経済分析
政策研究の視点シリーズ
17
季節調整法の比較研究
センサス局法 X-12-ARIMA の我が国経済統計への適用
奥 本 佳 伸
2000 年6月
経済企画庁経済研究所
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本書の性格について
「経済分析 政策研究の視点シリーズ」は、カレント・トピックス研究の
論文や経済研究所における通常の研究過程での中間的な研究試論をとりま
とめたものである。
本書の内容は、研究者が広く議論の素材を提供するため個人の責任で執
筆した研究試論というべきものであり、研究所としての公式の見解を示す
ものではない。
季節調整法の比較研究
セ ン サ ス 局 法 X-12-ARIMA の 我 が 国 経 済 統 計 へ の 適 用奥 本 佳 伸
* 2000年6月経済企画庁経済研究所
*奥本佳伸(経済企画庁経済研究所総括主任研究官)[計量手法ユニット] 本研究をまとめるに当たっては、経済企画庁経済研究所の貞広彰所長、加藤裕 己次長、法専充男総括主任研究官より有益な御助言をいただいた。また、2000 年4 月 13 日のワークショップにおいて、渡辺努一橋大学経済研究所助教授より 貴重なコメントをいただいた。日本銀行調査統計局の木村武氏には、1999 年 3 月 に お 会 いい た だ い た 際 に 、こ ち ら か ら のX-12-ARIMA の適用方法などについて の質問にお答えいただいたほか、貴重な英文文献のコピーを貸していただき、た いへんお世話になった。本論文は、全体として木村氏の研究成果に負うところが 多 い 。ま た 、千 葉 大 学 法 経 学 部 経 済 学 科 小 暮 厚 之 教 授 に は 、X-12- ARIMA の 適 用上の数理統計学上の問題について御教示をいただいた。 以上の方々に心より感謝申し上げる次第である。 なお、当然のことながら、本論文にあるであろう誤りは、すべて筆者の責任で ある。目 次
要 旨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
第1章 季節調整法の基本的考え方・・・・・・・・・・・・11
第1節 経済時系列データの変動要因・・・・・・・・・・・・・・・・・11 第2節 季節変動の発生要因・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 第3節 季節調整の必要性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13第2章 従来の季節調整の手法・・・・・・・・・・・・・・15
第1節 季節調整法の開発の歩み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 第2節 我が国の官庁統計で用いられてきた季節調整の手法・・・・・・・17 第 3 節 1979 年9月の統計審議会経済指標部会報告・・・・・・・・・・・18 第 4 節 セ ン サ ス 局 法X-
11 について指摘される問題点・・・・・・・・・19第3章 センサス局法
X-12-ARIMA の開発・公表と
その特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23
第1 節 センサス局法 X-
12-
ARIMA の開発・公表・・・・・・・・・・・23 第 2 節 X-
12-
ARIMA の特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 第 3 節 REGARIMA の構造・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・26第4章 我が国におけるこれまでの
X-12-ARIMA についての研究及び検討の結果
・
・ ・ ・ 2 9
第1節 これまでのX-
12-
ARIMA についての研究結果・・・・・・・・・29 第2節 統計審議会経済指標部会季節調整法検討小委員会での 検討結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32第5章 今回の比較・検討作業の特徴とその結果・・・・・・37
第1 節 今 回 の 比 較 ・ 検 討 作 業 の 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・37 第2節 経済統計データへの各種の曜日・ う る う 年 調 整 方 法 の 適 用 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・47 1. 各 種 の 曜 日 調 整 及 び う る う 年 調 整 の 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 47 2 . 個 別 の デ ー タ ご と の 曜 日 ・ う る う 年 調 整 の 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 53 3.曜日・うるう年調整の結果についての グ ル ー プ ご と の 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・65 4 . 先 行 研 究 の 結 果 と の 比 較 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 69 第3節 パワー・スペクトルやグラフによる季節調整値の観察・・・・・・76 1 . パ ワ ー ・ ス ペ ク ト ル に よ る 観 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 76 2 . グ ラ フ に よ る 観 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 80 第4節 今回の検討作業で用いたREGARIMA モデルの 選択方法と従来の方法との比較・・・・・・・・・・・・・・・・83 第5節 データ期間を変えた場合の曜日変数及び う る う 年 変 数 の 有 意 性 の 比 較 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・93第6章 官庁統計における
X-12-ARIMA の適用状況・・・・・95
おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・97
【参考文献】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・101 ワークショップにおけるコメント・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・105 図 表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・113 参考資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・167要 旨
1 . 季 節 調 整 法 の 基 本 的 考 え 方 経 済 時 系 列 デ ー タ の 変 動 要 因 に は 、 イ ) 長 期 変 動 、 ロ ) 短 期 変 動 、 ハ ) 季 節 変 動 、 ニ ) 不 規 則 変 動 の 4 つ が あ る 。 こ の う ち 、 ハ ) 季 節 変 動 は 、 1 年 を 周 期 と し て 比 較 的 規 則 正 し く 繰 り 返 す 変 動 で あ る 。 そ の 原 因 に は 、 自 然 的 要 因 ( 暑 さ 、 寒 さ 、 農 産 物 の 収 穫 期 な ど ) や 社 会 的 制 度 ・ 慣 習 に よ る 要 因 ( お 中 元 、 お 歳 暮 、 ク リ ス マ ス 、 ゴ ー ル デ ン ウ ィ ー ク 、 夏 休 み 、 企 業 の 決 算 期 、 年 末 決 済 な ど ) が あ る 。 こ う し た 季 節 変 動 を 経 済 時 系 列 デ ー タ か ら 除 去 す る 手 続 き が 「 季 節 調 整 」 で あ る 。 季 節 調 整 の 目 的 は 、 毎 年 季 節 的 に 繰 り 返 さ れ る 季 節 変 動 を 原 系 列 か ら 除 去 し て 、 経 済 統 計 に 基 づ く 経 済 の 動 向 把 握 を よ り 的 確 に 行 う こ と に あ る 。 2 . 我 が 国 で 用 い ら れ て き た 従 来 の 季 節 調 整 の 手 法 我 が 国 の 官 庁 統 計 に 適 用 さ れ る 季 節 調 整 法 は 、1 9 7 9 ( 昭 和 5 4 ) 年 ま で は 、経 済 企 画 庁 の 開 発 し た E P A 法 、通 商 産 業 省 の 開 発 し た M I T I 法 、 ア メ リ カ の 商 務 省 セ ン サ ス 局 が 開 発 し た セ ン サ ス 局 法 X - 11 の 3 つ が 使 わ れ て い た 。し か し 、1 9 7 9 年 9 月 に 統 計 審 議 会 経 済 指 標 部 会 か ら 発 表 さ れ た 部 会 報 告 「 今 後 の 季 節 調 整 法 の 適 用 基 準 」 に よ り 、 で き る だ け セ ン サ ス 局 法 X - 11 を 使 う よ う に と の 勧 告 が 出 た こ と に よ り 、 通 商 産 業 省 が 鉱 工 業 指 数 等 の 季 節 調 整 に M I T I 法 を 用 い る こ と を 唯 一 の 例 外 と し て 、す べ て の 官 庁 統 計( 日 本 銀 行 を 含 む 。)に 用 い ら れ る 季 節 調 整 法 は セ ン サ ス 局 法 X- 11 と な っ た 。 そ れ 以 来 、 最 近 ま で 、 セ ン サ ス 局 法 X - 11 は 我 が 国 の 官 庁 統 計 の ほ ぼ 全 部 に つ い て 広 く 用 い ら れ て き た が 、最 近 に な っ て 、X - 11 に つ い て も い く つ か の 問 題 点 が 指 摘 さ れ る よ う に な っ た 。 そ の 問 題 点 と は 、 以 下 の よ う な こ と で あ る 。