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4枚カード問題における課題素材効果と視点教示の効果

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(1)

The aPanese  JeUt

nat σノAsychonomic  Scie” ‘e

1991

VoL  3

 No

1

21

29

4

カ ー

問 題

け る

課 題 素 材 効

視 点 教

効果

1)

小 谷津 孝明

・伊

昌 子

・松

真 幸

2)

慶 応義塾 大 学

The

 

Effects

 of 

The

atic

 

Materials

 

and

 of 

Viewpoint

in

 

the

 

Wason

s 

Four

 

Card

 

Problem

Takaaki

 

KoYAzu

, 

Masako

 

ITQH

 and  

Masayuki

 

MATsuDA

Keio

 

6

堀耀 7s卿

 

Four

 experiments  were  performed  on  the so

called  

Wason

,s 

four

 card  selection   task

 

In

tlle 

nrst

 experiment

 effects  of 

following

 four variables  upon  selection  performances  were

investjgated:marks  of cards letters of alphabet  and  number

 or pictures of person boy or

girl>aDd  

his

her

 cap

 sides top and  

bottom

 or upper

−half

 and  

lower−half

 with  or with

out  context

  and  types of instruct孟on a 伍 rmative  or negative

  The   results   of ANOVA

showed  that fa皿 iliar task situations fa皿 iliar cardS  and  fa皿

iliar

 context

1

)rought  about high solving  performance

 

In

 the second  experiment

 types of questioning were  at 

issue.

Saying

 which  card sshould  

be

 turned  over a)to  see whether   each  card  follows the

rule

 

for

 example 一

Odd

 number  is printed on the bottom of vowel  alphabet

bto see whether  the rt1王e 

is

 correct  or not  

P

 The performance  was  better under athan b>ques

tioning

  BQth of above  experiments  were  perfor皿 ed with  undergrad 岨 te students  as sub

jects

 wllereas  the third and  the 

last

 experi ents  were  

done

 with  only elementary  school

children  which  aimed  to examine  whether  they could  solve the task if it was  constructed

from some  ordinary  and  

famillar

 events

 The  effect  of viewpoint  instruction was  also  tested

It was  observed  that lower grade children  had di缶 culties  in understanding  the task itself

and  that the viewpoint  jnstruction did not make  any  improvement  in performance

Keywords :reasoning

 selection  task

 the 皿 atic

materlals  effect

 

domain

 specificity

 viewpoint

   information deficiency

 association  

de

丘ciency

 人 聞の演繹的 推論をっ た 研究に 4枚カ

ド閙題があ る (Wason

1968;

Wason

Johnson−

Laird

,1970

これは

ifpthenq

とい う形 式 論 理 構 造 を もつ 問 題 解 決 事 態で

例え ば毎 音

子 音

偶 数

奇 数 (

A ,

D

4

7)の書かれた 4枚の カ

ドを 呈示し

これ らの カ

ド はすべて

方の面に は アル ファ ベ ッ ト

他方の面に は数 字が書い て あり ます

“ もしカ

ドの

方の面が母 1) 本 研 究は 昭 和56 年 度 科 学 研 究費補 助 金 (

般 研究   B

課 題 番 号

545018

)の 助 成を受 けた研 究の

部であ   る

2)  本研 究の 験 3

・4

の遂行にあ た り御 協 力 頂いた

 慶応義塾幼稚舎な ら びに田辺 則 彦 氏 同舎教 諭に深 く感   謝い た し ま

音な ら ば

他方の面は奇 数であ る” とい う命 題が 正 しい か どうか調べたい とする と

どの カ

ドをめ くっ てみ な け ればな らない で しょう

” とい う質 問 を 与 える

  正 答は p と

q

の カ

ドを選ぶ こ とであるが

大 学 生で も 3

9% (128 名中5 名) 程 度の正答率で

P とqない しは Pのみの選 択 が多く

,q

の 選 択は極め て少な か っ た とい う (

Johnson

Laird

Wason ,1977

 

,Was

。n &

Shapiro

1971

Johnson

−Laird

et aL

1972

は, 論 理 構 造はその ま ま で も課 題 内 容を

具 体 的にすると正 答 率 が 飛 躍 的に高 くなるこ とを 見い出

し た

これは課 題 素 材 効 果と呼ばれて い るが

,一

口 に課

題 内容の具 体 性とい っ て も

課 題 項 目が具 体 的であるこ

(2)

22 基 礎 心 理 学 研 究 第 3 巻 第 1号

が 具体 的であるこ と (例

,一

行 くと ぎに は

に乗

っ てい く)と は区 別され ね ば な ら ない

Bracewell &

Hidi (

1974

は 具体的関 係が

 

Gilhooly

& Falcone「

1974

>は具体的 項 目がよ り課 題 素 材 効 果を も た らすとい

 その 後

Johnson

Laird &

Wason

1977

)は

課 題 と 被 験 者の過 去経験との相 互 作 用 を 重 要 視し た

, 課 題がその被験者に とっ て身 近 な 文 脈の中で構 成 されて いれぽ被 験者 は そ れ を 自己の経 験 領 域に容 易に位置づけ る こと がで き

