• 検索結果がありません。

北太平洋物流ネットワークと日本海・東海BRICs分業構想 : 北陸EPA/FTAの可能性

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "北太平洋物流ネットワークと日本海・東海BRICs分業構想 : 北陸EPA/FTAの可能性"

Copied!
27
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

北太平洋物流ネットワークと日本海 ・東海

BRI

Cs

分業構想'

- 北 陸

EPA

TA

の可能性 -日本 ・新 潟経営大学

蛇名保彦

1.序

2.

東アジアにおける物流ネッワトークと日本

3.

日本における地域構 造の変化 と東アジア地域ネットワーク

4

.

北太平洋物 流ネッワトークと日本海 ・東海

BRI

Cs

分業構 想

5

.

日本海 ・東海

BRI

Cs

分業 の下での北陸

EP

A仰TA

の可能性

(2)

受理 日 :

2

00

4

1

1

2

7

北太平洋物流ネ ッ トワーク と

日本海 .

東海

B

RI

Cs

分 業構想

一北陸 EP

A

nTA

の可能性

-日本 ・

新潟経営大学

目 次 1.序

2.

東 アジアにおける物流ネ ッ トワーク と日本 (1)国際物流 ①東アジア物流ネ ッ トワークの台頭 ②強まる 日本 と東アジア物流ネ ッ トワー ク との結びつき (2)国際分業 ①東アジア国際分業の地位上昇 A.貿易 B.直接投 資 ② 日本 と東アジア との相互依存関係 A.相互依存関係の深化 a.貿易 b.投資 B.棲み分け問題

a

.

輸入浸透率の上昇 b.工場立地の海外シフ ト 3.日本 における地域構造の変化 と東アジア地域ネ ッ トワーク (1)地域構造の変化 ①人 口構造の変化 ②人 口の定着化 ③地域経済縮小の可能性 ④広域化 ・ボーダ レス化 (2)東アジア地域ネ ッ トワー クの形成 ①束アジア地域交流ネ ッ トワーク ②東アジア地域国際分業 4.北太平洋物流ネ ッ トワークと日本海 ・東海 BRICs分業構想 (1)「同心円的経済圏」 としての 日本海 ・東海 BRICs分業 ①北東アジア経済圏から北太平洋経済圏-②北東アジア分業 と北太平洋分業の リンケージによる日本海 ・東海 BRICs分業構想 (2)日本海 ・東海物流ネ ッ トワークと北太平洋物流ネ ッ トワークの リンケージ ① 日本海 ・東海物流ネ ッ トワークの問題点 ② 「北太平洋物流ネ ッ トワーク」構想 A.国際物涜ネ ッ トワークの将来像 B.構想実現のための施策 ③ 「北太平洋物流ネ ッ トワーク」拠点 としての北陸地方の課題 一新潟県を事例

として-A

「北太平洋物流ネ ッ トワーク」拠点の可能性 a.ゲ ッ トウェイ機能 における拠点性

b

.

対米国際分業関係の重要性 B「北太平洋物流ネ ッ トワーク」拠点に向けての課題

(3)
(4)

一12-1.序 現在 、東アジア さらには北東 アジアにおいては、地域統合の気運 を背景 に して、FTA締 結の動 きが活発化 してい る。だが、FTA交渉は必ず しも順調 に進展 してい る訳ではな さそ うだ。FTA は云 うまで もな く国家間の交渉事項で あるが、そ うであるが故 に、Fm の前 途には困難 な問題 もまた立ちはだかってい るか らだ。国際関係が複雑な北東 アジアにおい ては、そ うした問題が とくに顕著に表出 している と云えよ う。 では、一方でそ うした国家間の交渉が不 可避的 に遭遇す るであろ う問題や困難 を回避 し なが ら、他方で東 ・北東 アジア FTA を推進 してい くためにはどうすればよいのか。そのた めに考慮すべき論点を整理 してみ ると以下の通 りである。 第一 は、大企業や国家 が中心 となったナシ ョナル ・アプ ローチだ けではな く、中小企業 や地域企業 を主体 としかつ地域 が前面に出るロー カル ・アプ ローチが必要 なのではないか とい う点である。ここで云 うローカル レベルでのアプローチ とは、一つは企業 レベルでの それであ り、いま一つは地域 レベルでのそれであ るが,中小企業及び集積 地域企業の場合 には、東 ・北東アジア FTA に対 して、ローカルな レベルでのアプローチがそ もそ も必要 な のである。 中小企業 ・集積地域企業は、グ ローバ リゼーシ ョンに対 して大企業のよ うに単 独で対応す ることが困難 であ り、何 らかの支援 とくに立地 している地域の支援 を不可欠 と してい るが、東 ・北東アジア FTA -の対応 において も、そのことは例外 ではないか らだ。 そ して、こ うした ローカルな レベルでのアプローチは、ナ シ ョナル な レベル でのそれ を補 完す る役割 をも帯びてい るとい うことが重要であ る。 ローカル ・アプローチは、ナ シ ョナ ル ・アプ ローチが抱 える国家間の厄介な問題 を回避す るこ とをかな りの程度可能 に してお り、従 って、FTA推進 に対 して も側面支援効果 を期待できるか らだ。 第二 は、FTA を EPA として捉 えた方が、今 日のアジアにおける国際分業の実体 に相応 しいのではないのか とい うことである。アジアにお ける国際分業は、今 日では産業内分業 を中心 としてい るが、そのことは直接投資 に伴 う貿易誘発効果が国際分業 を主導 してい る、 とい うことを意味 してい る。従 って、求 め られてい るのは、必ず しも 「貿易 の 自由化」だ けではなく、 「直接投資の 自由化」でもあると考 え られ る。そ うだ とす るな らば、必要な のは、関税の引き下げを主たる課題 とす る FreeTradeAgreeementだけではな くて、直接投 資 の た め の環 境 整 備 を 主 目的 とす る Economic Patemership Agreementを も含 め た Agreementでなければな らない、 とい うこ とにな る。 第三は、経済圏選択 に関 しては、そ もそ も地勢学的-す なわち geography上の-観点が 必要であるが、地域 EPA/FTAの場合には、そ うした観点が一層重要な意 味を持つ とい う 問題 である. 日本 の経済社会は少子化に伴 う人 口動態的-すなわち demography上の一変 化を余儀な くされているが、そ うした変化 が geography上の変化すなわちアジアにお ける 経済圏形成問題 とオーバーラップ している とい うことが重要である。従 って、少子化時代 における日本経済の成長 シナ リオは、アジアにお ける地勢学的な変化をも考慮に入れて構 想 され なければな らない とい うことになる (注 1)。 地域経済社会 において も、その こと は例外ではないばか りではなく、む しろ地域経済社会であればこそ、そ●うした必要性が一 層強まっている。 少子化 の影響 は、地域構 造の変化 を不可避的に伴 うが、そ うした変化の 中で地域の再活性化 を計 るためには、ボー ダ レスな広域経済圏形成 が求め られてい るか ら -1

(5)

4-だ。従って、地域 EPA/FTAにおいては

、g

e

o

g

r

a

p

h

y

上の観点が一層重視 されなければな ら ず、そ うした意味で も、東 ・北東アジア経済圏が重要 なのである。地域 を起点 としたいわ ゆる 「同心円的経済圏」論である。例 えば、 日本海沿岸地域を起点 とした 「同心円的経済 圏」 としては、一方では環 日本海 ・東海経済圏、北東 アジア経済圏、東 アジア経済圏そ し て汎アジア経済圏が、そ して他方では北太平洋経済圏が浮上 して くるのである。ところで、 地勢学はそ もそも地政学-す なわち

