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Microsoft Word - 103第Ⅱ章第2節.docx

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- 78 - 【住宅投資の動向について】 19年以降、建設投資は低迷しており、その中で、住宅投資の下落は顕著である。21 年12月の新設住宅着工戸数は、前年同月比 15.7%減の 6.9 万戸と、前年比マイナス は13カ月続いており、21年では前年比▲27.9%の 78 万 8410 戸であった。80 万戸を 下回るのは昭和39年の 75 万 1429 戸以来45年ぶりであり、減少率は49年の▲30.9% に次ぐ過去2番目の大きさである。住宅建築が経済全体に与える影響は大きいため、住 宅投資に影響をもたらす要因について状況をみていきたい。 (1) 住宅投資の動向 ① 国民経済計算からみた民間住宅投資の推移 ~民間住宅投資は長期的に低下しており、国内総生産に占める割合も縮小~ 国民経済計算から、民間住宅投資と国内総生産の推移を長期的にみてみると、平 成元年や9年の前年は、消費税の駆け込み需要から大きく上昇したが、ほぼ一貫し て住宅投資の伸びは国内総生産の伸びを下回り、前年同期比もマイナスが続いてい る。それに伴い、国内総生産に占める民間住宅投資の割合も縮小し、21年10~12 月期では 2.3%と最も高かった昭和55年4~6月期の 7.3%の3分の1以下となってい る(第Ⅱ-2-13図)。 第Ⅱ-2-13図 GDP と民間住宅投資の推移(前年同期比) 資料:「国民経済計算」(内閣府)、「建築着工統計」(国土交通省) ② 建築着工統計からみた利用関係別新設住宅着工戸数 次に、建築着工統計から利用関係別に住宅投資の動向をみていくと、持家の着工 戸数は、7年以降低下傾向にあったが、足下ではその下落幅は小幅であり、総着工 0 1 2 3 4 5 6 7 8 ▲ 40 ▲ 30 ▲ 20 ▲ 10 0 10 20 30 40 56 57 58 59 60 61 62 63 元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21年 (% ) (% ) 民間住宅投資/国内総生産(右目盛) 国内総生産 民間住宅投資

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- 79 - 戸数にしめる持家着工戸数の割合(持家着工比率)も19年から上昇傾向にあり、分 譲住宅着工比率を逆転している。一方、分譲住宅の着工戸数は、長期的にみると上 昇傾向であったが、19年は耐震強度偽装問題に伴う建築確認申請の厳格化の影響 を受け、前年比▲22.3%と大きく減少した。21年ではリーマンショック以降の経済危機 により、同▲43.7%と最大の下げ幅を記録するなど、足下の低下傾向は顕著である。 貸家の状況をみると、バブル期に貸家着工比率が高い水準であることから、投機的な 意味合いが強く、景気の状況によって大きく変動していることがわかる(第Ⅱ-2-14 図)。本稿では、景気の変動によって大きく影響される貸家については分析対象外と して、持家及び分譲住宅の新設住宅着工戸数を合算したものを「持ち家系新設住宅 着工戸数」としてその動向を確認する。 第Ⅱ-2-14図 利用関係別新設住宅着工戸数の推移 (注)持家:建築主が自分で居住する目的で建築するもの。 貸家:建築主が賃貸する目的で建築するもの。 給与住宅:会社、官公署、学校等がその社員、職員、教員等を居住させる目的で建築するもの。 分譲住宅:建て売り又は分譲の目的で建築するもの。 資料:「建築着工統計」(国土交通省) (2) 住宅投資に影響を及ぼす要因 住宅投資の低迷を考察するため、住宅投資に影響を与えると思われる需要側の要因 を検証する。まず、住宅需要の大きさは、住宅を使用する人・世帯の数の推移に大きく 影響されることは自明であるため、人口数や世帯の住宅充足率などの推移を確認する。 次に、家計が住宅を取得する際、可処分所得、貯蓄額、住宅ローン金利、住宅価格が 購入判断に大きく影響するため、それらの変数を集約した「持ち家取得能力」を試算し、 その推移を確認する。また、住宅の取得は高額な支出を伴うため、所得・雇用環境に対 0 10 20 30 40 50 60 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 55 56 57 58 59 60 61 62 63 元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 年 (%) (万戸) 持家 分譲住宅 貸家 給与住宅 持家比率(右目盛) 貸家比率(右目盛) 分譲住宅比率(右目盛)

