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2.1 検 討 の 背 景 と 目 的 木 造 軸 組 構 法 住 宅 の 耐 震 性 を 確 保 するためには 建 築 基 準 法 で 定 められた 量 以 上 の 耐 力 壁 を 釣 り 合 いよく 配 置 する 必 要 があるが その 耐 力 壁 の 性 能 を 担 保 するために 必 要 な

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10 2.1 検討の背景と目的 木造軸組構法住宅の耐震性を確保するためには、建築基準法で定められた量以上の耐力 壁を釣り合いよく配置する必要があるが、その耐力壁の性能を担保するために必要な木材 の品質については細かく指定されておらず、最低品質すら決められていない。そこで、現 行の建築基準法施行令 46 条および昭和 56 年建設省告示第 1100 号で定められている軸組構 法耐力壁について、使用する木材の強度等級や材料密度、あるいは面材料の単板構成とい った品質の違いと耐力壁の面内せん断性能との関係を明らかにするため、様々な実験的検 討を行った。まず始めに軸組材の品質に焦点を絞って実験を行い、その後は面材料の品質 の差異、およびそれらの相互関係の影響、そして筋かいの品質の差異に絞った検討と、大 きく分けて 4 種類の検討を行った。これらの検討によって、軸組構法耐力壁に用いる材料 の品質が構造性能に及ぼす影響を定性的に明らかにすることを最終的な目的とする。 2.2 H24 年度までの成果 2.2.1 軸組材の品質の差異が軸組構法耐力壁の性能に及ぼす影響 まず始めに、軸組材の品質を変化させることによって耐力壁の性能がどの程度変化する のか検証することとした。 (1)試験材料 (財)日本住宅・木材技術センターの定める「木造の耐力壁およびその倍率性能評価業務 方法書(以下、方法書)」に準拠し、梁がベイマツ製材、柱・土台等にはスギ製材を用いた。 耐力要素としては、2 種類検討した。面材料は JAS 特類 2 級の構造用合板(樹種:カラ マツ、寸法 7.5×910×2730mm)とし、N50 釘を用いて 150mm 間隔で留め付けた。もう一 種類は筋かいで、JAS 特級の構造用単板積層材(100E、樹種:ダフリカカラマツ、断面寸 法:45×90mm)を、2 倍筋かい金具で留め付けた。 図 2.1 筋かい耐力壁の概略 図 2.2 合板耐力壁の概略 (2)試験体仕様

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11 本実験では検討項目を 3 つ設定し、それぞれ 3 体の試験体を製作した。 a) JAS 目視等級区分製材による検証(以下、目視等級区分) 軸組材の品質区分を JAS 目視等級区分製材とし、全て同一の等級の部材を用いて耐力壁 を構成することとした。 表 2.1 目視等級区分製材を用いた試験体一覧 試 験 体 番 号 梁 ( ベ イ マ ツ ) 柱 ( ス ギ ) 土 台 ( ス ギ ) 耐 力 要 素 E-KO1-BR-1,2,3 甲 種 1 級 筋 か い E-KO2-BR-1,2,3 甲 種 2 級 E-KO3-BR-1,2,3 甲 種 3 級 E-OT1-BR-1,2,3 乙 種 1 級 E-OT2-BR-1,2,3 乙 種 2 級 E-OT3-BR-1,2,3 乙 種 3 級 E-KO1-PW-1,2,3 甲 種 1 級 構 造 用 合 板 E-KO2-PW-1,2,3 甲 種 2 級 E-KO3-PW-1,2,3 甲 種 3 級 E-OT1-PW-1,2,3 乙 種 1 級 E-OT2-PW-1,2,3 乙 種 2 級 E-OT3-PW-1,2,3 乙 種 3 級

試 験 体 記 号 : E・・・目視、 KO・・・甲種 、OT・・・乙種、 BR・・・筋かい 、PW・・・合板

b) JAS 機械等級区分製材による検証(以下、機械等級区分) 軸組材の品質区分を JAS 機械等級区分製材とし、梁については最も一般的な品質と思わ れる E110 に固定し、柱と土台は E50,E70,E90 の 3 グレードの組み合わせで試験体を構 成することとした。 表 2.2 機械等級区分製材を用いた試験体一覧 試 験 体 番 号 梁 ( ベ イ マ ツ ) 柱 ( ス ギ ) 土 台 ( ス ギ ) 耐 力 要 素 M-C5S5-BR-1,2,3 E110 E50 E50 筋 か い M-C7S5-BR-1,2,3 E70 E50 M-C7S7-BR-1,2,3 E70 M-C7S9-BR-1,2,3 E90 M-C9S9-BR-1,2,3 E90 E90 M-C5S5-PW-1,2,3 E50 E50 構 造 用 合 板 M-C7S5-PW-1,2,3 E70 E50 M-C7S7-PW-1,2,3 E70 M-C7S9-PW-1,2,3 E90 M-C9S9-PW-1,2,3 E90 E90 試 験 体 記 号 : M・・・機械 、 C・・・柱、S・・・土台、 BR・・・筋かい、PW・・・合板 c) 密度による区分を行った製材による検証(以下、密度区分) 軸組材の品質区分を密度とし、下表の組み合わせで試験体を構成した。

