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<論文>経営者報酬と株主関係における諸問題(2) 利用統計を見る

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著者

菅野 康雄

著者別名

Kanno Yasuo

雑誌名

経営論集

6

ページ

19-38

発行年

1977-03-30

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00005880/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

経営 者報 酬と株主 関係 にお げる諸問題(2)

目 次1. 序2. 経 営 者 報 酬 と 株 主 の 承 認 問 題 (1) 経 営 者 報 酬 と 取 締 役 会 の 権 能 (2) お 手 盛 報 酬 と 株 主 の 承 認 問 題 (3) 社 外 取 締 役 の 報iii( 以 上 本 論 集 第5 号 )3. 経 営 者 報 酬 と 訴 訟 問 題4. 結 び

3

経営者報酬と訴訟問題

経営者報酬に対す る一般株主 の疑惑は,1929年 の未曾有の経済不況に端を

発して一 挙に表面化した感かおる。当時,産業間の信用や銀行制 度 が 崩 壊

し,産業界において広範な企業 倒産が続出した結果,管 財人や債権者などの

調査に よって,これ まで隠蔽されてい た多 ぐの企業の実 態が明ら か に さ れ

た。そ のなかでもとりわけ注 目を浴びた問題はレ お手盛決定に よる過大 報酬

や会計の粉飾操作に よる恣意的な報酬が経営首脳者に対 して支払われていた

ということであった。解雇や大幅な賃金カット,配当金 の激減等に憤憑を も

つ労働者や株主は, これ まで の経営者報酬が,「会社利潤の恣意的収奪」 も

しくは「会社資産の濫費」に相当す るとして攻撃の手をつ よめ,一般株主 の

提訴が多 くの企業におい て続発することとなった。

経営者報酬に対するかかる株主 の提訴が引金となって,1930年 代 初 頭 に

は,租税立法や連邦証券立法などに よる法的諸規制の強化や,国会,政府,

行政機関等に よる積極的な調査活動に よって,経営者報酬に関する情報の公

開と過大な報酬の抑止策が実施せられることになったのであ る。30年代初期

(3)

に顕在化したかかる報酬問題は,基本的には,経営者職 能の高度化 とそれに

ともな う経営 者の所有からの相対的独自性 の強化や ,経営者の恣意的利潤参

加に よる経済的 自己擁護の重視など,株式会社 の制度的問題や経営者の独善

的欲求に根ざしているものと思われる。もちろ んこれを 許した 背景 と し て

は,高度の株式分散に よる株主の無機能化が進展し,経営者と株主との背離

が一層深 まらざるを得ない とい う株式会社固有 の制度的変遷に よって大きく

影響さ れてきたことは否めたいであろ う。したがってこの問題は,た ん斤

こ30

年代におい て現れた固有 の問題としてのみとらえるこ とはできない。事実,

所有 からの相対的独自性を 強化した専門経営者の支配的様相は,今日におい

ても依然として進展しており,経営者の報酬決定の権能は,制度的にむしろ

強化されているのが実情である。

そこでわれわ れは,以下,30年代後半 より50年代にい たる代表的な訴訟の

全貌につい て検討し,その歴史的な傾向を把握するとともに,それを通して

。1)

経営者報酬の性 格とその正当性の問題について吟味することに したい。(1)1930

年代初期 の経営者報酬に関する代表的な訴訟については,すでに別の

機会に述べた ところであ るが,そ の争点は,報酬の決定 とそ の管理・運用に

ついて の合法性と正当性の可否√株主に対す る情報提供の有無,報酬絶対額2)

の妥当性と合理性等の問題であった。そして,訴訟 の対象となった報酬は,

主 としてボーナス制度と選択権制度であり,とくに 株主関係を 軽視もしくは

無視した経営者の不当性や恣意性が問題として取上げ られた。このような訴

訟におけ る傾向は,1930 年代後半の事件におい てかな り様相を 異にしている

とはいえ,基本的な問題の所在については多 くの点て非常に類似していると

い って よいであろ う。以下,若干の事件を取上げ て考 察す ることにし よう。

まず,選択権に よる報酬が過大であ るとして一般株主から挑戦された訴訟

に丿TheNationalCashRegister

事件かお る。NCR

社は,金銭登録機お

よび会計機械の大手製造業者であった。同社は,1920年代を通じて大いに繁

栄し,1929 年には,8,339,640ドルの純利益を 計上した が,1932 年には, 当

時 の経済不況の余波を うけ,一転して3,399,265ドルの損失を こうむった。

同社は,この破産的危機を 脱するた めに,広い知識・経験を有し,迅速か

つ 果断に大企業の諸問題を処理する有 能な経営 者を求め,結局,1916 年に同

(4)

社 の副 総 支 配 人 の 地 位 を 去 っ た デ ィ ー ズ(C.E.A.Deeds )を 社 長 と し て 迎 え るこ と に な っ た 。 犬 報 酬 契 約 は , 年 俸10 万 ド ル の給 料 と,1 株 当 り行 使 価 格 が9.80 ドル で 普 通 株 式5 万 株 の 全 部 も し く は 一 部 を5 年 の 選 択 権 期 間 以 内 に 行 使 す る とい う 選 択 権制 度 と で あ っ た 。 選 択 権 は ,1936 年7 月 に 全 部 行 使 さ れ た 。 そ の時 点 に お け る 株 式 市 価 は38 下 ル で あ っ た か ら , 彼 の 行 使 時 差 額 は141 万 ドル とな り , 彼 は莫 大 な ペ ー パ ー利 得 を 得 た こ と に な る 。 し か しな が ら, デ ィ ー ズが 選 択

権を交付された時の 株式市価は,51 ドルであ ったし ,

権を交 付 さ れた時 の 株式 市価 は,5

二 ドルであ ったし ,そ して1941 年8 月に

は,そ れは13

ドルであ った。 そ し

デ ィー ズは,1939 年に なお 選択権 株式4

を所有 し てお り,選 択 権行使時 のペ ー パー利 得 は実現 してい な かった。

株主 は, デ ィーズに 対し て交 付し た 選択 権 は過 大報 酬であ る として提 訴し

た。しかし裁判所は,その訴えをことご とく退け た。そ の判決要旨は,選択

権契約が,い かなる方法であれ, またた とえ無分別に 行われたとして 乱 会

社の実態が公正に認 識された上で,会社 の再建とい う特殊な状況にもとづ く

要請によって締結されたものであり,そして選択 権は ,個人の経営手腕や指

導力を期待して与えられた正当な報酬 の権利であ る, とい うものであった。

さらに,控訴審では,デA ーズに対す る報酬が,取締役会の恣意的な決定や

そ の権能の濫用に よって付与されたものではなかった とい う事実とともにこ

の判決が是認された といわれる。ちなみに, ディーズの給料は,1932年から3

)1940

年まで依然として10万ドルであった とい う。

この訴訟は,結局株主の敗訴に終った のであるが,ここで注 目 さ れ る 点

は,社長に対する報酬がすべて合法的に管理され,株主に よって過大報酬と

して指摘せられた選択権の行使時差額が,そ の後利得として実現されること

なく,取得された株式はそのままデ ィーズに より所有されていたこと,お よ

び選択権が専ら経営者の刺激方策 として用いられたとい うことである。30年

代後半に利用せられた選択権の大部分は,財政的に困 窮してい る企業や破産

寸前の企業が,有能な人材を 誘引してそ の定着をはか り,経営者の能力と努

力が会社の株式市価を上昇させるような ,その ような 収益力のある会社に発

展させるために経営者を刺激するとい う,いわば会社 再建につい ての1 つめ

起死再生策として用いられたのである。換言すれば,当時 の選択権は,経営

者が将来 の企業業績 の回復や株価の上昇を期待して,いわば多 額の報酬の可

(5)

