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第5章 北東アジア『バーチャル・カー』構想 : 情報ネットワークシステム下の北東アジア企業連携

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5章

北東アジア 『バーチャル ・カー』構想

一情報ネ ッ トワー クシステ ム下の北東 アジア企業 連携-新潟経営大学 教授 蛇名保彦 [日 次] 本稿の論 旨 1.「ネ ッ トワーク ・マニュファクチ ュア リング」論 とその背景 (1)「ネ ッ トワーク ・マニュファクチュア リングJ とは何か ①付加価値連鎖 と情報ネ ッ トワー クシステム ② cALSと 「ネ ッ トワー ク ・マニュファクチュア リング」 ③ 「ネ ッ トワーク ・マニュファクチ ュア リング」か ら 「ネ ッ トワーク ・マネジメン ト」 5■さl (2)「ネ ッ トワーク ・マニュファクチュア リング」の背景 ①最適調達 システム ② 「カス トマイゼ-シ ョン」 ③ 「ライフ ・サイ クル ・アセスメン ト (LCA)」 2.「ネ ッ トワーク ・マニュファクチ ュア リング」の展開 (1)先鞭を和 ナた TPN (2)急展開す る自動車産業のネ ッ ト化 と再編成 ①アセ ンブラー- 「リー ン ・マニュファクチュア リング」か ら 「ネ ッ トワーク ・マ エフアクチュア リング」--②パー ツ ・サプライヤー-モジュール化 ・システム化 とインテグレーシ ョン-3.新潟産業集積 における 「ネ ッ トワー ク ・マニュファクチュア リング」の展開 と課題 (1)新潟産業集積の特質 ①基盤的技術部門集積 ②環 日本海拠点 (2)「ネ ッ トワーク ・マニュファクチュア リング」の展開一金型産業を中心に して-①新潟県における金型産業 ② 中越金型産業の発展 と高度化 (3)「ネ ッ トワー ク ・マニュファクチュア リング」の課題- 「北東アジア 『バーチ ャ ル ・カー』構想 」-① 「バーチャル ・カ」」 と 「LCAカー」 ② 「バーチャル ・カー」 と中越集積 の戦略性 ③ 「北東アジア 『バーチャル ・カー』構想」 ④ 中越集積の課題

(2)

_28-本稿の論 旨 このプ ロジェク トの研究 目的は、 「情報ネ ッ トワークによる北東アジア地域 の企業連携 ビジネス ・モデルの構築」にある。従って本稿に与えられた課題 も、こ うした 目的に沿っ て、情報ネ ッ トワークシステム下の北東アジア企業連携モデルを解明す ることにある。そ こには四つの論点が伏在 している と考 えられ る。 す なわち、 (イ) 「マニュファクチュア リング」の今 日的意義、 (ロ) 「マニュファクチ ュア リング」 と情報ネ ッ トワー クシステ ムの関係、(ハ)新潟産業集積なかんづ く中越集積の北東アジアにおける 「拠点性」、(ニ) 北東アジア企業連携 と新 ビジネス ・モデル-の四つである。そ こで本稿ではこれ らの論点 に則 して問題の解明に当たろ う。 第一点は何故 rマニュファクチュア リング」の今 日的意義が問われているのかであるが、 その理 由は以下の三つである。 一つには、ネ ッ ト時代における 「マニュファクチ ュア リング」の意味を明確 に してお く 必要があると考えられるか らだ。周知の通 り、現在産業の世界的な再編成なかんづ く自動 車産業の再編成が急テンポで進展 してい る。だが、その背後で情報ネ ッ トワークシステム が極めて重要な役割 を果た しているとい うことを見落 としてはな らない。その結果、例え ば自動車産業においても r再編成」 と 「変容」 とが表裏の関係で進展 している。そこで、 自動車産業は、脱 自動車産業に向かっているのか、それ とも新 自動車産業へ と変身 を遂げ つつあるのか- とい うことが問われ るているのであるoそれは、ネ ッ ト時代における rマ ニュファクチュア リング」の変容をどのよ うに考 えるべきなのか、とい うことにも繋がる。 情報ネ ッ トワークシステムは、「脱マニュファクチュア リング」を推 し進 めるのか、それ とも 「ニュー ・マニュファクチュア リング」-の変貌 を促すのか- とい う問題 である。か くして、ネ ッ ト時代における 「マニュファクチュア リング」の意味を明確に してお くこと は、現在の産業再編成を考える上で不可欠であると考えられ る。 二つには、地域においては 「マニュファクチュア リング」の比重が今なお大 きい とい う ことだ。例えば筆者の勤務先が所在す る新潟県は、常 日頃か ら自らを ``舜 日本海の拠点'' と称 してそれを誇 りにしているのだが、他方では自らを ``モノづ くりの拠点"で もあると 自負 している。今 日のような "グローバル時代''には、当然ボーダレスな発恵の必要性が 高まるが-何故ならば ``グローバル時代''は別言すれば ``ボーダレス時代"でもあるか ら だ-、そ うであればあるほどますます両者 を結びつけて考えなければな らない。 にもかか わ らず、実際にはそ うした努力は必ず しも十分 とは云えない。逆に後者の "キノづ くりの 拠点"性が、上述 した 「マニュファクチャ リング」の世界的再編成を前にして後退 を余儀 な くされているのが実状だ (注 1)。つま り "モ ノづ くりの拠点''性が改めて問われてお り、そのことを明確に しない限 り ``環 日本海の拠点''性の根拠 も失いカや ない とい うこと だ。 このことか らも解 るよ うに、産業集積地域活性化のためにも 「マニュファクチュア リ ング」の再定義が必要な時期に差 しかかっていると云えよ う。 三つには、いわゆる環境問題 と 「マニュファクチュア リング」 との関連性 も考えてお く 必要があろ う。環境問題が最 も深 く関係する産業分野はやは り「マニュファクチャ リング」 である。従 って 「マニュファクチュア リング」のあ り方 を検討す ることな しには環境負荷 の低減 も困難だ とい うことになる。他方、「マニュファクチュア リング」 と情報ネ ッ トワ _29_

(3)

