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原子力技術~安定供給の基盤支援~

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Academic year: 2021

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総  括

A.重点プロジェクト課題/プロジェクト課題

重点プロジェクト課題およびプロジェクト課題について、課題の全期間にわたる目的および平成 18 年度の 主要な研究成果を以下に示す。

1.原子力技術∼安定供給の基盤支援∼

(1)軽水炉における照射脆化の高精度予測と規格化(重点プロジェクト課題)H18 ∼ H20 [目的] 軽水炉の高経年化に備え、合理的で信頼性の高い運転のため、圧力容器照射脆化の高精度予測手法ならびに 破壊靱性マスターカーブ法を開発し、学協会へ規格原案を提案する。 [主な成果] ・国内原子力発電所の圧力容器鋼監視試験片のミクロ組織観察を実施した。得られた知見に基づき当研究所が 開発した脆化予測法を改良し、日本電気協会技術規程 JEAC4201 改訂案に反映した(図 1)。 ・国産原子炉圧力容器鋼材について小型試験片によるマスターカーブ破壊靭性試験を実施し、試験片の寸法お よび形状の影響を明らかにした。 ・低クラス配管健全性評価のための日本機械学会規格案を作成した。 図 1 電中研脆化予測法の予測精度 (2)軽水炉の熱流動起因劣化の総合対策 H18 ∼ H20 [目的] プラント停止頻度の低減化、原子炉出力のアップレートの早期実現を支援するため、炉内や配管の熱流動お よび振動の観点からの管理規格策定や支援技術開発を行う。 [主な成果] ・液滴衝撃エロージョンによる損傷予測に重要な高速蒸気中の液滴径に関する実験を行い、指数分布の一般形 での近似が可能であり、最大の液滴径が予測できることを明らかにした。 ・ボイド反応度フィードバックを精緻に模擬した当研究所開発の BWR 領域安定性試験設備(SIRIUS-F)を用 いて、ABWR および BWR-5 を対象に模擬試験を行い、MOX 燃料装荷による炉心の領域安定性への影響は 小さいこと、許認可解析コード ODYSY の予測精度は十分に高いことを確認した。 (3)軽水炉材料の SCC き裂進展評価技術の高度化 H18 ∼ H21 [目的] き裂進展特性の解明と維持基準の根拠となるデータ採用基準の明確化、き裂進展速度評価線図の拡充などを 通じて、維持規格の適用拡大による軽水炉の合理的な運転に貢献する。 [主な成果] ・低炭素ステンレス鋼の SCC き裂の長さおよび深さ分布が対数正規分布に従い、その最大値は極値統計に従 2 -20 0 20 40 60 80 100 120 140 160 -20 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 実測値(C) 予測値( C ) 現行予測法 電中研予測法

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3 うことを明らかにした。これにより SCC き裂発生までの時間が推定可能であることを示した。 ・高経年化軽水炉の SCC 対策技術の長期健全性確認試験法の確立に向けて導入を図ってきた基盤的大型研究 設備「原子炉水中構造材料健全性環境影響評価試験設備(SAFETY)」を完成させた。 (4)低線量放射線生体影響の評価 H18 ∼ H20 [目的] 疫学調査と動物実験の両面から科学的データを取得・発信し、低線量・低線量率放射線のリスクを正しく評 価することで、より合理的な放射線防護体系の構築を図る。 [主な成果] ・中国の高自然放射線地域における疫学調査をとりまとめ、放射線レベルが日本の 3 ∼ 5 倍程度まで増大して も、がん死亡率は増えないことを検証し、成果を ICRP、IAEA 等に発信し、放射線防護に係る基準策定に 寄与した。 ・被ばく線量の集積性に関するデータを取得し、発がん・発がん抑制機構の解明において、細胞の新陳代謝な どが重要な役割を担っていることを確認した。 (5)合理的な放射線安全確保手法の開発 H18 ∼ H20 [目的] 安全評価技術、測定技術の合理化・高度化を通じて安全評価規準への適合判断手法を提案し、放射線安全確 保の社会への説明性と理解向上を図る。 [主な成果] ・金属およびコンクリート廃棄物を対象とした電中研式クリアランスレベル測定装置(CLALIS)の測定性能 試験を完了し、実用化に向けた現場実証試験計画を立案した。 ・放射性廃棄物の余裕深度処分等で重要な放射性炭素を対象に、人工バリア性能維持期間や地下水移行時間を リスク論的に扱った評価計算を行い、線量評価への影響を明らかにした。 ・放射線管理の表面汚染評価で重要な線源効率について、ホット試験で実測し、現行法令の表面汚染密度規準 に適合することを検証した。 (6)高レベル放射性廃棄物処分技術の開発(重点プロジェクト課題)H18 ∼ H20 [目的] 高レベル放射性廃棄物の処分を安全に実施するため、地質地下水環境調査・評価技術、合理的な処分施設の 設計・施工技術およびバリア性能・安全評価手法を確立する。 [主な成果] ・幌延やスイス・モンテリでの堆積岩に関する共同研究により、コントロールボーリング技術等の適用性を検 証するとともに、割れ目等による岩盤異方性を考慮した初期地圧測定法を開発した(図 2)。 ・原位置模擬環境下での軟岩のクリープ試験を実施し、長期クリープ特性に及ぼす環境因子の影響を解明した。 ・処分施設環境条件下を模擬したベントナイトの温度耐久性試験を実施し、熱影響の程度を把握した。 ・各種低アルカリ性セメントをバリア材として使用した場合の処分施設設計上の課題を抽出するとともに、セ メントのひび割れ制御手法を原子力発電環境整備機構に提案した。 図 2 コントロールボーリング掘削・調査技術の開発(経産省,資源エネルギー庁委託事業)

