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(5) A. E. Barrington, et al.: J. Vacuum Sci. and Tech., 3 (1966), 239. (1) F. Seitz and J. S. Koehler: Solid State Physics, (6) E. Gradsztajn, et al.:

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(1)

三*

1. 緒 言 最 近,各 種 材料 分野 か ら固 体 の微 小 部 に お け る微 量 分 析,お よび きわ め て うす い表 面 層 の分 析 を定 量 的 に行 な い た い とい う要 求 が 出 され,多 くの 研 究 者 に よ り強 力 に 研 究 が進 め られ てい る.こ れ は半 導 体 を は じめ とす る新 材料 の開 発 に 関 す る基 礎 研 究 が 強 力 に 推 進 され てい る こ とに 関 係が あ る もの と考 え られ る.こ こに記 す イオ ンマ イ ク ロアナ ラ イザ は この よ うな 背 景 の もpに 生 れ た もの で あ る. イ オ ン マ イ ク ロ アナ ライザ は 固 体表 面 に イオ ン ビー ム を照 射 した と きに 試料 か ら放 出 され る試 料 原 子 に よ る2 次 イ オ ンを 従 来 の 質量 分 析 計 を 用 い て,質 量 ・電 荷 比 に わ け て,試 料 の 元 素 分析 を 行 な う装 置で あ り,こ の 装 置 はIon Microanalyzer(IMA), Ion Microprobe Mass Analyzer(IMMA)お よ びSecondary Ion Emission Microanalyzer(SIEM)な ど と呼 ばれ て い る.筆 者 らは簡 単 の た めIon Microanalyzer略 し てIMAと 呼 んで い

る.

IMА の 機能 は従 来 のElectron Probe Microanalyzer (EPMA)と 類 似 す る もので,電 子 ビー ムのか わ りに イ オ ン ビー ムを,X線 分 析 部 を質 量 分 析 計 に 置 きか えた 装 置 と考 え られ る.し た が って そ の 応 用 分 野 もEPMAお よ び ス パ ー ク形 質量 分 析 計 と比 較 し て考 え る必 要 が あ る. 上 記 類 似 装 置 に 対 す るIMAの 共 通 の 特 徴 と し て次 の 点 が あげ られ る.(1)試 料 の取 り扱 い が 容易 で あ る.(2) 深 さ方 向 の濃 度 分 布 が 測 定 で き る.(3)軽 元 素 分 析 が可 能 で あ る.(4)薄 膜 また は 表 面 薄 層 の分 析 が可 能 で あ る.(5)情 報 量 が 多 い.(6)短 時 間 で 測定 で き る. イ オ ン照 射 を 行 な った と き のス パ ヅタ リング現 象 に 関 す る理 論的 な取 り扱 い は,早 くか らSeitzやKoehler(1) らに よ り行 な わ れ た が,当 時 は 信 頼 で き る実 験 デ ー タが 少 なか った.し か し最 近 の真 空 技 術 の進 歩 に よ り,理 論 と実 験 の対 応 が か な り よ くな り,実 験 デ ー タに も とづ く 理 論 的 取 り扱 い が 進 め ら れ る よ うに な り飛 躍 的 に 進 歩 し た.Honig(2),Shrachko(3),Lieb1(4),Barrington(5), Gradsztaln(6)な ら び にCollins(7)ら は 質 量 分 析 計 を 用 い て ス パ ッ タ現 象 に 対 す る 基 礎 研 究 を 行 な っ て き た が,こ れ ら の 一 連 の 研 究 の 中 でCastaing(8),な ら び にLieb1(9) に よ り開 発 さ れ たIMAは き わ め て 重 要 な も の で あ り, IMAの 一 つ の 方 向 を 示 し た も の で あ った. 本 稿 で は まずIMAで 利 用 す る二,三 の 基 礎 事 項 に つ い て 概 略 を 記 し,つ い で 装 置 の 概 要 と 分 析 限 界 を 左 右 す る 因 子 を 示 し,最 後 にIMAの 特 徴 を 生 か し た 応 用 例 に つ い て 記 述 す る. 2. 原 理 お よび装 置 の構 成 (1) 原理 お よび 基 本 事 項 高 エ ネ ル ギ ー の イオ ン ビー ム を試 料 に 照 射 す る と第1 図 に示 す よ うに,種 々の 中性 粒 子 や 荷 電 粒 子 が放 出 され る.こ れ ら の うちIMAで は 試 料 原 子 の ス パ ッ タ リン グ,2次 電 子 放 射 の 現 象 を利 用 す る.す なわ ち試 料 が1 次 イオ ン ビー ムの照 射 を うけ る と試 料 か ら試 料 原 子 が 放 出 され るが,そ の 一 部 は イ オ ン化 してお り,IMAで は 第1図  試 料 に イオ ン ビー ムを 照 射 した 場 合 に 起 る諸 現 象.実 線 はIMА で利 用 す る情 報

*株

式会社 日立製作所 中央研究所主任研究員

(1) F. Seitz and J. S. Koehler:

Solid State Physics,

Academic Press, New York, 2 (1936), 307.

(2) R. E. Honig: J. Appl. Phys., 29 (1958), 549

(3)

V. I. Shrachko, et al.: Soy. Phys. Solid State, 7

(1966), 1572.

(4) H. J. Liebl, et al.:

J. Appl. Phys., 34 (1963),

2893.

(5) A. E. Barrington, et al.:

J. Vacuum Sci. and

Tech., 3 (1966), 239.

(6) E. Gradsztajn, et al.: Earth Plan. Soc. Letters,

3 (1967), 387.

(7) T. L. Collins, et al.:

Advances in Mass

Spec-troscopY, 3 (1965), 169.

(8) R. Castaing, et al.:

Advances in Mass

Spec-troscopy, 3 (1965), 91.

(9) H. Liebl: J Appl. Phys., 38 (1967), 5277.

(2)

814

特集 ・状態分析 のための実験技術

第11巻 そ の2次 イ オ ンを従 来 の質 量 分 析 計 を利 用 して 質 量 ・電 荷 比 に わ け 試 料 の元 素 分析 を行 な う装 置 で あ る. IMAに 利 用 す る物 理 量 と して ス パ ッ タ リン グ効 率, 2次 イ オ ンお よび2次 電子 放 出能 が 重 要 で あ る.ス パ ッ タ リング効 率 は 入射1次 イオ ン ビー ムの 照 射 に よ り試 料 か らス パ ッ タされ た 原 子 の 放 出数 を 入 射1次 イオ ン の個 数 で 除 した 値 とし て定 義 され,そ の値 は,入 射1次 イ オ ン の種 類,タ ー ゲ ッ トを 構 成 して い る試 料 原 子 の種 類 お よび 結 晶 方 位 な どに よ り異 な る. Ro1ら(10)は 古 典 論 的 モ デ ル を使 っ て ス パ ッタ リング 効率Sを 次 式 で 与 え て い る.