- クシステム との融合が急速 に進展 してい る以上 、環境負荷低減 もまた この融合 問題 と深 く関わ るoLCA (Life Cycle As sessment)論 は本来 、環境工学か ら提起 された負荷低減論 であるが、 さらにそれ を情報工学的 にも発展 させ ることによって、情報ネ ッ トワー クシス テム との関連 において 「マニュファクチュア リング」にお ける環境負荷低減 を促進す る方 途 を見 出す必要があるのではないだ ろ うかO では 「マニ ュファクチ ュア リング」 と情報ネ ッ トワー クシステム との関係 を どのよ うに 考 えるべ きなのか。 そ こで第二の論点が登場 して くる。本稿では この点 を 「ネ ッ トワーク ・マニ■エフアクチュア リング (Network Manufacturing)」 とうい うコンセプ トを用 いて論 じる。 「マニュファクチ ュア リング」 と情報ネ ッ トワー クシステムの結合 ・融合問題 は結 局 「ネ ッ トワー ク ・マニュファクチ ュア リング」- と移行す るか らだ。 ところで 「ネ ッ トワー ク ・マニュファクチュア リング」の典型は 自動車産業である。「ネ ッ トワー ク ・マニュファクチュア リング」時代 にお ける自動車生産の新 しい コンセプ トが 「バーチ ャル ・カー」(注 2)である。何故 「バーチ ャル ・カー」なのか。 「ネ ッ トワー ク ・マニ ュファクチ ュア リング」下の 自動車産業 においては、情報ネ ッ トワー クシステムに 支 えられて開発 ・調達 ・生産 ・販売 な ど殆 ど全ての付加価値プ ロセスがネ ッ トワーク化す る-従 ってそのプ ロセスは付加価値連鎖のプ ロセスに転化す る-結果、パー ツ (部品)の モ ジュール化 (複合化)・システム化が進展す る。 そ こでパーツ ・サプライヤーのアセ ン ブル機 能が増大す るO その結果 、パー ツ ・サプライ ヤーの協業 によって 「モ ジュール化」 をイ ンテ グ レー トすれば、 自動車生産においても 「バーチ ャル ・カー」が成立 し得 ること になる。つま り、情報ネ ッ トワー クシステム上で行 われ るパーツ ・サプライヤーの協業 に よるモ ジュール ・システムのイ ンテ グ レー シ ョンに よって可能になるのが 「バーチャル ・ カー」である。その意味で 「バーチ ャル ・カー」はパーツ ・サプライヤーによるアセ ンブ ル機能 の代替 で もあるのだ。 か くして 「バーチュアル ・カー」 とは、 「ネ ッ トワー ク ・マ ニュファクチュア リング」下における自動車生産の新 しい コンセプ トだ とい うことになる。 (だか らといって、アセ ンブル機能だけで 自動車生産が成 り立ってい る訳ではない。そ こ には開発機能、デザイ ン機能 さらにはマーケテイ ング機能 といった要素 も必要 とされ るか らだ。 「アセ ンブ ラー」 としての機能 を低 下 させ て も自動車 メーカーが有す るこ うした機 能は 自動車生産 において も依然 として必要である。従 ってパーツ ・サプライヤーがアセ ン ブ ラー機能 を取 り込んだか らといって、それ を以て直ちにアセ ンブラーに取 って代わ り得 るとい うことではない。) 自動車産業が 「マニ ュファクチ ュア リング」の典型 であるとい うこ とは、 「バ ーチ ャル ・カー」が汎用性 を有 してい る とい うこ とを意味 してい る。従 って、「バーチ ャ ル ・カー」は 「バーチャル ・マニュファクチュア リング」にも結びつ くとい う訳である。 「バーチ ャル ・カー」の第一の意義 はこの点にある とい うことを強調 しておかなければな らない。 「バーチ ャル ・カー」は 「LCA カー」で もあるO 「ネ ッ トワー ク ・マニュファクチ ュア リング」の核心 をなす CALS(ContiniousAquisitionandLife-cycleSupport) は、情報ネ ッ ト ワー ク システ ム に よる製 品 ライ フサイ クル の統合 化 コ ンセ プ トであ るが、そ の こ とは cALS が、環境負荷低減 に対 してや は り製 品 ライ フサイ クル論か らアプ ローチ してい る

(4)

-30-LCA

論 とは共通のアーキテクチ ャー (設計思想) を有 してい るとい うことを意味 してい る。従 って、両者はそもそも表裏の関係にあると云える。そ して注 目しなければな らない のは両者の相乗作用である。

LCA

カー」によって達成 され るべき 「軽量革命」をよ り効 果 あ らしめるためには、

LCA

カー」と 「バーチャル ・カー」の相乗作用が必要であるが、

LCA

CALS

の融合性か ら観てそれは十分可能であると考えられ る。こ うした観点か ら、

LCA

カー」を推進す るためにも 「バーチャル ・カー」が必要であるとい うことになる。 「バーチャル ・カー」の二つ 目の意義はこの点にある。 「バーチャル ・カー」は 「バーチャル ・コーポ レーシ ョン」にも繋が る。 「バーチャル ・カー」がパーツ ・サプライヤーを してアセ ンブラー と並んで-場合によればそれに取っ て代わって- 自動車生産を可能 にさせ るとい うことは、パーツ ・サプライヤーに とっては 新 ビジネス ・モデルの誕生を意味す る。 何故な らば、生産がバーチャル化す るとい うこと は ビジネス ・モデル もまたバ」チャル化す ることになるか らだ。か くして 「バーチャル ・ カー」は 「バーチャル ・コーポ レーシ ョン」にも繋がるのだ (注3)0「バーチャル ・カー」 の意義の三つ 目としてこのことも指摘 しておかなければな らないであろ う。 第三の論点である中越集積論 に関 しては、

LCA

カー」 との関連性 を重視すべきだ とい うことである。新潟県の産業集積なかんづ く中越集積が永年 に亘 り蓄積 し且つ国際的にも 「金属加工基地」 として高い評価 を得ている機械金属産業の基盤技術 とりわけ金属加工技 術や金型技術 も 「ネ ッ トワーク ・マニュファクチュア リング」に深 く関わってい る。そこ で、ネ ッ ト調達の進展 と共に今後不可避 となるであろ うパーツ (部品)のモジュール化 に 対す る機械金属加工業なかんず くその基盤的技術部門の中核 に位置する中越金型産業の対 応が問われ ることになるが、その対応宜 しきを得れば同集積 においても 「バーチャル ・カ ー」-の参入の可能性は十分あ り得 ると想定され る。何故な らば中越集積は戦略的な有利 性 を備 えているか らである。重視すべきは同集積のマグネシウム開発である。すなわち、 環境問題 との関連で最近 とみに重要性 を増 しつつある軽量金属材料開発 とくにマグネ シウ ム開発が持つ意味である。マグネシウムが 「軽量革命」のキー ・ファクターであるとい う 観点か らみて、それは、

LCA

カー」構想の核心部分をな しているが、同時にそれは、金 型産業における 「集積モジュール」に結びつ くな らば

、LCA

CALS

の融合を通 じて

LCA

カー」 と 「バーチャル ・カー」の相乗作用 ・累積効果に結びつ く可能性 を秘めている。そ の意味で、われわれは中越集積 におけるマグネシ ウム開発が有す る戦略性 に注 目しておか なければならないであろ う。 さらに、中越集積が持つ北東アジア拠点性 も同集積の戦略性 を一層強めている。 この点 を考慮すれば、「バーチャル ・カー」構想 はさらに 「北東アジア 『バーチャル ・カー』構 想」- と発展す ることになる。 中越集積が以上の戦略性を活かすためには、まず 中越金型産業 において既 定展開 され始 めてい る 「集積モジュール 」をシステム化 しさらにそれ をイ ンテ グ レー トす るとともに

LCA

化す ることが必要である。その場合、情報ネ ッ トワー クシステムにお けるイ ンター フェースの標準化政策すなわち 「オープン ・ポ リシー」 (注 4) と標準化ない し互換 ソフ トの開発が不可欠であるが、新潟産業集積 なかんづ く中越集積 において も、「オープン ・ ポ リシー」に基づ く

LCA

カー」ソフ トの開発及びそのバーチャル化、またそのための _31_

(5)