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12 表 2.3 密度制御を行った材料を用いた試験体一覧 試 験 体 番 号 梁 ( ベ イ マ ツ ) 柱 ( ス ギ ) 土 台 ( ス ギ ) 耐 力 要 素 D-B50C30S40-BR-1,2,3 500-550 300-350 400-450 筋 か い D-B50C35S40-BR-1,2,3 350-400 D-B50C40S40-BR-1,2,3 400-450 D-B50C45S40-BR-1,2,3 450-500 D-B50C40S30-BR-1,2,3 400-450 300-350 D-B50C40S35-BR-1,2,3 350-400 D-B50C40S45-BR-1,2,3 450-500 D-B45C40S40-BR-1,2,3 450-500 400-450 D-B55C40S40-BR-1,2,3 550-600 D-B50C30S40-PW-1,2,3 500-550 300-350 400-450 構 造 用 合 板 D-B50C35S40-PW-1,2,3 350-400 D-B50C40S40-PW-1,2,3 400-450 D-B50C45S40-PW-1,2,3 450-500 D-B50C40S30-PW-1,2,3 400-450 300-350 D-B50C40S35-PW-1,2,3 350-400 D-B50C40S45-PW-1,2,3 450-500 D-B45C40S40-PW-1,2,3 450-500 400-450 D-B55C40S40-PW-1,2,3 550-600 試 験 体 記 号 : D・・・密度、 B・・・梁、C・・・柱、S・・・土台 、 BR・・・筋か い、PW・・・合 板 密 度 の 単 位 : kg/m3 (3) 試験・評価法 試験・評価法は、(財)日本住宅・木材技術センターの定める「木造の耐力壁およびその倍 率性能評価業務方法書(以下、方法書)」に準拠して行った。 H1 H2 V1 V2 図 2.3 試験方法概略 (4) 試験結果 a) JAS 目視等級区分製材による検証結果 包絡線と倍率算定結果を示した。

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13 図 2.4 包絡線の比較(目視等級区分) 表 2.4 倍率算定結果(目視等級区分) Py Pu(0.2/Ds ) 2/3Pm ax P(1/120rad) E-KO1-BR 甲種1 7.2 8.6 9.1 12.6 7.2 2.0 E-KO2-BR 甲種2 7.2 6.7 9.0 11.8 6.7 1.9 E-KO3-BR 甲種3 7.5 7.1 9.4 13.0 7.1 2.0 E-OT1-BR 乙種1 7.3 5.6 8.6 11.8 5.6 1.6 E-OT2-BR 乙種2 7.5 7.1 9.4 12.3 7.1 2.0 E-OT3-BR 乙種3 6.8 5.6 8.5 11.3 5.6 1.6 E-KO1-PW 甲種1 10.8 11.4 13.7 14.9 10.8 3.0 E-KO2-PW 甲種2 9.8 10.1 12.7 13.6 9.8 2.7 E-KO3-PW 甲種3 10.4 11.0 13.5 13.8 10.4 2.9 E-OT1-PW 乙種1 10.5 13.2 13.2 14.3 10.5 2.9 E-OT2-PW 乙種2 10.7 11.7 13.9 14.5 10.7 3.0 E-OT3-PW 乙種3 10.6 14.0 13.5 14.0 10.6 3.0 合板 短期基準 せん断耐力 P0(kN) 倍率 試験体シリーズ 軸材 品質 耐力 要素 試験荷重(kN) 筋かい 注 : P0は 壁 長 1.82mあたりの 耐力 b) JAS 機械等級区分製材による検証結果 包絡線と倍率算定結果を示した。 図 2.5 包絡線の比較(機械等級区分)

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14 表 2.5 倍率算定結果(機械等級区分) 梁 柱 土台 Py Pu(0.2/Ds ) 2/3Pm ax P(1/120rad) M-C5S5-BR E50 7.7 7.8 9.8 12.3 7.7 2.2 M-C7S5-BR 8.1 6.8 9.7 12.7 6.8 1.9 M-C7S7-BR E70 7.6 7.2 9.5 12.5 7.2 2.0 M-C7S9-BR 8.1 7.9 9.9 13.0 7.9 2.2 M-C9S9-BR E90 7.9 7.4 10.1 13.2 7.4 2.1 M-C5S5-PW E50 9.1 12.2 11.2 12.2 9.1 2.6 M-C7S5-PW 9.4 11.5 12.2 12.8 9.4 2.6 M-C7S7-PW E70 10.1 11.4 13.3 14.2 10.1 2.8 M-C7S9-PW 10.1 11.5 12.8 13.7 10.1 2.8 M-C9S9-PW E90 9.9 11.0 12.7 14.2 9.9 2.8 E110 E50 E70 E90 E110 E50 E70 E90 筋かい 合板 軸材品質 試験体シリーズ 耐力 要素 試験荷重(kN) 短期基準 せん断耐力 P0(kN) 倍率 注 : P0は 壁 長 1.82mあたりの 耐力 c) 密度による区分を行った製材による検証結果 包絡線と倍率算定結果を示した。 図 2.6 包絡線の比較(密度区分)

