防衛省CMC体制について
資料5第5回
防衛省・自衛隊の第一線救護における適確な救命に関する検討会
(平成28年4月6日) 【仮称】 ・有事緊急救命処置 ・第一線救護衛生員 ・防衛省コンバット・メディカルコントロール(CMC) 防衛省CMC体制(事前、活動中、事後)については、 本検討会における討議を踏まえ、防衛省CMC協議会 にて協議するものとする。・ 前線から病院までリアルタイムな情報共有 第一線 後送 収容所、野外病院又は艦艇 後送 病院 ・ 時間的概念導入 (1時間以内に容体安定化手術) ・ 後送間における第一線救護衛生員の医療行為 ・ 容体安定化手術の概念導入 ・ 医官等の技術、医療器材・装備の検討 ・ 時間的概念の導入 (10分以内を目標に救急処置) ・ 第一線救護衛生員による医療行為 ・ 一般隊員による救護 ・ 高度な治療 ・ 医療従事者への教育機能 ・ 医療情報システムの充実 ・ 大量傷者等の対応 第一線における救命処置 負傷者の後送 (師団等)収容所の治療 医療情報システム 自衛隊病院の高機能化
自衛隊全体としての救護能力の向上(イメージ図)
第3回検討会 資料6一部改 1止血 前 線 患者集合点~患者搬送間 「生命確保に必要な呼吸・循環の確保」 【防衛省CMC協議会】 ○プロトコールの承認 ○教育カリキュラムの承認 ○資格認定 ○事後検証(検証すべき症例) ○他省庁・関係機関等との連絡調整 等 プロトコールに基づき、第一線 救護衛生員は有事緊急救命処 置を実施 第一線救護衛生員が実施した医療行為 に対する医学的妥当性を検証し保証す る。その際、医療と作戦との双方に着意 する。 至師団収容所
第一線救護に係る防衛省CMC体制のイメージ図
輪状甲状靱帯 切開・穿刺 胸腔穿刺 輸液路確保 (静脈路・骨髄路) 検証資料を基にプロトコールを見 直し、教育内容に反映させ、第一 線救護衛生員が実施する医療行 為の更なる質の向上 鎮痛剤投与 抗生剤投与 第一線救護衛生員に対す る教育訓練 輸液・輸血 CMC:コンバット・メディカルコントロール 第一線救護衛生員が実施する有事緊急救命処置の質を医学的観点から保証する。 連隊収容所 「医官による外科的処置」 第3回検討会 資料2一部改 21 防衛省CMC体制の目的 有事の際、第一線救護衛生員が実施する有事緊急救命処置の質の向上を図り、救命率を 向上させ、もって人的戦闘力の維持・向上を図る。 2 防衛省CMC体制の必要性 平時の病院前救護とは異なり、有事では自己及び戦傷者の安全を確保するため脅威の排除 等の作戦とも連携する必要があること、医官からの指示を得るための通信の確保が保証され ないこと、医療施設への後送が迅速に行えるとは限らない状況にあること等に鑑み、有事に特 化した防衛省CMC体制の整備が必要 3 防衛省CMC体制の前提・特性 【前提】 ○第一線の現場から医官が配置されている収容所(臨時の医療施設)等までを自衛隊としての 1つの医療機関とみなす。 ○第一線の現場から後送して、自衛隊病院等での治療までを自衛隊一体となった戦傷者に 対する医療提供ととらえる。 【特性】 ○第一線救護衛生員の医療行為の質の保証のみならず、第一線救護に係る体制そのものの 質を保証する。 ○第一線救護衛生員となる自衛隊の救急救命士・准看護師は、平素からの業務や訓練の場に おいて医官の指示、指導・助言を受けており、緊密な連携が自然に形成されている。 ○活動時のCMC体制において、医官は医療的な指示のみならず衛生幕僚として指揮官を 補佐しており、医療と作戦の双方の観点から適切な指示、指導・助言を行うことができる。
防衛省CMC体制について
防衛省CMC協議会及び専門委員会(案)