結果と し て十 分に解 決の た め の推 論 能 力 を発揮 するこ とができると考 える

 こ の よ うな考え方は異 文 化 間の 比 較 研 究な どで注目 さ れて い る領 域 固 有 性の問題と関わ る

す な わち,

般に は こ の種の理課題で 未 開 人は文 明人よ りか な り低い成 績 を示 すが

そ れ は 推論 能 力の差とい うよ り も その課 題 の領 域 が 未 開 人に 固有 な生 活 経験領域に対 応しな い た め

課題 その もの の 理解 と課 題を解く ため の動 機 が もた らされ ない か ら)とい う (cf

 Cole & Scribner

,1974

  一

課題解決を容 易にする の は視 点の投 入である と 考える ものがある

例 えぽ佐 伯 (1980)は

Johnson

Laird et al

1972)が

便局 員に なっ たつ もりで

と い う教示 を与え るこ とに よっ て高い成績を得たこ とを 引 用し,

形 式 的問題を解く鍵は

被 験 者が視点 を う ま く もて る か否か にか か っ てい る

視 点 を もつ とい うこ と は

問題 場 面に 関わ りのある人 物の 身に なっ て

その立 場 か ら眺め ること だ ” と述べ

具 体 的状 況 を 設 定 し

その中の人 物の合目的 的な活 動 を 想 定さぜ るこ と が で きれ ば

小 学 生で も演 繹 的 推 論 課 題を容 易に解くこと が できる

とい う

し か し な が ら

そこ で は被 験 者が関 わ りのある人 物の身に なっ て み ているとい う意 味で視 点 を もっ た とい う保 証が必ずしも ない

むし ろ

“ 開 題 領 域を被 験者の経 験 領 域に位 置づ ること が できれば

小 学 生で も推 論 課 題が解けるこ とを 示 した” とい っ た方 が よい か と思わ れ る

.一

大 学 生を被 験者と して直 接 視 点の効 果 を 調べ た

ヒ野 (

1982

)は

課 題 場 面を具 体 的に して も

視 点 教示 を与える群 と与え ないで は 正答 率が 大き く異な る ことか ら

命 題の身 近さや 具 体 性は

そ れ だ けで は 妥 当な論理的推 論を生み出 すの に何 ら力 を もっ て い ない

とみ なし

視 点をもつ こ との重 要 性 を 主 張し た

そ こ で本 論 文で は実 験 1

2 におい て

大 学生で も 解くこ と が困 難であっ た

Wason

(1968)o)課 題 状 況と 小 学 生で も解けた とい う佐伯 (

1980

)の そ れ との相違点 を 明 示 し

そ れ らの成 績 向 上に対 する有 効 偉を大 学生に つ い て調べ ると ともに

教 示 表 現の仕方に よ る影響の大 きさ (Manktelow & Evans

,1979

)を予 想し

その吟 昧 検 討 を行 な う

 次に実 験 3

4 で は

問 題を経 験 領 域に位 置づけ や す くする よ う な課 題 状 況 を設 定 す れぽ, 真に 小 学生 で も論 理的推論課題が解ける かど うかを 調べ

さ らに小学生に とっ て視 点をもたせ ることが有効であるか どうかを 検 討 する

実   験  1 Wason (1968)と 佐 伯 (

1980

)の 課題 状 況は以 下の 4 つ の相 違 点をもっ

1

絮 材 の 内 容的 側面: 記 号

絵  

if p then q

P

q

相 当 す項 目が 抽 象 的 な 記 号でる か具体的な絵である か (cf

 

Gilhooly

& Fai

coner

1974)

2.

素 材の形 式 的 側 面:

 pPqq がカ

ドの 衰 裏Icあら わ されて い る か 上下に

あら わ さ れ て い る か (cf

 Wason &

Johnson−

Laird

1970

3

課 題 場 面 設 定の有無  課 題だけが与え ら れて い る か命 題 (ル

ル)の出 現が 自然に なるよ うな 具体的場面が設定さ れ てい る か

4

課 題 遂 行 教 示: 肯定 形

否 定 形

 

調べ るべ き 内容 を 「命 題が正しい か否か」と肯定 的に 表 現し たもの と 「先 生の言いつ け をっ て こな かっ た 子 がいる か も し れま せ ん」 と否 定 的に表 現したもの

 これ らの相 違 点の うち前の

2

つは課題索 材に 関 係し, 後の

2

つは課 題 教 示に 関 係 する

 

本 実験で は

上記の相違 点 を 成 績に影 響 す る 要 因 と考 え

4

要 因2水 準の組 合せ に よっ てできる

16

条件の うち, 教 示 文 が不自然 となる

4

条件を除い て以下に述べ る

12

条 件を吟 味する (

Table

 1

 a

1)

Table 1

 Percent correct  responses  under  various  conditions  

iII

 

Experiment

 1

    表 肯定 形 裏 否 定 形     上 肯 定 形 下 否定形 記 号  場 面 設 定 なし          場面 設 定 あり   絵      場 面 設 定 な し        場 面 設定あ り a

3L8

c 50

0 9 (55

0) 1 (81

8)

d

38.

5) 」 (81

3) b (34

5

)    

e 47

1

)   f (63

2

h

 (55

2

)      

k

88.

9

)  

1

81.0

(3)

小 谷 津

伊東

松田 :

4

ド間題に おける課 題 素 材 効 果と視 点 教 示の効 果 23 方 法   被 験 者; こ の 種の問題に 接した経 験の ない 大 学 生 延べ

275

」:記の 各条件に対し

17〜32

名が割 り当て ら れ た

  刺 激:課 題 素 材に関 わる前 述の要 因

1 ・

2 を 考 慮し て Fig

1 に示 す4組の刺 激カ

ドを 作 製した

 教示:各 組の刺激カ

ドに対して前 述の要 因

3 ・4

を 考 慮し てられた全12条 件の教 示 文を以 下に示 す

条 件 別の 指 定 記 号は

Table

 

