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「合同会社(日本版LLC)の活用に向けた提言 -リスクマネー供給と新産業創出の促進を目的とした「新型LLC」の検討-』

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Academic year: 2021

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(1)

合同会社(日本版LLC)にパススルー税制を

-リスクマネー供給と新産業創出の促進を目

的とした「新型LLC」の検討-

ジャパン・タックス・インスティチュート (2014年3月19日) 中央大学法科大学院教授 森信茂樹

(2)

日本版LLC導入経緯と残された課題

• 企業価値が人的資本に移る中で、米国LLC

のような事業体を導入してわが国経済の活

性化をはかる。

・ベンチャーによる新産業の創出、新規事業の 育成 ・専門的職業に就く人材による活用 ・投資ファンドの受け皿(出資対象として) ・共同研究開発や戦略的合弁事業

• そこで2006年合同会社(日本版LLC)の創設、

しかし法人課税

• あわせて日本版LLPが導入

(3)

民法組合の特例として有限責任事業組合制度 を創設。 1.LLPの出資者全員に有限責任制を付与 2.貢献に応じた自由な損益の配分 民法組合と同様に、才能やノウハウを持つ中小 企業や個人を高く評価することが可能に。 3.LLPに対する構成員課税の適用 民法組合と同様に、LLP段階では課税せず、 組合員(構成員)に直接課税する仕組みを 適用する。 ○新規創業の促進 ○創造的な連携共同事業の促進 ・ 中小企業同士の新規事業連携 ・ ベンチャーと大企業の連携 ・ 産学連携 ・ ITや金融の専門人材による共同事業 ・ 大企業同士の共同研究開発 海外では、創業を促し、事業者や 専門人材が連携して行う共同事 業(ジョイントベンチャーなど)を振 興するため、LLPやLLCという新 しい事業体制度を整備。 ◆事業体の3つの特徴 【有限責任】 出資者が出資額までしか責任を負 わない。 【内部自治原則】 出資者が自ら経営を行い、 利益や損失の配分などを 自由に決めることができる。 【構成員課税】 出資者(構成員)に直接課税され るので、法人課税と配当課税の 二重課税を回避できる。 [米国のLLC(有限責任会社)] ここ10年間で80万誕生。 IBM・インテルなどの共同研究、 金融産業、IT産業などで活用。 [英国のLLP(有限責任組合)] 2000年創設、1万を超える。 KPMGなど会計・法律事務所、 デザイン、IT産業などで活用。 現 状 課 題 対 応 共同研究開発LLP B社 構成員課税 課税なし 課税 A社 【有限責任】 出資者が出資額までしか責任を負 わない。 【内部自治原則】 出資者が自ら経営を行い、 利益や損失の配分などを 自由に決めることができる。 【構成員課税】 出資者(構成員)に直接課税され るので、法人課税と配当課税の 二重課税を回避できる。 我が国には、この3つの特徴 を兼ね備えた事業体は存在し ない。 ◆共同事業の際の一長一短 [株式会社] ・出資者は有限責任。 しかし、 ・1株1票原則で、 取締役などの設置が強制、 ・法人課税と配当課税の 二重課税となる。 [民法組合] ・出資額の多寡に拘わらず 利益や損失を出資者の貢献 に応じて自由に配分。 ・構成員課税で二重課税回避。 しかし、 ・出資者は全員が無限責任。 10 <経産省資料より>

(4)

有限責任事業組合(日本版LLP)と合同会社(日本版LLC)との比較 有限責任事業組合 (日本版LLP) 合同会社 (日本版LLC) (参考)株式会社 法人格 なし あり あり 出資者の責任 有限 有限 有限 設立時の必要人数 2人以上 1人以上 1人以上 設立費用 (最低限の法定費用) 登録免許税6万円 登録免許税6万円、 定款印紙4万円 登録免許税15万円、定款印紙4 万円、定款認証費用5万円 課税方法 組合課税(パススルー税制) 法人課税 法人課税 機関設計 契約により自由に設計可 契約により自由に設計可 制約あり 利益分配 契約により自由に設計可 契約により自由に設計可 出資比率 株式会社への変更 不可 可 - 米国 LLC あり 有限 組合課 税 契約に より自 由

(5)

日本版LLCの活用事例

1、外資系企業の日本法人のLLC

・合同会社西友とウォルマート

・日本アムウエイ合同会社とアムウエイ

2、太陽光発電事業の事業主体

3、グループ会社

4、ジョイント・ベンチャー

・合同会社マイアース・プロジェクト{大学生と

DNP)

(6)