g

e

o

p

o

l

i

t

i

c

s

-と深 く関わっているO従って、ローカル ・ アプローチ と云えども、地政学的アプローチ と決 して無縁ではない。そ こで、国家間の緊 張や対立によってその実現が妨げられているナショナルな レベルでの EPA/FTAの実現可 能性 を側面的に促進するとい う地域EPA/FTAが担っている上述の役割 は、地政学上の戦 略性 をも帯びることになる。このことも見落 とされてはな らない問題点の一つなのである。 第四に、しか しなが ら他方では、経済圏を選択する基準 自体は多元的でなければな らな い とい うことも強調 しておきたい。上記の地政学的戦略性 とい う観点か らは、経済圏はそ もそ も同心 円的な性格 を持っていると云える。従って、どのよ うな同心円を選ぶのか、さ らに同心円の中の どの円を選ぶかのは、経済圏に参加す る当事者達がそれ らを どのよ うな 意味で捉えるのか、とい うことに専 らかかっているのである。アジアにおける経済圏 と日 本 との関係 を考えるな らば、 日本の立場か らすれば、当然 日本 の 「利益」-それは往々に して 日本の 「国益」に他ならない場合が多いのだが一に係わ らせて経済圏を選ぶ ことにな る。だが、見落 としてはな らないのは、同心円的経済圏は必ず複数存在す るとい うことで ある。経済圏参加者 は 日本だけではない以上、そこには複数のプ レイヤーが登場 し、従っ て経済圏もまた複数誕生す るとい うことになる。そこで経済圏の選択基準 を単に自らの地 勢学的な基準だけに依拠 していると、アジア全体に係 わるメガ トレン ドを見失い大局的な 判断 を誤る怖れがあるばか りではな く、経済圏形成の主導権を巡って 「国益」 どうしの衝 突す ら生 じかねないのである (注2)。 従って、経済圏の選択に関 しては、日本 としては、 一方で地勢学的観点に立っ とともに、他方では大局的な判断をも重視 しなけれ ばな らない、 とい うことになる(注 3). 地域 EPAnTA の場合 も、 このことは例外ではないのである。 最後は、国際物流ネ ッ トワークの重要性 に関 してである。アジアにおける経済圏は、自 然経済圏をその特質 としてい るが、それは二つの要素か ら成 り立っている。一つは、それ が企業の海外進出 とりわけ 日系企業 によるビジネス・ネ ッ トワー クであるとい うことであ る。二つには、それ は地域経済圏の融合 ・統合 による経済圏であるとい うことだ。 しか し なが らその中でも、ネ ッ トワークに関 しては、さらに敷術する必要がある。今 日では、IT 発展のお陰で、ネ ッ トワークが さらに多元化 し高度化 してきているか らだ。すなわち、ネ ッ トワークは、単にビジネス・ネ ッ トワークとしてだけではな く、金融・為替ネ ッ トワーク、 国際物流ネ ッ トワーク、集積地域間ネ ッ トワークさらには都市間ネ ッ トワーク等様々なネ ッ トワーク として展開 されてお り、その結果、多岐に及びかつ輯摸化 している。 ところで、地域 EPA/FTAに とって重要なのは、国際物流ネ ッ トワークである。何故な-らば、国際分業の発展 を地域 レベルで支えているのは、国際物流ネ ッ トワークの展開に他 な らないか らである。アジアにおける国際物流ネ ッ トワークは、オーシャン・ネ ッ トワー クとラン ドブ リッジ・ネ ッ トワークとい う二つの分野で展開 しているが、 日本 の地域国際 分業 とりわけ日本海沿岸地域国際分業のボーダ レスな発展にとって重要なのは、北東アジ ア物流ネ ッ トワークとりわけ 日本海 ・東海物流ネ ッ トワー クである。か くして、 日本海 ・

(6)

東海物流ネ ッ トワークのあ り方が問われ ることになる。 そこで本稿では、地域 EM TAに係わる以上五つの論点を念頭に置いて、オーシャン・ ネ ッ トワークとしての 日本海・東海物流 ・分業ネ ッ トワーク構想-すなわち 「北太平洋物流 ネ ッ トワーク」の形成及びその下での 日本海 ・東海 BRICs(注 4)分業構想 -の検討を通 じて、 日本海沿岸地域 を代表す る北陸地方における地域 EPA/FTAの可能性 を探ってみることに す る。 そのために、以下では、(イ)東アジア物流ネ ッ トワークの発展 とそれが 日本 の国際物流 に対 して如何なる意味を持ってい るのか とい う点 をまず検討 し、 (ロ)次いで、 日本 にお け る地域構造の変化が東アジア地域間ネ ッ トワークの形成 に どのよ うに係 わってい るのか を概観 し、(ハ)さらに、日本海沿岸地域が東 ・北東アジア国際分業の発展に積極的に関わっ てい くための方途 -すなわち日本海 ・東海物流・分業ネ ッ トワークの北太平洋物流 ・分業ネ ッ トワーク-の転換 とそれを通 じて可能になる日本海 ・東海 BRICs分業構想 一について、 新潟県を事例 として取 り上げて考察 し、(ニ)最後に、日本海 ・東海 BRICs分業構想の下での 北陸地方 における地域 EPA/FTAの可能性 について、やは り新潟県を事例に して探ってみ ることに しよう。

(注 l)新成長 シナ リオ論 については、YasuhikoEbina 「Japaneseeconomyintheageorthe Low Fertility and the significance ofAsian Unification- A New Growth Scenario of J叩aneSeeconomy &soci吋 underdemographicandgeographicchanges-」 [URL ;

http://www.with-online.com/yasuhikoniiyo12.050730.htm ](新潟経営大学紀要 [第 12 号]掲載予定)を参照 されたい。 (注 2)こ うした 「国益」の衝突は、近隣諸国・地域間で起 き易い とい うことをわれわれ は 留 意 しておかな けれ ばな らない で あろ う。 従 って 、それ はいわ ばボー ダ レス化 の陥 葬 とも云 うべ き もので あ る。 だ が、ボー ダ レス化 自体 が不可避 的 な もので あ る とす れ ば、われわれは、こうした 「陥葬」を避 けなが らボーダ レス化を進 める以外 にない とい うことになるが、そのためには 「共生」概念が不可欠 となるであぢ う.なお、共生論 につ いては、触稿 「中国・アジアビジネスにおける 『共生モデル』試論 一 日中産業構造調整問 題 を中心に して-」 (DiscussionPaper)p.71-80を参照のこと。 (注 3)以上の文脈の下では、日本海沿岸地域 を起点 とした 「同心円的経済圏」もまた、the A s ian PacificCommunityの一環 をなすべ きである とい うことになる. なお、theAsian pacificCommunityに関 して は、前 フ ィ リピン大 統 領 で あ るラモ ス氏 の Far Eastem EconomicReview - の寄稿論 文 (FidelV.Ramos 「Toward aPax As ia-PaciflCa」 [Far Eastem EconomicReview]くMay2005〉p.42-46)を参照 されたい。

(注 4)BRICsとは、ブラジル (Brazil)、 ロシア (Russia)、イン ド (Ⅰndia)、中国 (China) の4カ国か らな る新興国群 を指 してい る。 これ ら4カ国が現在 のペースで これか らも 経 済成 長 を遂 げ る とす るな らば、世界経 済 の構 造 は一 変す る可能性 が強 い。 まず 経 済規模 の面では、米 ゴール ドマン・サ ックス社が予測 しているように、2030年 には、 日本 は、中国は無論のこと、場合によればイ ン ドにも抜かれ る可能性す らある。 さらに 2050 年 には、アメ リカも中国に抜かれ る可能性があ り、その結果、経済規模に関 しては、中国、

(7)

-16-アメ リカ、イ ン ド、日本 、ブラジル 、ロシアの順 となる可能性 が ある とい う訳だ。さ らに、 こ うした経 済規模 の面での変化 が経済構 造の変化 に結 びつ くこ とも不 可避 で あ る と想 定 され る。す なわち、(イ)対米 ドル為替 レー トが4カ国平均 で

3

0

0

%

切 り上 げ られ る可能性 が ある、 (ロ)4カ国にお ける高成長 と急速 なモー タ リゼー シ ョンに よるエネル ギー需要急増 に よ り既 にバ レル

6

0

ドル に達 してい る原油価格 を中心 に して世界 のエネル ギー価格 が高 騰す る、●(ハ)

4

カ国の工業化 の急速 な進展 による資源需要 の拡 大 に よ り世 界的 に資源 不足 が蔓延す る、(ニ)4カ国の穀物 ・食 肉消費 の大幅 な増加 に よる世界 的 な食料価格上昇 が不可 避 とな る、(ホ)上記エネル ギー ・資源消費拡大 に反比例 して世界 の環境 問題 が深刻 化す る-な どによ り、欧米諸国経済 とくに米 ドル の不安定化 を背景 にアメ リカ経済 の地位 と リー ダ ー シ ップが後退す る とともに、資源 ・エネル ギー小国で ある 日本 経済 もまた地盤 沈 下す る こ とは避 け られず、新 たな国際経済秩序形成 とそのた めの強力 な リーダシ ップの登場 が不 可欠 となるで あろ う。 2.東 アジア にお ける物流ネ ッ トワー ク と日本 (I) 国際物流 ①東 アジア物流ネ ッ トワー クの台頭 まず束ア ジア物流ネ ッ トウ- クの世界 にお ける地位 の著 しい 向上 を指 摘 しな けれ ばな らない。例 えば、国際物流 の最 も重要 な指標である海上 コンテナ取扱量 をみてみ る と、 「東 アジア諸国 ・地域」 (注 1) にお けるそれ が大幅 に増加 し、その結果そ の世界 に 占め るシ ェア も上昇 してい る。東 アジア諸 国 ・地域 の海上 コンテナ取扱 量が

、1

9

9

0

年 には

2

2

,

4

2

6

TEU

であった ものが、

2

0

0

3

年 には

1

2

9

,

7

3

0

TEU

に増加 した結果 、その世界 シ ェアは、

1

9

90

年 の

2

6.

