英国の電力改革 : NETA以前・以降の成果と評価
著者
木船 久雄
雑誌名
名古屋学院大学論集 社会科学篇
巻
40
号
2
ページ
19-37
発行年
2003-10-31
URL
http://doi.org/10.15012/00000813
英 国の電力改革
一
NETA以
前 。以 降の成果 と評価
―
木
船
久
雄
目 次 は じめ に1.電
力産業の再編 と民営化2.NETAの
改革3.NETAの
成果 と評価 おわ りに は じめ に 英 国 におけ る電気事業の改革 は,サ
ッチャー 保守党政権 おいて国営企業全般 の民営化政策の 一貫 として実施 された。民営化プ ロセスにおい て電気事業のそれが1騨交的遅かったのは,電
気 事業 には依然 として強い自然独 占性が存在す る とい う考 え方や,供
給信頼度のための技術的な 問題への懸念,移
行すべ き新 しい産業組織のあ り方について,な ど議論が多かったか らである。 しか しそれは1990年か ら実行 され,同
時 に 電気事業が持つ幾つかの機能のア ンバ ン ドリン グ と強制的な電カプール を導入 し,ひ
とつの 自 由化 モデル を提示 した。時間の経過 とともにこ の制度の欠陥は露呈 し,そ
の修正がNETAと
い う制度の もとに新 たな実験が2001年か ら進 め られている。 本不高では, このNETAを
中心 にお きなが`ら 英 国の電力市場改革が何 を もた らしたのか,あ
るいは, どの ような成果や問題点 をもた らそ う としているのか を明 らか したい。 また,英
国の 実験 か ら我 々が学ぶべ く教訓 は何か,を
検討す る。本稿の構成 は,ま ず1990年代初頭の電気事 業 の 再 編 と そ の 問 題 点 を整 理 し,次
い でNETAの
制度設計 につ いて検討す る。それ を 踏 まえて,NETAの
成果 と評価 お よび教訓 を まとめてゆ きたい。1.電
力産業 の再 編 と民営化∼
NETA以
ロリ 英 国における電気事業の規制緩和が語 られ る とき,そ
の多 くは,サ
ッチャー保守党政権下で 成立 した1989年の電力法 か らスター トす る。 実際,こ
の法律は英国の電気事業の体制 を劇的 に変化 させ た。 しか し,
もう少 し時間を巻 き戻 してみ ると,サ ッチャー政権 が意図 した改革は, 石油危機 が発生 した1970年
代 にその問題 の起 源 をみ ることがで きる。1.1
自由化前の電気事業体制(1)国
営企業 と問題 点 ア トリー労働党政権 によって,1947年
に国有 化 された電気事業 は,次
の ような事業 を包合 し ていた。それ らは,大
半の発電設備,送
電線網, イ ングラ ン ドとウェールズにある12の地域 配 電会社,ス
コッ トラン ドにある二つの垂直統合 型電力会社,そ
して北アイル ラン ドの垂直統合名古屋学院大学論 集
会社
1社
で あ る。 さらに,1957年
の電 力法 に よって,電
気事業 における中央管理はより強固 で広範 な もの になった。 この法 律 に よって,CEGB(中
央 発 電 局 :Central ElectricityGenerating Board)が
`設立 され, CEGBは
発電お よび送電設備の運営管理
,関
係 す るすべ て の設備投資に責任 を持つ ことになった。 電気 事 業 が 国有 化 され て いた1947年か ら 1990年 までの期 間において,電
気事業 の経営 は,マ
クロ経済の政策運営 に しば しば蹂躙 され ることになる。例 えば,1970年
代 に政権 を担 っ ていた労働党 は,石
油危機 によって引 き起 こさ れた高率なインフレに対処す るために,電
気事 業の収支 を度外視 して,電
気料金の上昇 を抑 え るよう圧力をかけた。逆 に,保
守党が政権 の座 にあった1980年代 においては,電
気事業が抱 える公的債務 を減少 させ るために,電
気料金の 大幅値上げを促 した。 さらに,幾
度かの通貨危機 と二度 にわた る石 油危機 を通 じて,英
国政府 は電気事業 に対 し, 輸 入石油 に依存す るのではな く,国
内炭 をよ り 多 く消費す ることを求めた。政府 にとって,国
内石炭産業の糸樹寺は主要 な政策 目標であ り続 け た。石炭産業の保護政策 は,1957年
の電力法の 成立 か ら始 ま り,そ
れ以 降CEGBは
絶 えず割 高な国内炭 を一定量購入 させ られて きた。 それ が,電
気料金 を過度 に高い ものに していた。 石 油 危機 を経 験 した1970年代 の英 国経 済 は,そ
れ以前 に も増 して経済パ フォーマ ンスの 悪 さを露呈 していた。エ コノ ミス トやマス コ ミ は,経
済活動 に過度 に介 入す る国 にその原因 を 求 めた。国民の多 くは,国
営企業 によって生産 され る財・サー ビスの品質の悪 さに失望 し,国
営企業が抱 える負債額の 多 さをみ るにつ け,そ
の存在意義 を疑 間視 し始めていた。1970年代の 後半 には,現
状の ような国営スタイル は旨 く行かないのだという考えが広 く流布 していた。た
だし
,そ
れをどうすべきかについては
,①
規制
をさらに強イ
ヒ ②国営企業の民営化, という両
論が成立 していた。
1960年 代か ら 1970年 代にかけて,電
気事業 を改革すべ く,幾つかの改革案が登場 している。 しか し,政権交代などの政治的な混乱によって, これ らの試みはほとんど成功 していない。(2)1983年
の電力法 1979年 のサ ッチャー政権の誕生は,英国の政 治 と経済 に大 きな転換点をもたらした。国営企 業の民営化は,サ
ッチャー政権の総合経済対策 の中で中心的な役割 を担っていた。民営化の主たる目的は
,①
経済活動における政府の役割を
縮小すること
,②
経営者の自己責任を貫徹させ
ること
,③
国営企業の民営化を通 じて国家の財
政収支を改善すること
,④
広範囲な株式保有に
よって株主社会の創設を奨励すること
,で
あっ
た
(1)。 電気事業改革の最初のステ ップは,1983年
の 電力法 (Electricity Act of 1983)で あ り, こ の法 はIPP(独
立系発電事業者)の
発展 を促 す よう意図 されていた。つ ま り,非
電気事業が発 電市場 に新たに参入 しようとす る際の障壁 を取 り除 くこ と,IPPが
送電線 に自由にアクセスで きるこ と,などである。そのため,CEGBに
は,IPPが
発 電す る電力 を回避 可能原価 を用 いて 買 い取 るこ とが求 め られた。 しか し同法 は,政権の哲学 を提示 した ものの, 電力規制緩和 における実際の効果 については小 さな一歩で しかなかった。なぜ な ら,CEGBが
採用 していた発電資産 に対す る報酬率が低 率で あったため に,IPP側
に とって発電事業 は魅力 的 な ものではな く,送
電線への 自由なアクセス について も,新
規参入者 に対す る差別が完全 に は取 り除かれていなかったか らである(2)。1.2
電気事業の再編(1)再
編の流れ 本格的な電気事業の再編 は,サ
ッチャー政権 の第3期 (1987∼90年)に
登場す る。それは電 力の民営化であ り,同
時 に大幅 な電気事業の再 編 を ともなった計画 として,1987年
の保守党選 挙綱領 に示 された。 総選挙 に勝利 した翌1988年に,サ
ッチャー 政権 はイングラン ド・ ウェールズお よびスコッ トラン ドとい う2地
域 を対象 とした2種
