総
論
序章
世界の中のブラジル
I. 世界の中のブラジル
I-1. 主要指標の各国比較地図1
図表 0-1 BRICS 諸国の中のブラジル
1 本節の図では、人口は CIA「World Factbook」、GDP および一人当たり GDP は IMF 「“World Economic Outlook” 2010 年 10 月版」を用いた。また、地図は以下のサイトよ り借用している。http://www.abysse.co.jp/world/index.html 39,740 5,068,894 126,804 人口(千人) GDP(百万ドル) 一人当たりGDP(ドル) インド ブラジル 中国 ロシア 日本 8,681 1,231,892 139,390 人口(千人) GDP(百万ドル) 一人当たりGDP(ドル) 3,735 4,984,731 1,330,141 人口(千人) GDP(百万ドル) 一人当たりGDP(ドル) 201,103 1,574,039 8,220 人口(千人) GDP(百万ドル) 一人当たりGDP(ドル) 1,032 1,236,943 1,173,108 人口(千人) GDP(百万ドル) 一人当たりGDP(ドル)
図表 0-2 米州大陸の中のブラジル 8,134 874,810 112,469 人口(千人) GDP(百万ドル) 一人当たりGDP(ドル) 201,103 1,574,039 8,220 人口(千人) GDP(百万ドル) 一人当たりGDP(ドル) メキシコ ブラジル 米国 カナダ 45,934 14,119,050 310,233 人口(千人) GDP(百万ドル) 一人当たりGDP(ドル) 39,658 1,336,066 33,760 人口(千人) GDP(百万ドル) 一人当たりGDP(ドル)
図表 0-3 南米大陸の中のブラジル 8,220 1,574,039 201,103 人口(千人) GDP(百万ドル) 一人当たりGDP(ドル) 7,725 310,057 41,343 人口(千人) GDP(百万ドル) 一人当たりGDP(ドル) 9,516 161,621 16,746 人口(千人) GDP(百万ドル) 一人当たりGDP(ドル) 29,907 126,766 4,356 人口(千人) GDP(百万ドル) 一人当たりGDP(ドル) 14,791 55,553 3,935 人口(千人) GDP(百万ドル) 一人当たりGDP(ドル) ベネズエラ ブラジル アルゼンチン エクアドル コロンビア ペルー チリ 27,223 325,678 11,383 人口(千人) GDP(百万ドル) 一人当たりGDP(ドル) 44,205 232,403 5,167 人口(千人) GDP(百万ドル) 一人当たりGDP(ドル)
約2 億人の人口を擁するブラジルは、世界で 5 番目、南半球では最大の人口大国である。 また、IMF が毎年 2 回発行している「World Economic Outlook」2010 年 10 月版によると、 ブラジルのGDP は 2009 年時点で 3 兆 1430 億レアル(約 1.6 兆米ドル)であり、ルーラ 前大統領が就任した2003 年の約 1.7 兆レアルからほぼ倍増、カルドーゾ元大統領が就任し た1995 年の約 7000 億レアルからは 4 倍以上の急成長を遂げてきた。 近年ブラジルはロシア、インド、中国と並んでBRICs 諸国の一翼として数えられること が多い。これら4 カ国は、比較的経済が成熟しているブラジル、ロシア 2 カ国と、人口の ボリュームが大きく経済成長が著しいインド、中国2 カ国とに概ね色分けされる。 図表 0-1 に示したとおり、BRICs 諸国の人口は約 30 億人に達し、これは世界の総人口 の4 割程度に当たる。上述のとおりブラジルの人口は約 2 億人であり、BRICs 諸国の中で は7%を占めるのみである。 しかし経済規模の面ではBRICs4 カ国の中で一定の割合を占めている。名目 GDP の額は ロシアやインドよりも大きい。国家間の比較のためにPPP2ベースのGDP に換算すると、 ブラジルは4 カ国のうち約 12%を占め、人口のシェアと比較して高い水準にある。 この結果として、ブラジルの一人当たりGDP の水準もインドや中国と比較すると高水準 だ。ブラジルはBRICs 諸国の中では発展した経済を有しているといえる。 図表 0-2 では、同様に南北アメリカ大陸内でのブラジルの位置づけを示している。大国 米国には遠く及ばないものの、ブラジルの存在感も決して小さくはない。人口は米国に次 いで2 位であり、また GDP もすでにカナダを追い抜いて南北アメリカ大陸内の 2 位につけ ている。早くからNIEs 諸国の一角として位置づけられてきたメキシコと比べても、人口、 GDP ともにブラジルの方が大きな規模を有している。