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Microsoft Word BIMによる設備と意匠の連携レポート

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Academic year: 2021

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BIMによる設備と意匠の連携レポート 株式会社Arch 5 東尾 勝則 1.はじめに 昨今のコンピュータの進化に伴い、建築設計におけ るCAD ソフトも、単に作図ドラフタの代わりからよ り高度な設計ツールへと変わった。当社(株)Arc h5は意匠設計の立場で設立当初より設備会社や建築 資材メーカその他と共同でこの BIM による設計連携 に取り組んでいる。そして設計の段階で、お互いの意 思疎通についてもスムーズな連携ができるかを模索し てきた。 このことについては他社においても同様の取り組み をされていると思うが当社での事例を紹介する。 第1図 (株)Arch5 の BIM ネットワーク 2.BIM による設計の特徴

BIM 対応と呼ばれる CAD ソフト(以下、BIM ソ フト)は多々ある。そのなかでも当社の場合、設備BIM ソフトについてはシェア1番のダイテックの Tfas と 現段階でBIMへの対応に優れていると思われるNYK システムズのRebroというBIMソフトの2つを用い、 意匠 BIM ソフトについてはグラフィソフトの ArchiCAD を用いて、互いの連携方法や効率的な業務 の進め方を模索している。 BIM ソフトによる設計は高さを設定し平面的に作 図すれば、別途3D モデリングソフトを使わずとも立 体的に意匠と設備の関係を確認することができる。専 門知識と図面理解を苦手とする施主や、熟練の低い設 計者等にとっても一目で物の形状や意匠と設備の取り 合いを理解できるという大きな利点はある。BIM によ る設計といえば単純に『設計図面の3D 化』と思いが ちであるが、着目すべきところはそれだけではない。 それ以前までの設計と BIM による設計との大きな 違いは、 1)これまで独自に作成し管理していた情報の一元化 2)スムーズな意思疎通 3)入力済情報の新たな活用法 といったことであろう。それにより企画~設計~現場 までの一ライン一系統設計を可能にする。そのことに ついて、もう少し次に詳細を記載する。 1)これまで独自に作成し管理していた情報の一元化 BIM という概念以前のCAD ソフトは単に手書き図 面がそのまま単純に電子化したもので、2D(または一 部 3D)の線を描くことに特化されたものだった。確 かに製図板を使い、手書きで描くことを思えば遙かに 手早く図面を描くことができる。だがそこから一歩進 んだものがBIM ソフトである。それは線と面の集合 体(以下 、オブジェクト等)に建築的な要素(柱・梁・ 床等)として属性をに持たせ、さらにそのオブジェク ト等の中に材料名や品番等の任意情報も持たせること ができるといったものである。それらの情報は作図と 同時に載せることができる。またこれらの情報はその 内容や数量をリスト化できる為、例えばこの品番の部 材がどのくらいどこにあるかなどを瞬時に確認するこ ともできる。そして別途新たにそのようなシステムと 作らずともそのままこのBIM ソフトによるデータを 活用できるのである。 BIM ソフトで作成された建物モデルデータは他の BIM ソフトでも読めるように IFC ファイルで保存す ることができる。IFC ファイルを読み書きできるソフ トであれば、使うBIM ソフトが変わってもこのデー タを開くことができる。 このオブジェクトについて、当社ではプログラミン グから入力して実用的に使えるようにする為の選任プ ログラマをスタッフの中に組み入れている。BIM ソフ トにあるデフォルトのオブジェクトのままでは対応で きていない形状や情報を与えられるよう、オリジナル のオブジェクトを作成している。この取り組みはある 程度の試行段階を終え、実際にメーカーからの依頼に 応え、オブジェクト作成や効率的なプログラムの組み 方等のアドバイスを行っている。 また、当社で使用しているArchiCAD にはチームワー ク機能というものがある。これはどのようなものかと いうと、従来は一つのファイルは一人でしか加工する ことができなかった。しかし、このチームワーク機能