2

%

か ら

2

0

0

3

年 には

4

2.

8

%

へ と

2

倍近 くにまで急増 してい るのであ る。 さら に港湾別の コンテナ取扱量の世界 ランキ ングで も、中国、シンガポール及 び韓国等 の 日本 を除 く東アジア諸国 ・地域の主要港 が軒並みに上位 を 占めてい る。 (因み に、 日本 の場合 には、東京が これ らアジアの主要港 の進 か後 にランク され てい るにす ぎない。) 次 いで、航空貨物輸送量につ いて も、 アジア太平洋 の航空会社 の輸送 量増大 とともに、 その世界 シェア もまた大 き く上昇 してい る。す なわち、アジア太平洋の航 空会社 のシェア は、

1

9

9

2

年 の

31

.

0

5

か ら、

2

0

0

2

年 には

3

6

.

1

%

- と上昇 してい るのである。 最後 に鉄道貨物輸送量で も、東アジア諸国・地域 のシ ェアはや は り漸増傾 向を辿 ってい る。 ②強まる 日本 と東 アジア物流ネ ッ トワー ク との結びつ き こ うした中で 日本 も東 アジア物流ネ ッ トワー ク との関係 を強 めてい る。まず東 アジア諸 国 ・地域 と日本 との間の海上輸送量が増加 してい る。 日本 か ら東 アジア諸 国 ・地域- の海 上輸送量 をみてみ る と、方面別 シェアは、港湾貨物 輸 出 トン数では

1

9

8

0

年 の

2

8

.3%か ら

2

0

0

2

年 には

5

3

.

6

%

- と

2

倍 近 く上昇 してお り、海上 コンテナ輸出金額 では

1

9

9

0

年 の

2

9

.

5

%

か ら

2

0

0

3

年 には

4

4.

7

%- とや は り大幅に上昇 して いる。 一方 、東アジア諸 国 ・地域 か ら日本- の海上輸送量 もまた増大 してい る。やは り方面別

(8)

シェアをみ ると、港湾貨物輸入 トン数では

1

9

8

0

年 の

2

0

.

2

%

か ら

2

0

0

2

年には

28

.

2

%

- と大 きく上昇 してお り、海上 コンテナ輸入金額では

1

9

9

0

年の

3

6.

9

%

か ら

2

0

0

3

年には

61

.

1

%

と これまた倍近 く上昇 しているのである。 さらに、 このよ うな 日本 と東アジア諸国・地域 との間の海上輸送の発展が 日本 とこれ ら 諸国・地域 との間で定期航路のネ ッ トワーク化 を促 してお り、その中でコンテナ航路 がそ のネ ッ トワークの主たる担い手 とな りつつ あるとい うこともまた見落 とされてはな らな いであろ う。 尤 も、 こ うした 日本 と東アジア諸国・地域 との間での海上輸送が増大す る中で、 日本 の 輸送イ ンバ ランスもまた拡大 している、 とい う事実にも目を背けてはな らないであろ う。 すなわち、例えば

2

0

0

3

年における 日本の海上 コンテナ貨物輸送を取 り上げてみ ると、全 体では 日本が

5

9

,

61

0

億 円の出超 を記録 しているにもかかわ らず、対束アジア諸国 ・也 域では、逆 に日本が

1

,

3

7

0

億 円の入超をみているのである (注

2

)

。 最後に、以上の海上輸送における結びつきは、航空輸送においてもみ られ る。 日本 の航 空輸送の方面別シェアの推移をみてみると、航空貨物輸出額では

1

9

9

0

年の

3

2

.

2

%

か ら

2

0

0

3

年 には

5

7

.3%- と

2

倍近 くに上昇 してお り、航空貨物輸入額で も

1

9

9

0

年の

1

3

.

5

%

か ら

2

0

0

3

年 には

41

.

9

%

- と

3

倍強に達 してい るのである。

(

2

)

国際分業 ①東アジア国際分業の地位上昇 では、国際物流 と国際分業は表裏の関係 にあるとい うことに関 して、東アジアの場合 に ついては どうか。確かに、東アジア物流の台頭の背景 には、東アジア国際分業の地位上昇 が横たわっている。 この点を貿易 と直接投資を通 じてみてお こう。 A.貿易 貿易の世界シェアの推移 をみてみ ると、まず輸出シェアは、アメ リカのシェア低下に反 比例 して東 アジアのそれが上昇 している。 日本、中国、アジア

NI

ES

AS

EAN4

(タイ ・マ レー シア・イ ン ドネ シア・フィリピン)か らなる東 ア ジアのシェアは、

1

9

7

0-7

9

年 には

1

2

.3%に過 ぎなかったが、

2

0

0

0

-0

3

年にかけては

2

5

.

2

%

- とほぼ倍増 している。 他方輸入 シェア も、同 じく東アジアは

1

9

7

0-7

9

年 には

1

1

.

5

%(

3

)

であったが、

2

0

0

0

-0

3

年にかけては

2

2

.1%- とこれまた倍増 している。 東アジア貿易は単にその地位 を上昇 させているだけではな く、域内の相互依存 関係 をも 深化 させているとい うことを見落 としてはな らない。例 えば貿易結合皮 (輸出)の推移 を み ると、

AS

EAN4

とアジア

NI

ES

のそれは、

1

9

8

0

年 には

1

.

5

%(

4

)

1

9

9

0

年 には

3.

2

%

に す ぎなかったが、

2

0

0

3

年には

4

%

にまで上昇 しているのである。 B.直接投資 東アジア国際分業の地位上昇は貿易だけではない。直接投資の面で もその地位 を高めて い る。例えば、アジア

NI

ES

AS

EAN4

及び 中国か らなる東アジアの対内直接投資 (フロ ーベース)の世界に占めるシェアの推移をみてみると

、1

9

9

0

年 には

7

.

6

%

であったが

、2

0

0

3

年 には

1

4

.

8

%

- と大幅に上昇 している。

-1

(9)

8-② 日本 と東アジア との相互依存関係 こ うした東 アジア国際分業の地位 向上は 日本 と 「東アジア諸国 ・地域」 との相互依存関 係 にも大きな影響を及 ぼ している。そ こには二つの面での影響が存在 してい る。一つは相 互依存関係の深化 とい う側面であ り、いま一つは棲み分 け問題であるo

A.

相互依存関係の深化 a.貿易 相互依存関係深化 とい う点では貿易 と投資の両面でみ られる。まず貿易 については どう か。輸 出か らみてみよ う。日本の輸出額における方面別 シェアの推移をみてみる と、東ア ジア諸国・地域 は 1980年 には 25.8%であったが、2003年 には 45.5%と2倍近 く上昇 してい る。その結果、EU(15.3%)、NAFm (26.9%)のシェアをも大幅に上回ることになった。ま た、東 アジア諸国・地域 の輸入額の うち、 日本か らの輸入額が占める割合 は約 17%となっ ている。 他方、日本の輸入額 に占める東アジア諸国・地域のシェア も上昇 してい る。それ は、1980 年には 24.8% であったが、003年 には 43.8%とやは り急増 している。その結果、EU(12.8%)、 NAFTA(17.8%)を大幅 に上回 るに至ってい る。また、東 アジア諸 国・地域 の輸出額 の うち 日本-の輸出額が占める割合は約11%となっている。 以上のよ うに、 日本 と東アジア諸国・地域 との貿易が 占める比重は急速 に上昇 し、それ は今 日では 日本の貿易の太宗をなすに至っているのであるが、さらにその重要性 は、単に 量的なものだけに止ま らない とい うことにも注意 を払ってお く必要があろ う。貿易構造 も また高度化 しているか らだ。.すなわち、 日本 と東アジア諸国・地域 との間の貿易 を貿易品 目の面か らみてみると、日本の輸出については、電子部品が第 1位 、自動車部晶が第 8位、 音響 ・映像機器部晶が第 9位 となってお り、他方 日本の輸入 については、半導体等電子部 晶が第3位の地位 を占めていることか らも明らかなよ うに、 日本 と東アジア諸国・地域貿 易は既 にハイテク貿易 によって主導 されているとみなす ことができるであろ う。

b

.