1

参 照

   条 件 a

b

: 「こ こに あ るカ

ド は み な

表 (条 件   b で は下)に は ア ル フ ァ ベ ッ ト

(上)に は数 字 が  書かれてい るものとし ま す

上の 4枚の カ

ドに  つ い て 『母音の カ

ドの は奇 数である』とい う命題  が正 しいか 否 か を 調べ い とす る と

どの カ

ドをめ   く ら な け れ ばな ら ない で し ょ う」  条 件 e c): あ る 日

に アル フ ァ ベ ッ トが 書い て あるカ

ドを何 種 類か渡し

裏(上の 段) に数 字を書い て も らい まし た

その

『母音の カ

ドの裏 (上の段 )に は 必ず 奇 数を書い て きて く だ さい』 と言い ま し た

この 4は提 出された カ

ドの中か ら 持っ て きた も の です

この 4枚の カ

ドの う ちで

そ の 言い っ けを ち ゃ ん と守っ て い る か ど う か を調べ るた め に はどの カ

ドを調べ れ ばで し う」   条 件 d (f): 条件 c (e)の教 示文で 「こ の 4枚の カ

…・

」の

文のみ次の よ うに な る

「この

4

の カ

ド の うち で, その 需いっ けを守っ て こ な かっ た ものがある か も知 れ ま せん

どの カ

ドだ と 思い ますか

」  条 件 9 (

h

): 「予 供た ち は み な

赤い幄 子か青い帽 子を か ぶ っ て きて いま す

ドの表 (下の段)に は 子 供

裹 (

ヒの段)に はその 子のか ぶ っ て きて い る帽 子 が書い て あ ります

今 『女の 子は 赤い帽 子 をか ぶ っ て きて い る 』 とい う命 題 が 正 しいか 否 か を 調ぺ て み た い と し ます

その た めに は どの カ

ドを 調べ な くては な ら な い で しょ う」  条 件

i

k

):「こ の 学校の 生 徒は み な

赤い帽 于か 青い帽 子 をか ぶ っ て きて い ます

こ の カ

ドの表 (下) に は子供

裏 (上)に は か ぶ っ て きて い る帽子 が書い てある もの と し ます

さ て

こ の学校の先 生が 『遠足 の 日 に は 女 の 子 は 必ず赤い帽 fを か ぶ っ て き な さ い』 と言い ま し た

遠足の当 日 こ の4人の うち で先 生の言 い つ けを ち ゃ ん と守っ て い る か ど うか を 調べ た めに は どの 子を調べば よい で し ょ う」   素   材 内 容   形 式 記号 絵 錣

1

) 上 ド(

2

) 艱

3

上 ド

(4 )

刺   激  力 ド

圍回固固

冒冒

鬥巴

Fig

1

 Stimulus cards  used  in present

       experiments

   条 件

j

1

): 条 件 i (k )の教示文で 「遠足 の 当日    

」以 下の

文のみ 次の よ うにな る

  「遠 足の 当日

こ の

4

人の うちで 先 生の 言い っ けを守   っ て こなか っ た子 がい る か もしれ ませ ん

どの子 だ と   思い ますか」  ま た

全 教示文の最 後に共 通し て   「め くる枚 数は何 枚で もか まいま せ んが, 自分で最 低   限これは (これ ら)は必要と思う ものを選ん で下さい

」 とい う

文 を 加 えた

  以 上の教示文に よ る と各 組の刺 激カ

ドは

p

P ・

q

q

を】

枚 ずつ 含 むこ とに なる

例 えぽ Fig

.1

(1)で いえ ば

左か ら順に p

・P ・q ・

q となる

  手 続:実 験個 別 ないし集 団で行 なっ た

被 験 者は刺 激カ

ドと教 示 文が書かれた問 題 用 紙 を 与 え ら れた の ち

「問 題を よく読ん で解 答 する よ うに」 と教 示された

さ らに解 答を終え た時に

「なぜ その (そ れらの)カ

ド を 選んだの か, その理[

h

を 記入する よ うに」 と求め られ た

反応に対 する制 限 時 間は特に指 定し なか っ たが

10〜15

分で終了 し た

結果と考察  条 件別の 正答率を

Table

 

1

に示す

これに よ れば

4

つ の 要 因の うち素 材 を 具 体 的に し たり

課 題 場 面 を 設 定 し た りす るこ と は 成 績の向上に対 して効 果 を もっ てい る ようであるが, そ れ 以 外に は は っ き り した傾 向がみ られ ない

これを確認 する た め に分 散 分 析 を 行 なっ た

本 実 験で は 4要 因 16条 件の うち4条 件 を行 なわ なか っ た の で

3要 因ずつ 2回に分 けて分 析 を行 なっ た

 まず

素 材の 内 容

素 材の 形 式

課 題 場 面 設 定の 3要 囚をとりあ げた分 析で は

主効 果 として素材の内 容と課

(4)

24

基 礎 心 理 学 研 究 第

3

巻 第

1

号 題場面 設定に意 差が み ら れた が (各々, F (1

169)

16

53

,P

く0

1

;F(1

169)

9

98

 

P

<0

 1

素 材の形 式に よ る 差 は なか っ た (∬(1

169)

O

07

p

>0

50)

ま た, すぺ ての交互作用に有 意 差は みられ なかっ た (索 材 内容×素 材

F (1

169

O

58;素 材 内 容×場 面 設 定

F 1

169= 1

05素 材X設 定

  F1

169

O

OO;

3

次の交互作 用, F (1

169)

O

19

いず れ も

P

50)

次に素 材の内 容

素 材の形 式

課 題 遂 行 教 示の 3要 因を と りあげた分 析で は

素 材 内 容の主効 果の みが 有 意であ り (F(

1,

169

24.

32,P

Ol

そ れ 以 外の主 効 果とすべ て の交 互作用に は有 意 差がなか っ た (素 材形 式, F (1

169>= 1

11;課 題 遂 行教示, F(1

169)= O

02; 素 材 内 容X 素 材 形 式, F (1

169)

29;素 材 内 容×課 題 遂行教示

,F

1,

169

)=

0.

23

素 材×課題 遂 行 教示

F

1,

169

0.

54

,3

の交互作用

,F

1,

169

)=

1.

66

, い ず れ も

P

>0

50

これ らの析から も 成 績の向上 をも た らすの は

素 材を具 体 的にするこ と と課 題 場面 を設定 する ことの 二 点である といえ る

 素材の形式 的 側面に意 差がめ ら れ ない とい うこ と は, p 

r

コ qq の位畳を カ

ドの片 而に限 定し て 素 材の 認 知 負 荷を減 少さ せ てもそれ が成績の向上にはつ な が らな い こと を示し て い る

また

課 題 遂行 教示の仕 方に つ い て は, 従来の研究で は反 証 例 (q) を 選 択 する者が極め て少ない こ と か ら反 証例 を考 慮の対 象にする ことが 困難

である と考えられて来た (

Johnson

−Laird

Wason 、

1977)

.一

否定的な表現に よ る教示 は そ れ を容 易に し

成 績を高め る可 能 性があるが

本 実 験で は肯 定的 な 表 現に よ る教 示 との有 意 差は みら れ なか っ た

これは今 回 用いた否 定 的 教 示 文で は

q

を 考 慮の対 象にさせ る こと がで きな かっ た た め なの か た と え被験者 が

q

を考慮し て もそ れ を 正 反応に結びつ け る推 論が できな かっ た た め なの か 明らか でない

  次に誤 答の タ イプを 分 析し た

正しい カ

ドの

方 (

P

あ るい は

q

)を含めて選 択し た者の比率を Table 2 に示 す

こ こで は有意差が検 出さ れ なか っ た素 材 形 式と 課題遂行教示の 要 因は区 別せず

素材 内 容 と課 題 場 面 設

Tabte

 

2.