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(7)低レベル放射性廃棄物処分技術の開発(重点プロジェクト課題)H18 ∼ H20 [目的] 人工バリア材(セメント、ベントナイト等)の核種移行抑止機能と長期耐久性等の評価手法を開発し、低レ ベル放射性廃棄物の余裕深度処分に資する。また、解体廃棄物の処理・再利用方策を提案する。 [主な成果] ・セメント系材料や廃棄体から溶出する各種イオンによって変質したベントナイト材の透水係数、膨潤特性等 のデータを取得した。また、セメント系材料の基本的な変質メカニズムを明らかにした。 ・既開発の低アルカリ性セメントを更に高性能化するため、高緻密なセメント系材料を試作し、材料・力学特 性を実験的に評価した。また、処分環境下におけるセメント系材料の超長期耐久性評価に関わる溶脱現象を 解明するための新たなフロー型の試験方法を開発した。 ・解体コンクリートの「廃止措置・リサイクルシミュレータ」を産業廃棄物の処分・再利用等にも適用するた め、地域の産業構造、物流等の調査を踏まえて、シミュレータを利用するビジネスモデル、地域共生プラン を取りまとめた。 (8)リサイクル燃料等の貯蔵・輸送技術の開発(重点プロジェクト課題)H18 ∼ H20 [目的] 原子力発電所の安定運転および柔軟な再処理計画を支援するため、経済的で信頼性の高い長期・大容量貯蔵 技術を開発・提案し、実用化を促進する。 [主な成果] ・確率論に基づく放射線ストリーミング安全評価手法を用いて、コンクリートキャスク貯蔵施設の合理的な遮 蔽設計が可能であることを示した。また、除熱性能および耐震性能評価を踏まえて、浅地下ボールト貯蔵施 設の概念を新たに構築した。 ・コンクリートキャスク貯蔵方式におけるキャニスタ材料を対象に、発銹および SCC 発生試験や塩分付着試 験を行い、約 50 年の貯蔵期間中に、SCC の発生可能性が低いことを確認した。 ・H17 年度に実施したコンクリートキャスク耐震試験の結果に基づき、杭基礎で支持された中間貯蔵施設にお ける貯蔵容器中の使用済燃料の地震時健全性を評価した(図 3)。 ・金属キャスクの中間貯蔵施設への搬入時に想定される落下事故に関して、実機スケール模型などにより、高 さ 1m からの水平落下および回転落下試験を行い、キャスク内部の充填ガスが漏洩しないことを確認した。 図 3 コンクリートキャスクの耐震性能確証試験(経産省,原子力安全・保安院委託事業) (9)金属燃料サイクル技術の開発(重点プロジェクト課題)H18 ∼ H20 [目的] 核拡散抵抗性に強く、廃棄物の環境負荷低減が見込める将来の高速炉サイクルオプション技術として金属燃 料および乾式リサイクル技術の開発を進める。 [主な成果] ・プルトニウムを用いたプロセス実証試験において、酸化物の金属への転換工程と電解精製工程とによりウラ ン、プルトニウムを回収する連続試験を実施し、ウラン約 95 %、プルトニウムほぼ 100 %の物質収支の下、 溶融塩中のウラン、プルトニウムの濃度と電解電流の関連を明らかにした。 ・軽水炉から高速炉への移行期におけるサイクル諸量を解析し、高速炉への移行に必要な使用済み軽水炉燃料 4 固縛をしないコンクリートキャ スクについて、3種類の地震 波(El Centro, JMA神戸, 人工 地震波等)で試験。 コンクリートキャスクは転倒 に至らず、収納燃料の応答は 弾性範囲内に抑えられること が明らかとなった。 (独)防災科学技術研究所(E-ディフェ ンス)の大型三軸振動台による、実物 大コンクリートキャスクの耐震試験