投資 投資の面でも、日本 と東アジア との関係 は次第に強まっている。例えば、日本 の製造業 における海外現地法人数は、2002年度末現在で 6,918社 と 1980年度末の 3.6倍 に増加 し ているが、その うち東アジア諸国・地域には約 6割が立地 している。 とくに中国の場合 に は、1990年度か ら2002年度の間に 6.9倍 に増加 していることが注 目され よ う。その結果、 日本の国・地域別対外直接投資 (報告 ・届 け出ベース)の推移 をみてみると、中国、アジア NIES、ASEAN4、イン ドか らなる対アジア投資のシェアは、2001年度 20.6%、2002年度 15.4%、2003年度 17.7%とい う推移 を辿 ってお り、1951年度か ら2003年度の累計で も 17.2% のシェアを占めるに至っているのである。

B.

棲み分 け問題 「棲み分け」問題が浮上 してきた背景には、いわゆる 「空洞化」問題がある。空洞化は 二つの面か ら取 り上げ られている。一つは、東アジア諸国・地域か らの輸入拡大 による 日 本の国内産業-の影響であ り、いま一つは、企業の海外進 出に伴 う国内の工場立地基盤-の影響である。

(10)

a.輸入浸透率の上昇 前者の問題 か らみてみると、確かに束アジア諸国・地域の輸入 は大幅に拡大 してい る。 最 も大きく拡大 しているのは中国か らの輸入である。上述 した ように東アジア諸国・地域 全体の輸入 シェアは大きく上昇 しているが、中でも中国か らの輸入比率は

1

9

8

0

年の僅 か

3.

1

%

か ら

2

0

0

3

年 には

1

9

.

7

%

へ と急増 しているのである。 そ してこ うした中国を中心 とした東アジア諸国・地域か らの大幅な輸入拡大は、 日本 の 輸入浸透率の急速な上昇に繋がっている。 例 えば、製造業全体の輸入浸透率は

1

9

8

3

年 の

5

.

6

%

か ら

2

0

0

2

7

-9

月期 には

_

1

3

.

5

%

にまで上昇 しているが、その主因は中国か らの輸入 拡大を背景 に した繊維 ・電気機械の輸入浸透率の大幅な上昇 にあったことは明 らかだ。 こ うした輸入浸透率の急速な上昇 が国内産業に大 きな影響 を及ぼす ことは避 け られ な い と云えよ う。 しか しなが ら、そのことが直ちに国内産業の 「空洞化

に繋が るのか否か については、当該産業の再編成のあ り方にも関わってお り、必ず しも 「空洞化」に直結す る とは云えないよ うだ。従って、一概 にそれが 「空洞化」に繋がる訳ではない と考えるべ きであろ う。

b

.

工場立地の海外シフ ト いまひ とつの空洞化要因である海外投資 に伴 う立地条件の変化についてはどうか。上述 したよ うに、 日本企業の海外現地法人数は中国をは じめ とす る東アジア諸国・地域 を中心 に して増加傾 向を辿 っているが、それは海外生産比率の上昇に繋がっている。製造業の海 外生産比率は

1

9

8

0

年度には

2

.

7

%

であったが

、2

0

0

2

年度 には

1

7.

1

%

にまで上昇 しているの で ある (前述の図表Ⅱ

-

1

7

[図表

ト3

-

2

-

1

4

]

参 照)。 こ うした海外生産比率の上昇 が、 日本 の国内における工場立地の縮小傾向にも繋がってい ることは否 めないのである。 しか しなが ら、

2

0

0

3

年に入 ると国内の工場立地件数が再び増加 に転 じている とい うこ とも見逃せ ない動 きであろ う。それが景気回復 を反映 した循環的な性格 を帯びていること は確かであるが、同時にそれは、日本企業の立地戦略の変化 とい う構造的な側面をも伴 っ ている可能性 を秘めているか らだ。例 えば、国際協力銀行が行 ったアンケー ト調査 (注 5) によれば、海外-の事業展開により国内事業 を縮小す ると答 えた企業は

1

5

.

6

%

にす ぎず 、 逆 に4割 の企業が他の製品・分野の生産-の取 り組み により海外-の移管分を補 うとして い る点が注 目され る。 さらにその場合の 「他の製品・分野-の取 り組み」の詳細について も、興味深い回答が な されている。すなわち同調査は、今後の国内での取 り組み としては、 「より付加価値 の 高い製品・サー ビス-の特化」や 「新規生産分野-の取 り組み」 を挙げている企業が相 当 数 に上っていると指摘 している (注 6)0 このように、 日本 と東アジア諸国・地域 との相互依存関係の深化に伴い、空洞化問題 な ど日本の産業経済-の影響 も懸念 され るが、反面、 日本 の産業 ・企業が、産業再編成 さら には企業経営戦略転換 を通 じて、東アジア諸国・地域 の産業 ・企業 との棲み分けを可能にす るための 「共生」 (注 7)の途をも模索 しているとい うこともまた見落 とされてはな らな いであろ う。 以上か ら明 らかなよ うに、東アジア諸国・地域にお ける国際分業の発展が 日本 の国際分

-2

(11)

0-業発展にも繋がる可能性が強まっているが、見落 とされてはな らないのは、そ うした 日本 の東アジア諸国・地域 との新たな相互依存 関係形成が、日本 と東アジア諸国・地域 との新た な物流ネ ッ トワーク関係形成如何 にその多 くを負 っている-とい うことである。この点は 第Ⅳ章で改めて取 り上げることに して、次章ではひ とまず、日本 と東アジア との相互依存 関係の深化が地域 レベルでも進展 し始 めているとい う問題 を検討 しておこ う。 (注 1)ここで云 う 「東アジア諸国・地域」 とは、イ ン ドネシア、韓国、シンガポール 、タ イ、中国、フィ リピン、ベ トナム、マ レー シア、台湾を指 している。 (注 2)こうした対アジア海上コンテナ貨物輸送における日本の入超傾向は、対 中国貨物輸 送 において典型 をな してい る と云 え よ う。 確 か に、 日中両国間 の海 上 コンテ ナ貨物 輸送 は近年大幅 に増加 してい る。 だがそ の うち大凡 7割 は 日本 の輸入 か らなってい る (図表

Ⅱ-

2

3

参照)。従って、そ こには 「空コンテナ」に伴 う採算悪化問題が伏在 して お り、そのことが両国間 コンテナ輸送の発展に対す る重要な障害をな してい る、とい うこ ともまた見落 とされてはな らないのである (日本経済新聞

2

0

0

5

7

2

0

日参照)。だが 最近に至っ七ヾ輸送内容 に重要な変化が表れてきていることにも注意 を払 ってお く必要が あろ う。すなわち、中国一 日本輸送車こおいては、衣類、雑貨、家電などが相変わ らず 中心 をな しているのに対 して、日本一 中国輸送 では、自動車部品を中心に して機械部品類が重 要性を増 してきてお り、こ うした高付加価値部品輸送増大 に伴 う日本一中国 コンテナ貨物 輸送拡大が、 「空 コンテナ」問題 の打開及 び海運会社の採算割れ問題解決 に繋が り、さら にそれ を通 じて 日本の海運会社 による 日中航路開設の可能性 を強 めている- と報 じられ ている (同上参照)0 (注

3

)

但 し

1

9

7

0-7

9

年の輸入世界シェアに関 しては、中国は不明である。 (注

4

)

但 し

1

9

8

0

年におけるアジア

NI

ES

の輸出結合度は不明である。 (注

5

)

国際協力銀行 「我が国製造業企業の海外事業展開に関す る調査」

[

20

0

3

年度] (国 土交通省 『国土交通 自書

』[

2

0

0

5

]

p

.

