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sisting of only one kind; the intermediary type-one made up of two kinds; the diversified type-one composed of more than three kinds as classified fro

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814 日 泌 尿 会 誌, 58巻, 8号, 1967

前立 腺 の老人 性 変 化

II. 潜 在 性 お よび顕 在 性前 立 腺 肥 大 な らび に

それ ら と睾 丸 の老 人性 変 化 との 関連 に

関す る病 理組 織 学 的研 究

日本 医科 大 学 泌尿 器 科学 教 室 (指 導: 川 井 博 教授) 日本 医科 大学 第一 病 理 学 教 室 (指 導: 矢 島権 八 教授)

太*

ON THE MORPHOLOGICAL

ALTERATION

OF THE

PROSTATE

GLAND

ON AGING

II.

A CORRELATIVE

HISTOPATHOLOGIC

STUDY

OF THE

LATENT

AND MANIFESTED

NODULAR

HYPERPLASIA

OF THE

PROSTATE

GLAND AND SENILE

CHANGES

OF THE

TESTIS

Masao Akimoto

Department of Urology, Nippon Medical School

(Director: Prof. Hiroshi Kawai)

Department of Pathology, Nippon Medical School

(Director: Prof. Gompachi Yajima)

From 228 cases of the male unselected consecutive autopsies, we selected 45 cases of the group of the

macroscopic non-hypertrophic nodular formation with the maximum diameter of the frontal section of

the prostate gland being less than 3.5cm (hereinafter abbreviated as the non-hypertrophic

type) and

out of which, 43 cases carrying the testis, as well as 36 cases of the group of the macroscopic hypertrophic

nodular formation with the maximum diameter being more than 3.51cm (hereinafter abbreviated as

the hypertrophic type) and out of which, 32 cases carrying the testis, and examined them together with

39 cases of the prostatic removal group (hereinafter abbreviated as the operation case).

On the question of whether or not there exists the nodule, we made a microscopic examination of the

staining microscopic specimen and used two major characteristics-one

showing a clearcut boundary

on its surroundings and the other showing a distinctive image pressing upon its surroundings-as

a basis,

but excluded the early nodule and the prostatic carcinoma from the examples of the present study.

In the autopsy cases, many had a few nodule, while the number of the nodules was also small. As

for the frequency of nodular formation, however, the rate shown by the group of nodular formation with

the maximum diameter (the frontal section of the prostate gland) being more than 3.51cm was higher

than that shown by the group of nodular formation with the maximum diameter being less than 3.5cm;

but, the rate increased on aging in non-hypertrophic case.

In the operation case, the nodule was big irrespective of the age, and the nodules were numerous.

By devising the nodular tissue type (I. the cystic type, II. the proliferative type, III. the non-prolifera

- ative type, IV. the musculofibrous type) and the nodular classification type (the simple type-one

(2)

sisting of only one kind; the intermediary type-one

made up of two kinds; the diversified type-one

composed of more than three kinds as classified from the nodular tissue type), we used them to make a

comparative study of each case.

In the operation case, there were observed the complexity, diversity and non-uniformity; and, such

symptoms were already seen even in the case where the nodules were small; hence, it was presumed that

these symptoms had something to do with the sudden increase in the nodules.

Upon comparing the extra nodular tissue with the intra nodular tissue, mention was made of the

prostatic calculus, the prostatic atrophy and the prostatic adenomatous change as a case in which the

extra nodular tissue gained an advantage over the intra nodular tissue in properties, degree and number;

further, reference was made of the prostatic atrophy, the prostatic adenomatous change, the proliferative

change of the glandular epithelium and the cystic change as a case where the operation case advanced more

than the autopsy case.

The proliferative change of the glandular epithelium was observed in the case where the hypertrophic

case stood at advantage over the non-hypertrophic case. The cystic change alone showed a distinctive on

aging influence.

Cited as what was subjected to the on-aging influence both in the non-hypertrophic case and the

hypertrophic case in the testicular histological image were the degenerative atrophy of the Leydig's cell,

the hyalinization of the basement membrane and the synthetic atrophic degree; but, as the case in which

the difference between the two cases was observed, mention was made of the following.

As a case in which the non-hypertrophic case was more subjected to the on-aging influence, reference

was made to the degenerative atrophy of the spermatogenic series.

Furthermore, as a case in which the hypertrophic case advanced more in terms of degree and proper

ties, mention was made of the focal tubular hyalinization.

As a case in which a proportional relationship was observed in conection with the prostate gland and

the testis, there was the atrophic change in the prostate gland and the testis. As a case in which a pro

portional relationship was not clearly established, meanwhile, mention was made of the atrophic change

in the prostate gland and the degenerative atrophy of the Leydig's cell.

第1章

前 立腺 肥大症は排尿障 害を起す老人病 として注 目され

る疾患 の一つで あ り, その病理学的研究 は内外共に多 く

の ものがあ る. 前立腺肥 大症に付け られた名称 も,

hy-perplasia, benign hyperplasia, benign enlargement, benign prostatic hypertrophy, adedomatous hypertro-phy, adenoma, nodular hyperplasia, fibroglandular

hy-perplasia等 多数存在 す ることは, この前 立腺肥大症 の

発 生原 因が未だ不 明の証 左 といえ る.

本症 の最 も特徴的 な病 変 とされ る結節性 の腺管 性肥大

と筋腺維性 肥大は, 例 え肉眼的乃至臨床的 肥大が認 め ら

れな い例 で も, 一般 の老人前立 腺では その雨芽的 変化 が

多 くの例 で認め られ る. 著 者は病理組織学 的追究の手掛

か りと して, 剖検例 よ り得 られた前立腺を肉 眼的非肥大

結節形成 群(以下非肥大例 と略 す), 肉眼的肥大結節形成

群(以 下肥 大例 と略す)と し, これ等 と臨床症状 を呈 し

た前立腺 肥大症症例(全 例に結節存在, 以下手術例 と略

す)と の比較 を結節 の肥大 型式, 結節外組織 及び結節 内

組 織 の病 理 組 織 学 的 変 化 に 着 目 して 検討 した. 更 に剖 検 例 よ り得 られ た 非 肥 大 例 及 び 肥 大 例 の 睾 丸 の病 理 組 織 学 的 変 化 及 び そ れ と前 立 腺 との 関 連 を も併 せ て追 究 した 次 に 前立 腺 肥 大 症 が 老 人 病 と して 考 え られ て い る根 拠 と して 以 下 の 統 計 が あ る. 深 瀬15)による と, 1924年 以前 の 日本 に 於 け る 前 立 腺 肥 大 症 症 例 は78例 で, 30才 代3 例, 40才 代1例, 50才 代15例, 60才 代45例, 70才 代14例 と なつ て い る. 高 橋67)らは, 1927年 よ り1938年 迄 の274例 の本 症 患 者 に つ い て 年 令 別 分 布 を 検 討 した が, 40才 代9 例, 50才 代59例, 60才 代146例, 70才 代60例, 80才 代3 例 であ つ た. 同 様 に 市 川27)の1945年 よ り1954年 迄 の160 例 の本 症 患 者 に つ い て の 調 査 で は, 40才 代1例, 50才 代 18例, 60才 代84例, 70才 代46例, 80才 代 以 上11例 で 平均 年 令 は67. 2才 とな つ て い る. 更 に 南44)の952年 か ら1958年 迄 の142例 の 本 症 患者 に つ い ての 調 査 で は, 40才 代10例, 50才 代35例, 60才 代51 例, 70才 代, 42例, 80才 代 以 上4例 で 平 均 年令 は639才 で あ る. 楠36)の1950年 か ら1965年 迄 の647例 の 本 症患 者

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816 に っ い て の 報 合 で は, 40才 代 以 下3例, 50才 代96例, 60 才 代311例, 70才 代218例, 80才 代18例, 90才 代1例 と な つ て い る. 以上 の統 計 よ り, 70才 代 以上 に つ い て は, 症 例 数 が 少 な い が, こ の理 由 と して は人 口の 構 成 上 絶 対 数 が 少 な く, た とえ症 状 が発 現 して い て も気 づか な か つ た り, 更 に は老 令 の 為 医 師 の適 確 な 診 断 を 受 け な い 場 合, 等 よ り 症 例 数 が 減 少 して い る こ と も考 え られ る 結 論 と して, 加 令 と共 に 前 立 腺 肥 大 症 の発 現 頻 度 は 増 加 して あ り, 更 に 将 来, 寿 命 の 延 長 と共 に発 現 頻 度 の増 加 は 当 然 予 測 し うる. 前 立 腺肥 大 症 が老 人病 の一 っ と して, 注 目 され る所 以 で あ ろ う. 第2章 検 索 材 料 及 び 方法 日本 医 科 大 学 病 理 学 教 室 に 於 け る 男子 の み の無 選 択 剖 検 例228例 の うち よ り周 囲 の 組 織 を 除 い た 前 立 腺 を, Helly又 はFormalin固 定 後, 前 立 腺 前額 面 の最 大 径 が 3. 5cm以 下 で 結 節形 成 の あ る もの(非 肥 大例)45例 と同 じ く最 大 径 が3. 51CII1以上 で 結 節形 成 の あ る もの(肥 大 例) 36例 を選 び, そ れ らの うち で 同時 に 睾丸 が 得 られ た もの 非 肥 大 例43例, 肥 大 例32例 を検 索 した. 更 に 病 的 肥大 例 と して 日本 医 科 大 学 泌 尿 器 科 教 室 及 び東 京 警 察 病 院 泌 尿 器 科 よ り得 られ た 手 術(摘 出)例39例 の前 立腺 も併 せ 検 索 した. 結 節 の 存 在 の 有 無 に 関 して は, 染 色 標 本 を鏡 見 し, 二 大 特 徴 と して(1)周 囲 との 明確 な 境 界 と, (2)明 らか に 周 囲 へ の圧 迫 像 が認 め られ る もの を 基 準 とし, 切 片 標 本 上 で結 節 の一 部 で も欠 け て い る も の は 除 いた. 但 し, い わ ゆ る初 期 結 節 と して考 え られ て い る内腺 の 部 に起 る線 維 筋 性 の 極 く小 さ い結 節 状 の変 化, 及 び 明 らか な 前 立 腺 癌(50才 代1例, 70才 代1例)症 例 は, 検 索 例 か ら除 外 した. 標 本 作 製 方 法 は, 固 定 方 法 と して6倍Formalin水 又 はHelly固 定 液 を 使 用 した. 固定 後 尿 道 に垂 直(即 ち 前 額 面)の4切 片(最 前 部, 精 阜 部, 精 阜 よ り最 後 聞 部, 最 後 部)に 細分 した. 但 し手 術 摘 出 例 で は1例 に つ き3乃 至7個 の任 意選 択 切 片 を 作 製 した. 睾 丸 に つ い て は, 副 睾: 丸 を 含 め て最 大 径 を 有 す る面 で 左 右 睾 丸 よ り1 切 片 づ っ を 採 取 し た. 染 色 方 法 と して は, (1)Hema-toxylin-Eosin染 色(HE染 色), (2)Elastica-van-Gieson 染 色(EvG染 色), (3)Azan-Mallory染 色(Azan 染 色), (4)Periodic-Acid-Methenamin-Silver染 色

