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事業全体の概要

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交流分野・研究テーマ (和文)沿岸海洋学 (英文)Coastal Oceanography 開始年度 平成13年度 評価資料 評価資料の要約 平成 13-17 年度の5年間、日本が中心となって、アジア5ヶ国(インドネシア、マレー シア、タイ、フィリピン、ベトナム)と沿岸海洋科学(Coastal Oceanography)に関する 多国間共同研究を実施してきた。ここでは次の4課題を実施してきた。(1)東アジア・東 南アジア沿岸・縁辺海の物質輸送過程に関する研究、(2)海産有害微細藻類の生物生態学、 (3)東アジア・東南アジアの沿岸域における生物多様性の研究、(4)有害化学物質によ る沿岸環境の汚染と生態影響に関する研究。なかでも課題3は、さらに4サブグループ (1:魚類、2:無脊椎動物、3:海草類、4:プランクトン)に分かれている。外国の 24 研究機関(インドネシア:4,マレーシア:7,タイ:6,フィリピン:5,ベトナム: 2)と日本の20 研究機関から総数 326 人(外国人:222、日本人:104)が参加している。 これまでセミナー2回、コーディネーター会議5回、ワークショップ46 回(国内:21 回, 国 外:25 回)を開催してきた。ワークショップでは、研究発表、最新の情報交換、研究計画 立案を行うとともに、若手研究者を対象に基礎的なトレーニングや分析手法の標準化も実 施した。本プログラムの活動を通じて、これらの国々から優秀な若手研究者が育ってきた。 本研究に関連した原著論文は528 編(英語版査読付き:462 編、日本語版:66 編)、プロシ ーディング(英語版):103 編、著書 12 編、報告書他は 17 編である。特に、魚類のフィー ルドガイド、海草類のフィールドガイド、有害化学物質の化学分析法マニュアル(CD付 き)は、これらのアジア諸国の研究者や関連機関から高い評価を受けている。本研究活動 を通じて得られた成果をもとに、これまで培ってきたネットワークを生かして、アジア諸 国の研究者や研究機関と連携して沿岸海洋学に関する重要な研究課題に取り組んでいくこ とが極めて重要である。このシステムを生かして研究を展開することによって、人間社会 の環境保全にも貢献できる新しい展開が期待できる。したがって、本多国間拠点大学研究 「沿岸海洋学」を次の第二フェーズの5年間(平成 18-22 年度)も継続して実施していく ことを強く希望する。

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評価資料の要約(英語)

The JSPS Multilateral Core University Program “Coastal Oceanography” has been conducted by Asian five countries (Indonesia, Malaysia, Thailand, Philippines and Vietnam) and Japan for 5 years (2001/2002−2005/2006). This program covers the following four research subjects; Project 1: Water circulation and the process of material transport in the coastal areas and marginal seas of the East and Southeast Asia, Project 2: Ecology and Oceanography of Harmful Marine Microalgae, Project 3: Biodiversity Studies in the coastal waters of the East and Southeast Asia, and Project 4:Pollution of hazardous chemicals in the coastal marine environment and their ecological effect. Project 3 is composed of the following 4 subgroups; 1. Fish subgroup, 2. Inbertabrate subgroup, 3. Seagrass subgroup, and 4. Plankton subgroup. The 222 foreign scientists from 24 Institutes/Universities (Indonesia: 4, Malaysia: 7, Thailand: 6, Philippines: 5, Vietnam: 2) and 104 Japanese scientists from 20 Institutes/Universities joined this program and worked together under the common principles. Two seminars, five national coordinator’s meetings, and 46 workshops (21 in Japan and 25 in the foreign countries) have been organized with cooperation of five Asian countries and Japan. In the workshop, we shared our time for presentation, exchange of recent information, and establishment of research plan. In order to encourage the young scientists, we also had the training course using the field guide of fish and sea grass, original text book, and analytical manual of hazardous chemicals. As the related manuscripts with this program, we published total 528 original scientific papers (462 papers in English with the peered referee and 66 ones in Japanese), 103 articles in English of the proceedings, 12 books and 17 reports. Especially, the field guide book of fish and sea grass and the anatical manual and its CD of hazardous chemicals are highly evaluated from the scientists and the institutes/universities of the above Asian countries. Based on the present scientific evidences, it is very important to continue to enforce this Multilateral Core University Program “Coastal Oceanography” with cooperation of scientists and institutes/universities of these Asian countries. This system is expected to contribute to environmental conservation of human society. Thus, we strongly wish to establish the second phase of the Multilateral Core University Program “Coastal Oceanography” for the coming five years from 2006/2007 to 2010/2011.

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1.事業の目標 東アジア・東南アジアは30億以上の多くの人口を抱え、その社会活動が沿岸域に大き な影響を与えている。また、沿岸域に生息する生物資源は多くの国々に食糧を提供してお り、社会経済の面からも沿岸域の持続的包括管理・利用は、この地域で最も重要な課題で ある。このように重要な沿岸域も工業化、都市の人口集中などの影響で、富栄養化による 赤潮の発生、重金属類汚染、内分泌攪乱物質汚染が深刻な環境問題となってきた。また、 陸地を主とする土地利用の変化による土砂の堆積、懸濁物の流入などによる藻場、海草群 落、マングローブ域、サンゴ礁の破壊は、世界有数の生物多様性を誇るこの海域でウミガ メ、ジュゴン、サンゴなどの激減をもたらしている。縁辺海を含む東アジア・東南アジア の沿岸域の持続的包括管理・利用の観点からも、沿岸海洋学に関する物理・化学・生物に またがる学際的総合研究は不可欠である。 本共同研究は、平成 13-17 年度の 5 年間、インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピ ン,ベトナムおよび日本の6カ国の研究者と連携して、ユネスコの IOC(政府間海洋委員会) /WESTPAC(IOC の西部太平洋委員会)の中でも重要視されている下記の4課題について実施 してきた。 研究課題: 1.東アジア・東南アジア沿岸・縁辺海の物質輸送過程に関する研究 2.海産有害微細藻類の生物生態学 3 東アジア・東南アジアの沿岸域における生物多様性の研究 4.有害化学物質による沿岸環境の汚染と生態影響に関する研究 この大型共同研究を実施することにより、東アジア・東南アジアにおける沿岸海洋学の 基礎研究を飛躍的に発展させるだけでなく、将来を担う若い優秀な研究者の育成になる。 また、これらの活動により、沿岸海洋についての多くの学際的な成果が期待できるととも に、沿岸環境の保全と将来に対する生物資源の持続的包括管理・利用という観点から社会 経済的波及効果も期待できる。したがって、本研究課題では、これまで培ってきた研究共 同体制をさらに発展させて、東アジア・東南アジアにおける組織的・包括的な沿岸海洋学 の基盤を確立することを目標とする。