6

7

よ り)0 (注 6)尤 もJだか らといって、製造業の海外生産比率上昇傾 向が止まった と観 るのは早計 で あろ う。 東 ア ジア を主 た る舞 台 と して、 日本 企業 にお ける生産 工程 間分 業 と生 産 工程 自体 のア ウ トソー シングは、今 後 さらに進 展す る もの と想 定 され るか らで あ る (木村福成 ・鈴木玲子 「東 アジアで生産ネ ッ トワー ク拡 一国内立地の優位性強 め よ-」 [日本経済新聞

2

0

0

5

7

5

日]参照)。 また、 日本企業の収益構造における変化 も見逃 せ ない。営業利益 に占める海外比率が大幅 に上昇 しているか らだ。例 えば、日本経済新聞 社調べによれば

、2

0

0

5

3

月期 における上場企業の海外利益比率は

、2

9

.1%と過去最高を 記録 してお り (アジア・オセアニア地域はその うちの 3割 を占めている)、今や 日本企業 に とって不可欠な収益源 となってい る (日本経済新聞

2

0

0

5

7

5

日よ り)0 (注 7)共生論については、序章 (注 2) を参照のこと。 3.日本における地域構造の変化 と東アジア地域ネ ッ トワーク (I)地域構造の変化 まず、日本の地域構造が人 口構造の変化 を背景 として大きな変貌 を遂げているとい うこ

(12)

とを指摘 しておこ う。 ①人 口構造の変化 日本の人 口は、2006年 をピークに減少傾向に転 じ、2050年には 1億人を割 る可能性す ら噴かれている (注 1) 0 こ うした人 口減少傾 向は、地域構造の変化 を伴いなが ら進展す るもの と想定 され る。全 国の地域を 「都市圏規模別」 に区分 (注 2) してみる と、三大都市圏における減少が最 も 大幅であ り (注 3)、県庁所在都市圏がそれに次いでい る。こ うした人 口減少 を背景 に地 域別 の人 口構造 も大きく変化 しそ うである。高齢化に関 しては、三大都市圏の高齢化率が 最 も高 く (注 4)、従って生産年齢人 口比率の減少幅 も三大都市圏のそれが最 も大幅 にな るもの と見込まれているのである。 +②人 口の定着化 このように人 口構造が大き く変化 しつつあるにもかかわ らず、他方では人 口移動は沈静 化 し、定着化す る可能性が強い と観 られている。移動者総数でみても、あるいは都道府県 間移動者数でみても、1970年代前半をピークに移動者数は減少傾向を辿 ってお り、 とり わけ都道府県間移動者数の面では移動がほぼ沈静化 してい る。その結果、高度成長 を背景 に して人 口集 中が進んだ三大都市圏人 口の総人 口比率 も、1950年の 34.0%か ら.1970年 に は 46.1%にまで上昇 したが、その後その比率は緩やかな上昇- と転 じている。その意味で 現在 は、三大都市圏-の人 口集 中時代か ら地方都市圏での人 口定着化の時代- と移行 しつ つあると捉 えられ よ う。 ③地域経済縮小の可能性 だが、人 口移動が沈静化 しているとはいえ、人 口構造 の変化 自体が地域 の経済社会 に大 きな影響を及 ぼす ことは避 けがたいよ うだ。その うち、最 も深刻 なのは地域経済縮小の可 能性である。伝 えられ るところによれ ば (注 5)、経済産業省 の試算では、人 口減少や公 共事業の縮小 さらには製造業の空洞化 によって、2030年 には全国 269の都市圏の うち、8 割強で域内総生産が減少す るものと予測 されている。とくに人 口減少の激 しい地域ほ ど域 内総生産の減少幅が大きい とされてい る。逆に域内総生産が増加す るのは東京 な どの 35 箇所だけだ とされている。 つま り、そ こでは、 日本の地域構造は一部の 「豊かな」大都市圏 と大部分の 「貧 しい」 非大都市圏 とに両極化す るとい う姿が画かれている。だが、果た してそれだけで済むだろ うか。この場合、前提条件 として大都市圏人 口が増加す ると予測 されてい るところに問題 が横たわっているよ うだ。だが先にみた ように、他の地域 に比べて、三大都市圏の方が人 口減少テンポが速い とす るな らば (注6)、 「豊かな」大都市圏の実現性 自体 も甚だ怪 し くなる。その場合 には、今後の 日本経済においては、両極化 とい うよりもむ しろ、地域経 済全体が- とい うことは 日本経済全体が一縮小 を余儀 な くされ るか さもな くとも衰退 に 向か う可能性 の方が強い とい うことになるであろ う。 何れにせ よ、人 口構造の変化を背景に して、今後 日本経済は、このままでは、両極化 に 向か うか、さもなければ衰退化 を辿るか-とい うように、どち らにせ よ好ま しか らざる途 を歩まざるをえなくな りそ うである。

(13)

-22-④広域化 ・ボーダ レス化 こ うした中で、地域は、 自らの地域の経済社会再生 ・活性化を賭 けて、それぞれ独 自に 広域化 ・ボーダレス化の動 きを強めているとい う点が注 目され る。 まず広域化に関 しては、ブ ロック圏形成 の動きに注 目しておかなければな らないであろ う。すなわち、都道府県間の人的流動状況ををみてみ ると、ブ ロック内の各県 を起点 とし、 他県-の移動を目的 とす るブロック内流動比率が高まっている。例 えば、九州 ブ ロック (注 7)では、総流動の約 8割がブロック内流動 となっている。また四国ブロック (注 8)で も、ブロック内流動比率は

1

9

9

0

年の

4

6.

8

%

か ら

2

0

0

0

年には

6

5

.

6

%

- と大幅 に上昇 してい るo さらに東北ブロック (注

9

)

でも、ブロック内移動比率は、

1

9

65

年 には

1

8

.

6

%

であっ たのに対 して

1

9

9

5

年は

3

6

.

2

%

にまで上昇 している。 こ うした広域化 ・ブロック化の要因 としては、中国ブロックの場合 のように広域交通ネ ッ トワークの整備 に拠 るものもあるが、九州ブロックや東北ブロックのように都市機能の 集積 を有す る政令指定都市がブ ロック内での拠点性 を強めた結果 に拠 るものが多い (注

1

0)

。 その背景には、地域の側が、中核都市の集積機能高度化を通 じて広域化 を計 ること によって少子・高齢化 とい う人 口構造の変化-対応 しよ うとしているとい う事情があるよ うだ。 さらに注 目すべきは、こ うした広域化 ・ブ ロック化の動きが、それだけに止 ま らず、東 アジア諸国・地域 との繋が りを強め、ボー ダ レス化 に結びついているとい う点である。例 えば、

2

0

0

0

年における居住地ごとの 日本人出国者状況をみ ると、地方部に居住す る.日本 人 出国者 の うち東 アジア諸 国 ・地域 -渡航 した者 の 占める割合 は

5

2.

8

%

と全 国平均 の

4

6.

1

%

を上回っている。さらに東アジア諸国 ・地域-渡航す る人の増加状況を三大都市圏 と 地方部 とで比較 してみると

、1

9

8

0

年か ら

1

99

0

年にかけての増加率は大都市圏が地方部 を 上回っているが、

1

9

9

0

年か ら

2

0

0

0

年にかけてでは地方部が大都市圏を上回ってお り、近 年に至って地方部 と東アジア諸国・地域 との交流が活発化 していることが窺える。 この点で とくに注 目しておかなければな らないのは、九州ブロックのケースである。同 ブロックの場合には、東アジア諸国・地域-の渡航者 の割合が

6

0

.3%と全国平均 を遥かに 上回る高率を記録 しているが、そのことは、前述 した九州地域の広域化すなわち九州ブ ロ ック形成が九州地域のボーダ レス化 と深 く関わっているとい うことを示唆 しているので ある。 このよ うに、日本の地域は、人 口構造の変化を背景 とす る構造変化 を遂げつつあ り、さ らにそ うした変化を通 じて、東アジア諸国 ・地域 との結びつ きを強めつつあるが、その背 後には、東アジアにおいて地域 レベルでのネ ッ トワーク形成が進んでいるとい う事状があ ることを見逃せない。そこで次にこの間題 を取 り上げてみ ることに しよう。 (2)東アジア地域ネ ッ トワークの形成 ①東アジア地域交流ネ ッ トワーク 日本の地方部 と東アジア諸国・地域 との交流ネ ッ トワーク形成において交通ネ ッ トワー クが果た している役割の重要性 をまず指摘 しておかなけれ ばな らない。交通ネ ッ トワー ク のなかでも重要なのは、航空ネ ッ トワークである。地方部の空港 と東 アジア諸国・地域及

(14)