(1)

こ こにR:入 射1次 イオ ン と ター ゲ ッ ト原子 の間 の最 近 接 距 離 す なわ ち衝 突 半 径 で あ る(11). n o:単 位 体 積 あ た りの ター ゲ ッ ト原子 の数 M1,M2:そ れ ぞ れ 入 射 イオ ン,タ ー ゲ ッ ト原子 の質 量 数 Eo:入 射1次 イ オ ンの 加 速 電圧 C:定 数 K:タ ー ゲ ッ トと入 射1次 イオ ンに 依 存 す る関 数 AlmenとBruce(12)は 不 活 性 ガ ス イオ ンを 用 い た 多 く の実 験 デ ー タか ら関 数Kを 実 験 的 に 検 討 した.そ の 結 果kは 入 射 イオ ン と ター ゲ ッ ト原 子 に 依存 し,次 式 で 与 え られ る こ とを 見 出 した.

(2)

こ こにa,bは 定 数(13)で あ り,EBは ター ゲ ッ ト原 子 の結 合 エ ネ ル ギ ーで あ る.こ のAlmenら の 拡 張 に よ り, 任 意 の元 素 の ス パ ッ タ リング 効 率 を算 出す る こ とが可 能 に な り,有 用 な結 果 が 与 え られ た.ス パ ヅ タ リン グ現 象 に 関 す る 詳 細 はKaminsky(14),Behrish(15)ら の 著 書 が 参 考 に な る. つ ぎに2次 イオ ン放 出能 に つ い て 記 す.固 体 また は ガ スに イ オ ン ビー ムを照 射 す る と ター ゲ ッ ト原 子 の一 部 が イ オ ン と して 放 出 され る ことが 原 子 散乱 の実 験 か ら明 ら か に な った(16)(17).入射 イ オ ン の運 動 エ ネ ル ギ ーは 衝突 に よっ て ター ゲ ッ ト原 子に 変 換 され るが,そ の一 部 は 弾 性 的 に,一 部 は 非 弾 性 的に 変 換 され る.前 者 で は ター ゲ ッ ト原 子 の放 出 に,後 者 で は電 子 の励 起 に そ の エ ネ ル ギ ー が 費や され る.す なわ ち電 子 が 励 起 され た場 合 に は準 安定 原 子 が 生成 され る こ とに な る.準 安 定状 態 の原 子 は 光 子 放 出 また は オ ー ジ ェ プ ロセ スに よ る電 子放 出 の いず れ か の過 程 を経 て 準 安 定 状 態 か ら緩 和状 態 に うつ る(18). も し も準安 定 原子 が 電 子 放 出 を 生ず る と正 イオ ンが 放 出 され る.こ の よ うに し て2次 イオ ンは生 成 され る もの と 考 え られ るが,2次 イ オ ン生 成 の メ カニ ズ ムに 関 して は 不 明 な点 が 多 い.2次 イ オ ン放 出 能 は1次 イ オ ン の個 数 に対 す る2次 イオ ンの 個数 の比 と して定 義 され る.放 出 され た2次 イ オ ンの数 は単 に 発 生 した イオ ンの個 数 に よ るの で は な ぐ,固 体 中 で 生 じ た イオ ンが試 料 表 面 を 去 る と きに 中性 化 され る こ とな くイ オ ン と して 生 き残 る確 率 に も依存 す る.イ オ ン と して 生 き残 り うる確 率 は試 料 原 子 と発 生 した イオ ン と の間 の 電 子 の 遷 移 確 率 が減 少 す れ ば す るほ ど増 加 す る.こ の 電子 の遷 移 確 率 は 試料 表 面 の仕 事 関 数 が 増 す と減 少 す る(19).し た が って2次 イ オ ン放 出能 は1次 イ オ ン と して 反 応 ガ スお よび 陰 性 元 素 イ オ ンを 用 い る こ とに よ り,ま た 反 応性 ガ ス雰 囲 気 中 に 試料 をお くこ とに よ り著 し く高 くで き る(20).ま た2次 負 イオ ン放 出 能 は 大部 分 の元 素 に 対 して正 イ オ ン放 出 能 よ り小 さ い値 を もっ の が 一 般 で あ るが,試 料 が 陰 性 元 素,例 えば.F,C1,O,Sな どに 対 して は 著 し ぐ大 きい 値 を示 す こ とが 実 験 か ら知 られ てい る.負 イオ ン の生 成 メ カ ニズ ムに つ い て も現 在 明確 な解 答 が 得 られ て い ない. (2) 投射 形IMA 投 射 形IMAは 初 めSlodzianとCastaingに よ り開 発 さ れ,Roubero1ら(21)に よ り改 良 が 加 え ら れ た.第2図 第2図  投 射 形IMA

(10) P. K. Rol, et al.: Physica, 26 (1960), 1009.

(11) N. Bohr: Kgl. Danske Videnskab. Selskab.

Mat.-Fys. Medd., 18, No.8 (1948).

(12) O. Almen and G. Bruce: Nuclear Instrum.

Methods, 11 (1961), 257.

(13) O. Almen and G. Bruce: Nuclear Instrum &

Methods, 11 (1961), 279.

(14) M. Kaminsky: Atomic and Ionic Impact

Pheno-mena on Metal Surfaces, Academic Press, New

York, (1965),

(15) R. Behrish: Erg. ex Natur. Wissensch., 25

(1965), 295.

(10) P. K. Rol, et al.: Physica, 26 (1960) ,1009.

(11) N. Bohr: Kgl. Danske Videnskab. Selskab.

Mat.-Fys. Medd., 18, No.8 (1948).

(12) O. Almen and G. Bruce: Nuclear Instrum. &

Methods, 11 (1961) 257.

(13) O. Almen and G. Bruce: Nuclear Instrum &

Methods, 11 (1961), 279.

(14) M. Kaminsky: Atomic and Ionic Impact

Pheno-mena on Metal Surfaces, Academic Press, New

York, (1965),

(15) R. Behrish: Erg. ex Natur. Wissensch., 25

(1965), 295.

(16) N. V. Fedorenko: Soy. Phys. -USP., 2 (1959),

526.

(17) G. H. Morgan, et al.: Phys. Rev., 128 (1962),

667.

(18) E. S. Parilis, et al.:

Soy. Phys. Solid State, 3

(1960), 885.

(19) C. A. Andersen:

Intern. J. Mass Spectr. Ion.

Phys., 2 (1967), 61.

(20) J. F. Hennequin: Le Jour. De Physique, 29 (1968),

655.

(21) J. M. Rouberol, et al.: Proc. 16th Annual ASTM

Conf. Mass Spec., Pittsburgh, Pa., (1968).