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15 表 2.6 倍率算定結果(密度区分) 梁 柱 土台 Py Pu(0.2/Ds ) 2/3Pm ax P(1/120rad) D-B50C30S40-BR 300-350 7.0 7.1 8.8 11.5 7.0 2.0 D-B50C35S40-BR 350-400 7.4 7.8 9.1 12.0 7.4 2.1 D-B50C40S40-BR 400-450 7.1 7.5 9.4 13.0 7.1 2.0 D-B50C45S40-BR 450-500 7.2 7.0 9.3 12.6 7.0 2.0 D-B50C40S30-BR 300-350 7.1 8.3 9.0 12.3 7.1 2.0 D-B50C40S35-BR 350-400 7.8 8.8 9.6 12.7 7.8 2.2 D-B50C40S45-BR 450-500 7.9 7.6 9.4 12.3 7.6 2.1 D-B45C40S40-BR 450-500 7.5 9.1 9.5 12.7 7.5 2.1 D-B55C40S40-BR 550-600 8.3 9.3 10.3 13.2 8.3 2.3 D-B50C30S40-PW 300-350 9.9 13.2 12.5 13.1 9.9 2.8 D-B50C35S40-PW 350-400 10.1 12.4 13.1 14.3 10.1 2.8 D-B50C40S40-PW 400-450 9.9 10.2 12.5 13.2 9.9 2.8 D-B50C45S40-PW 450-500 10.2 11.2 12.8 13.2 10.2 2.9 D-B50C40S30-PW 300-350 9.8 12.1 12.6 12.8 9.8 2.7 D-B50C40S35-PW 350-400 9.8 11.6 12.7 13.4 9.8 2.7 D-B50C40S45-PW 450-500 9.8 11.3 12.3 12.9 9.8 2.7 D-B45C40S40-PW 450-500 9.5 13 12.1 13.2 9.5 2.7 D-B55C40S40-PW 550-600 9.8 12.7 12.4 13.1 9.8 2.7 500-550 400-450 筋かい 400-450 400-450 500-550 400-450 合板 400-450 400-450 試験体シリーズ 軸材密度(kg/m 3) 耐力要素 試験荷重(kN) 短期基準 せん断耐力 P0(kN) 倍率 注 : P0は 壁 長 1.82mあたりの 耐力 (5) まとめ 軸組材の品質の差異が軸組構法耐力壁の性能に及ぼす影響を検証した結果を纏めると、 以下のようになる。 1) 目視等級区分製材を用いた耐力壁の性能を検証した結果、軸組材の品質の違いによる差 は明確には見られず、筋かいや合板といった耐力要素の品質の違いや、施工のばらつき による影響の方が大きいと見受けられた。 2) 機械等級区分製材を用いた耐力壁の性能を検証した結果、筋かい耐力壁の場合には、剛 性、耐力、変形性能共に軸組材の品質による明確な差は得られなかった。合板耐力壁の 場合には、ヤング係数の低い部材を用いたシリーズで耐力が低い傾向が見られた。ヤン グ係数の高い部材の方が僅かに部材密度が高くなる傾向が見られたことから、その影響 も含まれていると考えられる。 3) 密度区分による材を用いた耐力壁の性能を検証した結果、筋かい耐力壁の場合には、最 大耐力に到達するまでの区間で僅かな差が見られた。柱と土台の密度を変化させたシリ ーズでは、いずれも最も密度の低い材を用いたシリーズが最も耐力が低くなり、筋かい 耐 力 壁 に お い て も 僅 か で は あ る が 部 材 密 度 に よ る 差 が 生 じ る と 判 断 す る こ と が 可 能 で あった。合板耐力壁の場合には、一番密度が低い軸組材を用いた試験体の剛性、耐力が 最も低くなったものの、軸組材密度と壁の性能との間に明確な相関関係は見られなかっ た。 2.2.2 軸組材及び面材料の密度が軸組構法耐力壁の性能に及ぼす影響 次に、軸組材密度の違いについて再度検証すると共に、面材料の密度の違いによる耐力 壁性能の差異についても検討を行った。 (1) 試験材料 用いた材料は、2.2.1 と同様であり、仕口の構成方法や金物の仕様、面材料の留め付け仕 様も同様である。なお、今回は筋かい耐力壁は検討対象外とした。