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2.事業の実施状況 2−1.事業の全体的な体制 【実施組織】 日本側実施組織 拠点大学: 東京大学海洋研究所 実施組織代表者: 寺崎 誠 東京大学海洋研究所 所長・教授 コーディネーター: 塚本 勝巳 東京大学海洋研究所 海洋科学国際共同研究センター長・教授 協力大学: 1. 北海道大学大学院水産科学研究科 2. 北里大学水産学部 3. 東北大学大学院理学研究科 4. 東北大学大学院農学研究科 5. 東京海洋大学海洋科学部 6. 東京大学大学院農学生命科学研究科 7. 東京大学アジア生物資源環境研究センター 8. 東海大学海洋学部 9. 三重大学生物資源学部 10. 京都大学フィールド科学教育研究センター 11. 広島大学生物生産学部 12. 愛媛大学沿岸環境科学研究センター 13. 香川大学農学部 14. 九州大学応用力学研究所 15. 長崎大学水産学部 16. 高知大学農学部 17. 鹿児島大学水産学部 18. 鹿児島大学理学部 19. 国立科学博物館動物研究部 20. 琉球大学理学部 事務組織: コーディネーター 塚 本 勝 巳 海洋科学国際共同研究センター 国際交流委員会 セ ン タ ー 長 塚 本 勝 巳 委員長 塚 本 勝 巳 教 授 宮 崎 信 之 委 員 宮 崎 植 松 光 夫 佐 野 助 教 授 道田 豊 他2 名 太 田 外国人客員教授 1 名 徳 山 国 内 客 員 教 授 1 名 新 野 技 術 補 佐 員 1 名 事 務 担 当 ( 総 括 ) 事 務 部 長 (事務責任者) 総 務 課 長 (事務担当者) 総務課国際交流係長

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インドネシア側実施組織

拠点大学: Research and Development Center for Oceanology, LIPI 実施組織代表者: ※ 相手国側実施組織体制により該当者なし

コーディネーター: Ono Kurnaen Sumadhiharga, Director

Research and Development Center for Oceanology, LIPI • Sam Ratulangi University • Diponegoro University 協力大学:

• Bogor Agricultural University タイ側実施組織

拠点大学: Chulalongkorn University

実施組織代表者: ※相手国側実施組織体制により該当者なし

コーディネーター: Charoen Nitithamyong, Assistant Professor / Head

Department of Marine Science, Faculty of Science, Chulalongkorn University • Kasetsart University • Prince of Songkla University • Burapha University • Phuket Marine Biological Center 協力大学:

• Department of Fisheries マレーシア側実施組織

拠点大学: Universiti Teknologi Malaysia

実施組織代表者: ※相手国側実施組織体制により該当者なし

コーディネーター: Mohd Ibrahim Seeni Mohd, Professor,

Faculty of Geoinformation Science and Engineering,Universiti Technologi malaysia • Universiti Sains Malaysia • Universiti Putra Malaysia

• Universiti Kebangsaan Malaysia • Universiti Malaysia Sarawak 協力大学:

• Universiti Malaya • Southeast Asian Fisheries Development Center

フィリピン側実施組織

拠点大学: University of the Philippines,Diliman

実施組織代表者: ※相手国側実施組織体制により該当者なし

コーディネーター: Miguel D. Fortes, Professor

Marine Science Institute, University of the Philippines, Diliman • University of the Philippines Los Banos • De La Salle University 協力大学:

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ベトナム側実施組織

拠点大学: Institute of Marine Environment and Resources

実施組織代表者: ※相手国側実施組織体制により該当者なし

コーディネーター: Tran Duc Thanh, Director

Institute of Marine Environment and Resources 協力大学: • Vietnam National University

2−2.共同研究の体制

Project-1 Water Circulation (47) ・Yanagi, Japan ・Ibrahim, Malaysia Project-2 HAB (87) ・Fukuyo, Japan ・Thanh, Vietnam Project-3 Biodiversity ・Matsuura, Japan (108) ・Ono, Indonesia ・Fortes, Philippines Project-4 Pollution (85) ・Miyazaki, Japan ・Wattayakorn, Thailand 拠点大学多国間交流「沿岸海洋学」の体制 Project Leaders National Coordinators Group Leaders Fish Group ・Matsuura, Japan Plankton Group ・Nishida, Japan Benthos Group ・Shirayama, Japan Algae Group ・Ogawa, Japan Coordinator General Manager Project Managers Tsukamoto, Diredtor, CIC

・Miyazaki, Japan ・Ono, Indonesia ・Charoen, Thailand ・Ibrahim, Malaysia ・Fortes, Philippines ・Thanh, Vietnam ・Uematsu ・Michida ・Miyazaki

Project-1 Water Circulation (47) ・Yanagi, Japan ・Ibrahim, Malaysia Project-2 HAB (87) ・Fukuyo, Japan ・Thanh, Vietnam Project-3 Biodiversity ・Matsuura, Japan (108) ・Ono, Indonesia ・Fortes, Philippines Project-4 Pollution (85) ・Miyazaki, Japan ・Wattayakorn, Thailand 拠点大学多国間交流「沿岸海洋学」の体制 Project Leaders National Coordinators National Coordinators Group Leaders Fish Group ・Matsuura, Japan Plankton Group ・Nishida, Japan Benthos Group ・Shirayama, Japan Algae Group ・Ogawa, Japan Coordinator Coordinator General Manager General Manager Project Managers Tsukamoto, Diredtor, CIC

・Miyazaki, Japan ・Ono, Indonesia ・Charoen, Thailand ・Ibrahim, Malaysia ・Fortes, Philippines ・Thanh, Vietnam ・Uematsu ・Michida ・Miyazaki 上記の組織図にあるように、各国のナショナル・コーディネーターは、それぞれの国の 研究者を統括し、共同研究を実施する上で必要な研究体制を組織する。アジア諸国での現 地調査の許可書、調査器具の持ち込み許可書、採集標本の国外への持ち出し許可書などの 取得に必要な役割を果たす。また、それぞれの政府から本プログラムに関連した研究費を 取得して、本研究活動を支援する役割を担う。 本研究課題は4つあるので、各課題にプロジェクト・リーダーを配置する(課題1:柳 哲雄・九州大学教授、課題2:福代康夫・東京大学教授、課題3:松浦啓一・国立科学博 物館・室長、課題4:宮崎信之・東京大学教授)。課題3はさらに4つのサブグループ(1. 魚類、2.無脊椎動物、3.海草、4.プランクトン)を構成し、共同研究を実施する。

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各プロジェクト・リーダーは各課題のメンバーと協議を行い、実施計画を立案し、共同調 査やワークショップを実施する。東京大学海洋研究所は全体の研究活動を組織・調整し、 総括する。 各研究課題では具体的に次のような研究体制を構築し、実際に活動してきた。 課題1:プロジェクト・リ−ダーの柳哲雄・教授が各国数名の外国人研究分担者とメ− ルで頻繁に連絡をとり、相互訪問の日程調整や現地観測の打ち合わせを行った。国内の研 究分担者(東北大学、東京大学、名古屋大学、神戸大学、長崎大学、熊本県立大学)も柳 哲雄・教授とメ−ルや電話で連絡をとりあって、研究の進行に関する調整を行った。 課題2:プロジェクト・リーダーの福代康夫・教授が、国内外の研究者とメールで密接 に連絡をとり、相互訪問の日程調整や現地観測の打ち合わせを行った。各国代表者をきめ、 各国の研究者との連絡網を整備した。代表者は、インドネシアはLIPI の Hikmah Thoha、 マレーシアはUKM の Gires Usup、フィリピンはフィリピン大学の Rhodora Azanza、タ イはチュラロンコン大学のThaithaworn Lirdwitayaprasit、ベトナムはハイフォン海洋研 究所のChu Van Thuoc で、わが国は福代康夫・東京大学教授が務めている。

課題3:プロジェクト・リーダーの松浦啓一・博士が、サブグループの責任者(魚類: 松浦啓一・国立科学博物館室長、無脊椎動物:白山義久・京都大学教授、プランクトン: 西田周平・東京大学教授、小河久朗・北里大学教授)連絡をとり、相互訪問の日程調整や 現地観測の打ち合わせを行い、各サブグループに分けて調査研究を実施してきた。 課題4:プロジェクト・リーダーの宮崎信之・教授が各国の代表的研究者とは頻繁にメ ールで連絡を取り、相互の訪問の日程調節や現地調査の打ち合わせを行ってきた。ワーク ショップやセミナーなどでは、各国の研究者が実施している研究成果の発表、最新情報の 交換、研究計画の立案などを行い、研究者相互で研究成果が上がるように調整しながら共 同研究を実施してきた。