(PAM染 色 矢 島73)変法), (5)PAP鍍 銀 染 色(PAP 染 色)を 用 い た 日本 人 の前 立 腺 の 大 き さに つ い て は, 剖 検 例 に於 い て 斉 藤57)は, 前 立 腺 横 径 に つ い て は, 21才 よ り30才 迄3. 65 cm, 31才 よ り40才 迄4. 08cm, 41才 よ り50才 迄4. 22cm, 51 才 よ り60才 迄 が3. 77cm, 61才 以 上3. 7cmで あ る. 羽 太21) に よる と 巾径 では, 22才 よ り30才 迄 が3. 92cm, 31才 よ り 40才 迄 が3. 8cm, 41才 よ り50才迄 が4. 2cm, 51才 よ り59 才 迄 が3. 9cm, 61才 よ り70才 迄 が4. 4cmで あ る. しか し 本 検 索 例 に於 い て は, 6倍Formalin又 はHe11y固 定 後 の 体 積 減 少 を考 え 併 わ せ て, 年 令 の 如 何 を 問 わ ず 一 律 に35cmを 境 に して, 非 肥 大 例 及 び 肥 大 例 とに 分 類 し た. 第3章 検 索 成 績 第1節 検 索 前 立 腺 の結 節 形 成 群 の 対 比 1. 年 代 別 結 節 形 成 頻 度 第1表 各 例 の年 代 別 結 節 形 成頻 度

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第1表 に 示 した 如 く, 剖 検 例 よ り得 られ た 前立 腺 の結 節 形 成 頻 度(但 し初 期 結 節 を 除 く)は, 加 令 と共 に増 加 す る傾 向 に あ る. 特 に70才 代 で は25例 中23例 で92%, 80 才 代 以上 で は5例 中5例 で100%を 占め る. 手術 例 に於 い て は 無 作 為 に 選 ん だ が 全 例 に結 節 が 存 在 し, 症 例 は, 60才 代 は18例, 70才 代 も19例 と相 拮 抗 し て い るが, 50才 代 は2例 で少 な い. 次 に 結 節 形 成 の み られ た30才 代 以 上 に つ い て, 前 立 腺 前 額 面 の 最 大 径 を 測 定 し, 3. 5Clnを境 に して 分 類 す る と, 第2表 の如 く, 最 大 径3. 5cm以 下 の もの で, 非 肥 大 例 が 占 め る割 合 は, 50才 代 は25例 中4例 で16%, 60才 代 は45例 中25例 で58. 1%, 70才 代 は13例 中 11例 で84. 6%, 80才 代 以 上 は4例 中4例 で100%で あ る. 最 大 径3. 51cm以 上 の も の は全 例 に 結 節 が 存 在 して お り, この こ とは最 大 径3. 51Cm以 上 の い わ ゆ る 肉眼 的 肥 大 を 呈 す る も の の方 が, 肉 眼 的 非 肥 大 の もの に 比 べ て 結 節 形 成 頻 度 が 高 い こ とを意 味 して い る. 2. 結 節 数 別 分 布 結 節 数 が1乃 至2個 の も の, 3乃 至4個 の もの, 5個 以 上 の も の に 各例 を 分 類呈した. 但 し前 額 面 断 に よる4切 片 で, 2切 片 以上 で認 め られ る結 節 に於 い て, 明 らか に 同 一 の結 節 と考 え てれ る もの は総 べ て1個 と見 倣 した. 又 手術 例 で は任 意 選 択 切 片 で は あ るが, 大 多 数 例 が1 切 片 で5個 以 上 の結 節 を示 す こ とが 多 い. 第1図 に 示 す 如 く, 結 節 数 が1乃 至2個 の もの に, 非 肥 大 例 及 び 肥 大 例 共 に約 半 数 の集 中 が あ り, 更 に結 節 数3乃 至4個 の も の を 合わ せ る といず れ も2/3以 上 を 占め る. 前 述 の如 く, 手 術 例 で は 圧 倒 的 に多 結 節 性 で あ り, 結 節 数1乃 至 2個 の も のは 存 在 し な い. 3. 年 代 別 結 節 数 別 分 布 第2図a, bで 示 す 様 に, 非 肥 大 例 は60才 代 以 下30例 中18例(60%), 肥 大 例23例 中19例(82. 6%)が, 結 節i数 1乃 至2個 の も ので, 70才 代 以 上 では, 非 肥 大例15例 中 9例(60. 0%)肥 大 例13例 中12例(92. 3%)と 結 節 数3 乃 至4個 の もの, 5個 以 上 の も のが 多 くな つ て い る.

更 に肥大例 の方 が結節 数増加の傾向が著 しい.

前立腺肥大症 の うち摘 出術を うけた もの, つ ま り 「

術例」に於 いては, この疾病の本態 と考 え られ る結節形

第2表 最 大径3. 5cm以 下 の前 立腺 に 於 け る結 節 形 成 頻 度 第1図 全 例 □ 非肥大 列 □ 肥大 列 □ 手 術 列 第2図a. 60才 代 以 下 第2図b. 70才 代 以 上

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成 が, 常 に年 令に 拘 らず 多 数 存 在 す る こ とが わ か る. 4. 結 節 組 織 型 及 び 結 節 分 類 型

結節 組 織 を 腺 及 び 間 質 の 占め る 割 合 に よ り, 1襄 腫 型, II増 殖 型, II非 増 殖 型, IV筋 線 維 型 に 分 類 した 1. 嚢 腫 型 は, 襄 状 に拡 大 した 腺 腔 で 占め られ て い る もの, II. 増 殖 型 は, 腺 組 織 の方 が間 質 組 織 よ り多 く占 め て い る もの, III. 非 増 殖 型 は, 間 質 組 織 の方 が 腺 組 織 よ り多 く占 め て い る も の, IV. 筋 線 維 型 は, 問 質 組 織 の み よ り成 り立 つ もの で あ る. しか し結節 組 織 は, 以 上 の 分 類 に よ る と, 同一 結 節 内 に2型 以 上 の もの を, 同 時 に 含 む 場 合 もあ る の で, それ 等 を対 象 に す る 為 に, そ の 各hの, 組 合 わ せ に よる結 節 組 織 型 を 考 え た. 上 記 の 記 号 を 採 用 し, 1種 類 の み の も の4通 り(1, II, II, IV), と2種 類 の も の6通 り(1-II, 1-II, 1-IV, II-II, II-IV, II-N), と3種 類 の もの4通 り(1-II-II, 1-II-IV, 1-II-W, II-II-IV), と4種 類 の もの1通 り(1-II-II-N), に な る. 例 え ば, 或 る例 で3個 結 節 が 存 在 し, 或 る結 節 で は1型, 別 の 結節 で はII型, そ の 他 の結 節 でII-IV型 が 存 在 した場 合, そ の結 節 の 表 現 形 式 で は, 1-II-II -IVで 表 わせ る. 更 に そ れ 等 の 組 合 わ せ の表 現 方 法 とし て 結 節 分類 型 を 考 え 単 純 型 は, 1種 類 の み か らな る もの 中間 型 は, 2種 類 の み か らな る もの 多 彩 型 は, 3種 類 以上 の もの か らな るも の, と した. 各 例 を 結 節 組 織 型 及 び 結 節 分 類 型 に よ る分 類 方 法 で表 わ す と, 第3表, 第4表, 第5表 で 示 す 如 くに な る. 第3表, 第4表 よ り, 非 肥 大 例 及 び 肥 大 例 は, 結 節 組 織 型 に於 い て はI型 よ り1-II-III-N型 迄 ほ ぼ 全 体 に 分 布 して い るが, しか し乍 ら結 節 組 織 型 のIV型(筋 線 維 型)及 びIV型 を 含 む も の が, 非 肥 大 例 で45例 中11例(24. 4 0), 肥 大 例 で36例 中4例(11. 1%)と 少 な くな つ て い る. 第5表 よ り, 手 術 例 で は 結 節 組 織 型 の1-II-II と1-II-II-IVの2型 に, 39例 中36例(92. 3%)が 属 し て い る. 更 に 各 例 を 結 節 分 類 型 を 中 心 に 考 察 し て み る と, 第3 図 の 如 くに な る. 非 肥 大 例 で は 単 純 型 に や や 多 い が, 中間 型, 多 彩 型 に も45例 中12例(26. 7%), 45例 中13例(28. 9%)と ほ ぼ 同 数 存 在 し て い る. 肥 大 例 で は 中 間 型 に 約 半 数 の36例 中17 例(47. 2%0)と 多 く, 次 い で単 純 型, 多 彩 型 の 順 とな る. 手 術 例 で は 多 彩 型 に39例 中38例(97. 4%)が 属 し, 残 り1例(2. 6%0)が 中 間型 で あ る. 第3図 全 例 第3表 非 肥 大 例