類の電 力民営化 自書 を提 出 した。 この自書 に示 された 計 画 に多少 の修 正 を加 えて,1989年
の電力法 (Electricity Act of 1989)は 成立 した。電気 事業の リス トラお よび民営化の骨格 は,こ
の電 力法 を上台 として,漸
次進め られてゆ くこ とに な る。電力 自由化 に関す る主要な出来事 は,表
1にまとめている。この法にしたがい
,電
気事業規制緩和の「英
国モデル」がヽ
誕
:生する。それは
,発
電・送電・
配電という電気事業の事業要素を完全に分離 し
表1
英 国の電 力 自由化 の流 れ た体制であ り,卸
電力取引は電カプール とい う 競争市場 に委ね る ものである。 それ まで発電お よび送 電設備 を独 占的 に保有 していたCEGB
は,1990年
3月 31日 に解体 され,発 電設備 は以 下の3社
に,送 電設備 はNational Grid(NGC)
に所有 され ることになった。3つ
の発電会社 と は,原
子力を保有す るNuclear Power(後
の British Energy),およびNational Powerと
PowerGenで
ある。配電事業 は,12の
地域配電 会社 力滞区続 した。 新 たに設置 された電カプール は,卸
電力の全 てが原則的にここで売買 され ることが求め られ ていたこ とか ら,強 制的電カプール と呼ばれた。 また,lMW以
上 の大 口需要家 を対象 とした小 売 り自由化が同 日か ら実施 された。 これ以降,地 域配電会社や発電会社の株式は, 漸次市場 に放出され,着
実 に民営化の道 を歩む こ とになる。また,小
売 り自由化の対象範囲 は, 1994年 4月 に100 kW以
上 の需要家 に まで拡 張 され,1998年 9月 か ら1999年 5月 にかけて, 年 内容 1947 1957 1983 1987 1989 1990 1994 1996 1999 2001 2004 電気事業 の国営化 電力法
,国
営 中央発電局(CEGB)に
よる発送 電管理,12地
区配電局 電力法,IPPと
オープ ンア クセスの奨励 サ ッチ ャー保守党の選挙公約 に電力民営化 が登場 電 力法 (電力民営化法)成
立,電
気事業民営化 ス ター トCEGBの
解体,発
電小売部 門 に競争導 入,送
配 電 は独 占National Power,PowerGen,Nuclear Electricの 3発電会社,
National Grid(送電会社),12の地域配 電会社 に移行 小売 自由化
(lMW以
上 の需要家)小売 自由化
(100kW以
上 の需要家)Nuclear Electricと Scottish Nuclearが 合併 じBritish Energyヘ 小売 の全面 自由化 (1998年 9月 ∼1999年 5月)
NETA開
始 (プール制の廃止,相
対取 引導 入)ス コッ トラ ン ドも含 めた電力 自由化市場
(BETTA)の
開始 予定名古屋学院大学論集 残 りの家庭需要にも適用 されることになった。 この時点で
,全
ての需要家が 自由に供給会社を 選択できる「全面 自由イロ が達成された。 1990年 か ら実施 された英国の 自由化モデル の特徴は,以
下である。①発電・送電・配電事 業を完全に分割 したこと,②
小売 りの全面 自由 化を組み込んだこと,③
送電事業に電カプール 機能を持たせたこと,④
系統使用料などにプラ イスキャッフ°(価格の上限)制
を採用 したこと。 さらに,そ
れ以前の国営時代 と上辟交すれば,①
電力市場への参入 自由イL②
電力会社の所有者 は民間投資家,③
規制当局は,政
治家や官僚お よび産業か ら分離独立 した機関 (電力規制庁,OFFER : Office of Electricity Reg‐
ulationり が司るようになったこと
,な
どが産 業組織上の大 きな特徴 となる。(2)電
カプール価格 電カプールの機能は,全
国一律の卸電力市場 の役 目を担い,こ
の市場 を通 じて競争的な価格 形成が期待 された。確かに,電
カプールは一種 の商品取引所のようなものであ り,そ
こで決定 される価格は発電事業者が寸是示 した入札価格を 基にしているため,競
争価格に違いない。 しか し,実
際にプール市場で形成された価格は
, National Powerと
PowerGenと
いう2大発電会社の入オ断子動に大 きく依存 し
,必
ず し も市場競争を反映 した ものではなかった。それ ばか りか,垂
直的に統合 されていたCEGBを
アンバ ンドル した理由は,垂
直統合型企業が も つ市場支配力を排除するためであったが,新
た に水平的な市場支配力の存在 も認識 された。こ れを解決するために,1996年
には両社の発電設 備の約半分 を他社に売却す ることが求め られ た。 強制的な電カプールの価格が,競
争的なそれ でなかった別の理由は,相
対契約に含 まれる価格差契約 (CfD:Contract for Difference)の 存在 に求めることがで きる。卸電力取引の全量 が原則的 に電カプール を経由す ることが求 め ら れていた ものの,実 際には発電会社 と需要家(配 電会社や大 口需要家
)の
間で相対契約 を結ぶ こ とも容認 されていた。 これは,売
買 当事者達が 相対契約の確 実性 。安定性 のメ リッ トを認識 し てお り,規
制 当局 もそれ を排除す ることがで き なか ったか らであろ う。 相対契約の双方は,プ
ール市場での価格変動 リスクを回避す るために,CfDと
い う契約 も同 時 に結んでいた。CfDで
は,発
電会社 と電力購 入者が,同
意価格 (ス トライク価格)で
電力売 買の契約 を結ぶ。例 えば,ス
トライク価格 は予 想 され るプール価格の平均 に設定 され, このス トライク価格が,実
際 にプールで決定 され る価 格 よ りも高 ければ,発
電会社 は差額 を購 入者 に 支払 う。逆 に,ス
トライク価格がワ°―ル価格 よ りも低 ければ,電
力購 入者 はその差額 を発電会 社 に還付す る,といった ものである。1996年当 時 において,CfDの
契約率 は,プ
ールで取引 さ れ る電力量の90パ
ーセ ン ト以上 であった とい ぅ(4)。 これは,強
制的電カプール下 において も , 実質的に相対取引が主流 になっていたことを物 語 る。(3)規
制料金制度 一方,こ
れ までの ように規制監督下 におかれ た送電・配電・ 自由化 されていない小売分野に ついては,新 しい料金規制の方法が採 用 された。 それが,プ
ライスキャップ制度である。従来の 伝 統 的 な総 括 原 価 方 式 を放 棄 し,プ
ラ イ ス キャップ として上限価格のみを設定す る方法 で あ る。プライスキャップの基本的な算式は
,Pt=
Pt_1×[1+(RPI―
X)/100]で
ある。ここで
, Ptは上限となる料金,Pt_1は 前期の料金
,RPI
は小売物価指数
,Xは
生産性向上の 目標値 であ る。 プ ライスキャップ制の導入は,公
益事業の料 金規制のあ り方 を大 き く転換 させ ることになっ たが,そ
の是非 についての議論 は尽 きない。 と りわけ,上 限価格の算定におけ るXフ
ァクター (生産性向上分)を
どう設定す るかが曖味で, 政治的介入 を可能 として しまう点が問題視 され る。1994年末か らの議論では,NGC等
が大 き な利益 をあげ,社
長の高いボーナスをも合めマ ス コ ミが取 りあげたために,Xフ