び ロシア極東地域 とを結ぶ定期航空路 は、1986年 には国内 7空港 (就航先6都市、週 74 倭) であったが、2004年 には 21空港 (就航先24都市、週 342便) と大幅 に増加 してい る。 そ して、 日本 の地域 の中で東 アジア諸国 ・地域 との人的交流が最 も盛 んなのは、九州ブ ロック と北海道 ブ ロックである。九州 ブ ロ ックの場合 は、とくに韓国 との交流が盛 んであ る。韓 国-渡航す る九州 ブロックの居住者 の割合 は2000年で総渡航者 の 27.8%と全 国平 均の 2倍 のシェアを占めてい る。他方、韓 国出身 の入 国者 について も、2003年 には全体 の18.3%が九州ブ ロックか ら入国 し、全ての入 国外 国人 の65.1%を占めるに至ってい る。 この ことは、前述 した九州ブ ロックのボー ダ レス化 が韓 国 との結びつきを基軸に進展 して い る とい うことを示唆 してい るが、その背景 には、九州 と韓国 との地理的近接性 が横 たわ ってい るのである。 他方、北海道 ブ ロックの場合 には、台湾 との結 びつきが重要である。 とくに2003年以 降、北海道 ブ ロックか ら入 国す る台湾 出身者 の割合 が高 くなってお り、その結果 、2003 年度 に北海道 を訪れた外 国人の うち4割 が台湾 出身者 によって 占め られ るに至ってい る。 この よ うに、台湾出身者 が北海道 に関心を寄せ始 めてい るのは、台湾出身者 の中で北海道 に対す る人気 が高まっているか らであろ う。 ②東 アジア地域 国際分業 日本 の地方部 と東 ア ジア諸国 ・地域 との交流ネ ッ トワー クは国際分業 の面 にも及 んでい る。 日本の地域 としては、地域経済社会 の再生 ・活性化 のためには、東 アジア国際分業 を 通 じて東アジア との結びつきを強める必要性 に迫 られているとい うことを考 えれ ば、その こ とは至極 当然 である。例 えば、 日本 の地方部 における貿易の状況 をみ る と、中国 ・四国 及び九州の各 プ ロ.ツクの輸出額 に占める東 アジア諸国・地域 向け輸出額 の割合は、1990年 には全 国平均 を下回っていたのだが、2003年 には、軒並 みにそれ を上回 るに至 ってい る - とい うことか らも明 らかなよ うに、地域 レベル で も東 アジア国際分業が重要性 を増大 さ せてい るのである。 (注 1)国立社会保障 ・人 口問題研究所の中位推計 に よる。 (注2) 「三大都市圏」 とは、東京特別 区等 、名 古屋市等、大阪市等 を核都 市 とす る地域で ある。 「ブ ロック中心都市圏」 とは、札幌市、仙 台市、広 島市等、北九州市等、福 岡市を 核都市 とす る地域 である。 「県庁所在都市圏」 とは、上記以外 の県庁所在市 を核都 市 とす る地域である。 「その他都市圏」 とは、その他の都市 を核都市 とす る地域 である。 「非都 市圏」とは、いずれの都市圏にも属 しない市町村 か らな る地域である0 (国土交通省 『国 土交通 自書』 [2005]p.54-55よ り。) (注 3)なかで も関西圏 (京都府、大阪府 、兵庫県 、奈 良県か らなる)は、2005年 3月末 現在 で前年同期 に対 して840万人 と初 めて減少 を記録 してい る。 (注 4)全国の 70歳以上人 口比率は、2000年時点で 12%弱であ り、都道府 県別 にみ る と、 最低 が埼玉県の約8%、最高は島根県の約 18%で あるが、この分布 図は、2015年 には激変 す るもの と予測 されてい る。す なわち、首都圏の一都 三県や大阪府 、愛知県が18% を上回 り、なかで も大阪府 と千葉県が20%を超す と試算 されている。 (日本経済新聞 2005年 7

(15)

-24-月 31日よ り。 ) (注 5)朝 日新聞 2005年 6月 16日よ り。 (注 6)さらに国土交通省 は、首都圏の生産年齢人 口 (15-64歳)が、人 口減少傾 向の下 で、今後 20年間で 2000年 の 1割 に相 当す る 250万人減少す るもの と見込んでい る (日本 経済新聞 2005年 7月 13日より)0 (注 7)九州ブロックは、福 岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮城県及び大分県か らなる。 (注 8)周 国ブロックは、徳 島県、香川県、愛媛県及び高知県か らなる。 (注 9)東北ブロックは、青森県、岩手県、宮城県、秋 田県、山形県及 び福島県 か らな る。 (注 10)例 えば、九州 ブ ロックの場合 には、福 岡県の人 口増大が福岡県の集積度上昇 と表 裏 の関係 にある。 4.北太平洋物流 ・分業ネ ッ トワー ク と日本海 ・東海 BRICs分業構想 このよ うに、九州 ・中国・四国な どいわゆる西 日本 を中心に して、日本 の地方部 と東アジ ア諸 国・地域 との間で東 アジア地域ネ ッ トワー クが始動 し始 めているのであるが、そ うし た 中では、 日本海沿岸地域 に とって も、 日本海 ・東海 を有効 に活用 して国際物流ネ ッ トワ ー クを形成 しさらにそれ を通 じて新 たな国際分業のあ り方 を模 索す ることが極 めて重要 な課題 となってくる。国際分業が国際物流ネ ッ トワー クと表裏 の関係 にある以上、その こ とは当然であろ う。そ こで ここでは、 日本海 ・東海物流ネ ッ トワーク構想 -す なわち北太 平洋物流ネ ッ トワーク形成及びそれ を通 じて可能 になる日本海 ・東海 BRICs分業構想 -に ついて検討 してみ ることに しよう。 (1

)

「同心円的経済圏」 としての 日本海 ・東海 BRICs分業 ①北東アジア経済圏か ら北太平洋経済圏-日本海沿岸地域 における国際物流ネ ッ トワークのあ り方 を考 えるのに先立ち、北東アジ ア経済圏について触れておかなけれ ばな らない。日本海 ・東海物流 ・分業ネ ッ トワークのあ り方 は、そ もそも北東アジア経済圏のあ り方 に深 く関わってい るか らだ。 北東アジア経済圏はアジアは無論 のこ と世界の中で も最 も重要な経済圏の一つ として 捉 え られ るべきである。そのことは、北東アジアを構成する 日中韓三国に係 わ るデータを 一瞥す るだけでも容易に理解 され よ う。人 口規模 は三国全体で 14億 5,000万人 (2001年 末現在)でアジア (国連 区分)の 39%、世界 の 24%を占めてい る。GDPは同 じく 5兆 6,969 億 ドル (2002年)でアジア (世銀 区分 ;24カ国)の 80.3%、世界の 18%を占めてい る。 貿易額で も同 じく 2兆 776億 ドル (2003年)でアジア (東アジア ;アゾアNIES+ASEAN+ 中国+ 日本)の 48.0%、世界の 13.6%を占めてい る。最後に外貨準備 も同 じく 1兆 5,038 億 ドル (2003年末現在、但 し韓国は同年 11月末現在)でアジア (同)の 56.3% (2003年 7 月未現在)を占めてい る。要す るに、その経済力だけか ら云って も、北東アジア経済圏抜 きには、アジア経済圏はおろか世界経済す らそ もそ も成 り立たない と云 って も決 して過言 ではないのである。 加 えて、この地域が他方では北太平洋 に属す る地域でもあるとい う地勢的条件 を考慮す れ ば、それは、単にアジアにおける一地域であるばか りではな く、アジア太平洋 における

(16)

重要地域で もある、とい うことになる。つま り、 「北東 アジア経済圏」は同時に 「北太平 洋経済圏」で もあるとい う点で、その重要性は一層高め られ ることになるのだ。 ② 北東アジア分業 と北太平洋分業の リンケージによる 日本海 ・東海 BRICs分業構想 では、日本 の 日本海沿岸地域 に とって、北東アジア経済圏 と北太平洋経済圏 とでは どの よ うな違いが存在す るのか、す なわち北太平洋経済圏は 日本海沿岸地域に とって如何 なる 意味で重要なのか。 この点を検討するために、まず、 「日本海沿岸地域」 (注 1)の対北 東アジア関係 4カ国 (注 2)貿易の現状をチェック してみ よ う。まず輸出か らみてみ よ う。 2002年 における 日本海沿岸地域 の対 4カ国輸出額 は 1兆 2,657億 5,500万 円であった。他 方、同年における同地域 の対世界輸出総額は 5兆 550億 3,800万円で奉った.従 って、 日 本海 沿岸地域 に とって対北東アジア輸出は同地域 の輸出総額の25.0%に過 ぎない とい うこ とになる。 輸入 については どうか。やは り 2002年 における 日本海 沿岸地域 の対 4カ国輸入額 は 1 兆3,938億 1,700万円であった。他方、同年 にお ける同地域 の対世界輸入総額は 3兆 8,989 億 7,900万円であったわ けだか ら、対北東アジア輸入比率は 35.8%に達 しているとい うこ とになる。 以上か ら明 らかなよ うに、日本海沿岸地域貿易 に とって対北東アジア依存度は必ず しも 高い訳ではな く、とりわけ輸出に関 しては 25%に止まっているのである。そのことは、日 本海沿岸地域 に とって は、国際分業の対象 を北東 アジア経済圏に止 めてお くよ りも、それ を、一方では汎アジア経済圏す なわち東南アジアか らさらにイ ン ドをも含む地域 にまで拡 大す る とともに、他方では北太平洋経済圏すなわち北米 をも含 めた地域にまで広 げること -その ことはブ ラジル をは じめ とす る南米諸国の市場開拓 にも繋 がるとい うことを意味 している-の方が遥かに有利であ り、かつ輸出拡大のためにはそ うした市場戦略が不可欠 である、とい うことを意味 しているのである。それ は、 日本海沿岸地域 としてのいわゆる 「同心 円的経済圏」の形成に他 な らない。そ して、この 日本海沿岸地域版 「同心円的経済 圏」が上述 した少子化時代に迫 られてい るボーダ レスな広域化論 と軌 を一 に した ものであ るとい うことは、云 うまでもないであろ う。 だがこのことは、北東アジア経済圏分業 を北太平洋経済圏分業 に代替すべ きだ と主張 し ている訳ではない。逆に、北東アジア経済圏分業 を北太平洋経済圏分業に リンクさせ るこ とによ-って、北東アジア分業すなわち北東 アジア4カ国分業 自体 を一層発展 させ ることが できるとい うことを示唆 してい るのである。とくに重要なのは対 ロシア貿易である。北太 平洋航路がシベ リア鉄道経 由のラン ドブ リッジ構想 (後述 の 「日本 の国際物流ネ ッ トワー クの将来像 一 日本海 ・東海 BRICs分業に向けての北太平洋物流ネ ッ トワー クの姿-」[その 1]参照)と結びつ くな らば、日本海沿岸地域の対 ロシア貿易 は飛躍的な発展が期待できる か らだ。同様の ことは、日本海沿岸地域 の対束アジア経済圏分業 さらにはイ ン ドをも含む 汎アジア経済圏分業についても云える。その意味で、北東 アジア経済圏分業 と北太平洋経 済圏分業 との リンケージは、BRICs分業 にも繋が るのである。北東 アジア経済圏分業 と北 太平洋経済圏分業 とを リンクさせ ることは、それ を通 じて、 日本海 沿岸地域 を して、中国 をは じめ、ロシア、イ ン ドさらにはブラジルな どいわゆる BRICs諸国 との相互依存 関係形 成 を可能にす るか らである。いわゆる日本海 ・東海版 BRICs分業論 (注 3)である。