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第4図a, bの 如 く, 年 代 別 の要 素 を 加 えて, 60才 代 以 下 と70才 代 以 上 の2群 に 分 け てみ る と, 非 肥 大 例 で は, 60才 代 以 下30例 中16例(53. 3%)が 単 純 型 で, 中間 型, 多 彩 型 に そ れ ぞ れ30例 中7例(23. 3%)と 少 な くな つ て い る が, 70才 代 以 上 に な る と, 単 純 型 に は15例 中4例 (26. 7%)で 少 な い が, 中 間 型 に は15例 中5例(33. 3%), 多 彩 型 に は15例 中6例(40%)と 多 くな つ て い る. 同 じ傾 向 は 肥 大 例 に 於 い て もみ られ, 60才 代 以 下 では 単 純 型, 中 間 型 は そ れ ぞ れ23例 中11例(47. 8%)と 多 い が, 70才 代 以 上 に な る と 中間 型, 多 彩 型, は そ れ ぞ れ13 例 中6例(46. 2%)と な つ て い る. 手 術 例 で は, 例 外 的 に60才 代 以 下 の20例 中1例(5. 0%)が 中 間 型 で, 残 り は 総 べ て 年 代 の如 何 に 拘 らず 多彩 型 を 示 し て い る. 5. 結 節 の 大 小 別 に よ る結 節 組 織 型 及 び 結 節 分 類 型 ま ず 結 節 を 染 色 標 本 上, 最 大 径0. 4cm以 下 の も の, 0. 5cmよ り0. 7cmの もの, 0. 8cm以 上 の もの の3種 に分 類 した. 更 に, 結 節 の大 小 に よ る個 々 の結 節 を 対 象 とし, これ と結 節 組 織 型 及 び結 節 分i類型 との 関 係 を 追 究 した(詳 細 は 第6表, 第7表, 第8表 に示 す). 第4表 肥 大 例 第5表 手 術 例 第4図 a. 60才 代 以 下 第4図 b. 70才 代 以 上

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820 第5図 に 示 した 如 く, 最 大 径0. 4Cln以下 の もの は非 肥 大 例140個 中66個(47. 1%), 肥 大 例96個 中51個 と(53. 1%) と約 半 数 を 占め て い るが, 最 大 径0. 5乃 至0. 7cmの もの は 手 術 例224個 中103個(46. 0%)と 約 半 数 が あ り, 次 い で最 大 径0. 8cm以 上 が224個 中69個(30. 8%)で これ に 次 いで い る. 更 に, 第6図a, bに 示 す 如 く, 年 代 別 の 要 素 を 加 え て, 60才 代 以 下 と70才 代 以上 とに 分 け て み る と, 60才 代 以 下 で は, 非 肥 大 例72個 中36個(50%), 肥 大 例51個 中26個(51. 0%)が 最 大 径0. 4Cm以 下 の範 囲 内 に あ るが, 70才 代 以 上 で も, 非 肥 大 例68個 中30個(441 %), 肥 大 例45個 中25個(55. 6%)と 加 令 に よ る影 響 を あ ま り うけず, 手 術 例 で も, 60才 代 以 上 で116個 中52個 (44. 8%), 70才 代 以 上 で も108個 中51個(47. 2%), と そ れ ぞ れ0. 5乃 至0. 7cmの 範 囲 内 に 属 す る もの が 最 も 多 い が, 非 肥 大 例 及 び 肥 大 例 と同 様 に, 加 令 に よる 影 響 は 殆 ん どみ られ な い. 即 ち, 剖 検 例 で は, 最 大 径0. 8Cln以 上 の もの が 少 な く, 最 大 径0. 4Cm以 下 の もの が 多 い こ とか ら, 結 節 の 新 第6表 最 大 径0. 4cm迄 の 結 節 第7表 最 大 径0. 5乃 至0. 7Cnの 結 節

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生 は あ るが 結 節 容積 の 増 大 は 余 り著 明 で な い こ とが わ か る. 更 に 加 令 して も, 同 一 前 立 腺 内 で は 結 節 の大 き さに よ る分 類 で の大, 中, 小, の数 の バ ラ ン スが 変 つ て い な い こ とが 注 目 され る. 手 術 例 で は最 大 径0. 5乃 至0. 7cm の もの が 多 く, 剖 検 例 に 比 べ て 「結 節 の 発 育 」 が 考 え ら れ る. しか し剖 検 例 と同 様 に, 同一 前 立 腺 内で の結 節 の 大, 中, 小 の数 の バ ラ ンス は, 加 令 に よ る影 響 を うけ て い な い こ とが わ か る 結 局, 剖 検 例 及 び手 術 例 を 問 わ ず, 結 節 形 成 例 に 於 い て は, 既 に 形 成 され た 結 節 の 発 育 と並 ん で 同 時 に 結 節 の 新 生 が な され て い る こ とを 意 味 し て い る. 次 に結 節 の 大 小 と結 節 分 類 型 と の関 係 を, 第7図a, b, c で示 す. 第7図aで は, 結 節 の 最 大 径 が0. 4CIII以下 の も のを 示 し てい るが, 単 純 型 に属 す る もの が非 肥 大 例66個 中51個 (77. 3%), 肥 大 例51個 中38個(74. 5%)と いず れ も約 3/4を示 して い るが, 手 術 例 で は 中 間型 に, 52個 中36個 (692%)と2/3以 上 が 属 して い る. 第8表 最 大 径0. 8cm以 上 の結 節 第5図 全 例 第6図 a. 60才 代 以 下 第6図 b. 70才 代 以 上

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822 更 に第7図bに よる と, 結 節 の 最 大 径 が0. 5乃 至0.7 cmの もの で は, 中間 型 は非 肥 大 例52個 中26個(50%), 肥 大 例28個 中14個(50%)と 半 数 を 占 め, 次 い で単 純 型 は 非肥 大 例52個 中18個(34. 6%), 肥 大例28個 中12個 (42. 9%)と 高 率 で あ るが, 手 術 例 で は 中間型 が103個 中 51個(49. 5%), 多彩 型 は103個 中49個(47. 6%)で, 圧 倒 的 に こ の両 型 が 多 い こ とが 注 目 され る. 第7図cで 示 さ れ る如 く, 結 節 の 最 大 径 が0. 8cm以 上 では, 多 彩 型 は 非 肥 大 例22個 中13個(59. 1%), 肥 大 例 17個 中8個(47. 1%)と 高 率 で あ る が, 手 術 例 で は 多彩 型 は, 69個 中63個(91. 3%)と 非 常 な 高 率 を 示 し て い る. 以上 に よ り, 剖 検 例 に 於 い て は 結 節 の 最 大 径 が 小 よ り 大 に な るに 従 つ て, 結 節 分 類 型 も単 純 型 よ り多 彩 型 へ と 移 行 す る傾 向が あ る の が わ か る. しか し手 術 例 で は, 結 節 の 大 き さが0. 4cm以 下 の も の も中 間 型 に2/、以 上 集 中 し て お り, 更 に0. 5乃 至0. 7cmで は 中 間 型 乃 至 多 彩 型 に, 0. 8cm以 上 で は 多 彩型 に 圧 倒 的 に 高 率 に 集 中 して い る. 即 ち, 0. 4cm以 下 で も既 に 剖 検 例 とは 違 つ た 結 節 の様 相 を示 す 場 合 が 多 い とい うこ とが わ か る. つ ま り結 節 形 成 後 余 り時 日が 経 過 して い な い 結 節 で も, 前 立 腺 肥 大 症 と し て 発 症 す る よ うな 例 で は, 結 節 の 多 様 性(多 彩 性, 又 は病 理 組 織 学 的 に み た 乱 れ)が 早 期 よ り始 つ て お り, しか も結 節 の 発 育 と共 に 多 様 性 を 示 す もの が 圧 倒 的 に 多 くな つ て い る. こ の 多様 性 を 来 たす 原 因 が 前 立 腺 肥 大 症 と して発 病 す る の に, 重 要 な意 義 を 帯 び て い る の で は な い か と推 測 され る. 6. 前 立 腺 所 見 に 於 け る結 節 内組 織 と結 節 外 組 織 との 対 比 I 結 石 い わ ゆ る澱 粉 様 小 体 を 含 め て検 討 した. 性 状 及 び 程 度 に つ い て は, (0)腺 腔 内 に何 も存 在 し な い場 合, (1> 不 正 形 等 質 を示 す も の で分 泌 物 乃 至 脱 落 上 皮 と思 わ れ る もの, (2)円 形 乃 至 不 正 円形 で 等 質 を 示 し石 灰 化 を 認 め な い も の, (3)円 形 乃 至 不 正 円 形 で 層 状 を示 し明 らか に 石 灰 化 を認 め る もの, と した. 但 し(1), (2), が 多 数 存 在 して も明 らか な 石 灰 化 を示 す も のが 小 数 で も存 在 し て い る とき は, (3)の 範 囲 に 入 れ た. 数 に つ い て は, (1)1乃 至5個 迄, (2)6乃 至20個 迄, (3)21個 以 上, と して 染 色 標 本4切 片 につ い て 検 索 した. 更 に 検 索 結 果 を 簡 明化 す る 為 に, 上 記 の 性 状 及 び 程 度 と数 とを 基 本 に して, 統 一 した 分 類 方 法 を設 定 した. 4 段 階 を 考 え て, (0)は 性 状 並 び 程 度 の(0), (1)は 性 状 並 び 程 度 の(1)に 属 す る もの と し, そ の うち で 数 の (3)に 入 る もの は(II)に 入 れ た. (II)は 上 記 の 他, 性 状 及 び 程 度 の(2)に 入 る もの, (II)は 性 状 及 び 程 度 の(3)に 入 る もの を とつ た. 以 後 襄 腫 化 以 下 で 述 べ る分 第7図 a. 0. 4cm迄 第7図 b. 0. 5乃 至0. 7cm迄 第7図 c. 0. 8cm以 ⊥