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2−3.セミナーの実施状況 本研究では、ナショナル・コーディネーター会議5回、全体セミナー2回(国内:1回、 国外:1回)、ワークショップ46 回(国内:21 回、国外:25 回)を開催し、各年度別の実 施状況を次の表で示した。 2.実施状況 2−1.調査研究実施概要 (セミナー,ワークショップ等を含む) 年度 ナショナル・コーディネーター会議の回数 全体セミナーの回数 国内ワークショップ の回数 国外ワークショップ の回数 13 1 5 14 1 3 4 15 1 1 2 7 16 1 3 8 17 1 1 8 6 合計 5 2 21 25 2−2.実施内容 年度 主な内容 13 研究方向を検討するために、第一回ナショナルコーディネーター会議を 8 月に海洋研 で開催した。課題 1 では、2002 年 1 月に九大応力研でワークショップを開催した。課 題 2 と 3 では、国内メンバーによるワークショップを開催した。課題4では、国内メ ンバーによるワークショップと国連大学と海洋研究所との第 3 回国際ワークショップ 「海洋環境」を 10 月に開催した。 14 第二回のナショナルコーディネーター会議を 10 月にマレーシアのランカウイで開催し た。これと平行して、日本をはじめとして参加国の研究者が多数参加してワークショ ップを開催し、研究発表を行うとともに4つの研究課題相互間の連携、今後の研究の 方向性を検討した。課題1では、2003 年 1 月に九大応力研にてワークショップを開催 した。課題2と課題3では、マレーシアでワークショップを開催した。課題4では、 タイのチュラロンコン大学で 3 月にワークショップを開催した。国連大学と海洋研究 所との第 2 回国際会議「人間と海」を 7 月に東京で開催した。 15 第一回全体セミナーをタイのチェンマイで12月に開催した。同時に、第三回のナシ ョナル・コーディネーター会議を開催した。課題1では、タイにおいてワークショッ プを開催した。2004 年 1 月に九大応力研にてワークショップを開催した。課題3の魚 類、無脊椎動物、海藻・海草、プランクトンのグループはタイでワークショップを開 催し、研究発表を行うとともに現地若手研究者に対するトレーニングを行った。課題 4では、国際連合大学との共催で第 4 回国際ワークショップ「海洋環境」を 2 月に開 催した。

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16 17 第四回のナショナルコーディネーター会議をフィリピンのパラワン島で 12 月に開催し た。課題1では 2005 年 1 月に九大応力研にてワークショップを開催した。2005 年 2 月 にバンコクにてワークショップを開催した。2004 年 5、10 月にタイ湾で調査を実施し た。課題2では、分析技術の標準化と研究計画策定の技術検討会を長崎大学で開催し た。課題3の魚類と無脊椎動物のグループはベトナムで、海草とプランクトンのグル ープはフィリピンでワークショップを開催した。課題4では、10 月にフィリピンのデ ラサール大学とフィリピン海上保安庁の協力のもとに、マニラ湾の多国間共同調査を 実施した。11 月に国連大学と海洋研究所との共催で第 5 回国際ワークショップ「海洋 環境」を開催した。 第2回全体セミナーを 8 月に東京大学で開催した。平行して第五回のナショナル・コ ーディネーター会議を開催した。課題1では、2005 年 10 月、2001∼2005 年の発表論 文 30 編をまとめた冊子を発行した。課題2、課題3の海草類、プランクトン、おとび 課題4のグループが東京大学で、課題3の魚類のグループは国立科学博物館でワーク ショップを開催した。課題2では、2 月にマレーシアで、11 月にフィリピンで共同調 査を実施した。課題3では、魚類と無脊椎動物のグループは 9 月にインドネシアにお いて、海藻・海草とプランクトンのグループはそれぞれ 9 月と 11 月にベトナムにおい てワークショップを開催した。課題4は、国連大学と海洋研究所と協力して第6回国 際ワークショップ「海洋環境」を 10 月に開催した。 各年度別の活動の内容を以下に記する。 平成 13 年度:インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピン,ベトナムおよび日本を含 めた 6 カ国の代表者を招聘し、8 月に東京大学海洋研究所で第一回のコーディネーター会議 を開催し、本研究プログラムの趣旨説明と、具体的な共同研究計画の立案を行なった。そ の後、この研究計画に基づいて、各研究課題別にインドネシア、マレーシア、タイ、フィ リピン,ベトナムでの共同調査が実施され、ワークショップが開催された。 平成 14 年度:マレーシアのランカウイで第2回のコーディネーター会議が開催された。 過去2年間、インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピン,ベトナムで実施した国際共 同調査の研究成果の発表と、今後の研究方針について議論された。会議終了後、課題3で はバンコックでワークショップを開催し、「フィールド調査法の標準化」について意見を交 換した。課題4では「有害化学物質による分析法の標準化」に関するワークショップをタ イのチュラロンコン大学で実施し、その成果は CD-ROM にまとめられ、関係者に配布された。 平成 15 年度:12 月にタイのチェンマイで第一回全体セミナーが開催された。これまでの 3 年間の研究成果の発表とともに、各研究課題を包括する研究活動の連携に関して熱心な議 論がなされた。このセミナーでは、各研究課題の代表者からこれまでの研究活動の進捗状 況が報告されると同時に、本研究活動による成果が書籍として出版された。平成 16 年 2 月 には、海洋研究所附属国際沿岸海洋研究センターが中心になって、JSPS、国際連合大学、 UNESCO との合同ワークショップが開催され、アジア沿岸域が直面している環境問題に焦点 をあわせて、生物多様性、有害微細藻類、有害化学物質汚染の観点から研究報告が行なわ れ、将来の沿岸環境保全に関する具体的な対応策が議論された。 平成 16 年度:12 月にフィリッピンのパラワン島でナショナル・コーディネーター会議が

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開かれた。この会議では、各国のコーディネーターからそれぞれの国の研究者の活動内容、 研究業績、今後の展望が報告された。今年度出版した出版物が各著者から紹介され、関係 者に配布された。同時に、この組織の活動を促進するための新しい情報交換システムの提 案がなされ、具体的な作業内容が議論された。これを受けて、システムの整備を積極的に 進めることが合意され、今後の活動内容が確認された。各グループリーダーから、16 年度 のワークショップの概要が説明された。 (1)課題1では、平成 17 年 2 月タイのチュラロンコン大学でワークショップを開催し、 平成 16 年 5 月にタイ湾で実施した共同調査で得られた海洋物理情報の解析方法を検討した。 (2)課題 2 では、平成 16 年 8 月に分析技術の標準化と研究計画策定の技術検討会長崎 大学で開催し、この会議での成果をもとに、平成 17 年 2 月にはマレーシアのサバで海底堆 積物の分析を共同で実施した。 (3)課題3では、平成 16 年 10 月にベトナムのナチャン海洋研究所で魚類の共同調査 と今後の共同研究計の打ち合わせが行われた。海草と無脊椎動物のグループは、平成 16 年 9 月にベトナムの研究者と会議を開き、共同研究の打ち合わせを行った。プランクトングル ープは、平成 16 年 12 月にフィリピンのロスバニョスで種同定のワークショップを開催し た。 (4)課題4では、フィリッピンのマニラ湾における海底堆積物の共同調査がフィリピ ンのデ・ラサール大学と海上保安庁の協力の下で実施された。平成 16 年 11 月に国際連合 大学と海洋研究所の共催で、国際ワークショップ「Marine Environment」を開催し、各国 の代表者がそれぞれの国の沿岸海域における海洋環境状況とその問題点について報告した。 この発表内容は、海洋研究所が毎年出版している学術雑誌「Coastal Marine Science」に 掲載された。 平成17年度:8月 24-3-26 日の期間、第二回全体セミナーが東京大学で開催された。 国別参加者はインドネシア 11 名、マレーシア 17 名、フィリピン 13 名、タイ 13 名、ベト ナム 15 名、日本 71 名で、総数 140 名(外国人:69 名、日本人:71 名)のメンバーが参加 し、これまでの共同研究の成果を発表するとともに、成果をもとにした今後の具体的な研 究計画や展望に関して率直な議論がなされた。発表された 113 研究課題(口頭発表 36 件、 ポスター発表 77 件)のうち、厳選された論文をもとにプロシーディングの出版が準備され ている。このプロシーディングは、東京大学海洋研究所が発行している「Coastal Marine Science」の特別号として 2005 年の 12 月に出版される予定である。 2−4.研究者交流など、そのほかの交流の状況 本研究課題の研究交流は、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムの ナショナル・コーディネーターと密接な打ち合わせのもとにアジア各国の研究者との交流 交流を実施してきた。同時に、各プロジェクトリーダーが中心になって、各研究課題毎に 研究者間の交流を活発に実施してきた。特に、各研究課題により交流体制が異なるので、

