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The Narratives Helping Intermarried Families to Succeed the Japanese Language: From the Interview with the Long-term Learner and

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Academic year: 2021

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Title

国際結婚家庭の日本語継承を支える語り : スイスの日本

語学校における長期学習者と母親への聞き取り調査から

Author(s)

渋谷, 真樹

Citation

母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究. 6 P.96-

P.111

Issue Date

2010-03-31

Text Version publisher

URL

http://hdl.handle.net/11094/25065

DOI

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母語1・纈 藷 ・ノiイグンカシ〃教育 ひ4θ砂 研 究 レolume6ルLARCH2010

国 際 結 婚 家 庭 の 日本 語 継 承 を支 え る語 り

一スイスの日本語学校 における

長期学習者と母親への聞き取 り調査か ら一

渋谷 真樹(奈 良教育大学 准教授)

shibuya@nara-edu.acjp

The Narratives

Helping

Intermarried

Families

to Succeed

the Japanese

Language:

From the Interview

with the Long-term

Learner

and Her Mother

at the Japanese

School in Switzerland

SHIBUYA Maki

キー ワー ド:国 際 結 婚 家 庭 、継 承 語 、 日本 語 学 校 、 ス イ ス 、 モ デル ・ス トー リー 要 旨 永住 を前 提 に海 外 で生活す る国際結 婚 家庭 で は、 日本 人の親 が 日本 語 の継 承 を望 ん で も、 子 どもはそ の必 要性 や有 用性 を実 感 しに くく、 日本 語 の教 育や学 習 の継続 は容 易 で はない。 そ こで 、本 稿 では 、スイ スの 日本語 学 校 に長期 間通 い 、高 い 日本 語力 を 習得 した女性 とその母親 にイ ンタビュー を行い 、その母娘 の 日本 語 に対す る意 味付 けや 、 日本 語 教育 ・学習 の体験 を明 らかに した。 また、そ の母 娘 が、 「苦難 」 を 「解 決」 した り日本 語 を意 味づ けた りす る際 に、 日本 語 学校 の教 師や 卒 業 生 な どの語 りを引用 して い るこ とを示 した。 さらに、 この母娘 の体験 が、 日本 語学校 でさまざまに語 り継 がれ て い るこ とを明 らかに した。 日本語 学校 で は、 日本 語 には価値 が あ り、継 続す れば将来 よ かった と思 い、 中断すれ ば後 悔す るとい う語 りが繰 り返 され ている。 こ うしたモデル ・ ス トー リー は、 国際 結婚 家 庭 が 自分達 の経 験 を意 味づ け る上 で重 要な参 照 点 とな り、 日本語 継 承 の支 えにな ってい る。 1.は じ め に 近 年 、 海 外 にお ける 日本 人 の 国際 結婚 や 学 齢 期 の 日系 国 際児1)が 増 加傾 向にあ る (鈴木2008)。 それに伴い、近 い将来 日本 に住む 予定のない子 ども達 の 日本 語習得 のニー ズが顕在 化 して い る。 しか し、年 少 の継 承 語学 習者 は 日本 語 を使 用 す る環 境 や動機 を

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国際雛 家 庭のθ本語継承 を支 える藷り 一スイヌのθ本語学校にゐYプる長 崩学習者 ど母親 への儼き玻り調査から一 諺 ξ谷 真 樹 も ち に くい こ と(中 島2001、1佐 々 木2003、 中 島2005な ど)や 、 駐 在 員 家 庭 を想 定 した 海 外 子 女 教 育 で は対 応 しき れ な い こ と(佐 藤2001)な ど、 困難 が 指 摘 され て い る。 そ う した 中 で 、 北 米 か らは 、 日系 人 に よ って 創 設 され た 日本 語 学 校(中 島 ・鈴 木 編 著1996)や 、 補 習 授 業 校 内 部 の 多 様 な コー ス(モ イ ヤ ー 尾 間2005)、 イ ン ター ナ シ ョ ナ ル ス クー ル で の継 承 日本 語 ク ラ ス(大 山 ・大 山 ・津 田2006)な ど、 学 齢 期 の 日系 国 際 児 に 継 承 語 と して の 日本 語 教 育 を 行 う、 さま ざま な教 育 実 践 が 報 告 され て い る 。 一 方 、 ヨー ロ ッパ で は 、 イ ギ リ ス の 国 際 結 婚 家 庭 の 教 育 戦 略 に 関 す る 研 究(Okita, 2002)や 、 ドイ ツ の 補 習 授 業 校 に お け る継 承 語 教 育 の 現 状 の 考 察(奥 村2007)、 ス イ ス の 継 承 語 学 習 者 を対 象 に した 教 材 開 発(フ ッ クス 清 水 ・ク レニ ン道 上 ・カ イ ザ ー 青 木 ・ペ ルセ ニ コ長 森2004)や 、 ス イ ス の 目本 語 学 校 に お け る 国 際 児 の アイ デ ンテ ィテ ィ 形 成 に 関 す る研 究(渋 谷2007)な どが あ る も の の 、 よ うや く緒 に就 い た ばか りで あ る。 そ こ で 、 本 研 究 で は 、 国 際 結 婚 家 庭 が 中 心 に 運 営 して い るス イ ス のA市 に あ るA日 本 語 学 校2)に 着 目 し、 そ こに 長 年 通 学 して 高 い 日本 語 力 を 習 得 した 女 性 とそ の 母 親 に イ ン タ ビ ュー 調 査 を行 う。 そ して 、 そ の 母 娘 が 、 日本 語 の 価 値 を どの よ うに と らえ、 ど の よ うな 日本 語 学 習 ・教 育 の 体 験 を して い るの か を 明 らか にす る。 ま た 、 そ の 母 娘 が イ ン タ ビ ュー 中 で 引 用 してい る他 者 の 語 りや 、 母 娘 の 体 験 の語 り継 がれ 方 を分 析 して 、 当 該 の 日本 語 学 校 で 繰 り返 され る 、 日本 語 の 価 値 や 日本 語 学 習 ・教 育 体 験 を め ぐ る典 型 的 な語 りを 明 らか にす る。 そ の 上 で 、 そ う した語 りが 日本 語 学 校 を 中心 と した コ ミュ ニ テ ィの 中 で もつ 機 能 につ い て 考 察 す る。 2.研 究 方 法 と理 論 的 背 景 2.1国 際 結 婚 家 庭 を め ぐ る ス イ ス とA市 の 概 況 4つ の 言 語 を 国語 ・公 用 語 とす る多 言 語 国 家 ・スイ ス で は 、 子 ども達 は 、 複 数 の 言 語 に 囲 ま れ て 育 つ 。 人 口の2割 が外 国 人 で あ るス イ ス の 中で 、 と りわ けA市 は 、 地 理 的 条 件 や 産 業 構 成 な どか ら外 国 人 比 率 が 高 い 。A市 で は 、 少 数 言 語 話 者 の 母 語 学 習 を促 進 す る母 国 言 語 文 化 コー ス(KurseinHeimatlicherSpracheandKultur)を 設 け 、 マ イ ノ リテ ィ の 子 ど も達 の 学 業 成 績 や 就 職 機 会 の 向 上 、 社 会 の 団 結 の 強 化 に努 め て い る。A日 本 語 学 校 も この コー ス の ひ とつ と して認 可 され 、 教 室 の 無 料 提 供 、 公 立 学 校 の成 績 表 へ の 日本 語 の成 績 の 記 載 、教 師 の 研 修 機 会 な ど を得 て い る。 外 務 省 の 「海 外 在 留 邦 人 数 調 査 統 計 」 平 成21年 速 報 版 に よれ ば 、2008年 の スイ ス の 在 留 邦 人 数 は8,179人 で 、 前 年 度 か ら5.69%増 加 して い る。 永 住 者 割 合 は48.17%で 全