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- 80 - するマインドが大きく影響することは自然であるため、それらの動向をみていくこととする。 ① 世帯・人口の動向 ~住宅取得年齢層の人口はピークを迎えているが、 住宅ローンを組むことが可能な層はすでに減少傾向~ 20年の住宅・土地統計調査から、世帯主の年齢階級別の持ち家率の推移を確認 すると、25~29歳では 11.7%であった持ち家率が、30~34歳では 30.1%(18.4% 増)、35~39歳では 46.5%(16.4%増)、40~44歳では 58.2%(11.7%増)と大きく 上昇し、50歳代以降は伸びが鈍化している。この特徴は、10年、15年調査結果でも 同様であった。このことから、住宅を取得する年齢は、30歳代から40歳代半ば、特に 30歳代が中心であることがうかがえる(第Ⅱ-2-15図)。 第Ⅱ-2-15図 世帯主年齢階級別持ち家率の推移 (注)グラフ内の数値は、20年の値。 資料:「住宅・土地統計調査」(総務省) 住宅取得年齢層の人口分布をみるために、20年10月1日時点の各歳の年齢階 級別の人口数を新設住宅着工戸数の推移と比較してみる。昭和30年から平成21年 までの持ち家系住宅着工戸数を、各年齢階級の層が37歳の時点の年に時系列の軸 を反転しプロットしている。例えば、平成20年10月1日時点で47歳の人が37歳で あった平成10年の持ち家系住宅着工戸数(右目盛)が、47歳人口数の軸上に位置 する。 現在の状況をみると、いわゆる団塊ジュニア層が住宅取得年齢層と合致しており、 人口要因からみれば住宅需要が高まって良い状況にはあるが、着工戸数には結び ついていない状況がうかがえる(第Ⅱ-2-16図)。 61.2 2.6 11.7 30.1 46.5 58.2 67.3 72.8 76.2 79.0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 総数 25歳 未満 25 ~ 29歳 30~ 34歳 35~ 39歳 40~ 44歳 45~ 49歳 50~ 54歳 55~ 59歳 60~ 64歳 (%) 10年 15年 20年

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- 81 - 21 19 17 15 13 11 9 7 5 3 元 62 60 58 56 54 52 50 48 46 44 42 40 38 36 34 32 30 年 0 20 40 60 80 100 120 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 100 (歳) (万戸) (千人) 各歳年齢階級別人口 持ち家系新設住宅着工戸数(右目盛、横軸の時間軸反転) 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 1,750 1,760 1,770 1,780 1,790 1,800 1,810 1,820 1,830 1,840 1,850 Ⅰ └ Ⅱ 15 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 16 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 17 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 18 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 19 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 20 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 21 Ⅲ 年 ( %) (万人) 正規の職員・従業員 正規職員比率(右目盛) 第Ⅱ-2-16図 年齢階級別人口(平成20年10月1日時点) 及び持ち家系新設住宅着工戸数の推移 資料:「人口推計」(総務省)、「建築着工統計」(国土交通省) そこで、現在の住宅取得年齢層の人口増加が必ずしも持ち家系新設住宅着工戸 数と結びついていない状況を考察するため、住宅取得年齢層の雇用状態をみてみる。 住宅を取得するにあたっては、住宅ローンを組むことが一般的であるが、融資審査 項目として、返済能力を証明する勤続年数や雇用形態が考慮されるため、住宅取得 年齢層の雇用状態を正規職員数等の推移から確認する。雇用者数は、平均15年1 ~3月期(後方4期移動平均。以下同じ。)の 2,468 万人から21年7~9月期の 2,547 万人と増加しているが、正規の職員・従業員の数は、15年1~3月期の 1,843 万人か ら21年7~9月期の 1,810 万人と減少している。正規の職員・従業員の数を雇用者数 で除した正規職員比率をみても、15年1~3月期の 74.7%から21年7~9月期の 71.1%まで一貫して低下傾向にある(第Ⅱ-2-17図)。 第Ⅱ-2-17図 25~44歳の正規の職員・従業員の推移(後方4期移動平均) (注)データの入手の関係上、年齢階級の区分は、25~34 歳、35~44 歳。 21年時点の 住宅取得年齢層