 

Contents

 of wrong  selection  in

  Experiment  1relative  frequencies )

場 面 設 定 なし    場 面 設 定 あ り   p   

q

        p   

q

定の 2要 因にめて集 計し た

なおすべ て の カ

ドを選 んだ者は

論 理 的 思考に よる 反 応の 枠 外と して こ の分 析 から除 外した

素 材

が絵で場 面 設 定 あ りの 条 件を除く

3

条 件で は

ル の反 証 例

q

を 選 択 する比 率は立 証 例P の そ れより極めて低 くなっ てお り 従 来の研 究と

致す

る傾 向に あ る (

Johnson

Laird & Wason11977

これ

に反し て

素 材が絵で場 面 設 定 ありの条 件で は両 者の関 係が逆 転し

,q

を選 択 する比率が高く なっ て いる

これ より素材の具 体 性 と教 示に よ る課 題 場 面 設 定 が反 証 的 解 答を思いつ か せ る とい う意 味に お い て枢め て効 果 的であ るこ と が わ か る

 誤 答に お ける ヵ

ド選 択理 由は, (1)教示内容の解釈 に基づ く もの, 例:「こ の命 題は 『奇 数の表が 母音 で あ る 』 を含んで いない

した がっ て母 音の裏を確認 する だ けで よい

」(2) 教 示 内 容 以 外の知 識に基づくもの

例: 「問題が簡単なのでえ る人はい ない (条

f

(3) 上記以外の もの 例 :「な ん と な く」分類で き た

1

> の場合は さ らに

ifpthenq

とい うル

ルの解釈の あ り方 とカ

ド事 例i

c対 する 言及の程 度に よっ て以 下の よ うに区 別 でぎる

P と

q ,

あるい は

4

枚 すぺ の カ

ドを選 択し た場合に は

「逆 も真で ある」と い っ た ル

ル 琶)誤 解 釈を示 す 理 由が 多 くみ られた

正 答の

方 (P あるいは

q

)の みを 選 択し た場 合は

上 述の ような誤 解 釈を含ん で は いないが

ル の義 的 解 釈に と ど まっ た た め か

自分の選んだカ

ド に言 及して い るだけであ る

P と

q

を 正し く選んだ上に他の カ

ドも加 えた場 合 には

ル の 正 しい解 釈に加えて 「ル

ル にあっ てい るこ と を確 認する た め」と い う理由が述べ ら れ てい る

こ のこ とか らル

ル の正し い解 釈の他に 自分の解 釈を確 認 する プ P セス の存 在が示 唆される

(2)と (3)の理由 は論 理 的 思 考の枠 外の もの で

こ れは課 題 を題 意:こそっ て と ら え るこ と が できず

思考方 向 が定ま ら な かっ た 結 果と思 わ れる

 ところで

本実験で は教示表現が

場 面 設 定な しの条 件で はル

ル の 真偽を問 う形であるのに

場 面 設 定 あり の条件で はカ

ド事例 がル

ル に従っ てい る か ど うかを 間 うような形になっ てい る

そのた め, 成績の差が場 面 設 定の要 因に よ るものか

教 示 表 現の要 因に よ るものか 定かでない

こ の点を次の 実 験で検 討 する

記   号

88

 

21

  n

22

50

 

21   n = 42 絵

91

 

18

 n =

22

38

 

56

 n = 16 実    験  

2

 ル

ル の真 偽を問う形の教 示 文とカ

ド事例がル

ル に従っ てい る か ど う か を聞う形の教 示 文 を と りあげ

両 者の を以下の よ う な方法で 検討 する

(5)

小 谷津

伊東

松田 :4 枚カ

ド闇題に おける課 題素材効果 と視点教示の効 果 25 方 法   被 験 者 ; こ の種の問 題に接し た経 験の ない大 学 生 延べ 44 名

2つ の条 件に 各々 21 名

23 名が割り当て ら れた

  刺激 :Fig

1 に 示 さ れ た刺 激

1

4

 教示 :場 面 設定なしの 条件で カ

ド事例がル

ルに っ てい る か どうか を問 う形の 示文は, 前 記条 件a の 下 線 部を次の ように変更するこ と で作 成し た

   「今

『母 音の カ

ドの裏に は必 ず 奇数 が あ る』 とい   う 命 題 が あ ります

上 の

4

枚の カ

ドがこ の 命 題に従   っ て い る か どう かを 調べ るために は どの カ

ド をめ く  

て み なげればな らない で し ょ う」  また, 場 面 設 定 あ りの条 件でル

ル の真 偽を闇 う形の 教 示 文は

箭 記 条 件kの教 示 文 を 基に して 次の よ うな も の と し た

  「こ の学校の生 徒はだ れで も

2

っ の帽

r

をもっ て い ま  す

ひ とつ は赤い帽 子で

も P)ひ とつ はい 帽 子です

  今日 は遠 足で み んな帽子 をか ぶっ て きて い ま す

あ る  先生 が 『今日

女 の子は赤い を か ぶ っ て きて い  る』といい ま し た

こ の生の言 葉が 正しい か ど うか  を調べ る た めに は どの 子を 調べ ば よ い で し ょ う」

Table 3

 Percent correct  responses  under

  vurbus  collditions  in Experimcllt 2

ル の 真偽  カ

ドの 正誤 を 間 う教示   を 問 う教示 記 号   場 面設 定なし      場面 設定あり 絵   場 面 設 定 なし      場 面 設 定 あり 31

8† 55

 2

61.9

39

150

0† 88

9†  上記の

2

つ の教示文の 最後に共 通して 「め くる枚 数は 何枚で もか まい ま せ ん が

自分で最低限これは (これ ら は)必要と思 う ものを選ん で ください」 とい う

文 を 加 えた

  手 続:団で実 験を行っ た 以外は前 実験 と 同 じ

結 果と考 察  ル

ル の真 偽を問う教 示 条 件とカ

ド事 例がル

ル に 従っ てい る か どう かを 問う教 示 条 件の正 答 率 を TabLe 3 に 示す

課 題 場 面 設 定の 条 件 別に z2 検 定を行なっ た結 果

い ずれの 場 合も二 つ の教 示 条 件の 問に有 意 差がみ ら れ なか っ た (場 面 設定な し ブ;

27

P

50

場 面 設 定 あり Z2

2

42

 

p

10

した がっ て実 験

1

で み ら れ た 課 題 場面設 定の効果を教示表 現の仕方に よ る もの とする こ とは できない

逆に教示条 件 別に場 面設定の有無の効 果を 正答 率か らみ て み ると

素 材が記 号の場合で 31

8 % †Results of Experiment  

1.

