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木材の繊維に直交方向圧縮に関する実験的研究(PDF)

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(1)

木材の繊維に直交方向圧縮に関する実験的研究

的野博訓

*

前川秀幸

*

松留愼一郎

*

末松 充彦

*

大橋好光

**

Experimental Study on Compression Perpendicular

to Grain of the wood

Hirokuni MATONO * Hideyuki MAEKAWA * Shinichiro MATSUDOME * Atsuhiko SUEMATU* Yoshimitsu OHASHI**

The purpose of this study is to clarify experimentally the effects of compressed area, the cut end height, and the cut end width, and to get experimental data through the complete compression test. The material used in the test is Japanese cypress. The end grain angle, edge gain and straight grain are measured. Moisture content is 13-15%, while wood density is about 0.45g/cm3.

As a result, we confirmed that the elastic modulus of primary order stiffness had little change even when compressed area and cut end width are changed, and the average of the elastic modulus of primary order stiffness is about 6~12 N/mm2, and the yield stress of virtuality was 4~12 N/mm2.

Key words : Wooden StructureCompression perpendicular to grain of the woodComplete compressionelastic modulus

1. 背景と目的 木造建築の伝統的構法に用いられ期待される耐力 要素は,接合部に耐力を期待するものが多い.その 接合部の設計にあたって,木材が持っている異方性 という性質を無視することは出来ない.特に繊維に 直交方向の荷重と変位の関係は,部材への力の加わ り方によって異なる値を示す1) 繊維の直交方向圧縮(全面圧縮)の研究は,廣川 ら2)が報告している.しかし成が60mm のみであり 材成による影響までは確認をされていない. 本論文は,材種を無節のヒノキ材(気乾状態)の 芯去り材とし,全面圧縮試験を通して材成を20mm から100mm と変化させ,さらに,圧縮面積・木口 幅などの影響を実験的に明らかにし,その結果を報 告するものとする. 2. 試験体概要 表1に実験種類,試験体一覧を示す.実験種類は 大別して以下の3 種類である. ⅰ)圧縮面積比較用Z(a) 材成を 20,50,100mm と固定として,圧縮面を 6 タイプ(正方形a=b=20~100mm)とした 108 体. ⅱ)材成比較用Z(h) 圧 縮 面 を 正 方 形 の 900mm22500mm2,10000 mm2と固定して,材成を6 タイプ(h=20~100mm) とした108 体. ⅲ)縦横寸法比比較用Z(s) 材成を 20,50,100mm と固定して,圧縮面積を約 2500mm2とし木口幅寸法を3 タイプ(70×35,50 ×50, 35×70)とした 54 体. 木取りは,木材のばらつきを低減させるために1 つのパラメーターを一部材から取れるように図1の ような木取りを行った.追柾,平柾を含むように木 取りを行い,各種に各 6 体とした.また, 木口面 はすべて写真を撮り,年輪傾角を5 度毎に計測した. 計測方法は,木口断面における年輪距離が最も長い 年輪に接線を引きその角度とした.明らかに角度に 幅がある場合は2~3点の接線を引き計測した. 木 口上下で年輪傾角が異なる試験体の場合は,木表側

* 職業能力開発総合大学校 建築システム工学科 Dept. of Architectural system Engineering , Polytechnic University

** 東京都市大学 工学部 Faculty of Engineering Tokyo City University

職業能力開発総合大学校紀要 第42 号(2013 年 3 月) Bull. Polytechnic University No.42, March 2013

(2)

と木裏側と最低2 か所は計測した.年輪傾角の範囲 は,0°から50°程度であった. 0°を平柾として いる. 試験終了後,乾燥させて含水率を計測した結果, 試験体の含水率は13~15%であった.また,密度は 0.45g/cm3前後であった. 試験体名称の詳細は図2に示す. 3. 試験方法 試験は万能試験機のテンシロンにより荷重速度 1mm/min で単調加力を行った.荷重はロードセル (100kN),変位は電気式変位計(容量 50mm)を用 い,クロスヘッドの変位で制御し,終局変位が11mm となるまで試験を行った.試験方法の一例を図3 に 示す.加力用冶具は鋼材で,撮影の関係上,圧縮面 積400~1600mm2では図2の冶具(1)を,全面圧 縮の圧縮面積2500~10000mm2では図4 の冶具(2) を使用した. 観察方法は,木口面,柾目面の 2 面を観察した. 写真撮影は,1 次勾配の中央と終わり,及び変位 2mm ごととした. 4.試験結果と考察 4.1 降伏点および剛性の算出方法 試験結果及び考察において,1・2 次勾配,比例限 度,仮想降伏点変位,仮想降伏点荷重を図5のよう に定める.また,実験初めのスリップ部分を除き, 弾性域の 1 次勾配及び塑性域の 2 次勾配は目視によ り任意 2 点を選択し,その 2 点をそれぞれ結んだ直 線とした. 表1 試験体一覧 記号 固定条件 試験 種類 備考 試験体図 1 全 面 圧 縮 Z(a) h=20 6 圧縮面積の影響 a=b=20,30,40,50,70,100[mm]