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- 82 - 正規職員比率=正規の職員・従業員/雇用者数 資料:「労働力調査」(総務省) 現在、住宅取得年齢層は、団塊ジュニア層の流入による人口増加から数の上では ピークにあるが、住宅ローンを組むことが可能な人口層は、すでに減少傾向にあり、 正規職員比率が低下しているという雇用状況も合わせてみても、今後もますます減少 することが予想される。 次に、世帯数と住宅の需給バランスを確認するために、住宅・土地統計調査から、 住宅総数を総世帯数で除した住宅充足率及び空き家を住宅総数で除した空き家率 の推移をみる。住宅充足率は昭和43年時点で既に100を超えており、さらに上昇傾 向が続いている。空き家率をみると、住宅充足率と同様の推移であり、特にバブル崩 壊以後上昇している。地域的なミスマッチや、老朽化などによる質の低下によるものも 含まれると思われるが、住宅の供給過多の状況がうかがえる(第Ⅱ-2-18図、第Ⅱ -2-19図)。 第Ⅱ-2-18図 住宅充足率の推移 第Ⅱ-2-19図 空き家率の推移 資料:「住宅・土地統計調査」(総務省) ② 持ち家取得能力 ~30~39歳の持ち家取得能力は、 18年1~3月期以降、住宅着工戸数を先行して低下。 20年7~9月期以降、能力は持ち直しているが、住宅着工戸数は低水準を持続~ 次に、住宅投資の動向は、可処分所得、貯蓄額、金利、住宅価格の動きと関係が 深いと考えられるため、それらの変数を集約した住宅取得年齢層の「持ち家取得能 力」を試算し、その推移を確認する。試算にあたっては、データの制約上、住宅取得 年齢層の一部である40~44歳の値が取得できないことから、世帯主が30~39歳の 0 2 4 6 8 10 12 14 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 28 33 38 43 48 53 58 63 5 10 15 20年 ( %) ( 万戸) 居住世帯あり 空き家 空き家率(左目盛) 85 90 95 100 105 110 115 120 28 33 38 43 48 53 58 63 5 10 15 20年 (%)