− 2 − イ )X - 11 は 移 動 平 均 型 季 節 調 整 法 の 代 表 的 な も の で あ る が 、移 動 平 均 す る 場 合 に 時 系 列 の 末 端 部 分 に お い て は 、片 側 の デ ー タ だ け の 移 動 平 均 に な っ て い る た め 、 新 規 デ ー タ を 追 加 す る と 直 近 部 分 の 季 節 調 整 済 み 系 列 が 大 幅 に 改 訂 さ れ て し ま う こ と が あ る( 季 節 調 整 値 の 不 安 定 性 )。 足 元 の 景 気 の 動 き を 見 る 際 に は 、 直 近 部 分 の 季 節 調 整 済 み 系 列 の 動 き が 重 要 な 判 断 材 料 と な る の で 、 こ う し た 季 節 調 整 値 の 不 安 定 性 は 大 き な 問 題 と な る 。 ロ ) 異 常 値 や 曜 日 変 動 な ど が 、 原 系 列 に 混 入 し て い る 場 合 に は 、 X - 11 に 組 み 込 ま れ て い る 異 常 値 調 整 や 曜 日 調 整 の 手 法 で は 、季 節 変 動 を 適 切 に 調 整 で き な い 。 3 . セ ン サ ス 局 法 X- 12- A R I M A の 開 発 ・ 公 表 と そ の 特 徴 ア メ リ カ の セ ン サ ス 局 で は 、 1 9 6 5 年 に X - 1 1 を 公 表 し た あ と も 、 季 節 調 整 法 の 改 善 の 研 究 を 長 年 続 け て き て 、そ れ に 基 づ い て 新 た に 開 発 し た 季 節 調 整 法 X - 1 2 - A R I M A を 1 9 9 6 年 6 月 に セ ン サ ス 局 の ホ ー ム ペ ー ジ 上 で 一 般 公 開 し た 。 こ の と き に 公 表 さ れ た X - 1 2 - A R I M A は べ ー タ ・ バ ー ジ ョ ン と 呼 ば れ た が 、 そ の 後 、 1 9 9 8 年 2 月 に は 、 そ の 改 良 版 の フ ァ イ ナ ル ・ バ ー ジ ョ ン を 公 表 し た 。 X - 1 2 - A R I M A は 、 セ ン サ ス 局 の ホ ー ム ペ ー ジ か ら プ ロ グ ラ ム を ダ ウ ン ロ ー ド し て 、 誰 で も パ ソ コ ン で 使 用 す る こ と が で き る 。 X - 1 2 - A R I M A は 、上 に 述 べ た よ う な X - 1 1 の 問 題 点 を 解 決 す る こ と を ね ら い と し た 季 節 調 整 法 で あ る 。 X - 1 2 - A R I M A は 、 大 き く 分 け て 、 次 の 3 つ の パ ー ト か ら 成 っ て い る 。 イ ) R E G A R I M A に よ る 原 系 列 の 事 前 調 整 パ ー ト ロ ) X - 1 1 に よ る 季 節 調 整 パ ー ト ハ ) 事 後 診 断 パ ー ト こ の う ち イ ) の ス テ ッ プ で 用 い ら れ る R E G A R I M A は 、 “ R E G r e s s i o n a n d A R I M A ” の 略 で 、ダ ミ ー 変 数 へ の 回 帰 と A R I M A モ デ ル の 組 み 合 わ せ と い う
意 味 で あ り 、 A R I M A は 、 A u t o R e g u r e s s i v e I n t e g r a t e d M o v i n g A v e r a g e ( 自 己 回 帰 和 分 移 動 平 均 ) の 略 で あ る 。R E G A R I M A は 、 原 系 列 の レ ベ ル シ フ ト ( 水 準 の 急 激 な 変 化 )、 異 常 値 お よ び 曜 日 変 動 を 捉 え る た め の 回 帰 変 数 を A R I M A モ デ ル に 組 み 込 ん だ 時 系 列 モ デ ル で あ る 。 イ ) の パ ー ト で は 、 ま ず 、 こ の R E G A R I M A を 用 い て 、 原 系 列 を A R I M A モ デ ル で 表 現 で き る 部 分 と 、 レ ベ ル シ フ ト 、 異 常 値 ま た は 曜 日 変 動 へ の 回 帰 部 分 に 分 解 す る 。 そ の 上 で 、 A R I M A モ デ ル で 表 現 で き る 部 分 と そ の A R I M A モ デ ル を 用 い て 推 計 し た 予 測 値 を つ な ぎ 合 わ せ た「 事 前 調 整 済 み 原 系 列 」 を 作 成 す る 。 こ の 系 列 が 、 そ の 後 に 続 く ロ ) の X - 1 1 に よ る 季 節 調 整 パ ー ト で 季 節 調 整 さ れ る 。さ ら に 、ハ )の 事 後 診 断 パ ー ト で は 、 季 節 調 整 済 み 系 列 の 安 定 性 や 季 節 調 整 の 適 切 性 ( 季 節 性 が 過 不 足 な く 除 去 さ れ て い る か ) な ど に つ い て 統 計 的 な 分 析 法 を 用 い て 診 断 す る 。 R E G A R I M A に よ る 事 前 調 整 の メ リ ッ ト は 次 の よ う な と こ ろ に あ る 。 イ ) レ ベ ル シ フ ト や 異 常 値 、 曜 日 変 動 を 回 帰 変 数 で 捉 え て 、 そ れ ら を 除 去 し た 系 列 に つ い て A R I M A モ デ ル に よ る 予 測 を 行 う の で 、 予 測 の パ フ ォ ー マ ン ス が 高 ま る 。ま た 、系 列 末 端 部 分 に お い て 、 信 頼 性 の よ り 高 い 予 測 値 を 利 用 し た 両 側 移 動 平 均 が 可 能 と な る の で 、 季 節 調 整 済 み 系 列 の 安 定 性 が 高 ま る 。 ロ ) 異 常 値 、 レ ベ ル ・ シ フ ト 、 曜 日 変 動 が 調 整 ・ 除 去 さ れ た 事 前 調 整 済 み 系 列 に 対 し て 、X11 に よ る 季 節 調 整 を 行 う た め 、 こ れ ら の 要 因 に よ る 季 節 調 整 済 み 系 列 の ゆ が み を 回 避 で き る 。 ハ ) 曜 日 変 動 の 調 整 に 関 し て も 、X - 11 で は 、 異 常 値 を 修 正 し た 暫 定 不 規 則 変 動 成 分 に つ い て 行 う の に 対 し て 、X - 1 2 - A R I M A で は 原 系 列 そ の も の に つ い て 曜 日 変 動 を 修 正 す る 方 式 に 改 善 さ れ 、 信 頼 性 が よ り 高 ま っ て い る 。
− 4 − 4 . 我 が 国 に お け る こ れ ま で の X- 12- ARIMA に つ い て の 研 究 結 果 X - 1 2 - A R I M A が 公 表 さ れ て 以 来 、 我 が 国 で も 、 そ れ を 我 が 国 の 経 済 統 計 に 適 用 し て 、X - 11 の 適 用 結 果 と 比 較 す る こ と が い く つ か 行 わ れ て き た 。 そ の う ち の 代 表 的 な も の と し て は 、 日 本 銀 行 の 木 村 武 氏 に よ る 一 連 の 研 究 が あ る 。 木 村 氏 が 書 か れ た 論 文 の 代 表 的 な も の と し て 、 日 本 銀 行 金 融 研 究 所 『 金 融 研 究 』 第 1 5 巻 第 2 号 ( 1 9 9 6 年 4 月 ) に 書 か れ た 「 最 新 移 動 平 均 型 季 節 調 整 法 「X - 1 2 - A R I M A 」 に つ い て 」 を 挙 げ る こ と が で き る 。 こ こ で は 、X - 11 の 問 題 点 と X - 1 2 - A R I M A の す ぐ れ た 点 を 紹 介 さ れ た 後 、 日 本 の い ろ い ろ な 経 済 統 計 に こ の 2 つ の 季 節 調 整 法 を 適 用 し て 比 較 し 、 総 じ て X - 1 2 - A R I M A の 適 用 結 果 は X - 11 の 場 合 よ り も 季 節 調 整 の 安 定 性 や 適 切 性 で 望 ま し い 結 果 が 得 ら れ 、 X - 1 2 - A R I M A は 、 移 動 平 均 型 季 節 調 整 法 の 範 囲 で は 現 時 点 で 最 良 の 季 節 調 整 法 と 言 え る と 結 論 さ れ て い る 。 5 . 統 計 審 議 会 経 済 指 標 部 会 季 節 調 整 法 検 討 小 委 員 会 で の 検 討 結 果 総 務 庁 長 官 の 諮 問 機 関 で あ る 統 計 審 議 会 の 経 済 指 標 部 会 は 、1 9 9 6 ( 平 成 8 ) 年 6 月 に 「 季 節 調 整 法 検 討 小 委 員 会 」 を 設 置 し 、1 9 9 7 ( 平 成 9 )年 6 月 ま で か け て X - 1 2 - A R I M A の 採 用 の 可 否 に つ い て 検 討 し た 。 こ の 小 委 員 会 は 、 美 添 泰 人 ・ 青 山 学 院 大 学 教 授 を 委 員 長 と し 、 国 友 直 人 ・ 東 京 大 学 教 授 の ほ か 、 総 務 庁 ( 統 計 局 統 計 調 査 部 )、 経 済 企 画 庁 、 大 蔵 省 、 通 商 産 業 省 、 運 輸 省 、 郵 政 省 、 労 働 省 、 日 本 銀 行 の 各 委 員 を も っ て 構 成 さ れ 、 総 務 庁 ( 統 計 局 統 計 基 準 部 ) が 事 務 局 を つ と め た 。 こ の 小 委 員 会 で は 、X- 11 、X - 1 2 - A R I M A の ほ か に 、 通 商 産 業 省 で 使 用 し て い た M I T I 法 や 文 部 省 統 計 数 理 研 究 所 で 開 発 さ れ た D E C O M P も 検 討 対 象 と さ れ た 。 そ の 結 果 は 、 イ ) ど の 手 法 を 用 い て も 、 あ る 程 度 妥 当 な 結 果 が 導 き 出 さ れ る 。 ロ ) 各 手 法 間 で の 結 果 の 差 は 、 優 劣 の 判 断 材 料 と な る ほ ど 大 き な も の で は な い 。