専 門 委 員 会 事後検証に関する委員会 ○有事緊急救命処置が実施された 後の検証に関する事項 ➢検証票の作成 ➢検証医官の資格・要件 ➢検証体制の調整 ➢防衛省CMC協議会で協議すべき 事例の選定 ➢フィードバックの実施 ➢戦傷医療データベースの構築 ➢検証体制の改善 有事緊急救命処置に関する委員会 ○有事緊急救命処置を適確に実施 するための包括的指示及び直接指 示に関する事項 ➢プロトコールの検討 ➢処置に関する最新情報の収集・ 分析 ➢指示、指導・助言体制の構築 ➢第一線救護の能力向上に関する 各種検討 第一線救護に係る人材育成に 関する委員会 ○第一線救護衛生員の養成、認定、 練度の維持向上に関する事項 ➢教育・訓練の要領 ➢教育内容、時間についての調整 ➢教育実施体制に関すること。 (教育施設・資器材・教官等) ➢試験に関すること。 ➢認定及び技能管理・評価 ○CMCに携わる医官の育成に関する 事項 ➢教育・訓練の要領 ➢技能管理・評価 【 協 議 事 項 】 防衛省CMC協議会 ①防衛省CMC体制の整備及び運営に関すること。 ②第一線救護衛生員に対する教育・訓練に関すること。 ③第一線救護衛生員の認定・評価に関すること。 ④有事緊急救命処置のプロトコールに関すること。 ⑤第一線救護のための包括的指示に関すること。 ⑥第一線救護のための直接指示に関すること。 ⑦実施した有事緊急救命処置の事後検証に関すること。 ⑧有事における医療全体に関すること。 ⑨他省庁・関係機関等との連絡調整に関すること。 ⑩その他必要な事項 4防衛省CMC体制の構成
1 事前のCMC体制 第一線救護衛生員が包括的指示により有事緊急救命処置を実施するために 必要なプロトコールの策定及び承認、第一線救護衛生員の養成及び継続的な教 育・訓練、医療資器材の整備、医療施設までの後送要領等、第一線救護に関して、 平時に準備しておくべき事前の体制 2 活動時のCMC体制 戦傷者に対応中の第一線救護衛生員に対する医官からの直接指示又はこれら を可能とする体制 第一線救護においては、医官との通信が確保できないことを前提とした体制整備 が必要であるが、通信の整備が不要ということではない。医官との連絡に限らず、第 一線における衛生支援体制のためには部隊との通信手段の確保、指揮命令の体制 整備が必須 3 事後のCMC体制 活動内容の検証及び検証結果を踏まえた事前CMC体制の内容の改善・向上等、 戦傷者への対応後に行われる体制 防衛省CMC体制は、次の3相から構成1 プロトコール ○独自の処置基準として医官の包括的な指示による有事緊急救命処置プロトコールを策定 ○プロトコールの策定にあたっては、医学的根拠を第一線救護の場面に適合させていく必要 がある。 ○処置の適否の判断基準と処置内容が標準化され、医師からの直接指示を得なくても現場で 判断と処置ができるように作成されたTCCCガイドラインを参考とすることが適当 ○有事緊急救命処置のプロトコール案を第3回検討会で提示。今後、更に精査を行い、最終 的には防衛省CMC協議会における承認が必要。 ○策定後は、定期的かつ継続的に見直しをしていく必要あり。 2 教育 ○第一線救護衛生員の養成 有事緊急救命処置に特化した技能の習得 細部は、「資料4:第一線救護衛生員に対する教育について」による。 ○CMCに携わる医官、CMCに習熟した医官の育成
事前のCMC体制
【第3回検討会で提示】 ・輪状甲状靭帯切開・穿刺を含む気道閉塞対応プロトコール ・緊急脱気プロトコール(緊張性気胸に対する胸腔穿刺) ・輸液路確保プロトコール ・薬剤投与(輸液、抗生剤、鎮痛剤)プロトコール 6有事緊急救命処置票(仮称)(案)
(表) (裏) 処置 タニケット □ 四肢用 □ 体幹用 □ 止血剤 気道確保 □ 正常 □ 経鼻エアウエイ □ 気管挿管 □ 声門上気道デバイス □ 輪状甲状靱帯切開・穿刺 呼吸 □ 酸素投与 □ 胸腔穿刺 □ 胸腔ドレーン □ チェスト・シール 輸液 種類 量 ルート 時間 輸液 血液製剤 投薬 薬品名 量 投与法 時間 鎮痛剤 (医療用麻 薬を含む) 抗生剤 その他 その他の処置事項 記載者 氏名: 部隊 処置記録カード(患者集合点・連隊収容所用) 患者番号 後送緊急度 □ 緊急 □ 準緊急 □ 通常 患者情報 氏名: 性別: □ 男 □ 女 認番: 職種: . 部隊: . アレルギー: . 受入日時 日/月/年 / / 時間 : 受傷機序(複数選択可) □ 砲弾 □ ロケット弾 □ 銃弾 □ 手榴弾 □ IED □ 地雷 □ 爆風 □ 熱傷 □ 落下 □ その他 . 受傷部位 症状・兆候 測定時刻 脈拍(/分) 血圧(mmHg) / / / / 呼吸数(/分) 酸素飽和度(%) 意識(AVPU) 疼痛(0~10) TQ(右上肢) 種類: 時間: TQ(左上肢) 種類: 時間: TQ(右下肢) 種類: 時間: TQ(左下肢) 種類: 時間:事後のCMC体制