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類 法 も, 特 別 の 方 法 を 明示 して い な い場 合 は, 上 記 の分 類呈法 を 採 用 す る も の とす る. 加 令 に よる影 響 を み る為 に, 60才 代 以 下(第8図a, b> と70才 代 以 上(第8図c, d)と に 分 け て, 結 節 内組 織 と 結 節 外 組 織 とを比 較 した. 第8図a, bよ りう60才 代 以 下 で は 結 石 分 類 のIIに 属 す る もの が, 結 節 外 組 織 で 非 肥 大 例, 肥 大 例, 手 術 例 共 に 65%以 上 で あ るが, 結 節 内 組 織 で は, (II)に 属 す る も の は 各 例 共 に50%前 後 で 明 らか に 少 な い. 又 各 例 相 互 の 差 は著 明 で は な い 第8図c, dに よ る と70才 代 以上 で は, 60才 代 以 下 と同 様 に, 結 石 分 類 の(II)に 属 す る もの が, 結 節 外組 織 で は 各例 共60%以 上 で あ るが, 結 節 内組 織 で は いず れ も50 %以 下 で あ る. 60才 代 以 下 と 同様 に, 各 例 相 互 の差 は著 明 では な い II 萎 縮(小 型 化) 四 つ 柳 は, 腺 組 織 の 退 行 性 変 化 を, (1)上 皮 の萎 縮 を 伴 う腺 管 の 襄 状 拡 張, (2)腺 管 の 高度 萎 縮 の為 の周 囲 の 結 合 織 に よ る圧 迫 像 を 示 し, 極 度 に縮 少 した 腺 管 が 多 数 群 在 す る形 を と る もの, (3)更 に進 ん で 腺 組 織 の消 滅 乃 至 癩痕 化 した もの, の3型 に 分 類 して い る. 本 研 究 に 於 い て腺 管 の嚢 状 拡 張 に つ い て は, 襄 腫 化 の項 で取 り扱 つ て い る. 更 に上 記 の 四 つ柳 の分 類 に 示 され て い る萎 縮 よ り軽 度 の 範 囲 の もの を も 含 め て 検 索 した. 他 にOberndorfer47) 等 が定 義 し た小 腺 性腺 増 殖 とい う概 念 が あ るが, この う ち よ り腺 腔 を 有 しな い孤 立 性 上 皮 細 胞 に つ い て は, 本 研 究 で は充 実 化 の項 で取 り扱 い, 腺 上 皮 が 立 方 形 で 一 層 乃 至 二 層 の もの の 円形 或 は卵 円形 の 腺 管 に つ い て は, 本 研 究 で は腺 腫 様 化 の項 に 入 れ た. 小 腺 性 腺 増 殖 につ い て は, Neller45)は 癌 の 初期 像 と し, 又Obelndorfbr47)及 びL, ewis38)は 前癌 性 変 化 とみ て い るが, 細 胞 の異 型 性 が 軽 度 で あ り, 基 底 膜 を超 え て 浸 潤 性 に 発 育 す る像 が 未 だ にみ られ て い な い点, 等 よ り 議 論 が 多 い. 本 研 究 で は更 に 細 胞 の 異型 性 が 高 度 で しか も小 型 化 して い る も の(但 し潜 在 癌 と して必 要 な 各種 条 件 を 満 して い る もの は 除 い た)を 検 索 した が, 剖 検 例 及 び 手 術例 共 に, 明 確 に 断 定 を 下 し 得 る もの は 見 出 し得 ず, この 種 の 変 化 に つ い て は更 に 細切 片 で の検 索 が 必要 呈 と思 われ た. 第8図 a. 結 節 外 組 織, 60才 代 以 下 第8図 b. 結 節 内 組 織, 60才 代 以 下 第8図 c. 結 節 外 組 織, 70才 代 以 上 第8図 d. 結 節 内組 織, 70才 代 以 ⊥

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824 萎 縮 に つ い て, 性 状 及 び 程 度 の 分i類では, 間 質 の増 殖 が あ り, しか も腺 管 の萎 縮 の あ る も の を対 象 に して, (0)存 在 しな い も の, (1)軽 度 の も の, (2)中 等 度 の も の, (3)高 度 の もの, とに 分 けた. 数 に つい て は, 明 らか に 結 節 外 組 織 が 圧 倒 的 に 多 く, 各 例 の比 較 が 出 来 な い の で, 結 節 外 組 織 と結 節 内 組 織 と では 基 準 を変 え た. 結 節 外 組 織 の 数 に つ い て は, 腺 管 の 数 個 乃 至 十 数 個, と きに は 数 十 個 に 及 ぶ 場 合 が あ る. これ らが, (1)1乃 至 数 カ 所 で い わ ゆ る局 所 的 に 存 在 す る場 合, (2)ほ ぼ 半 分 よ り 約2/、, つ ま り部 分 的 に 存 在 す る場 合, (3)そ れ 以上 で全 体 に 存 在 す る場 合, とに 分 類 した. 結 節 内組 織 の数 につ い て は, 数個 乃 至 十 数 個 の 腺 管 の 集 合 を1群 と して, (1)1乃 至2群 存 在 す る もの, (2)3乃 至4群 存 在 す る も の, (3)5群 以 上 存 在 す る もの, と した. 結 局 結 節 外 組 織 と結 節 内組 織 との 比較 は, 図 上 で は 出来 な い こ とに な る. 上 記 の2通 りの数 に つ い て の 分 類 よ り, 各 々統 一 した 分 類 方 法 を設 定 した が, これ は 結石 分 類 に 準 じて行 つ た. 但 し性 状 及 び程 度 の(3)に 属 す る もの の うち, 数 の (1)に 属 す る もの は, 統 一 分 類 の(II)に 入 れ た. 更 に加 令 に よる影 響 を み る為 に, 60才 代 以下(第9図 a, b)と70才 代 以 上(第9図c, d)と に 分 け た. 第9図a, bよ り, 60才 以下 で結 節 外組 織 は, 非 肥 大 例 で は(II)と(II)に 属 す る もの が そ れ ぞれ33. 3%と 同 数 であ るが, 肥 大 例 で は(五)に 属 す る ものが47. 8%と 多 い. 手 術 例 で は(II)に55%と 半 数 以上 が 集 中 して い る. 結 節 内組 織 で は, 非 肥 大 例 及 び肥 大 例 では(0)に 40%よ り50%が 存 在 す るが, 手 術 例 で は(1)及 び(II) に45%と 同数 存 在 す る. 第9図c, dよ り, 70才 代 以 上 の結 節 外 組 織 で は, 非 肥 大 例 及 び 肥 大 例 共 に, (Dに 属 す る ものが40%よ り50 %の 間 に あ るが, (II)に 属 す る もの も35%よ り40%の 範 囲 に 入 る. 手 術 例 で は, 60才 代 以 下 と 殆 ん ど 同 じ率 で, (1), (II), (II), に 分 布 し加 令 に よる影 響 が 認 め られ な い. 結 節 内組 織 に 於 い て は, 非 肥 大 例 及 び肥 大 例 共 に(0)よ り(1), (1)よ り(II)の の 移 行 が 加 令 の 影 響 と して み られ る が, む し ろ非 肥 大 例 の 方 が 著 明 で あ る. 手 術 例 で は, 60才 代 以 下 と比 較 して 大 差 は な く, 矢 張 結 節 外 組 織 と同 様 に 加 令 に よ る影 響 は 殆 ん どみ られ な い. 第9図 a. 結節 外 組 織, 60才 代以 下 第9図 b. 結 節 内 組 織, 60才 代 以 下 第9図 c. 結 節 外 組 織, 70才 代 以 上 第9図 d. 結 節 内 組 織, 70才 代 以 上

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結 局, 萎 縮 に つ い て の 相 違 は, 非 肥 大 例 及 び 肥 大 例 相 互 間 で は 余 りみ られ な い. しか し手 術 例 で は 剖 検 例 に 比 して結 節 内 組 織, 結 節 外 組 織 を 問わ ず 常 に 萎 縮 が 進 ん で い る の が わ か る. 加 令 の 影 響 は, 剖 検 例 の 結 節 内組 織 で や や み られ る程 度 で あ る. III 腺 腫 様 化 円形 或 い はi類円 形 の 腺 管 が, 数 個 乃 至 十 数 個 孤立 的 に 集 籏 し て い る もの で 腺 腫 様 を な し, そ の腺 管 の大 きさ に よ り, (0)ま つ た く存 在 しな い も の, (1)正 常 な腺 の 大 き さ と同 じ もの, (2)正 常 な 腺 よ りや や 小 さい が, 極 端 に は小 さ くな く所 謂 中等 度 の もの, (3)可 成 り小 さ い もの, と性 状 及 び程 度 を 分 類 と して は, (1)1乃 至2群 : が 存 在 す る もの, (2)3乃 至4群 が 存 在 す る もの, (3) 5群 以 上 の もの, と して 検 索 し 結 果 を 簡 明化 す るた め に, 上 記 の性 状 及 び 程 度 と数 とを 基 本 と し, 統 一 した 分 類 呈方 法 と し て(0), (1), (II), (iii)の4段 階 を設 : 定 した が, 結 石 分 類 及 び 萎 縮 分 類 と同 じ方 法 に よっ た. 結 節 内 組 織 で は, 結 節 組 織 型 で は増 殖 型 よ り, 又 は 結 節 分 類 型 で は 中 間 型, 多 彩 型 よ り検 索 した. しか し結 節 全 体 が は つ き りと腺 腫 様 化 して い る場 合 は 除 外 した. 即 ち 数 個 か 又 は十 数 個 の 腺 管 が 集 籏 して 存 在 した 場 合 の み を 対 象 に と り上 げ た. 第10図a, bに み る よ うに60才 代 以 下 で は, 結 節 外 組 織 で は 非 肥 大 例 及 び 肥 大 例 共 に, (0)に 約 半 数 が 集 中 す る が, 手 術 例 で は(0)よ り(瓶)迄 ほ ぼ 同 じ よ うに 分 布 して い る. 結 節 内組 織 で は 非 肥 大 例 は大 多 数 が(0) に, 肥 大 例 も60%が(0)と な つ て い る が, 手 術 例 で は 45%が(1)に 集 ま り, (II)は 存 在 して い な い. 第10図c, dに よ る と, 70才 代 以 上 に 於 い て もほぼ60才 代 以 下 と同 じ傾 向 を 示 し, 加令 の 影 響 は殆 ん どみ られ な い. 但 し肥 大 例 に 於 い ては, 60才 代 以 下 の結 節 外 組 織 で は(0), (I)に 属 す る もの が 多 い が, 70才 代 以上 に な る と(1), (II)の 範 囲 に 移 行 す る もの が 出 て い る 特 に手 術 例 で は, 結 節 外 組 織, 結 節 内組 織 を問 わ ず, 加 令 の影 響 が 殆 ん どみ られ な い の が 注 目に価 す る. W 充 実 化 腺 上 皮 の 異 型 的 増 殖 の1つ に 扁 平上 皮 化 生 が あ るが, 周 知 の 如 く Krompecher33)の 基 底 細胞 増殖 とし て知 ら れ る. しか し前 立 腺 に 扁 平 上 皮 癌 が 生 じ るの は 極 め て 稀 で, 癌 と扁 平 上 皮 化 生 との 関 連 は 余 りな い の の が定 説 と 第10図 a. 結 節 外 組 織, 60才 代 以 下 第10図 b. 結 節 内 組 織, 60才 代 以 下 第10図 c. 結 節 外組 織, 70才 代 以 上 第10図 d. 結 節 内 組 織, 70才 代以 上

