Title
高品質GABA富化米の製造に関する研究( 内容の要旨
(Summary) )
Author(s)
LU QINGYUN
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 甲第533号
Issue Date
2010-03-15
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/33674
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(本(国)籍) 主 指 導 教 員 名 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 会 呂 庚 云 (中華人民共和国) 岐阜大学 教授 後 藤 清 和 博士(農学) 農博甲第533号 平成22年3月15日 学位規則第3条第1項該当 連合農学研究科 生物環境科学専攻 岐阜大学 高品質MA富化米の製造に関する研究 主査 岐阜大学 教 授 前 澤 副査 岐阜大学 教 授 後 藤 副査 岐阜大学 准教授 西 津 副査 信州大学 教 授 春 日 副査 静岡大学 准教授 山 脇 穏 和 久 光 樹 重 清 貴 重 和 論 文 の 内 容 の 要 旨 呂 戻云氏は,米の利用価値を高める機能性成分であるGABA(γ一aminobutyricacid) に着目し,現状の製品よりも高品質化することを研究した。GABA富化玄米は,「発芽 玄米」として商品化され一般に供されるようになって久しい。しかし,その生産生は 伸びていない。その理由としては,「発芽玄米」の肌ずれや胴割れが激しいこと,発芽 時の胚乳都税失のための粒としての規耗があること,また,GABA盲化処理後の特有 の悪い臭気を除くために熱処理を加える必要があること,などが考えられる。そのた め,呂 氏は,GABA富化時の処理条件と製品玄米の特徴の関係を検討し,GABA盲 化玄米の高品質化の考察を行った。また,従来は玄米形態で富化されていた方法にこ だわらずに,籾形態での官化特性を実験し,胴割れを飛躍的に減少させることに成功 した。 本研究では「GABA富化米」の品質指標として,GABA含有丑,発芽率,官化暗視 失率,官化用水の透過率および臭気催事を選択し,GABA盲化米の製造条件との関係 を検討した。GABA含有丑は最も重要な測定項目であるが,これは発芽程度と関係が 深い。浸漬の過程で米の水溶性成分が溶出し,また,発芽のために胚乳部のデンプン やたんばく質などの成分が分解され栄養分として消費されるために,官化後米粒質量 の損失が生ずる。この損失の程度を官化時損失率と定義した。富化過程で富化用水が 濁りだすことが観察された。これは米成分の溶出および微生物の繁殖に原因があるも のと推測し,官化過捜の術生状態の評価として官化用水の透過率を測定した。 玄米を原料としたGABA官化実験は,原料を連続的に水中に浸潰して,GABAを官 化する連続方式を採用した。富化条件として,送気の有無,富化温度,富化時間,富
化用水のpH,富化過程途中での「水替え」の有無を遊び実験を行った。得られた知見 は次のとおりである。 (り浸漬時に送気を行うことにより,玄米の全堆積層においてGABA生成が均一に行 われた。そのため,玄米の実験においては,すべて送気を行うこととした。 (2)GABA含有率と発芽率の関係は,処理条件によらず関係なく同じ曲線で近似できる が,その形状は品種により異なる。 (3)富化用水としてpH3の酸性水を使用すれば,高透過率が長時間維持された。さら に,途中で「水替え」を行うことにより,衛生面で有効となることが示唆された。 (4)GABA生成と同時に,発芽に伴う胚乳部成分の損失が見られる。官化過程における GABA含有丑と盲化時損失率には直線的な関係が見られる。これは,一定のGABA含 有土を得るためには,その値に見合う盲化暗視失率が必ず発生することを意味する。 この関係は品種間で差が見られ,品質の指標の一つと見ることができる。 (5)「においセンサー」を利用して,富化した玄米の臭気値を測定した結果,5%の危 険率で富化中,送気する場合より「送気なし」の臭気値は高い。臭気値は富化時間と ともに高くなり,十分な時間を超過した後に低下する傾向が見られた。 (6)富化由程の後期において臭気値が下がる点を除いて,臭気値とGABA含有立とは 高い直線相関を示した。20℃で富化すると米の臭気がほとんど発生しなかったため, 臭気発生に.対する温度の影響は大きいものと推測される。また,出芽の適温において 透過率と臭気値の相関係数は一0.6前後である。 以上の結具より GABA盲化に関して,衛生面やGABA含有丑の必要最低丑あるいは 富化暗視失率等を総合的に検討して,GABA富化の適正条件を考察するべきである。 次に,籾を原料としたGABA富化実験を行った。収穫後の高水分籾を原料とするこ とにより,乾燥エネルギーの節減および胴部れ減少にともなう高品質化を目的とした● ものである。GABA富化過程は一定時間の浸漬の後,水を切り,乾燥を抑制するため に密閉容器に移し富化_させる水上げ方式を採用した。富化条件として,原料籾の初期 含水率,浸潰温度,浸潰時間,官化温度,官化時間を検討した。この実験により得ら れた知見を次に示す。 (1)高含水率籾に対して「水上げ方式」を実行したところ,十分にGABAが盲化され, 胴割れ率については従来の結果と比べて,飛用的に減少し,この面からは高品質の製 品が得られることがわかった。胴部れ率に対する籾の初期含水率および浸蹟水の温度 の影響は見られなかった。 (2)浸濱時間が1日以上になると,水の吸収丑が飽和状態に近づくため,GABA含有 土はやや増加するがその差は小さい。よって,「GABA官化米」製造の生産率を考慮す れば浸清時間は1日程度で行うのが良い。 (3)浸潰温度を高くすると GABAの増加が得られるが,温度が低くてもある程度の GABA官化は得られる。したがって,微生物の繁殖を抑制するためには浸測温度は30℃ より低いのが適当である。 (4)GABA含有生の増加率は,官化時間が1日目から2日目が大きく,3日目には小さ くなるので,含有丑を考慮すると,富化時間は2日間が適当と判断された。 (5)GABA含有土と官化時損失率に直接的な関係がある。つまり,一定のGABA含有丑 を得るためには一定の損失を避けることができない。したがって,両者を総合的に判 断して,製品品質の目標値を決定する必要がある。
(6)設定した処理条件により GABA含有丑を重回帰分析により精度よく予測すること が可能である。重回帰式の分析を行った結果,富化時間の影響が最大であることがわ かった。回帰式により,GABA盲化条件を考奏することができる。 以上,GABA含有丑,胴割れ率,富化時頼失率,浸清水の透過率を評価基準として, 米のGABA富化特性を検討した結果,GABAを盲化するための種々の条件により品質 が変化することがわかった。また,品質として,GABA含有生をはじめ種々検討の対 象としなければならない。 GABA富化の際の米形態を籾とすることで胴部れ率を顕著に低下させることができ る。これはGABA盲化後の熱処理が不要となり,さらに砕米とならずに精白できる可 能性がある。そのため,若干糠を除いた米(例えば七分穐き米や胚芽米)とすること で玄米よりも食味をよくすることができる。食味が良くなることで人々に食用されれ ばその健康機能が良く発揮されることとなる。 審 査 結 果 の 要 旨 呂 戻云氏は,米の利用価値を高める機能性成分であるGABAに着目し,現状の製品より も高品質化することを研究した。GA8A官化玄米は,「発芽玄米」として商品化され一般に供 されるようになって久しい。しかし,その生産暮は伸びていない。その理由としては,「発芽 玄米」・の肌ずれや胴割れが激しいこと,発芽時の胚乳部損失のための粒としての損耗があるこ と,また,GABA官化処理後の特有の悪い臭気を除くた■めに熱処理を加える必要があること, などが考えられる。そのため,呂 氏は,GABA官化時の処理条件と製品玄米の特徴の関係を 検討し,GABA盲化玄米の高品質化の考察を行った。