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温暖化の長期予測と適応支援

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Academic year: 2021

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(1)プロジェクト課題. 温暖化の長期予測と適応支援 背景・目的 2 0 0 7 年の IPCC 第 4 次評価報告書を契機に、温暖化対策(排出削減と適応)は社会の 主要な関心事の一つとなった。しかしながら、温暖化予測の不確実性は依然として大きく、 対策の立案・実施に向けて、予測情報の信頼性向上が求められている。 本課題では、温暖化予測の不確実性を定量化したうえで、国内および国際的な排出削減 議論に資するため、最新の科学的知見に立脚しつつ、エネルギー供給の実情と将来性を踏 まえた様々な排出削減シナリオを提案する。さらに、全地球規模の予測結果から地域スケー ルの詳細な情報を導出し(ダウンスケーリング)、電力設備等への影響が大きい極端現象 (台風、豪雨等)の温暖化に伴う変化を評価する。. 主な成果 1.気候モデルと経済・エネルギーモデルの統合 科学的な気候予測の知見を温暖化対策の行動計画に適切に反映することを目指し、 2 0 0 9 年度に開発した簡易気候モデル(SEEPLUS)をウェブアプリケーションとし てインターネット上で公開した。さらに、低炭素社会の実現に向けた温室効果ガスの 様々な排出経路を比較・検討するために、エネルギー・環境・経済の指標を共通の枠 組で扱う統合評価モデル(BET)を開発し、モデル中に SEEPLUS の気候計算法を 取り入れた(図 1)[V 1 0 0 1 3]。この計算法は、自然の炭素循環が現実的に表現され、 従来の統合評価モデルにおける気候計算法に比べて、排出経路のより適切な評価につ ながると期待される。 2.温暖化に伴う台風変化の評価 台風に起因する暴風雨の温暖化に伴う変化を、上記の SEEPLUS の出力情報から理 論的に評価する手法を構築した[V 1 0 0 1 4]。この手法では、過去の顕著な台風事例 に基づき、温暖化に伴う台風強度の変化とその不確実性を温度上昇の関数として評価 することができる。例えば、1990年の台風19号を対象とした評価では、全球平均で 1℃ 昇温した条件で風速が 6 . 5%、最大降水が 9 . 3%増加する。この条件は 2 0 4 0 年頃に相 当するが、 より長期の変化では排出シナリオによる風速等の増加の違いが拡大する (図2) 。 3.日本域における異常気象パターンの抽出 日本域における異常気象は、遠方の大気海洋現象から複合的な影響を受けて複雑な 挙動を示す。その変化傾向を的確に評価するため、自己組織化マップを用いた異常気 象パターンの抽出手法を開発した[V 1 0 0 2 6]。この手法では、過去の観測データや 気候モデルによる温暖化予測結果から、データの類似性に基づき自動的に多様な異常 気象パターンを分類・抽出することができる。本手法を過去 3 2 年間(1 9 7 9 〜 2 0 1 0 年) の日本域夏季の気象データに適用した結果、猛暑や冷夏など既往の知見と整合する異 常気象のパターンが抽出された。さらに、同期間中のパターンの長期的な変化傾向を 調べた結果、近年は猛暑型の気象パターンが増加傾向にあることも示された(図 3)。 52. 02-3環境.indd 52. 11/06/13 14:57.

(2) 環境・エネルギー利用技術. 環境・エネルギー利用技術 エネルギーモデル. 労働力. 資本. エネルギー. エネ費用. 総生産. 気温変化. 費用. 被害関数. 損失 消費. その他の 気候変化要因. 簡易気候モデル SEEPLUS. 生産関数. 投資. エネ起源CO2. 純輸出. 効用関数 効用総計. 最大化. シナリオA シナリオB シナリオC シナリオD. 西暦. (b) 最大降水に関する変化 降水極値の変化率(%). 温度変化(℃). (a) 全球平均温度上昇. シナリオA(黒線) に対する不確実 性の幅. 西暦. 図 1 当所の統合評価モデル BET 図1 当研究所の統合評価モデ ルBETの構成とSEEPLUS の構成と SEEPLUS の位置づけ の位置づけ 総生産を消費と投資に適切に配 総生産を消費と投資に適切に配 分し、効用の総和を最大化。エ 分し、効用の総和を最大化。エ ネ費用には排出削減費用も含ま ネ費用には排出削減費用も含ま れる。損失は気候変化による生 れる。損失は気候変化による生 産量増分の減損として評価。エ 産量増分の減損として評価。エ ネルギー起源の CO CO2 排出と温度 ネルギー起源の 2 排出と温度 変化による経済損失を通じて、 変化による経済損失を通じて、 エネルギー・経済と気候の相互 エネルギー・経済と気候の相互 依存性が考慮される。 依存性が考慮される。 図 図2 温暖化に伴う台風の変化 2 温暖化に伴う台風の変化 IPCC第 第 55 次 評価報告書で用 IPCC 次評価報告書で用いら いられる 4種類のシナリオに れる 4 種類のシナリオに基づき、 基 づ き、 過 去 の 代 表 的 な 台 風 過去の代表的な台風(1990 年 19 (1 9 9 0 年 1 9 号 ) の 豪 雨 の 変 号)の豪雨の変化を評価した結 化 を 評 価 し た 結 果。 温 度 上 昇 果。 温度上昇(a)の基準は 1990 年、 (a)の基準は 1 9 9 0 年、気候感. 濃度倍増による平 気候感度(CO 度(CO2 濃 度2 倍 増による平衡 状態での温度上昇)を 3℃とし 衡状態での温度上昇)を 3℃とし て SEEPLUS SEEPLUS で計算した結果。 て で計算した結果。 シナ シナリオ A の場合のみ、不確 リオ A の場合のみ、不確実性の幅 実性の幅をマーカで示す。様々 をマーカで示す。様々なシナリオ なシナリオについて台風強度の について台風強度の変化率を少 変化率を少ない計算コストで評 ない計算コストで評価できる。 価できる。. 図図3 夏季(6 ~ 8 月)における猛暑型と冷夏型の異常気象パターンの発生頻度 月)における猛暑型と冷夏型の異常気象パターンの発生頻度 3 夏季(6~8 過去の気象データより抽出された異常気象パターンのうち、猛暑型と冷夏型の発生頻度(日数)の変化。折 過去の気象データより抽出された異常気象パターンのうち、猛暑型と冷夏型の発生頻度(日数)の変化。折れ線 れ線は夏季平均気温の平年差(気象庁)。前半(1 9 9 4 年以前)に比べて後半(1 9 9 5 年以降)では、猛暑型の は夏季平均気温の平年差(気象庁) 。前半(1994 年以前)に比べて後半(1995 年以降)では、猛暑型の発生頻度 発生頻度が約 1.5 倍に増加し、冷夏型は半減している。 が約 1.5 倍に増加し、冷夏型は半減している。. 21 53. 02-3環境.indd 53. 11/06/13 14:57.

(3)

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