ァクターは引 き上 げ られ るこ とになった。 その際,こ
れでは プ ライスキャップではな く「利益 キャップ」で あ り,裁
量判断が極めて大 きな政治的な価格規 制 にな りが ちだ とい う点 も広 く認識 された(5)。(4)NETAへ
の改革1997年
10月 にDTI(Department of
Trade and lndustry:貿 易産業省)がOFFER
に対 して,電 力取引ルールの見直 しを要請 した。 これは,1990年
以来電力改革 を実施 して きた も のの,期
待 されたほ どの成果 は上 が らず,ま た, 電カプールにおける幾つかの問題 も顕在化 して きたためで ある。 この要請に応 える形で翌年 7月,OFFERは
報告書 をまとめ,強
制的な電カプールの問題 点として以下をオ
罰商した。それらは
,①
価格設定
が競争制限的になっていること
,②
需要サイ ド
の参加が無いこと
,③
入札 と価格設定に技術的
な複雑性が存在すること
,④
キャパシティ・ペ
イメントが入札者を制約 していること
,⑤
コス
トと価格が乖離 していること
,⑥
強制的なプー
ル市場への参加義務の是非
,な
どである。
また
,DTI自
身 も
1998年 10月の 電源 レ
ビュー自書の中で
,次
のように問題点を整理 し
た。①新設の
CCGT(COmbined Cycle Gas
Turbine)よ
りも
,既存石炭火力のほうが発電コ
ス トが安いにもかかわらず,前
者の発電量が増 加 していること,②
この原因は,落
札 を前提 と したゼロプライス入札が行なわれていること, ③石炭入力の所有者が二大発電会社(NationalPOwerと POwerGen)に
偏在 していて,非
競争 的であること,④
現在のガス火力中心の トレン ドを続けると,電
源の多様性は著 しく失われる 可能性があること,な
どである。 この結果,DTIは
ガス火力電源の新設モラ ト リアムを導入すると同時に,再
度OFFERに
電 力取引ルールの見直 しを要請す ることになっ た。そ して,NETAの
導入へ と展開 してゆ くの である⑥。 1。3
現在の電気事業の構造CEGBの
解体 と民営化,そ してNETAに
移 行 した現在 の英 国電気事業の構 造は,図
1のよ うに示 され る。2002年
末現在で,イ ングラン ドとウェールズ にお ける発電事業 の主要企業(MPP:Major
POwer Producers)は32社
を数 える(7)。 発電量 か らみれば,CEGBの
解体 に よって設立 されたNational Power(現
Inogyオ土)や
PowerGen
(現E‐
ON社
の子会社),お
よび原子力を専門に扱 うBritish Energyが主力であるものの,
Arnerican Electric Po・
werや Entergy
POwer Groupな
ど米系企業,フ
ラ ンス国営企 業 で あ るEdF,E-ONや RWEと
いった ドイ ツ系企業 も資本参入 している。 これ ら発電会社 は,小
売事業 を担 う供給会社 (地域配電会社や 供給事業者)に
対 して,主
として相対契約 を結 びなが ら,電
力の卸 し販売 を行 な う。 送 電 線 と系 統 運 用 に 関 して は,National
Grid COmpany(NGC)が
独 占的 に事業 を行 っ ている。NGCは
,同 時同量 を満 たすための シス テム・ オペ レーターの役割 も担 ってお り,需
給発 電 送 電 配 電 供 給 消費者 名古屋学 院大学論集 図
1
英 国の電気事業 の構 造 調整 はバ ランシング・ メカニズム を通 じて入札 の受諾で行なわれ る。 配電線の所有権 は,従
来 どお り地域配電会社 にあるが,地
域配電会社が直接的 に,電
力の小 売 を行な うためには「供給 ライセ ンス」 を取得 す る必要がある。一方,設
備 を持 たない供給事 業者 もライセ ンス さえ取得すれば,小
売事業が 可能である。2.NE〒 Aの
改革
2001年
3月 27日 か ら卸電力市場 に新 たな取引協定
INETA(New Electricity Trading
Arrangements)が
導入 された。この制度の特徴 を次 にみてゆこう。2.l NETAの
概要(1)取
引の原則新 しいシステムの原則は
,次
のように考えら
れた。①電力の売買は自由な契約行為により行
われるべきであり
,電
力の売買
(契約
)方
法に
ついての枠組みは何 ら設けないこと,た
だ し, 民間主導の電力取引所(Power Exchange)の
設立を促すこと,②
契約量 と実際の供給量・需 要量の差に対する決済 システムを制度的に提供 すること(イ ンバランス決済),③
リアルタイム での需給調整については,市
場原理を活用 して 行 な うシステム を提供す るこ と (BalancingMechanism:バ
ランシング・ メカニズム),で
ある。NETAに
移行せ ざるを得なかった理由 とし て,電
カプールの失敗がある。1990年 の電力産 業の再編時に導入された「強制的な電カプール」 は,卸
電力の取引を競争入札に委ねる仕組みで あった。この強制的電カプールのモデルは,後
年,カ
リフォルニア等の自由化モデルにも採用 された。 確かに,制
度的な欠陥は存在 していたが,そ
うした欠陥を補修 しようとしないで,一
気に強 制的な電カプールの廃止に至ったのは,こ
の枠 組みは構造的に問題が多いと認識 されたからに 他ならない。つまり,売
買される全ての電力をInnogy British Energy PowerGen(E‐ON) IPP EdF
オΠ夕す1又り│ 電力取引所 トレー デ ィング会社
NGC: National Grid Company(送 電 ライセンス)
地 域 配 電 会社 (配電 ライセ ンス) EInbedded 地域配電会社 (供給 ライセ ンス) 供給事業者 (供給 ライセ ンス) 家庭需要家 大 日需要家
取引市場を通過させ ること(強制的電カプール) が
,結
果的には市場操作の温床 とな り,そ
こで の「市場支配力」を排除することも難 しい,
と 判断 されたのであろう。 強制的な電カプールの放棄によって,卸
電力 の中心的な売買は名実 ともに相対取引に移っ た。(2)卸
取引の構造NETAに
移行することにより,卸
電力市場 の構造は図 2の ようになった。図中に示 したく物 理的な電力取引〉を見 ると,取
引形態 としては, ①長期相対取引,②
電力取引所(PX)経
由の先 渡 し契約など,③
短期相対契約,④
バランシン グ・メカニズムの 4つ に分類 される。 これ らは,三
角形の底辺に近い位置にある取 引形態ほど長期的な売買が前提 とされるため, 売買契約 としては安定 したものになる。三角形 の トップに位置する「バ ランシング・メカニズ ム」はNETAに
よって新たに導入された,同時 同量を満たすための リアルタイム市場を通 じた 取引のことである (後述)。 相対契約だけに依存 していては,市
場価格の 情報は限られる。そのために,電
力取引所 (PX) やバランシング・ メカニズムといった競争的な 市場を通 じて,売買される価格情報が提供 され, <物理的な電力取引> それが店頭取 引(OTC)や
民間のPXの
価格 に も反映 される。当然,そ
の逆 も成立す る。OTC
を介 した取 引 も,実
際 には相 対契約 にな る。Ofgemの
報告で は卸電力取 引の約98%が
相対 契約等 であ り,残
りの2%が