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16 (2) 試験体仕様 a) 軸組材の密度の差異による検証 梁、柱、土台を気乾密度で 3 つに区分して軸組材密度の影響を検証した。合板について は、全層カラマツの構造用合板とした。 表 2.7 軸組材の密度制御を行った試験体一覧 試 験 シ リ ー ズ 軸 材 の 目 標 密 度 (kg/m 3 合 板 の 単 板 構 成 ) ベ イ マ ツ ス ギ LH9 450 程 度 350 程 度 カ ラ マ ツ MH9 500 程 度 400 程 度 カ ラ マ ツ HH9 550 程 度 450 程 度 カ ラ マ ツ b) 構造用合板の密度(単板構成)の差異による検証 構造用合板の単板構成を変え、合板密度の影響を検証した。単板構成は、全層スギ、カ ラマツ-スギ複合、全層カラマツの 3 種類で、全て 3ply である。なお、カラマツ-スギ複 合合板の構成は、表板がカラマツ、中板がスギである。梁、柱、土台の品質は一定とした。 表 2.8 面材料の密度制御を行った試験体一覧 試 験 シ リ ー ズ 軸 材 の 目 標 密 度 (kg/m 3 合 板 の 単 板 構 成 ) ベ イ マ ツ ス ギ ML9 500 程 度 400 程 度 ス ギ MM9 500 程 度 400 程 度 カ ラ マ ツ - ス ギ 複 合 MH9 500 程 度 400 程 度 カ ラ マ ツ (3) 試験・評価法 2.2.1 と同様とした。 (4) 試験結果 a) 軸組材密度の差異による検証結果 各シリーズ 3 体の包絡線を図 2.7 に、倍率算定結果を表 2.9 に示した。 0.02 0.04 0.06 0.08 10 20 0 LH9-1 LH9-2 LH9-3 変形角(rad) 荷重 (k N) 0.02 0.04 0.06 0.08 10 20 0 MH9-1 MH9-2 MH9-3 変形角(rad) 荷重 (k N) 0.02 0.04 0.06 0.08 10 20 0 HH9-1 HH9-2 HH9-3 変形角(rad) 荷重 (k N) 図 2.7 包絡線の比較(軸組材密度制御) 表 2.9 倍率算定結果(軸組材密度制御) 軸材目標密度(kg/m3 面 材 構 成 ) 試 験 荷 重 (kN) P (kN/m) 0 倍 率 ベ イ マ ツ ス ギ Py 0.2Pu/Ds 2/3Pmax P(1/120) LH9 450 350 カ ラ マ ツ 9.68 15.01 12.44 13.59 5.32 2.71 MH9 500 400 カ ラ マ ツ 10.18 14.04 13.11 14.20 5.59 2.85 HH9 550 450 カ ラ マ ツ 9.88 13.47 12.29 13.32 5.43 2.77

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17 b) 面材密度の差異による検証結果 各シリーズ 3 体の包絡線を図 2.8 に、倍率算定結果を表 2.10 に示した。 0.02 0.04 0.06 0.08 10 20 0 ML9-1 ML9-2 ML9-3 変形角(rad) 荷重 (k N) 0.02 0.04 0.06 0.08 10 20 0 MM9-1 MM9-2 MM9-3 変形角(rad) 荷重 (k N) 0.02 0.04 0.06 0.08 10 20 0 MH9-1 MH9-2 MH9-3 変形角(rad) 荷重 (k N) 図 2.8 包絡線の比較(面材密度制御) 表 2.10 倍率算定結果(面材密度制御) 軸材目標密度(kg/m3 面 材 構 成 ) 試 験 荷 重 (kN) P (kN/m) 0 倍 率 ベ イ マ ツ ス ギ Py 0.2Pu/Ds 2/3Pmax P(1/120) ML9 500 400 ス ギ 8.39 9.16 11.00 11.56 4.61 2.35 MM9 500 400 カラマツ-スギ複合 8.77 10.98 11.19 12.61 4.82 2.46 MH9 500 400 カ ラ マ ツ 10.18 14.04 13.11 14.20 5.59 2.85 (5) まとめ 軸組材密度および面材密度の違いによる耐力壁性能の差異についての検討結果を纏める と、以下のようになる。 1) 軸組材の密度を変化させた場合、釘接合部の変形・破壊性状に若干異なる傾向が見られ るが、試験荷重や短期基準せん断耐力、倍率の算定を行うとその性能に明確な差は見ら れなかった。軸組材密度が高いと剛性・耐力は高くなるものの脆性的破壊の危険性が増 し、軸組材密度が低いと剛性・耐力は若干低下するが変形性能に富むため、耐力壁の性 能としては同等の評価となったものと推察される。 2) 合板の単板構成を変化させて面材密度を変化させた場合、面材密度と耐力壁の剛性・耐 力・壁倍率には概ね正の相関が見られた。密度が低い場合は、剛性や耐力が若干低くな るだけでなく、釘頭のめり込みが早期に起こってパンチングアウトしやすくなるため、 変形性能にも乏しくなることが分かった。

2.2.3 面材料の密度や厚さの差が軸組構法耐力壁の性能に及ぼす影響

これまでの試験結果等を踏まえ、低密度合板と軸組材品質の関係を追試することとした。 さらに、低密度合板の場合は合板厚さを増すことによって釘接合部の性能を担保する方法 も考えられるため、厚さ 12mm のスギ合板を用いる仕様についても検討した。 (1) 試験材料 用いた材料は、2.2.1 と同様であり、仕口の構成方法や金物の仕様、面材料の留め付け仕 様も同様である。なお、本項でも筋かい耐力壁は対象外とした。 (2) 試験体仕様 合板の密度および軸組材密度の組み合わせにより、表 2.11 のように試験体仕様を設定し た。なお、前項までに実施した仕様についても比較のために掲載している。