(3)

に装 置 の概 要 を示 す.構 成 は 主 に1次 イオ ン照 射 系,界 浸 レン ズ,磁 場,イ オ ン鏡,投 射 レ ンズ系,イ メー ジ コ ンバ ー タ,プ リズ ム磁 場 お よび2次 イ オ ン 検 出 系 か ら な っ て い る.1次 イオ ン照 射 系 は イオ ン ビー ム発 生 源 と ビー ムを 集 束 させ るた め の静 電 レ ンズか ら構 成 され て い る.試 料 上 で の ビー ム径 は200∼300μmで あ る.動 作 原理 はつ ぎ の通 りで あ る.1次 イオ ン ビ ーム の照 射 を う け て試 料 か ら放 出 され た2次 イオ ンは試 料 表 面 近 傍 に も うけ た界 浸 レン ズ に よ り加 速,集 束 され,磁 場 部 に 導 かれ る.こ こで 質量 電 荷 比 に わ け られ,イ オ ン鏡 に 導 入 され る.イ オ ン鏡 の役 割 は イ オ ンの エ ネ ル ギ ー選 択 を 行 な う こ とで あ る.し た が っ て イ オ ン鏡 を 出 た イ オ ンは 特 定 質 量 を も ち,か つ 特 定 エ ネ ル ギー を も った も のに 限 定 され る.イ オ ン鏡 を 出 た イ オ ン は 再 び磁 場 部 に 導 か れ 入 射時 と反 対 方 向 に 偏 向 され,投 射 レ ンズ 系 に 入射 され る.投 射 レン ズ系 は イ メー ジ コンバ ー タの位 置 に2次 イ オ ン像 を結 像 させ る働 きを す る.こ こで イオ ンは電 子 に 変 換 され,電 子 は 界 浸 レ ンズ に よ り逆 方 向 に 加速 され, プ リズ ム磁 場 を通 し て特 定 元 素に よる2次 イオ ン像 を 写 真 乾 板 お よび 螢光 板 上 に 結 ば せ るのに 利 用 され る.さ ら に2次 イオ ン像 の 中 の特 定 場 所 にお け る質 量 ス ペ ク トル の 測定 もで き る よ うに な って い る.こ の方 式 で は1次 イ オ ン ビー ム径 は 直 接 イオ ン像 の 分 解 能 に は 影 響 しな い が,ビ ー ムの 強 度 分布 は 像 の明 る さ,コ ン トラス トに影 響 を 与 え る. (3) 走 査 形IMA 走 査 形IMAはLieb1(22),田 村(23)らに よ り開発 され,主 な 構成 は走 査 形 イオ ン顕 微 鏡(以 後SIMと 略 す)と 二 重 収 束形 質 量 分 析 計 か ら成 っ て い る.第3図 に走 査 形IMA の 一例 を示 す.以 後 この装 置 に つ い て 説 明す る.走 査形 IMAは1次 イオ ン 照 射 系,2次 イ オ ン また は2次 電 子 検 出 器,偏 向系 お よびCRTか ら構 成 され て い る.二 重 収 束 形 質量 分 析系 は セ ク タ電 場 と セ ク タ磁 場お よび2次 イオ ン検 出器 か ら成 って い る.1次 イオ ン ビー ム照 射 系 は イオ ン ビー ム を発 生 させ,こ れ を レ ンズ 系 に よ り試 料 上 に 集 束 させ る役 割 を もつ.試 料 上 に お け る ビー ム径 は コン デ ンサ レ ンズ を調 整 す る こ とに よ り変 え られ ,μ ∼ 数100μ の間 で 任 意 に変 え られ る.動 作原 理 は試 料表 面 で 発 生 した2次 イオ ンを質 量 分 析 計 に 導 き,こ こで質 量 ・電 荷 比 の差 に よ ってわ け,試 料 の 元素 分析 を 行 な う こ とで あ る.IMAで は一 般 に二 重 収 束 形 質 量 分 析 計 が 使 わ れ て い るが,こ れ は2次 イオ ンの エ ネ ル ギ ーが か な り大 きな バ ラ ツキを もつ た め で あ る.2次 イオ ンの検 出 は2次 電 子増 倍管 な どに よ り行 な い,そ の読 み 出 しに は 第3図  走 査 形IMA 記 録 計お よび 計 数 器 が使 わ れ る.一 方 補 助手 段 と して 利 用 され て い るSIMは1次 イ オ ン ビー ム と 観 察 用CRT の 電 子 ビー ム とを 同 期 させ て走 査 させ,そ の とき試 料 か ら放 出 され る2次 電 子,全2次 イ オ ンお よび特 定 質 量 を もつ イオ ンを 映 像 信 号 と し て用 い てCRTの 輝 度 変 調 を 行 な い 試 料表 面 の凸 凹 お よび元 素 像 の観 察 を 行 な うこ と に あ る. 3. 分 析 限 界 を左 右 す る因 子 試 料 が 電 流ipの1次 イオ ン ビ ーム の 照 射 を うけ た場 合,質 量 分 析計 の イ オ ン コ レ ク タに流 入 す る特 定 質量 数 (M/e)を もつ イオ ン流i土M'collは次 式 で 与 え られ る.

(3)

こ こに ち:入 射1次 イ オ ン電 流(A) S±M:元 素Mの2次 イ オ ン 放 出 能(ions/ion)で あ り,同 一 元 素 に 対 し て も 正 負 両 イ オ ン で 値 が 異 な る. η:イ オ ン コ レ ク タに流 入 す る イオ ン流 の全 発 生 イ オ ン流 に対 す る割 合 す な わ ち2次 イ オ ン の利 用 率 を 示 す.こ の値 は2次 イオ ン 引 き出 し方 式 お よび 引 き 出 し電 場 な どに よ り 異 な る. CM:分 析 対 象 に し て い る元 素Mの 濃 度 をppm で 表 わ した も の. i±M,collはち に は無 関 係 に 検 出 器 の ノイズ 限界 に よ り定 ま り,例 えば2次 電 子 増 倍 管 を 使 用 す れ ば ∼10-18Aが 検 出 限 界 に な る.し た が って 分 析限 界 を 与 え る因 子 と し てip,S±M,η が重 要 で あ る.ipは ビー ム径 と の 関 連 で考 え る必 要 が あ り,一 般 にipは ス ポ ッ ト径 の2乗 に 比例

(22) H. Liebl: J. Appl. Phys., 38 (1967), 13, 5277.

(23) H. Tamura, et al.:

Proc. Intern. Conf. Mass

(4)