(17)

-26-要す るに、 日本海 ・東海 BRICs分業論は、 日本海地域にとっては、 「同心円的経済圏」 形成 を意味 しているのであるが、 「北太平洋経済圏」はこうした同心円的経済圏形成のカ ギを握っているのである。その意味で、われわれは北太平洋経済圏に対 してもっ と注意 を 払 ってお く必要だあると云えよう。 か くして、日本海沿岸地域 にとっては、北東アジア経済圏分業を北太平洋経済圏分業 に リンクさせ ることが求め られているのであるが、そのためには両経済圏の リンケージを可 能 にす るための北太平洋物流 ・分業ネ ッ トワークの創設が不可欠であるとい うこ とになる。 日本海 ・東海 BRICs分業構想 は、北太平洋物流 ・分業ネ ッ トワー ク形成抜 きには成 り立たな いか らである。 (2)日本海 ・東海物流ネ ッ トワーク と北太平洋物流ネ ッ トワークの リンケージ か くして 日本海 ・東海物流ネ ッ トワークもまた北太平洋物流ネ ッ トワー クとの リンケー ジが必要になるが、では、その実現性 は果た してあるのだろ うか。次にこの間題 を検討 し てお こう。 ① 日本海 ・東海物流ネ ッ トワークの問題点 ところでわれわれは、物流ネ ッ トワーク論 に入 る前に、日本海沿岸地域 においては、国 際物流ネ ッ トワー ク自体が大 きな問題 を抱 えている とい うことを指摘 しておかなけれ ば な らないであろう。 そ こでまず現在の 日本海 ・東海物流ネ ッ トワークの問題点か らみてお こ う。確 かに、 日 本海 ・東海物流ネ ッ トワークも東アジア物流ネ ッ トワー クの発展の余波 を受 け、近年 目覚 ま しく発展 していることは認 めなければな らない。例 えば、北陸地方の港湾別国際 コンテ ナ取扱量の推移をみてみると、1990年代後半以降、新潟港を中心にして著 しい伸びを記 録 している。また航空路についても同様の傾向がみ られ る。例 えば、やは り北陸地方の空 港 を利用 した 目的別乗降人員 の推移 をみてみると、1998年度以降、対 ソウル行 きを中心 に して増大傾向を辿っている。 だが、こ うした発展にも係 わ らず、 日本海 ・東海物流ネ ッ トワークには依然 として大き な陥葬が存在 しているとい うことを見逃す訳 にはいかないのである。すなわちそれは、産 業構造 と国際物流構造における二重の ミスマ ッチである。 まず、日本海沿岸地域 自体の 日本海沿岸港の低利用状況を指摘 しなけれ ばな らない。例 えば、北陸地方において生産 ・消費 され る貨物の北陸地方港湾輸出入利用率をみてみると、 輸入の場合 にこそ 51.8%(2003年度)と辛 うじて 50%を上回っているが、輸出に至っては 25.4%(同)に過ぎないのである。つま り、北陸地方で生産・消費 される貨物 に関 してはその 大半がいまなお太平洋側港湾 を利用 しているとい う訳だ。 次 に、輸送上の輸出入インバ ランスが挙げ られる。それは問題 を一層深刻 に している。 上述 したよ うに、 日本海 ・東海物流ネ ッ トワークは増大傾向を辿 っているとはいえ、それ は専 ら輸入増加に因ってお り、必ず しも輸出増に負 うている訳ではない。その結果、輸出 入イ ンバランスが発生 しかつ拡大 している。例 えば、やは り北陸地方における輸出入 コン テナ貨物量の推移 をみてみる と、2003年 には輸入量が輸出量を大幅に上回るに至 り、そ の結果、大幅な輸出入インバ ランスが発生 しているのである。 (このことはまた、上述 し た対アジアーとりわけ対中国一海上 コンテナ貨物輸送 における 日本 の大幅入超 問題 とも

(18)

密接に関係 してい る。)そ して、こ うした輸送上の輸出入イ ンバ ランスが 「空 コンテナ」 問題の発生を通 じて輸送採算性 を悪化 させ 、航路発展 を妨 げてお り、その航路未発展 が輸 送採算性 を悪化 させてい るとい う意味で、 日本海 ・東海物流ネ ッ トワークは悪循環 に陥 っ ているのである。 要す るに、 日本海 ・東海物流ネ ッ トワー クにおいては、 (イ)日本海沿岸地域 の産業 ・企業 自体が 日本海 ・東海物流ネ ッ トワークを十分利用 していない、(ロ)その上、利用 してい る場 合にも著 しく輸入 に偏 ってお り、その結果輸送採算悪化を招いてい る-とい う意味で二重 の ミスマ ッチに見舞われているとい う現実 をわれ われ は直祝 しておかなけれ ばな らない のである。では何故 こうした ミスマ ッチが生 じているのであろ うか。その主たる原因は、 日本海沿岸地域 における国際物流ネ ッ トワークの脆弱性 に求 めざるをえないのであるが、 さらにその脆弱性 は二つの要因か ら形成 されてい る。一つは航路上の問題であ り、いま一 つは港湾利用上の問題である。 前者 の航路問題 とは何か。それは北米航路の未開発問題 である。確かに、北米ルー トは 存在時 している.だがそれは、 日本海・東海物流ネ ッ トワー クの一環 としての対米航路で はない。アジアー北米間を結ぶ基幹 コンテナ航路は、現在、 日本 に寄港す る場合 には太平 洋岸港湾 を利用す る場合のみであ り、 日本海 ・東海航路に関 しては、非寄港ルー トが存在 しているに過ぎないのである。 何故 こ うした事態が生 じているのか。その一つの要因 としては、日本海沿岸地域 にはコ ンテナ貨物量の面で経済的にペイす る寄港可能な港湾が今 なお存在 していない とい うこ とを挙げなければな らない。.この点は、後者の港湾利用上の問題にも関わっている。 では、経済的にペイす る寄港可能な港湾 を如何 に して生み出せばよいのか。そのために は、日本海沿岸地域港湾の利用率 とくに輸 出利用率の引き上げを通 じて、上述 した輸 出入 インバ ランスの解消を計 る以外 にないのであるが、問題は、その低利用率 とくに輸出にお ける低利用率 自体が 日本海沿岸地域の国際分業上 の構造 -す なわち同地域 の貿易構造 と くに輸出構造がそ もそ も北東アジア経済圏依存度 が低い とい う構造 一に関わってい るだ 桝 こ、その引き上げは容易ではない とい う点にある。つま り、一方では、北米航路未 開発 状況が、対米依存度が大 きい 日本海沿岸地域の貿易構造上、北米航路を持つ太平洋岸港湾 への依存度 を高めるとともに日本海沿岸港湾の低利用率に繋がってお り、他方では、その 低利用率が北米航路未開発状況をもた らしている- とい う意味で悪循環に陥ってい ると い うことこそが問題の本質なのである。 しかも、見落 としてはならないのは、こ うした悪 循環を放置 したままでは、折角の東アジア物流・分業ネ ッ トワークの発展 とそれ に対す る 参入 もまた、日本海沿岸地域にとっては、単に輸入拡大に繋がるだけに終わ りかねない と い うことである。 従って、北米航路開設 のためには無論の こと、それだけではなく、東アジア諸国 ・地域 との新たな相互依存関係 を 日本海沿岸地域 の国際分業 -とりわけ BRICs分業-の発展 に 繋げるためにも、 日本海沿岸地域がこうした悪循環か ら脱却す る以外 にないのであるが、 そのためにはどうすればよいのか。 この点 を次に考 えてみ よ う。 ② 「北太平洋物流ネ ッ トワーク」構想 上記の悪循環か ら脱却す るためには、新 たに 「北太平洋物流ネ ッ トワーク」を創設す る

ー2

(19)

8-以外 にない ものと考 えられ る。

A.