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18 表 2.11 面材密度および厚さの影響検証用試験体仕様一覧 仕 様 合 板 密 度 合 板 厚 さ (mm) 軸 組 材 密 度 短 期 基 準 せ ん 断 耐 力 P0 倍 率 (kN/m) 掲 載 部 分 LL9 低 (スギ ) 9 低 ML9 中 4.61 2.35 2.2.2 項 HL9 高 LL12 12 低 ML12 中 HL12 高 MM9 中 (カラマツ-スギ複合) 9 中 4.82 2.46 2.2.2 項 LH9 高 (カラ マツ) 低 5.32 2.71 2.2.2 項 MH9 中 5.59 2.85 2.2.2 項 HH9 高 5.43 2.77 2.2.2 項 MH7.5 7.5 中 5.43 2.77 2.2.1 項 (3) 試験・評価法 2.2.1 と同様とした。 (4) 試験結果 各シリーズ 3 体の包絡線を図 2.9 に、倍率算定結果を表 2.12 に示した。また、倍率算定 に関わる特性値以外の代表的な特性値についても表 2.13 に纏めた。 表 2.12 倍率算定結果(面材密度及び厚さ検証用) 軸材目標密度(kg/m3 面 材 構 成 ) 試 験 荷 重 (kN) P (kN/m) 0 倍 率 ベ イ マ ツ ス ギ Py 0.2Pu/Ds 2/3Pmax P(1/120) LL9 450 350 ス ギ 8.26 11.27 10.23 11.06 4.54 2.32 ML9 500 400 8.39 9.16 11.00 11.56 4.61 2.35 HL9 550 450 8.35 9.37 10.60 11.99 4.59 2.34 LL12 450 350 9.02 13.05 12.04 11.32 4.96 2.53 ML12 500 400 8.76 13.10 12.18 12.16 4.81 2.46 HL12 550 450 9.23 13.85 12.27 12.70 5.07 2.59 MM9 500 400 カラマツ-スギ複合 8.77 10.98 11.19 12.61 4.82 2.46 LH9 450 350 カ ラ マ ツ 9.68 15.01 12.44 13.59 5.32 2.71 MH9 500 400 10.18 14.04 13.11 14.20 5.59 2.85 HH9 550 450 9.88 13.47 12.29 13.32 5.43 2.77 MH7.5 500 400 9.88 12.02 12.51 13.45 5.43 2.77 表 2.13 主な試験特性値の平均値(面材密度及び厚さ検証用) 軸材目標密度(kg/m3 面 材 構 成 ) Pmax (kN) K (kN/rad) Energy (kN・rad) μ ベ イ マ ツ ス ギ LL9 450 350 ス ギ 15.73 2095 0.774 8.06 ML9 500 400 16.67 2264 0.493 5.63 HL9 550 450 16.02 2584 0.442 6.07 LL12 450 350 18.07 2138 1.001 8.52 ML12 500 400 18.48 2702 0.816 8.55 HL12 550 450 18.89 2814 0.895 9.21 MM9 500 400 カラマツ-スギ複合 17.29 2451 0.694 7.08 LH9 450 350 カ ラ マ ツ 19.03 2979 0.980 9.81 MH9 500 400 20.21 3030 0.864 8.25 HH9 550 450 19.25 2899 0.860 8.34 MH7.5 500 400 19.74 2517 0.754 6.79

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19 0.02 0.04 0.06 0.08 10 20 0 LL9-1 LL9-2 LL9-3 変形角(rad) 荷重 (k N) 0.02 0.04 0.06 0.08 10 20 0 ML9-1 ML9-2 ML9-3 変形角(rad) 荷重 (k N) 0.02 0.04 0.06 0.08 10 20 0 HL9-1 HL9-2 HL9-3 変形角(rad) 荷重 (k N) 0.02 0.04 0.06 0.08 10 20 0 LL12-1 LL12-2 LL12-3 変形角(rad) 荷重 (k N) 0.02 0.04 0.06 0.08 10 20 0 ML12-1 ML12-2 ML12-3 変形角(rad) 荷重 (k N) 0.02 0.04 0.06 0.08 10 20 0 HL12-1 HL12-2 HL12-3 変形角(rad) 荷重 (k N) 0.02 0.04 0.06 0.08 10 20 0 LH9-1 LH9-2 LH9-3 変形角(rad) 荷重 (k N) 0.02 0.04 0.06 0.08 10 20 0 MH9-1 MH9-2 MH9-3 変形角(rad) 荷重 (k N) 0.02 0.04 0.06 0.08 10 20 0 HH9-1 HH9-2 HH9-3 変形角(rad) 荷重 (k N) 0.02 0.04 0.06 0.08 10 20 0 MM9-1 MM9-2 MM9-3 変形角(rad) 荷重 (k N) 0.02 0.04 0.06 0.08 10 20 0 MH7.5-1 MH7.5-2 MH7.5-3 変形角(rad) 荷重 (k N) 図 2.9 包絡線の比較(面材密度及び厚さ検証用) (5) まとめ 低密度合板を用いた場合、および合板厚さを変えた場合の耐力壁性能の差異についての 検討結果を纏めると、以下のようになる。 ・面材密度が高いものを使用すると、初期剛性や降伏耐力、終局耐力等の耐力値だけでな く、塑性率等の変形性能も上昇する傾向がある。 ・面材密度が低いものを使用すると、軸組材密度との関係で変形性能に大きな差が出る。 軸組材密度が低いと、釘頭のめり込み、釘の変形、軸組材からの釘の引き抜けのバラン スが良くなり、1/20rad 程度まで変形が進むとパンチングアウト等の破壊が生じるが、軸 組材密度が高い場合は、軸組材からの釘の引き抜けが起こりにくくなるため、早期にパ

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20 ンチングアウトしやすくなり、耐力壁全体としての変形性能は落ちる。 ・軸組材の密度が高くなると、耐力は若干上がる傾向にあるが、軸組材密度が高くなると、 面材密度との関係で変形性能やエネルギー吸収性能が落ちる場合がある。 ・面材厚さを増すことによって、耐力、剛性共に上昇し、変形も粘り強くなる傾向がある。 ・例えば LL9 と HL9 の包絡線と倍率評価結果およびその他の特性値を比べると、現行評 価法では HL9 の方が僅かに高い性能になるが、塑性率やエネルギー吸収性能では明らか に LL9 の方が優れている。今後、終局までを考慮した設計法を検討していく際には、こ のような評価法の問題点を改善していく必要があるだろう。