h

a

b

h=50 6 h=100 6 2 Z(h) a=b=30 6 材成の影響 h=20,30,40,50,70,100[mm] a=b=50 6 a=b=100 6 3 Z(s) h=20 3 木口幅の影響 s≒2500[mm2] a×b≒70×35,50×50, 35×70 h=50 3 h=100 3 図1 木取り図 治具(1) 治具(2) 図4 全面圧縮試験加力治具 図3 試験方法 (Z(a)-50-20 試験前) Z(a):面積比較 Z(h):材成比較 Z(s):木口幅比較

Z-50-20

図2 試験体名称の詳細

材成

(h)

圧縮面一辺(a=b) Z(s)の場合木口幅 図5 降伏点及び剛性の算出方法 2次勾配 荷重 変位 1 次勾配 仮想降伏点変位、仮想降伏点荷重 職業能力開発総合大学校紀要 第42 号 95

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図8 年輪傾角と一次勾配ヤング係数 4.2 応力変位曲線 図6に各試験体の 6 体平均の圧縮応力度と変位の 関係を示す.また,Z(h)に関しては応力ひずみ曲線 を示す.ほとんどの試験体において,仮想降伏点変 位が 0.5~1.5mm 程度を境界に弾性域,塑性域と分け られ,バイリニアの性状を確認することが出来た. その際の仮想降伏点応力は 4~12N/mm2であった. 4.3 破壊状況 全試験体に共通して,塑性域に入ると応力度が急 激に下がることが特徴である.終局の破壊形状とし ては,座屈と圧壊が混在していた.縦横比が大きい も の ほ ど 座 屈 破 壊 が 顕 著 に 見 ら れ た . 図 7 に Z(a)-20-100 を示す. 破壊形状が混在していても,全試験体に共通して 1次勾配に対して2次勾配の比率は概ね 1~6%程 度であった.(図9,10,11 参照) 4.4 年輪傾角とヤング係数 図 8 に Z(a)試験体の各高さ(h=20,50,100)の圧 縮面積 400mm2と 1000 mm2の二種類における一次勾 配ヤング係数を示す.高さ 100,50mm の試験体では平 柾になるに従って大きくなっていた.しかし,高さ 20mm 試験体においては,平柾になるにつれて若干高 くなるものの大きな差は見られてなかった.また, 図8の角度は木表側の年輪傾斜角度であることを添 える. 4.5 圧縮面積の影響 Z(a) Z(a)の平均ヤング係数等の諸数値を図9に示す. 1次勾配は,材成が小さいほど低い傾向が見られる が圧縮面積が変わってもヤング係数に差は大きく見 られない.2次勾配も同様に材成が小さいほど低い 傾向が見られるが圧縮面積が変わっても 6~12N/mm2 図6 圧縮応力度と変位の関係 0.000 0.002 0.004 0.006 0.008 0 2 4 6 変位(mm) 圧縮応力度( KN/ m m 2) h=20 h=50 h=100

S=35×70

0.000 0.002 0.004 0.006 0.008 0 2 4 6 変位(mm) 圧縮応力度( KN/ m m 2) h=20 h=50 h=100

S=50×50

0.000 0.002 0.004 0.006 0.008 0 2 4 6 変位(mm) 圧縮応力度( KN/ m m 2) h=20 h=50 h=100

S=70×35

<Z(s> <Z(h)> <Z(a)> 0 0.002 0.004 0.006 0.008 0 2 4 6 Z(a)-20-20 Z(a)-30-20 Z(a)-40-20 Z(a)-50-20 Z(a)-70-20 Z(a)-100-20 変位(mm) 圧縮応力度( KN/ m m 2)