一人当たり GDP で比較しても、物 価が相対的に高いブラジルのほうが実質的な豊かさは劣るとはいえ、それでも金額として はメキシコと比肩する水準に至っているといえる。 南米大陸にフォーカスすると、図表 0-3 に示したとおり、ブラジルは人口、GDP ともに 最も大きな国であるといえる。ブラジルに次いで人口の多いコロンビアやアルゼンチンと 比べても圧倒的に多くの人口を擁し、PPP でみた GDP も南米大陸のほぼ半分を占めている。 一方、一人当たりGDP の水準ではいくつかの国より低位ではあるが、石油資源に過度に依 存したベネズエラの状況などを考慮に入れれば、ブラジルが南米で最も発展した経済を有 する国のひとつであることに揺るぎはない。
2 Purchasing Power Parity (購買力平価)の略。各国の物価差を考慮して GDP を計測す
ること。いわば財・サービスの量としてGDP を捉えることを意味し、これにより各国間の
GDP を足し合わせる操作が意味を持つことになる。
ブラジル及び中南米地域への投資意向
3 ここでは、国際協力銀行が毎年実施している「わが国製造業の海外事業展開に関する調 査報告」のうち、2010 年度に実施されたアンケート結果(第 22 回)の結果を紹介する。 これによると、リーマンショック後の企業収益は回復傾向にあるものの、これは主に経費 削減の進展によるところが大きいという。こうした収益環境を背景として、海外事業を強 化・拡大するとした企業は、前年調査から17%ポイント増加して 83%に及び、海外事業へ の意欲が積極化していることを伺わせる。 こうした中、日本企業はブラジルおよび中南米地域の投資環境をどのように捉えている のだろうか。他の投資対象国・地域とも適宜比較しながら分析する。 まずは中南米地域への投資の現状をみると、同アンケートに回答した企業約 600 社が有 する中南米地域の生産拠点、販売拠点は、図表 0-4 に示したとおり、それぞれ 200 以上に 上る。また、研究・開発拠点を有する企業も少数ながらみられた。 図表 0-4 中南米における海外現地法人の機能別・地域別内訳 (回答社数:599 社) 中南米 ロシア 北米4 ASEAN55 中国 中・東欧6 生産拠点 237 16 717 1,322 1,860 130 販売拠点 214 47 599 792 732 100 研究・開発拠点 5 1 87 42 61 2 その他 76 9 271 198 138 14 合計 532 73 1,674 2,354 2,791 246 また、中南米における売上高と収益の満足度の評価7を図表 0-5 に示した。アジア新興国 には及ばないものの、インド、ロシアや欧米各国と比べると高い水準を示している。 3 本節の内容は、国際協力銀行国際経営企画部国際調査室「わが国製造業企業の海外事業展 開に関する調査報告 - 2010 年度 海外直接投資アンケート結果(第 22 回) -」(2010 年12 月)に基づいて作成した。結果報告の本文は下記ウェブサイトを参照されたい。 http://www.jbic.go.jp/ja/about/press/2010/1203-01/houkoku.pdf 4 米国、カナダ 5 シンガポール、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン 6 ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキア、ブルガリア、ルーマニア、スロベニア、 アルバニア、クロアチア、セルビア、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェコビナ、マケド ニア旧ユーゴスラビア 7 「昨年度の売上高、収益は、当初目標と比べると、下記のいずれに該当しますか」という 設問に対し、「1.不十分」「2.やや不十分」「3.どちらともいえない」「4.やや満足」「5. 満足」の選択肢を示して、回答を得た番号の平均値を評価ポイントとした。なお、前年調査(2008 年度実績)では中南米はいずれも 1 位であった。これは、今年度 1~3 位に躍り出た国・地域の評価が高まったためであり、中南米への評価水準が低減した 訳ではない。 図表 0-5 売上高・収益の満足度評価(主要国・地域別) 売上高 満足度評価 収益 満足度評価 2009 年度実績 2008 年度実績 2009 年度実績 2008 年度実績 1 中国 2.73 中南米 2.51 ベトナム 2.76 中南米 2.55
2 ASEAN5 2.70 中国 2.46 ASEAN5 2.70 ASEAN5 2.40