バ ランシング・ メ カニズム市場であるとい う。上のような卸取引形態を「取引の場」から分
類すれば
,①
純粋な相対契約
,②
ブローカー
(OTC)経
由の相対契約
,③
電力取引所
(PX)を経由するもの
,④
需給一致のためのバランシ
ング・メカニズム経由のもの, といった
4種
類
に分類することも可能である。①純粋な相対契
約を主とする発電会社は,InnOgy,PowerGen,
Seeboardな どであり
,②
プローカー
(OTC)
経由の相対契約に介在する主たるプローカー達
は,SpectrOn,Prebon,Garban,′
「FS,GNI,
iVentures APXな
どが ある。 さらに,③
民間企業が運営す るPXと
して は,UKPXお
よびAPXの
2社
が存在 してい る。二つの取引所は,一
般の商品取引所 と同様 に Clearing Houseの 機能を有 し,ス
ポッ ト, 先渡 し,先
物などの商品 も提供 している。④バ ランシング・ メカニズムはNGCが
運営する市 場である。 <金融 的 な電 力取 引> ・ テ・リバ テ ィフ・ ・ 先物 ・ オプ シ ョン ・ ス ヮ ップ ・ エ クゾテ ィックス バ ラ ンンン カニ ズム 図2
卸 電力取 引の構 造 先波 し契約 な ど 力取 引所 (PX) 長期相 対取 引 店頭取 引&
民 間電 力取 引所 市場 価格 の指標名古屋学院大学論集
2.2
バ ランシング・ メカニズムNETAの
最 大の特徴 は,強
制的 な電 カプー ル を廃止 したことである。 しか し,他
方で リア ル タイムの需給調整 をバ ランシング・ メカニズ ム という名前の競争市場 に委ねたことも大 きな 特徴 であ る。(1)バ
ランシング・ メカニズムの必要性 と系 統運用 時 々刻 々 と変化す る電力の需要量 に供給量 を 一致 させ る機能は,シ
ステム・オペ レーターで あるNGC力
寸旦っている。卸電力市場 は,市
場 参加者 に よる任意の相対契約 に基づ いて売買が 行 なわれ る ものの,物
理的 に電力 をネ ッ トワー クに乗せ,輸
送す るビジネスはこの売買 とは全 く別の業務である。NGCは
,系
統破綻 (停電) に至 らぬ ように,毎
分毎秒の需給 を一致 させ な くてはな らない。 現実 には,発
電事業者が事前に中告 して きた 発電量 と実際のそれ とは異なる し,同
様 に消費 側 (小売の供給事業者)の
申告 した量 と実際の それ とも異なる。そ して,系
統全体 の発電電力 量 と消費電力量が一致す る保証 はな くインバ ラ ンスが生 じて しまうため,シ
ステム・オペ レー ターがそれ らを需給調整す る必要がでて くる。 また,送 電線な どに制約がある場合 においては, 特定の地点 を念頭 においた需給調整が必要 にな る。NETA下
のバ ランシング・ メカニズムでは, 発電事業者お よび配電会社が増減可能量の入札 を行 い,シ
ステム・ オペ レーターであるNGC
が,そ
の人札の受諾 を通 じて,需
給調整 を行 な う。NETA以
前の強制的 な電カプール下では, 需給調整は補助サービス契約等 を通 じて行なわ れていた。 具体的 な手続 きとしては,次
の ようになる。①
まず
,市
場参加者である事業者
(発電事
業者お よび供給事業者)は
,物
理的に発電 または消費す る量 を実需給時刻の3時
間半 前(ゲー トクロジャー と呼んでいる:Gate
Closure,ただ し2002年
7月 よ り1時
間前 に変更 された)ま
でに通知す る (物理的電 力量の申告 :Physical Notttcation)。 ② 事業者は,ゲ
ー トクロジャーまでに増減 可能量を入札(売り:Offers買
い:Bids) する。 ③ シ ス テ ム・オ ペ レーターは PhysicalNoticationと
送電線制約等 を考慮 しな が ら,ゲ
ー トクロジャーか ら実需給時刻 ま での間に,売
りと買いの入札に関する受諾 を通 じて需給調整を行なう。(2)バ
ランシング・ メカニズムの構造 需給を一致 させ るための運用規則は,「バ ランシング・決済協定 (The Balancing and Settle‐
ment Code:BSC)」
に定め られている。発電,送電
,配
電 。小売供給 ライセ ンスの保持者 はBSCに
参加する義務があ り,この規則に従わな くてはならない。ただ し,
トレーダー他の参加 は任意である。BSCIこ
従 えば, BM (Balancing Miecha―
nism)ユ
ニ ットが決済等の単位 とな り,発
電側 では発電ユニ ット1基
ごとがそれに該当する。 一方,需
要側のBMユ
ニットは,系
統接続点ご とに集計 された需要量である。50 MW以
上のBMユ
ニ ットは,ゲ
ー トク ロ ジャーま で にPhysical Noticationの
義務がある。 このPhysical Notificationに は,次
のよう な要件が盛 られる。①事業者は前 日の 11時 ま でに,翌
日1日分の予想発電量 または予想消費 量を通知 しなければならない(Initial PhysicalNotifications:IPNs),②
事業者は,ゲ
ー トク ロジャーまでに,30分
間隔の各時間帯の発電量 または消費量の最終通知をしなければならない(Final Physical Notifications:FPNs), ③
FPNsで
は,各
時間帯の1分
ご との発電 または 消費量のプ ロファイル (形状)を
提 出す る (通 知 はオ ンライ ンで行な う),な
どである。 また,① FPNsと
同時に,事
業者は増減可能 量 を入沐Lすることが`できる(Offersと Bids), ② OffersとBidsに
おける増減可能量 とは,FPNsを
基準 とした増減可能量である,③
シス テム・ オペ レーターは,一
旦,受
諾 したことを 事業者に通知すると, それを耳又り消すことがで きず, システム・オペ レーターは, インバラン スの解決のためには (当該事業者 と,あ
るいは 更に安い事業者 と)反
対売買を行って相殺する という方法 をとる,④ このため,事業者はOffer とア ン ドゥー “undo"Bid(あ
るいは Bidと “undo"Offer)を ペアで入札 しなければならな い,
といったインバランスヘの対処法 も指示 さ れている。 このようなシステム・オペ レーター と参加事 取 引参 加者 行為 時 間 取 引前 日 業者の行動は,図
3に 模式化 されている。2.3
イ ンバ ランス決済(1)イ
ンバ ランス決済の仕組み どれほどの電力量 を,
どの時間に幾 らで売買 す るか については,契
約 当事者間での合意 に委 ね られている。 しか し,電
力系統 に流 れ る電力 量の管理はNGCが
行 な うため に,そ
こで,事
業者が事前 に申告 した量 と実際の量 (発電量や 消費量)と
が異なる場合 は,系
統運用者 に とっ ては重大 な問題 となる。そのため,NETAに
お いては申告量 と実際の量 との差 に関す る決済 シ ステムが規定 されている。 これが,エ
ナ ジー イ ンバ ランス決済 と呼ばれ るものである。 具体的 には,事
業者単位で,実
際 に発電 した 量 と売契約合計量 の差,お
よび実際 に消費 した 量 と買契約合計量の差 をそれぞれ計算す る。そ の差が余剰量 (spin)で あるか,追
加需要量 (topup)で
あるかに応 じて,バ
