝突で あり,
質 量M
の衝 撃 体 が,
ス パ ン1
で支 持さ れ た曲げ試 験体 (幅 × せ い ×長さ=B
×H
×L
)に速度Ve
で衝 突す る場 合,
衝 撃 開 始 時 t。に お い て, 試 験体の衝突部は部 分圧縮の 状 態と なり,
衝 突 部に お ける試 験 体の質 点の初 速 度 VD は,
(5、
1 )式で与え られ る川。
v・
一
。昜
、〜
傷
…・
・
…・
…・
・
………一
・… ) こ こに,P
は試 験 体に作用 す る外 力,
ρお よ び E は試 験 体の単 位 体 積 当た りの質量 お よ び弾 性 係 数を表す。BAI
は, 衝 撃 体の 刃先と試験体の接 触す る面 積,
す な わ ち衝 撃 力が作 用す る面 積で あ る。
P は,
衝 撃 速度 V。 に比 例し]!) t 比 例 定 数をh
とすれ ばP =hV
。と表すこ と がで きる。 した がっ て (5.
1)式は次 式で表さ れ る。
v…
ili
〜傷
髫
・
一 ……・
・
…・
…・
・
…・
…
・・.
2) 衝 突 部に おける試 験 体の質 点 初 速 度 v。 は,
衝 撃 体の質 量 お よ び その刃先の形 状 等によっ て定ま る係 数h
/Al に 比 例し,
試 験体の材料に よっ て定ま る係数倔 「に反 比 例す る。
ま たV6
/B
に比例す る。 試験 体では,
衝 撃 力を 受け た直後, 質点速度V。の弾性 変形の衝撃波が速度 C。 一疹
・進行・始… 形状・
齷 が同 ・騨 体・同一
材 質・・験 体・衝撃・与・ ・駘幽
傷
・・一
定籠
諾
繍
難
讐
饗
畿
に対する代 替 特 性 値と して用いた。 次に, 試 験 体の ひずみ と衝 撃 体の加 速度の応 答に関し て実 験 的に検 討す る。
一
15
一
へ
bo)
臨 鰻 尽 穿 o慈
いンマー
のllk速 度 }一
〔時間,関 係1
試 験 体 の ひず み ,一
(時 間 ♪関 係 図一
5.
1 衝撃体の加 速 度 と試 験 体のひずみ (非 破 壊 時 ) ア ク リル板 試 験 体 (BXHXL
= 5×3
×40c皿 )をス パ ン1
=
20cm で支持し た場合の衝撃 点裏側の ひずみ と 衝 撃 体の 加 速 度の応 答に関す る 測定例を 図一5.1
に示 す。
衝 撃 体の質量は 10kg であ る。
ア ク リル板の弾 性波 の伝 播 速 度は約2000m /s で,
板厚 3cm の伝 播 時間は 極め て短く,
衝 撃点の ひずみと衝 撃 点 裏 側の ひずみ の立 ち 上 りのずれ は約 15μsec 程度で あ る。
し た がっ て,
ひ ずみの圧縮と引張が逆で はあるが,
衝 撃 点 裏 側の ひず み の変 化は衝 撃 点の ひずみの変化を ほ ぼ表して いる と考え られ る。
試 験 体の ひずみ と衝 撃体の 加 速 度の経 時 変 化は, 図一
5.
1の 点線で示 す よ うに両波形共, 波形の ピー
ク の 前 後に おい て同一
周 期の 正弦 波でほ ぼ近 似で き る。
試 験 体に生じるひずみの大き さ,
す な わち試 験 体の受 ける力 の大き さ と衝 撃 体の 加 速 度 と は,
各時 刻に おいて比例 対 応 してお り,
試 験 体が衝 撃に よっ て受け る力の大き さの 変 化 を 衝 撃 体の加速度の変化か ら求めて も支 障ない こと が解る。
また,
衝 撃 体が 試験 体に比べ て十 分 剛であ るこ とから,
衝 撃 体は,
試 験 体の衝 撃点の ひずみ が引張 ひず み に な っ たとき に試 験体か ら離れ る と考え られ る。
した が っ て,
衝 撃 体の加速度 波 形が立ち上っ て,
再 び零に戻 るまでを衝 撃 体と 試験 体の接触時間と み なすこ とがで き る。以 上の こ とよ り, 衝 撃 体の加 速 度の経 時変化は
,
試 験 体の受ける衝 撃 力の経 時 変 化を表す一
つ の 尺 度 と な り得 る と言え る。§
6.
衝 撃 曲 げ強 さお よび 衝 撃 曲げ耐力 6.
