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Academic year: 2021

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(1)

小学校高学年児童の「心の居場所」を保障する授業構成に関する研究

学校教育専攻 授業開発コース 岡 本 英 孝

1 問題

子どもたちは,学校生活において,人間関係 の側面でストレスを受けているO その表れが,

いじめ,不登校,学級崩壊,凶悪犯罪等の反社 会的行動や非社会的行動であるO 非社会的行動 や反社会的行動には含まれないが,自分の主張 だけをする子,すぐにかっとなる子,他とコミ ュニケーションをとることに負担を感じる子等 の存在もその表れである。これら,子どもたち の心を和ませ,安心基地,すなわち「心の居場 戸庁」を保障することが心の問題の解決につなが ると考える。一人一人の子どもにとって,学級 が,学級での授業が,

r

自己の存在感を実感で き,精神的に安心できる場所J,すなわち「心 の居場所」となるなら,子どもたちは基本的信 頼感や基本的安心感を心の中に築き,生き生き とした学校生活を過ごせるであろうO 学校生活 以外においても,波及効果があると考える。

本研究は,心の課題をもっ子どもたちばかり でなく,心の課題をもたない子どもたちの心を も和らげることができ,心の問題の軽減につな がることを期待し,行うものである。

2 研究の目的

①  教師と小学校高学年児童の捉える「心の居 場所」を調査・分析し

r

心の居場所」とは,

何かを明らかにするO

②  小学校高学年児童に「心の居場所」を保障 する方策を明らかにするO

指導教官 小 野 瀬 雅 人

③「心の居場所」を保障する方策を実践し,子 どもたちの心に及ぼす影響を検証する。

3 研究の方法

(1)教師の捉える「心の居場所」に関する調査 (調査 1) 教師の捉える「心の居場所」を明らかにする ために,筆者が勤務する地域の公立小学校4校 24名の教師と現職の大学院生 11名の計 35名 を対象に,質問紙による調査を行った。その結 果,次のことが明らかになった。

①教師がイメージする「心の居場所」

教師は「そこにある人間関係,空間,時間に

『リラックスdl IF存在感dl IF自己表現dlIF自己実 現dl IF他者受容』の要件が存在する時, IF心の 居場所』となる」と考えていることが窺えた。

②教師の捉える小学校高学年児童の学校生活に おける「心の居場所」

教師は「小学校高学年児童の学校生活での『心 の居場所』は, IF授業中』や『休み時間』の『友 だちdl IF先生dl IFクラス』との人間関係の中に

「リラックスdl IF存在感dlIF自己表現dlIF自己実 現』の要件が存在する時にある」と捉えていた。

③教師の捉える小学校高学年児童の「心の居場 所」を保障するための教師の役割

教師は,

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児童理解を大切にし,相互受容で きる集団づくり・児童個々の友だちづくりの支 援・援助を行うことが, IF心の居場所』を保障 する教師の役割である」と捉えていた。

︒ ︒

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(2)

(2)小学校高学年児童を対象にした「心の居場 所」に関する予備調査(調査2)

公立小学校 6年生 2組より 12名を抽出し,

構造化面接により

r

心の居場所」の傾向を明 らかにした。その結果,

r

心の居場所」感のあ る授業とは,

r

問題解決的な学習展開で,学習 内容が理解できること,肯定的に他に認知され ること」と捉えることができた。また,授業中 以外では,

r

互いを思い合い,助け合う雰囲気 の中で,自分のペースで何かを成し遂げられる 時,心の居場所がある」と捉えることができた。

(3)小学校高学年児童を対象にした「心の居場 所」に関する本調査(調査3)

「心の居場所」の有無を探るために, (2)で 明らかになった具体的要件を質問紙にし,公立 小学校6年生2組43名を対象に調査を行った。

その結果,両組ともほぼ全ての質問項目にわた り,学級全体として「心の居場所意識がある」

傾向を示した。しかし,やや「心の居場所意識」

のない児童の存在が認められた。

(4)小学校高学年児童の学級適応感に関する調 査(調査 4)

「心の居場所」と「学級適応感」は,関連が あると捉え,高島(1998)を参考に質問紙を作成 し,公立小学校6年生 2組43名を対象に調査 を行った。その結果,両組とも学級全体として

「学級適応感がある」傾向を示した。やや「学 級適応感」のない児童の存在も認められたが,

この児童は「心の居場所」に関する調査でもや や低い数値を示した。従って,

r

学級適応感の 低い児童は,心の居場所意識も低し'1Jことが窺

えた。

(5) 

r

高学年児童から見た教師の指導行動」と

「教師自身の指導行動に対する意識」に関 する調査(調査5)

「心の居場所」と「教師の指導行動」とは,

関連があると捉え,高島(1998)を参考に質問紙 を作成し,公立小学校 6年生2組 43名を対象 に調査を行い

r

教師の指導行動」に対する教 師と児童の意識の相違を検討した。その結果,

両組ともほとんどの質問項目において「教師自 身の意識」よりも「高学年児童から見た教師」

の意識の方が高い数値を示し,教師と児童の関 係が良好であることが窺えた。また, (3)(4)の 両調査においてやや低い数値を示した児童も高 い数値を示しており

r

心の居場所」のなさや

「学級適応感」のなさは,この児童の場合

r

教 師の指導行動」とは無関係であると捉えた。

(6)小学校高学年児童の「心の居場所」を保障 する授業構成とその実践

小学校6年生1組を対象に「心の居場所」を 保障する授業を実践し,子どもたちの心に及ぼ す影響を検討した。「問題解決的な学習展開,

受容的・肯定的な交流の場Jの授業である。授 業前後に実施した質問項目の平均値で変容を検 討したところ,全ての項目で数値が高まった。

また,性差による比較では

r

他者からの激励」

等の項目で男子よりも女子に有意に多く働きか けていた。 (3)(4)の両調査で,やや低い数値を 示した児童も授業後に向上傾向を示した。

今後の課題

今後の課題としては,次の5点が考えられる。

①「心の居場所」感の持続期間,また,実践の 頻度を検討する。

②  受容的で肯定的な雰囲気が根底にある学級 づくりの方策を検討する。

③  一人一人の思いを大切にしつつ,基礎・基 本の定着を図る教師の支援,援助を検討する。

④  」人一人の心の中にある悩み,課題,よさ を見つめる姿勢とその方策を検討する。

⑤「心の居場所」を保障する教師の実際の言動,

考え方を検討するO

39‑

参照

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