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以下に、研究課題別の交流状況を報告する。 課題1:インドネシアに関しては LIPI(インドネシア科学院)、BPPT(応用技術庁)、BIT (バンドン工科大学)の研究者と緊密な連絡・協力体制を構築している。マレ−シアに関 してはマレ−シア農科大学、マレ−シア工科大学の研究者と緊密な連絡・協力体制を確立 している。タイに関してはチュラロンコ−ン大学、カセサ−ト大学、ブラパ大学の研究者 と緊密な共同研究体制を確立している。ベトナムに関しては海洋研究所、力学研究所の研 究者と緊密な連絡・協力体制を確立している。フィリピンに関してはフィリピン大学の研 究者と緊密な共同研究体制を確立している。 課題2:2003 年と 2005 年に開催された国際シンポジウムにあわせて班員会議を開催し、 研究グループを組織すると共に、各グループの活動とその実施計画を決めるようにしてい る。各グループのメンバーにより検討された交流計画は班員全体会議で報告され、年度予 算に合わせてグループ間の調整が図られている。また、これら組織とは別に、各国の研究 代表者を各国研究者の合議によって決め、班会議の結果などを周知するようにしている。 2005 年度の各国代表者は、インドネシアは LIPI の Hikmah Thoha、マレーシアは UKM のGires Usup、フィリピンはフィリピン大学の Rhodora Azanza、タイはチュラロンコン 大学のThaithaworn Lirdwitayaprasit、ベトナムは海洋環境資源研究所の Chu Van Thuoc で、わが国は福代康夫・東京大学・教授が務めている。 課題3:東南アジアの沿岸に日本側研究者が調査に出かけ、東南アジア各国の参画研究 者と共同調査を実施している。また、ワークショップを開催して研究の進捗状況を報告す るとともに若手研究者育成のためにトレーニングを行っている。ワークショップには6ヶ 国から研究者が参加するので、各国の研究の成果や課題が報告され、相互の研究を発展さ せるために格好の舞台を提供している。また、参加各国の大学、研究所および博物館など の全面的な協力を得て実施している。本研究課題には、参加各国の海洋生物多様性研究の 中心となっている専門家が参加しているため、各国の情報交換が活発に行われている。マ ルチ・ラテラルというこの事業の性格が積極的な相互交流を生み、研究を発展させるため に極めて良好の環境を生み出している。 課題4:参加各国によって研究機関のや研究者の対応は異なっている。インドネシアで はサムラトランギ大学、マレーシアではマレーシア大学・プトラ・マレーシア大学・ケバ ングサン大学、タイではチュラロンコン大学・カセサート大学・プーケット海洋生物セン ター・環境研究・普及センターは、これまでの交流の実績があることから、大変機能的に 共同研究を実施することができた。一方、フィリピンやベトナムでは、開始時は相互の機 関における情報交換を優先させ、相互の交流システムを構築することから始めた。幸い、 フィリピン大学・デラサール大学・サンカルロス大学、ベトナムではベトナム国立大学・ 海洋環境資源研究所と間で相互交流ができるようになり、共同研究を実施することができ るようになった。現在は、各国の研究機関の研究者と密接に連絡を取り合い、多国間共同 研究が可能なネットワークシステムを構築することができた。

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2−5.事業に対する相手国拠点大学、対応機関との協力の状況 相手国拠点大学、対応機関との協力の状況は国により異なり、同じ研究機関でも年によ り協力体制に差がみられた。総体的には、相手国拠点大学、対応機関は本研究の必要性と 重要性を理解し、現地調査などの実施に多大な支援と便宜を供与してくれ、年を経るごと に協力体制が充実してきた。以下に、各課題別に本事業に対する相手国拠点大学、対応機 関との協力の状況を記す。 課題1:各国の対応機関は本研究の必要性と重要性を理解し、現地調査などの実施に多 大な支援と便宜を供与してくれている。ただ、その内容は国ごとに異なっている。フィリ ピンにおいては沿岸域における調査許可の取得手続きに関して情報提供を得られただけで なく、試料持ち出しについても全面的な協力関係が確立されている。タイでは、調査許可 に関する便宜供与だけでなく、タイ側研究者に対する研究資金の補助もあり、研究を活性 化する大きな原動力となっている。ベトナムでは各種政府機関や地方行政府の係官を含め て、研究成果を活用した、有害微細藻類による影響を軽減するための監視体制確立の検討 がベトナム側研究者の仲介で始まっており、拠点大学等対応機関もこの動きを支援してい る。 課題2:各国の対応機関は本研究の必要性と重要性を理解し、現地調査などの実施に多 大な支援と便宜を供与してくれている。ただ、その内容は国ごとに異なっている。フィリ ピンにおいては沿岸域における調査許可の取得手続きに関して情報提供を得られただけで なく、試料持ち出しについても全面的な協力関係が確立されている。タイでは、調査許可 に関する便宜供与だけでなく、タイ側研究者に対する研究資金の補助もあり、研究を活性 化する大きな原動力となっている。ベトナムでは各種政府機関や地方行政府の係官を含め て、研究成果を活用した、有害微細藻類による影響を軽減するための監視体制確立の検討 がベトナム側研究者の仲介で始まっており、拠点大学等対応機関もこの動きを支援してい る。 課題3:参加各国の大学、研究所および博物館などの全面的な協力を得ている。また、 参加各国の海洋生物多様性研究の中心となっている専門家が参加しているため、各国の情 報交換が活発に行われている。マルチ・ラテラルというこの事業の性格が積極的な相互交 流を生み、研究を発展させるために極めて良好の環境を生み出している。 課題4:本事業に対する各国の研究機関の対応は国により多少異なっている。インドネ シア、マレーシア、タイでは、対応研究機関が積極的に支援していることから、研究者が 共同研究を実施するのに相応しい体制が確立している。フィリピンやベトナムでは、研究 機関の対応が未だ十分に統率されていないように感じるが、研究者の積極的な協力のもと に現場での作業を問題なく実施することができた。