1 防衛省CMC体制における事後検証の特性 医療の面のみならず、作戦の面の双方から見て適切であったかについての事後検証が 必要。 2 事後検証事項 ○第一線救護を実施する上での自衛隊員としての活動と第一線救護衛生員として医学的 判断・処置の2つの観点からの検証が必要 ○具体的な検証事項 Ⅰ 自衛隊員としての活動に関する検証事項 ①戦闘下での救護活動 ②他の自衛隊員との連携 Ⅱ 医学的判断・処置に関する検証事項 ①観察、判断、処置はプロトコールに基づいて適切に実施されたか。その際、時間的 尺度にも着意する。 ②医官からの指示、指導・助言を受けた場合、その対応は適切であったか。 ③後送の判断は適切であったか。 8治療施設
治療施設
CMC 【事後検証に関する委員会】 CMC協議会 戦傷記録 カード 医務室 第一線収容所 戦傷記録 戦傷記録 戦傷記録の 集約・分析Trauma Registry(戦傷記録)の収集・分析(案)
検証票 検証票 事後検証作業部会病院
9防衛省CMCにおける事後検証項目 (案)
【事後検証項目(第一線救護衛生員用)】 1 受傷者の個人情報(氏名、年齢、所属部隊等) 2 受傷詳細(発生年月日、発生場所等) 3 第一線救護衛生員による有事緊急救命処置 (気道確保、緊急脱気、輸液、投薬) 4 処置時刻と処置前後での病状変化 5 第一線以降での処置内容 6 第一線救護衛生員が保有する公的資格 7 搬送記録(搬送先、所要時間等) 8 受傷状況の概略 9 受傷後の処置の概略 10 プロトコールに則った処置の評価 11 受傷者の既往歴等 12 報告者情報(氏名、所属等) 【医学的検証項目(結果)】 1 受傷者の個人情報(氏名、年齢、所属部隊等) 2 受傷詳細(発生年月日、発生場所等) 3 診断名 4 受傷者の現在の状況 5 処置の詳細 6 経過 (有事緊急救命処置後の経過を時系列で記載) 7 総括 (プロトコールに則った処置の評価を含む) 8 評価実施者情報(氏名、所属等) 9 評価終了日 10戦傷治療 防衛省外傷医療 データベース(仮) 処置の見直し データ分析 有効な戦場医療の確立 結果の反映 情報収集) 実際の戦傷治療現場から得られた臨床データ(患者重症度をスコア化、死亡率と 比較等)を戦傷医療データベースに登録し、統計学的にデータ分析を行う。 最新の知見を反映 事前の CMC体制
戦傷医療データベース化と活用のイメージ
TCCCのup date(年1回) 第一線救護に係る調査・研究 事後の CMC体制 有事に戦傷者が発生 した場合にcycle回転 よりよい医療を提供するため Cycleを活性化することが重要 患者の生存率に影響を与える有意なファクター を抽出 (データマイニング) 外傷記録を収集・分析することが、よりよい戦傷治療につながるとともに、 日本の医療における防衛省・自衛隊医療の強みとなる。 11AFMES
( AFMES(Armed Forces Medical Examiner System:デラウェア州ドーバー空軍基地) ○ 国防省法医中毒学検査室や国防省
DNA登録データベースなどを備えている。 ○ 米軍における法医解剖もしくは
AI(Autopsy Imaging)を実施。 Harcke HT, Pearse LA, Levy AD, Getz JM, Robinson SR. Chest wall thickness in
military personnel: implications for needle thoracentesis in tension pneumothorax. Mil Med. 2007 Dec;172(12):1260-3.
処置の 見直し ○ 兵士100例のAutopsy Image(CT)を解析 ・5cmの穿刺針で先端が胸腔内に届いていない者あり ・胸腔穿刺部位である右第2肋間鎖骨中線の胸壁厚 の中央値は4.86cm ・8cm の穿刺針を使うと99%の症例で胸腔内に到達 文献的には緊張性気胸が発生した際、胸腔穿刺 用の穿刺針の長さは5cm が推奨 米軍で胸腔穿刺針の長さを5cmから8cm に変更