能性に投機的危険をかげた重要な手段でもあ ったとい うことができよ

たがって,この訴訟におけ る判決は,当時の不況期において利 用された選択

権の機能とその影響力をかな り重視して下されたものとい うことができるで

あろ う。

次に,同じく経営者の過大報酬を問題として少数株主に より提訴された訴

訟に,TheWarnerBrothersPictures

事件かおる。 経営者である3 人 の

ワーナー兄弟 の報酬は, 週給1 万ドルと 約1,200万ドルの価額に相当する会

社の株式9 万株の付与であ った。少数 株主は,かかる報酬は過大であ るとし

て1932年に提訴したが,1935 年にいたり,取締役会が原告の株主に和解プラ

ンを提示した。そのプランは諒承され,そしてワーナー兄弟は,そ の条件の

もとに10 万株の株式を 会社に返還し,さらに未払い報酬の うち680,177 下ル

を放棄した。しかし,原告は,1937年に再度提訴することになった。 この時

の理由は, ワーナー兄弟が会社から約600 万ドルの価額の普通株式5 万株を

報酬として付与された とい うものであった。

これに対して裁判所は,そ れは ワーナー兄弟の特別な サービスに対する相

応の報酬であ るとしてこれを支持し,次のように述べてい る。兄弟に よって

提供された個人的サービスお よび財政的援助の性格から みて,そめ報酬は過

大ではなく,そして会社資産の浪費に相当する額ではな かった。週給1 万 ド

ルは, 同社の他の経営者の給与と均衡がとれてい る。道義的問題として,か

かる給与には疑問かお るかも知れないが,取締役会は正当な報酬を支払 う権

能を有してい る,と。

この訴訟の特徴は,要するに,経営者の役務り 提供が報酬に対 して相当で

あったか否か,すなわち対価 とそ の相当性の問題について裁定された点であ

る。しかし裁判所は,相当性に関する報酬の適正額については,専ら取締役

会の行為を是認す ることに よって正当とみなし, 報酬が全く不当に多 額であ

るような極端な場合を除けば,独立した会社の代表機関の判断には何 ら干渉

しない とい う,従来の姿勢を固執したのであ る。

最後に, 報酬の合法性もしくは 正当性に関して提訴され た も の にTheLoew's

事件かお る。Loew's 社は, もともと ニューヨークのメトロポリタ

ン地域において劇場のチ ェーンを経営していた会社であ った。同社は,1920

年に劇場に対 して確実にフィル ムを 供給するソースとしてプ ロダクションの

(6)

利 用を 計 画 し, ノ い =1映 画 会 社 を 買 収 し て 製 作 部 門 を 拡 充 した 。 そ の 後 同 社 は,LouisB.Mayer 映 画 会 社 を 所 有 し 経 営 し て い たLouisB.Mayer,IruingThalberg お よびJ.RobertRubin の3 人0 メ ー ヤ ー・ グ ル ープ の 協 力 を 得 る こ とに な っ た 。1924 年4 月7 日 に 締 結 さ れた 業 務 お よ び 報 酬 に 関 す る契 約 は , メ ー ヤ ー映 画 会 社 力い ト ロ の た め に 製 作 ・ 監 督 を す る 必 要 上3 年 間 ス タ ジ オ施 設 を 譲 渡 し ,そ し て メ ト ロ映 画会 社 は , そ の 見 返 り と し て , バ ー ヤ ー ・ グ ル ー プに 週 給2,750 下 ルを 支 払 う と と もに , 一 定 の 必 要 経 費 を 支 弁 し, そ し て 製 作 さ れ た 映 画 か ら 得 た 純 利 益 の20 % に 相 当 す る 金 額 を 支 払 う と い う内 容 で あ った 。 こ の契 約 に も とづ く取 引 は 非 常 な 成 功 で あ っ た 。Loew's 社 の 利 益 は ,1926 年 に 倍 増 した 。 しか し そ の 後 , 報 酬 問 題 を め ぐ っ て 紛 争 が お き ,1927 年 に 再 度 契 約 が 結ば れ た 。 そ れ は , 週 給 に つ い て変 更 さ れ る こ と は な か っ た が , そ のほ か に ,配 当 準 備 金 を 含 め た 一 定 の 引 当 金 控 除 後 の 純 利 益 の うち , 最 初 の25 万 ド ル の20 % と,25 万 ド ル を 超 え た 場 合に は モ の 超 過 額 の1^ % 相 当 額を ノ ー ヤ ー ・ グ ル ー プに 対 し て 支 払 う とい う も の で あ っ た 。 こ の 報 酬 契 約 は , そ の 後1937 年4 月 まで 延 長 さ れ,1932 年 に は √ さ ら に1938 年12 月31 日 まで 延 長 さ れ た 。 と こ ろ が ,1932 年 の契 約 更 新 時 に , 新 た な 報 酬 と し て 選 択 権 の 交 付 が 取 決 め ら れ た 。 こ れ は , メ ーヤ ー ・ グル ー プ の長 い 間 の 要 求 の 結 果 受 入 れら れ た も の で ,交 付 株 式 数 は20 万 株 で あ っ た 。 そ れ は , 取 締 役 会 の決 議 に 続 い て 株主 総 会 に お い て も 承 認 さ れ た 。 さ ら に 同 社 は ,1937 年 に 社 長 と 選 択 権 契 約 を 結 び,48,492 株 の 交 付 を 決 定 した 。 こ の 契 約 は,1936 年11 月 の 取 締 役 会 で 決 定 さ れ, 同年12 月 に は 株 主 総 会 に お い て 承 認 さ れ て い る 。 そ し て , 他 の 経営 者 や プ ロ デ ュー サ ーに 対 し て も新 しい 報 酬 契 約 が 結 ば れ , 取 締 役 会 と 株 主総 会 に おい て そ れ ぞ れ承 認 さ れ てい る 。 株主 は , こ れ ら 一 連 の 報 酬 契 約 の 締 結 お よび 承 認 に 関 す る 諸 問 題 の解 明を 求 め て 告 訴 した 。 こ の 訴 訟 に つ い て の 判 決 は ,1939 年1 月 に ニ ュ ー ヨ ー ク最 高 裁 判 所 に お い て 判 事Valente に よっ て 言 渡 さ れた 。 裁 判 所 は , 会 社 の歴 史 , 報 酬 契 約 締 結 の 背 景 と そ の方 法 ・ 内 容 等 を 詳 細 に 審 理 し た うえ , と くに 次 の点 を 強 調 し た 。 す な わ ち , 同 社 の 取 締 役 会 は , 他 に 依 存 関 係 が な く独 立 し てお り , そ し て 利 害 関 係 もな く公 正 に 報 酬 問 題 を 処 理 した こ と, 経 営 者や

(7)

プロブ ユーサーは,相当の能力の保持者として容認されていた こと,および

株主は,報酬問題についてのすべての重要な事実を 明らかに された うえで,

圧倒的多数の議決を 七つ七承認したこと,などであ った。そして裁判所は,

取締役会 の行為を是認 し,事実上,報酬契約や給与は,会社資産の贈物でも

濫費でもなかったと結論した。

以上におい てわれわれは,1930年代後半におけ る若干の典型的訴訟につい

て検討した のであるが,それらは,総じて30年代初頭以 前の事件とは大分そ

の様相を 異にしており,経営者報酬の決定や管理は概して合法的であった。

そして,報酬に対 する経営者サービスの相当性につい て 乱 多 くの場合裁判

所によって是認せられたことを示 している。 もともと裁判所は,経営者の俸

給やその他の報酬をと りきめる問題で,第三者たる株主総会の過半数の判断

の余地を大幅に認 める傾向にあ り,第三者がその報酬を 承認すれば,それは

妥当なものとしてみなされ,それに異議をとなえる者は ,その根拠を立証し

なければならなかった。 また裁判所は,報酬がまったく不当に多額であるよ

うな極端な場合を除けば,通常会社 の独立した代表機関の判断や取締役の行

為に直接干渉することはなかった といってよい。

裁判所 のこのような基本姿勢は,当時の報酬問題の訴訟において一貫して

おり,それが原告たる株主 の法廷 闘争に極めて不利な影響を与えたことは否

めない であろ う。ことに,選択権問題に関す る訴訟が当時比較的 多 か っ た

のであ るが,選択権に関する情報についていえば,ボーナス制度とともに,

「株主に対する継続的情報は非常に貧 弱であり, そ してそれらの制度の 存在

は,レ £しば貸借対照表の脚注にわずかに表示された」 とい う程度にすぎな5

かった。したがって,選択権に関する訴訟は,当時 の不十分な会計表示や貧

弱な情報,あるい は選択権制度の複雑性などに よって, ボーナス制度のよう

な利益 処分 に よる報 酬

そ れ故 に 恣意的 な会 計操 作を 可 能に す る

とは

非常

また違って,原告の立証 能力に一定の制約が課せられ, 株主に とって,

に不利な法廷闘争を強いられたとい ってよいであろ う。

また,当時り 訴訟が,概して小粒 であり,訴訟件数が比較的少なかった理

由としては,30 年代前半におけ る法的諸規制が厳格に実 施されてい ること,

訴訟事件として最も多く取上げられている選択権制度の利用が,当時課税優

遇措置をまった く講じられず,また普通所得税の累進税 率が比較的低かった

(8)