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は複数の人が同時に同じデータを加工することができ るというものである。また、インターネットが使用で きる環境があれば遠隔地からも当社サーバ(BIM 専用 サーバ)にアクセスでき、進行途中のプロジェクトデ ータを社外でも確認したり、修正・加筆することもで きる。例えばBIM 専用サーバのある社内だけでなく、 社外の工事現場などでもWi-Fi などのインターネット 環境を利用し、最新の物件データを取り出して確認す ることもできる。また、個々に加工していたデータを 最後に合成するという手間もなくなり、誤ったデータ を合成するというトラブルも無くなる。 2)スムーズな意思疎通 スムーズな意思伝達の方法として、1)でも触れた チームワーク機能が有効にはたらく。このチームワー ク機能とは複数の人が同時に同じデータを加工できる というものだが、自分が加工したい箇所を「確保」し、 他の人が加工できないようにロックがかかる仕組みに なっている。これにより、複数の人が同じ箇所を同時 に加工できないようになっている。これまで作業を行 うスタッフが増えた分だけお互いの作業箇所の調整が 煩雑であった。そしてメインスタッフがその調整に追 われてしまい、本来すべき作業ができないという事が しばしばあった。しかし、この機能により、そのよう なことから解放され、社内のスタッフ間や社外の各担 当者とのデータのやり取りをスムーズに進めることが できる。 また当社では、チームワーク機能と合わせSkype(テ レビ電話ソフト)を利用して遠隔地のパートナー事務 所とも設計作業を行っている。このSkype は相手の顔 を見ながら会話できるのはもちろんであるが、こちら で見ているコンピュータの画面をそのまま相手にも見 せることができる。これにより遠隔地のスタッフとも リアルタイムにこちらの意図を伝えることができる。 昨今のインターネットネット回線の高速化により音声 の方は普通の電話と遜色無く、画像についても十分に 見ることができるレベルである。業務において積極的 に使用している。 第2図 BIM ソフトで入力した平面図とその3D 第3図 スイッチの位置関係を3D で確認 3)入力済情報の新たな活用法 BIM により作られた図面等のデータは竣工後建物 管理を行っていく上で大いに役立つ。既存建物におい ても立体的理解の助けとなる。例えば改修工事の際に はどこに新たな配管やダクトを通すことができるかを 天井や床を取り外さなくとも、納まりを確認し、改修 計画することができる。またその建物に係わる情報が 集約されている為、例えば見たいダクト等の部材を選 択すればその部材についての型番や工事時期等の情報 をすぐに確認でき、改修の際にはどの製品を発注する 必要があるかをすぐに調べることができる。探すのが 大変な大きな青図を引っ張り出す手間が省けるのであ る。 また大きな企業になると会社が所有している備品を 管理することも容易ではない。だが建物のBIM デー タに什器・備品オブジェクトを配置することによりそ れらの管理も容易になる 。建物の部材データ同様これ らもリスト化され、今現在建物のどこにその備品があ るかも容易に検索でき、また購入時期やその個数、型 番等もオブジェクトに情報として持たせればその管理 は容易になる。今後、建物を管理していく施主にも広 くBIM データが後の建物管理に役立つものと理解さ れれば、設計依頼の際にBIM よる設計にて設計図書 を作成することが条件として付される機会が増えるも のと思われる。

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3.設備と意匠との連携について 意匠のBIM ソフトと設備のBIM ソフトとの連携に ついて今現在は意匠ソフトからは IFC ファイルにし て設備ソフトに送り、設備ソフトからは同じくIFC フ ァイルまたは Be-brige 形式にしてデータを受け取っ ている。しかし、互いに入力したデータの一部を読み 取れなかったり、変換に時間がかかったりと課題は 多々ある。しかし意匠・設備データ等、互いのデータ を合成させることにより干渉チェックが視覚的にでき る等、そのメリットは大きい。またIFC ファイルで受 け取った場合には、互いのソフトで入力したデータの 内容についても受け取ることができる。よって互いに 使い慣れているソフトでその情報を確認し管理するこ ともできる。 当社では実際の業務を行うにあたり、設備担当の会 社には当社で使用している ArchiCAD も使用して頂 いている。ArchiCAD のチームワーク機能にて設備デ ータをBIM 専用サーバにアップし、意匠と設備の合 成図をArchiCAD にて作成している。BIM 専用サー バのデータは常にプロジェクトに係わる各担当者がア クセスすることができるようにし、意匠と設備との食 い違いなどについても ArchiCAD 上で互いに確認す ることができる。 ところで ArchiCAD 上でも設備の入力ができない わけではない。しかし設備専用ソフトと比べればその 性能ははるかに劣る。一つのソフトですべての図面が 入力できるのが理想ではある。しかし現実的にはその ようなソフトを望むよりは、いかに互いのソフト間を スムーズにデータ交換できるようにするかが重要あろ う。 私としては今後BIM ソフト共通のチームワークワ ーク機能ができ、互いが作成したデータを使いなれて いるソフト上で確認できるようになればと思っている。 第4図 設備BIM ソフト(Rebro)での入力 第5図 意匠BIM ソフト(ArchiCAD)で表示 4.BIM による設計と積算 当社の取り組みの中でもう一つ特徴的なのは、設計 事務所としてBIM データと積算の連携に取り組んで いることであろう。当社には積算事務所出身の積算担 当者がおり、スムーズに数量積算ができる入力方法や、 各部材数量の集計方法についての取りまとめを行って いる。BIM ソフトで入力した部材やオブジェクト等は 入力されたまま正確に自動で数量出しすることができ る。当たり前であるが、入力されていないものについ てはが数量出しすることができない。コンクリートや 鉄骨などの主要なものについては意匠設計者や構造設 計者が必ず入力する為、そのままのデータで数量出し することができる。しかし、細々した雑モノ(巾木や 廻り縁など)の数量を正確に数量出しする場合にどこ まで入力するかということが問題になる。データ容量 や入力の手間を考えた場合、本当に入力する必要があ るのかよく考える必要がある。設計の段階を理解し、 積算の為だけに正確に入力せずとも数量は拾える程度 のラフな入力に止めることもテクニックである。あら かじめ各設計段階でどこまで入力するかをルール化し、 統括化すべきであろう。