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母 語 ・継 承 語1・ノfイグンカフ〃教 育 ひ4〃β)研究Volume6MARCH2010 世 界平 均 より高 く、永 住す る女 性2,709人 の多 くは、 スイス人 と結婚 した 日本 人 女性 と 推 測 され る。 スイスの 日系社 会 で は、駐 在員 家庭 に並び 、永 住者や 国際結 婚 家庭 も大 きな位 置 を占めている。 2.2A日 本 語 学 校 の概 要 A日 本 語学 校 は、1985年 に 日本 人 の母 親 達 に よ り設 立 された。 当時、A市 に は複 数 の 日本 企 業 が駐在 し、学 校創 設 に も駐 在 家庭 と永 住 家庭 が ともに関 わった。 その後 、 目本 企 業 の撤退 が相 次 ぎ、現 在 は永 住家 庭 が圧倒 的多 数 を 占めている。 ほ とん どが妻 が 日本 人 の国際結 婚家庭 であ る。 A目 本 語学 校 は、 日本 語の 四技能(聞 く ・話 す ・読む ・書 く)の 習 得 と 日本 文化 へ の理解 を深 め ることを 目的に、週 に1回90分 間、 日本語 の授業 を行 ってい る。2009年4 月 に は、6歳 か ら20歳 くらいまでの約50名 の児 童 生徒 を、4名 の教 師が7ク ラスで教 え てい る。 義務 教 育修 了頃 に 日本語 能 力試 験2級 に合 格す るこ とをお よその 目標 に してい る。 運 営 母 体は 、全保 護者 お よび教 師 を会 員 とす る非 営利 団体 で 、主 な資金 は 、授 業 料 とバザ ー収 益 であ る。 文部 科 学省 検 定 の教 科 書 も使 用 してい るが、 日本 の学 齢 には対 応 していない。 他 に、独 自の教材や 日本語 能 力試 験 のための教材 な どを使 用 してい る。 2.3研 究 の 手 法 と 対 象 筆 者 は 、2005年 以 来 、 ス イ ス各 地 を訪 問 し、 国 際 結 婚 家 庭 の 教 育 につ い て 調 査 して い る。A日 本 語 学 校 に は調 査 者 と して5回 訪 問 し、 授 業 や 行 事 な どを 参 観 す る とと もに 、 関 係 者 へ の 聞 き 取 り(保 護 者 ・元 保 護 者15人 、 うち教 師 を兼 ね る者5人 、 生 徒 ・元 生 徒11人 、 保 護 者 へ の 集 団 イ ン タ ビ ュー1回)や 、 保 護 者 に 対 す るア ン ケ ー ト、 資 料 や 文 献 の 収 集 を 行 っ て きた 。 本 論 文 で は 、 これ らの 調 査 か ら得 られ た情 報 を使 用 す る。 本 論 文 で は 、 特 に 、 当 時21歳 の 女 性Xさ ん とそ の 母 親Mさ ん へ のイ ン タ ビュ ー を 取 り上 げ る 。 イ ン タ ビュー は 、2007年8月 、Xさ ん 宅 にて 、 奥 さん とMさ ん と筆 者 の3人 で 、 約4時 間(う ち録 音は2時 間19分)に 渡 っ て行 わ れ た 。Xさ ん は 、1986年 、 目本 人 の 母 とス イ ス 人 の 父 の も とに ス イ スA州 で 生 ま れ た 。6歳 でA目 本 語 学 校 に入 学 し、 イ ン タ ビュ ー 時 も在 学 して い た 。 イ ン タ ビ ュー は 終 始 日本 語 で 行 わ れ た。Xさ ん は 、 単 語 の み ドイ ツ 語 ま た は英 語 で話 す こ とが 数 回 あ った が 、 早 口の 関 西 弁 を流 暢 に話 し、 日本 語 ゆえ に 自 由に表 現 で きな い こ とは 、筆 者 の観 察 の 限 りな か った。Xさ ん は 、イ ン タ ビュー 当 時 、 日本 語 検 定2級 を取 得 してい た。

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国際 結婚軅 のθ本謡 繿承を支 える藷ξノ ースイヌのθ本 語学狡γこおL1プる長期学 習者ど母親 への儼 き玻 り調 査か5一 諺 ξ谷 真樹 Mさ んは 、 日本 で 大学 を卒業 後 、イ ギ リス留 学 中に現在 の夫 と知 り合い 、結 婚 して スイ スのA州 でXさ ん とその妹 を育 ててきた。イ ンタ ビュー 当時、 賃金 労働 は してお ら ず 、積極 的にボ ランテ ィア活動 を していた。 本稿 で このイ ンタビ3に 着 目す るのは、Xさ んがスイ スで生まれ育 ちなが ら、 目本 語 を長 期 問学習 し、 高度 な 日本 語力 を習得 してい るか らで ある。 海 外 に暮 らし、 目本 で生活 す る予 定の ない子 ども達が 日本語 を学 び続 けるこ とは容 易で はない。 その点 で、 Xさ ん は平 均 的な例 ではない。 に もかかわ らず 、この母 娘 の語 りには継承 語教 育/学 習 をめ ぐる典型 的 な語 りが含 まれ ている。 本 稿で は、 この母娘 の 日本語へ の意 味付 けや 日 本 語 学 習/教 育 の経 験 を分 析す ることで、継 承 語 の習得 とい う困難 な課題 を乗 り越 え る ヒン トを探 求す る。 2.4理 論 的 背 景 本 研 究 で は 、 イ ン タ ビ ュー で 語 られ る こ とが 、 語 り手 の 思 い や 過 去 の 出 来 事 をそ の ま ま示 して い る とは 考 え ない 。 語 りは 、 す で に存 在 す る語 りの 引用 や 修 正 の 中 で 生 成 す る。 語 り手 は 、 複 数 の解 釈 や 表 現 の可 能 性 の 中か ら、 特 定 の 文 脈 にふ さわ しいひ とっ を選 び 取 って 提 示 す る。 桜 井(2002)は 、 特 定 の コ ミュ ニ テ ィ内 で 特 権 的 な 地 位 を しめ る語 りを モ デ ル ・ス トー リー と呼 ぶ 。 モ デ ル ・ス トー リー は 、 そ の コ ミュニ テ ィ で 生 活 す る者 に とっ て 、 経 験 を 意 味 づ け る重 要 な 参 照 点 に な る。 それ に 対 して 、 全 体 社 会 の 社 会 的 規 範 や イ デ オ ロギ ー を具 現 した 支 配 的 言 説 を 、 ドミナ ン ト ・ス トー リー と呼 ぶ 。 モ デ ル ・ス トー リー は 、 ドミナ ン ト ・ス トー リー に共 振 す る こ とも対 立 す る こ とも あ る。 駐 在 コ ミュ ニテ ィ で は 、 「帰 国 に備 え て 、 日本 に 住 む 子 ど も と同 等 の 国 語 力 を習 得 す る」 とい う語 りが モ デ ル ・ス トー リー に な り うる。 一 方 、 永 住 コ ミ ュニ テ ィ で は 、 「目 本 語 は付 加 的 で あ り、 過 度 の 強 調 は今 こ こで の 生 活 や 将 来 を脅 か しか ね な い 」 とい う語 りも 強 い 力 を もち うる。 ま た 、 スイ ス社 会 で は 、 少 な く とも教 育 界 に お け る公 的 な 語 り と して は 、 多 言 語 ・多 文 化 を 尊 重 しつ つ 社 会 の統 合 を は か る語 りが 支 配 的 で あ る。 そ う した 中 で 、 永 住 予 定 で あ りな が ら 日本 語 の 習 得 を 目指 す 家 庭 は 、 日本 語 の価 値 や 日本 語 学 習/教 育 の 体 験 を どの よ うに語 って い るの か 。 本 稿 で は 、 日本 語 学 校 に長 年 通 学 し、 高 い 日本 語 力 を 習 得 した 女 性 とそ の 母 親 の 語 りか ら、 そ の 内 容 や 構 成 、 反 復 の され 方 を み て い く。 そ れ は 、 単 な る一 事 例 の 紹 介 で は な く、 困 難 な 継 承 語 教 育/ 学 習 を継 続 し よ うとす る コ ミ ュニ テ ィの 実 践 の 一 側 面 を 明 らか にす る 試 み で あ る。