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826 され て い る よ うで あ る. こ の 扁 平上 皮 化 生 の検 索 に 際 し て は, 尿道 前 立 腺 部 及 び そ の雛 壁 と思 わ れ る 場 所 で の 上 皮 が 有 して い る扁 平上 皮 性 構造 とは, 明 らか に 区 別 し, 更 にそ の 周 囲 に 於 い て も紛 らわ しい もの は 除 い た. 結 局 外 腺 部 及 び そ れ に近 い 内腺 部 に起 る変 化 に 注 目 した が, しか し厳 密 な 定 義 上 の 扁 平 上 皮 化 生 は 殆 ん ど認 め ら れ なか つ た. 腺 腫 に 圧 排 され た 周 辺 部 に や や 類 似 の変 化 は み られ た が, い ず れ も明 確 に 扁 平 上 皮 化生 の範 囲 に入 れ る こ とは 疑 わ し く, 統 計 よ り除 い た. 伊藤28)も良性 の 肥 大 症 に は, 76例 中1例 もみ られ な か つ た と し, 癌 と の 合 併 が14. 3%, 潜 在癌 との 合 併 は60%で これ ら との関 連 を 暗 示 して い る. 本 研 究 で は, 基底 細 胞 の増 殖 に つ い て は, 充 実化 の項 で 検 討 し た. 充実 化 の性 状 及 び 程 度 につ い て は, (0)腺 細 胞 の 増 殖 が 全然 認 め られ な い も の, (1)腺 細 胞 が3乃 至 数層 を 有 し腺 細 胞 の 増 殖 が 軽 度 の も の, (2)腺 細 胞 の 増 殖 が 中 等 度 の もの, (3)腺 細 胞 の増 殖 が 高 度 で腺 腔 が 認 め られ な い も の, と した. 但 し腺 の末 端 部 が 充 実 化 様 に み え る こ とが あ るが, これ は 除 外 した. 更 に 排 泄 管 の 化生 とを 区 別 す る為 に, 明 瞭 に 排 泄 管 と判 断 出 来 る周 囲 に, 単 独 で 存 在 して い る もの は 除 き, 或 る程 度 離 れ た場 所 で必 ず 2乃 至 数 個 以上 存 在 して い る もの を と り上 げ た. 数 とし て ぱ, (1)1乃 至2の 局 所 に あ る もの, (2)3乃 至4の 局 所 に あ る もの, (3)5以 上 の 局所 に あ る もの, とに 分 類 した. 更 に結 果 を簡 明化 す る 為 に, 上記 の性 状 及 び 程 度 と数 とを基 本 に し て, 統 一 した4段 階 の分 類 方 法 を 設 定 した. そ の分 類 方 法 は, 結 石 の場 合 に準 じ るが, 但 し 性 状 及 び程 度 の(3)に 属 す る もの の うち, 数 の(1)及 び (2)に 属 す る も の は, (1)に 入 れ た. 加 令 の影 響 を み る為 に, 60才 代 以下(第11図a, b)と 70才 代 以上(第11図c, d)と に 分 け た. 第11図a, bよ り, 60才 代 以 下 で は 結 節 外 組 織 で, 各 例 に よ り差 が か な り認 め られ て あ り, 非 肥 大 例 は(0)に 53. 3%と 最 も多 い が, 肥 大 例 は(1)に47. 8%と 半 数 近 く集 中 し, 手 術 例 で は(1)が45%と 多 い. 結 節 内組 織 で は 非 肥 大 例 及 び 肥 大 例 共 に60%以 上 が(0)に 属 す る が, 手 術 例 で は(1)に65%が 属 して い る. 第11図c, dよ り, 70才 以 上 で の結 節 外 組 織 で は, 非 肥 大 例 は(0)に 最 も多 い が, 次 い で は(珊)に20%と な り(1), (1)に も同 じ よ うに分 布 して い る. 肥 大 例 に 第11図 a. 結 節 外組 織, 60才 代以 下 第11図 b. 結 節 内 組 織, 60才 代 以 下 第11図 c. 結 節 外 組 織, 70才 代 以 上 第11図 d. 結 節 内 組 織, 70才 代以 上

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於 い て も(1)が 多 い が, (II)と(II)に 移 行 す る傾 向 を示 して い る. しか し手 術 例 で は60才 以下 と比 べ て殆 ん ど変 らな い. 結 節 内 組 織 で は, 肥 大 例 が(1)に60% 以 上 の集 りを み せ, 60才 代 以 下 で は(0)に 多か つ た の と比 較 的 に変 化 を み せ て い る 以外 に は 特 に 変 化 は認 め ら れ な い 即 ち, 手 術 例 が肥 大 例 よ りも, 肥 大 例 は 非 肥 大 例 よ り も, 充 実 化 の程 度 は や や 進 ん で い る と認 め られ るが, 加 令 の 影 響 は, 肥 大 例 の 結 節 内組 織 が 認 め られ る 以 外 に は, 著 明 に は で て い な い. 特 に 手 術 例 で は, む しろ60才 代 以 下 の 方 が(II)と(II)の 合 計 は, 70才 代 以 上 の そ れ よ り多 くな っ て い る. 又 各 例 共 結 節 外 組 織 が, 結 節 内 組 織 よ りも多 小 充 実 化 の程 度 が 進 ん で い る

潜 在 癌 に つ い て は, Totten65), Kahler30), Edwards12), Franks14), Moore41), 太 田48), 杉 原62), 関 山63)等の諸 家 の 数 多 い詳 細 な 研 究 が あ る. 上 記 の人 々 の 診 断 基 準 を参 考 に して, か な り厳 密 な 判 定 で 検 索 した が非 肥 大 例 で80才 代3例 中1例, 90才 代1 例 中1例 に 潜 在 癌 を 見 出 した のみ で あ る. 但 し著 者 の 検 索 方 法 は 剖 検 例 で前 額 断4切 片, 手 術 例 で 任 意 選 択 切 片 で あ る 為 め, 連 続 切 片 の 方 法 で 遂 行 す れ ば発 見 率 は更 に 上 昇 す る こ と も考 え られ る. V 襄 腫 化(襄 腫 状 拡 張) 襄腫 化 に つ い て は, (1)腺 上 皮 の 強 い 萎 縮 を示 さず に 軽 度 乃 至 中等 度 の 腺 腔 の拡 張 を み るが, これ は分 泌 物 の 一 時 的 停 滞 と考 え られ, 可 逆 的 に 元 の 腺 組 織 に 戻 り うる もの と推 測 され る も の と, (2)高 度 の腺 上 皮 萎 縮 を 伴 い, 間 質 は 圧 迫 の結 果 細 狭 とな り, 限 界 迄 拡 張 した腺 腔 で不 可 逆 的 な 退 行 性 変 化, と考 え うる もの が 存 在す る. 本 検 索 例 で は, 襄 腫 状 拡 張 の 性 状 及 び 程 度 の 分 類 で は, (0)全 然 存 在 しな い場 合, (1)わ ず か に襄 腫 状 変 化 を 示 し, 腺 上 皮 は2層 以 上 よ りな り, 比 較 的 活 動 型 を示 す もの, (2)中 等 度 の 襄 腫 状 拡 張 を きた した もので, 腺 上 皮 は1乃 至2層 よ りな り不 活 動 型 を 示 す も の, (3)限 界 迄 拡 張 して き て い て, 高 度 の襄 腫 化 を 示 し, 腺 上 皮 は 1層 乃 至 は 腺 状 とな り, 融 合 の傾 向 を示 す も の と した. 数 に っ い て は, (1)1乃 至 数 個 又 は そ れ 以 上 で も, 共 通 排 泄 管 を 中 心 と し て腺 管 の 集 籏 を1群 と し, そ の1乃 至2群 の もの, (2)3乃 至4群 の も の, (3)5群 以上 の も の, とに分 類 した. 上 記 の 性 状 及 び 程 度 と数 とを基 本 に し て, 結 石 分 類 及 び 萎 縮 分 類 に 準 じて 同 様 な方 法 で襄 腫 化 分 類 に つ い て(0)よ り(II)迄 の4段 階 を 設 定 し た 同時 に, 加 令 に よ る影 響 を み る為 に, 60才 代 以 下(第 12図a, b)と70才 代 以上(第12図c, d)と に 分 け た. 第12図a, bよ り, 60才 代 以 下 で は 非 肥 大 例 及 び手 術 例 で は(II)に40%以 上 の集 中 を み るが, 肥 大 例 で は(丑) にむ しろ40%と 多 い. 以 上 が 結 節 外 組 織 で あ るが, 結 節 内組 織 で は 非 肥 大 例, 肥 大 例 共 に(0)に50%以 上 で, 次 い で(i)に 属 す る もの が 残 りの 殆 ん どで あ り, 肥 大 例 では(ii)以 上 に 属 す る もの は な い. しか し手 術 例 に 於 い て は50%が(Dに 属 し, 30%が(mに 入 り, 第12図 a. 結 節 外 組 織, 60才 代 以 下 第12図 b. 結 節 内 組 織, 60才 代 以 下 第12図 c. 結 節 外 組 織, 70才 代 以 上