816

特集 ・状態分析のための実験技術

第11巻 して 増 加 ず る.し か るにIMAで は,2次 イオ ン 源 の大 き さは1次 イ オ ン ビー ム径 に相 当す る もの と考 え られ, ス ポ ッ ト径 を大 き くし電 流 を増 す こ とは 質 量 分析 計 の分 解 能 を 低 下 さ せ る こ とに な る.し た が っ てipを 考 え る 場 合,ipの 値 のみ で な くイ オ ン流 密 度 を 向上 させ る こ と を考 慮 す る必 要 が あ る.イ オ ン銃 と して デ ュオ プ ラズ マ トロ ン を 採 用 し た 場 合 に は 輝 度 は100∼200A/cm2・ steradで あ り,試 料 上 で の 電 流 密度 は 数100μA/cm2∼ 数10mA/cm2で あ る.s±Mは す でに 記 した の で 詳細 は省 略 す るが,そ の値 は 元 素 に よ り異 な る.ま た1次 イ オ ン の種 類 と ター ゲ ッ ト原 子 との組 合 わ せ に よ り異 な り,微 量 分 析 を行 な う場 合 に は この こ とを 考 慮 す る 必 要 が あ る. ηは 装 置 の性 能 を きめ る 重 要 な因 子 で あ る.η の 値 を で き るだ け 大 き くす る 目的 で 種 々の 方法 が検 討 され採 用 され てい る.そ の一 つ の方 法 と して2次 イ オ ン光 学 系す な わ ち セ ク タ電 場 と セ クタ磁 場 を立 体 収 束 場 に 変 え,従 来 の 一 方 向集 束 を立 体 収 束 方式 に お きか え て 感度 の 向上 を 計 って い る もの もあ る(22).も う一 つ の 方法 とし て, 試 料 近 傍 に適 当 な 電 場 を 印 加す る こ とに よ り,発 生 した 2次 イオ ンを 効 率 よ く質 量 分 析 計 に導 く方 法 が あ げ ら れ る.第4図 に そ の 方 法 の 概 略 を 示 す .基 本 原 理 は pierce形 電 子 銃 の 考 え 方 を 採 用 した もの で あ り,試 料 と2次 イオ ン引 き 出 し電 極 の 間 に球 状 電 場 を 作 り,こ れ に よ り試 料 か ら発 生 した2次 イオ ンを 効 率 よ く集 め質 量 分 析 計 に 導 く方 法 で あ る.こ の方 法 を 採 用 す る こ とに よ り ηの 値 は従 来 のほ ぼ10倍 に 向上 で き,ほ ぼ10-3が 得 られ て い る.以 上 の よ うな実 験 値 を も とに して算 出 した 1次 イ オ ン 電 流(ス ポ ッ ト径)ip 最 少検 出濃 度CM ,min の関 係 を 第5図 に示 す.実 験 条 件 お よび そ の他 の 定数 は 図中 に 示 す 通 りで あ る. 前 に 記 した よ うに,さ らに 酸 素雰 囲気 中 な どで 分 析 を 行 な う こ とに よ り,ま た1次 イオ ン と して 酸 素 イオ ン な どを 用 い る こ とに よ りさ らに最 少 検 出 濃 度 を 下 げ る こ と が 期 待 で き る.さ ら に 検 出 器 の 検 出限 界 を5×10-18A に とっ てい るが,低 ノイ ズ の検 出 器 が 開発 され れ ば さ ら 第4図  ピアス形 電 極 構 成 を もつ2次 イ オ ン 引 き出 し法 第5図  入 射1次 イ オ ン電 流 と最少 検 出濃 度 の関 係 1次 イ オ ン:Ar,エ ネ ル ギ ー:10keV に 最 少 検 出 濃度 を下 げ る こ とが で きる.今 後 の発 展 が 望 まれ る. 4. IMAか ら得 られ る情 報 IMAは 他 の類 似 装 置 に 比較 して 情 報 量 が 多 い こ とが 一 つ の特 徴 で あ り,そ の応 用 分 野 も広 い.し か し二,三 の応 用 分 野 を 除 い て,IMAの 応 用 は は じま った ば か り で あ り,得 られ る情 報 が す べ て整 理 され,実 用 に 供 され てい る とは い い難 い.IMAで 利 用 さ れ る 情報 源 お よび 得 られ る情報 を整 理 す る と下 記 の よ うに な る. 情報源 2次 イ ナ ン 質 量 分 析 2次 イ オ ン豫 エ ネル ギー 選 択

情 報

バル クの微量分析 表面の微量分析 表 面 凸 凹 ア トミ ッ クナ ソバ コ ン トラス ト, 元 素 像 結晶方位 表面電位分布 2次 イオ ンの 起 源 (バル ク,気 相 の 区別) 2次 電子 2次 電子像 表 面 凸 凹 ア ト ミッ クナ ンバ コン トラ ス ト 結 晶 方位 表 面 電 位 分 布 ス パ ッ タ現 象 深 さ方向の濃度分布 質 量 分 析 計 はIMAの 最 も重 要 な 応 用 分 野 で あ るが, 特 に 表 面 とバ ル クを区 別 して 分 析 で き る こ とは 他 の類 似 装 置 に な い 特長 で あ る.す なわ ち バ ル ク分 析 の 場 合 は1 次 イオ ン流 を増 し てス パ ッタ量 を大 き ぐし,大 容積 に よ る平 均 分析 を 行 な い,表 面 分 析 の 場 合 は1次 イオ ン の エ ネ ル ギ ー と イオ ン流 密度 を下 げ てス パ ッタ量 を減 ら し, 表 面 のみ の情 報 を う る.1次 イオ ンの電 流 密 度 は コ ンデ

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ン サ レ ンズ に よ り任 意 に 制 御 で き,例 えば イオ ン流密 度 を10-9A/cm2に お さえ,ス パ ッ タ率 を1と す る と 単 分 子 層 を 全 部 ス パ ッ タす る の に 約2000秒 か か りほ とん ど 表 面 に 影 響 を 与 え る ことな く分 析 が で き る. 2次 イ オ ン像 に は全2次 イオ ン像 と特 定 質 量 の イオ ン 像 の二 つ のモ ー ドが あ る.全2次 イオ ン像 は,単 に試 料 表 面 の観 察 の み な らず 表 面 元 素 の ア トミ ッ クナ ンバ コ ン トラス トお よび 分 析場 所 の位 置 ぎめ に利 用 され る.こ の 方法 に よ り分 析 場 所 の選 択 精 度 は2次 イオ ン像 の分 解能 に よ りき ま り数 μ の精 度 で 決 定 で き る.ま た 特 定 質量 イオ ン像 は,試 料 表 面 にお け る元 素 の 分布 お よび 化 合物 の 分布 を うる のに 利 用 され る.化 合 物 分布 は 各 々 の元 素 に よ る イオ ン像 を 観 察 し,異 種 の特 定 イオ ン像 が同 一 像 を 与 え るか ど うか を 観 察 し,決 定 す る.特 定 イオ ン像 は 表 面 汚 染,析 出物 お よび 偏 析 な ど の観 察 に 利 用 で き る. 2次 イオ ンの初 期 エ ネル ギ ー は バ ル クに 起 源 を もつ も の と気 相 に 起 源 を もっ も ので 異 な り,そ の エ ネル ギ ー の 選 択 に よ り両 者 の 区 別 が可 能 で あ る.こ れ はバ ル ク中 の O,C,H,Nな ど の定 量 分 析 を 行 な う場 合 に 重 要 で あ る. イオ ン ビー ム照 射)よ るス パ ッタ現 象 を利 用 し て,深 さ方 向 の濃 度 分 布 の測 定 が で き る.す なわ ち1次 イ オ ン 流 密 度 を一 定 に お さ え て お け ば,試 料 の ス パ ッ タ速 度 (A/cm2)は 一 定 に な り,ビ ー ム照 射 時 間 の 関数 と して特 定2次 イオ ン流 を測 定 す れ ば,深 さ方 向 の特 定元 素 の濃 度 分 布 が 測 定 で き る. 5. 分 析 法 IMAを 用 いた 分 析 法 に は種 々 の方 法 が 考 え られ るが いず れ の方 法 も確 立 され た とは い え な い.こ こで は 絶 対 測 定 法 と相 対 測 定 法 の 二つ の方 法 に つ い て 記す.こ の呼 び 名 は一般 的 な も ので は な い が,便 宜 的 に この よ うに 呼 ぶ こ とにす る. (1) 絶 対 測 定法 絶 対 測 定 法 は あ らか じめ 各 元 素 の2次 イ オ ン放 出能 を 測定 し てお き,こ の値 と1次 イオ ン ビー ム照 射 条 件 とか ら標 準 試 料 を 用 い ず に 直接 分 析 値 を 出 す 方法 で あ る.す なわ ち 未知 元 素Mの 濃 度CMは(3)式 を変 形 して次 式 で 与 え られ る.