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3.これまでの交流を通じての成果 3−1.交流による学術的な影響 本交流を通じて若手研究者の育成を積極的に進めてきたので、優れた博士号や修士号取 得者を数多く輩出してきた。また、博士号や修士号取得者が本事業に積極的に参加し、研 究活動に取り組んできた。特に、しっかりした研究計画を立案し、フィールド作業を効率 的に進めることができる若手研究者が育ってきたことは、本研究の新しい展開に大きな力 となる。以下に各研究課題別に交流による学術的な影響を記する。 課題1:インドネシアではこの交流をもとに、2 名の理学博士(1名はインドネシア国費 留学生、1名は日本の文部科学省留学生)、1名の理学修士(インドネシア国費留学生)が 誕生して、現在 BPPT(応用技術庁)、BIT(バンドン工科大学)のスタッフとして、インド ネシアの環境行政に携わったり、学生の指導にあたったりしている。マレ-シアではこの交 流をもとに、マレ−シアの沿岸海域で初めて、現地沿岸海域に適用可能な海色衛星画像の 解析方法が確立した。タイではこの交流をもとにした研究成果により、1名の理学博士が 誕生した(九州大学論文博士)。彼は現在ブラパ大学の講師として学生に海洋物理学を教え ている。ベトナムではこの交流をもとに、トンキン湾の流出油漂流予測モデルが確立し、 実際の環境行政に役だっている。フィリピンではこの交流をもとに、マニラ湾の流動モデ ル、底泥輸送モデル、低次生態系モデルが初めて開発された。また、タイの現地共同観測 は課題1の研究者と課題2の研究者が合同し乗船して行っていて、物質輸送過程と有害植 物プランクトン発生との関連を明らかにしようとしている。さらに、マニラ湾の研究にお いては課題1で開発したモデルを用いて、課題2の有害植物プランクトン発生機構を明ら かにし、課題4の汚染物質輸送過程を明らかにしようとしている。 課題2:本共同研究で得られた成果は学会誌に印刷公表するとともに、各種研究集会で 発表されている。そこでは、東南アジアにおいて実施されている共同研究により、以下の 諸点など、熱帯域の有害微細藻類の原因種やその発生機構、広域化機構が温帯域のそれら とは異なることが報告されており、従来展開されてきたわが国や欧米研究者に新鮮な驚き と学術的影響を与えている。 (1) Pyrodinium bahamense は従来温帯域では発見されておらず、熱帯域でしか見ら れなかったが、東南アジアでも同様であった。しかし、東南アジアでもタイ湾およびベト ナム沿岸には発生しておらず、フィリピン、インドネシア、東マレーシア(ボルネオ島) など島嶼沿岸域にのみ認められることがはっきりした。また、温帯域に見られる赤色ヤコ ウチュウが熱帯域では共生藻のため緑色になって赤潮を形成することも、従来はごく一部 の研究者にしか知られていなかったことであった。 (2) 東南アジアでは有毒種として知られている Pyrodinium bahamense は 1970 年代 からしか認められていなかったが、シストの研究では1800 年代から分布してことがはっき りして、シストを用いる調査の重要性を改めて学会に認識させた。

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(3)沿岸域の水質を検討する際、温帯域では窒素やリンなどの栄養塩量により富栄養化 の程度を測ることが多いが、熱帯域では栄養塩の利用される速度が速いため、微細藻類な ど生物が多く見られ富栄養化していると思われるところでも栄養塩が水中にないことがあ り、栄養塩量では水質を測れない可能性が示唆された。水質の富栄養化は熱帯域で独自の 基準を設ける必要があることがわかり、ひいては赤潮の発生機構など水質とプランクトン 増殖機構などの関係も熱帯域の環境を考慮した、新たな理論付けが必要であると現在考え られている。 (4.)有毒微細藻類が広く分布し、その毒を食物連鎖の中で蓄積したと思われる有毒生物 も熱帯域に多いことが分かった。社会的にはこれらの有毒生物の発生が監視されておらず、 市場での販売なども規制されていないため、死者や中毒患者が毎年多数出ていることもは っきりした。これに対し、迅速に毒量を測定できるElSA キットが班員によって開発され、 東南アジアでは監視体制を作って有効に利用できることがほぼ明らかになってきた。この 情報は他の地域の発展途上国にも学会等で知らされてきており、世界規模で関心が高まっ てきている。 課題3:東南アジア各国では,基礎的な学問分野よりも,応用側面の強い研究分野が重 視されているのが現状である。しかし、各国の研究者は海洋生物多様性研究の重要性を深 く認識している。このプロジェクトによって単独の国の研究者のみでは不可能な研究交流 や情報交換、共同研究が行われるようになった。その結果、多くの国の研究者が活発に研 究業績を出版している。また、参加国の海洋生物の多様性を明らかにし、研究を発展させ るためにフィールドガイドを出版した。これまでにインドネシアのスラウェシ島とタイの リボン島の魚類に関するフィールドガイドが出版され、インターネット上で利用できる WEB 版フィールドガイドも作成された。このようなインターネットの活用は文献入手の困難性 を抱えている東南アジアの研究者に大いに評価されている。魚類についてはアンダマン海 の魚類フィールドがガイドが 2006 年に出版される予定であり、無脊椎動物や海藻・海草に ついてもフィールドガイド出版の準備が進んでいる。特に海藻・海草のグループでは、東 南アジア各国の実状とニーズに合わせて実施しているキャラバン方式のワークショップは、 実施項目が東南アジア各国の研究環境に配慮されていること、使用テキストの内容が豊富 で実用的であること等から、大型海藻・海草の分類と生態に熱心に取り組む大学院生がタ イ、フィリピン、ベトナムで見られるようになった。日本人研究者の派遣、東南アジアの 研究者の受け入れを通して、人的交流だけでなく情報が広く深く伝わるようになり、複数 国が協力して行う協同研究が立ち上げられるようになってきた。学位を目指す、若手研究 者が出てきた。 課題4:本研究活動に関連した参加者のうち、博士論文と修士論文を作成中のアジアの 研究者がそれぞれ1名いる。日本の研究者では新たに博士号取得者3名、修士号取得者3 名がこの研究に参加している。インドネシアでは、この交流を基にマナドにおける金鉱山 の廃液による水銀汚染とその生態影響に関して、多くの学術論文を発表しており、国際的

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にその活動内容が高く評価されている。タイでは、タイ湾を中心に有機塩素系化合物や有 機スズ化合物による海洋汚染研究を実施し、成果をあげている。マレーシアでは、メコン 川の沿岸域やマラッカ海峡沿岸域における調査を実施し、成果をあげている。ベトナムで は、ハノイを中心に北部沿岸域の海洋汚染研究を実施し、研究成果をあげている。フィリ ピンでは、フィリピン政府の海上保安庁の協力を得て、マニラ湾を共通の調査海域として、 各国の研究者と共同して環境汚染研究を実施している。これらの研究活動を通じて、若手 研究者の関心が高まり、フィールド調査には積極的に参加するようになった。アジア諸国 から日本で学位を目指す若手研究者が増えつつある。 3−2.共同研究を通じて発表された研究業績 本研究課題に関連している研究業績を以下にまとめた。共同研究を通じて発表された全 体の研究業績は学術論文は総数529 編(英語版、査読付き:463 編、日本語版:66 編)、プ ロシーディング原稿(英語版)102 編、著書・報告書他 29 編である(表3−2:総数を参 照)。 3−2 総数:共同研究を通じて発表された研究業績(論文リストを別紙で添付) 学術雑誌 プロシーディング 年度 英語 日本語 英語 日本語 報告書・その他 13 52 19 4 14 98 9 4 15 116 8 41 5 16 143 21 8 17 54 9 62 8 合計 463 66 103 29 次に共同研究を通じて発表された研究業績を各課題別に示す。 課題1:学術論文は総数30 編(英語版、査読付き:30 編)、プロシーディング原稿(英 語版)19 編、著書・報告書他1編である(表3−2:課題1を参照)。 3−2 課題1:共同研究を通じて発表された研究業績(論文リストを別紙で添付) 学術雑誌 プロシーディング 年度 英語 日本語 英語 日本語 報告書・その他 13 6 14 9 15 9 11 16 4 17 2 8 1 合計 30 19 1