こ と な ど を反 映 し て , 一 般 に 不 振 であ っ た こ と , お よ び 上 述 の裁 判 事 情 が 影 響 し て い る こ と な ど を あ げ る こ と が で き よ う。(2) 前 述 し た 事 件 は , 第2 次 大 戦 勃 発 以 前 に 発 生 し た も の で あ る が , こ こ で は , 戦 時 経 済 を 中 心 と す る1940 −1950 年 ま で の 訴 訟 を 扱 う こ とに す る 。 こ の 間り 訴 訟 は , 主 と し て 選 択 権 と 株 式 に よ る 報 酬 問 題 が 対 象 と な っ て い るが , こ れ ま で の 事 件 と 比 較 し て多 く の点 で 興 味 も重 要 性 も は る か に 少 な い もの と い え る 。 以 下 , 若 干 の 典 型 的 な 事 件 に つ い て 検討 す る こ と に し よ う。 まず , 経 営 者 の 過 大 報 酬 と 選 択 権 問 題 に つ い て , 株 主 よ り 告 訴 さ れ た 事 件 にTheu.s.RubberCompany の ヶ − ス か お る 。 同 社 は,30 年 代 前 半 の 不 況 か ら 漸 く 脱 出 し て 経 営 業 績 が 回 復 し た1937 年 に , 最 高 経 営 者 層 に 対 七 で 高 額 の 給 与 と 刺 激 報 酬 を 支 払 った 。 そ れ は ,7 人 の 経 営 者 に 総 額712,000 ド ルを 支 払 い ,さ ら に 社 長 のF.B.Davis,Jr., に 対 し て は,1936 年 と1937 年 に そ れ ぞ れ227,260 ド ル と323,239.92 ド ル を 支 払 い , そ の うえ 付 加 報 酬 と し て , 市 価20 ド ル の 株 式 を 相 当 数 選 択 権 と し て 交 性 し た 。し選 択 権 の 一 部 は ,1938 年 に1 株 当 り50 ド ル に 上 昇 し た 時 に 行 使 さ れ, 残 り は1940 年 ま で 延 長 さ れ た 。 裁 判 所 は , 高 額 な 現 金 報 酬 の 支 給 に 対 し て , そ の 合 理 性 と 相 当 性 を 是 認 した が , 刺 激 報 酬 に つ い て は , 不 当 な 会 計 操 作 上 の 問 題 を 指 摘 し た 。 し か しそ れ は , の ち に 和 解 に よ り 処 理 さ れ た 。 同 じ く 過 大 報 酬 の 取 得 を 問 題 と し て 提 訴 さ れ た 事 件 にTheRepublicSteel の ヶ − ス か お る 。 そ れ は , 取 締 役 会 会 長 で あ り 社 長 で あ っ たTomGirdler が ,1932 年 に17,187 ドル の 給 与 を 支 給 さ れ て い た に も拘 ら ず ,8 年 後 の1940 年 に は , 約10 倍 の176,000 ド ル と い う 高 額 な 給 与 と51,000 ド ル の 付 加 報 酬 を 支 払 わ れ て い た とい う問 題 で あ っ た 。 裁 判 所 は , 会 社 の 発 展 が 直 接 社 長 の 経 営 手 腕 に 負 う所 が 大 き か っ た こ とを 重 視 し , か つ 社 長 の 役 務 価 値 の 評 価 お よび 報 酬 の 決 定 に 関 す る 取 締 役 会 の審 議 や 議 決 に つ い て , 社 長 は 全 く 参 加 し て い な か っ た と い う こ とを 強 調 し, 専 ら 報 酬 の 合 法 性 と 相 当 性 の 観 点 か ら 社 長 の 報 酬 を 是 認 す る 判 決 を 下 した の で あ る。 次に , 選 択 権 の 目 的 や 機 能 と の関 連 で 少数 株 主 に よ り 告 訴 右れ た も のに ,TheRemingtonRand 事 件 とTheEdwardG.BuddManufacturing

(9)

Company

事件とがあ る。前者の事件は,選択権と雇傭契約との関係が問題

とせられ,後者の事件は,選択権と雇用の継皆 既との関連が問題となった。

前者の訴訟は,会社がJ.H.Rand

と他の経営者に選択権を交付したこと

に対 して,少数株主 より,それは恣意的かつ不当な付与であ るとして告訴さ

れた事件であ る。 まず,Rand

は, 会社が毎年300万ドルの割合で損失を出

していた1932年に,1 株当り市価1.50ドルの株式を行使価格10ドルで10万株

の選択権を交付され,そして彼は その後選択権を行使した後,1937 年に会社

の純利益が350万ドルに達した時に1 株当り28.50ドルで 株式を処分し,莫大

な利得を得たといわれる。 また他の経営者は,1936年に選択権を交付された

のであるが,その条件は,1944年5 月1 日以前に,行使価格25∼43 ドルの価

格帯で15万株を行使できるとい うものであった。ちなみに,1937 年 の株式市

価は15 ドルであ ったとい う。

それらの選択権は,いずれも経営者に対する側 激方策として交付された も

のであったが,ランドの場合には ,それが正式の雇傭契約の一部として定め

られていたことが判明したため,この訴訟行為は去U下された。その他の経営

者に対する選択権は,事実上,行使価格と株式 市価との格差 が 大 き く,ま

た,株式利得に対する超過利潤課税や戦時経済体制の影響に よって,実体の

ない単なる会社との一体化方策 としての色彩が濃くなり,会社に対す る損失

が全くなかったことを理由として却下された。

また,後者の訴訟では,取締役会の任意の決定に よって交付された選択権

の行使条件の問題が取上げ られた。この選択権は √交付 より行使時にいたる

選択権期間が5 年であ り,行使価 格は,交付時 株式市価 の125 %であ った。

そして問題は,基幹従業 員が選択権期間中に退職した場 合に おいても行使可

能であ り,事実上,選択権目的とは 異なって,勤続とは無関係に実施された

とい う点てある。 少数株主 の提訴に より,この選択権の条件は次のように修

正された。選択権の行使は,少な くとも交付後1 年間の勤続を必要とし,か

つ 選択権者が勤続中であ ることを要件とせられた。そして,選択権の譲渡は6

原則として禁止されることに たった。

最後に,選択権者の過大利得に関する訴訟として,TheTwentiethCen-tury-Fox

事件があげられる。少数 株主の, 告訴の理由は,c.p.Skouras

と他の経営者八

利潤分配制度のもとで過大 報酬を支給 されたこ と に 加 え

(10)