(4)

こ こにarは 元 素Mの 同 位 体 依存 比 を 不 し,iM,r,coll (100/ar)は 元 素Mの 全 イオ ン電 流 を示 す.こ の方 法 を 利 用 す る場 合に は3±M,η,ipの 値 を精 度 よ く計 っ てお く必 要 が あ る.η の 値 は装 置 に よっ て 異 な る と ともに 同 一 装 置 に お い て も イオ ン光 学 系 の 汚れ,試 料 の設 定位 置 な ど に よ り変 化 す るので,そ の値 を しば しば チ ェ ックす る必 要 が あ る.ま た2次 電 子 お よび2次 イ オ ン放 射 の影 響 な どを 考 慮 して精 度 よ く ち を 測 定 す る こ と が 必須 条 件 で あ る.す な わ ちS±M,ηお よび ら の 測定 精 度 が それ ぞれ 分 析 値 の 精 度 に効 い て くる こ とに な る. (2) 相 対 測定 法 相 対 測 定 法 は(1)に 記 した 絶対 測定 法 と基 本 的 に は 同 じで あ るが,基 準 元 素 を 用 い る こ とに よ り ηお よびip の測 定 精 度 へ の 影響 を さけ る よ うに した こ とが 異 な る. す なわ ち第6図 に 示 す よ うに 分 析 試 料 と基 準 試 料(例 え ば 高 純度Siな ど)を 並 べ て お き,ま ず 基 準 試 料 に1次 ビー ムを あ て基 準 元 素 の質 量 スペ ク トル を検 出 し,つ ぎ に 同 一条 件 で 分 析 対 象 試料 に ビー ムを 照 射 し,そ の質 量 スペ ク トル を うる.各 元 素 の定 量 値 は 両 者 の ピー ク値 と 比 較 す る こ とに よ り次 式 か ら算 出す る.

(5)

こ こにi±Refは基 準 元 素 の イオ ン流 で あ る.S±Refは基 準 元 素 の2次 イ オ ン放 出能 で あ る.S±relは相 対2次 イオ ン放 出能 で あ り,Srel=S±M/3±Refと定 義 し,こ の値 は 高 純 度 の元 素 につ い てあ らか じめ求 め てお く.な お 重 量 比 で 出す 場 合 に は 次 式 を 用 い る.S±,i± 添 字+お よび-はそ れ ぞ れ 正 イオ ン お よび 負 イオ ンを示 す.

(6)

こ こにNM,お よびNRefは それ ぞ れ 未 知 元 素Mお よ び 基 準 元 素Refの 質 量 を 示 す.こ の場 合 は η,ipの 値 は 精 度 よ く測 定 す る必 要 が な く,分 析値 の精 度 はS± に 依 存 す る もの と考 え られ る.こ の 方法 は簡 単 で精 度 が よい ので,よ く利 用 され る. 標 準 試 料 を 用 い る場 合 も全 く同 じ方 法で 定 量 値 を 出 す こ とがで き る.こ の 場 合,次 式 に よ り算 出 す る.

(7)

(6)

818

特集 ・

状態分析 のための実験技術

11

こ こにi±M',r,collおよびCM'は そ れ ぞ れ 標 準 試 料 中 の 元 素Mの イ オ ン流 お よび そ の 既 知 濃 度 を 示 す.こ の場 合,2次 イオ ン放 出能 の値 は 不 要 で あ る.分 析精 度 は基 準 試 料 また は標 準 試 料 と分 析試 料 の表 面 状 態 に よ りき ま る.2次 イオ ン放 出能 は 表 面 の 凸 凹に よ り異 な り,分 析 精 度 を あ げ る ため に は 上 記 両者 の表 面 を同 一 条件 に保 ち 測 定 す る必要 が あ る.ま た試 料 位 置,特 に 上 下 方 向 の精 度 を お さ え る こ とが 必 要 で あ る. 上 記 した二 つ の方 法 の ほか に主 成 分 元 素 を基 準 と して 微量 元 素 の同 定 を 行 な う方法 もあ る.半 導 体 中 の不 純 物 元 素 の 分析 に は しば しば この方 法 が 採 用 され る. 6. 応 用 す で に 記 した よ うに,IMAは 固 体 の 微 小 部 の 分 析 が で き る点 で はX線 マ イ クロ アナ ラ ィザに ,ま た 固 体表 面 か ら放 出 され る2次 イオ ンを 質量 分 析 す る点 で は ス パ ー ク形 質量 分 析器 に 類 似 して い る.ま た表 面 薄 層 お よび表 面 吸 着物 の 分析 が で き る とい う点で は オー ジ ェ電子 分 光 法 と比較 され る も の と考 え られ る.し た が って そ の応 用 分 野 も これ ら の類 似 装 置 と比 較 して考 え る必要 が あ る. IMAの 応 用 は まだ は じ ま った ば か りで あ り,よ うや く 応 用 分野 で の有 用 性 が 認識 され だ した 段 階 で あ る.こ こ で はIMAの 特 長 を 生 か した二 ,三 の 応 用例 に つ い て記 す. (1) 薄 膜 お よび表 面 薄 層 の 分 析 一 般 に 薄膜 お よび表 面 薄 層 の 分 析 を高 感 度 で 行 な う場 合 の 問 題 点 と して(a)試 料 量 が少 な い,(b)試 料 が うす く 下 地 の影 響 が あ る な どが あ げ られ,従 来 の分 析 法 で は精 度 の高 い 分 析 は 困難 で あ った.IMAは 薄 膜 お よび 表 面 薄 層 の 分 析機 器 と して 重要 な役 割 を演 じ る もの と期 待 さ れ る. 第7図 にA1蒸 着 膜 の 分 析 例 を 示 す.試 料 は高 純 度 の A1(99.999%)を 窒 化 ボ ロン のル ツ ボ に 入 れ,電 子 線 蒸 着 法 に よ りSiウ ェ ハ 上 に 蒸 着 し て作 った.膜 厚 は 約 500Aで あ る.分 析条 件 は 図 中 に示 した 通 りで あ るが , 1次 イオ ン ビー ムは レン ズ系 を 調整 し,ス パ ッタ速度 を 5A/sec以 下 に お さえ た .分 析 結果 よ りル ツボ か ら と考 え られ るBが 不 純 物 とし て約150ppm混 入 して い る こ とがわ か る.こ こで も し信号 の最 少 検 出 電 流 を ノイ ズ レ ベ ル の2倍 とす れ ば ,A1中 のBの 最 少 検 出 濃 度 は数 ppm以 下 に な る(24). 第8図 にSiウ ェハ表 面 層 の分 析 結 果 を示 す.試 料 と してはSiウ ェハ を 鏡 面 研 摩 し,そ の後 弗 硝 酸 で ス テ イ ン エ ッチを 行 な った もの を 用 い た.図 よ りSiの ほか に 第7図  Al蒸 着 膜 の 分 析.1次 イ オ ン:Ar, 1次 イ オ ン エ ネ ル ギ ー:8keV,真 空 度:2×10-7Torr 第8図  Siウ ェハ 表 面 の 分 析.試 料,研 摩 後 弗 硝 酸 で エ ッチ ング した も の 1次 イオ ン:Ar+,1次 イ オ ンエ ネ ル ギ ー:7keV,真 空 度:2×10-7Torr Na,Al,K,SiOな ど を 含 ん だ 変 質 層 が存 在 す る こ とが わか る.付 着 物 と してAlが 検 出 され て い るが,こ れ は 研 摩 材 か ら混 入 した も の と考 え られ る.表 面 薄 層 に 付 着 し てい る不 純 物 は約15分 間 の ビー ム照 射 に よ りス パ ッ タ され て な くな る こ とがわ か る(25). 第9図 にSiウ ェハ 表 面 層 の 分 析 を 正 負両 イ オ ンを 利 用 して分 析 した 結 果 を示 す(25).試 料 と して は 表 面 研 摩 の の ち弗 酸 で エ ッチ ング し,水 洗 した もの を用 いた.図 よ りC1-,S-,F-,O-な ど の負 イオ ンの 感 度 が 正 イオ ン に 比 較 して著 し く高 く検 出 され て い る こ とが わ か る.一