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課題2:学術論文は総数126 編(英語版、査読付き:86 編、日本語版:40 編)、プロシ ーディング原稿(英語版)16 編である(表3−2:課題2を参照)。 3−2 課題2:共同研究を通じて発表された研究業績(論文リストを別紙で添付) 学術雑誌 プロシーディング 年度 英語 日本語 英語 日本語 報告書・その他 13 11 16 14 22 6 15 13 5 3 16 27 9 17 13 4 13 合計 86 40 16 課題3:学術論文は総数128 編(英語版、査読付き:119 編、日本語版:9 編)、プロシ ーディング原稿(英語版)54 編、著書 6 編である(表3−2:課題3を参照)。 3−2 課題3:共同研究を通じて発表された研究業績(論文リストを別紙で添付) 学術雑誌 プロシーディング 年度 英語 日本語 英語 日本語 報告書・その他 13 13 1 2 14 29 1 15 31 3 17 1 16 36 3 1 17 10 2 37 1 合計 119 9 54 6 課題4:学術論文は総数245 編(英語版、査読付き:228 編、日本語版:17 編)、プロシ ーディング原稿(英語版)14 編、著書・報告書他 22 編である(表3−2:課題4を参照)。 3−2 課題4:共同研究を通じて発表された研究業績(論文リストを別紙で添付) 学術雑誌 プロシーディング 年度 英語 日本語 英語 日本語 報告書・その他 13 22 2 2 14 38 3 3 15 63 10 4 16 76 9 7 17 29 3 4 6 合計 228 17 14 22

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3−3.セミナーやワークショップの成果 本研究では、セミナーやワークショップを開催し、研究成果を発表し、最新の情報を交 換すると共に、研究計画を立案する。これまでに開催したセミナーやワークショップの成 果を課題別に示した。 課題1:セミナーで研究成果を交換すると共に、研究計画を立案し、次に閉めような各 海域の数値モデルを開発した。 (1)インドネシアのジャカルタ湾とバンタン湾に対する数値生態系モデルを開発した。 (2)マレ−シア沿岸海域における海色画像解析用のアルゴリズムを開発した。

(3)2004 年 5、10 月、2005 年 2、6、11 月の 5 回、The Upper Gulf of Thailand に おいて、タイの若手研究者と日本の研究者が共同して現地観測を行い、水質分布、収束・ 発散分布、海水の光学特性を明らかにした。 (4)現在、タイランド湾用海色画像解析用アルゴリズムを開発するとともに、観測結果 を再現する流動・生態系数値モデルを開発しつつある。 (5)トンキン湾の流動・物質輸送モデルを開発した。 (6)マニラ湾の底質分布、植物プランクトン分布を説明する流動モデル・生態系モデル を開発した。 課題2:対象が有害藻類に関する幅広い分野にまたがっているためで、ワークショップ では、各班員はいくつかのサブグループに分かれて議論し、研究成果をいっそう発展させ るとともに未着手の問題を明確にして、次に示す6つの研究体制を構築し、数多くの研究 成果をあげてきた。これまで、これらのグループを中心とした共同研究調査を実施してき た。

(1 ) Cyst Mapping: 有 毒 種 Pyrodinium bahamense や 赤 潮 原 因 種 Cochlodinium

polykrikoidesなどの有害渦鞭毛藻が生活史の一時期に生成するシストの分布調査グループ。

このグループは昨年8月に長崎大学において調査研究手法の標準化会合を開き、本年2月 にはマレーシア、11月にはフィリピンで共同調査を行い、成果をあげてきた。

(2)HAB Species Characterization: 広域化の傾向にある、渦鞭毛藻やラフィド藻など東 南アジアに発生する有害微細藻類の形態および遺伝子特性を研究するグループ。リーダー はマレーシアUKM の Gires Usup 教授である。このグループは昨年マレーシアにおいて日 本とベトナム研究者による共同調査を実施し、成果をあげてきた。

(3)Toxin Mapping: 麻痺性貝毒、下痢性貝毒や記憶喪失性貝毒など東南アジアで発生し ている貝類毒化の現状調査グループ。このグループはフィリピン、ベトナム研究者と積極 的に交流を行っており、試料採集を現地で、分析を日本の北里大学で行ってきた。

(4) Ecophysiology of Noctiluca and its symbionts :東南アジア熱帯域で発生するヤコウ

チュウNoctilucaの生理、遺伝子特性を研究するグループ。リーダーは東京大学古谷研教授

である。本グループはタイとフィリピンにおける現地調査と、培養株を用いた実験を継続 的に実施し、多くの注目される成果をあげてきた。

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5. Algicidal bacteria and eutrophication: 赤潮の発生に影響を与える水域富栄養化の進行 と、赤潮の消長に関与する細菌相を研究するグループ。リーダーは高知大学深見公雄教授 である。本グループもタイにおける現地調査と中心に、培養株を用いた実験を継続的にプ ロジェクト開始当初から行っており、毎年数名の研究者交流がある。 6. Seafood poisoning: 東南アジア域で時折発生する海藻、シャコ、ハゼ、カニ、あるいは フグ、タコなどによる食中毒の毒生産生物が微細藻類の研究グループ。リーダーは北里大 学児玉正昭教授である。本グループもフィリピンとベトナムにおける現地調査と中心に、 プロジェクト開始当初から研究者交流を行っており、特に最近はベトナムとの交流が活発 であるが、毎年数名の研究者交流がある。 課題3:2003 年から毎年、東南アジアでワークショップを4つのグループが開催してい る。それぞれのワークショップには約30 人の若手研究者が参加しているので、毎年、120 人が参加していることになる。ワークショップでは中堅研究者の研究発表とともに若手研 究者のトレーニングを目的として現地調査や標本観察、標本同定実習を行っている。日本 の研究者から直接指導を受けられるトレーニングは東南アジアの若手研究者に高く評価さ れている。また、日本の大学院生や若手研究者も現地調査に参加し、研究発表をジョイン トセミナーなどで活発に行っている。タイの若手研究者の中で日本人研究者の指導の下に、 タイ産のホンダワラ類の分類と生態に関する研究、タイ産の海草類の生態タイに関する研 究、タイ産の石灰藻類の分類と生態に関する研究を進めて学位論文を目指すものが現れた。 課題4:主要な活動に関して以下にまとめる。 (1)有害化学物資として、有機塩素系化合物、有機スズ化合物、重金属類を対象に環境 モニタリング研究を実施すると共に、これらの化学物質による生態影響に関するデータを 入手し、海洋汚染の実態を明らかにすると同時に、その生態影響を解明するために、各国 から推薦される研究者を中心に第一線で活躍している先導的研究者を選択し。本研究グル ープを構成した。リストに登録されている研究者の数は、タイ:17名、ベトナム:13 名、インドネシア9名、フィリピン:11名、マレーシア:7名、日本:28名の合計8 5名である。メンバーが多いため全員が全ての活動に参加することはできないので、各研 究テーマ別に最も相応しい研究者に活動して頂くシステムにした。特に、若手の研究者が 参加し、活躍できるシステムの構築を目指している。 (2)分析手法の国際的基準を確立するために、2003 年3月にタイのバンコックで分析手 法 標 準 化 に 関 す る 国 際 ワ ー ク シ ョ ッ プ 「JSPS International Workshop for Inter-calibration of Hazardous Chemicals」を開催し、標準分析マニュアル(CDと印刷 物)を作成し、関係機関や研究者に配布した。