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母 語 ・継 承語1・バ イグンカフ〃教 育 ひ4〃砂 研 究Volume6MARCH2010 3.母 娘 に よ る 日本 語 を め ぐる語 り 3.1母 親 に と っ て の 日本 語 の 意 味 Mさ ん は 、 娘 に 日本 語 を習 わせ た理 由 と して 、 以 下 の2っ を挙 げて い る。 ま ず 、Xさ ん の祖 父 母 に あた る 自分 の 両 親 との 「つ な が り」 を 「保 って ほ しい 」 こ とで あ る。Mさ ん の母 は英 語 が 「全 然 で き ない ので 、 この 子 達 が(日 本 語 を)喋 らな か っ た ら、 全 然 意 思 の 疎 通 が で きな い 」 と言 う。 関 連 して 、Mさ ん は 、 自分 と娘 との つ な が りに触 れ て い る。 日本 人 で あ る 母 親 を娘 が 理 解 す る た め に は 、 「日本 人 は こ うい う時 は こ う考 え る と か 、 こ うい うこ と は嫌 だ と思 うとか 」、 「日本 の こ と もや っ ぱ りち ょ っ とわ か らな い と」 い け な い とMさ ん は 述 べ て い る。 も うひ とつ の 理 由 は 、 「ち が う言 葉 が で き る」 こ とが 娘 自身 の 「財 産 」 に な る と考 え る か らで あ る。 そ れ は 、 「直 接 仕 事 が み っ か る 」 な ど とい う近 未 来 的 で 即 物 的 な メ リ ッ トで は な く、 人 間 の 幅 や 考 え 方 を広 げ る とい う抽 象 的 な レベ ル で捉 え られ て い る。 ス 替 的 に もや っぱ ク抛 の 譲 をや る っ でい ラの な 言案 だ'GfL"やな ぐて∼ 文 危 とか 考 え 方 とか 、 そ うい ラのが や っ ぱ ク学 ぶわ ゲ だ)ラ珍 、 ノ.努 も広 が る じゃ な 〃bこ うい ラふ う に 言葉 が で き て こ ラい うふ う!こ君 ラ もの か 、 こ う い うふ うに考 え でる のか な っ でい ラ の 〆汰 や つ 〆プ クノ丸が3広 ぐな る で 乙!ようo Mさ ん が 語 る 日本 語 の 意 味 は 、 ひ とっ は 、 家 族 が わ か り合 い 、 「つ な が り」 を保 っ こ とで あ り、 も うひ とっ は 、 娘 自身 の人 間 性 や 思 考 を広 げ る 「財 産 」 に な る こ とで あ る。 3.2母 親 の 日本 語 教 育 体 験 で は 、Mさ ん は 、 娘 に 日本 語 を習 わせ て き た経 験 を どの よ うに語 って い るの だ ろ うか 。 「日本 語 を 習 わせ る こ と に迷 い は な か った です か 」 とい う筆 者 の 質 問 に対 して 、Mさ ん は 、 「な か っ た で す ね 」 と即 答 して い る。 しか し、 直 後 に 「た だ 、 や っ ぱ り」 と して 、 「宿 題 や っ て い か な か った り、(娘 が)『 も う嫌 だ』 とか 言 っ て 、 お 友 達 と遊 ぺ な い とか 、 そ うい う時 は 、 『あ あ 、 ど う しよ う、 か わい そ うだ な 』 っ て思 っ た 」 と述 べ て い る。 ま た 、Mさ ん は 、 わ が 子 に 「最 初 か ら 日本 の こ と を 全 然 教 え な い とか は 」 「全 然 」 「思 わ な か っ た 」 と述 べ て い る。 一 方 で 、 第 一 子 で あ るXさ ん を 身 ご もっ た 際 に は 、 子 ども を 育 て る言 語 につ い て 「す ご く心 配 」 した と も語 っ て い る。 当 時 、Mさ ん は ま だ ド イ ツ語 が で きず 、 夫 は 日本 語 を ほ とん ど理 解 しな い た め、 夫 婦 は 英 語 で 話 して い た 。 し

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国際結婚家庭 のE7本語懇 承を支 える語 り 一スイヌのθ本語学校1こゐγプる長 鰐学習者 ど母親 への儼ま玻 り調査から一!渋 谷 真樹 か し、 「お 互 い に 母 国 語 じゃ な い 」 英 語 で 、 「本 当 に子 ど も と接 す る 時 に 、怒 っ た り とか 何 か を 言 う時 に」、 「本 当の 感 情 の な ん か適 切 な 言 葉 が 出 て くる のか 」 に 「す δ ・悩 ん だ 」 と言 う。 しか し、Xさ んが 生 ま れ て み る と、 「自分 は 日本 語 で べ らべ らべ らべ ら喋 っ て て 、 こ っ ちで 生 ま れ 育 った か ら ドイ ツ語 は(娘 に)自 然 に入 って き た し、 英 語 も け っ こ う英 語 を 知 っ て る 人 とか 、 あ の 子 は興 味 を も っ て て 」、 産 前 の 心 配 は 杞 憂 に 終 わ っ た と 言 う。 こ の よ うに 、Mさ ん は 、 一 貫 して娘 に 目本 語 を教 え る意 志 を も ち 、 そ れ を 自然 に 達 成 した か の よ うに 語 っ てい る一 方 で 、 折 々 に は 不 安 や 悩 み も あ っ た と語 っ て い る 。 娘 が 成 人 を 迎 え、 共 に 日本 語 で イ ンタ ビュ ー に 臨 ん で い る時 点 に お い て は 、 娘 に 日本 語 を 教 え て き た 経 験 を肯 定 して い るが 、 そ の過 程 にお い て は 、 さま ざま な思 考 や 判 断 が あ っ た と考 え られ る。 3.3娘 の 日 本 語 学 習 体 験 次 に 、 娘 のXさ ん は 日本 語 学 習 の経 験 を どの よ うに 語 っ てい るの か をみ て い く。Xさ ん に とっ て 、 「目本 語 を習 う とい うの は 」、 「赤 ち ゃ ん(の 時)か ら ドス ン とか ぶ せ られ た 」 よ うな もの だ った と言 う。Xさ ん は 、 幼 い 頃 か ら母 親 と 日本 語 で 会 話 し、 日本 の 絵 本 や ビデ オ 、 童 謡 、 そ して 、 時 折 会 う 日本 の 祖 父 母 らに 囲 まれ て 育 っ た 。 目本 語 学 校 へ の入 学 は 、 母 親 に 「決 め られ て た 」。 入 学 の 時 点 で 、 日本 語 会 話 に 「困 っ て る感 じは しな か っ た 」。 幼 少 期 の 日本 語 習 得 は 「簡 単 だ っ た 」 の で 、 生 ま れ なが らに 与 え られ た 「プ レゼ ン トみ た い 」 だ と言 う。 こ の よ うに 、Xさ ん の 初 期 の 日本 語 学 習 環 境 は 、 自 ら の意 志 や 選 択 に よ るも の で は な く、 与 え られ た もの だ っ た 。 しか し、 学 齢 期 に な り、 現 地 社 会 で の 行 動 や 交 友 関係 が 広 が る に つ れ 、 目本 語 学 習 は 面 倒 な 負 担 と認 識 され る よ うに な って くる。 友 人 の 誕 生 日パ ー テ ィー の 日に 日本 語 学 校 が ぶ つ か っ た こ とや 、 夏 休 み に絵 日記 の 宿 題 が 出 た こ とな どが 、 「嫌 な 時 」 と して 回 想 され て い る。 そ れ で も、 「厳 しい 」 母 親 に 日本 語 学 校 に 「行 き な さい 」 と言 われ 、 「抜 けた らダ メ」 と強 制 され る 中で 、Xさ ん は 惰 性的 に 日本 語 学 習 を継 続 して い た 。 受 け身 な 学 習 態 度 に変 化 が 生 じ、 「本 当 に 自分 か ら行 っ て 日本 語 を勉 強 した い っ て 感 じに な っ た の は 」、 「愛 知 万 博 の 後 」 で は な い か とXさ ん は 述 べ る。Xさ ん は 、 高 校 卒 業 か ら大 学 入 学 ま で に猶 予 期 間 が あ っ た18歳 の 時 、 母 に薦 め られ た愛 知 万 博 の ス イ ス パ ビ リオ ン で働 くた め 、5ヶ 月 間 単 身 で 日本 に 生 活 した 。 応 募 した 際 に は、 受 け入 れ 側 か ら 「ち ょっ と若 い」、 「全 然 働 い た 経 験 が な い 」 と言 われ た も のの 、 結 局 は 「日本 語 が で き るか ら来 て 下 さい っ て 言 わ れ た 」。 こ の こ とは 、Xさ ん が そ れ ま で 無 自覚 だ っ た 自