h=20mm

0 0.002 0.004 0.006 0.008 0 2 4 6 Z(a)-20-50 Z(a)-30-50 Z(a)-40-50 Z(a)-50-50 Z(a)-70-50 Z(a)-100-50 変位(mm) 圧縮応力度( KN/ m m 2)

h=50mm

0 0.002 0.004 0.006 0.008 0 2 4 6 Z(a)-20-100 Z(a)-30-100 Z(a)-40-100 Z(a)-50-100 Z(a)-70-100 Z(a)-100-100 変位(mm) 圧縮応力度( KN/ m m 2)

h=100mm

0 0.002 0.004 0.006 0.008 0 0.1 0.2 0.3 0.4 Z(h)-30-20 Z(h)-30-30 Z(h)-30-40 Z(h)-30-50 Z(h)-30-70 Z(h)-30-100 圧縮応力度(k N /mm2 ) ひずみ

S=30×30mm

0 0.002 0.004 0.006 0.008 0 0.1 0.2 0.3 0.4 Z(h)-100-20 Z(h)-100-30 Z(h)-100-40 Z(h)-100-50 Z(h)-100-70 Z(h)-100-100 圧縮応力度(k N/m m 2) ひずみ

S=100×100mm

0 0.002 0.004 0.006 0.008 0 0.1 0.2 0.3 0.4 Z(h)-50-20 Z(h)-50-30 Z(h)-50-40 Z(h)-50-50 Z(h)-50-70 Z(h)-50-100 ひずみ 圧縮応力度(k N/m m 2)

S=50×50mm

1 2 3 4 5 6 図7 終局形状(Z(a)-20-100) 的野・前川・松留・末松:木材の繊維に直交方向圧縮に関する実験的研究 96

(4)

1次勾配 2次勾配 図10 Z(h)材成比較 とほぼ一定である.仮想降伏点変位は材成が小さく なるほど小さくなり,圧縮面積が変わってもほぼ一 定である.仮想降伏点応力に関しても圧縮面積が変 化しても若干上がるもののほぼ 5N/mm2であった. 4.6 材成の影響 Z(h) Z(h)の諸数値を比較したものを図10に示す.材 成が大きくなるほど,1次勾配ヤング係数は比例的 に大きくなっていた.圧縮面積が変わっても同等の 結果を得た. 2次勾配ヤング係数はほぼ変化なく,仮想降伏点 変位は材成が大きくなると大きくなる. 仮想降伏点 応力はほぼ5N/mm2であった. 4.7 木口幅寸法比の影響 Z(s) Z(s)の諸数値を比較したものを図11に示す.木 口幅が大きくなるにつれて,1次勾配ヤング係数は 400~430 N/mm2とわずかに変化があるもののほとん ど変わっていない.材成が変わってもその傾向は同 じであった.2次勾配ヤング係数も 6~8N/mm2ほと んど変わらず,木口幅寸法比による大きな影響は見 られなかった. 5.まとめ 本研究で得られたことは以下のことである. 1) 圧縮面積,材成,木口幅を変化させて全面圧縮 試験を行い一次勾配ヤング係数等のデータを 得た. 2) 一次勾配のヤング係数は,材成が大きいものほ ど大きくなった.高さの高い試験体に関しては ある一部分のみの変形で変形していない個所 もあることから,ひずみが小さくなり相対的に ヤング係数が大きくなったと考えられる. 3) 圧縮面積,木口幅変わってもほとんど変化がな かった. 4) 全試験体において,2次勾配ヤング係数の平均 は 6~12N/mm2程度で仮想降伏点応力は 4~ 12N/mm2であった. 一次勾配に対する比率は 1 ~6%であった. 謝辞 本研究を進めるに当たり,平成23年度卒業生茂木 佳菜子氏,東京都市大学柳原勇樹氏に協力を得た. ここに記して謝意を表する. 参考文献 1) 日本建築学会:木質構造設計規準・同解説,日本建築学会, 1995 2)廣川貴則:伝統木造仕口の横圧縮特性(その1 横圧縮ヤング 係数と降伏応力度),日本建築学会大会学術講演梗概集C,構 造(3),pp7~8,2009 1次勾配 2次勾配 図11 Z(s)木口幅比較 1次勾配 2次勾配 図6 Z(a)面積比較 職業能力開発総合大学校紀要 第42 号 97

参照

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