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- 83 - 勤労者世帯を対象とした。持ち家系住宅着工戸数と動きを比較すると、14年10~12 月期から17年7~9月期まで、持ち家取得能力と持ち家系住宅着工戸数はおおむ ね連動していたが、それ以降、可処分所得の減少による借入可能額の低下や景気 拡張局面における住宅価格の上昇を要因として、持ち家取得能力は低下し、持ち家 系住宅着工戸数を先行する形で乖離した(第Ⅱ-2-20図、第Ⅱ-2-21図)。 着工戸数は、19年7~9月期に、耐震強度偽装問題に伴う建築確認申請の厳格 化の影響を受け、分譲住宅を中心に激減し、その後、やや持ち直しの動きはみられ たものの、20年10~12期以降は経済危機により再び大きく減少し、21年では 78 万 8410 戸と非常に低い水準となっている。 また、持ち家取得能力の足下の推移を要因分解からみると、20年10~12月期以 降、リーマンショックの影響による需要低迷から住宅価格が低下し、それを主因として 持ち家取得能力自体は上昇傾向であり、着工戸数と逆の動きになっている。 このように、可処分所得、貯蓄額、金利、住宅価格を集約した「持ち家取得能力」 では、住宅着工戸数の動向を捉えられなくなっているため、持ち家取得能力の要因 や持ち家取得能力の各構成要素がそれぞれに住宅着工戸数に働いていることが推 測される。 第Ⅱ-2-20図 持ち家取得能力(30~39歳)及び持ち家系新設住宅着工戸数の推移 (注)持ち家取得能力の算式は以下のとおりとした。 「持ち家取得能力=① 資金調達可能額/② 住宅価格」 ① 資金調達可能額=住宅ローン借入可能額(L)+貯蓄残高(B) 資金調達可能額の前提としては、住宅購入にあたり、各世帯が住宅ローンの借入を行い、これに現 在の貯蓄額を合わせたものを、各世帯の資金調達可能額と考える。 L: 住宅ローン借入可能額(元利均等返済) L 1 年の返済額 A 1+r 返済期間 1 r 1+r 返済期間 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15 1.2 1.25 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 Ⅳ 14 Ⅰ └ Ⅱ 15 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 16 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 17 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 18 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 19 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 20 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 21 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ (万戸) 持ち家系新設住宅着工 持ち家取得能力(右目盛)

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- 84 - r: 利率(長期プライムレート)、返済期間=35 年 A: 可処分所得(家計調査(2人以上勤労者世帯)、後方4期移動平均)×12か月×25% B: 貯蓄(家計調査(2人以上勤労者世帯)、後方4期移動平均) ② 住宅価格=東日本不動産流通機構の21年1月分調査結果による住宅価格に対して民間住宅 投資デフレータで加工することにより算出 資料:「国民経済計算」(内閣府)、「建築着工統計」(国土交通省)、「家計調査」(総務省)、(日銀)、(東 日本不動産流通機構) 第Ⅱ-2-21図 持ち家取得能力の要因分解(前年同期比) 資料:「国民経済計算」(内閣府)、「建築着工統計」(国土交通省)、「家計調査」(総務省)、(日銀)、(東 日本不動産流通機構) ③ マインド ~30~39歳の失業率と住宅投資は相似した動きをしている~ 所得状況及び雇用環境に対するマインドが住宅取得の決定に大きく影響すること は自然である。そのため、マインドの代替変数として、消費動向調査より、「暮らし向 き」、「収入の増え方」及び「雇用環境」を、労働力調査より、前述で試算した持ち家取 得能力の試算対象である年齢層(30~39歳)の失業率を用い、持ち家系新設住宅 着工戸数との推移を比較する。 「暮らし向き」、「収入の増え方」は、15年までは持ち家系新設住宅着工戸数とおお むね連動していたが、第14循環の景気拡張局面において大きく上昇したため乖離が 目立つ。さらに、21年においても、「暮らし向き」は上昇に転じ、「収入の増え方」も下 げ止まりがみられることから、住宅着工戸数の動きと異なっている。次に「雇用環境」 の推移を確認すると、住宅着工戸数と相似した動きをしている時期もあるが、跛行が 大きく、持ち家系新設住宅着工戸数との乖離幅が大きい(第Ⅱ-2-22図)。 ▲ 0.06 ▲ 0.05 ▲ 0.04 ▲ 0.03 ▲ 0.02 ▲ 0.01 0.00 0.01 0.02 0.03 Ⅰ └ Ⅱ 15 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 16 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 17 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 18 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 19 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 20 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 21 Ⅲ 年 (% ) 借入可能額要因 貯蓄要因 住宅価格要因 持ち家能力指数