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828 (II) (II)合 わ せ て80%の 高 率 を 占 め てい る. 第12図c, dよ り, 70才 代 以上 で は, 剖 検 例 に 於 い て は 加 令 の影 響 が 明瞭 に 出 て い て, 結 節 外 組 織 では(II)に 非 肥 大 例, 肥 大 例 共 に40%以 上 が 集 つ て お り, 手 術 例 で はIIに50%以 上 が属 す る が あ とは(II)よ り(1) に30%と 多 い がむ しろ例 外的 の 結果 と して考 え られ る. 結 節 内組 織 で も同様 に, 非 肥大 例 で は(0)次 い で (1)で あ るが, 肥 大 例 で は(0), (1)共 に39. 1%と 同 率 で, 共 に60才 代 以下 に 比較 して(II)が 多 くな り増 加 の 傾 向 が は つ き りして い る. 手 術 例 で は, 全 て に 嚢 腫 化 が 存 在 し, 60才 代 以 下 と同 じ く(II)に 多 く40%以 上 集 中 して い る. つ ま り手 術 例 で は, 加 令の影 響 は 余 り出 て い な い. 結 局, 剖 検 例 で は襄 腫 化 が 加 令 と共 に増 加 す る傾 向に あ るが, しか し手 術 例 で は, 加 令 の 影 響 は 出 て いな く, 常 に 性 状 及 び 程 度, 数 共 に 剖検 例 よ り高 度 及 び多 数 で あ る. IV カ タル 化(腺 上 皮 脱 落) 前 立 腺 に お け る腺 上 皮 脱 落 に つ い て は, 詳 細 な文 献 は 見 当 らな い が, 堀 尾24)によ る と病 理 解 剖例 に於 いて は, (1)年 令, (2)基 礎 疾 患, (3)死 亡 時 の 状 態, (4)死 後 変 化, に 影 響 を うけ て い る と述 べ て い る. 本検 索 例 は, 剖 検 例 の他 手 術 例 を 含 み, 特 に 手 術 例 で は 手術 時 の処 置 に よ る影 響 等, 複 雑 な 因 子 が 介 入 す る と思わ れ る の で比 較 検 討 は 慎 重 に 行 つ た. カ タノレ化 の 性 状 及 び 程 度 と して は, (0)腺 上 皮 の脱 落 が 全 然 な い もの, (1)腺 上 皮 の 脱 落 が軽 度 の もの, ( 2)腺 上 皮 の 脱 落 が 中 等 度 の もの, (3)腺上 皮 の脱 落 が高 度 の も ので, 腺 管 は 基 底 膜 を 残 す のみ で な か に は襄 腫 状 拡 張 を もた らす もの もあ る, とに 分 け た. 数 に つ い て は, 1乃 至 数 個 の腺 管 を1群 と し, (1)数 ヵ所 以 上, 全 体 の1/2迄 に 認 め る もの, (2)全 体 の1/2 乃 至2/3迄 に認 め る もの, (3)2/3以 上 ほぼ 全 体 に わ た る も の, と した. 更 に 上 記 の 性 状 及 び 程 度 と数 とを 基 本 に し て, 統 一 した 分 類 を 設 定 し, 4段 階 を考 え, い ず れ も結 石 分i類に 準 じて 行 つ た. 加 令 に よる 影 響 を み る た め に, 60才 代 以 下(第13図a, b と70才 代 以 上(第13図c, d)と に 分 け た. 第13図a, bに よ る と, 60才 代 以 下 で 結 節 外 組 織 で は, 非 肥 大 例 で は(II)に 多 く, 肥 大 例 で は(丑)に 多 く, 手 術 例 で は(1)に 多 く, 各 例 相 互 間 に差 が み られ る. しか し結 節 内 組 織 で は, 各 例 共 に(1)が 多 い. 又 手 第12図 d. 結 節 内 組織, 70才 代以 上 第13図 a. 結 節 外 組 織, 60才 代 以 上 第13図 b. 結 節 内組 織, 60才 代 以上 第13図 c. 結 節 外 組 織, 70才 代 以 下

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術 例 で は結 節 外組 織 と結 節 内組 織 とに 著 明 な差 はみ られ な い. 第13図c, dよ り, 70才 代 以上 で 結 節 外 組 織 で は, 各 例 共Dに 集 中 し45%よ り55%の 範 囲 に あ り, 非 肥 大 例 で, 60才 代 以 下 で は(II)に 多 い も のが 逆 に(II)へ 移 行 し, 肥 大 例 で は 加 令 の影 響 は な くて いず れ も(II)に 集 中 して 変 らず, 手 術 例 で は(1)よ り(II)へ の移 行 が 認 め られ る. しか し結 節 内 組 織 で は, 各 例 共 結 節 外 組 織 との差 は余 りみ られ ず, しか も60才 代 と比 較 し て, 加 令 の影 響 は余 り出 て い な い. カタ ル 化 と直 接 の関 係 は不 明 で あ るが, 円形 細 胞 浸 潤 が 認 め られ る こ とが あ る. 大 多 数 の 円形 細 胞 浸潤 は, 漏 慢 性 又 は 限 局 性 で 腺 管 周 囲 か 問 質 に 存 在 す る が, これ 以 外 に 炎症 像 との 関 連 は 明瞭 で な い が 淋 巴様 組 織 の小 さ い 集 団 が み られ る こ とが あ る. これ 等 に つ い て の 検 索 で は, 各 例 差 及 び 加 令 の影 響 は 殆 ん どみ られ ず, や や結 節 外 組 織 が 結 節 内 組 織 よ りも程 度 及 び 性 状 並 び に 数 の上 で, 進 ん だ も のが 多 く認 め られ た. vII 間 質 性 状 及 び 程 度 並 び に 数量 的 な 分 類呈を も含 め て, (1) 全 体 に 筋 組 織 が 結 合 組 織 よ り発 育 し て い る もの, (II) 全体 に 筋 組 織 と結 合 組 織 が ほ ぼ 同 等 に 発 育 して い る も の, (II)全 体 に筋 組 織 は 萎 縮 又 は 消 失 して, 結 合組 織 が筋 組 織 に 勝 つ て い る もの, に 分 類 した. 又 結節 内組 織 で は, 結 節 分 類 型 の(1)襄 腫 型, (II)増 殖型 に属 す る もの で は 分 類 上 に 無 理 が あ るの で, 結 節 外組 織 のみ に 限 つ た. 加令 に よ る影 響 を考 え て, 60才 代(第14図a)と70才 代 以 上(第14図b)と に 分 類 した. 第14図a, bよ り, 60才 代 以 下 で は 各 例 共 に, 50%よ り 80%迄 はIIに 集 上 し, 70才 代 以 上 で もほ ぼ 同 じ結 果 で あ る. 但 し例 外 的 な結 果 と思 わ れ る が, 非 肥大 例 で は 60才 代 以 下 よ り, 70才 代 以上 に(1)に 属 す る もの が や や 多い. 第2節 剖 検 例 結 節 形 成 群 の睾 丸組 織 像 及 び それ と前 立 腺 組 織 像 との 関 連 1. 睾 丸組 織 像 1 精 細 管 精 細 管 の 退 行 変 性 の性 状 及 び程 度 に つ い て の分 類 方 法 は, Schinz52), Oberndorfer47)等 の分 類 を 或程 度参 考 に し て, (0)精 子 形 成 の あ る も の, 即 ち精 祖 細胞, 精 母 細 胞, 精 子 細 胞 及 び 精 子 とSertoli氏 細 胞 の 全 て が揃 つ て い る もの, (1)精 子 形 成 は な いが, そ れ 以 外 全 て揃 つ てい る も の, (II)精 子 細 胞 は 消失 し, と きに は精 母 細 胞 に まで 病 変 が 及 ん だ もの, (II)精 母 細 胞 は 萎縮 消 失 し, 殆 ん どSertoli氏 細胞 の み とな り高 度 に 硝 子様 変 性 を来 た した も の, とに分 け た. これ らに つ い て, 標 本 全 体 を 検 索 し, (1)少 な く と も50%以 上 の所 見 を示 す も の, (2)2型 以 上 にわ た る もの は そ の 中間 型 又 は よ り多 く占め る も のを 指 標 と した. 加令 に よ る影 響 をみ る為 に, 60才 代 以 下(第15図a) と70才 代 以 上(第15図b)と に分 け た. 第13図 d. 結 節 内 組 織, 70才 代 以 ⊥ 第14図 a. 結 節 外組 織, 60才 代 以 下 第14図 b. 結 節 外組 織, 70才 代 以 上

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830 検 索 結 果 は, 非 肥 大 例 相 互 間 に 著 明 な差 は 認 め られ ず, 加 令 に よ る影 響 につ い て は, 非 肥 大 例が60才 代 以 下 で(0)に46. 4%と 約 半 数 が 存 在 して い た もの が, 70才 代 以上 に な る と(II)が や や 多 くみ られ る. しか し肥 大 例 で は60才 代 以 下 で, (0)は42. 1%で あ るが, 70才 代 以 上 で は, (1)が46. 2%と 約 半 数 に な つて い る. つ ま り精 細管 萎 縮(退 行 変 性)に つ い て は, 非肥 大 例 が 肥 大 例 よ りもやや 加 令 の影 響 を うけ 易 い とい え る. II 間(質)細 胞 間細 胞(特 にLeydig細 胞 との 呼 称 もあ る)に つ い て は, 形 態学 的 に 結 合 織 細 胞 との 区 別 を 明 瞭 にす る方 法 が 確 立 さ れ て お らず, そ の細 胞 数 の 増 減 に つ いて は 議 論 の 余 地 が あ る. 著 者 は落 合50)及びTillinger64)更 に はZahor & Raboch75). の分 類 を 参 考 に して 次 の4型 に 分 類 した. (1)未 熟 型 紡 錘 形 又 は ほ ぼ 楕 円形 の 小 さい 細 胞 で 核 は 円形 乃 至 楕 円形 を 示 し 大 き く, 原 形質 は好 酸 性 を 示 し, 少 な い. 固有 膜 の外 側 に 接 して2乃 至 数 個 が 散 在 性 に み られ る こ とが 多 い. これ は 落 合59)らの未 熟 型 に相 当 す る初期 の型 で, 多分 分 泌 能 は 殆 ん どな い もの と考 え られ る. (II)成 熟 型 可 成 り大 きな 多 核細 胞 で, 細 胞 境 界 は か な り明瞭, 原 形 質 部 は, 大 き く比 較 的 明 る い淡 黄 赤 色 を 呈 す もの で, 核 の 周 囲 に原 形 質 穎 粒 の 集 合 を み る もの もあ る. 数 個 乃 至 十 数 個 が 一 群 とな り, 固 有 膜 か らは 遊 離 し3乃 至4個 の 精 細 管 に 囲 まれ て 存 在 す る こ と が 多 い. (II)退 行 型 退 行 変 性 を示 す もの で, 成 熟 型 よ り萎 縮 型 へ の移 行 型 で, 細 胞 体 は や や 小 さ く原 形 質 内 に 色 素 穎 粒 や 空 胞 化 とが み られ る, い わ ゆ る退 行 変 性 を 示 す もの で あ る. これ らは 成 熟 型 よ りも数 多 く, よ り大 きな 一 群 を な し, 間 質 中 に 散 在 す る. (IV)萎 縮 型 完 全 に 分 泌 能 を 消 失 し萎 縮 に 陥 つ た と思 わ れ る細 胞 で, 形 態 的 に は 必 ず し も 一 様 で な い. 一 般 に 細 胞 体 は 大 小 不 同 で 原 形 質 内 に 大 ぎ な 空 胞 形 成 が な さ れ, 粗 大 色 素 穎 粒 を認 め 細 胞 境 界 は 明 瞭 で な い. 核 は濃 縮 が 強 く穎 粒 状 を 呈 し, 細 胞 周 囲 の硝 子 化 を 示 す も の も あ る. 以 上 の4型 の分 類 に 際 して は, 核, 細 胞 体, 原 形 質 等 を 参 考 に し て行 い, (1)2型 以 上 に ま た が る と き は そ の 中 間 型 又 は よ り多 く 占め る も の を もつ て そ の 指 標 と し, (2)又 は 少 な く と も50%以 上 の 存 在 を 示 す もの を選 ん だ. 即 ち, 間 細胞 の 退 行 萎 縮 につ い て検 索 した が, 加 令 の 影 響 を み る為 に, 60才 代 以 下(第16図a)と70才 代 以 上 (第16図b)と に 分 け た. 検 索 結 果 は, 両 例 共(I)型 に存 在 す る もの は1例 も な く, 60才 代 以 下 で は, 非 肥 大 例 及 び 肥 大 例 共 に, (II) に 集 中 して い る が, 70才 代 以 上 で は矢 張 両 例 共 に 同 じ傾 向 を 示 し, (IV)に45%乃 至55%と 高 率 で, 次 い で(II) に30%乃 至40%と 多 い. 結 論 とし て, 非 肥 大 例 及 び 肥 大 例 共 に 間 細 胞 の萎 縮 が 加 令 と共 に 起 つ て い るが, 両 例 間 に 著 明 な 差 は み られ な い. 更 に 「間 細胞 量 の 消 長 」 に つ い て検 索 した. 精 細 管 の 直 径 が 大 き く間 細 胞 は 余 りみ られ な い で, 精 細 管 同志 接 して い る所 で は せ い ぜ い1列 位 しか 認 め られ な い もの を (0)と し, (1)軽 度 に 増 殖 を 来 た して い る もの, (II)中 等 度 に増 殖 して い る もの, (II)高 度 に 増 殖 し て い る も の, に分i類した. これ 等 に つ い て, (1)少 な く と も50%以 上 の所 見 を 示 す も の, (2)2型 以 上 に わ た る もの は そ の 中 間 型 を, 又 は よ り多 く占 め る もの を 指 標 と した. 結 論 と し て, 図 に は 表 わ さ な い が, 肥 大 例 の 方 が加 令 の 影 響 を や や うけ て い る とい う結 果 が 得 られ た. 結 局, 前 述 の間 細胞(Leydig細 胞)の 萎 縮(退 行 変 第15図 a. 60才 代 以 下 第15図 b. 70才 代 以 上