ハ ) 統 計 ・ 指 数 系 列 に よ っ て 、 相 対 的 に 良 い 結 果 と な る 手 法 が 違 っ て い る 。 と い う も の で あ り 、 ど の 手 法 は が 最 も 適 切 か に つ い て 、 一 元 的 な 判 断 を 下 す に は 至 ら な か っ た 。 5 . 今 回 の 比 較 ・ 検 討 作 業 の 特 徴 と そ の 結 果 筆 者 は 、こ れ ら の 検 討 結 果 を 踏 ま え て 、改 め て X - 11 と X - 1 2 - A R I M A を 日 本 の 経 済 統 計 に つ い て 比 較 し た 。 筆 者 の 検 討 作 業 で 、 こ れ ま で の 検 討 と 異 な る 最 も 重 要 な 点 は 、R E G A R I M A に お い て 、 適 切 な A R I M A モ デ ル の 選 択 と 、 曜 日 変 動 、 異 常 値 等 の 回 帰 変 数 の 選 択 は 独 立 で は な く 、 同 時 決 定 で あ る こ と に 注 意 を 払 っ た 方 法 を 用 い た こ と で あ る 。 具 体 的 に は 、 ま ず 、 多 く の 経 済 統 計 デ ー タ に つ い て 当 て は ま り の よ い 代 表 的 な A R I M A モ デ ル を 用 い て 、 異 常 値 の 自 動 探 索 を 行 う 。 そ こ で 検 出 さ れ た 異 常 値 を 調 整 す る ダ ミ ー 変 数 を 回 帰 式 に 取 り 入 れ て 、 曜 日 ・ う る う 年 調 整 の 各 種 の 方 法 ご と に A I C ( 赤 池 情 報 量 基 準 ) を 最 小 に す る も の と い う 基 準 で 最 適 な A R I M A モ デ ル を 選 択 し た 。 こ の 方 法 が 、 A I C や 季 節 調 整 値 の 安 定 性 と い う 面 で 、 従 来 の 適 用 方 法 に 比 べ て も 、 よ り 望 ま し い A R I M A モ デ ル と 回 帰 変 数 の 組 み 合 わ せ を 選 択 す る こ と を い く つ か の 統 計 デ ー タ に つ い て 例 と し て 示 し た 。 こ の 外 に 、今 回 の 検 討 作 業 で は 、曜 日 変 動 に つ い て も 、X - 1 2 - A R I M A に 組 み 込 ま れ て い る 土 曜 、 日 曜 だ け の 調 整 で は な く 、 日 本 の 祝 日 や ゴ ー ル デ ン ウ ィ ー ク も 織 り 込 ん だ 形 で ダ ミ ー 変 数 を 作 成 し て 曜 日 調 整 を 行 う 曜 日 調 整 方 法 ( 日 本 型 曜 日 調 整 ) も 試 み た 。 こ う し た 方 法 を 用 い て X - 1 2 - A R I M A を 各 種 の 経 済 統 計 デ ー タ に 適 用 し て 、 次 の よ う な 結 果 が 得 ら れ た 。 イ ) 曜 日 ・ う る う 年 変 動 を 明 ら か に 有 す る 経 済 統 計 デ ー タ に つ い て は 、X - 1 2 - A R I M A で 曜 日 ・ う る う 年 調 整 を 行 っ た 場 合 、 ほ ぼ 例 外 な く 、X - 11 よ り も 安 定 性 の 面 で 良 好 な 季 節 調 整 結 果 を も た ら す 。
− 6 − 明 ら か な 曜 日 変 動 を 有 し な い 経 済 デ ー タ で は 、X - 1 2 - A R I M A に よ る 季 節 調 整 を 行 う と 安 定 性 が 若 干 改 善 す る 系 列 ( 準 備 預 金 残 高 な ど ) も あ る が 、X - 11 に よ る 季 節 調 整 に 比 べ て 安 定 性 の 面 で 改 善 が 見 ら れ な い 系 列 ( 常 用 雇 用 指 数 、 マ ネ ー サ プ ラ イ (M2+ C D ) な ど ) や 、 か え っ て 安 定 性 が 低 下 す る も の ( 機 械 受 注 ( 船 舶 を 除 く 総 額 )、 建 設 工 事 受 注 額 な ど ) も あ る 。 ロ )曜 日 変 動 に つ い て 日 本 の 祝 日 な ど も 考 慮 し た 曜 日 調 整 の 方 式( 日 本 型 曜 日 調 整 )は 、今 回 取 り 上 げ た 統 計 デ ー タ に つ い て は 、土 曜 、 日 曜 の み を 考 慮 し た 曜 日 調 整 方 法 に 比 べ て よ い 結 果 を も た ら す 系 列 は 少 な か っ た が 、 日 銀 券 発 行 残 高 、 マ ネ ー サ プ ラ イ (M1) な ど に つ い て は 他 の 曜 日 調 整 方 法 よ り も 安 定 性 の 面 で よ り よ い 結 果 と な っ た 。 こ こ で 試 み た 日 本 型 曜 日 調 整 の 方 法 は 、 通 貨 の 流 通 残 高 の 季 節 調 整 に 有 効 で は な い か と 考 え ら れ る 。 ハ ) う る う 年 変 動 が ど の 程 度 、 統 計 的 に 有 意 で あ る か ど う か に つ い て は 、 デ ー タ 期 間 を 変 え る こ と に よ っ て か な り 変 わ り う る 。 し た が っ て 、 う る う 年 調 整 を す る 場 合 は 、 デ ー タ 期 間 を ど の よ う に と る か に つ い て も 注 意 を し な け れ ば な ら な い 。 6 . 官 庁 統 計 に お け る X- 12- A R I M A の 適 用 状 況 日 本 銀 行 で は 季 節 調 整 法 と し て の X - 1 2 - A R I M A を 、1 9 9 6 年 1 0 月 か ら マ ネ ー サ プ ラ イ 関 連 統 計 、 マ ネ タ リ ー ベ ー ス 統 計 、 日 本 銀 行 券 発 行 残 高 に つ い て 適 用 し 、ま た 、1 9 9 8 年 3 月 か ら 国 際 収 支 統 計 に つ い て 適 用 し て い る 。 最 近 で は 通 商 産 業 省 に お い て 、 公 表 統 計 の 季 節 調 整 法 が X- 12- ARIMA に 順 次 変 更 さ れ て い る 。ま ず 、1999( 平 成 11) 年 1 月 に 商 業 販 売 統 計 に お け る 季 節 調 整 法 が そ れ ま で の M I T I 法 か ら X - 1 2 - A R I M A に 変 更 さ れ た 。次 に 、第 3 次 産 業 活 動 指 数 に つ い て 1 9 9 9 年 6 月 に 1 9 9 5 年 基 準 に 改 定 し た 際 に 、 季 節 調 整 法 が そ れ ま で の M I T I 法 か ら
X - 1 2 - A R I M A に 変 更 さ れ た 。 ま た 、 鉱 工 業 指 数 に つ い て は 1 9 9 8 年 5 月 に 1 9 9 5 年 基 準 に 改 定 し た 際 に 季 節 調 整 方 法 が M I T I 法 か ら セ ン サ ス 局 法 X - 11( X - 1 2 - A R I M A の 中 の X - 11 )に 変 更 さ れ た 。さ ら に 、2 0 0 0 年 5 月 に 鉱 工 業 指 数 の う ち の 生 産 ・ 出 荷 及 び 稼 動 率 指 数 に つ い て 、 季 節 調 整 法 が X - 1 2 - A R I M A に 変 更 さ れ た 。我 が 国 の 経 済 統 計 の 中 で 景 気 変 動 と の 関 連 で 重 要 性 の 高 い 月 次 統 計 の 鉱 工 業 生 産 指 数 の 季 節 調 整 法 が X - 1 2 - A R I M A に 変 更 さ れ た こ と は 、 他 の 官 庁 統 計 に も 影 響 を 与 え 、 今 後 、季 節 調 整 法 に X - 1 2 - A R I M A を 採 用 す る 統 計 が 増 え て く る の で は な い か と 思 わ れ る 。
は じ め に
我 が 国 の 官 庁 統 計 に 適 用 さ れ る 季 節 調 整 法 は 、1 9 7 9 ( 昭 和 5 4 ) 年 ま で は 、 経 済 企 画 庁 の 開 発 し た E P A 法 、 通 商 産 業 省 の 開 発 し た M I T I 法 、 ア メ リ カ の 商 務 省 セ ン サ ス 局 が 開 発 し た セ ン サ ス 局 法 X - 11 の 3 つ が 使 わ れ て い た 。し か し 、1 9 7 9 年 9 月 に 統 計 審 議 会 か ら 発 表 さ れ た 「 今 後 の 季 節 調 整 法 の 適 用 基 準 」 に よ り 、 で き る だ け セ ン サ ス 局 法 X - 11 を 使 う よ う に と の 勧 告 が 出 た こ と に よ り 、 通 商 産 業 省 が 鉱 工 業 指 数 の 季 節 調 整 に M I T I 法 を 用 い る こ と を 唯 一 の 例 外 と し て 、 す べ て の 官 庁 統 計( 日 本 銀 行 を 含 む 。)に 用 い ら れ る 季 節 調 整 法 は セ ン サ ス 局 法 X- 11 と な っ た 。そ れ 以 来 、 最 近 ま で 、官 庁 統 計 の ほ ぼ 全 部 に つ い て 広 く 用 い ら れ て き た が 、最 近 に な っ て 、X - 11 に つ い て も い く つ か の 問 題 点 が 指 摘 さ れ る よ う に な っ た 。 ア メ リ カ の セ ン サ ス 局 で は 、1 9 6 5 年 に X - 11 を 公 表 し た あ と も 、 季 節 調 整 法 の 改 善 の 研 究 を 長 年 続 け て き て 、そ れ に 基 づ い て 新 た に 開 発 し た 季 節 調 整 法 X - 1 2 - A R I M A を 1 9 9 6 年 6 月 に 公 表 し た 。