(3)各国の研究者がそれぞれの専門分野を受け持って実施できる共同研究を目指して、 2004 年にタイ湾およびマニラ湾を共通の調査対象域に設定し、各国の主要な研究者が参加 し、国際共同研究を実施してきた。得られた試料は、現在、各国の専門家によって解析中 である。

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(4)本研究グループのメンバーは、平成 13-17 年度の期間、毎年、海洋研究所が国際連 合大学と共同で主催する国際ワークショップ「UNU-ORI Joint International Workshop on Marine Pollution」に参加し、研究成果を発表すると同時に、海洋環境に関する最新の情報 を交換し、各国の沿岸海洋環境政策に貢献してきた。 (5) 2003 年の分析手法の標準化ワークショップ、2003 年のチェンマイ・セミナー、2004 年のタイ湾およびマニラ湾調査、2005 年の東京セミナーには、各国の研究者が積極的に参加 して、よい成果をあげつつある。 3−4.若手研究者の交流に関する成果 本研究では、ワークショップなどの機会を利用してトレーニングコースを設け、精力的 に次代を担う若手研究者の育成に努めてきた。各課題別に若手研究者の交流に関する成果 を以下に示す。 課題1:この交流を通じて、東南アジアで3名の理学博士、1名の理学修士が誕生した (先述)。現在3名(文部科学省国費留学生)が日本国内の博士後期課程(九州大学2名、 長崎大学1名)で、この研究課題に関連した研究を進めつつある。 また国内の日本人修士過程の学生 3 名(東京大学1名、九州大学2名)もこの研究に参加 して、研究課題に関連した修士論文を作成中である。 課題2:プロジェクト開始当初からわが国大学の博士課程に在籍する大学院生を積極的 に研究に参加させており、すでに2名がプロジェクトの成果を論文内容に含む学位論文を 作成し、博士の学位を授与されている。本年度末にはさらに3名の日本人学生が学位論文 審査を受ける予定になっている。この他、本プロジェクトで交流した機関から推薦を受け、 国費により東京大学などに留学している大学院生が3名おり、うち1名は年度末に学位論 文審査を受ける。また、来年度に1名が新たに来日する予定である。 課題3:2003 年から毎年、東南アジアでワークショップを4つのグループが開催してい る。それぞれのワークショップには約 30 人の若手研究者が参加しているので、毎年、120 人が参加していることになる。ワークショップでは中堅研究者の研究発表とともに若手研 究者のトレーニングを目的として現地調査や標本観察、標本同定実習を行っている。日本 の研究者から直接指導を受けられるトレーニングは東南アジアの若手研究者に高く評価さ れている。また、日本の大学院生や若手研究者も現地調査に参加し、研究発表をジョイン トセミナーなどで活発に行っている。タイの若手研究者の中で日本人研究者の指導の下に、 タイ産のホンダワラ類の分類と生態に関する研究、タイ産の海草類の生態タイに関する研 究、タイ産の石灰藻類の分類と生態に関する研究を進めて学位論文を目指すものが現れた。 課題4:この交流を通じて、アジアの若手研究者が有害化学物質による海洋汚染研究に 関心を持つようになり、各国で実施される現地調査にも積極的に参加するようになった。 現在、博士論文を作成中が1名、修士論文作成中が1名である。日本の大学院生(博士号 取得者:3名、修士号取得者:3名)も積極的に参加し、実績を上げてきた。日本で学位

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を取得し、各国の大学や政府機関などで活躍していた研究者がメンバーにおり、彼らは本 研究を展開していくのに大いに貢献してくれている。本研究に参加している若手研究者か ら、日本の大学の大学院に進学を希望する人が年々増加している。しかし、それぞれの国 の奨学金の確保が難しく、断念する若手研究者も出てきている。本プロジェクトの活動と 密接に関係している学生に、特別な支援がなされることがあれば、このプログラムは更に 発展するであろう。 3−5.交流を通じての相手国からの貢献 相手国からの貢献について、課題別に以下に記す。

課題1:The Upper Gulf of Thailand の現地観測と現地 Workshop はチュラロンコ−ン 大学とカセサ−ト大学の緊密な協力なしには行い得なかったものである。またマニラ湾で はモデル構築のために大量の観測デ−タをフィリピン大学の研究者から得ている。 課題2:相手国協力大学などから必要な協力は充分に得られている。今まで、調査実施、 試料採取および国外持ち出しなどで、問題が生じたことはなく、相手側の研究施設の使用 についても調査等参加者の希望が充分に受け入れられている。 課題3:近年、発展途上国における調査や標本採集のための許可を得ることは容易では ない。しかし、本プロジェクトにおいては、多数の研究者が東南アジア各国から参加して いるため、現地の情報が適切に日本側に伝わり、調査許可を得る際も全面的な協力が得ら れている。また、現地調査に際して、研究のための候補地選定を各国の研究者の協力に基 づいて実施できている。このような協力体制がなければフィールド調査主体の本プロジェ クトは実行できなかったであろう。現地での一定期間ごとの材料の採集、海洋観測など、 長期滞在しないと困難な作業に対する協力が得られるようになってきた。 課題4:タイでは、分析手法の国際ワークショップやタイ湾の調査にチュラロンコン大 学が精力的に支援してくれ、緊密な共同研究が実施することができた。フィリピンでは、 デラサール大学や海上保安庁がマニラ湾の調査に積極的に支援してくれたために、質の高 い研究を実施することができた。インドネシアでは、サムラトランギ大学の協力によりマ ナドにおける海洋汚染調査を効果的に実施することができた。 3−6.交流を通じての相手国への貢献 交流を通じての相手国への貢献を課題別に以下に記する。 課題1:インドネシア・タイに3 名の理学博士、1 名の理学修士を送り出すとともに、現 在もインドネシア2名・マレ−シア1名、計 3 名の博士後期課程の学生を日本で指導しつ つある(先述)。海色画像解析アルゴリズム、海面高度解析ソフト、流動モデル開発手法、 生態系モデル開発手法を各国に伝授した。 課題2:交流においては、単なる調査実施だけでなく、相手側班員およびその研究室や 大学の学生等非班員に対しても技術移転ができるだけ行えるように配慮している。特に、