て , 同 社 の 子 会 社 で あ るNationalTheatres 社 のB 組 株 式 を 不 適 当 な 価 格 で 交 付 さ れ た ご と , 同 社 は そ の 後 , 経 営 者 が 他 の方 法 でTransamerica 社 に そ の 株 式 を 売 渡 し た と い うこ とを 口実 に し て , そ の 株 式 を 買 戻 し た とい う こ と, そ し て そ の こ とに よ っ て , 経 営 者 は , 全 部 で68 万 ド ル の 資 本 利 得 を 得 た とい うこ と , こ れ に 対 し て 会 社 は , 報 酬 と し て の 適 正 な 考 量 を せ ず , 経 営 者 の過 大 な 資 本 利 得 を 放 置 し て 不 当 な 報 酬 を 得 さ せ , 同 時 に 会 社 に 対 し て不 当 な損 害 を 与 え た と い う こ と , な ど の 諸 点 で あ っ た 。 しか し , こ の 事 件 は , 裁 判 所 の 判 決 が 下 さ れ る 以 前 に 和 解 に よ っ て 解 決 さ れ た 。 そ れ は , 経 営 者 に 対 す る 利 潤 参 加 の程 度 を 減 少 さ せ る と と もに ,1946 年 と1947 年 の2 年 間 , 利 潤 参 加 を 放 棄 さ せ る こ と , お よび 会 社 が , 経 営 者 が 選 択権 の 行 使 に よ っ て 得 た 株式 を , 行 使時 の 市 価 以 下 の 価 格 で 買 戻 す と い う も ので あ っ た 。 以 上 に お い て わ れ わ れ は,1940 年 代 の 典 型 的 な 事 件 に つ い て 検 討 し た の で あ るが , 選 択 権 問 題 に 関 す る 事 件 が 比 較 的 多 く, し か 乱 主 と し て 選 択 権 の 行 使条 件に か か お る 問 題 や 過 大 報 酬 の問 題 が 種 々 の 態 様 の も と で 取 上 げ ら れ た 。 し か し ,30 年 代 初 期 に み ら れ た よ うに , 会 社 が 経営 者 報 酬 問 題 に つ い て 極 端 に 隠 蔽 し た り , ま た , 経 営 者 が 独 自に 恣 意 的 な 巨 額 な 報 酬 を 取 得 す る と い う異 常 な 地 位 の 乱 用 や 背 信 行 為 が み ら れ ず , さ ら に , 株 主 も 頑 強 に 法廷 闘 争 を 固 執す る と い う傾 向 は み ら れ ず , 概 し て相 互 の相 克 は 低 調 に 推 移 した と い うこ とが で き よ う。 そ れ は ,40 年 代 の アy リ カ 経 済 が 戦 時 経 済を 軸 と し て 運 営 せ ら れ , 企 業 も軍 需 生 産 を 中 心 と し て 成 長 し た ご と を 背 景 と し て , 経 営 者 報酬 に 対 す る 諸 規 制 は 厳 し く, 戦 後 に お い て も 報 酬 水 準 が 一 般 に 停 滞 した7) と い う国 内 状 勢 に 大 き く 影 響 さ れ た こ とに よ る も の と思 わ れ る 。(3) 経 営 者 報 酬 に 対 す る1950 年 以 降 の 訴 訟 は,1940 年 代 の そ れ と 同 様 , 主 と し て 選 択 権 問 題 に 関 す る も の で あ っ た 。 し か し , 訴 訟 の件 数 や 規 模 は,40 年 代 の そ れを は る か に 凌 駕 す る も の で あ っ た 。 そ れ は,1950 年 に 内 国 歳 入 法 の 一 部 改 正 と し て 立 法 化 さ れ た 選 択 権 法 の 制 定 に よ っ て ,そ れ ま で 比 較 的 低 調Tで あ った 選 択 権 の 利 用 が 急 速 に 増 加 し た こ と と か な り 密接 な 関 連 が あ っ た よ う8) に 思 わ れ る 。 選 択 権 問 題 に つ い て 逸 早 く 挑 戦 した 株 主 達 は , お よそ 次 の よ うな 論 点 を 強

(11)

調 した。 す なわ ち,選 択 権制 度は ,本質 的 に経営 者 の サ ービ スに対 す る報酬

では な く,会 社財 産 の贈与 であ り,そ れ ゆえ 自社 株 の付与 は ,社 外 株主 の持

分を 稀薄化 す る とい うこ と,お よび選択 権に よる経営 者 の利 益は ,行 使さ れ

るべ き サ ービ スの正当 な価 値を 超 過 し,いわ ゆ る正当 性 と相 当性を 欠い てい9

るとい うものであ った。

しか し,裁 判所は , 選択 権利 得に 関 して ,少な くと も選択 権 の交 付時に お

い て 貨幣 価値(dollar-and-centsvalue

)を もっ て選択 権 自体を 評価 す ることは

できない と明言 し, 選択 権 の行 使以 前 と以 後 の未実現利 益 に関 し て 乱

報酬

問 題 とし ての審理 の対 象 から 除外 した。た とえば ,数件 の訴訟 におい て裁 判

所 は, 未行 使 の選択 権に おけ る予 想利 益に対 して ,報酬 の正 当 性に 関す る問

題 と して取扱 わな か った し, また, 数 件 の訴訟 におい ては ,選 択権り 全部 も

し くは一 部が 行使 さ れ,株 式 市価 の上 昇に よって資 本利 得を 得 る機 会 が増大

し, 選択 権者 の実現 可 能な利 益 が測 定 でき るに も拘 らず , 株式 が再売 さ れて

い たい こ とを理 由に 報酬 の正 当 性や 相 当性に 関 す る論 議 を行 な わな か った 。

また, 選択 権に よって実 現 せらし

れた利 得 に関 す る株主 持分 の稀 薄 化や 相当 性

の問題に つい ては ,概 し て合法 的 に決 定 さ れ運 用せ られ た制 度を 妥当 とみな

し,極端 な 過大利 得以 外 は取 締役 会 の行為を ほ とんど 是認 し,原 告 の訴えた

事実 関 係に 対 しては, 厳 し くそ9 根 拠 の立証を 求 めた のであ る。

こ の ような,1950 年 代に おけ る訴訟 の一 般的 傾 向は , 選択 権制度を め ぐ っ

てかな り多 くの企業に つい て展 開さ れた 。 以下 ,モ0 典 型的 な 若干 の事 件に

つ い て検討 してみ よう。;j

選 択権 制度 の決定 や管 理に 関 す る正当 性 の問題 につ い て争 わ れた 訴訟 とし

ては , まず,TheHeydenChemical

事 件があ げ られ よう。ヘ イ デ ン化 学会

社は ,有 機化 学 と抗生 物質 につ い て すでに 定 評あ る製 品を 製造 してい る会社

で,!950 年現 在 の資産 は2,800 万 ドル ,総売 上 高は2,600 万 ドル 以上 であ っ

た 。 同社 は,1950 年 の税法に より認 め ら れた 制 限的 選 択 権の採 用を1950 年 に

決定 し, 取 締役を含 む7 人 の会 社 役員 に, 合計24,500 株を買 入 れ る選択 権を

交 付 した 。選 択権 の行 使条 件は ,行 使 価 格が選 択 権交 付時 の 株式 市 価 の95%

以 上 であ り, 選択 権期 間は,7 年 以 内 であ った 。 また , 選択権 の譲 渡は ,選

択 権者 の死亡 に より,そ の遺 産 相続人 が 死亡時 より3 ヵ 月以 内に そ の選 択権

を 行 使す る ことが でき る場 合を 除 き,不 可 能であ った 。 さ らに に 選 択 権 者

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が √定 年 退 職 , 労 働 不 能 に よ る 退 職 , も し くは 取 締 役 会 の承 認 の も と で退 職 す る場 合 に は , 退 職 後3 ヵ 月 以 内 に 選 択 権 を 行 使 す る こ とは 可 能 で あ るが , そ れ以 外 は 原 則 と し て 選 択 権 者 の 勤 続 期 間 中 に 限 り 行 使 す る こ と が 可 能 で あ った 。 そ し て 選 択 権 者 は , 選 択 権 の 最 初 の 行 使 に つ い て,1952 年L 月1 日 ま で勤 続 す る こ とを 求 め ら れた 。 こ の 選 択 権 は , 満 場 一 致 で は な か っ た も の の ,大 多 数 の 株 主 に よっ て 承 認 さ れ た 後 実 施 さ れ た 。 しか し , 同 社 お よび そ の 子 会 社 の利 害 関 係 者 は , 選 択 権 は , 大 部 分 が 取 締 役 であ る選 択 権 者 が 彼 等 自 身 に 対 し て与 え た 特 典 で も 仏 し か も そ れ は ,正 当 な 報 酬 の 限 界を 超 え て 不 当 な 会 社 資 産 の浪 費 に 相 当 し て い る と し て 提 訴 し た の であ る 。 こ の 事 件 は , 最 初 , 予 審 裁 判 所 (trialcourt )に お い て 略 式 裁 判 を うけ た の で あ る が , デ ラ ウ ェ ア最 高裁 判 所 は そ れ に 反 対 し , 次 の よ うな 見 解 を 明 ら か に した 。 原 告 は , た と え 明 白 な 根 拠 や 証 拠 が な い 場 合 に お い て 乱 そ の 主 張 の 真 実 を 証 明 す る 機 会 が 与 え ら れ, また 被 告 は , 選 択 権 取 引 の 事 実 や 真 実 性 を 公 明 正 大 に 立 証 す る 義 務 を 有 し てい る 。 し か しな が ら , 正 し い 企業 裁 判 の ル ー ル は , 取 締 役 の 大 部 分 が 会 社 資 産 か ら 彼 等 自 身 に 対 し て 利 益 を付 与 し た と い う問 題 に つ い てレ モ れ が 著 し く 過 大 であ る場 合を 除 き , 裁 判 所 が 最 終 的 に 解 決 す る こ とは で き な い , と 。 事 件 は ,そ の 後 衡 平 法 裁 判 所 に お い て 審 理 さ れ た 。副 裁 判 長(ViceChancel-lor )ぱ , 会 社 が 契 約 し た 選 択 権 の対 価 は , 事 実 上 , 選 択 権 者 が 将 来 の 一 定 期 間 会社 に 勤 続 す る こ と を 義 務 と し て 承 認 し てい た と い うこ とを 認 め , 士だ 会 社 は , 選 択 権 利 得 が 資 本 利 得 税 率 で 課 税 さ れ る こ と に よ り √ 選 択 権 者 が , 通 常 の給 与 や ボ ー ナ ス 給 を 支 払 わ れ た よ り 乱 よ り多 く の 課 税 節 約 的 利 益 を 取 得 し , 会 社 の 発 展 の た め に 一 層 の 努 力 を 刺 激 す る と い う 選 択 権 固 有 の利 益 を 享 受 し て い た こ と を 認 め た 。 さ ら に , 副 裁 判 長 は , 選 択 権 自 体 の正 当 性 に つ い て, 選 択 権 期 間 の 長 さ , 社 外 株 全 体 に 占 め る 選 択 権 株 式 の 割 合 , 株 式 市 価 に 対 す る 行 使 価 格 の 比 率 , 選 択 権 者 の 責 任 お よび 株 主 総 会 に お け る圧 倒 的 な 承 認 の 決 議 な ど の , 選 択 権 の 設 定 , 管 理 運 用 等 の 状 況 か ら み て , す べ て が 合 法 的 か つ 妥 当 な も の であ る こ とを 認 め , さ ら に 次 の ご と を 付 言 し た 。 す な わ ち , 原 告 は √ 選 択 権 の 価 値 を 含 め た 各 選 択 権 者 の 総 報 酬 を , 同 様 の 地 位 に あ る経 営 者 の 報 酬 と 比 較 し て , そ れ が 不 当 な も の で あ る と い う こ と を 立 証 す る 責 任 が あ る に も 拘 ら ず , そ の 立 証 責 任 は 原 告 に よっ て 十 分 果 さ れ な か った し