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o・ 纈 語 ・ノ、"イ{ノン カ フ〃教 育 ひ4〃 β♪研 究 レ'olume6ルfAR(:H2010 分 の 目本 語 力 の 有 用 さを認 識 す る契 機 に な った と考 え られ る 。 さ らに 、Xさ ん は 、21歳 の 時 、 今 度 は 自 ら探 して 、 ボ ラ ンテ ィ ア と して 日本 の 地 方 に5ヶ 月 間 滞 在 した 。 愛 知 万 博 に は 「世 界 中 の 人 が 来 て た」 し、 「目本 人 と も触 れ 合 っ た 」 も の の 、 「友 達 とか に は な ら ない 」 ま ま 、 「ぱ っ とち ょっ と話 す だ け 」 で あ っ た の だ が 、 この 時 に は 、 大 人 や 子 ど も に英 語 を教 えた り、 若 者 の グル ー プ と交 流 した りしな が ら、 「友 達 で き て 、 ふ っ うの 日常 生 活 み た い な も の 」 を 経 験 した。 そ う した 中 で 、 か っ て 日本 は 「冒 険 の 国 だ っ た もの が 、 な ん か リア ル に な って 」 き て 、 「そ こで 生 き る の が 楽 しい って 感 じ」 に な り、 日本 が 「本 当 に好 き な と こ ろ に な っ て き た 」 と言 う。 「本 当 に 日本 に い て 、 日本 人 と一 緒 に暮 ら して 、 も うま わ りも ほ とん ど 日本 人 だ っ た の で 」、 「目本 と私 の 間 に あ る関 係 に とっ て 」、前 回以上 の 「影 響が あった」 とXさ んは言 う。 Xさ ん は 、 「日本 語 が で き て な か っ た ら、2回 、5か 月 間 目本 へ行 っ て 、そ うい う経 験 して な か っ た と思 う」 と語 っ て い る。 日本 に も 「本 当 に よ い友 だ ち もで きた 」Xさ ん は 、 「こっ ち(ス イ ス)の 友 だ ち の こ と もい っ ぱ い話 した し、 こっちの友 だちにむ こ う(目 本) の 友 だ ち の こ と も話 した し、 な ん か(両 方 の友 だ ち を) .『会 わせ たい!』 って感 じにな っ て る 」 と言 う。 日本 語 学 校 に 「本 当 に 自 分 か ら行 っ て 日本 語 を勉 強 した い っ て 感 じ に な っ た 」 背 景 に は 、 この よ うな経 験 が あ った の で あ る。 Xさ ん は 、 日本 語 学 校 の 文 集3)で 次 の よ うに 述 べ て い る。 正 遭7ご言 ラと、私 はつ い最 近 まで β本Apを 学ん で捌 な ことがあ る とはあ ま ク,蟹っ て いまぜん で した。 何年 か前1になゾ β本 語 をやめ て、 鞭 の 友蓄のよ ラに遊 び〉といなあノ と想 っ でい で 母 がβ本 語をやめ さぜ で ぐqvないのに痩 を立 ででいま した。 今 は 身本 語 を樊 しぐ想 莞 るよ うにな っ できま した。 こん な!ご傭 のある、 ダ ゲセモ ン バのよ うな プ レゼン みを るらった のだか ら、楽 しぐ畑 して鯱 れ ば ま すまナ喜0莎 壇 え るんだを 、蟹っ で〃、ま先 Xさ ん は 、 日本 語 環 壌 や そ の習 得 を 当 然 視 して い た 幼 少 期 か ら、 時 に負 担 に感 じつ っ 受 け 身 で 学 習 を続 けて い た 学 齢 期 を経 て 、 日本 語 に よっ て 「本 当 の コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン」 を取 り、 「本 当 に よ い 友 だ ち 」 を得 る こ とに よ っ て 、 主 体 的 に 日本 語 を学 ぶ よ うに な っ て きた。 ここ には 、 「緊 張 を もた らす 苦 難 が あ り、つ づ い て危 機(転 機 、 エ ピフ ァニ ー) が 訪 れ 、 解 決(変 身 、 克 服)が は か られ る」(桜 井2005、42ペ ー ジ)と い う、典 型 的 な ス トー リー の 筋 が み られ る。 日本 にお け る万 博 や ボ ラ ンテ ィ ア の 経 験 が 「転 機 」4) とな り、Xさ ん は 、 受 け 身 で 、 時 に 「苦 難 」 を伴 うも ので あ っ た 日本 語 学 習 を 「克 服 」