3 ベトナム 2.65 ASEAN5 2.43 中国 2.70 中国 2.37 4 中南米 2.55 インド 2.43 中南米 2.55 ベトナム 2.36 5 NIEs38 2.54 ベトナム 2.35 NIEs3 2.51 ロシア 2.26 6 インド 2.53 NIEs3 2.30 インド 2.43 インド 2.24 7 中・東欧 2.37 ロシア 2.23 中・東欧 2.35 NIEs3 2.22 8 北米 2.24 EU15 2.22 北米 2.21 EU15 2.15 9 EU15 2.19 中・東欧 2.10 EU15 2.20 中・東欧 2.09 10 ロシア 2.12 北米 2.03 ロシア 2.15 北米 1.97 このうち収益の満足の理由として最も多く挙げられたのは、共通して「当該国・地域内 での販売活動が順調」であった。2 位以下に挙げられた要因は国・地域別にさまざまであり、 たとえば ASEAN5 では、「輸出順調」と「コスト削減が順調」が上記に続く収益満足理由 となっている。中国は、「生産設備の稼動本格化」「コスト削減が順調」への回答が前年度 調査と比べて高まった。また北米とEU15 は、「当該国・地域内での販売活動が順調」の割 合が昨年度調査から低下する一方、「コスト削減が順調」の割合が上昇している。 一方収益の不満足の理由として、中国やインドでは「販売先からの値引要求」「販売先確 保が困難(他社との厳しい競合)」など、厳しい競争を反映する回答が多く見られた。北米 とEU15 については、「景気変動による市場規模縮小」が最も多く挙げられた一方、円高に 伴う競争力低下を指摘する回答が昨年度調査よりも増加した。 次に、海外での事業展開の有望性を図表 0-6 に示した。同アンケートにおいて、中期的 (今後3 年程度)有望事業展開先国・地域として 5 カ国・地域までの複数回答を求めたと ころ、当該設問への回答社(516 社)のうち、24.6%に当たる 127 社がブラジルを掲げた。 これはアジア新興国に次ぐランクであり、前年(2009 年)との比較においても順位、得票 8 韓国、台湾、香港
率ともに伸ばしている。 また、長期的(今後10 年程度)の見通しにおいては、ブラジルはインド、中国に次ぐ有 望事業展開先であると目されている。 図表 0-6 有望と考える事業展開先国・地域 中期的有望事業展開先国・地域 長期的有望事業展開先国・地域 順位 順位 2010 2009 国・地域名 2010 得票率 (516 社中) 2009 得票率 (480 社中) 2010 国・地域名 2010 得票率 (438 社中) 1 1 中国 77.3% 73.5% 1 インド 74.9% 2 2 インド 60.5% 57.9% 2 中国 71.7% 3 3 ベトナム 32.2% 31.0% 3 ブラジル 34.5% 4 4 タイ 26.2% 22.9% 4 ベトナム 30.6% 5 6 ブラジル 24.6% 19.8% 5 ロシア 24.7% 6 8 インドネシア 20.7% 10.8% 6 インドネシア 21.2% 7 5 ロシア 14.5% 21.5% 7 タイ 19.2% 8 7 米国 11.2% 13.5% 8 米国 8.7% 9 9 韓国 5.8% 6.5% 9 マレーシア 4.6% 10 10 マレーシア 5.6% 5.4% 10 11 台湾 5.6% 4.4% 10 台湾 4.1% ブラジルが有望である理由とブラジルの課題は図表 0-7 のとおりである。ブラジルマー ケットの成長性や現状規模といった国内マーケットへの要因が有望理由の上位にランクイ ンした。この傾向は、中期的有望先国のトップに位置する中国と同様である。同じく 2 位 のインドにおいても、現地マーケットの成長性を挙げる意見が最も多かったが、それに次 いで安価な労働力を挙げる意見が多くみられた。また、同じく3 位、4 位のベトナムとタイ についても、現地マーケットの成長性が最も回答を集めているものの、ベトナムについて は安価な労働力を挙げた回答がこれと同数で並んだ。タイは組立メーカーへの供給拠点と して、という理由が32%の回答を集めて 3 位に入っていることが特徴的である。 一方、ブラジルの課題として、治安・社会情勢や投資先国の情報不足について企業の不 安が高いことが看取される。労働コストの上昇が課題の第一として挙げられた中国、同じ くインフラが未整備とされたインドやベトナムなどにおいては、ブラジルと同様の課題が 上位にランクインしておらず、アジア諸国への進出における課題意識と対照的である。