基盤 をなす ソフ トウエア産業の育成 と人材養成が必要である。 さらに、 「バーチャル ・カ ー」構想及び 「北東 アジア 『バーチ ャル ・カー』構想」を推進 してい くためのコーディネ ー ト企業 さらにはコーディネーターの出現が望まれ る。 最後 に北東 アジア企業連携モデル論 に関 しては どうか。前述 した よ うに、「バーチャル ・カー」は新 ビジネス ・モデル 「バーチ ャル ・コーポ レーシ ョン」にも繋がる。従 って、 われわれが本プ ロジェク トの目的すなわち情報ネ ッ トワ・-クによる北東アジア地域 の企業 連携モデル を構築す るとい う場合、それはそ うした意味での新 ビジネス ・モデル論 との関 連で取 り組 まれ るべ きであると考 える。 ところで、 「マニ ュファクチ ュア リング」 の今 日的意義 はいわばわれわれの問題意識で ある。そ こで以下では、そ うした問題意識 は本稿 の前程条件 とし、 「マニュファクチュア リング」 と情報ネ ッ トワー クシステム との関係か ら議論 を始めることに しよう。 (注1)新潟県にお ける製造業の低迷ぶ りについては、新潟県雇用安定 ・創 出対策協議会 『県内製造業 における雇用の動向 と新分野展開による雇用の創 出に関す る調査』 (2000年3月)および新潟県 ・工業統計調査結果 (2000年9月4日)が詳 しい。 (注 2) ここで注意 しておかなければな らないのは、 「バーチャル (virtual)」とい う言葉 の意味である。一般にそれは 「仮想 」 とい う意味で使 われているが、それはまず 言葉 自体 として必ず しも正確ではない。 「仮想」 とい う意味はそ もそ も原語の v irtual とい う言葉 には含まれていないか らだoつま り、 「バーチ ャル」とい う言葉 を解 り易 く表現す るために 「仮想」 とい う言葉がたまたま使われているのだが、 それはいわば "俗語"に過 ぎない と云えよ う。要す るに virtualとい う英語 に該 当 す る適切な 日本語はそ もそ も存在 しない とい うことだ。 そこでわれわれは、 この 「バーチ ュアル 」 とい う言葉は一体何 を意味 している のか とい うことをここで改めて明確 に しておかなければな らないる。それは、そ もそも 「電子頭脳空間 (ElectronicCyberSpace)」-あるいは単に 「電脳空間 (サ イバー ・スペー ス)」 と呼んで もよい- とい う概念 に付随す る用語である。 この 点 を理解す るためには、「情報ネ ッ トワー クシステム」とは、情報工学で云 うと ころの単なる 「ネ ッ トワークシステム」を指 してい るだけではな く、同時に 「人 工頭脳学 (サイバネティ ックス ;Cybernetics)」的な意味での 「電子頭脳空間」で もあ り、従 ってその 「非物質性」にこそ問題の本質があるのだ- とい うことをま ず理解 してお く必要があろ う。 「電子頭脳空間」は情報 を非物質的にす る-つま りモ ノとい う記録媒体を不要にす る- とい う点で、従来の単なる 「情報空間」 と は本質的に異なるのだ (黒崎政男 「ネ ッ ト情報の不安定 さ一文字信仰裏切 る非物 質性-」[朝 日新聞2000年3月3日]参照)。そこでわれわれは、この 「非物質性」 を ``物的条件か ら自由であるとい う状態"-すなわち距離 ・時間 ・形式の制約 を 受 けない とい う状態 も含 まれ る- とい う意味で、「バーチュアル」と称 している に過 ぎないのだ。 (上記の 「非距離性」についてジ ョン ・グ レイ氏は興味深い論 点を提供 している。氏は情報化が もた らす この 「非距離性」-あるいは 「脱距離 性」- こそが グローバ リゼー シ ョンの本質だ としてい る[ジ ョン ・グレイ

『自由 -3

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2-放任』の ドグマを排せ、社会安定に寄与す る理論 を」く日本経済新聞 2000年 1月 16 日〉参照]。 このことは、グローバ リゼーシ ョンと情報化は表裏の関係 にある とい うことを物語 っている。) か くして、「バーチュアル 」 とはあ くまでも 「非物質性 ・非形式性」 さらには 「非距離性 ・非時間性」 (尤 も非距離性 と非時間性 を同列 に置いて論 じるのは必ず しも適切ではない。両者の間の相違 を無祝 して しま うか らだ[レジス ・ドプ レ 「新 世紀 を語 る一 目を閉 じて真実を見 よ」く朝 日新聞 2000年4月 28日〉参照]) を問題 に してい るのだ。 ところがわれわれは、 「電子頭脳空間」が持つ これ らの特質を 上述 したよ うに往々に して 「仮想」とい う概念で捉 えて しまいがちであるが、そ れは言葉遣いの問題 としては無論 のこと内容的 にも正 しくないO 「非物質性 」 を 「仮想」概念で捉 えて しま うと、問題がたちどころに 「非現実性」-すなわち " 現実に存在 していない状態''っま り "想像上にのみ存在す る状態''-- と変質 し て しま うか らだ。それでは議論 を無意味なモ ノに して しま うだけである。そ こで われわれ は、「非物質性」を "物的条件か らの 自由''と理解す る限 り、「仮想」 で はな く 「バーチュアル 」 とい う用語 を使 う以外 にない とい うことになる。そ こで もしわれわれが どうしても正鵠 を射たい と考 えるな らば、 「バーチ ャル」 とい う 言葉 自体を避 け、それに代 えて 「電子頭脳空間」- あるいは 「電脳空間」- とい う概念 をそのまま使 うべきである。 況や 「電脳空間」が持つ 「価値創 造性」を問題 にす るとす るな らば (井出仲之 「デジタル革命、第三段階に」[日本経済新聞 2000年 3月 9日]参照)、概念規定 を 唆味にす ることは尚更許 されない。 (なお、情報ネ ッ トワー クシステム と 「価値 創造性」に関 しては、サイバネティ ックスだけではな くナ レッジ ・マネ ジメン ト 論、ネ ッ トワーク論な ど様 々な角度 か ら論 じられてい るが、その中の幾つか を紹 介 してお くと以下の通 りである。 まずサイバネティ ック的アプ ローチ としては、 物づ くり自体価値創造の主要な場が工場 ・現場な ど従来の 「物的空間」か ら 「電 脳空間」に移動 しらっぁるとす る 「価値創造源泉移動論」が挙げられ る[野 口 恒 「製造業がめざすバーチャル ・マニュファクチュア リング」くエコノ ミス ト1999年 10月4日〉p.49参照]。ナ レッジ ・マネジメン ト論の観点か らは、情報 ・知識の共 有による 「知識増殖性」が指摘 されてお り[梅本勝博 「知識創造の経営-」く日本 経済新聞 1999年5月 28日〉参照〕、また ビル ・ゲイ ツの 「デジタル ・ナーバス ・ システム論」 [日本経済新聞く1999年3月 26日〉参照]もこの系譜に属す るであろ う。 さらにネ ッ トワーク論の立場か らは、まずネ ッ トワークによる便益性 と収益 性 の向上 とい う 「ネ ッ トワークの経済性」が指摘 されてお り[国領二郎 『オープン ネ ッ トワーク型経営一企業戦略の新潮流-』く1996年 6月、日本経済新聞社刊〉p.69 - 70参照]、またネ ッ トワークによる外部経済効果 として 「連結の経済性」が論 じられてお り[宮沢健一

『連結 の経済性』確立」く日本経済新聞 1999年 1月 8日〉 参照]、 さらにネ ッ トがネ ッ トを呼ぶ とい うネ ッ トワー ク効果による 「収益逓増の

法則 」が提起 されてい る[TheEconomist``IntemetEconomi cs''くApri1lらt2000〉p.64 参照]。)

概念規定の問題 に関連 して、 さらに 「バーチ ャル 」論が 「循環型社会」形成 に

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も深 く関わ ってい る とい うこ とも指摘 しておかなけれ ばな らない。 と云 うのは、 それ は、 「非物質性」とい う点で 「デ ジ タル財」とい う概念 にも関係 してい るか らだO 「デ ジタル財」 とは、1と oとに還元で きる "無形財''の こ とであるOその 結果 「デ ジタル財」は、``有形財 ''すなわち 「非デ ジタル財」に対 してエネル ギ ーや物質の消費が遥か に少 な くて済む とい う特質 を持つ ことになる。何故な らば、 「デ ジ タル財」の場合 、"無形財 ''であ るが故 に 「電子頭脳空間」を通 じての生 産 ・流 通 ・消費が可能 になるか らだ。つま り 「デ ジタル財」は、人間の頭脳 の中 で生産 され 、 「電脳 空間市場」を通 じて取 り引 き され、 さらに 「電脳空間」で利 用 され る訳 だか ら、 「非デ ジタル財」に比べてエネル ギーや物質の消費 はそれだ け少 な くて済む ことにな る (日本経 済新聞 「資源生産性 の向上で循環社会 を」 [日 本経済新聞2000年3月27日]参照)。従 って、社会 の中で 「非デ ジタル財」に 対 して 「デ ジタル財」の比重が鹿せ ばます ほ ど、その社会は 「循環型社会」に近 づ くこ とにな る。LCAが情報 ネ ッ トワー クシステム と親和的なのは、CALSとの 敵合性 だ けではな く、 「デ ジタル財」が持つ こ うした社会 システム的性格 とも深 く関わ ってい る とい うこ とを見落 としてはな らないであろ う。 だが、本稿 は言葉遣い を詮索す るこ とを 目的 としてい る訳ではないので、 ここ では取 りあえず一般 の用語法 に従 って 「バーチ ャルJ とい う言葉 を使用す ること にす る (後述 す る '-Tバ ーチャル .コーポ レーシ ョン