か ら50

0%へ

55

2

%か ら

88.

9

% へ か なり高 くなっ て お り

場 面 設定の効果は 明 ら かである

し か し場 面 設 定 ありの 条 件で は

例がル

ル に 従っ てい る か ど うか を 問 う教示条 件の正答は ル

ル の 真 偽を 間 う教 示 条 件よ り もかな り高く なっ て お り

サ ン プ ルが少ないこ と を考 慮し て有 意水準を 25% に とる と 両 者の差ぽ有 意 となる

こ の こと か ら教示表現の重要性 も 否 定 し 難い ところ が あ る よ うに思わ れる

 そこ で

教 示 表 現の効 果をカ

ド選択理由か ら検 討す る

まず 正 答 者の選 択理由は次の 二 つ に分 類できる

    (1)ル

し て いる事 柄につ い て述べ   もの

   例:「女の 子は 赤い帽 子 をか ぶ っ て くる 必要 が あ る  がY 男の 子は 赤であろ うと 肖

で あ ろ う と か ま わ ない

 だ か ら女の の カ

ド と青い子 を 調べ ば よ い     (

2

)各カ

ドに つ い て選択

非 選択の 理 由を述べ た   もの

   例:「(赤い帽 子のカ

ド〉 男で も女 で もい い か らめ   くら な くて よい

(男の子の カ

ド)どち らの色の帽子  をか ぶ っ て もい い か ら あ くら な くて よい

(女の子の

 

赤い 帽 子でな くて はい な い か らめ くる

青  い帽 子の カ

t

ド)女 の 「

i

だ と いけないか らめ く る 」  上 記 理 由の 頻 度 を 条 件 別に Table 41こま と め た

場 面設 定の有に か か わ らず

ル の真 偽を 間 う 教 示 条 件の下では (

D

の 理 由 が 大 部 分である の に対し て, カ

ド事 例がル

ルに従っ てい る かを 問 う教 示 条 件の下では (2>の 理由が多くなっ て い る

これ よ り, 教示 表現は 課 題 解 決のため の思考を方向づける傾 向 が ある と考 え ら れ

Table 4

Number  of cases classified with  regard  to reasons

for

 correct  responses  in Experil皿ent  

2.

ル の真 偽を問 う教示 カ

ドのを間う教示 ル

ル に直 接 関 係 各カ

ドの選 択

ある事柄のみ報 告 非 選 択 理 由を報 告 ル

ルに直 接 関係 各カ

ド の選 択

ある柄の み報 告

 

非 選 択理 由 を報 告 場面設定な し

7

/7 0/7

4

9

5/9 場 面 設 定 あ り 10/13

2

13

5

33

28

33

(6)

26 る

実    験   3 基 礎 心 理 学 研 究 第

3

巻 第

1

号  前 述の よ うに

を具 体 的にする ことや課 題 場 面を 設 定 するこ とは課 題 解 決に とっ て有効で あ る とい う結 論 が得られた

そのため

た と え解答 者 (被 験 者 )がまだ 形式 論理的 操 作 能 力を十 分に は発達させ て い ない小 学 生 であっ ても課 題を具 体 的に し た り

課 題場面を設定する こ とに よっ て正 答でぎる可 能 性が 予想さ れ る

方 法  実 験1の条 件 k

1 とほぼ同じ課 題で実験を行な う

 被 験 者: こ の の問題に接し た経 験のない慶 応 幼 稚 舎 の

2

年 生

20

6生 20名

  刺激:Fig

1 (4) , 

Fig.2

に示す

2

組の カ

ドを 用い た

 手続:女の子 も男の子 も赤との帽 子を持っ てい るこ とを 教 示し た後

色 違い の帽 子を かぶ っ てい る男の子二 人の カ

ドを見せ

「男の子は青い (赤い )帽 子」 とい っ た ら ど ち らか 正し い かを尋ね ることに よっ て 被 験 者が 質 問 を 理 解して い るこ と を確か め る準備実験を 行 な っ た

その 以 下の示 を行なっ た

   「こ の学校の生が こ いい ま し た

『み な さん

あ  した 女の 子は赤い1[f9子 をか ぶ っ てきて くだ さい』」

Fig.

 

1

1

)をみ せ な が ら

「こ の絵の 子 供た ち も次の 日囎 子  をかぶ っ て き まし た

(子 供を指し な が ら) 男の子 と 女  の子は 帽子 がか くれて い ます

だか らか ぶ っ てい る帽  子の色が 赤なの か青 なのか わ か らない の

f’

を指  し な が ら)帽子 だけみえて い る子は 顔がか くれて い て  男の子か女の子か わ か らない の」 その後は課題遂行教示 の種 類に よっ て分か れる

  課 題 遂 行 教 示が肯 定 形の場 合: 赤 青 青 勇

Fig

2.

 

Sti

皿 ulus  cards  used  in Experiment  

3

       and  

Experiment

 4

   「先 生の 『女の 子 は赤い帽

f

をか ぶ っ て ぎて くだ さ  い』 とい うiiい っ けを

み ん な が守っ て い る か どう か  調べ る ため 菅こは

どの 子を調べば よい で し ょ う」  課 題 遂 行 教示 が否 定 形の場 合:    「こ の 4人の 先 生『女子 は 赤い帽 子 をか ぶ  つ て きて く だ さい』 とい う言いっ け守っ て こな か っ  て子がい る か もし れ ま せ ん ね

そ うい う ア がい る とし  た ら誰だ と 思いますか」

 

被験者がカ

ドを選んだ後

その 理由を尋ねる

最後 に Fig

2 をみせ て

   「こ の中で 先 生の 『女の

f−

ex赤い帽 子 をか ぶ っ て き  て くだ さい とい う 言いつ を守っ てい ない 子は誰で  すか

 こ の教示 は被験者が先 生の 言い つ けの意 味を正し く理 解し てい るか どうか を確 認 する た めの もの で あ る

 