2.3 H25 年度の検討方法

前年度までの検討では、耐力壁の軸組材 、面材の品質についての検討を実施してきた。 今年度は筋かい材の品質についての検討を行う。 (1) 試験材料 試験体の概要を図 2.10 に示した。寸法は幅 910mm 高さ約 2700mm とし、軸組材は強度 性能のばらつきを抑えるため集成材を用いた。試験体に用いた材料の一覧を表 2.14 に示し た。筋かい材は製材、LVL、集成材から 5 種類を選択した。 図 2.10 試験体の概要

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21 表 2.14 試験体に用いた材料 部 位 仕 様 土 台 対 称 異 等 級 構 成 集 成 材 E105-F300 柱 同 一 等 級 構 成 集 成 材 E95-F300 梁 対 称 異 等 級 構 成 集 成 材 E105-F300 間 柱 同 一 等 級 構 成 集 成 材 E95-F315 筋 か い 金 物 2 倍 筋 か い 金 物 (2) 試験体仕様 筋かいの種類により、表 2.15 に示した試験体水準を設定した。試験体数は各水準 3 体と した。筋かいは各仕様 5~6 本準備し、縦振動ヤング係数が平均値に近いもの 3 本を試験体 として用いた。試験体の選別結果を表 2.16 に示した。 表 2.15 試験体水準 試 験 体 名 筋 か い 軸 組 材 試 験 体 数 試 験 体 S す ぎ KD 材 E70 集 成 材 3 試 験 体 B べ い ま つ KD 材 E110 集 成 材 3 試 験 体 L べ い ま つ LVL 90E 集 成 材 3 試 験 体 G お う し ゅ う あ か ま つ 同 一 等 級 構 成 集 成 材 E95-F315 集 成 材 3 試 験 体 T べ い つ が KD 材 無等級 集 成 材 3 表 2.16 筋かい材の選別結果 長さ 樹種 重量 含水ave 比重 周波数[Hz] ヤング 選別 90 45 3035 ベイマツ 7.06 12.0 15.0 16.0 14.33 0.57 800.00 13.54 ○ 90 45 3030 ベイマツ 6.76 8.5 11.0 10.5 10.00 0.55 872.00 15.38 ○ 90 45 3043 ベイマツ 6.18 6.5 13.0 11.0 10.17 0.50 829.00 12.76 × 90 45 3040 ベイマツ 6.38 13.0 13.0 13.5 13.17 0.52 829.00 13.16 × 90 45 3030 ベイマツ 7.34 16.5 16.0 14.0 15.50 0.60 925.30 18.81 × 90 45 3035 ベイマツ 7.40 15.0 12.5 14.5 14.00 0.60 800.00 14.20 ○ 90 45 2987 オウシュウ 5.90 9.0 8.5 9.5 9.00 0.49 802.00 11.20 ○ 90 45 2987 オウシュウ 6.86 13.5 13.5 14.5 13.83 0.57 802.00 13.02 × 90 45 2987 オウシュウ 6.26 12.5 9.0 7.0 9.50 0.52 799.00 11.79 ○ 90 45 2987 オウシュウ 6.90 12.0 15.0 13.5 13.50 0.57 808.00 13.29 × 90 45 2987 オウシュウ 6.28 13.0 9.0 10.0 10.67 0.52 818.00 12.40 ○ 90 45 2987 オウシュウ 5.90 8.0 7.0 6.5 7.17 0.49 792.70 10.94 × 90 45 3050 スギ 6.32 19.5 18.0 15.5 17.67 0.51 633.90 7.65 ○ 90 45 3050 スギ 5.14 15.5 19.5 19.0 18.00 0.42 735.00 8.36 ○ 90 45 3050 スギ 6.10 23.5 18.0 19.0 20.17 0.49 674.90 8.37 ○ 90 45 3050 スギ 4.96 20.0 20.5 23.5 21.33 0.40 757.00 8.56 × 90 45 3050 スギ 5.82 25.5 29.5 16.5 23.83 0.47 621.10 6.76 × 90 45 3050 スギ 5.26 23.5 24.5 13.0 20.33 0.43 650.00 6.69 × 90 45 3055 ベイツガ 7.06 18.5 14.5 16.0 16.33 0.57 761.70 12.36 ○ 90 45 3055 ベイツガ 5.52 9.0 11.0 16.0 12.00 0.45 732.80 8.94 × 90 45 3055 ベイツガ 6.14 12.0 14.0 11.0 12.33 0.50 769.80 10.98 ○ 90 45 3055 ベイツガ 5.70 10.5 11.5 11.0 11.00 0.46 800.00 11.01 ○ 90 45 3055 ベイツガ 5.64 11.0 11.5 12.0 11.50 0.46 777.00 10.27 × 90 45 3030 LVL 6.98 10.0 9.5 7.5 9.00 0.57 800.00 13.37 ○ 90 45 3030 LVL 7.00 8.5 9.5 7.0 8.33 0.57 800.00 13.41 × 90 45 3030 LVL 6.70 8.5 7.5 7.5 7.83 0.55 780.00 12.20 ○ 90 45 3030 LVL 6.62 11.0 7.0 7.5 8.50 0.54 768.00 11.68 × 90 45 3030 LVL 6.74 7.0 8.0 9.5 8.17 0.55 777.00 12.18 ○ 断面 含水