ランシング・メカニ 取 引 当 日 : 実取 引 電力取引・契約ポジションの連絡 ゲ ー トク ロジ ャー 通告 (暫定) 通告 (最終) オ フ ァ・ ビ ッ ド入札 ォ フ ァ・ ビ ッ ド応札 に よ1,発電 スケ ジュ ール 変更 SO側行為 図3
系統運用 の概 念図 ア ンンラ リーサ ー ビス契約 ォファ・ ビッ ド応札 ア ンンラ リーS利 電力需要・ F備 力などをi1llし,公表名古屋学院大学論集 ズムで要 したコス トから計算 した単価 を適用 し て精算す る。決済の代行は
,中
立機 関であ るELEXONが
行なっている。こうした制度は, 強制的電カプール下では存在 しなかった。 エナジーインバランスは,次
のように計算 さ れる。①事業者は,中
央決済 システムにおいて 産出勘定(Production account)と
消費勘定 (Consumption account)を 持つ,②
売買契約 を結んだ事業者は,ゲ
ー トクロジャーまでに契 約量(kWh)と
事業者名を,中
央決済システム(ECVAAが
代行:Energy Contract Vol―
ume Aggregation Agent)に
通知 しなければ ならない,③
BMユ
ニ ットは,産
出ユニ ットか 消費ユニ ットかにタイプが分けられ,実
際に測 定された電力量が各勘定に振 り分けられる,④
各勘定 において,測
定 された電力量 と契約量の 差が言十算 され る。その差が余剰量 と追加需要量 で あ るか に応 じて別々の単価(SBPあ
るい はSSP)で
オ青算す る。各単価 はバ ランシング・ メ カニズムにおいて要 した費用か ら計算 され る。 契約量の通知(Energy Contract Volume
Notification)に 関 しては
,①
ECVAAへ
の通 知 は,両
事業者か らではな く,一
つの代理機関(ECVNA:Energy Contract Volume Noti―
fication Agent)か ら行なわな くてはな らない, ②通知すべ き情報は
,双
方の事業者名 (および 勘定),契
約量(kWh)で
あ り,価
格情報は合 ま れない,③
ある事業者の産出勘定 (売り)と
別 の事業者の消費勘定 (買い)の
ペアが通常であ るものの,
自己の産出 。消費勘定間の取引 も認 められる,④
通知 された契約量は,各
事業者の 産出勘定,消
費勘定ごとに集計 される,な
どが 規定されている。(2)イ
ンバランスイ画格´―SBPと
SSP
事業者による事前の申告量 と実際の取引量が 異なる場合には,そ
の差異量に対 してエナジー インバ ランス価格が乗 じられ,イ
ンバ ランス金 額が徴収 (還付)さ
れ るこ とになる。 このイン バ ランスイ面本各には, SBP(System Buy Price)
と
SSP(System SeHing Price)が
あ り,前
者は
,当
該時間帯において, システム 。オペ レー ターが受諾 したOfferの平均価格 で算 出 され, 後者 は,Bidの
加重平均価格 となる。通常は,SBPは
SSPよ
り数倍高 い もの になってい る。 例 えば,発
電事業者の発電量が申告量 よりも 少 なか った場合,過
小発電量分 にSBPが
適 用 され,罰
金的 な徴収 を受 ける。逆 に申告量 より も大 きな発電量 で あ る場合 は,SSPが
適 用 さ れ,過
剰発電量 に対 して支払いを受 ける。また, 需要サ イ ドでは,申
告量 よりも少 ない消費量で あれば,SSPの
支払 いを受 け,逆
に,申
告量以 上 に消費 した場合は,SBPが
適用 されて,懲
罰 的な支払 いが求め られ る。 このインバ ランス決済 は,個
々の事業者ごと に行われ る点 に注意が必要である。なぜ な ら,NGCに
とっては,全
体 でのバ ラ ンスが取 れて いれば系統運用上 は問題 ないはずであるが,イ
ンバ ランス決済 は個 々の事業者 による申告量 と 実際 の量 との差 異 を問題 に してい るか らで あ る。実際の至近データを見れば,SBPは
SSP
に比べて3倍
近 く高い。仮 に,系
統全体 ではバ ランス していて も,個
々の事業者で過不足が生 じてい る場合 には,SBPと
SSPは
発生す るた め,両
者の差額 はタナ ボタ的 にNGCの
懐 に入 るこ とになる。 3。N ETAの
成 果 と評 価 これ までみて きたNETAと
い う新制度 は, 実際の ところ うま く機 能 してい るのであろ う か。導入1年後 に,規 制監督庁であるOfgemが
その言刊面レポー トを公開 している。 その資料 を参考にしながら
,NETAの
成果について検討
してみよう。
3.l NETA l年
後の
Ofgemの
評価
Ofgemの
「
NETA l年
後の評価」という報
告書によれば
,半
ば自画自賛と言えるものの
,NETA導
入 をか な り積極 的 に評価 して い
る
(8)。Ofgem自
身の評価をまとめると
,次のように
なる。①
NETA導
入によって効率的で競争的
な取引制度が実現された
,②
NETA導
入を提
案 した
1998年以来
,卸
電力の実質価格は
40%
低下 した
(図4参照
),③
産業。
商業需要家の電
力料金支払額はかなり低下 し
,家
庭用需要家に
もその利益が還元された
,④
過去
1年で
,先
物
市場での流動性は 150%増 加 した
,⑤
NETA
は
,「エンロン破綻」
(9)においても強靭なシステ
ムであった,⑥販売量の
98%の
電力は通常の商
品のように販売され
,残る
2%が
BM通
じて取
引された
,な
どである。
この ような評価 は,か
な│)一面的である。例 えば,②
の卸電力価格 については,Ofgem自
身 も認、識 してい るが, NETAの
成果か どうかは 疑 わ しい。なぜ な ら,1998年
を起点 とす る理 由 が判然 としないばか りか, この時期 には, 1)
燃滲H両本劉低下, 2)供
給余力, 3)市
場競争の 激烈 さが存在す る。1)燃
米羽面格のイIよ下 は,新
規発電事業者の主カエネル ギー源が天然 ガスで あ り,そ
の実質価格が低下傾向にあった。 2) 供給余力 と3)市
場競争の激烈 さ,は
同義であ る。発電設備が過剰気味 になったのは,NETA
以前の強制的電カプール下 において卸電力価格 が高止 まりしていたために,ガ
ス・ コンバ イン ド・サ イクル発電の新設 ラッシュが見 られた。 それが,現
在 になって設備の過剰傾向 を生 じさ せ,そ
の結果が発電市場での競争 を厳 しい もの に している。 また,民
間 の 電 力取 引 所 をう1圭営 して い るAPXに
よれば,NETAに
対す る評価 は必ず し も高 くない(10)。 £/MWh
(2001年4月価格) 1990/91 1992/93 1994/95 1996/97 1998/99 2000/01圏POOl price tt NETA 図
4
スポ ッ ト電 力価格の推 移(出所)ofgem,The review Of the first year of NETA― A review document― Volume l,July,2002
スポッ ト価格は 1997/1998年 に
名古屋学 院大学論集 その理由として
,①
強制的電カプールを廃止 したことにより,相
対契約は増加 した ものの, 価本鶴果作の同避 を強調する余 り,ス
ポット市場 (電力取引所)を弱体化 しす ぎて しまったこと, ②売買価格にコス トを的確に反映することが目 的であったのに,そ