実 験 中の言 語 反 応はすべ てテ

プに収録した

また実 験ぽ すべ て個別に行ない

所 要 時 間は

あ た り約10分 であっ た

結 果と考 察  課 題 遂 行 教 示につ い て は

肯 定 形と否 定 形の間で結 果 に差が み ら れ な かっ たの で 両者を ま とめ て分 析し た

 この 課題で は と青い 帽 子 (p

q

の選 択 が 正 答 と なるが

正答率は

2

・6

年とも ]5

0% (20 名 中

3

名)と な り

両学 年で差は なか っ た

 

選択は実験

1

と同 様

1

) 論 理 型

教示内 容にそっ た もの

例: 「先 生は 赤い 帽 子といっ たか ら青 い帽 子を調べ る」

「男は どっ ちでもい い か ら女の子だけ 調べ る」

(2) 非 論理型

教示内容 以 外の 知 識の基づく もの

例: 「顔 が 反 抗 的だか ら男の子を調べ る」

「男は だ いたい忘れ物をする から」, (3) その他

例:「なん と な く」

「と くに理由な く右か ら選ん だ」に分 類で きた

正 答 者の理 内は低 学年

高学年に か か わ らず

すべ て上 記の (

1

)と み なすこと がで ぎた が

誤 答 者の理由は両 学 年で異な る傾 向を示し た

低学年で は (2)や (

3

)の理由 を述ぺ た者が17名 中1

1名と極め て多い

逆に高 学年で は (

1

)の理 由を述べた者が 17名 中12名 と大 半 を 占め

さ らにそのほ と ん ど が 不適切なカ

ドを排 除し て正 答の

の み を選 択して いる (12名 中 IO名 )

  次に 本 実 験で佼っ た教 示 中の 「誰」ない し 「どの子」 とい う問い方は択 すべ

ドの数 が

枚であること を暗 示 する可 能 性がある

枚の み を選択し た者 は

2

年で

17

名中

10

,6

年で

17

名 中

16

名であること か ら

こ の教示の あ り方が反 応に大 きな影 響 を 与 えて い る と 思 わ れ る

(7)

小 谷 津

伊東

松田 :

4

枚カ

ド問 題における課 題 素 材効果 と視点 教示の効 果

27

Table 5

  Types  of explanation  expressed  

by

   subjects  of Iow and  

high

 grades  

in

 

Ex −

   periment  

3,

2年    6年

L

男の 子は関 係 なし, 女の子が   赤い 子 であれ ばよ い

2,

女の子は赤い 帽 子, 男の子は   青い 帽 子 が 正しい

3

赤い帽 子は女の 子だけが 正 しい

4

赤い帽 于だ け が 正 しい

5 16 青 青 竚 赤

9

調

1311

9

400

 

また 課 題の理 解と 具体的反 応の間に介 在 する解決的思 考に は

,Table

 5に示すよ うな4つ の タイ プ が あ る

低 学 年で多い のは 「女の 子は赤い帽 子

男の子は青い 帽子 が 正しい」 とい うもの で

これは 「女の子が赤だっ た ら 男の子は青だ 」 とい う常 套 的 思 考の機 械 的 適 用とい え

こ の段 階で既に誤 りを犯してい る ことがわ か る

これに 対し高学 年で は 「男の子は関係な し

女の子 が 赤い帽 子 であれ ば よい」 と 正 しく結 論を出し て いる者が多い

し か し こ れが 反 応の上で正 答と な る ため に は

さ ら に

歩 進め て

「女の 子と青い帽 子の両 カ

ドを調べ る 」 い うことに結びつ けなくて はな ら ない

: の意 味で

「托答 の

方し か選 択しなかっ た者は, 反 応に 導く思 考が 浅 い

もし くは不十 分であっ た とい うべ きで あ ろ う

な お 本 実験の完全 正答 率は低学年

高学年と もに低い こ とが 気にな る

これ は前述の よ うに

おそ ら く問題解決の た め の患考だ けで な く

課 題その もの の理 解が困難であっ たこ とに起 因 するもの と 思 わ れ る

そt で実 験4で は課 題 内容の理 解 が 容 易になる ようあら か じ め配慮し た実験 を 行 な う

Fig

3

 

Stimu

】us cards  used  ill Experiment  4

実    験   4

 

閙題解 決の 成 功

不成 功は

教示 を含め て課 題の理解 の程度に依 存 することが 実 験 3より示唆さ れ た

課題や 教示の理解が 不十 分だ と

単に問題解決のための 思 考 が 円滑に行な われ ないばか りか, 閇 題解決へ の 意 欲やモ

ティベ イシ ョ ン を低 下 させ かね ない

そこで, 本実験で は課 題 及び數示の表 現 を 低 学 年の小学生で も容 易に理解 できる よ うに修正

変 更し た

ま ず 課 題の表現は 否 定形 と し

教示につ い て は

何 枚の カ

ドを選 択して も よい こと を 明 言 し た (手続の 項

下 線 部 参 照 )

さらに視 点の 効 果(佐伯,

1980

;上 野

1982>を検 討 する ため に特に誤 答

無 答の場 合に 「先 生だっ た ら 」 とい う教 尓 を 追 加し た

方 法 被 験 者:慶 応 幼 稚 舎の 2年 生と

6

年生各 20 名

た だ し

実 験3には参 加し てい ない

 刺激:Fig

1

i)

 Fig

2

Fig・

3 に示 す3組の カ

 手 続;び その他の 手 続 きは

以 下の点 を 除い て 実 験 3と同 様であ る

   まず 準備 実験のか わ りに

Fig.3

を 見せ て 「(子 供 を  指しな が ら)こ の 女の }は赤い帽

r一

をか ぶ っ て い るけ  ど

こ の 子は 青で し ょ

こ の 男の 子 は 青 い帽子 で

こ  っ ちの男の ∫は赤で し ょ

こ ん なふ うに 普 通の 日 に は  好 き な 方 をか ぶっ て くれ ばい い のね 」 と 言う

次に

 先生 の 言いつ は 『明日 は遠 足で す ね

み ん な 忘 れず  に帽子を か ぶ っ て き なさい

た だ し

女 の于 は 必 ず 赤  い 帽チを かぶ っ て い らっ しゃ い』とする (この時 先 生  の 言い つ けのみ を書い た カ

ドも あ わせ て皇 示 し た)