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第6図 設計の流れに伴う数量積算の精度 第7図 BIM データからの数量拾い出し 5.BIM マニュアルの重要性 2010 年 10 月に、ArchiCAD を開発・販売している グラフィソフト本社(ハンガリー・ブダペスト)のユ ーザーミーティングに参加した。そこでヨーロッパに て BIM ソフトを用いて設計を行っている建築家の 方々の話を聞く機会を得た。 その中で話題になったことは意匠や設備、または構 造などの担当者がBIM を使って連携してプロジェク トに当たるに際し、互いに入力した膨大な情報の管理 について、誰がどこまで責任を負うかということであ る。BIM 専用サーバにアップされた各担当者が作図し たデータは別の担当者も加工することが可能である。 例えば構造担当者が入力した柱位置を意匠担当者が他 との取り合いがうまくいかないということで動かして しまうことも可能である。この事実を構造担当者が知 らずに構造計算書の内容と食い違いが出た場合、誰が その責任を負うかということである。これまでであれ ば自らが発行した図面に対してだけ責任を持てばよい と言い切ることもできた。しかし、このようなチーム ワーク機能により一つのBIM モデルを複数の担当者 が作図していくことで誰がどこを修正したかが分から なくなる可能性がある。そして互いの責任の所在が曖 昧になる可能性もある。よって BIM で設計していく 際にはこのような責任の所在と範囲をプロジェクト開 始前に明確にしておく必要がある。問題を起さないよ うBIM マニュアルにて、おのおのの責任範囲や互い が担当する箇所を加工できないようにロックをすると か、変更する場合の互いに同意を取る方法等を定める などの想定されるシーンでの対応方法を定めることが 各ユーザーのノウハウとして重要である。ヨーロッパ の建築家の話では、使用するBIM マニュアルは各プ ロジェクトに見合った内容のものをプロジェクトを始 める前に準備しているという。ヨーロッパでは意匠設 計者と設備等各専門家との下請け的な関係は少なく、 BIM ソフトは各専門家をパートナーシップとして効 率的に意志疎通をはかり、ミスの少ない設計ツールと して、必須のものとなりつつある。 6.BIM による設計を取り巻く今後の課題 BIM による設計データはこれまでの2次元CAD と 比較して情報量が圧倒的に多い。コンピュータの進歩 に伴い、ある程度大容量のデータも扱えるようになっ た。しかし、大規模なプロジェクトになるに従い、デ ータ量の減量化を意識しなければならない。またソフ トメーカーには互いのソフトへのデータ変換(IFC フ ァイル変換等)のスピードアップをはかって頂きたい。 BIM は設計の効率を上げるためのツールである。し かし、その環境の整備が十分ではないということで効 率なんて上がらないのではないかと心配している設計 事務所も多いのではないか。しかし、取り組みを始め なければいつまで経っても効率はあがらず、ミスも減 らない。ソフトの開発がもっと進んでから導入すれば いいのではという声もよく聞かれるが、ユーザー側の カスタム化と独自の環境づくりにより効率的になると ころが大きい。 進化したソフトを後から導入しても、 すぐに効率は上がらない。 パソコン能力の向上とソフトの改善により 2~3 年 後にはごくごく普通の設計方法となっているであろう。 気が付いた時にはBIM 環境やネットワークに入りづ らず、何も出来なくなってしまう可能性もある。 BIM ソフトが優れた設計ツールであるのは、意匠・

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構造・設備・ランドスケープ等の各専門家が早い段階 でパートナーシップの一員となれることである。今後、 設計のリスクと責任の割合がますます高まるが、独自 のノウハウを持った専門家組織で質の高い建築を作る ことは、クライアントからさらに求められることにな ると考えている。 【筆者紹介】 東尾 勝則 (株)Arch 5 BIM マネージャー 〒101-0021 東京都千代田区外神田 2-4-1 ビルディングササゲWest 6F TEL:03-6206-0615 FAX:03-6206-0625 E-Mail:[email protected] 〈主なる業務歴及び資格〉 一級建築士 株式会社 Arch 5 〈代表者〉 代表取締役 小俣 光一 〈本社所在地〉 〒101-0021 東京都千代田区外神田 2-4-1 ビルディングササゲWest 6F TEL:03-6206-0615 FAX:03-6206-0625 URL:http://www.arch5.jp

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