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」につい て も同様 で あ る)O しか しなが ら、㌻バーチャル」 と技、それ を単 に言菜 遣 い の問 題 として捉 えるのではな く、情報通信技術の発展 に よる経済社会のパ ラダイ ム ・ シフ トを言い表す言葉 として理解すべ きだ- とい うことは強調 してお くべ きであ ろ う。 (注3)現在 「ビジネス ・モデル」特許取得 の動 きがアメ リカを中心 に急速 に広 まってい る。 それ は、云わば rビジネス ・モデル」の知的所有権化であるが、情報ネ ッ ト ワー クシステム との関連 で云 えば ソフ トウエ ア化で もある。 (なお 、 「ビジネ ス ・ モデル 」の知的所有権化 はそれ 自体 が大 きな問題 であ る。 ビジネ ス ・モデル特許 とい う 「知財 の網Jをかぶせ ることに よって rデ ジタル ・ネ ッ トワー ク」の幹線 を握 らん とす るアメ リカの 「国家戦略」がその背後 で見 え隠れ してい るか らであ る[岸 宣仁

『ネ ッ トビジネ ス』米 国の昆」]く中央公論2000年4月号〉p.82- loョ 参 照。)つ ま り、 「ビジネ ス ・モデル」 自体が情報ネ ッ トワー クシステム下で は ソ フ ト化す る とい うことである。 (情報ネ ッ トワー クシステム論の立場か ら云 えば、 「ビジネ ス ・モデル」 もアプ リケー シ ョン ・ソフ トの-つ に過 ぎない とい うこ と にな る。) そ の結果 、「ビジネ ス ・モデル 」にお いて も 「バーチ ャル」化が進 展 す る. か くして 「バーチ ャル ・コーポ レー シ ョン」が登場 して くるこ とにな るO尤 も、や っかいな ことにこの論点は さらに 「市場」の 「バーチ ャル」化 にも繋が る。 後述す るよ うに (第 2牽 [注 10]参照)、電子取 引市場 において 「市場運営型企業 取 引」が急速 に台頭 しつつ あるが、そ こで成立 してい る 「市場」 とは完全な 「電 脳空間市場」である。従 って、 「市場運 営型企業」が行 うビジネスは典型的な 「バ ーチ ャル ・ビジネ ス」だ とい うことにな る。か くして 「バーチャル ・コーポ レー シ ョン」論 は、 こ うした 「市場」の 「バーチ ャル」化 とい う文脈 において も捉 え -3

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4-られ る必要性 があるとい うことだが、「バーチ ャル ・コーポ レー シ ョン」論 自体 は本稿 の主題 ではないので、ここでは問題 の所在 のみ を指摘 してお くに止 めてお こ う。 (注4)「オープ ン ・ポ リ・シー」 については、拙稿 「ネ ッ トワー ク ・マネ ジメ ン ト論 と新 潟県集積企業 の課題 - 『重層的情報ネ ッ トワー クシステム』 の提唱-」 (新潟経 営大学 ・地域活性化研究所 『地域企業情報ネ ッ トワー クシステムの研究』 [1999 年11月])p.19- 20を参照のこと。 1.

r

ネ ッ トワー ク ・マニュファクチ ュア yング」論 とその背景 「マニュファクチュア リング」と情報ネ ッ トワー クシステ ム との関係 を論 じる上で、(イ) どの よ うに して両者 の結合 ・融合が可能 になったのか、 (ロ)その結合 ・融合 は如何 な る 意味で 「ネ ッ トワー ク ・マニュファクチュア リング」なのか- とい う二点が明 らかに され なけれ ばな らない。そ こでわれ われ は、 「ネ ッ トワー ク ・マニ ュファクチ ュア リング」論 の検討 を通 じてこれ らの問題 に答 えることに しよ う。 これ らの問題 は企業付加価値連鎖論 との関連性抜 きには論 じられ得 ない と考 え られ るが、この付加価値連鎖 の担い手 こそ 「ネ ッ トワー ク ・マニュファクチュア リング」に他な らないか らである。 (1)

r

ネ ッ トワーク ・マニ ュファクチ ュア リング」 とは何か 「ネ ッ トワーク ・マニュファクチ ュア リング」を論 じるに当たって、それはそ もそ も 「ネ ッ トワー ク ・マネ ジメン ト (Network Mnagement)」論 とどうい う関係 にあるのか とい う ことがまず明 らかに されなければな らない。「ネ ッ トワー ク ・マニュファクチュア リング」 は今 日では既 に 「ネ ッ トワーク ・マネジメン トJのサブ ・コンセ プ ト化 しつつあると云 え るか らだ。 ①付加価値連銀 と情報ネ ッ トワー クシステム そ こで最初 に 「ネ ッ トワーク ・マネ ジメン トJ(注 1)について簡単に触れてお こ う。「ネ ッ トワー ク ・マネ ジメン ト」 とは、企業間関係すなわち企業間ネ ッ トワー クを重視す る企 業経営 のことであるが、それは、企業の付加価値源泉が企業間付加価値連鎖-の依存度 を 強 める結果 もた らされたものである。では何故、企業間付加価値連鎖-の依存度 が強まる のか。 それは、企業の付加価値プ ロセスにおいて不可欠な三つの分野すなわち研究 ・製 品 開発 、技術 ・生産関係そ して取引関係 とい う三分野 において、企業間提携が強ま る結果 、 企業間付加価値連鎖が深化 し、付加価値源泉の重点が企業 内か ら企業間- と移行す るか ら である。そ して こ うした付加価値連鎖の深化に貢献 してい るのが情報ネ ッ トワー クシステ ムである。つま り、情報ネ ッ トワー クシステムは、付加価値連鎖性 を強め価値創 造性 (注 2) を高める上で重要な役割 を果た してお り、情報ネ ッ トワー クシステムの こ うした役割 を通 じては じめて 「マネ ジメン ト」は 「ネ ッ トワーク ・マネ ジメン ト」に転化す ることになる のである。 だが、「ネ ッ トワー ク ・マネ ジメン ト」の淵源 はそ もそ も 「ネ ッ トワー ク ・マニュファ クチュア リング」にあるとい うことを忘れてはな らない。 それ は以下の企業間付加価値連

_3

5

(9)

-鎖の展開過程 を観れば明 らかである。 ②

cA1

-

S

と rネ ッ トワーク ・マニュファクチュア リング」 企業間付加価値連鎖は二つの面で展開されてきた。一つは製品ライフサイクル面での展 開であ り、いま一つは調達システム面でのそれである。 まず前者の製品ライ フサイ クル面での展開 とは どうい うことか。

cALS

がそれである。

cALS

とは、その名が示す通 り、デジタル化 された情報の流れを通 じて企業の業務プロセ スを製品ライ フサイ クル全体に亘って統合化するコンセプ トのことである。それはアメリ カで開発 されたのであるが、その背景には、同国の国防上の必要性があった。すなわち同 国は、予算制約上、費用対効果 を高めるために兵器調達システムの効率化を計る必要に迫 られ、開発 ・生産 ・調達 とい う兵器のライ フサイクル全体を効率化す るためのシステムを 開発 したのである。その後、製品ライ フサイ クル をシステム化 し効率化 を図ろ うとする動 きは、兵器だけではなく他の製品にも波及 していった。その結果、

cALS

も製品全体に係 わる汎用 コンセプ ト- と発展 して行 ったのであるO さらにその後

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にみ られ るよ うな情報ネ ッ トワークシステムの発展は、そ うしたプロセスをさら に促進す ることになった。すなわち、

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ネ ッ トワークシステムの高度化 (ソリッ ド化) と融合化

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との結合)は製品ライ フサイクルのシス テム化 ・統合化 を一層推 し進めた。か くして企業間付加価値連鎖は、まず こ うした製品ラ イ フサイ クルのシステム化 ・統合化 を通 じて展開 されていったのである。 ところで、この製品ライフサイクル面での企業間付加価値連鎖 こそ 「ネ ッ トワーク ・マ ニ ュファクチ ュア リング」に他 な らない。すなわち、「マニュファクチュア リング」 と情 報ネ ッ トワークシステム との結合 ・融合を可能に したのが