  「こ の

4

人のお友だち のを 調べ た らい い で し ょ   う」の後に 「ひ と りか もしれ ない し

ひ とりだ け じゃ ない か も しれ ないわ よ」を 加 え る

 こ の に対 する反 応 が 誤 答 (無 答を含む)であっ た者に対し て は

「先 生 だっ た ら 」 とい うよ うに 先生 の視 点に た たせ る 教 示 を与えた上で を 調べ た ら いい か を尋ね る

結果と考 察

 

本 実 験で は

「先 生だっ た ら 」 とい う 視 点教示を与え る以 前に正 答で ぎた 者は 2 年生には お らず

6 年生で は 20名 中9名 (45

0%)であっ た

.一

こ の視 点 教 示の 追 加 後正答した者は

2

年生で 20 名 中

1

,6

年生 で

11

名 中 1名であっ た

ま た

誤答の タ イプも視 点 教示の前 後できな変化は み ら れ な かっ た

.L

た がっ て, 小学生 の場 合に は視 点 教示 が

問題解決におい て直 接 的な効 果 を もっ て い る とは い い難い

 次に誤 答 者の カ

ド選 択 理 由を実 験

3

と同様に論理型 と非 論理型 (その他を含も)に

視 点 教 示の 追 加に

よ る変化を Table 6

2年 生

12

中 6 名 が非論 理 型か ら論理型に移 行して い るが

6年 生では ほ とん ど変 化が み ら れ ていない

し た がっ て

低学年で も 視 点 教示に よっ て 正 しい思 考に導ぴ かれることが多い と 考 え られる

 最 後に

誤 答

無 答であっ た者で も

Fig・

2 に対し て

(8)

28 基 礎 心 理 学 研 究

3

ig

 

1

Table 6

  The effect  of viewpoint  

instruction

  upon  subjec ゼs giving explanation  

for

 

his

  

her

 respOI ユ$e

  2   年 視 点     視 点 なし    あり   点 り 年 視 あ

6

し   視 な 論 理 型 非 論理型   [li8 く・12 1・

・ ・   ア 8

7 3

4 合    計 20 20 11 ー1 は 2年 生 1名 を 除 く全 被 験 者 が 青い子を か ぶ っ た女の 子を正しく選 択し て い るこ とか ら

教 示を 正し く理解し そ れにそっ て解 決し よ う と してい るこ と が わか る

総 合 討 論  実 験 1の 結 果に お い て み ら れ たよ うに

問 題解 決に と っ て課 題 状 況の具 体性 は非常に有効で あ る

従 来の研 究 で は

課 題 状 況 を 具 体 的にする要因と して課題項目の具 体 性と課 題 項目 間の 関 係の 自 然 さ が 重要と さ れ て きた (Bracewell & 11idi

,1974

;Gijhooly & Falconer

1974

本研究で は新たに具体的な課 題 場而設 定の有 無をとりあ げて検討し た訳だ が

課題 項 目 が記 号で項 目間の関 係が 人 為的で あ っ ても, 課 題 場 面が設 定されて い る場 合に は 成 績の 上 がみ られた

し たがっ て

成 績の向上に とっ て文脈性の強い 課 題 場面 を設 定 する こ と がよ り重 要であ る とい え よ う

 抽 象 的な課 題 状 況で成 績の悪い理由の

つ に

被験者 が 課 題 を 自己の経 験 領 域に 位 置づける こと が 困難なた め

問 題 解 決に対す る意欲

テ ィベ イシ ョ ン が高ま ら ない とい うこと が考え ら れ る

事 実, 抽 象 的 な 課 題 状 況で は 「とにか くE と5をめ く ればよい」 とか 「全 部め くればわか る だ ろ う」 とい っ た

なげや り

な思考を思 わ せ る選 択理由を述べ る者が多かっ た

他 方, 具 体 的 な 課題 状況で は

課 題を自己の経 験 領 域に位 置づける こと が容 易になる た め

課 題に対し て積 極 的に関わ りを もつ こと がで きる よ うになる の で あろ う

 ま た課題を自己の経 験に位 置づるこ とがで きれ ば

Wason &

Shapiro

1971

も指る よ課 題 教 示の意 味 内 容 が 体 制 化さ れ た形で握される ように なる た め 課 題理 解

認 識が促 進 されるもの と 思われる

 

次に課題 内容の 認 識と そ れに基づ く解 決の た め の思 考1 につい て察 す

本 実 験課 題で正 答 を 得 る た めに は,

“if

 p then q

P

とq を排 除し

  p

q

選 択 しな け れ ば ならない

論 理 的 思 考 力の発 達し た大 学 生被 験 者は

抽 象 者 な 課 題 状 況でも 「p は考慮す る 必要な し」 と認 識し, p を 排 除 する傾 向はある が

 q につ い て は 「ル

ル が 止し い こ と を確認するた め 」 とい う理 由で 選 択し て し ま う者が多い

これは題の本 旨にそっ たも の以外に ま で思考が 及ん で し まい

かつ の ことが 課 題 と して要 求さ れ てい ない こ と を 十分 認 識し て いない結果 で ある と思わ れる

この よ う なこ とは 課 題具 体 性 を もたせ るこ とで, 課 題の過不足 ない理 解を得さ せ れば回 避 する こと がで きるもの と思わ れ る

 p と qに 関し て は抽象的な課題 状混で

rp

q

が随 伴して い て は いけ ない (例 えぽ

母 音 (P >の裏に 偶数 (q)があっ て は い けない と 正 しく認 識 するこ とは容 易であるが

逆に

rq

にpが随伴し てい てはいけ ない」 と認 識 するこ とは必 ずしも容易でない

結 果とし て

q

の 選 択は少な く な る

ところ が, 具 体 的 な課題 状 況で は次 に述ぺ る連 想の進 展に よっ て

q

を考慮の 対象にする 可能 性が高ま る と考え ら れる

 