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国際結婚 家麺の θ本 語纈 を支える語 らノ ースイスのθ本語学狡におけ る長娚 学習者:ど母親 への闘 き玻 り調 査か ら一 諺 ξ谷 具樹 し、 主 体 的 に 取 り組 む よ うに な っ た。 そ して 、 面 倒 で あ っ た 目本 語 に は 、 「ダイ ヤ モ ン ドの よ うな プ レゼ ン ト」 とい う新 しい 意 味 が 与 え られ て い る。 この よ うに 、Xさ ん の 日 本 語 学 習 経 験 は 、 「苦 難 」 が あ りな が ら 「転 機]を 経 て 「解 決 」 に 至 る とい う、 安 定 し た型 を 得 て語 られ て い る。 3.4娘 に と っ て の 日本 語 の 意 味 の 変 化 次 に 、 「転 機 」 の 前 後 に お け るXさ ん に とっ て の 日本 語 の意 味 の 変 化 を、 よ り詳 細 に み て い こ う。 先 に 、Mさ ん は 、 日本 語 の 意 味 と して 、 家 族 を結 び1寸け る こ と と、 娘 自 身 の人 間 性 や 思 考 を 広 げ る こ とを 挙 げ て い る こ と を確 認 した 。 この うち 、 前 者 に つ い て は 、 少 な く とも今 回 のイ ンタ ビュ ー で は 、Xさ ん は 言 及 して い な い 。 家 族 との コ ミュ ニ ケ ー シ ョン手 段 と して の 日本 語 は 、Xさ ん に とっ て は あ っ て 当然 で あ り、 な い とい う不 便 や 悲 痛 さは 実 感 しに くい と推 測 され る。 Xさ ん は 、 む しろ 、 日本 語 学 習 の メ リ ッ トと して 、 「他 の 言 葉 を習 うの も も っ と簡 単 にな る 」 こ とや 、 「仕 事 を 見 つ け るた め とか で も、 も しか した らい い 」 とい う、 母 親 は 重 視 して い な か っ た 近 未 来 の 即 物 的 な 側 面 を 挙 げて い る。 しか し、 そ れ ら以 上 にXさ ん が繰 り返 し言 及 した の は 、 日本 語 が で き た か ら こそ 、 日 本 で 「本 当 の コ ミュ ニケ ー シ ョン 」 を 取 り、 「本 当 に よい 友 だ ち 」 を得 る こ とが 可 能 に な った とい うこ とで あ る 。 これ は、Xさ ん の言 葉 で は 「可 能 性 とい うの がす ごい 広 力aる」 こ とで あ り、 母 親 が挙 げ た後 者 、 す な わ ち 、 本 人 の 「財 産 」 とい う 日本 語 の 意 味 で あ ろ うQ さ ら に 、Xさ ん は 、 「ふ たつ と も大 好 き で、 ふ た っ とも も うい っ しょ に した い ぐ らい 」 の ス イ ス と 日本 の 大 切 な友 だ ち 同 士 を 「会 わせ 」 て 、 「行 っ た り来 た り」 させ た い 、 と 述 べ る。 前 か らス イ ス の親 友 と 厂い つ しよ に 日本 ぺ 行 こ うノ と行 つ で る け ど 今 ま では 畑 や つた し、 β本 の友 だ'ちも!ヌ イス へ疔 きた い よノ っ て行 っ でる け ど、 来 るか な 、 いつ 来 るか な っ て感 じや け(L"_o仲 韜9行 った 久来 た ク しでほ しいな 、 ぼ ん と に。 こ の 夢 を実 現 させ るた め に は 、Xさ ん の 日本 語 力 が 重 要 な 要 素 に な るだ ろ う。Xさ ん に と って 日本 語 は 、 自分 の 「可 能 性 」 を広 げ るだ け で な く、 友 だ ち 同士 、 ひ い て は 、 国 同 士 をつ な げ る意 味 を も ち は じめ て い る と考 え られ る。 Xさ ん は 、 「目本 語 を 習 った り、 日本 に行 った り」、 「ハ ー フ で 生 ま れ た って い うこ と」

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O・ 継 承語 ・ノfイ尻ンカツ〃教 育 ひ4〃β)研究1/olume6MARCH2010 を 、 「宝 物 を も ら った み た い な感 じ」 と述 べ て い る。 そ して 、 イ ン タ ビ ュー の 後 半 で は 、 母 親 に 対 して 、 「日本 語 で き て よ か った 。 あ りが と う」 と述 べ て い る 。Xさ ん に とっ て 日本 語 は 、 幼 少 期 に は 自 明 で あ り、 学 齢 期 に な っ て 時 に 負 担 とな る が 、 成 人 を 迎 え る 頃 に は 、 自分 の 「可 能 性 」 を 広 げ 、 大 好 き な スイ ス と 日本 とを 結 び 付 け る 「宝 物 」 へ と 、 そ の 意 味 を変 化 させ て い る。 なお 、Xさ ん は 、 スイ ス人 男 性 との 子 ど もを妊 娠 中 の 日本 人 女 性 に 、 生 まれ て くる 子 ど も に 「日本 語 を 教 え た方 が い い?教 え な い方 が い い?」 と聞 かれ た 際 、 「教 え た 方 が い い よ 」 と答 え た と言 う。 続 け て 、Xさ ん は 、 自分 に 「も しハ ー フの 子 ども が い た ら (日本 語 を)教 え るな 」 と言 い 、 「日本 人 じゃない 人 と結 婚 し」 て子 どもが 「ク ウォー タ ー 」 で あっ て も 「教 え た い 」 と述 べ て い る。 それ を 聞 い たMさ ん が 「よ っ ぽ ど努 力 しな い と 無 理 」 と言 う と、Xさ ん は 、 「じゃ あ 、 日本 人 と結 婚 しな い と」 と笑 い 、 「国 際 結 婚 っ て 難 しい ん や な 」 と返 して い る。 こん な や り と りが 日本 語 で で き る こ とは 、 日本 語 が 母 と娘 、 そ して 、 そ の子 ど も と を結 び付 け て い くこ との象 徴 で あ り、 娘 に母 親 を 「理 解 し て も らい た い 」 が た め に 日本 の こ とを 伝 えて き たMさ ん の 希 望 が 現 実 化 した 一 場 面 で あ ろ う。Xさ ん 自身 は 明確 に は認 識 して い な い が 、 国 際 結 婚 を して 海 外 で わが 子 に 日本 語 を教 え て き た 母 親 に 感 謝 し、 共 感 す る こ とに あ らわれ て い る よ うに 、Xさ ん の習 得 し た 日本 語 は 、 結 果 と して 、 家 族 の 「つ な が り」 を保 つ こ と にな って い る。 4.引 用 され 反 復 され る 日本 語 をめ ぐ る語 り 4.1母 娘 に よる 他 者 の語 りの 引 用 Mさ んやXさ んは、 日本語 教 育/学 習 の過 程で感 じた 「苦難 」 を 「解 決」 した体 験 を語 っ た り、 日本 語 の意 味 を述 べ た りす る際 に、 しば しば、 日本 語 学校 の教 師や 卒 業 生 な ど、 他 の人 の語 りを引 用 してい る。 た とえば 、 日本語 学 校 に行 き渋 る娘 を不 憫 に 思 って もなお、 通 学 させ続 けた ことを述 べ る際 、Mさ んは 、 「ち ょっ とで も続 けてい く とい うの が大事 だ」 とい う日本 語 学校 の教 師の語 りを引用 してい る。 や っぱ ク、 β本 語 鞭 の 先生 風 な ん と力瀦 プて 翻 ナて∼ そ ん な に た ぐ さん 雛 と瓜 そ ん な1`Lな ぐで もい の か ら、 ちょ っ とで も翻 ナでい ぐ とい ラのが 凍 事 だわ てお っ しゃ っ て るか らね や っぱ クそ7だ な と想 ラ。 や な ク丞 ま っ ちゃ った ら、 とi)んど ん く2)をど)を,忘 qvで い ぐ で しょ ラ、 や っL°ク。 だ)から、 あ る齪 ま でなん と力紡 け でと い うの は 蟹 っ で い ま し・た ね,