こ の と き に 公 表 さ れ た X - 1 2 - A R I M A は ベ ー タ ・ バ ー ジ ョ ン と 呼 ば れ た が 、 そ の 後 、1 9 9 8 年 2 月 に は 、 そ の 改 良 版 の フ ァ イ ナ ル バ ー ジ ョ ン を 公 表 し た 。X - 1 2 - A R I M A は 、 上 に 述 べ た よ う な X- 11 の 問 題 点 を 解 決 す る こ と を ね ら い と し た 季 節 調 整 法 で あ る 。 X - 1 2 - A R I M A が 公 表 さ れ て 以 来 、 日 本 で も 、 そ れ を 日 本 の 経 済 統 計 に 適 用 し て 、X - 11 の 適 用 結 果 と 比 較 す る こ と が い く つ か 行 わ れ て き た 。 そ の う ち の 代 表 的 な も の と し て は 、 日 本 銀 行 の 木 村 武 氏 に よ る 一 連 の 研 究 と 、 総 務 庁 長 官 の 諮 問 機 関 で あ る 統 計 審 議 会 の 経 済 指 標 部 会 に 1 9 9 6( 平 成 8 ) 年 6 月 に 設 置 さ れ た 「 季 節 調 整 法 検 討 小 委 員 会 」 に よ る 検 討 結 果 が あ る 。 本 論 文 は 、 こ れ ら の 検 討 結 果 を 踏 ま え て 、 従 来 の X - 1 2 - A R I M A の 適 用 方 法 と は や や 異 な る 方 法 に よ っ て X - 1 2 - A R I M A を 日 本 の 経 済 統 計 に つ い て 適 用 し 、X - 11 に よ る 季 節 調 整 の 場 合 と そ の 結 果 を 比 較 し て− 10 − 検 討 し 、X- 12- A R I M A の 機 能 を 改 め て 評 価 し た も の で あ る 。 本 論 文 の 草 稿 に つ い て 2 0 0 0 年 4 月 1 3 日 に ワ ー ク シ ョ ッ プ を 開 催 し て 、一 橋 大 学 経 済 研 究 所 渡 辺 努 助 教 授 か ら コ メ ン ト を い た だ い た が 、 そ の コ メ ン ト は p .105 ∼ 110 に 収 録 し て い る 。貴 重 な コ メ ン ト を い た だ い た 渡 辺 助 教 授 に 深 く 感 謝 す る 次 第 で あ る 。 X - 1 2 - A R I M A の プ ロ グ ラ ム は 、 ア メ リ カ 商 務 省 セ ン サ ス 局 の ホ ー ム ペ ー ジ(h t t p : / / w w w . c e n s u s . g o v / p u b / t s / x 1 2 / f i n a l / p c )か ら ダ ウ ン ロ ー ド し て 入 手 す る こ と が で き る 。今 回 の 検 討 作 業 に 用 い た プ ロ グ ラ ム は 、 セ ン サ ス 局 の 了 解 を 得 た 上 で 、1 9 9 8 年 度 に 経 済 企 画 庁 経 済 研 究 所 が 経 済 企 画 庁 の メ イ ン フ レ ー ム ・ コ ン ピ ュ ー タ ー に 移 植 し た X - 1 2 - A R I M A の プ ロ グ ラ ム を 用 い た 。 こ の プ ロ グ ラ ム の バ ー ジ ョ ン は 、1 9 9 8 年 1 2 月 に 公 表 さ れ た X - 1 2 - A R I M A 、 f i n a l v e r s i o n 0. 2 . 2 で あ る 。 セ ン サ ス 局 の ホ ー ム ペ ー ジ 上 で 公 開 さ れ て い る X - 1 2 - A R I M A の プ ロ グ ラ ム は 、 最 近 で も 3 ∼ 4 か 月 ご と く ら い に 改 訂 バ ー ジ ョ ン が 公 表 さ れ て い る (2 0 0 0 年 5 月 現 在 で は 、 同 年 5 月 1 9 日 に 公 表 さ れ た v e r s i o n 0. 2 . 7 が 最 新 版 ) が 、 い ず れ も 軽 微 な 修 正 で 、 基 本 的 な 部 分 は 変 わ っ て い な い 。 な お 、 本 論 文 の 題 名 「 季 節 調 整 法 の 比 較 研 究 ─ セ ン サ ス 局 法 X - 1 2 - A R I M A の 我 が 国 経 済 統 計 へ の 適 用 ─ 」 は 、 季 節 調 整 法 の X - 1 2 - A R I M A と X - 11 の 比 較 は も ち ろ ん の こ と で あ る が 、そ の 外 に も 、 X - 1 2 - A R I M A を デ ー タ に 適 用 す る 方 法 の 比 較 、 曜 日 調 整 や う る う 年 調 整 の 方 法 の 比 較 、 各 種 の 経 済 統 計 デ ー タ に 季 節 調 整 法 を 適 用 し た と き の 結 果 の 比 較 な ど 、X - 1 2 - A R I M A に 関 連 し て 、 さ ま ざ ま な 意 味 で 比 較 を し な が ら 検 討 し て い る と い う 意 味 で 、 こ う し た 題 名 を 付 け さ せ て い た だ い た 。
第 1 章 季 節 調 整 法 の 基 本 的 考 え 方
第 1 節 経 済 時 系 列 デ ー タ の 変 動 要 因 経 済 時 系 列 デ ー タ に 見 ら れ る 変 動 は 、 さ ま ざ ま な 要 因 に よ っ て 生 じ る が 、 通 常 は 次 の 4 つ の 変 動 成 分 に 分 け て 考 え ら れ る こ と が 多 い 。 イ ) 長 期 変 動 ( ト レ ン ド 、 傾 向 変 動 、 趨 勢 変 動 ) 長 期 に わ た る 基 本 的 な 変 動 方 向 を 表 す も の で 、 比 較 的 単 純 で 規 則 的 な 形 を 示 す 。 グ ラ フ の 上 で は 、 直 線 あ る い は 滑 ら か な 曲 線 を 当 て は め て 考 え る 。 ロ ) 短 期 変 動 ( サ イ ク ル 、 循 環 変 動 ) 経 済 に お け る 景 気 変 動 に 代 表 さ れ る よ う な 動 き で 、 長 期 変 動 を 表 す 線 を 中 心 に し て 上 昇 、 下 落 を 繰 り 返 す 波 状 変 動 で あ る 。 こ の 変 動 の 周 期 は 一 定 で は な い が 、 2 ∼ 3 年 以 上 で あ る の が 普 通 で あ る 。 ハ ) 季 節 変 動 1 年 を 周 期 と し て 比 較 的 規 則 正 し く 繰 り 返 す 変 動 で あ る 。 そ の 要 因 を 大 別 す る と 、 自 然 的 要 因 ( 暑 さ 、 寒 さ 、 農 作 物 の 収 穫 期 な ど ) や 社 会 的 制 度 ・ 慣 習 に よ る 要 因 ( お 中 元 、 お 歳 暮 、 ク リ ス マ ス 、 ゴ ー ル デ ン ウ ィ ー ク 、 夏 休 み 、 企 業 の 決 算 期 、 年 末 決 済 な ど ) に 分 け る こ と が で き る 。 ニ ) 不 規 則 変 動 地 震 や 戦 争 の よ う な 突 発 的 要 因 に よ っ て 起 こ る 経 済 変 動 の 連 続 性 の 中 断 に よ る 変 動 と 、 以 上 の 3 つ の 変 動 の い ず れ に も 含 ま れ な い 、 何 の 規 則 性 も な い よ う な 変 動 が 、 こ こ で い う 不 規 則 変 動 に 含 ま れ る 。 平 時 の 場 合 は 、 通 常 、 振 幅 の 小 さ い 非 規 則 的 な 変 動 で あ る 。− 12 − 経 済 時 系 列 デ ー タ の 原 系 列 を Ytと 表 し 、上 記 の 長 期 変 動 、短 期 変 動 、 季 節 変 動 、不 規 則 変 動 の そ れ ぞ れ を Tt,Ct,St,Itと 表 す と 、原 系 列 Yt が こ れ ら 4 つ の 変 動 成 分 の 結 合 の 仕 方 が 加 法 的 で あ る か 、 乗 法 的 で あ る か に よ り 、 次 の よ う な 加 法 モ デ ル と 乗 法 モ デ ル を 考 え る こ と が で き る 。 加 法 モ デ ル Yt=Tt+Ct+St+It 乗 法 モ デ ル Yt=Tt×Ct×St×It 後 述 す る 季 節 調 整 の 手 法 に お い て は 、 通 常 、 長 期 変 動 ( ト レ ン ド ) と 短 期 変 動 ( サ イ ク ル ) は 分 離 し な い で ま と め て 扱 い 、 モ デ ル は そ れ ぞ れ 次 の よ う な 形 に な る 。 加 法 モ デ ル Yt= T Ct+ St+ It 乗 法 モ デ ル Yt= T Ct× St× It 経 済 統 計 デ ー タ の 中 に は 、 原 系 列 が こ れ ら の 変 動 成 分 以 外 に 、 曜 日 変 動 成 分 を 加 え た 形 で 構 成 さ れ る と 考 え た 方 が よ い 場 合 が あ る 。 曜 日 変 動 と は 、毎 月 の 曜 日 構 成 の 相 違( 例 え ば 、日 曜 日 が 月 に 何 回 あ る か ) に よ っ て 企 業 の 売 上 高 や 生 産 量 に 生 じ る 変 動 で あ り 、 百 貨 店 売 上 高 や 生 産 指 数 な ど に 見 ら れ る 。 曜 日 変 動 成 分 を Dtと す る と 、 曜 日 変 動 成 分 を 考 慮 し た 場 合 の モ デ ル は 、 そ れ ぞ れ 次 の よ う な 形 に な る 。 加 法 モ デ ル Yt= T Ct+ St+ Dt+ It 乗 法 モ デ ル Yt= T Ct× St× Dt× It 産 業 の 生 産 量 や 家 計 の 消 費 支 出 な ど 、 通 常 の 経 済 時 系 列 デ ー タ で は 、 そ の 水 準 が 高 ま る に つ れ て 、 季 節 変 動 や 不 規 則 変 動 の 分 散 も 大 き く な る こ と が 普 通 な の で 、 乗 法 モ デ ル が 当 て は ま る こ と が 多 い と 考 え ら れ る 。 在 庫 品 増 加 額 な ど の よ う に マ イ ナ ス の 値 を と る 場 合 が あ る も の に つ い て は 、 加 法 モ デ ル を 用 い る 必 要 が あ る 。