1 モ デ ル試 験 体お よ び その静 的 曲げ性状 図一2,
2の変 形モー
ドで破 壊 する試 験 体の モデルとし て,
衝 撃 点に塑 性ヒン ジ1個 を有 する剛一
塑 性は り型 部 材を 想定し たモ デル試 験 体に よっ て, 衝 撃 曲げ強さ お よ び耐力につ いて検 討 し た。
モ デル試 験 体は,
図一
6,
1に示す よ うに同一
形状・
同一
質 量の直 方 体 木片 を 剛体部 分 と して , ア ク リル板 を 介 して接 着 剤で接 着して一
体化し た もので ある。
接 着 強 度 が木 片 部の強 度よ り も小さい場 合, 接 着 部 分の強さ が通 常の曲げ 試 験体の曲げ強さに相 当する。
接 着 部 分の ア ク 図一
6.
1 モデル試 験 体 表一6.1
モ デル試 験 体の静 的 曲 げ 強 さ 試 験 体 雁 接 着幅 b (仰 , 接 着せい h ( ♪ 静 的 曲げ強 さ 〔kgf/圃1
2.
O3.
0 90.
52
4.
o3,
0
96.
13
6.
O3.
0 87.
94
6 .
03.
O96.
15
3.
02.
093.
S6
3,
04.
0B6 .
17
3.
O6.
0 87.
98
3.
O8.
0 92.
1 1,
0 50 謹魯
)
』謹
0 0,
5 1.
0 1ヒわ み 比 修/’
S.
.
、
) 図一
6.
2 (荷 重 比 )一
(た わ み比 )関 係 リル 板は厚さlcm,
接 着 幅 bお よ び接 着せ い h を各2〜
8cm と し,
ア ク リル系 接 着剤で接 着し た。 直方体 木 片’
には楢 (8
×8
×18cm,
質量 1030gr )を使用し た。
曲 げスパ ンは30cm
で あ る。
モデル 試 験 体の静的 曲げ 試 験結果 を表一
6.
1に示 す。
各 試 験体の静 的 曲 げ強さは, MIZ で求め た。
こ こ に,M =Pmax・1
/4,
Z =bh
!/6
である。
曲 げ強さM
/Z
は,
試 験 体 接 着 部の形 状・
寸 法に か か わ らず 90kgf/cm2 前 後の値を示して いる。
こ の こと よ り, 本 実験の モ デ ル試 験体は.
通常の曲 げ試 験体と 同様の挙 動 を示す と考え ら れ る。
し た がっ て,
接着 幅b
お よ び接 着せいh
は,
通 常の曲げ試 験 体 では,
は り幅お よ びは り せい に相 当する。
図一6.2
に荷重 点に お け る た わ み 比 (δ/δma.)と荷 重 比 (P
/PmaL
)の関係を示す。
各 試 験 体の中で δm。x が最 大とな る の はh =
8cm (試 験 体 No,
8)の場 合で,
δ=
0.
6mm 程 度で あっ た。 荷 重 比一
た わみ 比 曲 線は,
ほ とん ど塑 性 域を示さ な い。 この こ とは,
本実験に用い たモデル試 験 体が脆 性 的な破 壊 様式の 曲げ 試 験体であ るこ とを示 して い る
。
6.
2 衝 撃 曲 げ試 験 結 果お よび考察 衝 撃 試 験は モ デ ル試験 体 を 曲 げスパ ン ‘=
30cm で振 子 式 衝 撃 曲 げ試 験 機に セ ッ ト し, 質量10kg
の衝 撃 体を 用い て行っ た。 衝 撃 荷 重は,
モ デル 試 験 体の打 撃 側に接 着 部 分を跨い で両 側の木 片 部に鋼 板 (30×40×5mm ) を取り付け,
その 中 点 を衝 撃 体で打 撃して与え た。
衝 撃 体は接 着部の ア ク リル板スペー
サー
と木 片 部の接 着 面 を は く離し,
双方の木片部に回転運動を与え て振り上る。
以 下, モ デル試験 体の慣 性 抵 抗 力および衝 撃 曲 げ強 さ に及 ぼ す試 験体の接 着部の形状等の影 響につ い て考 察 す る。
(i
) 慣 性抵抗力につ い て 試 験 体 を 衝 撃 曲 げ 破 壊させ たときの慣 性 抵 抗 力F
, は,
測 定さ れ た衝 撃 体の加 速 度 波 形 より V‘m を 求め, (2.
19)式に よ り算 定する。
接 着 面 積が24 cmZ (b
× 九=
8×3cm )の試 験 体につ い て衝 撃 曲げ試 験 結 果より得ら れ る慣 性 抵 抗 力F,と衝 撃 速 度 Veの関係 を 図一
6.
3に実 線で示 す。
また,
本 節に 用い たモ デル試 験体の木 片 部に関して,
§4.