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調査だけでなく、特別講義や講演会の開催、技術研修会の開催など、調査に障害を生じな い範囲で積極的に行っている。相手国大学等の優秀な若手研究者のうち、わが国へ国費に よる留学を希望する者に対しては、福代を中心に積極的にガイダンスを行い、大使館にお ける募集に注意を払い、適切に応募するよう指導している。3-3項に記したように既にわ が国の大学に留学している者としようとしている者は4名を数えられる。 課題3:東南アジア各国の若手研究者をワークショップや日本側研究者との共同研究を 通じて育成している。特にワークショップは参画6ヶ国の研究者が多数参加して情報を交 換できる場となっており、若手研究者には高く評価されている。近年、発展途上国におけ る調査や標本採集のための許可を得ることは容易ではない。しかし、本プロジェクトにお いては、多数の研究者が東南アジア各国から参加しているため、現地の情報が適切に日本 側に伝わり、調査許可を得る際も全面的な協力が得られている。また、現地調査に際して、 研究のための候補地選定を各国の研究者の協力に基づいて実施できている。このような協 力体制がなければフィールド調査主体の本プロジェクトは実行できなかったであろう。 課題4:分析手法の国際基準をアジア各国の研究者に伝授し、共同研究の礎を築いた。 国際会議やワークショップに招聘し、最新の情報を交換すると同時に、採集試料を日本の 大学の研究機器で分析することによって、国際的にレベルの高い研究成果をあげることが できた。日本の大学院生が現地調査に参加することによって、各国の若手研究者との間で 密接な交流を結ぶことができるだけでなく、相互に刺激し合って、共同論文を書くように なった。 3−7.成果の社会への還元 各課題月に成果の社会への還元を以下に記する。 課題1:インドネシア・マレ−シア・タイ・ベトナム・フィリピン沿岸海域の水質特性 に関する論文や物質輸送モデル・生態系モデル計算結果は、各国の環境行政に大いに貢献 している。またインドネシア・タイでは日本で学位を得た若手教官が、学生に対して海洋 物理学を講義している(先述)。 課題2:本研究による成果として、学術的業績以外で特記できるものは、フィリピンに おける「水産物に混入した麻痺性貝毒の監視体制強化」である。福代康夫・教授をはじめ 課題参加者はフィリピンの水産資源局に共同調査研究で訪問した際、局長などフィリピン 側行政担当者と懇談することも多く、従来行われていたマニラにおける貝毒中央監視体制 から、地方における貝毒分散監視体制への移行に種々の協力を行った。ベトナムにおいて は地方町村の市場で有毒な水産物が販売されていて、食中毒事件が多発しているため、毒 量測定ELISA キットを用いた監視体制強化の方策について現在ベトナム側行政担当者と進 めているところで、本年10 月にはベトナム側担当者の築地市場フグ毒徐毒場の視察にも全 面的に協力を行った。 課題3:東南アジアの浅海性生物に関するフィールドガイドを出版したことは、現地研

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究者の研究を発展させるだけではなく、一般の人たちの環境保全活動を促進し、水産業な どの産業界の資源開発も援助することができる。特にインターネット上でフィールドガイ ドを利用できるようにしたことは多くの人たちへの情報提供という意味で大いに評価され る。これまで発展途上国では省みられなかった、大型海洋植物の重用さに関する積極的な 発言が、ワークショップ参加者の中から出てくるようになり、有用海藻の養殖化が始まろ うとしている(タイ、ベトナムなど)。 課題4:インドネシアのマナドにおける水銀汚染の調査は本研究チームが精力的に実施 し、金鉱作業所から排出する水銀による海洋汚染の現状を明らかにした。その成果を基に、 アメリカの金精錬企業は水銀を使用しない金の精製法を用いるようになった。また、作業 所を一部閉鎖した。一連の環境モニタリング研究は、マナド州やインドネシア政府の環境 汚染に関する対応策に大いに貢献している。また、地域住民、特に漁業関係者が水俣病か かる割合を軽減させていると予想される。タイやマレーシアでも、本研究成果がそれぞれ の国の環境政策に取り込まれている。フィリピンやベトナムでは、海洋汚染に関する実情 とその影響を、研究者だけでなく、一般市民や政策決定者に広く知ってもらう努力をして きた。 3−8.予期しなかった成果 本研究では、5年間にわたってアジア諸国との共同研究を実施し、4研究課題にわたっ て、研究組織を構築し、研究者ネットワークを整備し、基礎的な研究システムを構築して きた。その結果、各研究課題のテーマに関して基礎的な情報を蓄積することができた。特 に、2004 年 12 月のスマトラ島沖の地震により津波被害に関しては、タイ、インドネシア、 マレーシアなどの沿岸海域で津波前に基礎的な研究を実施してきた研究者が、津波被害後 の沿岸生態環境調査の結果と比較することによって、津波による沿岸生態環境の変化を明 らかにすることができただけでなく、津波の被害を予防するのに有効な戦略を提示するこ とができた。 また、アジア諸国の積極的な支援により、当初予想していた成果を大きく 上回る成果をあげることができた。各課題別に予期しなかった成果を以下に記す。 課題1:タイとの交流が予想外に進展・深化し、現地において 5 回にわたる現地観測、 それらをまとめる Workshop を開催して、Upper Gulf of Thailand の海水光学特性、流 動・水質特性に関する知見が飛躍的に増大したことは、当初予想していなかった成果であ る。 課題2:タイ、マレーシア、インドネシアの研究者は、スマトラ島沖の津波の前後で沿 岸域の生物分布や生態系を比較することによってその被害状況を明らかにしただけでなく、 研究成果の比較から有効な対応策も提言している。 課題3:一昨年タイでのワークショップで、タリボン島に植生調査定点を設けた。これ がインドネシア沖の津波が沿岸域の植生に及ぼした影響を調査・解析する際に、津波前後 のデータを供給することができた。

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課題4:タイ湾の調査では、タイ側の積極的な協力・支援があり、予想を上回る成果が 上がりつつある。フィリピンのマニラ湾での調査には、フィリピンのコースとガードが積 極的に協力してくれたことが、マニラ湾での環境調査に大いに役立った。インドネシアの サムラトランギ大学との共同研究で、マナドにおける金鉱山の精錬作業で使用される水銀 による沿岸環境汚染の状況は、当初の予想を上回る濃度で汚染されていることが明らかに なり、本プロジェクトによる研究成果は高く評価されている。国際機関もその動向を注目 している。 3−9.課題・反省点 本研究の開始時期では国によって「沿岸海洋研究」に関する共同研究体制が異なってお り、それを調整し多国間共同研究体制を構築するのに多少時間がかかった。多国間共同研 究体制が軌道に乗り、数々の研究課題を実施していく過程で、それぞれの政府機関の支援 の仕方がそれぞれ異なったために、全体の活動を調整しながら多国間共同研究体制を機能 的に進めるのに、本研究メンバーをはじめ関係機関に多大なご尽力を得た。課題別の反省 点を以下に記する。 課題1:このプロジェクトの研究費は旅費が主で、現地観測の費用が十分とれないため に、インドネシア、マレ−シア、ベトナム、フィリピンで現地共同観測が行えなかったこ とは残念である。タイに関しては予想以上の現地大学からの強力なサポ−トがあったので、 現地共同観測を行うことができた。今後はタイと同様な観測を各国で行いたいと考えてい る。また、すべての参加国からの研究者が全員参加出来るような共同現地観測、解析も行 ってみたい。そのためには、現在とは異なる新たな予算措置が必要である。 課題2:有害微細藻類の研究は、生物生態学および毒科学等の学術的意義だけでなく、 有毒微細藻類で毒化した魚貝類の検出や監視、食中毒の防止といった社会的意義もあり、 現在問題が広域化頻発化している東南アジアでは研究を縮小することは難しい。しかし、 今後より研究成果を挙げるため、2-1項に記した6グループ、特に最初の3グループの活 動に重点を置くようにしていく予定である。そして、現在の各グループに分散している班 員をこれら6グループにできるだけ集約して、グループの活動強化を図るようにする。 課題3:4つのサブグループの主要な調査域がそれぞれ異なることから、調査許可書 を取得するのに多くの時間を割いた。採集標本の国外への持ち出しについても、それぞれ の国によって対応が異なるために、その準備に時間を割くことになった。幸い、各国の研 究者や研究機関の協力が得られたので、問題なく進めることができたが、今後、能率的に 研究を進めるには、多国間の協力体制を構築していくことが重要である。 課題4:インドネシアではLIPI、タイでは NRCT、フィリピンでは DOST、マレーシ アではVCC、ベトナムでは NCST が対応するようになっているが、タイの NRCT を除く と必ずしも対応が十分でなかった。タイのNRCT はチェンマイでの第一回全体セミナーお よびタイ湾での環境調査に大変協力的であった。また、フィリピンの海上保安庁はマニラ

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