第 2 節 季 節 変 動 の 発 生 要 因 季 節 変 動 が ど の よ う な 要 因 か ら 発 生 す る か に つ い て 改 め て 考 え る と 、 次 の よ う な 要 因 が 挙 げ ら れ る 。( 田 原 [22] に よ る ) イ ) 自 然 条 件 に よ る 季 節 変 動 天 候 や 気 温 な ど 自 然 現 象 の 変 化 に よ る も の で 、 例 え ば 、 寒 冷 地 で は 冬 季 に な る と 、 農 作 物 を は じ め 種 々 の 生 産 活 動 が 停 滞 す る 。 ロ ) 営 業 日 数 に よ る 季 節 変 動 年 末 ・ 年 始 の 休 暇 、 ゴ ー ル デ ン ウ ィ ー ク 、 お 盆 休 み な ど 、 こ れ ら の 月 は 他 の 月 に 比 べ て 営 業 ( 稼 動 ) 日 数 が 少 な く な る 。 ハ ) 経 営 条 件 に よ る 変 動 決 算 期 に な る と 、 経 営 成 績 上 の 観 点 か ら 売 上 高 や 受 注 高 を 増 加 さ せ た り 、資 金 需 要 が 増 加 す る な ど 、定 期 的 な 変 動 が 発 生 す る 。 ニ ) 需 要 面 か ら の 影 響 に よ る 季 節 変 動 6 、 7 月 や 1 2 月 の ボ ー ナ ス 月 に な る と 個 人 消 費 が 急 増 し 、 ま た こ れ に 応 じ て 消 費 財 の 生 産 、売 上 げ 、在 庫 が 季 節 的 に 変 動 す る 。 ホ ) 供 給 面 か ら の 影 響 に よ る 季 節 変 動 原 料 、 資 材 、 動 力 な ど の 季 節 的 な 制 約 に よ っ て 、 こ れ ら を 使 用 す る 生 産 活 動 が 変 動 す る 。 こ れ ら の 季 節 的 な 変 動 は 、 時 間 を 通 じ て 変 わ ら な い も の で は な く 、 時 間 の 経 過 に よ っ て 経 済 的 ・ 社 会 的 な 条 件 が 変 化 し て 、 季 節 変 動 の パ タ ー ン も 少 し ず つ 変 化 し て い く も の と 考 え ら れ る 。 第 3 節 季 節 調 整 の 必 要 性 経 済 時 系 列 デ ー タ ( 月 次 、 四 半 期 ) の 変 動 の う ち 季 節 変 動 成 分 を 除 去 し た 季 節 調 整 系 列 ( 季 節 調 整 済 み 系 列 、 季 節 調 整 値 ) を 求 め る 手 続
− 14 − き を 「 季 節 調 整 」 と い う 。 上 記 の よ う に 、 原 系 列 の 変 動 の う ち に 曜 日 変 動 も あ る と 考 え る 場 合 に は 、 そ れ も 広 い 意 味 で の 季 節 変 動 の 一 部 と し て 、曜 日 変 動 の 除 去 も 含 ん だ 意 味 で「 季 節 調 整 」と い う こ と も あ る 。 季 節 調 整 の 目 的 は 、 天 候 な ど の 自 然 的 要 因 や 社 会 的 制 度 ・ 慣 習 に よ る 要 因 等 に よ り 毎 年 季 節 的 に 繰 り 返 さ れ る 季 節 変 動 を 原 系 列 か ら 除 去 す る こ と に よ っ て 、 経 済 統 計 に 基 づ く 経 済 の 動 向 の 把 握 を よ り 的 確 に 行 う こ と に あ る 。
第 2 章 従 来 の 季 節 調 整 の 手 法
第 1 節 季 節 調 整 法 の 開 発 の 歩 み 季 節 調 整 法 の 研 究 は 、 戦 前 か ら ア メ リ カ や ヨ ー ロ ッ パ を 中 心 と し て 行 わ れ て き た 。 季 節 調 整 法 の 研 究 は 、 歴 史 的 に は 、 景 気 指 数 の 研 究 と 並 ん で 行 わ れ て き た 。ア メ リ カ の 統 計 学 者 パ ー ソ ン ズ(W. M . P e r s o n s ) は 1 9 1 9 年 に 連 環 比 率 法 ( l i n k r e l a t i v e m e t h o d ) と 呼 ば れ る 季 節 調 整 法 を 考 案 し た 。 こ の 方 法 は 、 先 に 述 べ た 時 系 列 変 動 の 乗 法 モ デ ル を 仮 定 し て お り 、 初 期 の 代 表 的 な 季 節 調 整 法 と し て 世 界 各 国 で 広 く 利 用 さ れ た 。 た だ し 、 連 環 比 率 法 は 、 季 節 変 動 の パ タ ー ン が 計 算 期 間 中 一 定 不 変 と 仮 定 す る 方 法 で あ っ た1。 こ れ に 対 し 、 季 節 変 動 パ タ ー ン の 年 々 の 変 化 を 織 り 込 ん で 、 よ り 現 実 の 経 済 に 即 し た 季 節 調 整 法 を 作 成 し よ う と い う 動 き が 全 米 経 済 研 究 所 (N B E R , N a t i o n a l B u r e a u o f E c o n o m i c R e s e a r c h ) を 中 心 に 進 め ら れ 、 同 研 究 所 の マ コ ー レ イ (F . R . M a c a u l a y ) が 1 9 3 1 年 に 、 今 日 で も 広 く 使 わ れ て い る 移 動 平 均 比 率 法 (the r a t i o - t o - m o v i n n g - a v e r a g e m e t h o d ) に よ る 季 節 調 整 法 を 開 発 し た 。 そ の 後 、 1 9 4 1 年 に は 、 米 国 連 邦 準 備 制 度 理 事 会 調 査 統 計 局 の バ ー ト ン (H . C . B a r t o n ) が 移 動 平 均 の 仕 方 を 改 良 し た バ ー ト ン 法 と 呼 ば れ る 季 節 調 整 法 を 考 案 し た 。 米 国 連 邦 準 備 制 度 理 事 会 で は 、 既 に 戦 前 に こ の 方 法 を 利 用 し て 、 生 産 、 雇 用 、 金 融 な ど の 統 計 に 季 節 調 整 を 行 っ て い た 。 第 2 次 大 戦 後 に は 、 電 子 計 算 機 の 発 達 に よ っ て 複 雑 な 移 動 平 均 の 組 み 合 わ せ や 繰 り 返 し 計 算 が 可 能 に な り 、 よ り 複 雑 で 高 度 な 手 法 の 季 節 1連 環 比 率 法 の 具 体 的 な 計 算 手 順 は 、 溝 口 ・ 浜 田 [3 1 ] p . 3 9 ∼ 4 2 、 黒 川[1 4 ]に 説 明 が あ る 。ま た 、本 節 は 主 に 黒 川[ 1 4 ]に 依 拠 し て い る 。− 16 − 調 整 方 法 の 開 発 も 可 能 に な っ た 。1 9 5 4 年 に は 、米 国 連 邦 議 会 で 経 済 統 計 の 有 効 性 に つ い て の 公 聴 会 が 開 か れ 、 戦 前 か ら 利 用 さ れ て き た 季 節 調 整 方 法 に つ い て の 問 題 点 が 指 摘 さ れ た 。こ う し た 動 き を 受 け て 、 N B E R の シ ス キ ン ( J u l i u s S h i s k i n ) が 米 国 商 務 省 セ ン サ ス 局 に 主 任 経 済 統 計 官 と し て 迎 え ら れ て 新 し い 季 節 調 整 法 の 研 究 に 着 手 し 、 移 動 平 均 法 を 基 礎 と し た 最 初 の 季 節 調 整 法 の 電 子 計 算 機 プ ロ グ ラ ム を 1 9 5 4 年 に 開 発 し た ( セ ン サ ス 局 法 I ) 。1 9 5 6 年 に は 、セ ン サ ス 局 は さ ら に 改 良 し た セ ン サ ス 局 法 I I と 呼 ば れ る 季 節 調 整 方 法 を 開 発 し た 。 こ の セ ン サ ス 局 法 は 、 X 文 字 (e x p e r i m e n t a l の 略 ) と 一 連 の 追 番 号 が 付 け ら れ て 順 次 改 良 版 が 開 発 さ れ て い っ た 。 こ の う ち 最 初 に 公 表 さ れ た も の が X - 3 ( 1 9 6 1 年 ) で 、 そ の 後 順 次 X - 8 ( 1 9 6 0 年 )、 X - 9 ( 1 9 6 1 年 )、X - 1 0( 1 9 6 1 年 )、 X - 11( 1 9 6 5 年 ) が 公 表 さ れ た 。 こ の う ち X - 11 は 、 こ の 時 期 ま で の セ ン サ ス 局 に お け る 季 節 調 整 法 の 開 発 の 過 程 に お い て 、1 つ の 頂 点 に 達 す る も の で あ っ た 。 季 節 調 整 法 と し て の X - 11 の 特 徴 は 、 イ ) 異 常 値 ( 特 異 項 ) の 処 理 に つ い て 、X- 10 ま で の 従 来 の セ ン サ ス 局 法 で は 、 異 常 値 を 全 く 除 外 し て 計 算 す る a l l - o r - n o t h i n g 的 な 処 理 で あ っ た の に 対 し て 、異 常 値 に 近 い 値 に は 、あ る 程 度 の 割 引 ウ ェ イ ト を 付 け て 計 算 す る な ど 、 新 し い 方 法 を 採 用 し て い る こ と 、 ロ ) 従 来 は 季 節 調 整 プ ロ グ ラ ム と は 一 応 切 り 離 し て 開 発 さ れ て き た 曜 日 調 整 法 を 、 季 節 調 整 プ ロ グ ラ ム に 組 み 込 ん だ こ と ( た だ し 、 計 算 手 順 の オ プ シ ョ ン の 1 つ で あ っ て 、 標 準 型 で は 曜 日 調 整 は 行 わ な れ な い )、 ハ ) ト レ ン ド ・ サ イ ク ル (T C ) 要 素 の 推 計 に 当 た り 、 従 来 用 い ら れ て き た 「 ス ペ ン サ ー の 1 5 項 移 動 平 均 」に 代 え て 、「 ヘ ン ダ − ソ ン の 移 動 平 均 」 と い う 新 し い 移 動 平 均 の 手 法 を 採 り 入 れ た こ と 、 な ど で あ る 。 こ の X - 11 は 、 ア メ リ カ を は じ め 、 O E C D 、 I M F な ど の 国 際 機 関 や 日 本 も 含 む 多 く の 国 で 広 く 利 用 さ れ る よ う に な っ た 。 X - 11 に つ い て の 基 本 的 文 献 は 、 J . S h i s k i n e t a l .[ 4 2 ] で あ る 。 日 本 語 で X - 11 の 特 徴 や 具 体 的 な 計 算 手 順 を 説 明 し て い る も の と し て 、