国際物流ネ ッ トワークの将来像 そのためには、第一段階 として、 日本海沿岸地域で生産・消費 され る貨物の輸 出入 を、 太平洋沿岸地域港湾の利用か ら日本海沿岸地域港湾の利用- とシフ トさせ ることである。 そのためには、 日本海沿岸地域 の一部 の港湾が新たに北米航路 を就航 させ る必要がある。 さらに第二段階 として、 日本海沿岸地域で生産 ・消費 される貨物 のみな らず、太平洋沿岸 地域 において生産・消費 され る貨物の輸 出入 に関 しても、 日本海 沿岸地域港湾利用 にシフ トさせ ることである。この場合 には 日本海沿岸地域港湾を北米航路における主要港 に発展 させ ることが求められ る。 こ うした二つの段階を通 じて、 日本海 ・東海物流ネ ッ トワークを北太平洋物流ネ ッ トワ ーク- と転換 させ ることに成功すれば、 日本海 沿岸地域は、 (イ)対米貿易 とりわけ対米輸 出を拡大 させ ることが可能になるだけではな く (注 4)、(ロ)東アジア諸国・地域 との新た な相互依存関係 を自らの国際分業発展 に結びつ けることもまた可能にな り、 (ハ)さらに 日 本海 ・東海 BRICs分業の可能性す ら生まれ る- とい うことになるのである。要す るに、 日 本海 ・東海物流ネ ッ トワークの北太平洋物流ネ ッ トワーク-の転換は、新 日本海 ・東海物流 ・分業ネ ッ トワーク形成のカギを握 ってい るのである。 以上の構想 に基づき構築 され る 「北太平洋物流ネ ッ トワーク と日本海 ・東海 BRICs分業 構想」の姿を描いてみ ると、以下の通 りとなる。 [日本の国際物流ネ ッ トワークの将来像一 日本海 ・東海 BRICs分業に向けての 北太平洋物流ネ ッ トワークの姿-]

(図

2

3

,図

2

4

参照 )

B.構想実現のための施策 ところで、日本海 ・東海 BRICs分業構想実現の前提 となる 「北太平洋物流ネ ッ トワーク」 を創設するためには、日本海沿岸地域 における新 たな拠点を選び出 さなければな らないが、 その最有力地域は北陸地方である。何故 ならば、北陸地方は、 日本で最大に生産 ・消費地 である首都圏を背後 に持っているとい う意味で北米航路の寄港可能性が最 も有力視 され る地域であるか ら●だ。 そ こで、北陸地方を中心に して、構想実現のために必要な物流ネ ッ トワーク整備上の施 策を掲げてお くと、以下の通 りである。 ィ.コンテナに対応す る高規格な港湾機能の整備 とくに東アジアにおける生産基地 との製品・半製品ベースの輸 出入の拡大に対応す るた めに、高規格の国際海上 コンテナター ミナルや、コンテナやそれ以外のバル ク貨物 (原木、 石戻等)も取 り扱える多 目的国際ター ミナルの整備が必要である。そのためには、とくに

(20)

北陸地方の主要な港湾において、高規格 ター ミナルの整備が必要である。 ロ.港湾 と高速道路 との連結性の強化 輸出入 コンテナ貨物における流通の円滑化 と国内長距離輸送にお ける海上輸送 の利 用 を促進す るために、 (イ)国際海上 コンテナのネ ッ トワーク拠点 と、高速道路や鉄道ネ ッ ト ワークとの連絡を向上 させ る、(ロ)複合一貫輸送に対応 した内貿ター ミナル を整備す る-な どの必要がある。 この場合、

(

a

)新潟地区においては、東港、新潟空港、西港 を貫通す る高規格 な道路の整備、 (b)伏木富山地区においては、伏木地区、新湊地区、富山地区 を 結ぶ高規格 な道路の整備 、 (C)また金沢地区では、港 の両岸地域 を結び、能登有料道路-向か う高規格な道路の整備 -などが必要である。 ハ.港湾の物流管理機能の充実 海上輸送 と陸上輸送の結節点である港においては、円滑に貨物 を物流 させ るために、物 流管理機能 を充実 させなければな らないが、-そのためには、 (イ)世界へのゲッ トウェイ機 能 を果たすために必要な海一陸、陸一陸な ど多様な物流ニーズに対応できる倉庫、流通施 設 を港湾地帯に集積 させ る、(ロ)入出港手続 き等のEDI(電子情報交換)化やSeaNACCS(税 関・通関手続 きシステム) との統合等 ITを積極的に活用す る、 (ハ)港湾利用者 のニーズに 対応 した荷役の効率化、稼働時間の確保、税関・出入国管理 ・検疫機能の充実等 によ り物流 サー ビスの向上を図る-などが必要である。この場合、とくに新潟港、金沢港及び敦賀港 におけるサービス向上を 目指すべきである。 ニ.安定 ・安全 なネ ッ トワーク機能の確保 年間を通 じて安定 して利用できる港湾を 目指 し、とくに秋 田港、酒 田港及び敦賀港 にお ける防波堤の整備 が必要である。 ホ.国際空港の機能充実 ・アクセス整備 当面は、空港需要の増加 に対応 して、滑走路の拡張や路線 の拡大を計るとともに、長期 的には、首都圏の国際交流機能の補完をも考慮に入れた国際空港-の展開が必要である。 とくに、新潟空港、小松空港等における空港諸施設やアクセ ス機能 の拡充が必要である。 ③ 「北太平洋物流ネ ッ トワーク」拠点 としての北陸地方の課題 一新潟県を事例 として

-A.

「北太平洋物流ネ ッ トワーク」拠点の可能性 そこで次に、 「北太平洋物流ネ ッ トワー ク」拠点 としての北陸地方の可能性 と課題 につ いて検討 しておこ う。何故ならば、分業ネ ッ トワー クは物流ネ ッ トワークと表裏の関係 に あ り、とくに日本海沿岸地域にとっては、国際分業構造の転換 は物流ネ ッ トワークの転換 と不可分の関係にあるか らだ。この間題 を解明す るために、北陸地方の中でも、その典型 である新潟県を事例 として取 り上げてみ よ う。新潟県のケースは、北陸地方が抱 える有利 性 と問題点を如実に示 しているか らに他な らない。 a.ゲ ッ トウェイ機能における拠点性 まず、新潟県は国際物流ネ ッ トワークの根幹をなす国際 コンテナ取扱量に'ぉいて最大の 港湾を擁 している。第二に新潟県は、日本海地域におけるゲ ッ トウェイ機能の中で も、最 も高度な港湾機能 と空港機能を有 している。第三には、国内物流ルー トとの結節 の面でも、 新潟県は最 も高い結節性 を誇 っている。

参照

関連したドキュメント

24日 札幌市立大学講義 上田会長 26日 打合せ会議 上田会長ほか 28日 総会・学会会場打合せ 事務局 5月9日

原子炉圧力は、 RCIC、 HPCI が停止するまでの間は、 SRV 作動圧力近傍で高圧状態に維持 される。 HPCI 停止後の

 しかしながら、東北地方太平洋沖地震により、当社設備が大きな 影響を受けたことで、これまでの事業運営の抜本的な見直しが不

[r]

(1)東北地方太平洋沖地震発生直後の物揚場の状況 【撮影年月日(集約日):H23.3.11】 撮影者:当社社員 5/600枚.

海水、海底土及び海洋生物では、放射性物質の移行の様子や周辺住民等の被ばく線量に

代表研究者 川原 優真 共同研究者 松宮

現在、本協会は、関東地区に 16 局の VHF 海岸局と、4 局の 400MHz 海岸局(VHF