CALS

に他ならないのであ り、 そ してその結合 ・融合は同時に企業付加価値連鎖の一環をな していたために 「ネ ッ トワー ク ・マニュファクチュア リング」 となったのである。要するに両者の結合 ・融合 を 「ネ ッ トワーク ・マニュファクチュア リング」だ とす るのは、それが企業付加価値連鎖の一環 を な しているが故である。 ・③ rネ ッ トワーク ・マニ ュファクチュア リング」か ら rネ ッ トワーク ・マネジメン トJ

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だが、「ネ ッ トワーク ・マニュファクチュア リング」はそれだけに止 ま らず 「ネ ッ トワ ー ク ・マネジメン ト」- と発展 しつつあるとい うことを見落 としてはな らない。それは、 上記の企業付加価値連鎖の二つの面での展開の うち、後者の調達システム面でのそれに関 わる。後者の調達システム面での展開を代表するのが

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であるo

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とは、資材 、情報、金融な どの流れ を企業間を超 えた-つのネ ッ トワー ク システム として捉 えよ うとい う企業経営論である。それは調達のみを問題 に しているとい う意味で片方型ではあるが-つま りネ ッ トワークとしては未完成ではあるが一、いずれ に せ よそれは 「ネ ッ トワーク ・マネジメン ト」の一種に違いないO ところで

S

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は、本来 アメ リカのグローバル企業 の世界最適調達 システム として開発 されてきたシステムで あ る。そ してこ うしたシステムの開発が可能になったのも情報ネ ッ トワークシステムの発展 に因っている。その後それは、情報ネ ッ トワークシステムとグローバル化が一体化す るに _36_

(10)

伴 って、資材、情報、金融な どの流れ を、財 てサー ビスの供給者、流通者、消費者の間に 張 り巡 らされた一つのグローバル ・ネ ッ トワークに組み入れ る.ためのシステム とい う性格 をますます強めることになった (注 3)。 だが ここで注意 を要す るのは、SCM がそ うした性格 を強めれば強めるほ どそれが単な る調達シ云テムに止まる訳 にはいかな くなって きた とい うことであるo SCM は、資材 (sources)か ら始ま り供給者 (supplier)、製造者 (Manufacturers)、分配者 (Distributers)、 小売 り (Retailers)そ して顧客 (Customers)に至る一連の調達プ ロセスを、三つの 「導管」 すなわち 「財の導管 (GoodsConduit)」、「情報の導管 (lnfbm ation Conduit)」そ して r資 金の導管 (Fund Conduit)」とい う三つの 「導管」が貫通す るとい うシステムか ら成 り立 っているのであるが (図 1参照)、見落 としてな らないのは、これ らの 「導管」が必ず し も片方向であるとは限 らない とい うことである。すなわち、「財 の導管」は供給者か ら顧 客-の一方的な流れであるのに対 して、

情報の導管」は両者間の双方向の流れか らなっ てお り、r資金の導管」は r財 の導管」 とは逆 に後者か ら前者-の一方的な流れか らなっ てい る (同図参照)。か くして SCM は DSCM(DemandSuppyChainMnagement)- と必然 的に転化 を遂げることになる。 ところで、SCM プロセスはまた企業間付加価値連鎖のプ ロセスで もある。従 って SCM が DSCM に転化す るとい うことは、製造者は最終的には、一方ではサプライヤー-つま り資材の供給者- との間に企業間付加価値連鎖 を形成 し、他方ではカス トマ一一すなわち 顧客及びその関連領域に属する分配者 ・小売 り者- との間でもそれ を築 くとい うことにな る。従 って、SCM 下での片方向型 「ネ ッ トワーク ・マネジメン ト」は、SCM の DSCM -の転化 とともに、双方向型の-つま り完成 した- 「ネ ッ トワーク ・マネジメン ト」- と発 展を遂げることになる。そ してこうした rネ ッ トワーク ・マネ ジメン ト」の発展 に対 して 情報ネ ッ トワークシステム とりわけインターネ ッ トが果た した役割 を強調 しておかなけれ ばな らない (注 4)。 ところで SCM の DSCM -の転化は、製品ライフサイクル面で展開 された企業間付加価 値連鎖 を DSCM プロセス上の連鎖に リンクさせ ることにもなる。その結果、製品ライ フ サイクルを通 じて形成 された 「ネ ッ トワーク ・マニュファクチュア リング」は DSCM 上 の 「ネ ッ トワーク ・マネジメン ト」下でのサブシステム と化 してい くのである。従って、 「マニュファクチュア リング」 と情報ネ ッ トワークシステムの結合 ・融合関係 もまた 「ネ ッ トワーク ・マニュファクチュア リング」だけではなく 「ネ ッ トワーク ・マネジメン ト」 に結びついてい くのである (注 5)。上述 した よ うに両者の結合 ・融合関係が 「ネ ッ トワ ー ク ・マニュファクチュア リング」を通 じて既 に付加価値連鎖の一環をな してい る以上、 それはある意味では当然の帰結であるとも云える。 か くして 「ネ ッ トワーク ・マニュファクチュア リング」は 「ネ ッ トワーク ・マネジメン ト」に組み込まれかつその一環をなすに至るのであるo (2)

r

ネ ッ トワーク ・マニュファクチ ュア リング」の背景 ではこ うした 「ネ ッ トワーク ・マニュファクチュア リング」が登場 してきた背景は何か。 そ こには三つの要因が存在 していると考えられ るO-つは最適調達システムであ り、二つ には 「カス トマイゼ-シ ョン (Customization)」であ り、三つ 目は rライ フ ・サイ クル ・ _3

(11)

7-アセ スメン ト (LCA)」論である。 ①最適訴達システム 最適調達システム とは、資材及び部品調達方法の 「組み合 わせ最適化」 (注 6) を意味 してい るO現在の世界貿易 とりわけ先進国間貿易において大宗 を占めるのは資本財及び中 間財である。 さらにその内容 を観 る と、それ らは、最終財 を生産す るのに必要な高機能部 品、高機能材料な どか らなる 「支援型産業」によって供給 され るもの と、情報通信機器、 ソフ ト産業、情報関連産業な どか らなる 「統合型産業」 によって担われ るもの とか らなる (注

7)

。 問題 は 「支援型産業」が重要 な役割 を担 ってい る とい う点にある。それは、世 界市場構造がモ ジュール化 してきた とい うことを反映 してい るか らだ (注 8)。つま りそ れは、投入費用 を大幅 に低下 させ るために生産プ ロセスの世界規模でのモジュール化が進 展 しているとい うこ とを意味 してい る。 そ して世界規模 でのモジュール化-の対応 において最 も成功 を収めたのはアメ リカ企業 である。モジュール化に対応するためには情報ネ ッ トワー クの導入が不可欠であ り、その 導入 のためには標準化、共通品化 ・共通サー ビス化が前提 とな るが (注9)、企業が こ う した前提条件 を充たすためにはその経営が 「組み合わせ最適化」に適 していなければな ら ない。 こ うした 「組 み合わせ最適化」に最 も適 した ビジネス ・モデル を有す るのはアメ リ カ企業であ り、従 ってアメ リカ企業がモジュール化-の対応 において最 も有利 な立場 に立 ったのである (注 10)0 前述 したよ うに SCM は米 グローバル企業の世界最適調達 システム として登場 してきた が、その背景には以上のよ うな事情が横たわってい るとい うことを見落 としてはな らない のである。 ② 「カス トマイゼ-シ ョン」 「カス トマイゼ- シ ョン」 とは、 「商品の個別化つま り個々の顧客の注文に応 して商 品 を個別 に提供す るこ と」 (注 目)である。 その行 き着 く先は商品の注文生産化 とい うこ と である (注 12)。重要なのは、こ うした 「カス トマイゼ-シ ョン」の背景には市場構造 の 抜本的な変化 とい う問題が横 たわっていることだ。その変化は三つの面で指摘できる。一 つは単一市場か ら多様化 ・細分化 された市場-の移行であ り、 も う一つは生産者 ・ベ ンダ ー主導の市場か ら消費者 ・ユーザー主導の市場-の転換であ り、最後は少品種大量生産 か ら多品種少量生産- の生産方式の変化である (図 2参照)O ここで強調 しておかなけれ ばな らないのは最後の生産システムの変化である。それ は単 に生産方式の変化 に止ま らず生産システムにおけるソフ ト的要素やサー ビス的側面の比 重 を高 めることで もあ る (注 13)。す なわち、「マニュファクチ ュア リング」の 「変容」 で ある。 さらにこ うした市場構造の変化は生産システムのみな らず研究開発のあ り方にも及 ぶ。従来の 「単線型技術革新モデル 」は 「連鎖型技術革新モデル 」-の移行 を余儀な くさ れ るのである (図 3参照)0 こ うした変化 を可能 に し且つ促進 してい るのがやは り情報ネ ッ トワー クシステムで あ る。何故な らばそれ は、極めて多様 な消費者ニーズをそれぞれ充たすために必要な財及 び サー ビスの多様 な生産 ・供給 を経済的に可能 にす る、 とい う点で画期的な技術であるか ら