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22 (3) 試験・評価法 試験・評価法は、(財)日本住宅・木材技術センターの定める「木造の耐力壁およびその倍 率性能評価業務方法書(以下、方法書)」に準拠して行った。筋かいの品質による違いを明 確にするため、繰り返しスケジュール終了後は、筋かいが圧縮で破壊する方向で壊すこと とした。 2.4 結果と考察 (1) 試験結果 倍率算定結果を表 2.17 に示した。また、倍率算定に関わる特性値以外の代表的な特性値 についても表 2.18 に纏めた。図 2.11 に筋かいの縦振動ヤング係数とせん断試験結果の特 性値の関係を示した。各シリーズ 3 体の包絡線を図 2.12 に、写真 2.1~2.5 に各試験体の代 表的な破壊形態を示した。 表 2.17 倍率算定結果(筋かいの種類検証用) Py Pu(0.2/Ds) 2/3 Pmax P(1/120 rad.) S-1 3.67 4.51 4.71 5.79 S-2 3.78 3.35 4.94 5.88 S-3 3.56 4.98 4.64 5.39 平均 Ave. 3.67 4.28 4.76 5.69 変動係数 CV 0.030 0.196 0.033 0.046 Ave. ×(1-CV・k) 3.62 3.88 4.69 5.56 B-1 4.79 5.55 6.24 7.34 B-2 5.29 3.68 5.95 6.82 B-3 4.38 5.79 5.46 5.92 平均 Ave. 4.82 5.01 5.88 6.69 変動係数 CV 0.095 0.231 0.067 0.107 Ave. ×(1-CV・k) 4.61 4.46 5.70 6.35 L-1 4.50 5.01 5.69 7.16 L-2 4.32 3.37 5.23 6.19 L-3 5.88 3.39 5.56 6.23 平均 Ave. 4.90 3.92 5.49 6.53 変動係数 CV 0.174 0.240 0.043 0.084 Ave. ×(1-CV・k) 4.50 3.48 5.38 6.27 G-1 5.23 5.34 6.05 7.21 G-2 4.02 5.22 5.39 6.42 G-3 4.06 4.43 5.10 6.18 平均 Ave. 4.44 5.00 5.51 6.60 変動係数 CV 0.155 0.099 0.088 0.082 Ave. ×(1-CV・k) 4.11 4.76 5.28 6.35 T-1 4.26 5.09 5.59 6.41 T-2 4.08 3.66 5.56 6.50 T-3 4.44 3.53 5.59 5.93 平均 Ave. 4.26 4.09 5.58 6.28 変動係数 CV 0.042 0.211 0.003 0.049 Ave. ×(1-CV・k) 4.18 3.69 5.57 6.14 1.93 2.28 2.05 LVL べいまつ90E おうしゅうあかまつ 同一等級集成材E95-F315 べいつがKD 無等級材 4.90 3.82 4.52 4.05 筋かい種類 試験体名 すぎKD E70 べいまつKD E110 2.01 2.48 試験荷重 (kN) 短期基準せ ん断耐力P0 (kN/m) P0/1.98 3.98

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23 表 2.18 主な試験特性値の平均値(筋かいの種類検証用) 筋かい種類 試験体名 ヤング係数 (GPa) Pmax (kN) Pu (kN) 初期剛性 (kN/rad.) Ds S-1 7.65 7.11 6.46 857 0.29 S-2 8.36 7.40 6.62 838 0.39 S-3 8.37 6.96 6.77 746 0.26 平均 Ave. 8.13 7.16 6.62 814 0.31 変動係数 CV 0.051 0.031 0.024 0.073 0.232 B-1 13.54 9.37 8.54 1087 0.31 B-2 15.38 8.92 7.91 929 0.43 B-3 14.2 8.19 7.83 858 0.26 平均 Ave. 14.37 8.83 8.09 958 0.33 変動係数 CV 0.065 0.067 0.048 0.122 0.267 L-1 13.37 8.53 7.97 1142 0.32 L-2 12.2 7.85 6.97 839 0.41 L-3 12.18 8.34 7.81 751 0.46 平均 Ave. 12.58 8.24 7.58 911 0.40 変動係数 CV 0.054 0.043 0.071 0.225 0.180 G-1 11.2 9.07 8.21 992 0.31 G-2 11.79 8.09 7.47 980 0.29 G-3 12.4 7.65 7.28 910 0.33 平均 Ave. 11.80 8.27 7.65 961 0.31 変動係数 CV 0.051 0.088 0.064 0.046 0.069 T-1 12.36 8.38 7.61 958 0.30 T-2 10.98 8.34 7.50 949 0.41 T-3 12.36 8.38 7.71 786 0.43 平均 Ave. 11.90 8.37 7.60 897 0.38 変動係数 CV 0.067 0.003 0.014 0.108 0.187 おうしゅうあかまつ 同一等級集成材E110-F345 べいつがKD 無等級材 べいまつKD E110 LVL べいまつ90E すぎKD E70 5 6 7 8 9 10 0 5 10 15 20 最大荷重 ( k N) ヤング係数 (GPa) すぎE90 べいまつE110 LVL90E 集成材E95 べいつが無等級 600 700 800 900 1000 1100 1200 0 5 10 15 20 初期剛性( k N /r ad .) ヤング係数 (GPa) すぎE70 べいまつE110 LVL90E 集成材E95 べいつが無等級 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0 5 10 15 20 Ds ヤング係数 (GPa) すぎE70 べいまつE110 LVL90E 集成材E95 べいつが無等級 図 2.11 筋かいのヤング係数と特性値の関係 (a) ヤング係数と最大荷重の関係 (b) ヤング係数と初期剛性の関係 (c) ヤング係数と Ds の関係