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- 85 - 第Ⅱ-2-22図 消費者マインド及び持ち家系新設住宅着工戸数の推移 (注)「暮らし向き」、「収入の増え方」、「雇用環境」の各指標(原系列)を年平均している。 資料:「消費動向調査」(内閣府)、「建築着工統計」(国土交通省) 一方、失業率の動きを重ねてみると、5年から14年まで失業率、住宅着工戸数とも におおむね低下傾向にあり、14年に入ると、景気拡張局面に伴い、雇用状況が好転 し失業率が持ち直してきたとともに、住宅着工戸数は漸増した。20年以降では、経済 危機の影響を受け、住宅着工戸数は大きく減少、失業率も急上昇している(第Ⅱ-2 -23図)。 このような動きをみると、現実的な失業率の動向から、雇用環境の悪化や将来的な 収入減に対して不安を感じ、住宅購入を躊躇する意識が働いていると考えられる。 第Ⅱ-2-23図 30~39歳の失業率及び持ち家系新設住宅着工戸数の推移 資料:「労働力調査」(総務省)、「建築着工統計」(国土交通省) ④ 持ち家系新設住宅着工戸数関数 ~19年以降、住宅価格上昇の影響を受け、住宅着工戸数が低迷した。 21年に入ると、資金調達可能額の低下やマインドや寄与が大きい~ 以上、持ち家系新設住宅着工戸数の動向は、従来考えられてきた持ち家取得能 力や人口要因の他に、住宅ローンを組むことができる層の雇用動向やマインドからも 40 50 60 70 80 90 100 110 20 25 30 35 40 45 50 55 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21年 ( 万戸) 暮らし向き 収入の増え方 雇用環境 持ち家系住宅着工戸数(右目盛) 40 50 60 70 80 90 100 110 0 1 2 3 4 5 6 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21年 ( 万戸) ( %) 30~39歳の完全失業率 持ち家系住宅着工戸数(右目盛)

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- 86 - 影響を受けていると推測されたため、それらの変数を追加して重回帰分析を行ってみ る。 被説明変数は、14年10~12月期から21年7~9月期までの持ち家系新設住宅 着工戸数とし、説明変数は、30~39歳の失業率、25~44歳の正規雇用者数を用 いた。持ち家取得能力は、足下で住宅着工戸数と連動していないことから、その構成 要素である、30~39歳の資金調達可能額、民間住宅デフレータに分け、それぞれを 説明変数として追加した。さらに、改正建築基準法施行による影響が大きいことから、 該当期間(19年7~9月期及び10~12月期)を「1」と設定する改正建築基準法施行 ダミー1及び反動増の影響を表す改正建築基準法施行ダミー2(20年7~9月期を 「1」)を設定した。 説明変数として採用する変数について、多重共線性注1)の影響を確認するために、

ダミー変数を除いた各変数間における VIF(Variance Inflation Factor、分散拡大要 因)を算出した(第Ⅱ-2-5表)。その結果、すべての変数において、VIF が10を超 えていなかったため注2)全変数を説明変数として採用することとした。 第Ⅱ-2-5表 各変数間の VIF(14年10~12月期から21年7~9月期) 30~39歳の失業率 25~44 歳の正規雇用者数 30~39 歳の資金調達可能額 25~44 歳の正規雇用者数 1.06 30~39 歳の資金調達可能額 2.21 1.19 民間住宅デフレータ 2.74 1.25 5.62 (注)VIF=1/(1-決定係数2) 回帰分析した結果、決定係数は 0.786 と高かった。25~44歳の正規雇用者数の t 値が2を若干下回ったが、それ以外の変数ですべて絶対値で2を超えており、かつ 符号も整合性があることから、説明力の高い結果となった。DW 比注3)は 1.53 であった ことから、残差の系列相関も確認されなかった(第Ⅱ-2-6表)。 第Ⅱ-2-6表 回帰分析結果(14年10~12月期から21年7~9月期) 自由度調整 済決定係数 説明変数 30~39 歳の 失業率 25~44 歳の 正規雇用者数 30~39 歳の 資金調達可能額 民間住宅 デフレータ 改正建築法 ダミー1 改正建築法 ダミー2 切片 0.786 係数 ▲ 61775.01 306.95 0.01 ▲ 5521.10 ▲ 45923.70 34146.87 226399.52 t 値 ▲ 6.20 1.78 2.28 ▲ 2.37 ▲ 4.83 2.20 0.44 この回帰分析の結果を要因分解したものが、第Ⅱ-2-24図である。19年以降、 注1)各変数の間に強い相関があることにより回帰分析の結果が歪められる状態を多重共線性が発生 しているという。 注2)一般的に VIF が 10 より大きければ、多重共線性が存在する。 注3)残差の系列相関の有無を検定する統計量。1.1~2.2 の間で自己相関がないと判断される。