黒 川 [14]、 阿 部 他 [ 1] が あ る 。 第 2 節 我 が 国 の 官 庁 統 計 で 用 い ら れ て き た 季 節 調 整 の 手 法 我 が 国 で は 、 昭 和 2 0 年 代 の 後 半 か ら 3 0 年 代 に か け て 、 官 庁 統 計 に 季 節 調 整 法 が 適 用 さ れ る も の が 現 れ 始 め 、 原 系 列 と と も に 季 節 調 整 系 列 が 公 表 さ れ る よ う に な っ た 。通 商 産 業 省 の 鉱 工 業 指 数 に つ い て は 、 1 9 5 3 ( 昭 和 2 8 ) 年 1 0 月 に 公 表 さ れ た 。 1 9 5 0 ( 昭 和 2 5 ) 年 基 準 の 鉱 工 業 指 数 か ら 連 環 比 率 法 に よ る 季 節 調 整 指 数 を 作 成 ・ 公 表 す る よ う に な っ た 。ま た 、1 9 6 2( 昭 和 3 7 )年 1 0 月 に 公 表 さ れ た 1 9 6 0( 昭 和 3 5 ) 年 基 準 指 数 か ら は 、 通 商 産 業 省 で 鉱 工 業 指 数 に 適 し た 季 節 調 整 法 と し て 開 発 し た MITI 法 が 使 わ れ る よ う に な っ た 。 経 済 企 画 庁 の 国 民 所 得 統 計 に つ い て は 、 現 在 の と こ ろ 、 季 節 調 整 値 が 最 初 に 公 表 さ れ た こ と が 確 認 で き る の は 、1 9 6 1 ( 昭 和 3 6 ) 年 2 月 に 発 行 さ れ た 『 昭 和 3 4 年 国 民 所 得 白 書 』 で あ り 、 そ こ で は 、 連 環 比 率 法 を 用 い て 季 節 調 整 さ れ た 四 半 期 計 数 が 掲 載 さ れ て い る 。 そ の 後 、 経 済 企 画 庁 で は 、1 9 5 7 ( 昭 和 3 2 ) 年 に ア メ リ カ 商 務 省 セ ン サ ス 局 で 開 発 さ れ た セ ン サ ス 局 法 I I . X- 3 の プ ロ グ ラ ム を 基 礎 と し て 、 こ れ を 小 型 電 子 計 算 機 で も 処 理 で き る よ う に 簡 便 化 し 、 我 が 国 の 経 済 統 計 に 合 う よ う に 改 良 し た 季 節 調 整 法 の 開 発 作 業 を 行 い 、1 9 6 3 ( 昭 和 3 8 ) 年 6 月 に E P A 法 を 開 発 し た 。 経 済 企 画 庁 で は 、1 9 6 6 ( 昭 和 4 1 ) 年 4 月 に 国 民 所 得 統 計 を 、 国 連 に よ っ て 示 さ れ た 標 準 的 な 方 式 ( 今 日 で は 「 旧 S N A 」 と 呼 ば れ る 方 式 ) に 移 行 し た 機 会 に 、 国 民 所 得 統 計 に 適 用 す る 季 節 調 整 法 を 、 そ れ ま で の 連 環 比 率 法 か ら E P A 法 に 変 更 し た 。 連 環 比 率 法 は 、 季 節 変 動 の パ タ ー ン が 毎 年 一 定 不 変 と の 前 提 を 置 く も の で あ っ た が 、 E P A 法 で は 季 節 変 動 の パ タ ー ン が 年 を 追 っ て 変 化 し て い く と い う 前 提 に 立 つ も の で あ り 、経 済 構 造 変 化 の 大 き い 我 が 国 経 済 の 実 態 に よ り 即 し た 方 法 で あ っ た 。
− 18 − 経 済 企 画 庁 で は さ ら に 、1 9 7 8( 昭 和 5 3 ) 年 8 月 の 国 民 所 得 統 計 の 国 民 経 済 計 算 体 系 (「 新 S N A 」) へ の 移 行 に 際 し て 、 季 節 調 整 方 法 に つ い て は 国 際 的 に 広 く 使 わ れ て い る 方 法 を 用 い る と の 観 点 か ら 、 セ ン サ ス 局 法 II. X- 11 に 変 更 し た 。 1 9 7 9( 昭 和 5 4 ) 年 初 め ご ろ の 我 が 国 で 公 表 さ れ る 統 計 に 使 用 さ れ て い る 季 節 調 整 法 を 見 る と 、 次 の よ う に 3 つ の 方 法 が 用 い ら れ て い た 。 イ ) セ ン サ ス 局 法 (X- 11) 日 本 銀 行( 通 貨 、金 融 、国 際 収 支 等 )、経 済 企 画 庁( S N A 統 計 )、 総 理 府 ( 家 計 調 査 、 労 働 力 調 査 ) ロ ) E P A 法 (X- 4C 及 び X- 8) 経 済 企 画 庁 ( 機 械 受 注 等 )、 大 蔵 省 、 労 働 省 、 建 設 省 の 各 所 管 統 計 ハ ) M I T I 法 (III) 通 商 産 業 省 ( 鉱 工 業 指 数 、 商 業 販 売 額 指 数 等 ) 第 3 節 1 9 7 9 年 9 月 の 統 計 審 議 会 経 済 指 標 部 会 報 告 こ の よ う に 官 庁 に よ っ て 適 用 さ れ る 季 節 調 整 法 が 異 な っ て い る と 、 1 9 7 3 ∼ 7 4 年 の 石 油 危 機 時 の よ う に 、 経 済 の 実 態 に 大 き な 変 動 が 生 じ た 場 合 に 、 そ れ ぞ れ の 季 節 調 整 系 列 の 動 き に 不 整 合 が 生 じ て 、 経 済 の 現 状 を 的 確 に 判 断 す る 上 で 支 障 が 生 じ る の で は な い か と い う 問 題 点 が 提 起 さ れ る よ う に な っ た 。 こ の た め 、 行 政 管 理 庁 長 官 の 諮 問 機 関 で あ っ た 統 計 審 議 会 で は 、1 9 7 8( 昭 和 5 3 ) 年 1 0 月 3 日 に 開 催 さ れ た 経 済 指 標 部 会 の 決 定 に 基 づ き 、 小 委 員 会 を 設 け て 、 当 時 、 我 が 国 で 利 用 さ れ て い た 3 種 類 の 季 節 調 整 法 を 比 較 し て 検 討 す る こ と に な っ た 。 こ の 小 委 員 会 は 、 経 済 指 標 部 会 の 専 門 委 員 を せ れ て い た 溝 口 敏 行 ・ 一 橋 大 学 教 授 を 委 員 長 と し 、 総 理 府 統 計 局 、 経 済 企 画 庁 、 通 商 産 業 省 及 び 日 本 銀 行 の 委 員 が 出 席 し 、行 政 管 理 庁 が 事 務 局 を 務 め た 。小 委 員 会 は 、
1 9 7 8 年 1 1 月 か ら 1 9 7 9 年 4 月 ま で に 5 回 開 催 さ れ て 検 討 が 行 わ れ 、 検 討 結 果 を 報 告 書 に と り ま と め た 。 そ の 報 告 を 受 け て 、 経 済 指 標 部 会 で は 1 9 7 9 ( 昭 和 5 4 ) 年 9 月 4 日 に 、 今 後 の 季 節 調 整 法 の 適 用 に つ い て 、 次 の よ う な 勧 告 を 行 う 部 会 報 告 (「 季 節 調 整 法 に つ い て 」) を と り ま と め た 。 1 . 新 し く 季 節 調 整 法 を 適 用 す る 場 合 に は 、 セ ン サ ス 局 法 を 使 用 す る 。 2 . 現 在 、 セ ン サ ス 局 法 以 外 の 方 法 を 適 用 し て い る 指 標 は 、 な る べ く 早 い 時 期 を 選 ん で 、 セ ン サ ス 局 法 に 切 り 換 え る こ と を 十 分 考 慮 す る 。 な お 、 鉱 工 業 諸 指 数 に 適 用 し て い る M I T I 法 の 使 用 は 、 そ の 開 発 の 経 緯 等 か ら み て 、 差 し 当 た り 現 状 の ま ま と す る 。 ( 以 下 、 略 ) こ の 部 会 報 告 は 、 そ の 後 、 同 年 9 月 2 1 日 の 統 計 審 議 会 で も 了 承 さ れ 、 我 が 国 の 政 府 関 係 諸 機 関 が 季 節 調 整 法 を 適 用 す る 際 の 指 針 と な っ た 。 こ れ を 受 け て 、 セ ン サ ス 局 法 以 外 の 季 節 調 整 法 を 使 用 し て い た 諸 官 庁 は 、 例 外 を 認 め ら れ た 通 商 産 業 省 以 外 は す べ て 季 節 調 整 法 を セ ン サ ス 局 法 に 逐 次 、変 更 を 行 い 、ほ と ん ど の 官 庁 統 計 ( 日 本 銀 行 を 含 む 。) に お い て セ ン サ ス 局 法 I I . X - 11 が 適 用 さ れ る と い う 状 況 が 最 近 ま で 続 い て き た 。 ( 以 下 の 記 述 に お い て は 、 セ ン サ ス 局 法 I I. X- 11 と い う 場 合 の II を 省 略 す る 。 ) 第 4 節 セ ン サ ス 局 法 X- 11 に つ い て 指 摘 さ れ る 問 題 点 こ の よ う に 我 が 国 の 官 庁 統 計 で は 2 0 年 以 上 に も わ た っ て セ ン サ ス 局 法 X - 11 が 広 く 使 わ れ て き た 。 し か し 、 近 年 に な っ て セ ン サ ス 局 法 X- 11 に つ い て も い く つ か の 問 題 点 が 指 摘 さ れ る よ う に な っ た 。 そ の 問