と同様の 実 験,
す な わ ち接 着 面 積 を0
(Fs =0
>と し て求め た慣 性 抵 抗 力を 同 図に点 線で 示した。
衝 撃速 度の速い範 囲で は両 者は ほとんど一
致する。
し か し, 衝 撃 速 度 V。≦1.
l m/s では,
Fs>0の試 験 体はFs=
0の試 験 体に比べ て Flが小さ く な る。
こ れ は,
衝 撃 体の 運 動量は ほ と ん ど Fs に消 費さ れ, 割 裂され た試 験 体 木 片 部に はあ ま り大 富も
愚 出R
韜Pt
0 図一
6.
3 200 1.
0 2.
0 3K) 衝 撃 速度 V。 〔m/s ♪ 慣性 抵 抗 力 と衝 撃 速 度 m 垢=
衝撃 速 慶 oo3 臨 岡口
R O O.
4 0β 1.
2 1S 2D 2A 2.
ら 時 間 Cmsec 冫 図d6.
4 衝 撃 速 度と加 速 度 波 形 き な 回 転 運 動 を 与 え ない こ とによると考え ら れ る。
こ の よ うに,Fs
>0
の試験 体の慣 性 抵 抗 力.
は,
衝 撃 速 度 V。 と単純な比例関係は示さな い。 (iD
衝 撃 速度Vo
の影 響 ア1
ク リル板ス ペー
サー
の接 着 面 積を12cm2 (b
×h =
4 ×3cm
) とし た試 験 体につ い て,
衝撃速 度 V。が異な る 場 合の衝 撃 体の加 速 度 波 形を 図一
6.
4 に示 す。
最大加速 度は衝
撃 速 度が速い程
大き く, 接 触 時 間は短く な る。 図一
6.
5に衝 撃 力 (衝 撃 曲 げ耐 力 )P
と衝 撃 速 度Va
の関係を実線で示す。
P は Veの増 加に従っ て,
初 期の 領 域 (V
。≦O.
8 m/s)で は減 少し,Vo
≒O.
8
m/sで極 小 値を示 し た後,
v。に ほ ぼ比 例 し て増 加する。 同 図に お い て P=
MV 。の 関 係を一
点 鎖 線で示す。
こ れ と実 線と の交 点,
す なわち丁 度一
打 撃で破 壊す るときの衝 撃 速 度V
。 は約0,
23m
/s となっ た。 また, 図 中の点 線は慣性抵 抗 力F,を表す。
衝 撃 曲 げ 強さ Fs は P (実 線 }とF
, (点 線 )の差で与え られ る。
Gii
)接 着 幅b
の影 響 接着部分の せいh =
3cm一
定と し接 着 幅b
を変 化さ せ た場 合の 衝 撃 曲げ強さに 及ぼ す影 響に つ いて検 討し た。
衝 撃 試 験で得 ら れ た加 速 度 波 形の例をb
=2cm
お よ び 6cm の場 合につ い て図一
6.
6に示す。
衝撃 体と試験 体との接 触 時 間 At は,
衝 撃 速 度VD
が同じ で あ れば, 試 験 体の接 着 幅にか か わらず一
定である。
最 大 加 速 度は 接 着 幅b
に依 存し,b
の大きい試 験 体の方が大き い値 を示して い る。 各試 験 体の衝 撃 力 (衝 撃 曲 げ 耐 力 )P と衝 撃 速 度V。
の関 係は, 定 性 的に は それぞれ図一
6.
5と同 様の傾 向 を 冨・
熄 iRes
ZOO oo(
」 眠 躙 尽0
罵 1.
0
2.
0 3.
0 衝 撃速tt
v・
くm/6 } 図一
6.
5 衝 撃 力と 衝 撃強さ O V・=
1,
0za/ S V・=
2・
6m/ s 一 〇2ms 図一
6.
6 接着幅の 違いに よ る加 速 度 波 形の比 較一
17
一
表
一
6.
2
衝 撃 曲 げ試 験 結 果 (幅による 影 響 ) 試 験 体 茄 接着せい hく ) 回帰係数 x1 σ一
) 罵 吟 旬 豊 隅 接 着 幅 b【σ η) 亮1醐 鳧2翊 並 b1 鯉乗 も1 是亀i園L2
,
11
2.
03,
0L8914,
40.
121.
O1.
001.
oo1,
0Q2
4,
03.
O3.
9214
.
5O.
232.
02.
071.
01
書.
923
6.
03.
o5.
6314.
5O.
303.
02.
981.
012.
50.
4
3.
03.
06.
5214.
2o.
454.
03.
45o.
973.
75 攣 1}kg雪・
5 旗2〕Lgt・
d鞄m 示す。V
。≧Llm /sの領 域で は P は V。に ほ ぼ比 例し て 増 加 する。 こ の領 域に お い て, P と Veの 関 係 を各 試 験 体につ い て回 帰 直Wt
(6.
1)式で表 し,
回 帰 直 線の係 数h
、, 島を表一6 .