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- 87 - 持ち家系住宅着工戸数は低下してきたが、これは、住宅価格の上昇及び19年7~9 月期、19年10~12月期の改正建築基準法施行による影響が大きいことがうかがえ る。また、21年4~6月期にはいると、可処分所得の減少による資金調達可能額低下 の寄与がみられはじめ、さらに、21年7~9月期では、30~39歳の失業率の上昇に よるマインドの悪化が影響している。 第Ⅱ-2-24図 回帰分析結果による要因分解 (注)1.新設住宅着工戸数=30~39 歳の失業率+25~44 歳の正規雇用者数 +30~39 歳の資金調達可 能額+民間住宅デフレータ+改正建築基準法施行ダミー1+改正建築基準法施行ダミー2+切片 2.網掛けは、t 値の絶対値が2以上を示す。 3.要因分解式:新設住宅着工戸数=(X1 i-X10)β1+(X2i-X20)β2+(X3i-X30)β3+(X4i-X40)β4+(X5i -X5 0)β5+(X6i-X60)β6+u X1: 30~39歳の失業率、X2: 25~44 歳の正規雇用者数、X3: 30~39 歳の資金調達可能額、 X4: 民間住宅デフレータ、X5: 改正建築基準法施行ダミー1、X6: 改正建築基準法施行ダミー2、 Xi:各変数の値、X0:各変数の平均値、βk:各変数のパラメータ、u:残差 資料:「国民経済計算」(内閣府)、「建築着工統計」(国土交通省)、「家計調査」、「労働力調査」(総務 省)、(日銀) (3) まとめ 低迷している住宅投資の状況を、人口要因、住宅取得能力、マインド要因から検証し た。回帰分析の結果、住宅着工戸数の低迷は、19年以降では住宅価格上昇の影響を 受け、21年に入ってからは、資金調達可能額の低下や雇用情勢の悪化によることが推 測された。 人口要因でみると、住宅取得年齢層の人口は現在ピークを迎える一方、住宅は供給 過剰であるため、今後はマイナスに寄与していくと思われる。 しかし足下では、土地売買業が、マンション分譲業と比較すると好調ともいえるほど水 準が高いことから、戸建て住宅に関しては潜在的な需要があると思われる(第Ⅱ-2-2 ▲ 80000 ▲ 60000 ▲ 40000 ▲ 20000 0 20000 40000 60000 Ⅳ 14 Ⅰ └ Ⅱ 15 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 16 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 17 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 18 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 19 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 20 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 21 Ⅲ 年 30~39歳の失業率 25~44歳の正規雇用者数 30~39歳の資金調達可能額 改正建築法ダミー1 改正建築法ダミー2 民間住宅デフレータ 持ち家系着工戸数

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- 88 - 5図)。今後、雇用情勢が好転し、将来不安が軽減されることにより、住宅需要が回復さ れることを期待したい。 第Ⅱ-2-25図 戸建住宅売買業、マンション分譲業及び土地売買業の推移 (17年=100,季節調整済) 資料:「第3次産業活動指数」 本稿では、住宅取得者の側から需要の動向について検証したが、住宅供給側の資 金調達環境や在庫調整などの動向についても検証する必要があるであろう。 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 Ⅰ └ Ⅱ 15 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 16 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 17 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 18 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 19 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 20 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 21 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ 戸建住宅売買業 マンション分譲業 土地売買業

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