(24) H. Tamura, et al.: Triennial Intern. Conf. Mass

Spectrometry,

Brussel, (1970) , 25 or Advances

(7)

第9図  正 負 両 イオ ンに よる 質 量 ス ペ ク トル 試 料:Siウ ェハ,1次 イ オ ン:Ar+, 1次 イ オ ン エ ネ ル ギー:8keV,真 空 度:2×10-7Torr 般 に 陰 性 元 素 の 負 の2次 イオ ン放 出能 は 正 イオ ン放 出能 よ り高 く,陰 性 元 素 の 分 析 に は2次 イオ ン と して負 イオ ンを 用 い る こ とが 望 ま しい。 第10図 に銀 表 面 の単 分 子 層 の 分 析 を 負 イオ ンを 用 い て測 定 した 一 例 を示 す(26)。実 験 で は1次 イオ ン(Ar)の 電 流 密 度 を2×10-9A/cm2に 下 げ て 分 析 して お り,単 分 子 層 に おけ る種 々の 化 合物 イオ ンが 検 出 され て い る。 各 ピー クの イオ ン量 は104cps程 度 あ る ので,単 分 子 層 に お け る分 析 限界 は ほ ぼ数10ppmに な る。 第10図  銀 表 面 の負 イオ ン ス ペ ク トル 。1次 イ オ ン:Ar,1次 イ オ ン 電 流:2×10-9A, ビー ム照 射 面 積:0.1cm2 (2) 深 さ方 向の 濃 度 分 布 の測 定 IMAで は スパ ッタ現 象 を 利 用 して特 定 元 素 の深 さ方 向 の濃 度 分 布 を 測 定 す る こ とが で き る。 これ はIMAの 重 要 な特 長 の 一 つ で あ る。 しか し深 さ方 向 の度 濃 分布 の 測 定 を精 度 よ く行 な うた め に は,(a)試 料 の ス パ ッ タ率 が既 知 で あ る こ と お よび(b)入 射1次 イオ ン ビー ム密度 が 一様 で あ りか っ そ の 値 が 既 知 で あ る こ とが 必 要 で あ る。(a))関 しては 多 くの デ ー タお よび 実 験 式 が あ り, そ の値 を 適 用 す る こ と も可 能 で あ るが,精 度 を 要 求 す る 場 合 に は 各試 料 ご とに スパ ッタ速 度 を実 測 す る必 要 が あ ろ う。(b)は1次 イ オ ン ビー ムの照 射 条 件 に 関 す る もの で あ り,試 料 の エ ッチ ン グ プ ロ フ ィー ルは ビー ム密度 分 布 に よ り一 義 的 に き ま る。 した が っ て深 さ方 向 の 分解 能 を 上 げ るた めに は,均 一 密 度 ビー ムを 利 用 す る こ とが 重 要 で あ る。 これ ら の方 法 に 関 して は種 々 の方 法(25)(27)が 提 案 され て い るが こ こで は 省略 す る。 第11図 にTa2O5陽 極 酸 化膜 中 のPの 濃 度 分 布 を 測 定 した 結 果 を 示 す(28),試 料 はTa薄 膜 を それ ぞ れ14 MH3PO4,0.09MH3PO4の 濃 度 を もつ 陽 極 酸 化 液 を 用 い て生 成 させ た もの で あ る。膜 厚 は1200Aで あ る。 図 よ り両 者 と もP濃 度 は 薄 膜 の表 面 近 傍 ほ ど高 く,下 地 に 近 づ くに した が っ て減 少 す る こ とが わ か る。 また陽 極 酸 化 液 の 濃 度 の高 い方 がPの 含有 量 も高 い こ とがわ か る。 第12図 に第8図 お よび 第9図 に 示 し た試 料 に つ い て 第11図  陽 極 酸 化 法 に よ り生 成 させ たTa2O5薄 膜 の深 さ方 向 に 対 す る濃 度 分 布 。1次 イ オ ン:Ar+,1次 イ オ ン エ ネ ルギ ー:15keV 第12図  Siウ ェハ 上 のFの 深 さ 方 向 の 濃 度 分 布 の 測 定 試 料(A)Siウ ェ ハ を 研 摩 し,弗 硝 酸(弗 酸19:硝 酸1)で エ ッ チ ン グ し た も の (B)(A)を さ ら に ス テ イ ン エ ッ チ ン グ(弗 酸1000:硝 酸1)し た も の 1次 イ オ ン:Ar+,1次 イ オ ン エ ネ ル ギ ー:8keV,真 空 度:2x10-7Torr

(26) A. Benninghoven: Triennial Intern. Conf. Mass

Spectrometry, Brussel, (1970).

(27) 田 村 他: 分 析 機 器, 9 (1971), 6.