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と , お よ び 裁 判 所 は , 各 選 択 権 者 の 報 酬 が , 会 社 資 産 の 濫 費 に 相 当 す る よ う な 過 大 な も の と し て 認 め る こ と は で き な か っ た こ と , な ど で あ っ た 。 そ の 後 の 上 告 審 に お い て 乱 こ れ ら の 判 決 は す べ て 支 持 さ れ た 。 以 上 , こ の 事 件 の 概 要 に つ い て 検 討 し た の で あ る が , と く に 注 目 す べ き 点 を 要 約 す る と 次 の と お り で あ る 。 ま ず , 同 社 が 採 用 し た 選 択 権 は 法 定 制 度 で あ る こ と か ら , 裁 判 所 は , 選 択 権 の 決 定 や 管 理 に つ い て , 法 定 の 諸 要 件 を 守 り 公 正 に 運 用 し て い る か 否 か を 検 証 し て , ま ず そ の 合 法 性 を 重 視 し て い る こ と で あ る 。 次 に 裁 判 所 は , 企 業 裁 判 の ル ー ル の 慣 行 か ら , 選 択 権 者 が 取 締 役 自 身 で あ っ て 乱 取 締 役 の 不 正 や 背 信 行 為 な ど に つ い て 明 白 な 証 拠 が な い 限 り , 取 締 役 会 の 判 断 に 干 渉 す る こ と は 。な く , し た が っ て 報 酬 に つ い て の 取 締 役 の 自 己 決 定 を 是 認 し て い る こ と で あ る 。 さ ら に , 経 営 者 報 酬 の 限 界 額 な い し は 適 正 額 に 関 す る 評 価 に つ い て は √ 裁 判 所 は , 取 締 役 会 の 判 断 に 依 存 し て 積 極 的 に 独 白 に 裁 定 す る こ と を 避 け て い る よ う に 思 わ れ る こ と で あ る 。 以 上 の こ と は ,1930 年 代 初 期 の ボ ー ナ ス 給 を 中 心 と し た 訴 訟 に お い て も す で に み ら れ た と こ ろ で あ る が , こ の 傾 向 は,20 年 後 の 事 件 に お い て も 依 然 と し て 貫 か れ て い る の で あ る ○ ・‘ 。 。 ψ 次 に , 同 じ く 制 限 的 選 択 権 の 利 用 に 関 し て , 少 数 株 主 に よ っ て 挑 戦 さ れ た 訴 訟 に,TheJerseyStandard011 事 件 か お る 。 こ の 石 油 会 社 の 選 択 権 は , す べ て の 被 傭 取 締 役 , 役 員 お よ び 取 締 役 会 で 指 命 し た 他 の 経 営 者 , 合 計80 人 に 対 し て 交 付 さ れ た 。 選 択 権 に 服 す る 株 式 の 総 数 は ,60 万 株 で あ っ た 力し そ の う ち の3 分 の1 は 全 取 締 役 に 割 当 て ら れ た 。 し か し , 選 択 権 の 年 間 交 付 株 式 総 数 は6 万 株 に 限 定 さ れ た 。 そ し て , 各 取 締 役 に 割 当 て ら れ た 株 式 総 数 は ,24,000 株 以 下 で あ り , 年 間 株 式 総 数 の 限 度 は8,000 株 で あ っ た 。 選 択 権 の 対 価 は, 選 択 権 交 付 後1 年 間 の 勤 続 を 要 件 と し て 定 め ら れ, 行 使 価 格 は , 選 択 権 交 付 時 の 公 正 な 株 式 市 価 の95 % 以 上 で あ っ た 。 す べ て の 選 択 権 の 権 利 は , 取 締 役 会 の 別 段 の 決 定 が な い 限 り ,1961 年12 月31 日 で 消 滅 す る こ と が 定 め ら れ た 。 選 択 権 期 間 中 に 選 択 権 者 が 死 亡 し た 場 合 に は , そ の 遺 産 祖 続 人 が , 彼 の 死 後1 年 以 内 に 選 択 権 を 行 使 す る こ と が 可 能 で あ り , ま た , モ の 他 の 退 職 の 場 合 把 は , 退 職 後3 ヵ 月 以 内 に 選 択 権 の 行 使 が 可 能 で あ っ た 。 同 社 の 選 択 権 制 度 の 採 用 は , 以 上 の 要 件 の も と で 取 締 役 会 に お い て 決 定 さ れ , 次 い で 株 主 総 会 で 議 決 さ れ た 後 ,1951 年 に 実 施 さ れ た 。

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選 択 権 は,1951 年 に , 行 使 価 格57.06 ド ル で 合 計163,800 株 が 全 選 択 権 者 に 交 付 さ れ た 。 会 社 は , こ れ ら の 選 択 権 の 行 使 に 応 ず る た め に ,1 株 当 り67.13 白レの 価 格 で 自社 株 を 市 場 か ら 買 入 れ た 。 少 数 株 主 は , こ の 選 択 権 の 利 用 は 不 法 で あ り, か つ 会 社 資 産 の 浪 費 で あ る と し て , ニ ュ ージ ャ ー ジ ー州 の上 級 裁 判 所 に 提 訴 した 。 裁 判 所 は , まず 選 択 権 の 不 法 問 題 に つ い て , 選 択 権 は 選 択 権 者 の1 年 間 の 勤 続 後 ま で 行 使 さ れ てい な か っ た こ と , 将 来 の 選 択 権 の交 付 と 行 使 は , 選 択 権 者 の 継 続 的 サ ー ビ スに 依 存 し て 行 わ れ て い る こ と , こ の 制 度 は , 株主 総 会 の承 認 の も と で 実 施 せ ら れ た こ と, な ど に 言 及 し た 後 , こ の 選 択 権 制 度 は , ニ ュー ジ ャ ージ ー州 の 法 律 の も とで は 有 効 で あ る とい う判 断 を 示 し た の で あ る。 ま た , 選 択 権 が 会 社 資 産 の浪 費 で あ る か 否 か の問 題 に つ い て は , 選 択 権 者 の サ ービ ス が 選 択 権 に よ っ て 得 ら れ る利 益 に 対 し て 正 当 な 関 連 が あ るか 否 か , 選 択 権 に よる 利 得 が 提 供 さ れ た 役 務 に 対 し て 過 大 であ る か 否 か に つ い て 審 理 した 。 し か し , 原 告 は , 経 営 者 の サ ー ビ ス価 値 に つ い て ど の よ うな 確 定 証 拠 も 提 供 す る こ とは で き な か っ た し , また , 選 択 権 の 行 使 に よ り 発 生 し た か も知 れ な い 利 得を も 含 め た 経 営 者 の 報 酬 が , 彼 等 の サ ービ ス 価 値 に 対 し て 不 均 衡 であ る と い う, い か な る 立 証 も 行 わ な か っ た 。 そ の うえ , 同 業 他 社 , 同 規 模 の会 社 , も し く は 社 内 に お い て 比 較 的 被 告 と 類 似 し た 地 位 に あ る 経 営 者 の 報 酬 も 明 ら か で は な か った 。 こ れ に 対 し て , 被 告 側 の 証 人 は , 適 当 な 給 与 と報 酬 に よ っ て 経 営 者 の 留 保 とそ の サ ー ビ スを 確 保 す る こ と が 会 社 に と っ て 極 め て重 要 で あ る こ とを 強 調 した 。 裁 判 所 は , 結 局 こ の 問 題 に つ い て √ 選 択 権利 得 が 未 実 現 の 状 態 の も と で は な ん ら 裁 定 す る こ と は で き な い とい う判 断 を 示 した の で あ る 。 そ し て 裁 判 所 は , さ ら に , こ の 判 決 は1951 年 に 交 付 さ れ た 選 択 権 に 限 定 さ れ る も の で あ り, 将 来 の 選 択 権 交 付 に 関 し て は , 法 律上 の諸 要 件 を 遵 守 す る か 否 か に 依 存 す る 問 題 で あ る と付 言 した 。 以 上 で こ の 事 件 の 概 要 を 考 察 し て き た の で あ る が , と くに 注 目 す べ き 点 を あ げ る と , た と え 選 択 権 が 交 付 さ れ た と し て 乱 将 来 の 選 択 権 者 の サ ービ ス 価 値 と選 択 権 利 得 と の 等 価 関 係 が 未 確 認 で あ る場 合 に は , 裁 判 所 は , 事 実 関 係 以外 の そ れ ら の 問 題 に つ い て 審 理 の 対 象 と は せ ず , も っ ぱ ら 取 締 役 の 行 為 を 是認 し て い る こ と で あ る 。 さ らに , 選 択 権 制 度 の 不 正 , 虚 偽 お よ び 制 定 法 違 反 を 理 由 に , 少 数 株主 か