− 20 − 題 点 と し て は 、 次 の よ う な こ と が あ る2。 イ ) 季 節 調 整 系 列 の 不 安 定 性 こ こ で 言 う 季 節 調 整 系 列 の 不 安 定 性 と は 、毎 月( 又 は 毎 四 半 期 )新 た に 入 手 し た デ ー タ を 元 の 時 系 列 デ ー タ に 追 加 し て 季 節 調 整 を 行 う と 、 季 節 調 整 系 列 が 過 去 に さ か の ぼ っ て か な り の 大 き さ で 改 訂 さ れ る こ と が あ る と い う こ と で あ る 。こ の よ う な 不 安 定 性 が 生 じ る 原 因 と し て は 、 次 の 2 つ が 挙 げ ら れ る 。 そ の 第 1 の 原 因 は 、 系 列 末 端 に お け る 移 動 平 均 の 問 題 で あ る 。 セ ン サ ス 局 法 は 、 原 系 列 に 対 し て い ろ い ろ な 形 で 移 動 平 均 を 適 用 す る こ と を 基 本 的 な 手 法 と す る 方 法 で あ り 、 通 常 の 移 動 平 均 で は 、 あ る 時 点 の デ ー タ の 前 後 数 項 が 移 動 平 均 さ れ る 。し か し 、系 列 の 末 端 に お い て は 、 移 動 平 均 に 必 要 な 前 後 の デ ー タ が そ ろ っ て い な い の で 、 通 常 の 方 法 で は 欠 項 が 生 じ る 。 そ こ で X - 11 で は 、 こ の よ う な 場 合 、 片 側 だ け の デ ー タ の 平 均 か ら 移 動 平 均 値 を 求 め て い る 。 そ の た め に 、 末 端 部 分 に 新 た な デ ー タ が 追 加 さ れ た と き に 、 移 動 平 均 値 が そ れ ま で の も の と か な り 変 わ る 場 合 も あ り 、 そ の よ う な 場 合 に は 季 節 調 整 系 列 が 大 き く 改 訂 さ れ る と い っ た こ と も 起 こ り う る こ と に な る 。 足 元 の 景 気 の 動 き を 見 る 際 に は 、 直 近 部 分 の 季 節 調 整 済 み 系 列 の 動 き が 重 要 な 判 断 材 料 と な る の で 、 こ う し た 季 節 調 整 値 の 不 安 定 性 は 大 き な 問 題 と な る 。 第 2 の 原 因 は 、 予 定 季 節 指 数 の 算 出 方 法 に つ い て の 問 題 で あ る 。 季 節 指 数 と は 、 季 節 変 動 成 分 を 指 数 で 表 し た も の で あ り 、 乗 法 モ デ ル の 場 合 、原 系 列 を 季 節 指 数 で 割 る こ と に よ り 季 節 調 整 系 列 が 求 め ら れ る 。 現 在 の 官 庁 統 計 で の 季 節 調 整 法 の 適 用 は 、毎 月( 又 は 毎 四 半 期 )、新 た な デ − タ が 追 加 さ れ る ご と に 季 節 調 整 を し 直 す の で は な く 、年 に 1 回 、 2 こ こ で の 問 題 点 と し て の 指 摘 事 項 は 、 主 と し て 、 木 村 [ 7 ]、 日 本 銀 行 調 査 統 計 局 [25]、 D . F.FINDLEY et al.[ 39] に よ る 。
新 た な デ ー タ が 1 年 分 そ ろ っ た 段 階 で 季 節 調 整 を し 直 す(「 季 節 調 整 替 え 」 と 呼 ば れ て い る 。) と い う 方 法 が と ら れ て い る 。 こ の 場 合 、 次 の 季 節 調 整 替 え が あ る ま で の 期 間 は 、 あ ら か じ め 季 節 指 数 を 算 出 し て 用 意 し て お く 必 要 が あ る 。X - 11 に お い て は 、あ ら か じ め 季 節 指 数 を 求 め た い 月 ( 四 半 期 ) の 前 年 同 月 ( 期 ) の 季 節 指 数 に 、 前 々 年 同 月 ( 期 ) か ら の 前 年 同 月( 期 )に か け て の 季 節 指 数 の 変 化 幅 の 2 分 の 1 を 加 え る こ と に よ り 、 今 後 1 年 分 の 各 月 の 予 定 季 節 指 数 ( 又 は 暫 定 季 節 指 数 と 呼 ぶ 。)が 算 出 さ れ る 。こ う し た 仮 定 は 、必 ず し も 妥 当 と は 言 え な い 場 合 も あ り 、 実 際 に も 、 実 績 値 が 出 た 段 階 で 算 出 さ れ る 季 節 指 数 が こ れ に 一 致 す る と は 限 ら な い の で 、 直 近 の 1 年 分 の デ ー タ を 追 加 し て 季 節 調 整 替 え を し た と き に 、 季 節 調 整 値 が 改 訂 さ れ る 度 合 い を 大 き く す る 1 つ の 要 因 と な っ て い る 。 ロ ) 異 常 値 の 扱 い 、 曜 日 調 整 へ の 不 十 分 な 対 応 X - 11 で は 、 デ ー タ の 中 に 異 常 値 ( 特 異 項 と も 呼 ば れ る 。) が あ っ た 場 合 の 修 正 方 法 と し て 、 ま ず 異 常 値 の 判 定 基 準 と し て 通 常 、上 限 ±2 . 5 σ 、 下 限 ±1 . 5 σ と い う 管 理 限 界 を 設 け る3。 次 に 、 こ の 2 つ の 管 理 限 界 の う ち 上 限 を 超 え る 不 規 則 変 動 成 分 に は ゼ ロ の ウ ェ イ ト を 付 け ( 完 全 に 除 去 す る )、上 限 と 下 限 間 は 0 か ら 1 ま で 直 線 的 に 変 化 す る ウ ェ イ ト を 付 け 、 下 限 以 内 の 成 分 に は 1 の ウ ェ イ ト を 付 け る と い う 方 法 で 異 常 値 の 修 正 を 行 っ て い る 。 こ の 異 常 値 の 修 正 方 法 に つ い て は 、 管 理 限 3 こ こ で の σ は 、 不 規 則 要 素 の 時 系 列 か ら 算 定 さ れ る 5 か 年 間 の 移 動 標 準 偏 差 で あ る 。 こ こ で 「 移 動 標 準 偏 差 」 と い う の は 、 次 の よ う に し て 算 出 さ れ る 。 例 え ば 、 1 0 年 間 の デ ー タ に つ い て 移 動 標 準 偏 差 を 求 め る に は 、 1 年 目 か ら 5 年 目 ま で の 5 か 年 間 ( 6 0 か 月 ) の 不 規 則 要 素( I ) の 標 準 偏 差 を 求 め 、 そ れ を 中 心 年 ( 3 年 目 ) に 適 用 す る 「 移 動 標 準 偏 差 」 と す る 。 同 様 に 、 計 算 期 間 を 2 年 目 か ら 6 年 目 、 3 年 目 か ら 7 年 目 と い う よ う に 順 次 計 算 し 、 4 年 目 か ら 8 年 目 の 移 動 標 準 偏 差 と す る 。 最 初 と 最 後 の 各 2 年 間 は 中 心 年 と な ら な い た め に 、 そ れ ぞ れ 1 年 目 か ら 5 年 目 、 6 年 目 か ら 1 0 年 目 の 標 準 偏 差 を 用 い る 。
− 22 − 界 や ウ ェ イ ト の 設 定 の 仕 方 に 統 計 理 論 的 に 十 分 な 根 拠 が な く 、 そ れ ら の 設 定 の 仕 方 に よ り 、 異 常 値 修 正 の 結 果 が 変 わ っ て し ま う こ と が 問 題 点 と し て 指 摘 さ れ て い る 。 曜 日 調 整 に つ い て は 、X - 11 で は オ プ シ ョ ン に よ る 選 択 と な っ て お り 、 標 準 的 な プ ロ グ ラ ム で は 適 用 さ れ な い こ と に な っ て い る 。 こ の た め 、 経 済 企 画 庁 の S N A 統 計 に つ い て の X - 11 の 適 用 に お い て も 、 曜 日 調 整 の ス テ ッ プ は 適 用 さ れ て い な い 。ま た 、X - 11 の 曜 日 調 整 の 方 法 は 、( a ) 「 異 常 値 を 修 正 し た 暫 定 不 規 則 成 分 」 に 対 し て 行 う た め 、 異 常 値 を 修 正 す る 際 の 管 理 限 界 の 設 定 い か ん に よ り 、 曜 日 変 動 に 関 す る 情 報 が ゆ が め ら れ た り 、削 除 さ れ た り す る 可 能 性 が あ る こ と 、( b ) 暫 定 不 規 則 成 分 は 移 動 平 均 の 過 程 で ス ム ー ズ 化 さ れ て 自 己 相 関 を 持 つ よ う に な る 場 合 が 多 い の で 、 そ の 後 の 回 帰 式 を 推 計 す る 方 法 に よ る 曜 日 変 動 成 分 の 抽 出 に は 、 デ ー タ の 統 計 的 性 質 上 、 適 さ な い 、 と い っ た こ と が 指 摘 さ れ て い る 。 ハ ) レ ベ ル シ フ ト の 処 理 レ ベ ル シ フ ト と は 、 デ ー タ の 値 の 水 準 が あ る 時 点 を 境 に 急 に 上 昇 又 は 下 降 す る こ と で あ る 。 こ れ は 、 例 え ば 、 消 費 税 の 導 入 ( 又 は 税 率 の 引 き 上 げ ) の 前 後 で 物 価 指 数 の 水 準 が 急 に 上 昇 す る よ う な と き に 見 ら れ る 。X - 11 は 、こ う し た レ ベ ル シ フ ト へ の 対 処 の 機 能 を 持 っ て い な い 。 そ の た め 、 レ ベ ル シ フ ト が あ っ た と し て も 、 そ の ま ま 移 動 平 均 が 行 わ れ 、 レ ベ ル シ フ ト が あ っ た 時 点 の 近 辺 の 季 節 調 整 値 に ゆ が み を 生 じ さ せ る お そ れ が あ る 。
第 3 章 セ ン サ ス 局 法
X-12-ARIMA の 開 発 ・ 公 表 と そ の 特 徴