図表 0-7 ブラジルの有望理由と課題 2010 得票率 ブラジルの有望理由 (126 社中) 1 現地マーケットの今後の成長性 86.5% 2 現地マーケットの現状規模 25.4% 3 安価な労働力 19.8% 4 組み立てメーカーへの供給拠点として 17.5% 5 第三国輸出拠点として 10.3% 2010 得票率 ブラジルの課題 (120 社中) 1 治安・社会情勢が不安 32.5% 2 他社との厳しい競争 30.0% 3 投資先国の情報不足 26.7% 4 法制の運用が不透明 22.5% 5 徴税システムが複雑 21.7% 中期的有望先国としてブラジルを掲げた企業(127 社)のうち、具体的な事業計画がある とした企業は、図表 0-8 に示すとおり約 4 割にとどまっている。これは中国やマレーシア など、実際の事業計画を伴っている企業の多い有望先国と比べると低い水準である。ブラ ジル市場への期待は実際の事業よりも評価が先行している状況と考えられる。 図表 0-8 有望国・地域における具体的な事業計画の有無(有望とされた上位 5 カ国) 具体的な 事業計画あり 国・地域名 (有望国として回答し た企業数) 具体的な 事業計画なし 275(68.9%) 中国(399 社) 115(28.8%) 122(39.1%) インド(312 社) 182(58.3%) 63(37.9%) ベトナム(166 社) 99(59.6%) 64(47.4%) タイ(135 社) 68(50.4%) 49(38.6%) ブラジル(127 社) 76(49.8%) 45(42.1%) インドネシア(107 社) 60(56.1%)
23(30.7%) ロシア(75 社) 48(64.0%) 34(58.6%) 米国(58 社) 23(39.7%) 11(36.7%) 韓国(30 社) 18(60.0%) 20(69.0%) マレーシア(29 社) 9(31.0%) 14(48.3%) 台湾(29 社) 14(48.3%) 一方、国・地域別の中期的海外事業展開の見通しとして、ブラジルを強化・拡大すると した企業は、他の国・地域と比べて高い割合となっている。図表 0-9 のとおり、当該設問 に解答した161 社のうち、72%にあたる 116 社が事業を強化・拡大するとしている。この 割合は中国各地域やインド、ベトナムについで高い水準である。 図表 0-9 中期的海外事業展開見通し(主要国・地域別) 0% 20% 40% 60% 80% 100% ブ ラ ジ ル 韓 国 台 湾 香 港 シ ン ガ ポ ー ル タ イ イ ン ド ネ シ ア マ レ ー シ ア フ ィ リ ピ ン 中 国 東 北 地 域 中 国 華 北 地 域 中 国 華 東 地 域 中 国 華 南 地 域 中 国 内 陸 地 域 イ ン ド ベ ト ナ ム 北 米 メキ シ コ そ の 他 中 南 米 E U 1 5 中 ・ 東 欧 そ の 他 欧 州 ・ C I S ロ シ ア 中 近 東 ア フ リ カ 大 洋 州 ・ そ の 他 ア ジ ア 強化・拡大する 現状程度を維持する 縮小・撤退する II. 世界経済におけるブラジルの位置づけ ブラジルはいわゆる「BRICs」の一角を占める一方、南アメリカ大陸最大規模の経済を 有している。以下、いくつかのマクロ指標について改めてブラジルの位置づけを示す。 II-1. 人口、人口動態 ブラジルの人口は約 2 億人であり、これは世界で第 5 位の規模である。中国、インドと 比較すると小さいものの、南アメリカ諸国の中では突出している。
図表 0-10 世界の人口ランキング 順位 国名 人口(千人) 1 中国 1,330,141 2 インド 1,173,108 3 アメリカ合衆国 310,233 4 インドネシア 242,968 5 ブラジル 201,103 6 パキスタン 184,405 7 バングラデシュ 156,118 8 ナイジェリア 152,217 9 ロシア 139,390 10 日本 126,804
(出所:CIA「The World Factbook」)
図表 0-11 ラテンアメリカ諸国の人口ランキング(1 千万人以上) 順位 国名 人口(千人) 5 ブラジル 201,103 29 コロンビア 44,205 32 アルゼンチン 41,343 39 ペルー 29,907 45 ベネズエラ 27,223 60 チリ 16,746 65 エクアドル 14,791 ・・・ 11 メキシコ 112,469 73 キューバ 11,477 ラテンアメリカ諸国計 588,649 (注)数字はCIA による世界順位
今後のブラジルの人口は、2040 年ごろにかけて 2.2 億人程度にまで増加すると予測され ている。 図表 0-12 ブラジルの年齢 3 階級別人口の推移 0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050 (千人) 0~14歳 15~64歳 65歳~
(出所:World Population Prospects, the 2008 revision における中位推計)
ただし人口の高齢化の足並みは早い。現在はロシアやアルゼンチンがブラジルより高い