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らそ の利 用 の 禁 止を 求 めてお こさ れた 訴訟 にThec.I.T.

事件 かお る。Thec

,I.T .金融 会社 は, 数 百の支 店を もつ 信用 サ ー ビス の大規 模企業 七

あ る。1950 年 の 選択 権法 の制定 後, 同社 は, 制 限的 選択 権の採 用を 決定 し,

大多 数 の 株主 に よって承認 され た。 こ の制 度に 関す る要 件を 要 約す ると次 の

とお りであ るよ(1)

選 択権 者 の資 格は,取 締役 と正 規 の被傭 従業 員 であ り, また, 選択権に

服す る株式 に は,授 権未 発行 株式 全 体 の4.2 %に あ た る15 万 株があ てられ,5

年 以 内に 発 行 される とい うもの であ った。(2)行使 価格 は, 選択 権交付時 の

公正 な 株式 市価 の95 %以上 であ り ,かつ 行使 に 際 しては ,す べ て現金に より

支払 われ るこ と が必 要であ った。 会 社は ,直 接 的に も間 接 的に 乱

選択権 者

に対 す る行 使 資 金の貸付を 禁 止した。(3)選択 権 は, 選択 権者 の勤 続中 もしく

は 退 職後3 ヵ 月以 内に被 授与 者に よっ て行 使さ れ, 選択 権者 が死亡 した場合

に は ,死後1 年 以 内に指 定さ れた 遺言 執行 者に よって行 使さ れ るこ とは可 能

であ るが, そ れ らの場合を 除い て選択 権 の譲 渡は不 可能 であ った。 そ して,

選択 権 期間は5 年以 内に 限定 され た。(4)選択 権者 は, 選 択権 交付 日 より2 年

間継 続 して会 社に 勤務す ることを 承諾 しなけ れば なら な か った。(5)各 選択 権

者は ,1 万 株以 上の選択 権 株式 を 得 るこ とは でき な かっ た。 ㈲選 択 権 は,

非 選択 権者であ る取締 役で構 成 された 委員 会に より管理 さ れた。 こ の委員会

は, 選択 権 者の 適格性や 人数 , 選択権 の交 付 期 日, 選択 権に 服す る 株式数等

を 決定 した。 またこ の委員 会は , 選択 権 者 の選考に あ た っ て, 被傭 者の勤務

状 態, 会社 の業 績に対 す る顕在 的お よび 潜在 的貢 献 度, お よび 他の 適当と考

え られ る諸 フ ァクタ ーを 考慮 した。

少数 株主 は, デ ラウ ェア衡平 法裁 判所 に対 し て, 選択 権制 度の利 用を 差 止

めるた めに 提 訴した。 し かし, 裁判所 は , この 制度 の正 当 性を支 持 し,求 め

ら れた 差 止請 求を 拒 否し た。 裁 判長 は, 判決 に おい て, 原 告に よって主張さ

れた 選択 権の利 用に 関す る不正 や虚 偽 の事実 お よび デ ラ ウ ェア州 の制定法違

反 の陳 述に対 して, お よそ 次 の よ うに 述 べ でい る。

原 告は, 選択 権 の対 価を 不当 な もの と しな がら 乱

そ れについ て の立証 は

し てい ない。 しかし ,そ れに つい ては 明ら かに 詐欺 の証 拠 はない 。 選択 権者

が, 選 択権交 付時 より少な く とも2 年 間 継続 し て勤 務す るとい う要 件は, 選

択 権に 対 す る十 分な対価 を構 成 してい る。 また原 告 は, 経営 者に よって 提供

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さ れ る 役 務 に 対 し て , す べ て 予 め 評 価 す る こ と の で き な い 選 択 権 と そ の 報 酬 価 値 に つ い て 周 知 し て い る 会 社 の 誠 意 あ る 経 営 上 の判 断 以 上 に , 通 常 ,い か に よ り良 く報 奨 で き る か と い う こ と に つ い て 十 分 提示 す る こ と は で き な か っ た 。 も ち ろ ん ,(1)授 権 さ れ , も し く は 発 行 さ れ た 全 株 式 数 と の 関 連 で , 選 択 権 に 服 す る 株 式 数 が 著 し く多 い 場 合 ,(2)選 択 権 の交 付 時 の 株 価 と 行 使 価 格 と の 格 差 が 非 常 に 大 き い 場 合 ,(3)将 来 の急 激 な 株 価 の上 昇 に つ い て , 何 ら か の 異 常 な 性 質 の 内 部 情 報 を 利 用 し た 場 合 ,(4)他 の 異 常 な 状 況 が あ る場 合 , 等 に お い て は , 裁 判 所 は , 明 確 な 裁 定 を 下 す こ とが で き る 。 し か し , そ の よ うな 事 実 の立 証 は , 記 録 上 , 原 告 に よ っ てな さ れ て は い な い 。 原 告 の 行 っ た 陳 述 の 多 くは , 実 は 選 択 権 付 与 の 目 的 や 方 法 と は か な り 隔 絶 した も の で あ る 。 わ れ わ れ の法 律 上 の 見 解 と し ては , か か る 選 択 権 の 合 法 的 な 利 用 問 題 に つ い て 提 訴 さ れ た 場 合 , そ れ が 適 切 な 審 理 の対 象 とは な り が た く , また , 選 択 権 自 体 の 制度 的 問 題 に つ い て の 審 理 を 求 め ら れ る な ら ば , そ れ は もは や 裁 判 所 の 問 題 では な く立 法 府 の 問 題 に 帰 属 す る 。 以 上 の 裁 判 長 の 見 解 は , 原 告り 立 証 責 任 の重 要 性 を 強 調 す る と と もに , 取 締 役 会 の 権 能 の も と で 運 用 さ れ る 選 択 権 の合 法 性 に つ い て , か な り 明 白 な 判 断 を 示 して い る も の と 思 わ れ る。 最後 に , 選 択 権 制 度 と 株式 購 入 制 度 とに 関 す る 訴 訟 と し て,TheCandORailway 事 件 を あ げ る こ と が で き る 。ChesapeakeandOhio 鉄 道 会 社 は ,1951 年 に 制 限 的 選 択 権 を 採 用 し, 株 主 総 会 の承 認 を へ て 会 社 の 役 員 達 に 交 付 し た。 しか し , 少 数 株 主 は , こ の 選 択 権 が 会 社 資 産 の濫 費 に 相 当 し てい る と し て ,1954 年 に イ リ ノイ 州 北 部 地 方 の ア メ リ カ 地 方 裁 判 所 に 提 訴 し た 。 提 訴 さ れた 時 点 で , 選 択 権 の 行 使 株 式 数 , そ の利 益 額 , も し く は 株 価 の上 昇 に よ っ て 見 積 ら れ る 予 想 利 益 等 に つ い て 明 ら か に は さ れ な か っ た が , 裁 判 所 は , 同 社 の 選 択 権 は , 行 使 可 能 で あ っ た4 年 以 上 の 期 間 に わ た っ て , 会 社 の業 績 向 上 を 選 択 権 者 の 絶 対 条 件 と し て い た こ と , お よび 選 択 権 者 は , そ の 期 間 会 社 に 継 続 し て 勤 務 す る こ と が 求 め ら れ てい た こ と な ど の 事 実 を 確 認 し, 次 の よ うな 判 決 を 下 した 。 同 社 の 選 択 権 は , 法 律 上 の 問 題 と し て , 相 当 か つ 十 分 な 対 価に よ っ て 維 持 さ れ て お り , し た が っ て そ の利 用 は , 会 社 資 産 の 贈与 で は な く, 濫 費 に も 相 当 す る も の で は な い , と 。 し か し , 選 択 権 利 得 の 報 酬 と