また,従来は玄米形態で富化されていた 方法にこだわらずに,籾形態での官化特性を実験し,胴割れを飛用的に減少させることに成功 した。 近年,様々な機能性成分が食品に求められている。米は主食穀物として王事な食品であるが, そこにもGABA(γ-aminobutyricacid)なる成分が見出されて,「発芽玄米」として商品化さ れている。これは,玄米を発芽させたり,発芽条件に置いたりすることにより,粒中にGA月A を生成し,その含有tを増加させたものである。従来,MAを富化する方法や条件等に関 する報告はあるが,富化した米の品質に関する報告は見られない。米のGABAを盲化するた めに,水中に浸漬する期間は1∼2日であり,その過程中に起こる発芽による胚乳部成分の規 耗や米の水溶性成分の溶出による質上の損失が生ずる。生成されるMA含有暮が同じなら ば,それらの損失は小さい方が高品質なGABA富化米と見ることができる。この両者の関係 は,浸潰温度等の処理条件の他,品種あるいは官化時の米の形態により異なることが見出され, 品質の新しい観点とした。 本研究では玄米と籾を用いて,書化過程および書化した米の特性を検討した。測定項目をMA 含有t,発芽率;富化暗視失率,富化用水の透過率および臭気値とし,MA官化米の製造条 件を品質の面から検討した。GABA含有tは発芽程度と関係が深い。浸潰の過程で米の水溶性 成分が溶出し,また,発芽のために胚乳部成分が分解され栄養分として消費されるために,富 化後米粒質量の規失が生ずる。この規失の程度を官化時損失率と定義した。官化過程で官化用 水が渦りだすことが観廃された。これは米成分の溶出および微生物の繁殖に原因があるものと 推測し,官化過程の術生の評価として官化用水の透過率を測定した。GABAを官化するための 条件は,米の十分な吸水と発芽促進のための30℃前後の温度である。この温度は微生物にと って好適であるためその繁殖が活発となり,代謝物のため臭気が発生し,この臭気が米の食味 に影響を与える。「においセンサー」を用いて,製品玄米の臭気を測定し,臭気発生の原因の 解明と削減方法を検討した。
玄米を原料としたMA官化実験により得られた知見は次のとおりである。 ①MA生成と同時に,発芽に伴う胚乳部成分の規失が見られた。官化過程におけるMA 含有土と官化時規失中には直線的な関係が見られた。これは,一定のGABA含有土を得る ためには,その値に見合う官化暗視失率が必ず発生することを意味する。この関係は品種間 で差が見られ,品質の指横の一つと考えられる。 ②pH3の酸性水を浸潰水として使用すれば,高い透過率が長時間維持された。さらに,途中 で水替えを行うことにより盲化用水の透過率が大幅に上昇し,盲化過程において術生面で有 効となることがわかった。 ③「においセンサー」を利用して,官化した玄米の臭気催を測定した結果,値は官化時間ととも に高くなり,十分な時間を経過した後に低下する傾向が見られた。 次に,籾を原料としたMA昔化実験を行った。収穫後の高水分籾を原料とすることにより, 乾煉エネルギーの節減および胴部れ減少にともなう高品質化を目的としたものである。 ①ホ含水率籾に対して「水上げ方式」を実行したところ,MAが書化され,玄米による書化と比 べて,胴部れの少ない高品質な製品が得られた。 ②書化時損失率とGABA含有量と・の耶には直線関係があり,餌A含有量は官化時規失串と直接 的な関係がある.つまり,一定のGABA含有丑を得るためには一定の規失を避けることができ ない.したがって,両者を総合的に判断して,製品品質の目標値を決定する必要がある. ③股定した処理条件によりGABA含有tを壬回帰分析により精度よく予測が可能となり,官化時 Ⅶの影響がt大であることがわかった。 以上について,書査委員全点一致で本愉文が岐阜大学大学院連合農学研究科の学位愉文として 十分価値あるものと認めた。 <発表倫文> 1)呂 よ云,後藤清和,西津t久,鄭 軍:籾形態によるGA丑A官化特性.農業生産技術管 理学会誌16(2,3):97・102,2009 2)呂 &云・後藤清和・西洋★久:玄米のGABA官化条件と品質について.農業機械学会誌 (印刷中)