れは必ず しも実現 されてい ないこと,③
入札の参加者に需要サイ ドも取 り 込むことを意図 していたが,市
場アクセスの費 用 と複雑性から,必
ず しも上手 く機能 していな い,な
どを指摘 している。3.2
取引市場の弱体化 を巡 る悪循環 さらに,NETAに
よって卸電力の耳又引が相 対契約 を中心 とした ものに移行 したために,電
力取 引所の機能その ものが弱体化 して きた,
と 指摘 されている(H)。 そのメカニズムは次の通 り である。 そ もそ も,電
力の価格決定 を自由市場 に委ね た場合,需
給双方の価格弾力性が小 さいために 均 衡 価 格 の ボ ラ テ ィリテ ィは か な り大 き ぃ(12)。 その上,売
り手 (発電事業者)と
買 い手 (小売供給事業者お よび大 口需要家)が,時
々 刻 々の電力取引 を契約 どお り遂行で きない場合 には, システム・オペ レーター(NGC)に
よっ て,SBPの
徴収 を受 けることになる。 電力取引所 は リアルタイムの需給調整能力を 持 っているわけではないか ら,SBP徴
収 を回避 で きる代替案 を提供す ることはで きない。その ため,電
力取 引所 を通 じた実物の売買取引は, 極 めて リスクの大 きな もの とな る。電力取引所 での交換の難 しさやメ リッ トの少なさが市場で 認識 され始めれば,市
場参加者 は増 え ようはず がない。需要家は,イ
ンバ ランスに対す る自己 防衛の手段 として,電
力取 引所 を使 うのではな く,柔
軟 な発電所の運転が可能な取引相手 との 契約 を志向す る。一方の発電事業者 は,多
様 な 発電設備 を抱 えて,電
力需要の負荷 に柔軟 に対 応で きるようなサー ビスを提供す ることが競争 力確保の手段 となる。それが,発
電会社間での 合併・ 吸収へ とつなが ってゆ く。 電力取引所の参加者の減少 は,
ます ます,取
引 を行 な う電力商品の量や種類 を減少 させ,い
よい よ電力取 引所 は規模縮 小 を余儀 な くされ る。その結果,取
引所 そ もの もの も流動性不足 を招 き,同
時 に新規商品の開発インセ ンテ ィブ も失 ってゆ く。 また,発
電事業者 においては, 自身で負荷追従型の設備 を抱 え,個
別電源 につ いては低 い効率で環境 負荷の増加 も懸念 され る ような運転 をせ ざるをえな くなる。 この ような 取引所の規模縮小 に至 るサイクルが,図
5に示 され る。3.3
インバ ランス とSBP o SSP
(1)懲
罰的なSBPと
寸志のSSP
相対契約者 間での契約履行の責任 を強化 させ るため に,NETAで
はインバ ランス決済 が設 け られ,そ の価格 としてSBPと SSPが
設定 さ れた。 インバ ランス決済 は,需
給の一致 を限 り な く当事者責任 に委ね ようとす るものである。 先述 した ように,シ
ステム 。オペ レーターであ るNGCに
とって,系
統全体 での需給のバ ラン スが一致 していて も,個
々の参加者が契約 どお りに発電 した り,消
費 していなければ,SBPや
SSPの
支払 い (受領)を
せ ざるを得な くなる。 例 えば,A発
電所 とB需
要家 とが,ある時点 の電 力取 引 と して30 MWを
契 約 して い た と す る。 この とき,B需
要家の消費量 は20 MW
に過 ぎず,そ れに合わせ てA発
電所の発電量 も20 MWに
減少 させ た とす る。 こ う した事態 に おいては,系
統全体 の需給 は一致 しているに も 関わ らず,B需
要家 はSSPを
受領 し,A発
電所 はSSPの
3倍
も高 いSBPの
支払 い を求 め られ る。つ まり
,イ
ンバ ランスの価格設定は,形
式上 は入札価格であ りなが ら,SBPは
罰金であ り,SSPは
寸志程度の もの となる。 こσ)こ とか ら, SBPと
SSPは
:真6リコラく卜を 反映 していないばか りか,予
定契約の逸脱に対 す る懲罰的 な課金 に過 ぎないこ とが判 る。SBP
はSSPよ
りも数倍高 い価格で あ り,両
者 の値 差 は第二者(NGC)の
利得 とな る。(2)実
需要 よりも過大 になる申告 契 約 当事 者 に とって み れ ば,こ
のSBPと
SSPの
存在 が,実際の需要 よ りも大 目の需要 を 契約 させ,供
給設備 も過大気味 に保有 させ る傾 インバ ランスの過度な リスク 向 を強 いている。つ ま り,罰 金的なSBPの
徴収 を避 けるための方策 として,発
電事業者 は申告 以下の発電量 は避 けるべ きであ り,で
きれば申 告以上 の発電 を行 なってSSPを
受領 す るこ と が得策 となる。逆 に,需
要家側 は,中
告以上 の 消費は避 けるべ きであ り,で
きれば申告以下の 消費量で済 ませ,SSPの
受領 を得 たい。 相対契約 を結ぶ双方 に とって,SBPの
徴収 お よびSSPの
受領 に関す る組み合 わせ は,表
2 に示 され る。表 中では,SBPは -3,SSPは +
1で
示 してい る。契約者双方 に とって最 も望 ま しい組み合わせ は,発
電事業者 は申告 よりも多 ④市場参加者の減少 ③相対契約による高度なポー トフォリオ運営 (b)事業者 ・負荷追従の設備保有 効率の悪化 と環境汚染物質の排出 図5
電力取 引所 の縮 小均衡 的 な悪循環 表2
発電事業者 と需要 家 とのSBPお
よびSSPの
組 み合 わせ (注)SBPは
-3, SSPは +1で表 記 した。 (a)取引所 流通性資金の欠如 商品開発動機の欠如 ①交換の難 しさ ②困難さが市場に流布 需要事業者 (小売供給事業 。大 口需要家) 中告 よ り少 ない 申告通 り 申告 よ り多い 発 電 事 業 者 申告 よ り少 ない 申告通 り(0,+1)=+1
(0, 0)=0 申告 よ り多い(+1,+1)=+2
(+1,0)=+1
名古屋学 院大学論集 い発電を行い
,需
要家 は申告 よりも少 ない消費 を行な うことである (+2)。 逆 に最 も避 けたい 組み合わせ は,発 電事業が申告以下の発電量で, 需要家は申告以上の消費である (-6)。 表2で
は,自
抜 き部分 が契約者 に とってメ リッ トのあ る組み合わせ を示 し,逆
に黒塗 り部分のそれは 懲罰的な課金が強 い られ るケース とな る。3.4
産業組織の変化(1)エ
ンベデ ィッ ド発電設備の利用 上 の ような懲罰的な課金であるSBPを
避 け るために,需
要家側 は「エ ンベデ ィ ド発電設備 (備え付 け発電設備 :embeded generator)」 を有効に活用 しようという動 きがある。 とりわ け,配
電 と小売供給 を兼務す る事業者 において は,エ
ンベデ ィッ ド発電設備の重要度が広 く認 識 されて ようになって きた。 エ ンベデ ィッ ド発電設備 は,配
電事業者の管 内に設置 されてい るGCCT(ガ
ス・コンバ イン ド・サイクル発電)あ
るいは 自家発設備である。 これ らの発電設備 は,配
電系統のネ ッ トワーク しか利用せず,NGCの
送電系統 を経 由 しない ため,NGCへ
の送電線利用料金 を徴収 されな いばか りか,イ
ンバ ランス決済の対象 に もな ら ない。電力需要が中告以上 に増加 しようという 際 には,NGCの
系統か ら電力を調達す るので はな く,こ
の発電設備 を用いて負荷追従 を行な えば よい。 こうしたエ ンベデ ィッ ド設備の活用 は,配 電事業会社 を して小型 システム・オペ レー ターの機能 を内包す ることにつなが る。 エ ンベデ ィッ ド発電の設備規模 は,英