(17)

しての合理性や正当性については,裁判所は全く審理するこ とはなかった。

さらに,裁判所は, この訴訟と並行して, 同社の社長W.J.Tuohy

対する報酬 とその対価間題を審理した。会社は,1948年7 月1 日に,社長と

二つの契 約を結んだ。一つは,5 年間に 毎年55,000ドルの給与を支払 う雇傭

契約であ り,他の一つは,株式購入契約であ る。社長は ,後者0 契約のもと

で,1

株37,375ドルの普通株式1 万 株を 会社から購入 しレ 買入価額373,750

ドルの分 割払いの約束手形を発行した。 それは,!O 回の分割払いで あった

が,買入れた株式は,すべて約束手形の保 証 として担保にとら れ た。 し か

し,社長は,それらの株式の配当請求権や議決権を与えられ,すでに支払い

済の株式 の抵当権については抹消す ることを許された。 この株式 購 入 契 約

は,1949

年 の定期株主総会におい て承認された。1953 年2 月18日に, 会社

は,社長がさらに1954年12 月31日まで延長して勤務す ることに対する返報と

して,好意ある種々の考慮をした うえ,雇傭契約を更新 した。

新しい契 約のもとでの株式購入制度の対 価要件は,お よそ次のようなもの

であった。(1)死亡 または精神的・肉体的不能の場合に限らず,約束手形の支

払い不能の場合には,会社が,会社に よって担保として保有されてい る株式

を ,初めの購入価格で彼より提供される権利,(2)彼の退 職まで,または5 年

間彼の約束手形の支払 日を延長する権利,(3)彼の勤続中は,約束手形を譲渡

し,もしくは換金しない とい う契約,等を会社が保持す ることであった。

裁判所は,上述の契約や対価要件を是認し,そして報酬に対する相当性に

つい ては,社長の能力 と努力が,支払われた報酬に相当しないとい う証拠は

記録上からも明白ではないとして,相当性を欠い てい るとい う原告の主張を

否認 した。この事件は,要するに選択権に対する経営者の対価とその相当性

について争われた ものであった。選択権と株式購入制度は,何れも報酬に対

する対価とそ の相当性を欠く場合には,株式会社の資産である株主持分の部

分的贈与を構成することになる。しかし株主 のかかる危惧に対す る裁判所の

姿勢は, もっぱらその対価を重視し,相当性の問題については,原則として

会社の代表機関である取締役会の判断を妥当な ものと みなし,ついに積極的

に審理の対象とすることはなかった よう に思われる。

十(4)

以 上におい てわれわれは,1930 年代後半 より1950年代にいた る代表的な訴

(18)

訟 事 件 に つ い て 考 察 し て き た 。1930 年 代 後 半 の 事 件 は , 概 し て ,そ の 件数 , 規 模 と も に と くに 際 立 っ た 展 開 は み ら れ な か っ た 。 そ の主 た る 理 由 は , ま ず ,30 年 代 初 期 に お い て 経 営 者 報 酬 に 対 す る法 的 諸 規 制 の 強 化 や 行 政 機 関 に よ る 積 極 的 介 入 な ど が 行 わ れ , お 手 盛 決 定 に よ る 報 酬 の 恣 意 性 や 不 当 性 が つ よ く規 制 さ れ て き た こ と , 経 営 者 報 酬 に 対 す る 普 通 所 得 税 の イ ン パ ク ト が 当 時 かな り 弱 か っ た こ と か ら , 経 営 者 の実 質 所 得 を 増 大 す る た め に 報 酬 を 多 様 化 し , 課 税 節 約 的 方 策 を 求 め て 恣 意 的 も し く は 非 合 法 的 な 報 奨 を 意 図 す る と い う行 為 が 一 般 に 激 減 し て き た こ と, さ ら に , 訴 訟 の 主 要 な 対 象 で あ っ た 選 択 権 制 度 が , そ れ 自 体 非 常 に 複雑 で 株 主 に 対 す る 情 報 もか な り 貧 弱 であ っ た こ とや , こ の 制 度 の利 用 が 比 較 的 低 調 で あ っ た こ と な ど が 考 え ら れ る 。 また ,1940 年 代 の 事 件 は ,30 年 代 の モ れ と 比 較 し て , 一 般 に 質 的 に も量 的 に も か な り 重 要 性 の 低い も の であ っ た 。 そ れ は , 戦 時 経 済を 中 心 と し た 経 済 統 制 が 経 営 者 報 酬 に も 波 及 し, 報 酬 に 対 す る教 制 令 は1946 年 まで 解 除 さ れ な か っ た こ と , お よび 選 択 権 制 度 の 利 用 が40 年 代 後 半 に い た っ て 漸 く 逓 増 し た も の の, 平 均 的 に は 非 常 に 低 調 で あ っ た こ と な ど が 主 た る要 因 と し て 考 え ら れ る。 さら に1950 年 代 に は,40 年 代 と 比 較 し て , 質 , 量 と もに は る か に 重 要 な 事 件 が 多 発 し た 。 そ して , 訴 訟 の 対 象 とな っ た 報 酬 制 度 は 主 と し て 選 択 権 制 度 で あ っ た 。 そ れ は ,1950 年 の選 択 権 立 法 に よ り , 選 択 権 利 得 に 対 す る 課 税 優 遇 措 置 が 講 じ ら れ る こ とに な り , 選 択 権 が 最 も 効 率 的 な 報 酬 源 泉 と し て重 視 さ れ る に と もな い , こ れ まで 比 較 的 低 調 で あ っ た 選 択 権 の利 用 が 急 速 に 増 加 す る よ うに な っ た こ と と か な り 重 要 な 関 連 が あ る よ うに 思 わ れ る 。 こ と に 選 択 権 は , 直 接 , 間 接 に 株 主 の利 害 と 密 接 不 可 分 の 関 係 を も っ てい る こ と か ら ,株 主 を 原 告 と す る 訴 訟 は , い き お い こ の 制 度 自 体 の 複 診│生と も 関 連 し て ,他 の 報 酬 制 度 と は また 違 っ た , 多 様 な 問 題 と の か か お り のな か で全 国 的 な 規模 で 発 生 す る こ と に な っ た も の と 思 わ れ る 。 以上 に お い て 明 ら か な よ うに,1930 年 代 後 半 以 降 の 訴 訟 事 件 は , 主 と し て 選 択 権 問 題 が 対 象 と な っ て お り , また , 事 件 の 発 生 数 と そ の 質 的 重 要 性 は , と りわ け 選 択 権 制 度 の 普 及 と極 め て 密 接 な 関 連 を も っ て 推 移 し てき た とい う こ とが で き よ う。 ‥