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性)で は 両 例 間 に 特 に差 は み られ な い が, 「間 細胞 量 の 消 長 」 に 於 い て は 肥 大 例 の 方 が, 加 令 に よ る差 が 強 くみ られ る とい うこ と が い え る. III 硝 子 様 変 性 基 底 膜 に は, 精 細 管 の 内 側 に 存 在 す る 狭 義 の 基 底 膜 と, 外 側 に 存 在 す る 固 有 膜 とに 区 別 さ れ る の が 定 説 の よ うで あ る. 落 合50)は固 有 膜 の 肥 厚 が 主 と して 弾 性線 維 の 増 殖 に よ る と述 べ て い る. 本 研 究 で は, 基 底 膜 の硝 子 様 変 性 に つ い て 検 索 を 行 な つ た. 基 底 膜 硝 子 様 変 性 の 性 状 及 び 程 度 に つ い て は, (0) 殆 ん ど存 在 しな い も の, (1)軽 度 に 存 在 す る もの, (II)中 等 度 に 存 在 す る もの, (II)高 度 に 存 在 す る もの, に分 類 した. 全 体 を検 索 して 少 な く と も50%以 上 の所 見 を 示 す もの, 又 は2型 以 上 に わ た る もの は 中 間 型又 は よ り多 く占め る も の を そ の 指 標 とし た. 加 令 の 影 響 を み る為 に, 60才 代 以 下(第17図a)と70 才 代 以 上(第17図b)と に 分 け た. 結 果 は, 両 例 間 に特 に 差 は 認 め られ ず, た だ70才 代 以 上 で は や や 非 肥 大 例 の 方 が む しろ 肥 大 例 よ り(II)に 集 中 す る もの が 多 い. 両 例 共 に 加 令 の影 響 を うけ て お り, 60才 代 以 下 で は(II)に50%乃 至55%と 集 中 す る が, 70 才代 以 上 で は(m)に35%乃 至50%と 最 も多 く占 め てい る 即 ち, 両 例 共 加 令 の影 響 は認 め られ るが, 両 例 間 の差 は余 りみ られ ない. 基 底 膜 の硝 子 化 が始 ま り, 次 い で全 体 に 及 ん で 荒 廃に 至 る迄 の過 程 で は, 総 べ て の部 分 に 同時 に しか も同様 な 変化 が起 る の で は な く, 部 分 的 荒廃 像 と して み られ るこ とが あ る. 平 山23)等が こ の部 分 的荒 廃 像 に つ い て 述べ て い るが, 本 研 究 で は数 個 乃 至 十 数個 の精 細 管 の完 全 な硝 子様 変 性 を対 象 と して検 索 を行 な った. 数 に つ い て は, (0)部 分 的 荒 廃 像 が, 全 然 認 め られ ない も の, (1) 1乃 至3ヵ 所 に認 め られ る もの, (II) 4乃 至5ヵ 所 に 認 め られ る もの, (II)6ヵ 所 以上 ほぼ 全 体 に認 め られ る もの とに分 け た. 餐 加令 に よる影 響 をみ る為 に, 60才 代 以下(第18図a) と70才 代 以上(第18図b)と に 分類 した. 第18図aよ り, 60才 代 以 下 で は 非肥 大 例 は71. 4%が (1)に 集 ま り極 め て 多 い. 肥 大 例 で は, (1)が52. 6% と矢 張過 半 数 を 占 め る. 次 い で 肥 大 例 で は(II)が42. 1 第16図 a. 60才 代 以 下 第16図 b. 70才 代 以 上 第17図 a. 60才 代 以 下 第17図 b. 70才 代 以 上

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832 %と 多 く, (1)及 び(II)の 合 計 は94. 7%の 高 率 を 占 め る こ とに な る. 第18図bよ り, 70才 代 以上 で は両 例 共 に(1)に 多 い が, しか し両 例 共, (II)及 び(II)に20%よ り35%迄 が 集 ま る. 結 論 と して, 両 例 問 に 著 明 な 差 は み られ な い が, や や 肥 大 例 の 方 が 部 分 的 荒 廃 像 の 程 度 が 進 ん で い る. 又 加 令 の影 響 は, 両 例 共 軽 度 に 認 め られ る. IV 総 合 萎 縮 度 睾 丸の萎 縮 を み る上 で, 最 も普 通 に行 な わ れ て い る 方 法 は, 精 細 管 の萎 縮 を対 象 とす る もの が多 い が, そ の う ち で も精 細 管 の直 径 の減 少 又 は造 精 機 能 の減 退 等 で 判 断 して い る よ うで あ る. 本 研 究 で は睾 丸 の萎 縮 を 総 合 的 に 観 察 す る為 に, 精 細 管 の萎 縮, 基 底 膜 の硝 子 様 変 性, 部 分 的 荒廃 像, 及 び間 質 の状 態 を取 り上 げ, 各 々の 統 一 し た 分 類法 を基 本 と して次 の如 く分 類 した. 又 問 質 の 状 態 に つ い て は, 線 維 化 を と り上 げ 問 細 胞 は対 象 と して い な い. (0)は 全 く変 化 の認 め られ な い もの, (1)一 部 に 比 較 的 軽度 の変 化 が認 め られ る もの, (D全 体 的 に 中 等 度 の変 化 を 示 す もの で, 精 子 形 成 は な く基 底 膜 の 硝 子

様変性乃至部分的 荒廃像 も或程度 認め られ, 間質 の線維

化が進ん だ もの, (II)高 度 の 変 化 が 認め られ る もの

で, 大部分 の精 細管に於 いて精 細胞は殆ん ど消失 し, 基

底膜 の硝 子様 変性 も著 明 とな り, 高度 の部分的 荒廃像 及

び間質 の線 維性萎縮を示す もの, とに分類 した.

加令 の影 響をみ る為に, 60才代 以下(第19図a)と70

才代以上(第19図b)と

に分けた.

検索結果 につ いては, 両例 問に著明 な 差は 認め られ

ず, 60才代 以下 では(II)が

非肥 大例で64.

3%, 肥大例

では57.

9%と 多いが, 70才代 以上 にな ると, (mが

肥大例で53.

3%, 肥大例 は53.

8%と 過 半数を 占め る.

結局, 両例 間に著明 な差 は認 め られず, 両例共加 令の

影響 を うけてい る.

2. 前立 腺萎縮 と睾 丸 との関連

1 前立 腺萎縮 と睾 丸の総合萎縮度 との関係

前立腺萎 縮につい ては, 本研究では萎縮 の項で対象に

したが, それ以外に も問質の線維化及び嚢腫 化等 も参考

に し, 睾 丸の総合萎縮度 の如 き基準を設 けた.