国全体 で10 GW(1,000万
kW)と
推 定 されてい る。 これは,同
国の総 発電能 力65 GWの 6分
の1 に相 当す る。NGCが
管轄 で きない発電設備 は, 徐 々に増加傾向 にある。(2)水
平的・垂直的 な統合NETAに
よって卸 し取引の主流カサロ対契約 に移行 したことか ら,発
電事業 と小売事業 との 提携 や合併 といった垂 直統 合 が 加速 され て い る。相対契約 は,強
制的な電カプ ールの時期 に も存在 していた し,プ
ールで決定 され る価格変 動 リス クを同避 す るための方策 と してのCfD
も存在 していた。 しか し,NETAの
導 入に よって,イ ンバ ラン ス調整の責任 は,従
来以上 に売買契約の当事者 に帰せ られ ることになった。その責任 を果 たす ためには,物
理的に柔軟 な需給双方の体制が求 め られ,そ
れが,上
流・下流 の連携 を深 め るイ ンセ ンテ ィブになっている。 発電事業者 にとってみれば,需
要家の負荷 に で きるだ けフ レキシブル に対応 で きるこ とが サー ビスの一つである。それを実現す るために は,単
一 。同型の発電設備だけでは足 らず,多
様 な設備 を抱 えようとす る。 そのために,発
電 事業者間で も水平的な合併や統合が進め ること が重要な単:に 略 となった。 この結果,一
旦,ア
ンバ ン ドル された電気事 業組織 は,10年
を経て,再
び水平的にかつ垂直 的 に統合が行なわれている。国営下時代の地域 配電会社 (公益電力供給会社)が,現
在,
どの ような資本傘下にあるかは表3に示 され る。か つての地域配電会社の機能は,配
電 と小売供給 に分割 されたために,そ
れぞれの機能に対 して 買収 が進 んでい る。 なかで も,小
売供給事業が 発電会社 に買収 され るケースが際立 ってい る。(3)小
売供給事業の変化 小売の全面 自由化 は,1999年
5月 に完成 をみ た。一般家庭需要家の購入先変更の実績 を見 る と,確
かに,需
要家の選択行為 は着実 に拡大 し てい る。2002年第3四
半期 で その実態 をみれ ば,従
来の電気料金決済方法 を用 いている「現表 3 1日 地域配 電会社 の現在 の資本構 造
元の公益電力供給会社 配電/供給 会社 名 所有者 親会社
East Midlands Electric― 酉己電 ity
Eastern Electricity
London Electricity
ヽ〔anweb
ヽlidlands:Electricity
EastヽIidlands Electric‐ ity
PowerGen UK EdF Energy Networks PowerGen
EdF Energy Networks London:Energy SP Mianweb ScOttishPOwer Energy Retail Aquila Networks Npower
NOrthern Electric Dis‐ tribution
NpOwer Northern Sup‐
ply
NOrthern lreland Elec―
tricity
N'I' Elec' Supply;
Energia
United Utilities Elec‐
tricity PowerGen SP Distribution ScOttishPower Energy Retail S'H'E'Power Distribu― tion SSE:Energy Supply
EdF Energy Net、 vorks
SEEBOARD Energy
S'E' Power Distribu‐
tion
SSE Energy Supply
Western Power Distri‐ bution
SSE Energy Supply
Western Power Distri‐
bution
SWEB:Energy
Y'E'Distribution NpO、ver Yorkshire Supply PowerGen PowerGen EdF Energy PowerGen EdF Energy EdF Energy ScottishPower ScottishPower ノヽquila 79 9% FirstEnergy 20 1% Innogy ヽlidAnlerican PowerGen ScottishPower ScottishPo、 ver Scottish and Energy Scottish and Energy EdF:Energy EdF Energy Scottish and Energy Scottish and Energy PPL E.ON― ドイツの公営企業 E.ON― ドイツの公営企業 EdF―フランス国営企業 E.ON― ドイツの公営企業 EdF―フランス国営企業 EdF―フランス国営企業 英国公営 英国公営 米国私営電力会社 RWE―ドイツ公営企業 Berkshire Hathaway―米 国民間企業 RWE―ドイツ公営企業 E ON― ドイツの公営企業 英国公営 英国公営 英国公営 英国公営 EdF―フランス国営企業 EdF―フランス国営企業 英国公営 英国公営 米国私営電力会社 EdF―フランス国営企業 米国私営電力会社 給 電 給 電 給 電 給 供 配 供 配 供 配 供 NOrthern Electric
NOrthern lreland Elect'
Norweb
ScottishPo、 ver
ScOttish Hydro Elec‐ tric
SEEBOARD
Southern Electric
South Wales Electric― ity
SOuth Western Elec― tricity YOrkshire Electricity 配 電 供 給 配 電 供 給 酉己電 供 給 配 電 供 給 配 電 供 給 配 電 供 給 配 電 供 給 配 電 供 給 配 電 供 給 酉己電 Innogy Viridian Group 英国公営 Viridian Group 英国公営 United Utilities 英国公営 Southern Southern Southern Southern
Scottish and Southern i英 国公営
Energy
PPL
米国私営電力会社 給 電 供 配 EdF iEnergy MidAmerican(94.75%) Xcel Energy(5.25%) Innogy 供 給 RWE― ドイツ公営企業 (注)「元の公益電力供給会社」は,「2000年公益事業法」によって,「配電不ッ トワーク・オペ レータ(DNO:
Distribution Network Operator)」 に変わった。2003年 6月現在。
名古屋学院大学論集 金 。小切手」の需要家の うち
,32%が
購入先 を 変 えてい る。電気料金 に割引がある「口座引 き 落 とし」の方法 を選択す る需要家 にいたっては, 同時期 で39%の
転 換率 となって い る (図6参
照)。 小売供給事業者 は,多
様 なサー ビス提供 を通 じて,顧
客獲得 に奔走す る。 とりわけ,ガ
ス と 電力の並行的供給 (デュアル・ フエル・ サー ビ ス)は極めて一般的なサー ビスメニューであ り, さらにマル チ・ユーテ ィリチ ィ化の道 を進めて いる。例 えは ブ リテ ィッシュ・ガスを発祥 と す るBGト
レーデ ィング (セン トリカ)社
は, 電力 とガスの二つのサー ビス を提供 し,