(8)

820 特 集 ・状 態 分 析 の ため の実 験 技 術

11

Fの 深 さ方 向 の 濃 度 分布 を 測 定 した 結 果 を示 す(25).実 験 条 件 は 図 中 に示 した 通 りで あ る.(A)は 弗 酸 に よ りエ ッチ ン グを ほ ど こ し,表 面酸 化 層を 取 り去 り水 洗 した も の で あ り,Fの 濃 度 は 表 面 で高 く,深 さ方 向で 急 峻 に 減 少 してい る こ とがわ か る,ま たFは 数10A以 下 の と こ ろ に 分 布 して い る 二 と が わ か る.(B)は(A)を さ らに 弗 硝 酸(HF,HNO3)に よ りス テ イ ンエ ッチ した もので あ り, こ の場 合 のFは1000A以 上 の 深 さ まで 分 布 して お り, 深 さ方 向 で のFの 減 少 割 合 は(A)ほ ど急 峻 で は な くほ ぼ 直 線 的 に 減 少 して い る こ とがわ か る.す な わ ち ス テ イ ン エ ッチ の場.合は 表 面 変 質 層 は 約1000Aに 及 んで い る こ とが わ か る. (3) 絶 縁 物試 料 の 分 析 一 般 にIMAに よ る絶 縁 物 試 料 の分 析 は 試料 表 面に 電 荷 が 蓄 積 され 困難 で あ る.こ の 帯電 現 象を さけ るた めに 新 しい エ レ ク トロ ンス プ レ イ法 が開 発 され,そ れ に よ り 安 定 な 質量 スペ ク トルを うる こ とが 吋能 に な った,そ の 方 法 は1次 イオ ン ビー ム照 射 部 に低 速 電 子 ビー ムを重 畳 させ て 照射 し,試 料 表 面 の電 荷 の 蓄 積 を 防 ぐ 方法 で あ る.こ の 方 法 のほ か に も1次 イ オ ン と して 負 イオ ンを 用 い て 帯 電 を さけ る方 法 が 検 討 され てい る. 第13図 に マ イ カの 分 析結 果の一 例 を示 す(29).実 験 条 件 は 図 中に 示 した 通 りで あ る.図 よ り帯 電 に よる悪影 響 の な い安 定 な 質 量 ス ベ ク トルが 得 られ て い る こ とが お か る.こ こで は マ イ カの 分 析結 果 のみ 示 した が,ガ ラ ス, ア ル ミナな ど の絶 縁物 試 料に つ い て も良 好 な結 果 が 得 ら れ て い る. 第13図  エ レ ク トロ ン ス プ レ イ 法 に よ る絶 縁 物 試 料 の 分 析,試 料:マ イ カ,1次 イ オ ン: Ar,1次 イ オ ン エ ネ ル ギ ー:7keV,真 空 度:1.5×10-7Torr (4) 2次 イ オ ン 像 2次 イ オ ン像 に は 二 つ の モ ー ドが あ る こ と は す で に 記 し た が,こ こで は こ れ ら の 応 用 例 に つ い て 記 す. 写 真1に ビデ ィコン メ ッシ ュの 全 イ オ ン像 を 示 す.実 験 条 件 は 写 真 中 に示 して あ る,写 真 よ り1μ 以下 の 分解 能 が 得 られ て い る ことが わ か る.現 在 分解 能 の 限 界 は 色 収 差 に よ り与え られ てお り,1次 イ オ ンの加 速 電 圧 を 上 げ るこ とに よ りさ らに 高 分 解 能 が 期 待 で きる(30).分 析 場所 の位 置 ぎめ は,2次 イ オ ン と して 正 イ オ ンを 利 用 す る場 含に は 全 イオ ン像 を利 用 し,負 イオ ン を利 用 す る場 合 に は2次 電 子 像 を利 用 して 行な う,し た が って位 置 ぎ め の精 度 は像 分 解 能 に 依 存 し,数 μ 以 下 とな る.全 イ オ ン像 に 関 す る モ ー ドは すべ て の走 査 形IMAに つ い て い るわけ で はな い. 写 真1  全 イ オ ン像.試 料:ビ デ イ コ ン メ ッ シ ュ 1次 イ オ ン:Ar+,1次 イ オ ン エ ネ ル ギ ー:10keV 写 真2に 黄 銅 鉱表 面 の全 イオ ン像 と特 定 イ オ ン像 を, 写 真3に2次 電 子 像 と特 定 イオ ン像 を示 ず.実 験 条件 は 図中 に 示 した 通 りで あ るが,写 真2で は2次 イオ ン と し て正 イオ ンを,写 真3で は 負 イオ ンを 用 いて い る.こ の よ うに 特 定 イオ ン像 を 観 察 す る ことに よ り,試 料表 面 に お け る元 素 分布 お よび 像 の コ ン トラス トに よ り,相 対 的 で は あ るが,元 素 の濃 度 分 布 を知 る こ とが で き,2次 イ オ ン像 の 効 用は 大 きい.ま た全 イオ ン像 は 試 料 表面 の 凸 凹,電 位 分 布,結 晶 方 位 の 差 な どを観 察 す るの に利 用 で き,特 定 イオ ン像 とは 異 な った利 用分 野 が あ る. 以 上 は イオ ン像 の二 つ の モ ー ドにつ い て二,三 の応 用 例 を 示 した が,2次 電 子 像 に 関 して も試 料 表 面 の 凸 凹, 電 位 分布,ア トミ ックナ ンバ コ ン トラス ト,お よび結 晶 方 位 の ち が いな どが 観 察 で き重 要 で あ る.ま た2次 イ オ ン像 は,2次 イオ ン と して 負 イ オ ンを 利 用 して 分析 す る 場 合 の位 置 ぎめ に は重 要 な役 割 を 演 ず る. (5) 同 位 体 比 の測 定 質 量 分 析 計 はX線 マ イ クロ アナ ライ ザを は じめ とす る 多 くの 分 析 技 術に 比 較 して 同位 体存 在 比 が 測 定 で き る こ とが 一 つ の 特 徴で あ る.ま たIMAに お け る2次 イオ ン

(29) K. Nakamura, et

al.: 6th Intern. Conf. X-ray

(9)