2に示 す。
P;
h,十h2 Vo’
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
一・
・
…
t−・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
一
(6.
1 ) 常 数 項h
,は試 験体の接 着幅b
に ほ ぼ比例し た値を示 し,
速 度 係数k
,は接着幅b
に か か わ らずほ ぼ一
定値を 示す。 (6.
1 )式におい てh
、=K
,b
, 島=K
,と おい て両 辺 を接 着 幅b
で除 し た単 位 接 着 幅 当た りの 衝撃力 (衝 撃曲げ 耐 力 )P
/b
は (6.
2)式で与え られ る。
争
隅誓
…・
…・
一 ・
……一 ・
一
(・.
・) 本 試 験 体の場 合,
K[=
0.
eO9kgf・
s/cm,
K
,=0.145
kgf・
s2/皿 と なっ た。 各 試 験 体につ い て P/b と Vo/b
の閧 係 を 図一
6.
7に実 線で示 す。本モ デル試 験 体の接 着 幅b
は,
(5.
2
)式に お け る試 験 体 幅B
に対 応 する。 したがっ てV
。/b
は,
試験 体の質点 速度 v。に対す る特性値で あり,
ひずみ 速度の 単 位÷
鮪 す る. た だ しこ こ で は, 懇 結 果を明 瞭にす る た めVe
/b
はm/s/cm の単 位で表 示し た。
各試験体の単 位接着 幅 当た り の衝 撃 力P /b
は,
衝 撃速度 Vo≦Llm /s の範 囲 (例え ばb・
・
8cm の場 合,
V
。ノb
≦0.14m
/s/cm )で は,
接 着 幅に依 存 して変 化 す書
婁
蒼
§
輜 o 図一
6.
7 O.
5 1.
0 1.
5 Vo/b (m/臼/勧」 単 位 接 着 幅 当りの衝撃力と衝撃速度 (接 着 幅に よ る影 響 ) る が,
衝 撃 速 度 が 速い 範 囲で は,
(6.
2)式が成 立 する。
また,
各 試 験 体の単 位 接 着 幅 当た り の慣 性 抵 抗力F
,/b
とv
。/b
の 関 係 を 図一
6.
7中 に実線で示 し た。
F,/b
も また,
Ve
/b
の大 き な 範 囲で は (6.
2) 式の 関 係が成 立す る。
た だ し, こ の場合,K1・
=O,
K2=
0.
125kgf・
s2/m である。
(2.
4)式で定 義し た ように,
衝 撃 力と慣 性 抵 抗力 との 差が衝 撃 曲 げ強さFs に相 当 する。
図一
6.
8
に各 試 験 体 につ い て,
単 位接着 幅当たりの衝 撃 曲 げ 強さFs
/b
と 試 験体の質 点初 速度 Ve の特 性 値 V。/b
の 関 係 を示す。
定 性 的には図一
6.
7と 同 様の傾 向 を示し,P
/b
とv
。fb
の 関 係が接 着幅によっ て異な る範 囲 (例えば,b;
2cm の 場 合,
V。/b
≦0.
45 m /s/cm ) と 接 着 幅に依存し ない 範 囲に分か れ る。 後 者の範 囲で は, すべ ての試 験体につ い て,Fs
/b
とV
。/b
の関 係は (6.
2)式と同 様に次 式に よっ て表さ れ る。
Fs
Vo
万 =
K
・i+κ ・・t
”… … ’
… ’
… ’
… ’
’
”
(6・
3) ただし,Ksi=O.
OO9
kgf・
s/cm,
Kst=
O.
020kgf・
s2/m で あ る。
ま た, 各 試 験体につ い て, 丁度一
打撃で破 壊す る と き の衝 撃 速 度 y。を先の表一
6.
2に示し た。
VD
は試験体の 接 着 幅に ほ ぼ比 例 し た値を示 して お り,
既往の研 究結 果12)と一
致 する。
(iv
)接 着せいh
に よ る影響 モ デル試験体の接 着 部分の幅b
= 3cm一
定とし,
せ い h を変化させ て衝撃試 験を行っ た。 衝 撃 速 度V
。が,
遅い場 合 とし てV
,=1.Om
〆s,
速い場合と してVo=2.6
m /sに おける加 速度波形の測 定 例 を 図一6.
9に示 す。
衝 撃 速 度が遅い範 囲で は,
試 験 体の接 着せ い 九 が大きい 程, 接触 時 間At
は長く なっ て いる が,
最 大 加 速 度は ほ§
tr
o・
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0.
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0.
0
α0
0 0.
5 1.
0
1,
5 Ve/b
Cm/ s /勧♪ 図一6.
8 単 位 接 着 幅 当りの衝 撃 曲 げ強 さ と衝 撃 速 度 (接着幅によ る影響 }卿 簔 V