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1 ) こ の 小 論 は , ワ シ ン ト ン と= ス チ ャ イ ル ド の 著 書 を 手 が か り と し , ま た , と く に 指 摘 の な い 限 り , そ の 所 論 を 参 考 に し て と り ま と め た も の で あ る 。GeorgeThomasWashingtonandV.HenryRothschild,ibid.,Vol.II,pp.899 −915.2 ) 拙 稿 「 今 世 紀30 年 代 以 降 に お け る 経 営 者 報 酬 の 諸 問 題(1)」 一 法 的 規 制 の 出 現 と そ の 影 響− , 経 済 経 営 論 集 , 第54 号,1969 年 ,37 ∼70 頁 を 参 照 せ ら れ た い 。O ) 副 社 長 兼 総 支 配 人 の 給 料 は ,1935 年 に54,000 ド ル で あ っ た が,1939 年 に は ,72,628 白 レに 増 額 さ れ て い る 。 そ し て1940 年 に 取 締 役 会 会 長 に 就 任 し た デ ィ ー ズ の 後 任 社 長 の 給 料 は ,74,307.46 ド ル で あ った 。 ち な み に , 同 社 がSEC に 報 告 し た1938 年 か ら1940 年 ま で の 年 度 別 純 利 益 は , そ れ ぞ れ2,412,466 ド ル ,1,807,096 ド ル ,2,051,727 ド ル で あ っ たibid 。,p.900.4 ) 拙 稿 「 ス ト ッ ク ・ オ プ シ ョ ン の 基 本 問 題 」 ― ス ト ッ ク ・ オ プ シ ョ ン の 本 質> 経 営 論 集 , 第4 号,1976 年 ,4 頁 以 下 参 照 。5 )Johnc.Baker,TheCompensationofExecutiveOfficersofSteelCorpora-tions,H.B 。R.Summer,1937,p.484.6 ) 「 選 択 権 の 行 使 を 許 可 す る 取 締 役 会 の 任 意 の 権 限 は , た と え 選 択 権 者 の 雇 傭 か 終 了 し た 場 合 に あ っ て 乱 適 用 さ れ る ペ ン シ ル ベ ユ ヤ の 制 定 法 てstatute ) の も と で 疑 問 が 提 示 さ れ た た め オ ミ ッ ト さ れ た 」「 し か し , 退 職 し た 従 業 員 も し く は 死 亡 し た 従 業 員 の 代 理 人 は , ペ ソ シ ル バ ユ ヤ の 法 律 の も と で , か か る 選 択 権 の 行 使 ぱ 可 能 七 あ るJG.T.WashingtonandV.H.Rothschild,ibid.,p.905.7 ) 拙 稿 「 今 世 紀30 年 代 以 降 に お け る 経 営 者 報 酬 の 諸 問 題(3)」 −40 年 代 以 降 め 経 済 成 長 と 経 営 者 報 酬 の 動 向> 前 掲 論 集 , 第56 号 ,1970,78 頁 以 下 を 参 照 せ ら れ たV 卜 。8 )1947 −1950 年 ま で に 利 用 さ れ た 選 択 権 制 度 は , 僅 か に20 制 度 で あ った が ,1951 −1956 年 上 半 期 ま で に 利 用 さ れ た 制 度 は,392 で あ っ た 。 詳 細 に つ い て は , 拙 稿 「 ス ト ッ ク ・ オ プ シ3 ン 制 度 の 発 展 と 課 税 問 題(2)」。 前 掲 論 集 , 第70 号,1973 年 ,61 頁 以 下 を 参 照 せ ら れ た い 。9 ) 選 択 権 制 度 に よ る 株 主 持 分 の 稀 薄 化 や 対 価 と そ の 相 当 性 に 関 す る 問 題 に つ い て は , 拙 稿 「 ス ト ッ ク・ オ プ シ ョ ン の 基 本 問 題 」 一 株 主 関 係 に お け る 諸 問 題− , 大 学 院 紀 要 , 第13 集 ,1976,322 頁 以 下 を 参 照 せ ら れ た い 。

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経営者報酬に関する模範事業会社法や各州の制定法の変遷は,歴史的に,

株式会社の株主関係にとくに重要な影響を与えつつ今 日にいたっている。と

りわけ,経営者のお手盛報酬に対する規制は,取締役会の自治的権能が強化

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さ れ る に と も な っ て 漸 次 緩 和 さ れ る 傾 向 を つ よ め , ま 仁 報 酬 に 対 す る 株 主 の 承 認 の 必 要 性 は , こ れ ま で の 株 主 固 有 の 権 利 の 縮 小 と の 関 連 に お い て , 逐 ■M ・ ゝ 心● ● 。 。 .i 次 排 除 も し く は 制 限 さ れ る 方 向 を 辿 っ て き て い る 。 こ の よ う な 状 況 を 背 景 と し て , 経 営 者 が , 株 主 の 権 利 や 経 済 的 関 係 を 軽 視 し , そ し て 自 ら の 経 済 的 擁 護 と 独 自 性 を 強 化 す る 場 合 に は , 少 な く と 乱 お 手 盛 報 酬 と 株 主 持 分 と の 経 済 的 関 係 に お い て , 経 営 者 と 株 主 と の 背 離 は さ ら に 拡 大 せ ざ る を 得 な く な る 尤 の と 思 わ れ るo1930 年 代 後 半 以 降 の 一 連 の 訴 訟 は , 本 質 的 に , か か る 株 主 関 係 に 根 ざ し た 問 題 と し て 顕 在 化 し , 必 然 性 を も っ て 発 生 し た も の と い う こ と が で き よ う 。 と こ ろ で , こ れ ま で の 訴 訟 市 件 に 関 す る 内 在 的 問 題 点 比 つ い て は , そ れ ぞ れ 年 代 毎 に 若 干 の コ メ ン ト を し て き た が , そ れ ら を 要 約 す る と , 訴 訟 の 中 心 的 課 題 は , 報 酬 と そ れ に 対 す る 対 価 と 相 当 性 の 問 題 で あ っ た と い う こ と が で き る 。 つ ま り , 株 主 が 主 張 し た 「 会 社 資 産 の 濫 費 」 や 「 過 大 報 酬 」 に 対 す る 疑 惑 は , 端 的 に い っ て , 報 酬 と そ れ に 対 す る サ ー ビ ス 価 値 と の 不 等 価 関 係 に 根 ざ し て い る 問 題 を 指 し て い る 。 も し , 報 酬 に 対 す る サ ー ビ ス が 無 価 値 で あ る な ら ば , 報 酬 は 会 社 資 産 の 部 分 的 贈 与 と な り , ま た そ の 部 分 が 過 大 報 酬 と な る か ら で あ る 。 し た が っ て , 株 主 が 求 め た 問 題 は , 報 酬 と サ ー ビ ス に 関 す る 公 正 な 判 匠 と そ れ ら の 等 価 的 授 受 関 係 の 検 証 で あ り , 株 主 に 残 さ れ た , そ の た め の 唯 一 の 手 段 が 裁 判 所 へ の 提 訴 で あ っ た と い う こ と が で き る 。 し か し , 訴 訟 の 多 く は , 総 じ て , 株 主 の 権 利 の 擁 護 と 経 営 者 の 信 託 義 務 の 忠 実 な 履 行 を 強 調 し た と い う 点 で 高 く 評 価 で き る と し て 乱 原 告 の 指 摘 し た 問 題 の 解 明 は , 十 分 に 達 成 す る こ と が で き な か っ た よ う に 思 わ れ る 。 そ の 主 た る 要 囚 と し て は , す で に 再 三 指 摘 し た よ う に , 報 酬 制 度 が 大 多 数 の 株 主 の 承 認 の も と で 設 定 さ れ , そ し て そ れ が , 法 的 諸 要 件 を 遵 守 し て 合 法 的 に 管 理 さ れ , か つ 経 営 者 の 権 利 の 乱 用 や 不 法 行 為 な ど の 明 白 な 立 証 が な さ れ な い 限 り , 裁 判 所 は ,取 締 役 会 の 行 為 を 是 認 し そ の 正 当 性 を 支 持 し て き た こ と, 報 酬 制 度 に 関 す る 不 十 分 な 報 酬 の も と で 有 効 な 証 拠 を 入 手 す る こ と は , 一 般 株 主 に と っ て 非 常 に 困 難 で あ り , 原 告 の 立 証 能 力 は 自 ら 限 定 さ れ ざ る を 得 な か っ た こ と , お よ び 経 営 者 は , す で に 多 く の 諸 規 制 や 判 例 な ど に よ っ て 報 酬 制 度 の 管 理 に つ い て よ く 周 知 し て お り , 報 酬 に 関 し て 極 端 な 隠 蔽 を 行 な い 自 己 の 経 済 的 擁 護 を 強 化 す る と い っ た30 年 代 初 期 の 事 例 は 極 め て 少 な く , 概 し て 公

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然 と 実 施 さ れ て き た こ と , な ど が あ げ ら れ よ う 。 そ し て , 法 廷 に お け る 原 告

参照

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