全 イ オ ン像 Na+イ オ ン像 A1+イ オ ン 像 Cu+イ オ ン 像 写真2  黄銅 鉱 表面 の2次 イ オ ン像 第14図  69Gaと71Gaの 同 位 体 の 質 量 ス ペ ク トル.1次 イ オ ン:Ar+, 1次 イ オ ン エ ネ ル ギ ー:10 keV,分 解 能:350 2次 電 手 像 O-イ オ ン像 S-イ オ ン像 写 真3  黄銅 鉱 表面 の2次 イオン 像 流 は ス パ ー ク形 質量 分 析 計 の イオ ン流 と比 較 して ば るか に安 定 し てい る.そ の安 定 性 は 表面 電 離形 質量 分 析 計 と 比 較 して も劣 らな い と思わ れ,同 位 体 比 の精 密 測 定 が 可 能 で あ る. 第14図 はGaの 同 位 体 スペ ク トル の一 例 で あ る.試 料 はGaAs単 結 晶 で あ り,実 験 条 件 は 図 中 に示 した 通 りで あ る.図 よ り69Gaと71Gaの み ご とな 台 形 ピー クが 得 られ てい る こ とが わ か る.こ れ はIMAの2次 イオ ン 源 が 安 定 で あ るこ とを物 語 って い る. 第1表 は 西 村 らに よ り,測 定 され た6Liと7Liお よび 11Bと12Bの ピー ク高 比 を 示 した もの で あ る.試 料 と し て はBruderheimを4個,Leedeyを3個 お よびG-1を 1個 を 用い てい る.各 列 の右 端 の()の 中 に示 した の は 繰 り返 し測 定 回数 で あ り,表 に は そ の 平均 値を 示 して い る.第1表 に は 地 上岩 石 の標 準 試 料 で あ るGranite G-1 に つ い て の測 定 値 も示 して あ るが,こ の 値 と隕石 を 比 較 す る と隕石 の方 が 少 し7Li/6Liが 小 さ く出 て い る こ とが 第1表  Li同 位 体 比 の測 定 結 果 *未 補 正 値G-1標 準岩 石 試 料()測 定 回数 わ か る.し か し定 量 値 を問 題 にす る場 合 に は ピー ク高 の 補 正 そ の他 に つ い て十 分 検 討 す る必要 が あ ろ う. 7. 結 言 IMAの 原 理,構 成,分 析 限 界 お よび二,三 の応 用 例 に つ い て記 した が,IMAで は バ ル クの極 微 量 分 析 がで

(10)

822

特集 ・状態 分析 のための実験技術

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き る と同 時 に きわ め て うす い 表面 の 分析 が 高 感 度 で で き る こ とお よび 深 さ方 向を 含 め た3次 元 的 な 濃 度 分布 の測 定 が 可 能 で あ るな ど の他 の類 似装 置 に ない 長所 が あ る の で,基 礎 研究 は も ちろ ん 固 体 試料 のす べ ての 分野 に応 用 され る もの と 考 え ら れ る.す なわ ち金 属 半 導体,薄 膜,化 学 材料,生 物 試 料,有 機 金 属 そ の 他 固体 物 理 の研 究 な どを対 象に し,特 に絶 縁 物,触 媒,鉱 物,隕 石,大 気 浮遊 粉 塵 な ど の分 析 に 適 して い る.ま た 得 られ る情 報 が 豊 富 で,元 素 同 定,組 成,不 純 物 濃 度,偏 析,薄 膜 の 純 度,深 さ方 向 の 濃 度 分布,表 面 吸 着物,表 面 汚 染,同 位 体比 の測 定 な どの 各種 の分 析 分 野 に 威 力 を発 揮 す る も の と考 え られ る. 今 後 の課 題 と して は,装 置 関 係 で は 分 析 感度 の 向上 お よび像 分 解 能 の向上 な どが あげ られ る.こ れ らに 関 し て は1次 イオ ン源 の 輝 度 お よび 安 定 度 の 向 上 が重 要 で あ る.ま た応 用 面 で は,定 量 分 析 法 の確 立 と応 用 分 野 の開 拓 な どが 問 題 に な り,こ の点 で は デ ー タの蓄 積 が 最 も大 切 で あろ う.海 外 にお い て もIMAを 利 用 した 応 用 研 究 が さか ん に 行 なわ れ つ つ あ り,応 用 分野 の研 究 開 発 が 急 速 に 進 む もの と考 え られ る. (1972年6月8日 受 理) * * * * * * * * * *

国際学 会だよ り

Conference"Modern Metallography in Metallurgy"印 象 記 英 国 のTheInstitute of Metalsの 主 催 で,去 る7月 17∼19日 にCambridge郊 外 のChurchill College(元 首 相

チ ャ ー チ ル 卿 を 記 念 し て1961年 に 設 立 さ れ た)で 開 催 さ れ たConference on Modern Metallography in Metal-lurgyに 出 席 す る 機 会 を え ま し た の で,そ の 印 象 を ご 報

告 し ま す.会 議 はsessionIか らXま で あ っ て,と き ど き 第2会 場 でsessionが 行 な わ れ る 以 外 は,主 に 第1会 場 の 大 ホ ー ル で 開 か れ,参 加 者 も 約250名 程 度 の 小 規 模 の も の で した が,そ の 内 容 は 大 変 興 味 深 く感 じ ま し た.

sessionは,I.structure and mechanical properties,

II.new techniques,III.the structure of grain boun-dary and interface,IV.recrystallization,V.precipi_

tation in non-ferrous materials,VI.superplasticity,

VII.deformation,creep and fatigure,VIII.civilian transformations,Ix.precipitation in ferrous mate-rials,X.stress-corrosion and oxidation

と 分 け られ て お り,こ の 分 類 か ら も 現 在 の トピ ッ ク と し て 扱 わ れ て い る も の が 何 か,幾 分 うか が い 知 る こ と が で き ま す.各sessionの 始 め に はintroductory speakerに よ っ て,そ れ ぞ れ の 現 状 のreviewが な さ れ ま し た が, そ の概 要 が の ち にJ.lnst.Metalsに 掲 載 され る との こ と で した. Conference全 体 の 印 象 と して ,い ず れ の課題 に お い て も電 子顕 微 鏡 がmetallographyの 主 な手 段 と して使 わ れ てい るの は勿 論 で す が,特 に最 近 話 題 の 超 高 圧 電 顕 HVEMや 電 界 イ オ ン 顕 微 鏡FIM ,そ れ に 透 過 電 顕 TMEMや 走 査 電 顕SEMの 特 殊 観 察 技 術 な どが,す で に実 際 のmetallurgyの 応 用 分野 の 仕事 に 駆 使 され てい る状 況 をみ ます と,や は り,metallographyに も新 しい 時 代が 始 って い るの だ と感 じさせ られ ま した.そ うい う 意 味 で は,HVEMを 使 っ てbulk試 料 の変 形 組 織 の転 位 配 列 や 再 結 晶過 程,結 晶 粒 界 構造 な ど を 直接 観 察 して い るほ か に,HVEM中 で行 な った ク リー プ変 形 のdynamic な観 察 や応 力腐 食 割 れ の 発 生 と伝 播 の様 子 の観 察 は注 目 させ られ ま した.ま た,分 散 合金 の分 散 粒 子 界 面 や結 晶 粒 界mis-matchのFIM像,析 出型 合 金 の 時 効 初期 の溶 質 原 子 ク ラス ター のFIM観 察 そ の 他,FIMを 用 いた 研 究 が か な りあ った のは少 し驚 きで した.さ らに新 しい技 術 と して,weak beam法 に よ る 照 射 欠 陥 ク ラス ター の 観察,吸 収X線2次X線 を利 用 した 薄 膜 結 晶 の 極 微 分 析,SEMに よ るelectron energy analysis,SEMコ ッセ ル法 に よ る結 晶 方位 決定,auger electron spectroscopy に よ る表 面 観察 な ど の報 告 も興味 深 く拝 聴 し ま した.

最 後 に筆 者 の理 解 の能 力 と興味 に偏 りが あ る こ とを お わ び し ます.

参照

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