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24 0 2 4 6 8 10 0 10 20 30 40 50 60 荷重 ( kN ) 変形角 ( ×10-3 rad. ) G-1 G-2 G-3 0 2 4 6 8 10 0 10 20 30 40 50 60 荷重 ( kN ) 変形角 ( ×10-3 rad. ) S-1 S-2 S-3 0 2 4 6 8 10 0 10 20 30 40 50 60 荷重 ( kN ) 変形角 ( ×10-3 rad. ) L-1 L-2 L-3 0 2 4 6 8 10 0 10 20 30 40 50 60 荷重 ( kN ) 変形角 ( ×10-3 rad. ) T-1 T-2 T-3 0 2 4 6 8 10 0 10 20 30 40 50 60 荷重 ( kN ) 変形角 ( ×10-3 rad. ) B-1 B-2 B-3 図 2.12 包絡線の比較(筋かい材の種類検証用) すぎ製材 E90 べいまつ製材 E110 LVL 90E 集成材 E95 べいつが製材無等級

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25 写真 2.1 試験体 S(すぎ E90)の破壊形態 写真 2.2 試験体 B(べいまつ E110)の破壊形態 写真 2.3 試験体 L(LVL90E)の破壊形態

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26 写真 2.4 試験体 G(集成材 E95)の破壊形態 写真 2.5 試験体 T(べいつが無等級)の破壊形態 (2) まとめ 筋 か い の 種 類 を 変 え た 場 合 の 耐 力 壁 の 面 内 せ ん 断 性 能 の 差 異 に つ い て の 検 討 結 果 を 纏 めると、以下のようになる。 ・短期基準せん断耐力は、べいまつ製材 E110>集成材 E95>べいつが製材無等級>すぎ製 材 E90>LVL 90E の順となった。 ・筋かいの種類により、短期基準せん断耐力の差は大きく、壁倍率換算にして 1.93~2.48 まで 0.5 倍以上のばらつきがあった。 ・筋かいのヤング係数と耐力壁の最大荷重の関係には正の相関があった。 ・すぎ製材 E90 は他の筋かいの種類に比べ、最大耐力は低い結果となった。他の筋かいの 種類では最大耐力、終局耐力に大きな差は無かったが、変形性能の差が短期基準せん断 耐力の差に影響した。

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27 2.5 事業を通して得られた結論と今後の課題 木造長期優良住宅の構造性能を担保するために必要な、軸組構法耐力壁に使用する部材 の品質にについて、様々な検討を行ってきた結果を総括すると、以下のようになる。 (1) 筋 かい 耐力壁 、合 板耐力 壁と もに、 軸組 材の品 質( 構造用 製材 の日本 農林 規格で 規 定 される等級、あるいは材料密度)の差は、耐力壁の性能に大きな影響は及ぼさない。た だし、本実験で検討したのは限定的な樹種のみであり、それ以外の樹種も含めた場合に は異なる結果となる可能性があることには注意を要する。 (2) 一 方、 筋かい 耐力 壁に用 いる 筋かい 、お よび合 板耐 力壁に 用い る合板 につ いては 、 部 材の品質によって耐力壁の性能が異なる。筋かいについては、同一断面の筋かいを用い ても、その材料の種類(製材、集成材、LVL)や品質(ヤング係数、強度)等によって 耐力壁の面内せん断性能は大きく異なる。合板耐力壁についても、合板の樹種や単板構 成、密度、厚さ等の差によって耐力壁の面内せん断性能は大きく異なる。 (3) 軸組構法耐力壁の壁倍率は、建築基準法施行令第 46 条(令 46 条)および昭和 56 年建 設省告示第 1100 号(建告 1100 号)で定められているが、使用する木材の強度等級や材 料密度、あるいは面材料の単板構成といった品質の違いにより、想定する耐力壁の面内 せん断性能を満たさない可能性があることが示唆された。ただし、本研究で実施した試 験は、建告 1100 号第 1 の十二に定められた「国土交通大臣がこれらと同等以上の耐力 を有すると認める軸組」を認定する際に用いる試験・評価方法であり、令 46 条および 建告 1100 号を定めた当時の試験・評価法とは異なる手法である点には注意を要する。 (4) 本課題の検討 結果 を基に して 、木造 長期 優良住 宅の 構造性 能を 担保す るた めに必 要 な 材料の品質基準を設定する事は困難であるが、材料の品質の違いと木造住宅の構造性能 に関する要求性能との関係はまだまだ検討が不足している部分であり、今後も継続的に データを取得していくことが必要と思われる。

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