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∠劃察結婚羅 のθ本語継 承を支 える1語らノ ースイヌのθ本 藷学校1ごあける長 鱈学習者ど母親 への嚴さ玻 り調 査か ら一ito真 膨 同 様 に 、Xさ ん も、 日本 語 学 習 に な か なか 主 体 的 に なれ な か っ た 学 齢 期 に 、 「『も っ とお と な に な っ た ら、 や っ て て よ か っ た って 思 うよ』 って 先 生 に言 わ れ て た 」 と語 っ て い る。 この 教 師 に 対 して 筆 者 が 行 っ たイ ンタ ビ ュー に よ る と、 教 師 は 、、日本 語 学 習 に は 「い ろ い ろ な続 け方 」 が あ り、 や め な い で 「綱 々 とで もい い か ら」 続 け る こ とが 大 切 で あ る と、 こ とあ る ご とに 母 親 や 子 ど もに訴 え て い る と言 う。 ま た 、 「あ とで み ん な 『よか った 』 っ て 言 っ て くれ る 」 こ とを 、 母 親 た ち に も子 ども達 に も 「しつ こ く言 っ て る 」 と言 う。 私 な ・い つ ら子 ど も達 に 、/が)イ ノゴっ で や っ て た ら や っ た だ'Gf,や っ て よ か っ た と、mラ わ よ 、 髞 ノ っ て 、 こノ乙ノこ力謝1こ 、 んそ う レ、ラノ欠達 を 、 芫 ∠生み で る 、か らねL1っ で 言 っ で る2か ら。 この よ うに 、 「な ん とか 続 け て 」 い れ ば 、 将 来 き っ と 「や っ て よか っ た と思 う」 とい う語 りは 、A日 本 語 学 校 を 中 心 と した コ ミュニ テ ィ で繰 り返 し語 られ 、 参 照 され て 、 容 易 で は な い継 承 語 教 育/学 習 の継 続 を支 えて い る と考 え られ る。 ま た 、 「日本 語 で きて よ か っ た 。 あ りが と う」 とい う言 葉 を娘 か ら受 け た 際 、Mさ ん は 、 「や っ ぱ り成 人 に なっ て 、 あ あ 、や っ て て よか っ た って 、 や っ て た人 は、 や っ ぱ りや っ て て よか った と思 うん で し ょ うね 」 と述 べ て い る。Xさ ん も、 「(や っ てた 人 は 、 や って て よか っ た と)絶 対 思 うと思 う」 と応 じて い る。 こ こで も また 、 続 けて い れ ば あ とに な っ て 「や っ て て よか った と思 う」 とい う語 りが繰 り返 され て い る。 さ ら に、 「や っ ぱ り」 と い う表 現 が 、 「や っ て て よか っ た と思 う」 こ とが 予 想 され た 事 態 だ っ た こ と を暗 示 して い る。 この 場 面 で 、Mさ ん は 、 日本 語 学 校 の 卒 業 生 とそ の 母 親 の体 験 を 引 用 して い る。 子 ども に 日本 語 を 「厳 し く教 え た 」 そ の 母 親 は 、 日本 語 学 校 の 記 念 行 事 で 息 子 が 卒 業 生 と して ス ピー チ を す る際 に 、 「鬼 婆 み た い に怒 られ た とか 、 そ ん な こ とを言 われ た ら ど う し よ うっ て 」 「心 配 して た 」 と言 う。 しか し、 実 際 に は 、 「す ごい い い こ とを 言 われ た 」。 そ の ス ピー チ の概 要 は 、 子 ども の 頃 は 日本 語 学 校 を 「面 倒 」 に思 っ て い た が 、 「言 葉 の 勉 強 は鍵 を手 に入 れ る こ と」 で あ り、 「そ の 鍵 で 不 思 議 な 扉 を 次 か ら次 へ あ け る こ とが で き 、 そ の裏 に は 別 世 界 が 待 っ て 」 い る こ と に気 づ くに到 り、 「日本 語 をみ ず か ら勉 強 す る よ うに」 な っ た とい うも の で あ る。 さ ら に、 「苦 労 して 手 に入 れ た 鍵 な の で 、 目の 前 に 展 開す る 世 界 は格 別 です 」 と、 そ の 卒 業 生 は 述 飛 て い る5)。

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母 語 ・懇 承語1・バ イ{ノンカヲ〃教 育 ひ4〃砂 研 究Volume6MARCH2010 この ス ピー チ に つ い て 、Mさ ん は 次 の よ うに 語 っ て い る。 XXさ ん の とこの 息子 さん が 言翻 τた のは 腱 を持 た され たノ つてぬ 、扉 を御げる。 それ は すご ぐよ嬬 仲 謝 あれ 、本 当そ うだ と、蟹いま先 だか ら、本 当に鍵 を渡 しで 鍵 て棚 ゲるのは 身分 本スだけ ども、なんか 鍵 を渡 しで ひ とつの扉 を易易け られ る鍵 を渡 して∼ やっぱ クそ抛だを想 いまナよね 、 日楴 学狡 をや っでいるのなね  , Xさ ん も、 同 様 に 、 「ほ ん ま に鍵 や な あ」 と賛 同 の 意 を表 して い る。 この ス ピー チ は 、 記 念 行 事 に 参 集 したA日 本 語 学 校 の 多 くの 関 係 者 が 聞 き、 記 念 誌 に も掲 載 され て い る 。 ま た 、 筆 者 の 聞 き 取 り調 査 で も複 数 の 人 が 引用 して い る。 日本 語 は 、 「別 世 界 」 へ とつ な が る 「鍵 」 で あ り、 「苦 労 」 の 分 だ け 「格 別 」 の 経 験 を味 わ え る、 とい うこの 卒 業 生 の 語 りは 、 具 体 的 な 経 験 を伴 い な が ら、 「な ん とか 続 けて 」 い れ ば 、将 来 きっ と 「や っ て よか った と思 う」 とい う先 の 語 りを再 生 産 して い る。 逆 に 、 他 者 の 体 験 を反 面 教 師 と して 引 用 しな が ら、 日本 語 は 「や っ とい た 方 が い い 」 と語 られ る こ とが あ る。 娘 を 何 語 で 育 て るべ き か 迷 っ た経 験 を 語 った 際 、Mさ ん は 、 子 ど もに 日本 語 を教 え な か っ た 日本 人 の 母 親 につ い て言 及 して い る。 ちょ っ と鰯 ご、 や っ ノプクβ本 ス の 方 て气 も う私 よ クだ レ、しぶ}年肪 で もラ娘 さん もフヒ ノ2Gこな られ た方 に 言 わ どZた。 や っ〆プク、 続 け らノ乙た ら 〃、〃、で ナ よ っ で言 ラ。 や っな ρク丿鍵 さん ら大 き ぐな っ て か ら、/な ん で β不 語 を'zで ぐれ なか っ たカヲ つ で 言わ れた っ で言 うん で ナよ れ/-//)乙 ああ 、 や っぱ ク、 だ か ら、 じや あ、 や っぱ ク、 や っ と いた 方 が い いの かな1つ て い ラの 燐 日本 語 を 教 えな か っ た親 を 子 ど もが成 人 して か らな じ る とい う話 は 、他 のイ ン タ ビュー で も しば しば 聞 か れ た 。 た とえ ば 、 前 出 の 日本 語 学 校 教 師 は 、 次 の よ うに述 べ て い る。 厂ど ラ し でそ れ 仔 浜が 號 が る こ と丿 を翔 し切Fっでや らぜ なか った のyつ て ピ中略)後 で 僧 吩 の 子 ど もに 丿 言 わ れ ま ナ よ っ て∼ 私 ノま言 っ たん で沈 み ん な1'`o本 当 に そ ラだ か ら。 こ う した 語 りは 、 多 くの 場 合 、 本 人 自身 の 体 験 で はな く、 誰 か の 体 験 の 伝 聞 で あ る。 ま た 、 先 の 、 「お とな に な っ た ら、 や っ て て よか っ た っ て 思 う」 とい う語 りが 、 具 体 的 な