(12)

-38-だ (注 14)Oその結果、単一製品の大量生産か ら多品種少量生産-の生産方式の変更を迫 られた生産者 も情報ネ ッ トワークシステムの導入によりこうした市場構造の変化-の対応 が可能 になるのである。上述 したよ うに SCM は DSCM - と転化 していったが、そこには、 情報ネ ッ トワークシステムが市場構造の変化-の生産者の対応 を可能に し且つ促 した とい う事情が横たわっているのである。 ③ 「ライフ ・サイクル ・アセスメン ト (LCA)」 LCA とは、「一つの製品がその原料の生産投階か ら最終的には破棄処理 され、その使命 が終わるまでの全生涯におよぶ社会-の影響を全て算出 し、総合的な観点か ら環境負荷 の 少ない製品を開発す るための評価方法」(注 15)である。例 えば 自動車を取 り上げてみ よ う。そこでは、素材 の生産、車の製造 ・組立、走行時の燃料消費、廃車、 リサイ クルに至 るまでの全てのエネルギー消費がその対象 となる。その意味でそれは製品ライフサイ クル を環境負荷低減 とい う観点か ら問題 に しているのである。 ところで、上述 したよ うに CALS もまた情報ネ ッ トワー クシステムに依拠 した製 品 ラ イ フサイクルの統合化 コンセプ トであるO従って CALS と LCA は本来親和的であると言 えるO何故な らば、両者 とも 「製品ライフサイクル」の全過程に関わってお り、製品ライ フサイ クル論 とい う点でアーキテクチャーを共有 しているか らだ。にもかかわ らず両者 に はアプ ローチの方法において明確な相違がある。CALS は 「情報工学」的アプ ローチであ るのに対 して LCAは 「環境工学」(注 16)的アプローチだか らである。 だが、こうした方法論的な相違にもかかわ らず、両者が融合 し始めていることが重要で ある。例 えば、LCAが 「環境マネジメン トシステム」 として企業経営に導入 され る場合、 往々に してそれは情報ネ ッ トワークシステム と一体 となって導入 されている点が重要であ る (注17)

0

か くしてわれわれは、製品ライフサイクル論 としての CALS を取 り上げる場合には、 それは LCA とも不可分な関係にある、 とい うことを理解 してお くべきである。 以上で 「ネ ッ トワーク ・マニュファクチュア リング」について考察 してきた。では、そ れは一体 どのよ うに展開されているのか。 この点を次に検討 してみよ う。. (注1)「ネ ッ トワーク ・マネジメン ト」論 については、拙稿 「ネ ッ トワーク ・マネジメ ン ト論 と新潟県集積企業の課題- 『重層的情報ネ ッ トワークシステム』の提唱-」 (新潟経営大学 ・地域活性化研究所 『地域企業情報ネ ッ トワークシステムの研究』 [1999年11月])p.1- 42を参照 されたい。 (注2)前述 したように (序章 [注 2]参照)、ソニー社長の井出仲之氏は、 「電脳空間 」-尤 も同氏はそれを 「サイバー空間」 と呼んでいるが-が新 しい価値 の創造に繋が るとしている (井出仲之 「デジタル革命、第三段階に」[日本経済新聞 2000年 3 月9日]参照)。 (注 3)scM が如何に威力を発揮 しているかはその発展ぶ りか らも容易に窺 える。例 え ば調達システムとしての SCM を取 り上げてみてもそれを通 じての調達規模は今 や世界全体で年間3兆 ドルにも達 しよ うとしている (図 4参照)。

_3

9_

(13)

(注4)「ネ ッ トワー ク ・マネ ジメ ン ト」の発展-すなわ ち企 業間付加価値連鎖 の発展一 に対 してイ ンターネ ッ トが果 た した役割 を強調 しておかなけれ ばな らない。 この 点に関 して ロン ドン ・エ コノミス ト誌は次の様 に指摘 してい る。イ ンターネ ッ ト は、企業 に対 して、企業内 ビジネス ・プ ロセスのス ピー ドア ップ とオー トメー シ ョンに よって付加価値 を増大 させ るだけではな く、三つの方法-すなわち、 「コ ミニケ-ティ ング (communicating)」、「コネ クティ ング (connecting)」そ して 「ト ランスアクティ ング (Transacti喝)」一によって形成 され る企業間 「イ ンフォー メ ー シ ョン ・パー トナー シ ップ (Information Partnership)」 を通 じて、その増大 を さ らにサプライヤー ・カス トマ一間の ビジネ ス ・システムに迄拡大 し、付加価値増 大効果 を増幅 させ る役割 を果 たす。その結果イ ンターネ ッ トは、付加価値連鎖 を 需要 と供給全体 に跨 る完全 な 「統合価値連鎖 (IntegratedValueChain)」に転化 させ

る- としてい る。(TheEconomist

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"ASurveyofBusinessandtheInternet" [June26th

1999]p.survey9参照。) (注5) この点は、後述す る (第 2章 [注 9】参照)米 自動車業界にお ける 「開発 ・生産ネ ッ ト」 と 「調達 ・販売ネ ッ ト」 との融合問題 にも関わる。 (注6)西村清彦 「日本経済一産業 の課題」 (日本経済新聞 『や さしい経済学』2000年 1 月∼同2月 1日参照)0 (注7)「支援型産業」・「統合型産業」の コンセ プ トは伊丹敬之教授 の労作に拠 る。 (伊 丹敏之 「第三の波 をもた らす東アジアの発展」[日本経済研究セ ンター 『日本経済 研究セ ンター会報』 く1997年 5月 1日/15日〉]p.3ト35参照。) (注8)西村清彦 「同上」 (注9)標準化な しにはアクセス さえできない し、ネ ッ トワーク化による固定費削減 は共 通化 に よっては じめて可能 になる (同上参照)0 (注 10)それ に対 して 日本企業 の ビジネス ・モデル は 「プ ロセ ス最適化」 に適 したそれ である とされ る (同上参照)0

(注 11)TheEconomist"A SurveyofManufacturing" (June20th1998)p.suvcylO参照。 (注 12)現在既 に米デル コンピュー タ社 で生産 され る製品の4割は顧客か らの直接注文 だ とされ る (東洋経済 「特集 汀 革命 21の衝撃」 [週間東洋経済く1999年

1

1月20 日〉]p.33よ り)。 なお、デル コンピュー タ社 の 「デル ダイ レク トモデル」が如何 に市場構造の変化 に適合 してい るかについては、石井泰幸 「電子商取引におけ る 現状 と展開- グ ローバル化 の企業戦略-」

(

『新潟経営大学紀要』 [第6号]p. 70-72)が詳 しい。 (注 13)因み に以上の生産 システムの変化は産業組織 の面での変化 にも繋がる。多品種 少量生産方式は生産主体の小規模化 を相対的に有利 にす る。何故な らば、画一 的 商品を大量に生産す るとい う点では大規模企業が有利であるが、多様 な商品を し か も少規模 に生産す るとい うことになれ ば′J、規模企業の方が逆 に有利 となるか ら だ。 (詳 しくは、拙稿 「県央地場 ・地域産業活性化 のための課題一情報化時代 に お ける 『革新的企業』群形成 と産 ・学 ・官協カー」[新潟経営大学 ・共同研究 プ ロジェク ト 『国際分業の進展 と地場産業一高付加価値化 を巡 る問題点 と課題-』 く1997年 2月〉]p.57及び p.63を参照の こと。) _40.