第 1 節 セ ン サ ス 局 法 X- 12- A R I M A の 開 発 ・ 公 表 ア メ リ カ 商 務 省 セ ン サ ス 局 で は 、 セ ン サ ス 局 法 X - 11 の 公 表 後 も さ ら に 季 節 調 整 法 の 研 究 ・ 開 発 を 進 め 、X - 11 の 改 良 版 で あ る セ ン サ ス 局 法 X - 1 2 - A R I M A を 1 9 9 6 ( 平 成 8 ) 年 6 月 に 公 表 し た 。 こ の 時 、 公 表 さ れ た の は 、ベ ー タ ・ バ ー ジ ョ ン(B e t a v e r s i o n)と 呼 ば れ る も の で 、 そ の 後 、1 9 9 8 ( 平 成 1 0 ) 年 2 月 に は フ ァ イ ナ ル ・ バ ー ジ ョ ン ( F i n a l v e r s i o n ) が 公 表 さ れ た が 、 基 本 的 な 部 分 に は 違 い は な い 。 X - 11 の プ ロ グ ラ ム は 我 が 国 で も 官 庁 や 日 本 銀 行 で は 入 手 で き た が 、 企 業 や 個 人 は 通 常 入 手 で き ず 、 ま た メ イ ン フ レ ー ム ・ コ ン ピ ュ ー タ ー で し か 使 え な か っ た の に 対 し 、X - 1 2 - A R I M A の プ ロ グ ラ ム は セ ン サ ス 局 の ホ ー ム ペ ー ジ か ら ダ ウ ン ロ ー ド し て 誰 で も 入 手 で き 、 パ ソ コ ン 上 で 使 用 で き る よ う に な っ た 。 第 2 節 X- 12- ARIMA の 特 徴 季 節 調 整 法 と し て の X - 1 2 - A R I M A の 特 徴 と し て は 、次 の 3 つ の 点 が 挙 げ ら れ る 。 ま ず 第 1 に は 、 季 節 調 整 を 行 う 前 の 事 前 調 整 と し て 、 R E G A R I M A ( レ グ ア リ マ )と 呼 ば れ る 時 系 列 モ デ ル に よ り 異 常 値 や レ ベ ル シ フ ト 、 曜 日 変 動 等 を 推 計 し 、 こ れ ら を あ ら か じ め 原 系 列 か ら 除 去 す る と い う 点 で あ る4。こ れ に よ っ て 、異 常 値 等 の 混 入 に よ り 季 節 調 整 系 列 が 不 安 4 R E G A R I M A は 、“R E G r e s s i o n a n d A R I M A ”の 略 で 、回 帰 式 と A R I M A モ デ ル の 組 み 合 わ せ と い う 意 味 で あ る 。な お 、A R I M A ( A u t o r e g r e s s i v e− 24 − 定 化 す る こ と を 是 正 す る 効 果 が 期 待 さ れ る 。 第 2 に は 、R E G A R I M A を 用 い て 原 系 列 の 予 測 値 を 推 計 し た 上 で 、 こ の 予 測 値 と 原 系 列 を つ な い だ 系 列 に 対 し て 季 節 調 整 を 行 う こ と に よ り 、 デ ー タ の 末 端 部 分 に つ い て も 、 片 側 移 動 平 均 で は な く 、 両 側 の デ ー タ を 用 い た 移 動 平 均 が で き る 。 こ れ に よ り 、 末 端 部 分 で の 移 動 平 均 に よ る ゆ が み が 少 な く な り 、 季 節 調 整 系 列 の 安 定 化 に 寄 与 す る も の と 考 え ら れ て い る 。5 第 3 に は 、 季 節 調 整 し た 結 果 に つ い て 、 統 計 的 な 分 析 な ど に よ り 、 適 切 に 季 節 調 整 が 行 わ れ て い る か を 診 断 す る 機 能 が 付 い て い る こ と で あ る 。 な お 、X - 11 の 場 合 に 問 題 点 と し て 指 摘 し た 予 測 季 節 指 数 に つ い て は 、 X - 1 2 - A R I M A の 場 合 は 、 季 節 変 動 パ タ ー ン の 可 変 性 を 織 り 込 み つ つ 、 最 低 1 年 分 ( ユ ー ザ ー は 1 年 か ら 5 年 ま で の 期 間 が 指 定 で き る 。) の 予 測 値 を R E G A R I M A で 推 計 し た 上 で 、こ の 予 測 値 部 分 に 対 し て X - 11 を 適 用 し て 推 計 し た 季 節 変 動 成 分 を 予 測 季 節 指 数 と し て 利 用 す る こ と が で き る 。 こ う し た X - 1 2 - A R I M A の 手 順 は 、 イ ) R E G A R I M A に よ る 原 系 列 の 事 前 調 整 パ ー ト 、 ロ ) 従 来 の X - 11 に よ る 移 動 平 均 パ ー ト 、 ハ ) 事 後 Integrated Moving Avera g e ) モ デ ル と は 、 時 系 列 デ ー タ の 変 動 を 、 自 己 の 過 去 の 変 動 と 、 純 粋 に 不 規 則 な 確 率 変 数 と の 1 次 結 合 と し て 表 し た も の で あ る 。 5 こ の 点 に 関 連 し て 、 東 京 大 学 の 国 友 直 人 教 授 の 次 の よ う な 指 摘 が あ る 。「 季 節 調 整 法 X - 1 2 - A R I M A に お い て R e g A R I M A モ デ リ ン グ を 用 い る と 推 定 さ れ た 季 節 A R I M A モ デ ル を 用 い て 予 測 値 を 得 る こ と が で き る 。 し た が っ て 、 原 時 系 列 デ ー タ を 将 来 ま で 外 挿 し 、 事 前 調 整 系 列 に 対 し て 対 称 移 動 平 均 フ ィ ル タ 関 数 を 適 用 す る こ と が 原 理 的 に は 可 能 と な る 。 こ の こ と か ら X - 1 2 - A R I M A 法 で は X - 11 法 よ り も よ り 適 切 に 原 時 系 列 に 対 し て 移 動 平 均 フ ィ ル タ ー を 適 用 す る こ と が で き る と 一 部 の エ コ ノ ミ ス ト は 主 張 し て い る よ う で あ る 。 し か し な が ら 、 こ う し た 主 張 は 単 に 見 か け 上 だ け の も の で あ り 、 季 節 A R I M A に よ る 予 測 値 を 用 い た 事 前 調 整 系 列 に 対 象 フ ィ ル タ 関 数 を 適 用 す る と 結 果 的 に は 直 近 部 分 の 原 時 系 列 デ ー タ に 対 す る 移 動 平 均 フ ィ ル タ 関 数 は 対 称 と な り え な い 特 長 が あ る と 考 え ら れ る 。」( 国 友 [12] p .29)
診 断 パ ー ト 、 の 3 つ の パ ー ト か ら 成 り 立 っ て い る ( 第 3 −1 図 参 照 )。 そ れ ぞ れ の パ ー ト に つ い て 詳 し く 見 る と 、 ま ず 第 1 の パ ー ト で は 、 R E G A R I M A を 用 い て 、原 系 列 を A R I M A モ デ ル で 表 現 で き る 部 分 と 異 常 値 、 曜 日 変 動 等 へ の 回 帰 部 分 と に 分 解 す る 。 そ の 上 で 、A R I M A モ デ ル で 表 現 で き る 部 分 と そ の A R I M A モ デ ル を 用 い て 推 計 し た 予 測 値 を つ な ぎ 合 わ せ た 「 事 前 調 整 済 み 系 列 」 を 作 成 す る 。 第 2 の パ ー ト で は 、 こ の よ う に し て 得 ら れ た 事 前 調 整 済 み 系 列 に 対 し て 、 従 来 の X - 11 に よ る 季 節 調 整 を 行 う 。 こ こ で は 、 デ ー タ の 末 端 で も 先 行 き の 予 測 値 を 用 い た 両 側 の 項 に よ る 移 動 平 均 が 可 能 で あ り 、 ま た 、 異 常 値 や 曜 日 変 動 等 に よ る 撹 乱 を 受 け る こ と が な い た め 、 移 動 平 均 に よ る 調 整 で 季 節 変 動 を よ り 適 切 に 除 去 で き る も の と 考 え ら れ て い る 。 第 3 の パ ー ト で は 、 季 節 性 が 過 不 足 な く 除 去 さ れ て い る か を 統 計 的 手 法 に よ り チ ェ ッ ク す る と と も に 、 季 節 調 整 系 列 の 安 定 性 に 関 す る 診 断 を 行 う 。 診 断 の 結 果 次 第 で は 、R E G A R I M A に お け る モ デ ル 化 の 方 法 等 を 再 検 討 し て 変 更 す る こ と に な る 。
− 26 − 第 3 節 R E G A R I M A の 構 造 R E G A R I M A の 構 造 を 数 式 で 表 す と 、 次 の よ う に な る 。 こ こ で 、 そ れ ぞ れ の 記 号 の 意 味 は 以 下 の と お り で あ る 。 こ の R E G A R I M A モ デ ル は 、 回 帰 式 と 、 乗 法 型 季 節 変 動 A R I M A モ デ ル を 組 み 合 わ せ た も の で あ る 。( こ の (3 ) の よ う な 乗 法 型 季 節 変 動 A R I M A モ デ ル は 、そ れ ぞ れ の 次 数 及 び 季 節 性 の 周 期 s を 示 す た め に 、 簡 便 に 、( p d q) ( P D Q )S 表 現 さ れ る 。) す な わ ち 、 原 系 列 ytの 回 帰 式( 2 ) 式 の 残 差 項 で あ る Ztは 、 原 系 列 か ら 回 帰 変 数 に よ り 説 明 さ れ る 変 動 を 取 り 除 い た 系 列 を 表 し て お り 、 R E G A R I M A は 、 こ の Ztが( 3 ) 式 の 乗 法 型 季 節 変 動 A R I M A モ デ ル に 従 う も の と し て 定 式 化 し た も の で あ る 。X - 1 2 - A R I M A で は 、 こ の よ う に (1) (2) (3)
原 型 列 ytを 回 帰 パ ー ト