高齢化率を示しているが、これから2050 年ごろにかけてブラジルの高齢化率は急速に高ま
り、ロシアや中国と同等の水準に達すると見込まれる。これに伴い65 歳以上人口 1 人当た
りの生産年齢人口(15-64 歳人口)も急速に低下し、2050 年ごろには働く者 3 人足らず で1 人の高齢者を支える社会となる。
図表 0-13 各国の 65 歳以上人口の割合 0 5 10 15 20 25 30 35 40 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050 (%) ブラジル 中国 インド ロシア コロンビア アルゼンチン ペルー ベネズエラ チリ エクアドル 日本
(出所:World Population Prospects, the 2008 revision)
図表 0-14 ブラジルの高齢化の見通し 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050 (歳、%) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 (人) 年齢の中央値(歳、左目盛) 65歳以上人口率(%、左目盛り) 65歳以上人口1人当たりの生産年齢人口(人、右目盛)
II-2. GDP 2009 年時点ではブラジルの GDP(為替レート換算)は約 1.6 兆ドルで既に世界第 8 位の 水準である。しかし早晩、欧州の主要経済国と比肩する規模になる。また、南アメリカ諸 国の中では現在でもすでに突出した経済規模を誇っている。 図表 0-15 世界の GDP ランキング(為替レート換算)(2009 年、2015 年) (十億ドル) 2009 年 2015 年予測 国名 GDP 国名 GDP 1 米国 14.119 米国 18,029 2 日本 5,069 中国 9,982 3 中国 4,985 日本 6,517 4 ドイツ 3,339 ドイツ 3,728 5 フランス 2,656 フランス 2,945 6 イギリス 2,179 イギリス 2,885 7 イタリア 2,118 ブラジル 2,789 8 ブラジル 1,574 ロシア 2,499 9 スペイン 1,468 インド 2,412 10 カナダ 1,336 イタリア 2,289
(出所:IMF “World Economic Outlook” 2010 年 10 月版)
図表 0-16 ラテンアメリカ諸国の GDP ランキング(2009 年、数字は世界順位) (十億ドル) 国名 GDP 8 ブラジル 1,574 29 ベネズエラ 326 31 アルゼンチン 310 36 コロンビア 232 49 チリ 162 52 ペルー 127 66 エクアドル 56
・・・
14 メキシコ 875
ラテンアメリカ諸国計 3,965
(出所:IMF “World Economic Outlook” 2010 年 10 月版)
一人当たりGDP ではブラジルは現在世界 60 位程度の位置にあるものの、BRICs 諸国の 中では中国、インドよりもかなり高水準にある。また他のラテンアメリカ諸国と比べても、 ブラジルの水準は高いといえる。 図表 0-17 BRICs、ラテンアメリカ諸国の一人当たり GDP ランキング(2009 年、2015 年) (ドル) 2009 年 2015 年予測 国名 一人当たりGDP 国名 一人当たりGDP ベネズエラ 11,383 ロシア 18,111 チリ 9,516 チリ 16,192 ロシア 8,681 ブラジル 13,982 ブラジル 8,220 メキシコ 11,813 メキシコ 8,134 アルゼンチン 9,687 アルゼンチン 7,725 ベネズエラ 8,889 コロンビア 5,167 コロンビア 8,113 ペルー 4,356 中国 7,258 エクアドル 3,935 ペルー 6,702 中国 3,735 エクアドル 5,054 インド 1,032 インド 1,856 (参考)日本 39,740 (参考)日本 51,663
(出所:IMF “World Economic Outlook” 2010 年 10 月版) II-3. GDP の構成
ブラジルの市場構造の特質を捉えるため、GDP を構成要素に分解する。まずは需要側の 構造を要素ごとに分解し、BRICs およびラテンアメリカ主要国と比較したものが下図であ る。
ブラジルは消費需要が大きく、かつ純輸出による総需要への貢献がほとんどみられない ことから、内需の厚みのある、より先進国に近い需要構造をしていることが読み取れる。 図表 0-18 BRICs 諸国およびラテンアメリカ諸国の GDP 需要側分解(2009 年) -20% 0% 20% 40% 60% 80% 100% ブラジル 中国 インド ロシア アルゼンチン ベネズエラ メキシコ (参考)日本 家計消費 政府消費 総資本形成 純輸出