(14)

(注14)TheEconomi st"A SurveyofTheWorldEconomy-Thehitchhiker'sguidetocybernomi cs

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(september28th 1996)p.survey16参照。

(注15)(社)日本アル ミニ ウム協会 ・自動車委員会『自動車のアル ミ化』・「軽量化 とLCA」 (httD://W .keikvo-unet.ocn.ne.jp/)よ り。 なお、LCA論は政府の政策 にも既 に取 り 入れ られ始 めている。例 えば通産省 は、 リサイ クル法 を改正 して、2001年 1月か ら、 自動車やパ ソコンな ど14種類の製品について、使用済み部品を新製品に組み 込んで再び使用す ることや余分な部品を使わない省 資源化設計 を採用す ることを メーカーに義務づける方針であるとされ る (日本経済新聞2000年3月 1日よ り)。 (注 16)例 えば、永 田勝也 「環境に配慮 した製品設計はいかに行われ るか- リサイ クル 設計 とライ フサイ クルアセスメン トの展開-」(http:〟ww .naAata.meCh.wa馳da.ac.iD/) を参照のこと。 (注 17)例 えば、東芝エンジニア リングは、企画 ・設計 ・製造 ・管理 とい うビジネス ・ プ ロセスの全段階にわた り環境負荷 を情報ネ ッ トワー クシステムを通 じて計測 し、 その軽減を計 るための経営情報ネ ッ トワークシステムの ソフ ト「Easy-LCA」を開 発 してい る(httD:〟W .toshiba-eng.co.ip/)。富士通 もまた、製 品ライ フサイ クル を LCAの観点か らシュ ミレー トす るためのソフ ト「3次元仮想設計支援 シュ ミレー ターFJVPS」を開発 してい る

(http:〟www.cgc.cojp仙itech/contributionnU_JITSU‡FCOrVISI恥 html)o

2.「ネ ッ トワー ク ・マニュファクチュア リング」の展開

(1)先鞭 を付けたTPN

まず全体的な展開について概観 してお こ う。 この点で先駆的な例 として よく挙げ られ る のは米ゼネラルエ レク トリック社 (oE ;General Electric Co.)グループが1996年 に開発 した 「世界標準調達エクス トラネ ッ ト;TPN(TradingProcessNetwork)」であるOそれは、GE

が 自社 の資材調達 の抜本的効率化 を計 るために戦略的 システム として開発 した ものであ る。現在ではそれ による調達は同社の殆 どの事業部門に亘ってお り、その結果、業務 の効 率化 ・コス ト削減 ・業綾向上な ど企業経営のほぼ全般 に亘 り大 きな効果 を上げている。 さ らに同社はそれを自社 グループだけではな く、グループ外の企業にも広げている。その結 果 、サー ビスの共同利用が大幅 に拡大 しつつある。利用企業数 は、資材購入企業で約 15 社、資材納入企業で約 1万社に達 しているとされ る (注 l)。代表的な企業 としてはボー イ ング、 ヒュ- レッ ド・パ ッカー ド、コカコーラな どの米企業の他、韓国の現代 な どが挙 げ られ るが、 日本の ソニーな ども参加す る意向を持 っていると伝 えられ る (注 2)0 その後、こ うした製造業における調達システムがアメ リカをは じめ先進国では急速 な広 が りをみせているとい うことは周知の通 りであるが、ここで注 目しておかなけれ ばな らな いのは、それが企業間の取引関係だけではな く、企業 と個人つま り顧客 との取引にまで拡 大 してきているとい うことである。すなわちsCMのDSCM-の転化である。その結果受 注生産 ・個別販売が従来の見込み生産 ・大量販売に取って代わ り始 めてい る。 さらに見落 としてはな らないのは、こ うした変化の背景には、生産システムにおける重 大な変更が横たわってお り、 しか もその変更 とSCMか らDSCM-の転化 との間には密接 -41

(15)

-な関係が伏在 して- とい う点である。 つま り、前章で述べた rネ ッ トワークマニュファク チュア リング

と 「ネ ッ トワーク ・マネジメン ト

との結合であ り、その具体的な展開 と しての 「開発 ・生産ネ ッ ト

と 「調達 ・販売ネ ッ ト

との融合である。 この点をさらに詳 しく観 るために、 「ネ ッ トワー ク ・マニュファクチ ュア リング」の典型 をなす 自動車産業 を取 り上げて考察 してみ よ う。 (2)急展開す る自動車産業のネ ッ ト化 と再編成 ①アセ ンブラー-

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ーン ・マニュファクチュア リング

か ら rネ ッ トワーク ・マニュ ファクチュア リング」 --自動車産業 における開発 ・生産システムの変化は、「アセ ンブラー

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」であ る世界の巨大 自動車メーカー間の焼烈な競争 を通 じて現在世界的規模で展開されてい る。 だがその変化 自体は何 も今に始まったことではな く、今 日の変化 に繋がる最初の画期的変 化は 1950年代に既 に試み られている。その先鞭 をつけたのが トヨタの ``ジャス ト・イ ン ・タイム

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方式である. 当時それは、世界で最 も効率的な自動車生産方式 であったが (注

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、その後それは、

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として定義 され、 さ らに 「リー ン ・マニュファクチュア リング

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」として定式化 されてい った。 「リー ン ・マニュファクチュア リング」の 目的は要す るに熟練労働 と大量生産の最 適組み合わせ にあったが、こ うした 目的を達成す るために、投入面では労働力、機械、工 場スペース、設計時間な どの投入量が可能な限 り削減 され ると共 に、他方大量生産に関 し て も欠陥品の排除が限界 ギ リギ リまで追求 された (注 5)。 トヨタか ら始まったこ うした 方式は瞬 く間に 日本の自動車産業全体を席巻 した。その結果、世界の自動車メーカーに対 す る日本の自動車メーカーの競争力は決定的に強化 された。その ことは、アメ リカにおけ るビッグ3と進出 日本企業 との間での労働生産性格差が如何に拡大 しているかを一瞥すれ ば容易に理解 され よ う (図5参照)0 か くして、 ビッグ3-さらにはヨー ロッパの自動車メーカーは 日本企業-の対抗を余儀 なくされ るに至ったが、それでは彼 らには どのような選択肢が残 されていたのであろ うか。 欧米企業 とりわけビッグ 3としては、生産システムにおける自らの劣性 をカバー しなが ら 日本企業に対抗す るためには、「リーン ・マニュファクチュア リング」に取って代わる新 しい企業戦略 を見出す以外になかったが、その新戦略こそが 「ネ ッ トワーク ・マニュファ クチュア リング」に他 な らなかった。すなわち彼 らは、「マニュファクチュア リング」を、 一方 では上流 の 「サ プ ライヤー

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」 に繋 げ、他方 で は下流 の 「カ ス トマ

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」に結びつ けることによって、「マニュファクチュア リング」を企業外か ら 「改革」する途 を選んだのである。幸いなことにそ こには二つの面で彼 らにとって有利 な 条件が存在 していた (注・6)。一つは、異なる仕事の間に横たわる様々な壁 を取 り除 くと い う点で 「改革」の余地が残 されていたこととだ。だがそのためには、如何に種類が多 く とも部品に関す る必要情報を共有す る必要があった。今一つは、如何に種類が多 くとも製 品を個 々の顧客の様 々な注文に合わせ るとい うことに着眼 したことだ。つま り彼 らは、新 たに

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の形成による企業間付加価値連鎖 を通 じて生産システムに おける自らの劣性 をカバー し得 ることに気付いたのであるOか くして、「ネ ッ トワーク ・ マニュファクチュア リング」は 「リーン ・マニュファクチュア リング」に対抗 し得 る新た -4

(16)

2-な企業戦略 として華々 しく登場 してきたのだ。 ところで注意 しなければならないのは、こ うした 「マニュファクチュア リング」の 「改 革」 を成功 させ るためにはさらにこっの条件を充たす必要があった とい うことだO第-の 条件 とは、情報ネ ッ トワークシステムの発展 とりわけインターネ ッ トの出現である。 この 場合問題はさらに二つに分かれ る.一つは、