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5 及び使用済み高速炉燃料の再処理量の経年推移、プルトニウム貯蔵量の推移、使用済み燃料貯蔵量の推移な どを明らかにした。 ・フェニックス炉での照射を終えた超ウラン元素含有金属燃料をフランス原子力庁から超ウラン元素研究所 (ドイツ)に輸送し、非破壊検査に着手した。 (10)小型高速炉実用化に向けた設計評価技術の確立 H18 [目的] ナトリウム冷却超小型高速炉(4S 炉)の安全性評価、革新技術開発の成果により、NRC 事前審査を申請し、 高速炉の設計評価技術の確立に資する。 [主な成果] ・メーカーと共同で米国 NRC への 4S 炉の事前審査申請のための技術資料を作成し、許認可を得るための安全 性評価に関する技術シナリオを構築した。 ・ 4S炉に導入した安全に関する革新技術であるプレート型蒸気発生器の成立性を実験及び解析により検証した。

2.先進保守技術∼電力設備の合理的運用∼

(1)ガスタービン個体翼健全性評価技術の確立(重点プロジェクト課題)H17 ∼ H21 [目的] 徹底的な設備保守コストの低減を図るため、ガスタービン高温部品(主に動静翼)を対象とした個々の部品 に対する使用温度等に基づく余寿命評価技術を開発する。 [主な成果] ・フィルム冷却・熱遮蔽コーティング(TBC)動翼の温度推定を可能とするため、耐食コーティング層の切 断面劣化状態に基づく温度推定手法の TBC への温度適用範囲を明らかにするとともに、コンピュータシ ミュレーションによる温度推定を行い、手法との比較により妥当性を確認した。さらに、新たな TBC 劣化 指標を導入し、手法の高度化を図った。 ・「保守最適化支援システム」について、ユーザ意見を反映し、より柔軟な部品使用計画を可能とするよう改 良した。 (2) 発電プラントの遠隔監視・健全性評価システムの開発 H18 ∼ H20 [目的] 発電所の熱効率維持・改善、保守業務の効率化を図るため、遠隔監視によりリアルタイムで熱物質収支を解 析し、機器の経年劣化推移の監視、機器効率変化のプラント効率への影響評価、ボイラ材料の定量的な損傷状 態評価が可能なツールを開発する。 [主な成果] ・既開発の「発電システム熱効率解析プログラム(EgWin)」について、発電所の現場で容易に活用できるも のとするため、マクロ機能の開発などを行うとともに、ユーザサポート体制を強化した。 ・オンラインで発電所の運転データを取り込んで熱効率解析を行い、解析結果をデータベース化するシステム の試運用を開始した。また、プラント計算機データを取り込み、伝熱面各部の熱吸収量解析、燃焼ガス流れ のバランス評価を行う「プラント計算機データ解析ツール」を開発した。 ・ガスタービン(GT)圧縮機の圧力比低下原因の推定などへ適用するため、GT 要素機器である圧縮機やター ビンの性能を、マッハ数などの無次元数を用いて個別に評価する基本手法を開発した。 (3)発電機器・鋼構造物の非破壊評価手法の開発(重点プロジェクト課題)H16 ∼ H20 [目的] 設備保守の信頼性の維持とコスト低減に寄与するため、発電機器・鋼構造物のき裂の検出、解析評価および 監視手法を構築する。 [主な成果] ・ボイラ配管用高クロム鋼溶接継ぎ手の走査型電子顕微鏡内クリープ疲労試験により、ボイド・微小き裂成長 挙動を解明し、それに基づくシミュレーション手法を提案した。疲労試験結果との比較から、同手法が成長 挙動を予測可能であることを検証した。 ・超音波伝播シミュレーションプログラムを用いて、当研究所が開発した簡便で低コストな超音波探傷法(S-POD 法)の計測条件の最適化を行い、既存手法では困難な 2mm 程度の疲労き裂の深さを計測できることを

参照

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