(0)全

く変化 の認 め られない もの, (1)1乃

至数

ヵ所 に比較的軽度 の萎縮 性変化が認め られ る もの, (II)

第18図 a. 60才 代 以 下 第18図 b. 70才 代 以 中上 第19図 a. 60才 代 以 下 第19図 b. 70才 代 以 上

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全 体 的 に 中 等 度 の変 化 を示 す もの で, 腺 管 及 び腺 上 皮 の 萎 縮, 襄 腫 化, 等 退 行 性 変 化 が 認 め られ る もの, (II) 前 立 腺 全 体 に ほ ぼ 高 度 の萎 縮 変 性 が 認 め られ る もの で, 腺 管 は小 さ く腺 上 皮 も不 活 性 型 を 示 し, 間 質 の線 維 化 の 強 い もの, とに 分 け た. 睾 丸 の総 合萎 縮 度 と の 関連 を み る為 に, それ ぞ れ の組 合 わ せ の表(第10表a)を 作 製 し, そ の うち太 い実 線 で 囲 まれ た部 分 の 合 計 と, それ の総 数 に 対 す る 百 分 率 を 「一 致 率 」 と して 考 え, 同様 に斜 線 で 囲 まれ た部 分 に つ い て も計 算 を して, 「不 一 致 率 」 と し, こ の二 つ を 検 索 の 対 象 と した. 以 上 の検 索 結 果 に よ る と, 第11表aに 示 す 如 く, 非 肥 大 例 で60才 代 以下 で は, 最 も多 い組 合 わ せ は 睾 丸萎 縮 度 が(II)で 前 立 腺 萎 縮 度(II)の もの で, 28例 中8例 (28. 6%)で あ る. 一 致 率 は28例 中14例 で50%, 不 一 致 率 は28例 中3例 で10. 7%と な り, 或 程 度 比 例 関 係 が 存 在 す る. 第11表bよ り, 70才 代 以 上 で は, 最 も多 い組 合 わせ ば (II)-(III)で, 15例 中6例 で40%と な つ て い る. 一 致 率 は, 15例 中10例 で66.7%と2/3を 占め, 不 一 致 率 第9表 (結 節 分 類 報 告 例) 第10表 (i) わ く内 は 一 致 例 (ii) 斜 線 部 は 不 一 致 例 (a)(一 般 睾 丸 所 見) (b)(睾 丸 間細 胞) (一需紮睾 丸 戸斤見) (睾 丸間 細 胞) 第11表 非 肥 大 例 (a) 60才 代 以 下 一 致 率14/28(50%) 不 一 致 率3/28(10. 7%)

(b)

70才 代 以 上 一 致 率10/15(66. 7%) 不 一 致 率1/15(6. 7%)

(21)

834 は, 15例 中1例 で6. 7%と な り, 60才 代以 下 で み られ た 比 例 関係 よ り更 に 進 ん だ関 連 を 示 し て い る. 第12表aに よる と肥 大 例 につ い て60才 代 以 下 で は, 一 致 率 は19例 中6例 で31. 6%, 不 一 致 率 は0%で あ る. 軽 度 の比 例 関 係 が み られ るが, 非 肥 大 例 で60才 代 以下 の比 例 関 係 よ りも薄 い よ うに 思 わ れ る. 第12表bに よ る と, 70才 代 以 上 で は, 一 致 率 は13例 中 3例 で23. 1%, 不 一 致 率 は0%で 矢 張 り, 比 例 関係 は薄 い よ うであ る. 結 論 と して, 非 肥 大 例 が 肥大 例 に 比 較 して, よ り密 接 な 比 例 関係 が 存 在 す る よ うで あ る が, 総 体 的 に み て, 両 例 共 に或 程 度 比 例 関 係 が 存 在す る もの と認 め られ る. II 前立 腺 萎 縮 と睾 丸 間 細胞 との 関 係 前 立 腺 萎 縮(前 述 の如 く, 間質 の線 維 化 及 び 嚢 腫 化 等 も参 考 に して)と 睾 丸 間 細胞 の退 行萎 縮 と の関 係 を, 第 10表bで 示 し た よ うに, 太 い実 線 で 囲 まれ た 部 分 の 合計 と, そ れ の 総 数 に 対 す る 百 分 率 を 一 致 率 と考 え, 又 斜 線 で 囲 まれ た 部 分 の合 計 と, そ れ の総 数 に対 す る百 分 率 を 不 一 致 率 と し て, 検 索 した. 何 故, 睾 丸 間 細 胞 に つ い て, 睾 丸 萎 縮 度 に比 べ て 一 致 率 及 び不 一 致 率 に つ い て の 「部 分 」 を 変 更 す るか は, 本 検 索 例 で は 間 細 胞 の 分 類 の うち(1)未 熟 型 を示 す 例 が 明 らか に一 例 も存 在 しな い 為 に, 行 つ た わ け で あ る. 検 索 結 果 は, 第13表aで 示 す 如 く, 非 肥 大 例 で60才 代 以 下 に っ い て は, 一 致 率 は28例 中14例 で50%, 不 一 致 率 は28例 中3例 で10. 7%と な り, 比 例 関 係 は や や 認 め られ る. 第13表bで 示 す 如 く, 70才 代 以 上 で ば, 一 致 率 は15例 中5例 で33. 3%, 不 一 致 率 は15例 中4例 で26. 7%と な り 殆 ん ど比 例 関 係 は み られ な い. 第14表aに よる と, 肥 大 例 で60才 代 以 下 で は, 一 致 率 は19例 中9例 の47. 4%, 不 一 致 率 は19例 中5例 で26. 3% 第12表 肥 大 例 (a) 60才 代 以 下 一 致 率: 6/19(31. 6%) 不 一 致 率: 0/19(0%)

(b)

70才 代 以 上 一 致 奉: 3/3(23, 1%) 不 一 致 率: 0/13(0%) 第13表 非 肥 大 例 (a) 60才 代 以 上 一 致 率14/28(50 %) 不 一 致 率3/28(10. 7%)

(b)

70才 代 以 上 一 致 率: 5/15(33. 3%) 不 一 致 率: 4/15(26. 7%)

(22)

で, 余 り比 例 関 係 は み られ な い. 第14表bに よる と, 肥 大 例 で70才 代 以 上 で は, 一 致 率 は13例 中7例 で53. 8%, 不 一 致 率 は13例 中1例 で7. 7 %, で や や 比 例 関 係 は 認 め られ る. 結 論 と して, 前 立 腺 萎 縮 と睾: 丸間 細 胞 の 退 行 萎縮 との 関 係 は, 非 肥 大 例 で60才 代 以 下 と, 肥 大 例 で70才 代 以上 で や や 比 例 関 係 が み られ る が, しか し両 例 共 加令 の影 響 に よる比 例 関 係 の 継 続 は み られ ず, 従 つ て は つ き りと し た 関 連 は不 明 とい わ ざ る を得 な い. 第4章 総 括 並 び に考 按 (1)Jacoby29)が 始 め て, 前 立 腺 肥 大 症 で は結 節 の 形 成 が 絶 対 的 必 要 条 件 で あ る と した が, 本 研 究 で も, 手 術 例39例 の全 て に 結 節 形 成 が あ り, 上 記 の条 件 を容 認 出 来 る も の と思 わ れ る. 年 代 別 にみ た 結 節 形 成 の初 発 に っ い て は, 本 検 索 例 で 最 も早 期 に 出現 を み た 年 令 は39才 で あ る(但 し初 期 結 節 は 除 く). 剖 検 例 で 検 索 され た 諸 家 の うち で, 斉 藤57)坂本61)は20才 代 で, 深 瀬15), 高 木66), 菊 地35), 阿部3)は40才 代 で, 四 っ 柳74)は50才 代 で見 出 し て い る. 欧 米 で もCameratt8), Moore41)は30才 代 に, Reischauer51)は40才 代 に, Krogius32)は50才 代 に初 め て 出 現を み て い る. 年 代 別 頻 度 で は, 斉 藤57)は20才 代14%, 30才 代24%, 40才 代36%, 50才 代31%, 60才 代71%, 70才 代 以上100 %, 高 木66)は40才 代10%, 50才 代42%, 60才 代66%, 70 才代 以 上60%, 著 者 の統 計 で は40才 代7. 7%, 50才 代40 %, 60才 代67. 3%, 70才 代92%, 80才 代 以上100%, と 40才 代 を 除 くと斉 藤 の統 計 とほ ぼ 一致 す る. 但 し四 つ 柳 の述 べ る如 く, 肉眼 的 に は60才 代 で30%に 発 見 され た も のが, 連 続 切 片 で は86%の 高率 に存 在 す る として い るが 検 索 方 法 に も問 題 が 残 つ て い る もの と考 え られ る. 四 つ 柳 は 更 に 前 立 腺 腫 大 と結 節 形 成 の あ る も のは, 結 節 形 成 が あ るが 腫 大 して い な い ものに 比 べ て14倍 の 頻 度 で多 い と して い るが, 著 者 の検 索 例 で も, 肉 眼 的 肥 大 を 呈 す る もの の うち で 結 節 形 成 群 の 占め る割 合 は, 肉 眼 的 非 肥大 を呈 す る もの の うちで 結 節 形 成 群 の 占め る率 よ り も高 い こ とが わ か る. 即 ち, 結 節 の肥 大 に 及 ぼ す影 響 が 大 きい こ とが推 察 さ れ うる. 結 節 数 別 分 布 で み る と剖 検 例 で は 加 令 と共 に結 節 の増 加 を示 す が, 手 術 例 で は50才 で も既 に結 節 が 多 い. 結 節 形 成 に関 して は, 初 期 結 節 といわ れ る ものか らの 移 行 が 考 え られ て お り, Reischauer51), Grassman17), Ob erndorfer47)Moore41). 等 の詳 細 な研 究 が あ るが, 四 つ 柳 は初 期 結 節 と成 熟 結 節 と を 区別 し, 初 期 結 節 は必 ず し も 成 熟 結節 に は 移 行 しな い と述 べ て い るが, 本 検 索 で も 明 瞭 に 移 行 像 を 示 す もの は1例 も見 出せ なか つ た 結 節分 類 呈に 関 して, 四 つ 柳 は上 皮 性 要 素 と結 締 織 性 要 素 との二 つ を 挙 げ て い るが, 深 瀬15)は腺 質 と間 質 とを 分 量 的 に観 察 し, そ の 腺 質 の間 質 に比 して 多 量 の面 積 を 有 す る もの を混 合型 と し, 筋 線 維 のみ で 成 り立 つ て い る も の を筋 線 維 型 と した. 斉 藤57)は腺 の 形 状 に よ り6種 類 に 分 類 した. 即 ち(1)正 常 型, (2)複 雑 管 状 型, (3)腺 腫 様 腺 腔 増 殖 型, (4)襄 状 型, (5)萎 縮 型, (6)腺 細 胞 増 殖 型, で あ る. : Lowsley39)は, 腺 型, 混 合 型, 筋線 維型 の 他 に嚢 腫 型 を加 え て い る. しか し最 も多 い 分類 法 と し て は第9表 に 示 す 如 く, 腺 型, 混 合 型, 筋 線維 型, の3 種 に分 け る も の で あ る. 第9表 よ り, 平 本22), 管 野60)の統 計 を 除 い て は腺 型 が 最 も多 く, 全 体 を 通 じ, て筋 線 維 型 が 最 も少 な い. 著 者 の 分 類 も深 瀬15)の分 量 的 に扱 うの を 応 用 して, 腺 及 び 問質 の 占め る 割 合 に よつ て分 類 した が, Lowsley39)の 分 類 の 第14表 肥 大 例 (a) 60才 代 以 下 一 致 率: 9/19(47. 4%) 不 一 致 率: 5/19(26. 3%)

(b)

70才 代 以 上 一 致 率: 7/13(53. 8%) 不 一 致 率: 1/13(7. 7%)

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