般に

口常の経 験 領 域に お いて は様々 な事 象が時 間 的

意 味 的

エ ピ ソ

ts

をもっ て い る

ある事象 がこ の経 験 領 域 内に位 置つげら れ る と, そ れに結びつい た事 象が次々 に連 想され

課 題解 決のため に必 要な知 識 清報が利 用されるこ とに

逆に

象 が 経験領 域内 に うまく位 置づけら れ ない 場合に は

事 象の連 想が滞っ て し ま う と考え ら れ る

問 題解 決に とっ て 重 要な こ と は

まず経 験領域におい て与 え られた課 題か らの連 想が 円滑に進展し てゆ くこ となの であろ う

 こ の連 想とい う観 点か ら実験 2でじた解決の ため の 思 考に対 する教 示 表 現の 影 響を検討し たい

まずル

ル の真偽を問 う教示で は思考が 抽象 的に なりやす く

事象 の具 体 的枠組 (スキ

ー』

?)が発 動 され 難 くな り

結 果 し て連 想は進 展し難 くな るのであろ う

他 方

ド事 例 がル

ル に っ てい る か ど うかを聞 う教示では,

のカ

ドを試 行 錯 誤 的に検 討 する傾 向が生じ, 必 然 的に P

qの み な らず

q ・P

も思 考の対象と な り, 結 果 的に正答に達する 可能 性が高ま るもの と思 わ れる

 次に

視 点を持つ こ と が 課 題解 決に どの よ うに関 連 す る の であろ う か

佐 伯 (

1980

)の ように

視 点 を 持つ こ とに よっ て 「活動主体に対 する共感が生まれる 」と考え る よ り も

む し ろ 特 定の人物の視点 を持つ こ と に よ っ て, その人 物の社 会 的 役 割 や 立 場 及び行 為の ス キ

マ が 生 ま れ る と考え るべ か もしれ ない

Johnson

−Laird

et al

(1972>に おける 「郵 便 局 員」も上 野 (

1980

)にお ける 「売 場 主 任」もこ の ような意 味で 違 反を調べ る 人 物 である こ とを 被 験 者に認 識さ せる上で有効であっ た もの と考 え られる

ところ が実験

4

に お け るよ うに被 験 者が 子 供の場 合には, 子 供は経 験 が 少 な く

特 定の人物の役

(9)

小谷 津

伊東

松田 :4

ド問 題に おける課 題 素 材 効 果 と視 点 教 示の効 果 29 割の 認 識が十 分では ない

さ らに , た と え その認 識があ る程 度 十 分であっ て も, そこか ら課題解決に役立つ よう な連 想を進展させ るこ と がで きる程に十 分である とは隈 らない

.一

般に

小 学 生

特に低 学年の場 合には 経験的 知 識の不足 (

infQrmatiDn

 

deficjency

)と連 想の 未熟さ (assocjation  deficiencyと が あ 課 題 解 決 を 困 難}こし, 視点の効巣をもた ら さ な かっ たもの と考えるこ と も可能であろ う

本研 究で は こ の 二 つ を分 離し て検 証 するこ と はで き なか っ た

  最 後に

p と

q

の カ

ドは命 題の真 偽 を 決 定 する情 報 をもた らすが

P

と q の カ

ドは問 題を解 決 するための 情 報を何 ら もた らさなか っ た か の よ うに見える

しか し そ うであろ うか

例 えぽ

被験 審は男の 子の カ

ド (P) を 見て 「こ の 男の 子 は赤い帽 子 をかぶっ てい る か もしれ ない」 とい った推 論をしたとすると

その男の子の カ

ドを調べ るこ とに よっ て

自己の判 断の正当性 を 立 証

確 認 するこ とがで きる

特に子 供の場 合

与え られた課 題 を 自分の納 得で ぎる方 法で解こ うとする者 が 多い よ う に見受けられること を考え合わせ ると

P

や qの カ

ド も彼らに とっ て は重 要な情 報を含ん で い るもの と考 え な け ればな らない

こ の ように

人 間の問 題 解 決 行 動に関 わ る思考は

論 理 的に解 くた め の思

考だけでな く

解 決 を確 認

納得する た め の情 報を 入手 するこ と を 目的と し た思 考も包含し てい る こ と を見逃し て は な ら ないであろ う

要 約  

4

枚カ

ド問 題につ い て

4

つ の 実験 が行な わ れ た

実 験

1

では, 大 学 生 を 被 験 者 とし て課 題 項 目 (カ

ド) の内 容 (記 号

具 体 的 な絵 ), 課 題 項 目の表 示 形 式 (表 裏

上 下 )

課 題 場 面設 定の有 無

課 題 教示の タ イプ(肯 定 形

否 定 形 )の要 因 分 析 が 行 なわれた

その結 果

課 題 項 口を具 体 的にするこ と と 自然 な 課 題 場 面を設 定 するこ と が 成績の 上に とっ て有効であ るこ と が 明 らか と なっ た

実 験

2

で は, 教 示 文がル

ルの真 偽 を 問 う形か カ

ド事 例の正誤を問 う形か に よっ て成績が影 響される こと が示された

実 験 3

4で は前二実 験の結 果 をふ まえ

課 題 項 目が 具 体 的 な 絵で

自然 な 課 題 場 面 が 設 定 された 課題 状況で あれ ば

小学生で も論 理 的 推 論 課 題が解け る か どうか を調べ 同時に視 点 教 示の有 効 性 を 検 討し た

低 学 年の生 徒は課 題 その もの の理 解が困 難で あ り

高 学 年の生徒で も単に視 点 教示 を与え ら れ ただ けでは成 績が 向 上しない

問 題 解 決に おい ては形 式 論 理 的 操 作 能 力 だ け で な く

課題 内容の内的 表 象 を連 想 的に進 展 さ せ る能 力 が 重 要であ り

また 特 定 人 物の視 点に立つ こ とが真に 有 効となる た め に は

その人 物の役 割が具 休 的に認 識さ れる必要がある

引 用文 献

Bracewe11

 P

 

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21 受 稿

Table   1 .   Percent   correct   responses   under   various   conditions   iII   Experiment   1 .
Table   3 .   Percent   correct   responses   under   vurbus   collditions   in   Experimcllt   2 .

参照

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・また、熱波や干ばつ、降雨量の増加といった地球規模の気候変動の影響が極めて深刻なものであること を明確にし、今後 20 年から