株式会社 合同会社 (日本版 LLC) 有限責任 事業組合 (日本版 LLP) 民法組合 匿名組合 (参考) 米国 LLC 出資者の 有限責任 ○ ○ ○ × ○ ○ 機関設 計・損益 分配の自 由性 × ○ ○ ○ ○ ○ 法人格 × × × 組合課税 (パスス ルー税 制) × × ○ ○ ○ ○

事業体と法制・税制

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期待外れの日本型LLC ーパススルー税制の付与を • パススルー税制が付与されれば・・ 1、柔軟な利益の分配ができるので、インセンティブの付与が可能。 2、事業体段階では課税されないので、二重課税が生じず、ファン ド事業などは投資効率が高まる。 2、直接構成員(出資者)に課税されるので、損失が生じた場合、構 成員は、他の所得と合算して損益通算ができので、投資家の リスクテイク能力を高める。 • このような事業体をベンチャー事業や構造改革のた めの共同事業、さらには農業・漁業の活性化に活用 できれば、アベノミクスの経済成長戦略として有益な ツールとなる。

(8)

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リスクテークとキャピタルゲイン課税

・投資家と国家がリスクをシェアする税制とは・・

・シャウプ勧告前文(昭和24年)

「重要な部分は、譲渡所得を全額課税し、譲渡

損失を全額控除することである。」

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0

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漁業LLCのアイデア

• 大手食品流通企業が資金や漁船を現物出資 • 漁協は漁業権を現物出資 • 漁師は労務出資 • 皆が社員(共同経営者)となる、果実の分配は、基 本的に持ち分に応じて利益配分するが、漁師には 一定の基本給を保証する • 損失が出ても、大手企業が損益通算できる(リスクテ イクができる) • このスキームはTPP対応の農業強化にも活用でき る。

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大企業A社 スピン オフ 毎期損益の 配賦 新規事業 ベンチャー起業 (B合同会社) 新型LLCを利用したベンチャー支援のイメージ 新 規 事 業 ①税制適格新設分割等で社内の新規事業をスピ ンオフ、B合同会社を設立 ②B社の損益を(一定期間)出資割合に応じて A社に配賦

(11)

4-1.事業再編を促進するための税制措置の創設(法人税・法人住民税・事業税) ○グローバル競争で勝ち抜く企業の創出、新事業の拡大を後押しするため、事業の切り出し・統合を行 う企業に対して、出融資額の7割を限度として損失準備金を積み立て、損金算入できる制度を創設。 ○我が国産業の過当競争・過剰供給構造を解消し、収益力の飛躍的な向上に向けた取組を後押し。 新設 統合会社 C社 【事業会社A】 【事業会社B】 事業分離 出融資 事業分離 出融資 産業競争力強化法(案)の計画認定 ~海外市場の獲得(グローバル展開)や 新事業の創出を目指す計画を認定~ <損失準備金制度の創設> 出資会社は統合会社に行っ た出融資額の一定割合(7 0%)を、準備金として積立 て、損金算入する 準備金の積立期間は10年間。統合 会社が3期連続営業黒字の場合、積 立てた準備金を最大5年間に亘って 均等に取崩し 統合会社の収益が安 定せず10年経過した 場合、5年間に亘って 準備金を均等に取崩し 統合会社の解散等の場 合、準備金を一括取り崩 し  平成28年度末までの3年間の措置。産業競争力強化法(案)の施行日から適用。 11

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税制上の課題

• 組合税制の構築 現在わが国の税法に組合税制の規定はない。4本 の通達があるだけ。分配(distribution、組合から組 合員に現実にキャッシュが移動すること)と配賦 ( allocation、組合員の所得税の計算上組合所得 が割り当てられること)の概念を分離させ、所得の 構成員への帰属のルールを確立すること。 • 利益などの自由な配分が、租税回避につながらな いようなルールが必要(経済実質テスト)。 • 納税者が選択できる「チェック・ザ・ボックス」ルール は租税回避を招くので導入すべきではない。 • さらに、組合を通じて得られた所得の区分(所得分 類)に関するルールを明確化することが必要。 • これらは、税制の大作業になる可能性あり。

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現実的な対応

• 産業政策の一環として、産業競争力強化法に新型 LLCを位置づけて、組合課税(パススルー税制)に ふさわしい要件を定める。 • 具体的には、租税回避発生の可能性を小さくするた め、労務出資は認めつつ出資比率と異なる分配は 認めない、出資人数や持分譲渡を制限する、計算 は現行の純額方式に統一する、構成員に所得が直 接帰属することを契約上明記するなどの工夫。 • なお、合同会社(日本版LLC)について、税法で「適 格合同会社」として組合課税(パススルー税制)にふ さわしい場合の要件を設けることも考えられるが、 同じ事業体の中での2つの税制を設けることは課題 も多い。

参照

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