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国 察雛 豸c庭のθ本講 を支 える6誓り 一スイヌのθ本謬 学擲 こみ1プる長期 学習者ど母親への置溶 琢裼謝 査か5-'渋 谷 真 樹 固有名 詞 を伴 った知人 の体験 と して語 られ るのに対 して、 こち らはあま り親 しくない他 者 の体 験 と して語 られ るこ とが 多い。 親 しい人 に よって リアル に語 られ る肯定 的 な経 験 を、漠 然 と暗示 され る否 定 的な経験 が相補 って 、 日本語 を 「や っ といた方 がいい」 とい うこ とが強調 され てい る。 両者 は、 日本 語 教 育/学 習 を両側 面 か ら支 え、 困難 で ある 日本 語 教 育/学 習 を継続 してい くことを促 してい る。 以 上 の ことか ら、A日 本 語 学校 を中心 とした コ ミュニテ ィでは 、 日本語 教 育/学 習 を 続 けていれ ば、将 来 「や ってて よか った 」 と思 う一方 、や めて しま えば後 悔す るこ とに な る、 とい う語 りがモデル ・ス トー リー になってい るこ とが わか る。 先 に行 く家族 の体 験 が後 に続 く家 族へ と語 り継 がれ て、 国 際結婚 家 庭 の 日本 語 継 承 を支 えて いる と考 え られ る。 4.2語 り継 が れ る母 娘 の体 験 さらに、 目本 に2度 の滞 在 を果た したXさ ん の体 験 も、A日 本語 学校 において さま ざ ま に語 り継 がれてい る。 まず、Xさ ん 自身 が、A日 本 語 学校 の文集 に、2年 にわたって 経 験 を書 き綴 っている。そ こでXさ んは 、 自分の経 験 を記 した上 で、 「この よ うな 良い 経 験が できた理 由の一つ は 日本語 を勉 強 してきたか ら」 であ り、 「こんな に価値 の ある、 ダイ ヤモ ン ドの よ うなプ レゼ ン トを も らったのだか ら、楽 しく勉 強 して頑 張 れば、 ます ます喜 び が増 えるんだ と思 って」 いる と記 してい る。最 年長 生徒 のひ と りらしく、内 実 共 にきわだって充実 してい るXさ んの文 章は、 日本 語 学校 に集 うすべ ての家庭 に配 られ 、 多 くの母 親や子 どもの 目に触れ ている と思 われ る。 また 、教師 も積 極 的にXさ んの経験 を語 り継 いでい る。 五Xち やん 、 それL愛 卸 万 靜 での蔭 験7ね 、,先生 、 み ん な1'言 っ で い い?ノ つ て言 っ た ら、 厂い い よ。 い い よ。ノ つ で言 っ て∼ 厂言 っ であ げ て1つ でい ラ廨 じ て漁 Xさ んか ら 「本 当に先 生 の言 うとお りや ってよかった」 と言 われた と言 うこの教 師は、 Xさ んは 日本 語 能力 試 験 の2級 に受か った か らこそ愛 知万 博 に行 くこ とができたのだ と して 、A日 本 語 学校 の教室 で年 少 の子 どもたち に 目本 語学 習 の効用 を語 り聞かせてい る。 加 えて、 この教 師 を含 むA日 本 語 学 校 の有志 が 開催 したバイ リンガル教 育 に関す る パネルデ ィスカ ッシ ョンでは、Xさ んが生徒 として 自分 の 目本語 学習 経験 を語 ってい る。 このパネルデ ィスカ ッシ ョンは 、就 学前 の 日系 国際児 を もつ母 親 を主 な対 象 とした もの

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母 語 ・纈 語 ・ノ1"イワンカフ〃教 育 ひ4〃β)研究Volume6MAR(;H20ア0 で 、Xさ ん の他 には 、 年 長 の母 親 や 目本 語 学 校 の教 師 が パ ネ ラー を務 め た 。 この パ ネ ル デ ィス カ ッシ ョン につ い て 、 教 師 は次 の よ うに述 べ て い る 。 岩:いお 母 さん達 は やっぱ ク綴 がな いか ら、 くどうな っ ちや ラん だろ うか とい うのがみ zて ノτば それだ'Gfやってみ よ うっでい ラ気 にな るか もしれ な 嬬,,;;.一 や っぱ クそれ は ナ ご ぐ甥 いでる君 いお 母 さん達 には よ いこ とだ と想 ラん でナよ、 ぞ クい う ρシ グ ンガ 協教 酬 繖 を嫁 ぐ。 それ をするか しな いか〆訪 〃と しZ,あ あ、 そ うい ラ入 もい るんだ ら ていうれ 参 加 者 か らは 、 「親 の 立 場 か らの経 験 談 は 耳 に す る こ とが あ っ て も、 子 ども の 立 場 と い うの は な か っ た の で」、 「Xさ ん の体 験 談 は 、 特 に参 考 に 」 な った とい う感 想 と とも に 、 「うち の(子 ど も)2人 も 、20年 後 にXさ ん み た い に 思 っ て くれ る とい い な あ … 」 と い う声 が 寄 せ られ て い る。 ま た 、 「貴 重 な体 験 談 を 聞 き 、 そ の 中 で も特 に 大 き くな っ た ら 皆 日本 語 を勉 強 して 来 た 事 に感 謝 して い る とい う話 を 聞 い て 、 私 も前 向 き に考 え られ る 気 が しま した 」 とい う感 想 も あ る6)。 これ らか ら、Xさ ん の 経 験 もま た 、 「お とな に な っ た ら、 や っ て て よか った って 思 う」 とい うモデ ル ・ス ト∵ リー を再 生 産 す る具 体 例 と して 、繰 り返 し語 り直 され て い る こ と が わ か る。 こ う した モデ ル ・ス トー リー は 、 日本 語 の 今 こ こで の 必 要 性 や 近 い 将 来 の 有 用 性 が 感 じられ に くい 環 境 で 、 さま ざま な 「苦 難 」 に 立 ち 向 か っ て い る国 際 結 婚 家 庭 の 親 子 に とっ て 、 自分 の 経 験 や 目指 す 方 向 を意 味 づ け る上 で 、 大 き な 支 え に な って い る 。 A日 本 語 学 校 は 、 日本 語 の 教 育/学 習 機 会 だ け で な く、 モ デ ル ・ス トー リー を 提 哄す る こ とに よ って 、 ス イ ス で 学 ぶ 日系 国 際 児 達 を 日本 に結 び つ け る機 能 を 果 た して い る。 5.お わ り に 本 論 文 では、 日本 語学 校 に長年 通学 し、高 い 日本語力 を得 た 日系 国際 児 とそ の母 親 へのイ ンタ ビューか ら、当事者 の 日本語に対す る意味付 けや 日本語教育/学 習の体験 に迫 った。 母親 は、家族 をつ なげ、子 どもの可 能 性を広 げ るとい う意 味 を、 日本 語 に付 していた。 イ ンタ ビュー 時点 では、 目本 語 を教 えて きた過 程 を肯定 的 にふ り返 ってい るが、 折々 に は迷い や不 安 もあ った。 そ うした 「苦難 」 を 「解 決 」 し、 日本語 に積 極 的 な意 味を与 えてい く際 には、少 しずつ でも 日本語 教育 を継続 していれ ばあ とで 「や ってて よかった」