(出所:国連 “National Accounts Main Aggregate Database”)
次に、生産側の要素で分解したグラフを下図に示す。依然として農林水産業への依存が 高いインド、鉱業への依存が高いロシアやベネズエラなどに比べると、ブラジルの付加価 値はいわゆる第三次産業の分野から多く創出されていることが分かり、ブラジル経済が一 定程度に成熟していることを示しているものと考えられる。
図表 0-19 BRICs 諸国およびラテンアメリカ諸国の GDP 需要側分解(2009 年) 0% 20% 40% 60% 80% 100% ブラジル 中国 インド ロシア アルゼンチン ベネズエラ メキシコ (参考)日本 農林水産業 鉱業 工業 建設業 商業 運輸・通信業 サービス業・公務、その他 (注)統計上の不完備により、中国の鉱業および工業は「工業」に集約して表示している。 (出所:国連 “National Accounts Main Aggregate Database”)
II-4. 輸出入の構造
ブラジルの2009 年の輸出総額、輸入総額はそれぞれ 1,530 億ドル、1,337 億ドルであり、 貿易総額の対GDP 比(2007-09 年平均)は約 24.8%である。金額ベースでみるとブラジル
の貿易の規模は南米地域において高い割合を占めるものの、GDP との対比でみると低い水
図表 0-20 各国の輸出額・輸入額 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 ブ ラ ジ ル 中 国 シロ ア イ ン ド チ リ エ ク ア ド ル メ キ シ コ ペ ル ー ベ ネ ズ エ ラ ア ル ゼ ン チ ン コ ロ ン ビ ア 日 本 (十億ドル) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 (%) 輸出額(f.o.b.、2009年) 輸入額(c.i,f.、2009年) 貿易額GDP比(右目盛、2007年-09年平均)
(出所:WTO “Statistics Database”)
続いて、輸出入の構造を通じてブラジル経済の特質を捉える。まずは貿易財種類別の構 造をみると、ブラジルは農産物や鉱産品を輸出し、主に工業製品類を輸入する構造にある ことがわかる。ブラジルが主要な農作物および鉱産資源の世界有数の生産国であることを 反映していると考えられる。ただしアルゼンチンほど農作物への輸出の依存が高い訳では なく、また鉱産資源についてもロシアやベネズエラほど輸出における依存度が高くはない。
図表 0-21 BRICs 諸国およびラテンアメリカ主要国の輸出財構成(2009 年) 0% 20% 40% 60% 80% 100% ブラジル 中国 インド ロシア アルゼンチン ベネズエラ メキシコ (参考)日本 農産物 燃料、鉱物原料 工業製品 その他、誤差
(出所:WTO “Statistics Database”)
図表 0-22 BRICs 諸国及びラテンアメリカ主要国の輸入財構成(2009 年) 0% 20% 40% 60% 80% 100% ブラジル 中国 インド ロシア アルゼンチン ベネズエラ メキシコ (参考)日本 農産物 燃料、鉱物原料 工業製品 その他、誤差
また、輸出入の相手国をみると、ブラジルの貿易における特定国への依存度が低い構造 になっていることがわかる。特にメキシコとの対比においてその性質は顕著である。また、 近隣国との関係では、アルゼンチンにとってブラジルは最重要の貿易相手国である一方、 ブラジルから見るとアルゼンチンは最重要の相手国ではない、という構造にある。 なお、各国との通商関係については章を改めて記述する。 図表 0-23 各国の輸出相手国(2009 年) ブラジル 1. EU(27カ国) 2. 中国 3. 米国 4. アルゼンチン 5. 日本 その他 アルゼンチン 1. ブラジル 2. EU(27カ国) 3. チリ 4. 米国 5. 中国 その他 (参考)日本 1. 中国 2. 米国 3. EU(27カ国) 4. 韓国 5. 台湾 その他 メキシコ 1. 米国 2. EU(27カ国) 3. カナダ 4. コロンビア 5. ブラジル その他
図表 0-24 各国の輸入相手国(2009 年) アルゼンチン 1. Brazil 2. EU(27カ国) 3. 米国 4. 中国 5. メキシコ その他 ブラジル 1. EU(27カ国) 2. 米国 3. 中国 4. アルゼンチン 5. 日本 その他 (参考)日本 1. 中国 2. 米国 3. EU(27カ国) 4. オーストラリア 5. サウジアラビア その他 メキシコ 1. 米国 2. 中国 3. EU(27カ国) 4. 日本 5. 韓国 その他