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が可能になったのは 前述 したよ うに (第 1章 [注 4]参照)インターネ ッ トの登場 を待たなければなかった とい うことであるo今一つは、企業内情報ネ ッ トワークシステムである 「イン トラネ ッ ト」 と イ ンターネ ッ トとの接続による企業間情報ネ ッ トワークシステムすなわち 「イン トラネ ッ ト」の出現によっては じめて本格的な企業 「改革」が可能になった とい うことである (注 7)。 第二の条件 とは、 「ネ ッ トワー ク ・マニュファクチュア リング」 と 「ネ ッ トワーク ・マネ ジメン ト」 との結合 ・融合である。 「マニュファクチュア リング」 とサプライヤー との連 携 とは、云 うまでもなく最適調達システムのことであ り、またそれ を可能にす る

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の 導入 を指 している。他方 「マニュファクチュア リング」 とカス トマ- との結合 とは 「カス トマイゼ-シ ョン」に他な らない。従 って彼 らが 「ネ ッ トワーク ・マニュファクチュア リ ング」 を導入す るとい うことは、

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を通 じて 「ネ ッ トワー ク ・マネ ジメン ト」を 自 らの企業経営戦略 として採用す るとい うことに否応な く繋がることになる。つま り、「ネ ッ トワーク ・マニュファクチュア リング」 と 「ネ ッ トワーク ・マネジメン ト」 との結合 ・ 融合 (注 8) をまって 「マニュファクチュア リング」 の改革 も本格化 したのであった。 要す るに、「ネ ッ トワーク ・マニュファクチュア リング」 が 「リーン ・マニュファクチ ュア リング」に取 って代わるためには、「ネ ッ トワーク ・マネジメン ト」の本格的な登場 と展開をまたなければならなかったのである。 さらにこの結合 ・融合は、「マニュファクチュア リング」の変容 にも結びつ くとい うこ とを見逃 してはな らない。

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の導入は後述す るように、部品や資材の 「モジュール化」 を意味 してお り、従 って否応な く生産 システムの変更に繋がる。他方 「カス トマイゼ-シ ョン」 もまた前述 したように生産システムの変化に深 く関わる。か くして、自動車産業の サー ビス産業化が喧伝 され、「マニュファクチュア リング」の 「終蔦 」が声高に叫ばれ る ことになったが (注 9)、それはそもそも、「ネ ッ トワー ク ・マニュファクチュア リング」 が 「ネ ッ トワーク ・マネジメン ト」に結合 しサブシステム化 したことを意味 しているのだ。 ところで、彼 らが 自らの 「開発 ・生産エクス トラネ ッ ト」 を 「世界標準エクス トラネ ッ ト;

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- と発展 させ ることによって r開発 ・生産ネ ッ ト」は無論のこと 「調達 ・販売ネ ッ ト」 においてす らグローバル ・スタンダー ドを握 らん と虎視耽々 としているとい うことにも注意 を払ってお く必要があろ う。それ を 通 じて自動車産業の世界的再編成において主導権を握 らん としているか らだ (注 目)。か くして、 自動車産業における 「ネ ッ トワーク ・マニュファクチュア リング」は、欧米企業 だけではなく今や 日本企業 をも巻き込み、「開発 ・生産ネ ッ ト」 さらには 「調達 ・販売ネ ッ ト」におけるグローバル ・スタンダー ドの獲得を巡 る世界の巨大 自動車メーカー間の主 導権争いに迄一気にエスカ レー トしつつあるのだ. だが見落 としてはな らないのは、「ネ ッ トワーク ・マニュファクチュア リング」が単に こ うしたアセ ンブラー間の競争を通 じて華々 しく展開 されているだけではな く、「パー ツ ・サプライヤー

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と 「アセ ンブラー

間での確執を通 じても静かに しか -43

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-し深 く進行 している とい う点だ。 ②パーツ ・サプライヤー-モジュール化 ・システム化 とインテグレーシ ョン-その点に関 して最 も重要なのはパーツの 「モジュール化 (複合化)」である。単体 とし ての 自動車部晶は数万点か らな り、その数は航空機 (約 10万点)に次 ぐ膨大なものであ る。 これ を複合化す ることによってその数を減 らし効率化す るのがモジュール化の本来の 目的であった。 こ うした動 きは 1996年か ら97年にかけて主 として欧米 の部品メーカーの 間で広がった。例 えば、独ダイムラー ・クライスラーの子会社

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r社) が生産す る二人乗 り小型車 「スマー ト」はわずか 7つの部品を組み立てるだけで車の殆 ど が完成 して しま うとされ る (注 12)。そ して部品のモジュール化は 「ネ ッ トワーク ・マニ ュファクチュア リング」 と表裏の関係 にあると云える。何故な らば、上記アセンブラーに おける 「'Vニュフアクチュア リング」 とサプライヤー との繋が りすなわち調達システムの ネ ッ ト化はそもそもモジュール化 に他な らないか らである (注 13)0 見落 としてはならないのは、モジュール化は単なる組立 レベルでのそれだけではな く、 開発段階のモジュール化にも移行 しつつ あるとい うことだ (注 14)。つま り、単に効率化 のために部品を複合化す るだけではなく、部品を機能面か ら統合 しそこで新たな付加価値 を生み出す とい うことが追求 されているのだ。その意味でそれは、単なる複合化ではなく、 む しろシステム化 ・統合化でもあると理解すべきであろ う (注 15)。 こ うした開発段階のモジュール化はパーツ ・サプライヤーの性格 を大きく変容 させ るこ とになる。何故な らば彼 らは、最早単なる部品の供給者ではな く新たにシステム ・イ ンテ グレー タ- としての性格 を付与 され るか らである。その結果アセ ンブラー機能をも兼ね添 えることになるo逆に云えば、パーツ ・サプライ- もモジュール化によって新たにアセ ン ブラー機能を有する者 と、これ迄通 りの単なる単体 としてのパーツのサプライヤーの地位 に甘ん じる者 とに両極分解することになる。そ して見落 とせないのは、前述 したよ うに調 達システムの急 ピッチなネ ッ ト化の下では前者のパーツ ・サプライヤーにおける急速なモ ジュール化が最早不可避であると想定 され る以上、後者に属す るサプライヤーの存続の余 地が急速に狭め られ る懸念があるとい うことだ。 このよ うに、「ネ ッ トワー ク ・マニュファクチ ュア リング」は、一方でパーツ ・サプラ イヤー内部の再編成 を伴いなが らも、他方ではパーツ ・サプライヤー とアセ ンブラー間の 垣根 を低め且つ両者 を融合一場合によれば代替- させ るとい うもう-つの側面を通 じても 展開 されているとい うことを見落 としてはな らないのである (注 16)。そ してこうしたア ッセ ンプラ一対パーツ ・パーツサプライヤー間再編成の背景に横たわっているのが、技術 の重要性が益々増 しつつあるとい う事実である。マ ッキンゼー ・アン ド・カンパニーの分 析 によれば、自動車一台が素材か ら廃車に至 るまでに生み出され る付加価値の割合は、ア ッセ ンプラーに因る分が 25%に対 して、パーツ ・サプライヤーに因る分は 30%と既に逆 転 しているが、今後 IT、環境な ど次世代技術が開花すればその逆転関係は さらに進む と 観 られている (注 17)。その意味で両者の融合 ・代替関係はさらに進展す るとみ られるの である。 われわれは、この融合ない しは代替にこそ 「バーチャル ・カー」‥の根拠を見出すことが できる。 アセ ンブラー機能 を付与 されたパーツ ・サプライヤーが協業すれば、それはさら

図 2 市場構 造 の変化
図 3 研 究開発 の変化
図 4 A f o r c as toft hes c al eo ft heg l o ba l pr oc ur e rme ntma r ke tby SCM 3,0 0 0 b i l l i o ndollar E l o c t r o n i c B At J t O mO bi l e C h e mic da A v i a t i o 592
図 5 アメ リカにおける日米 自動車メーカーの労働生産性比較 Thef a c t or yi nf r on t
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参照

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