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国際結婚羅 のθ本語纒 を支える藷り 一スイヌのE7衣 語学擲 こおける長鰐学 習者ど母親 への儼ま玻 砺漑査か ら一 諺 ξ谷 真 樹 と思 い 、 中断 す れ ば後 悔す る 、 とい う、 日本 語 学 校 の教 師や 卒 業 生 、 年 長 の母 親 達 の 語 りを 参 照 して い た 。 一 方、 娘 は 、 所 与 の もの と して 日本 語 環 境 を 享 受 し始 め る もの の 、 学 齢 期 に は 困 難 も経 験 して い た 。 そ うした 場 合 に は 、 教 師 や 母 親 か ら 日本 語 の 将 来 的 な 有 用 性 を説 か れ 、 学 習 の継 続 を促 され て い た 。 そ して 、 成 人 を迎 え る 頃 に は 、 日本 語 に よ って 可 能 性 が広 が る体 験 を して 、 日本 語 を 「宝 物 」 と感 じる よ うにな り、 日本 語 学 習 を 「や っ て て よか っ た 」 とい う語 りに深 く共感 す る よ うに な っ て い た 。 目本 語 に は価 値 が あ り、 そ の 教 育や 学 習 を継 続 して いれ ば あ とで 喜 び が 訪 れ 、 や めれ ば 悔 い る こ と に な る とい う語 りは 、A日 本 語 学 校 で 繰 り返 され るモ デ ル ・ス トー リ亠 で あ る。 各 々 の 経 験 は これ に沿 って 意 味 づ け られ 、 語 り継 が れ て い る。 日本 語 の必 要 性 が 感 じ られ に く く、 や や もす れ ば現 地 社 会 へ の 同 化 が 強 調 され か ね な い 永 住 コ ミュ ニ テ ィ にお い て 、 日本 語 を継 承 してめ くた め に ぽ 日本 語 の価 値 や 日本 語 を介 して 得 た 貴 重 な 体 験 を繰 り返 し語 る こ とは 重 要 で あ る 。 日本 語 学 校 は 、 単 に 教 育/学 習 機 会 を 提 供 す る だ け で な く、 モ デル ・ス トー リー を 再 生 産 し続 け る こ とに よっ て 、 日本 語 の継 承 を 支 援 して い る。r' た だ し、 語 りだ け で は 、 日々 の 教 育や 学習 の 「苦 難 」 を乗 り切 る こ とは保 障 され な い。 佐 々 木(2003)は 、 年 少 の 継 承 語 学 習 者 に対 して 、 教 師 ・家 族 ・友 人 が 「有 益 だ 」、 「大 切 だ 」 と説 い て も あ ま り効 果 は な い と して 、 む しろ 、 授 業 をお も し ろ く した り、 褒 め た り、 賞や 特 典 を与 え た りす る こ とで動 機 付 け る こ とを薦 めて い る。A日 本 語 学 校 の 15歳 の あ る生 徒 は 、 目本 語 学 習 を 「楽 しい と思 っ てや っ た こ とは ない 」 け れ ども 、 「将 来 に役 立 つ か も しれ な い って お 母 さん とか に も言 わ れ て い るの で 」、 「も し か した ら使 え る」 と思 って が ん ば っ て い る、 と述 べ て い る。 この よ うに、 学 齢 期 か ら思 春 期 にか けて しば しば み られ る 、 モ デル ・ス トー リー に は 同 調 して も 、 そ れ が 自 らの 経 験 を意 味 づ け るた めに 有 機 的 に結 び つ い て い な い 場 合に つ い て は 、 今 後 追 求 して い き た い 。 注 1)鈴 木(2008、5ペ ー ジ)は 、「国籍 と民族 が異 な る男 女 の間に生 まれ た子 ども」を 「国際児 」、 その うち 「両親 の どち ちかが 日本 人 である国 際児 」を 「日系 国 際児 」 と呼んでい る。 2)調 査 協 力者 の希 望 に より、教 育機 関名 お よび所在 地 名 は仮 名 とす る。このこ とに よ り、読 者 が 関連す る文献 や資 料 に当たれ ないな どのデ メ リッ トがあ るが、小 規模 の 自主運 営組 織 であ るこ とを鑑 み、子 ども達 の学び の場 が安定 的 に維 持 され る ことを優 先 した。 3)A日 本語 学校 の2005/2006年 版 生徒 文集 に、「愛 ・地 球博 での経 験」 として掲 載 され ている。 4)「 転機 」 とは、 「経 験 をも とに した主 観 的 リア リテ ィの変化 の こ とで あ り、新 しい意 味体 系 の

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母 語 ・o・ バ イ αンカシ〃教 育 ひ4Hβ)研 究Volume6ル(ARCH2010 獲 得過 程 の こ と」(桜 井2002、236ペ ー ジ)で あ る。 5)A日 本 語 学 校 の 創 立20周 年 記 念 誌(2005)に 、 「祝 辞 」 と して 掲 載 され て い る。 6)Aバ イ リンガ ル を 考 え る会 「パ ネ ル デ ィス カ ッ シ ョン 『バ イ リン ガ ル を 考 え る 』開 催 報 告 」 に よ っ た 。 参 考 文 献 大 山 智 子 ・大 山全 代 ・津 田和 男(2006)「 国 連 国 際 学 校 に お け る継 承 日本 語 教 育 の 取 り組 み 」『母 語 ・継 承 語 ・バ イ リンガ ル教 育(MHB)研 究 』第2号 母 語 ・継 承 語 ・ バ イ リン ガル 教 育(MHB)研 究 会pp .32-81 奥 村 三 菜 子(2007)「 継 承 日本 語 教 育 に お け る学 習 者 中心 の 教 室 活 動 に 関 す る一 考 察 」 『ヨー ロ ッパ 目本 語 教 育 』11ヨ ー ロ ッパ 目本 語 教 師 会pp.85-89 桜 井 厚(2002)『 イ ン タ ビ ュー の社 会 学:ラ イ フス トー リー の 聞 き 方 』 せ りか書 房 桜 井 厚(2005)「 ライ フ ス トー リー ・イ ンタ ビュ ー を は じめ る 」桜 井 厚 ・小 林 多 寿 子 『ライ フ ス トー リー ・イ ン タ ビュー:質 的 研 究 入 門 』 せ りか 書 房 佐 々 木 倫 子(2003)「 加 算 的 バ イ リ ンガ ル 教 育 に 向 け て:継 承 日本 語 教 育 を 中 心 に 」 『桜 美 林 シナ ジー 』創 刊 号 桜 美 林 大 学pp.23-38 佐 藤 郡 衛(2001)『 国 際 理 解 教 育:多 文 化 共 生 社 会 の 学 校 づ く り』 明 石 書 店 渋 谷 真 樹(2007)「 海 外 で 日本 語 を 学 ぶ 日本 の 子 ども た ち の ア イ デ ン テ ィテ ィ:あ る 日本 語 学 校 の取 り組 み か ら」『こ こ ろ と文 化 』第6巻 第1号 多 文 化 間 精 神 医 学 会 pp.26-34 鈴 木 一 代(2008)『 海 外 フ ィー ル ドワー ク に よ る 日系 国 際 児 の 文 化 的 ア イ デ ンテ ィテ ィ 形 成 』 ブ レー ン 出 版 中 島 和 子(2001)『 バ イ リ ンガ ル 教 育 の 方 法:12歳 ま で に親 と教 師 が で き る こ と』 ア ル ク 中 島 和 子(2005)「 カナ ダ の継 承 語 教 育 そ の 後:本 書 の 解 説 に か え て 」ジ ム ・カ ミン ズ 、 マ ル セ ル ・ダ ネ シ 『カ ナ ダ の 継 承 語 教 育:多 文 化 ・多 言 語 主 義 をめ ざ して 』 明 石 書 店pp.155-180 中 島 和 子 ・鈴 木 美 知 子 編 著(1996)『 継 承 語 と して の 日本 語 教 育:カ ナ ダ の 経 験 を踏 ま え て』 カ ナ ダ 日本 語 教 育 振 興 会 フ ッ ク ス 清 水 美 千 代 ・ク レニ ン 道 上 ま どか ・カ イ ザ ー 青 木 睦 子 ・ペ ル セ ニ コ 長 森 千 枝 (2004)「 海 外 に 住 む バ イ リン ガル 児 童 の た めの 日本 語 教 材 制 作 報 告 」『ヨー ロ ッ パ 日本 語 教 育 』8ヨ ー ロ ッパ 日本 語 教 師 会pp .101-106 モ イ ヤ ー 尾 問 康 子(2005)「 プ リンス トン補 習 授 業 校 よ り:多 様 化 す る子 ど もた ちへ の 対 応 」『海 外 子 女 教 育 』385号 海外 子 女 教 育 振 興 財 団pp.15-19 0kita,Toshie(2002)InvisibleWork,JohnBenjaminsPublishingCompany

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厘1鷦 婚軅 のθ本語纈 を支 える語 ヲ ースィヌのθ本語学擲 こあ1プる長 鰐学習着:ど母親 への儼諏 り嬲 査から一'渋 谷 真樹 謝辞 調査 に ご協力 いた憩 ・た皆様 に、篤 く感 謝 いた しますO なお 、本研 究 は、科 学研 究 費補助 金(基 盤 研 究(C)課 題番 号20530775「 スイ ス在 住 日 系 国 際児 の 日本 に関す る教 育 とアイデ ンティテ ィ形成 に関す る研 究」)を受 けて行 われ ていま す。

参照

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