さらに は,ク
レジッ ト・ カー ド,保
険,ロ
ー ド・ サー ビスを業務 とす る企業 を傘下にお く。電力会社 が通信事業,航
空会社,銀
行な どと提携 しなが ら,消
費者へ特典 を与えなが ら,顧
客の囲い込 み を行なっている。 電力 自由化 を通 じて,消
費者 に企業選択 の 自 (%) 10 由が与 え られ るとい うことは,供
給者 に とって みれば,否
応無 く顧客獲得の工夫がう求め られ る とい うことである。 もちろん, これに伴なって マーケテ ィング・ コス トが追加 され るのは言 う まで もない。3.5 NETAの
本質 とオ女ヨ││(1)NETAが
もたらす もの さて,こ
れまでNETA導
入による電力市場 の変化 をみてきた。1990年 に行なわれた電気事 業の再編(垂直分割 と民営化)は,NETA導
入 によって新たな段階に突入 したといえる。それ では,NETAが
もた らす ものは何なのであろ うか。それをNETAの
本質 として総括 してお きたい。 第一に,NETAは
,市 場参加者による自己責 任 システムであるということだ。①売買は相対 契約が主流であること,②
需給の一致は原則的 に契約当事者に委ね られること,③
それか ら逸 一国― 全英 日座引き落とし ―[}―ロンドンロ座引き落とし ―‐壼― 全英 前払いカー ド ―△― ロン ドン 前払いカー ド ―■トー全英 現金・小切手 イЭ―ロンドン現金・小切手 2000Q4 2001Q1 2001Q2 2001Q3 2001Q4 2002Q1 2002Q2 2002Q3 図6
在来 の地域 電力供 給事業者 か ら離脱 した家庭 需要家の割合脱すれば懲罰的な
SBPが
課せ られ るこ と。 こ の ような制度的な裏づ けれ 市場参加者の 自己 責任 を明確 に してい る。 第二 に,NETAは
,1990年
代初頭 に行 なわ れた電気事業の機能分割 を,新
たに再統合 させ る役割 を果た していることである。 これは,以
下の諸点で確認で きる。それ らは,①
新規事業 者 に とって市場参入が容易であった強制的電力 プール を廃止 したこと,②
相対契約 は規模や範 囲の経済性 を持つ事業者 に有利であること,③
電力取引所 は限界的で,指
標的 に しか利用 され な くなって しまっていること,な
どである。(2)NETAの
教訓 また,以
前 の 電 カ プール シ ス テ ム お よびNETAへ
の改編 を通 じて,わ
れわれ は次の よ うな教訓 を学ぶ ことになる。 第一 には,同
時同量 を図 るための方策 として 競争市場 を用い ようとして も,そ
れは難 しい。NETAで
みたバ ランシング市場の価格 は,厳
密な意味での需給均衡点のそれではない。過不 足 につ いての需要曲線はNGCが
与 え,供
給曲 線 は① オファー と② ビッ ドというそれぞれ別の カープ が 与 え られ た市 場 か ら,二
つ の価 格(SBPお
よびSSP)が
決め られている。その結 果,バ
ランシング・ メカニズムで採用 され る価 格 は,懲
罰 と寸志 といった二つの シグナル を持 つ ことになる。 教訓の第二 は,産
業組織 お よび規制の変更が 電気事業内における利益発生源のシフ トを もた らしていることである。ア ンバ ン ドル・小売の 全面 自由化そ してNETAの
導 入 に よって,主
た る利益発生事業は,発
電か ら小売供給へ,小
売供給か ら送電事業へ とシフ トさせている。結 局,規
制下に置かれている送電や システム・ オ ペ レーター機能 を抱 えるNGCが
最 も優雅 に確 実 に利益 を享受 している姿がそこにある。 第二 には,小
売の全面 自由化 は,競
争の激化 と同時 に上流部門 (発電)と
下流部門 (小売供 給)の
提携や融合 を進め,統
合化 を もた らす こ とである。小売の全面 自由化 は,需
要家獲得の ための商品開発競争や価格競争 を激化 させ,そ
の中で優位 に立つ方策 として,下
流 は上流 との 提携 を求 めてい る。 第四には,小
売の全面 自由化 は,環
境や安定 供給 に配慮す る電源ベス トミックス論 を排除す るこ とだ。産業組織が販売重視 に傾 いた とき, 価格競争や商品開発競争においては,短
期的な 利益 が追求 され る。そこで求め られ る費用最小 化のベス トミックスは,小
売供給の都合が優先 され,計
画 され ることになる。 そのため,環
境 や安定供給 を念頭 においた長期的な電源開発は 志向 されな くなる。 第五 には,相
対取 引を優先 させ ることは,電
力取 引所の低迷 をもた らす ことである。電力取 引所の 自律的発展には,取
引 され る「玉」の流 動1生の大 きさがなにより重要である。 しか し, ひ とたび,流
重川生の欠如が生 じた悪循環 に陥 る と,市
場 は先細 りになって しまう。健 全で透 明 性 の高 い電力取 引所が成立す るためには,あ
る 程度の取引量 は必ず必要 にな る。 お わ りに 本稿 では,1990年
代初頭か ら実施 されて きた 英 国の電力改革,
と りわけ2001年
3月 に導 入 されたNETAが
もた らした成果や問題点 を分 析 して きた。英 国は他国 に先駆 けて,電
気事業 規制緩 和 の実験 を,最
も過激 にそ して ドラス テ ィックに展開 して きた国である。 事業要素のア ンバ ン ドリングや強制的な電力 プールの導入など,実
験的な試みは数多 くの課 題 や 教 訓 を提 示 して き た。そ の 修 正 版 が名古屋学院大学論集
NETAと
いうわけだが,これ とて,意 図 した成 果がイ尋られているかどうかは判断が分かれる。 卸市場の主流は相対取引に移 り,需
給調整のた めのインバランスには,懲罰的な課金 を科せ る。 相対契約や懲罰的な課金は,市
場参加者に事業 の垂直的 。水平的な統合 を志向させ,産
業組織 を再び変化 させ ようとしている。規制当局は, 個別の合併案件が市場支配力の問題にならない か,な
どの検討を迫 られている。 そこに,規
制緩和に伴って公的機関が行なう べ き役割は,制
度設計の細部に立ち入ることで はな く,こ
うした市場の監視業務ではないか と いうことが見えて くる。 圧(1)US/DOE(1997)
(2)Cheshire(1996),p.19(3)OFFERの
機能は,政
府の機構改革によ り1999年6月よりOfgem(Office of Gas and Electricity
Miarket)に継承 された。 (4)US DOE/EIA(1997) (5)各種 の イ ンセ ンティブ規 制 につ いて は
,植
草 (1991)第 6章などを参照。(6)NETAの
導入背景や制度概要は,松
田(2001〉 に 詳 しい。 (7)DTI(2003)pp l15-120 (8)Ofgem,(2002) (9)米国のエ ンロン社 はガスパ イプ ラン事業か ら始 まったが,規
制緩和の申 し子の如 く工不ルギー・ ト レーダー として隆盛 を誇った。 しか し,市場操作 と 粉飾決済が明 らかにな り,株
価の急落 と取引の中止 か ら2001年12月 1日に破産中請に至った。 (10 APX Europeでの ヒア リングによる。2002年7 月17日 (■)APXで
の ヒア リングによる。 (1, このメカニズムについては,木
船 (2002)を 参照 のこと。参考文献
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