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Academic year: 2021

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- 65 -

生徒の自立と社会適応を支援する効果的な指導方法の在り方 一高等学校における少人数クラスでの

SST

を通してー

高度学校教育実践専攻 学校臨床実践コース 仁 木 浩 志

I 実践研究課題 1 .課題設定の理由

高校生の対人関係能力の低下や社会的スキ ルの学習不足は,特定の生提に限らず,今日

の高校生に共通の課題とされている(渡辺・

原因, 2007)。 実 習 校 に お い て も , 不 登 校 や 中途退学,学力不足など様々な学校不適応に 陥る生徒が増えてきていると思われ,基礎学 力やコミュニケーション力の低下といった問 題が懸念されている。筆者が 1年次に実施し た学校アセスメント調査の結果から,多くの 教員が「コミュニケーション力の育成j が重 要であると考えていることがわかった。そう いった課題を抱えている生徒へのサポート方

法として y~ シヤノレスキルトレーニング

( S o c i a l   S k i

I1

s  T r a i n i n g ;

以下

SST

と略す) の指導を実践することにより,学級集団での コミュニケーションカの底上げを図ることを 考えた。生徒にとって,学校での対人関係を 円滑に行う力となるソーシヤノレスキルを育む ためのアプローチとして,

S  ST

を実施する ことは,有効な心理教育の一つになることが 考えられる。

実習責任教員 佐 藤 亨 実習指導教員 阿 形 恒 秀

%になる。このことから,高校生に対する S

ST 

は,社会に適応できる生徒を育成するた め,社会に出る前の「キャリア教育Jの実践 としても非常に有意義であると考える。そこ で,学校課題フィーノレドワークの中で,

S  S 

Tの考え方と方法を取り入れた実践を行い,

生徒のコミュニケーション力の向上を図るこ ととした。

2.ソーシャルスキルトレーニング

ソーシヤノレスキノレ

C S o c i a l S k

i11

s )  

とは,他 者との関係や相互作用を巧みに行うために練 習して身につけた投能のととであり,しかも,

対人的な技能とされているものだけにとどま らず,身辺自立や交通機関の利用の仕方など 生 活 全 般 に わ た る 技 能 を 含 む と さ れ て い る

(相)1,1 2000)。

本実践研究においては,対人関係の問題に 対する支援として,人間関係に関する知識や 具体的な技術やコツを教えること(小林・相 )11, 1999) を fソーシャルスキルトレーニン

j と定義する。

2011年度の実習校の進路データから,卒業 2  実践研究の自的

後 に 社 会 へ 出 て 行 く 生 徒 は

r

就 職 を す る 生 高等学校の学級集団において

SST

を実施 徒 (87人)J e:, 

r

それ以外の生捷 (4人)J  することで,社会で必要とされる高度なソー の合計91名 でs その割合は卒業生全搾の80.5 シヤノレスキノレを獲得しp それにより,対人関

(2)

- 66 -

係能力,コミュニケーション能力の形成に役 立つことが考えられる。そこで,本実践研究 では,高等学校における少人数クラスでS S Tを実施し,その効果と問題点を検討するこ とを目的とした。

E  実接研究 1  事前調査

1 )卒業生へのアンケート調査

調査対象は,社会人2年自から 5年自の卒 業 生 14名とした。調査では, [①学校生活 における人間関係で困ったこと]【②職場に おける人間関係で因ったこと] [③人間関係 を円滑にするための手立てとして高校時代に 身に付けておけばよかったこと]について質 問した。また,高校在学時及び職場における 人間関係を通して,気づいたことについて自 由記述ができるようにした。

2)在校生の対人関係実態調査

在校生対象の調査では,高校3年生1クラ ス9名に対して,対人関係において「どのよ うな場面が苦手であるかJ

r

どのようなスキ ノレが不得意であるかj について調査した。

3) 教職員への y→リスキルニ-J..~ 調査

全教職員を対象に, ソーシヤノレスキノレ教育 で育みたい生徒のスキノレについてのニーズ調 査を実施した。

4)結果のまとめ

卒業生の調査で泣

r

自分の意見や考えを 伝えることjや fトラブルを解決することJ f上手に断ることj などに難しさを感じてい

ることがわかった。

在校生の調査では

r

適度に視線を合わせ て人と話すJ

r

自分の意見や考えをはっきり

と伝えるJ

r

くやしさや怒りを言葉で伝えるJ の項目ができていないと感じている生徒が多 く,基本的なコミュニケーションスキノレで、あ る「開くことJ

r

話すことJ

r

伝えるととJが 苦手であることがわかった。

さらに,教職員の調査では

r

適切なあい さつの仕方J

r

自分の意見や考えの適切な伝 え方J

r

相手の気持ちを考えた接し方」を身 につけて欲しいと考えていることがわかっ た。これらの結果から,ターゲットスキノレと して「聴くJ

r

話しかける・話を続けるJ

r

お 願いの仕方J

r

上手な断り方Jの4スキノレを 選定した。

2  実践研究の実施

1)  S S Tの実施プログラム

セッション1・2・4・5は通常の 50分 とし,セッション390分で実施した。各 セッションは,インストラクション,モデリ ング,

y

ハーサ/レ,シェアリングで構成したG

セッション1 : Wガイダンス』

rs 

S Tの意義Jや「卒業生のアンケート 調査結果からわかったことJ

r  s 

S Tを学校 でおこなうメリットjなどを伝え, S S Tの 授業に対する動機づけを高めた。

セッション2 : 

W

話を聴く』

インストラクションでは,生徒に質問をし ながら「話を聴くJ持のポイントを確認した。

モデリングでは3 筆者と協力してくれた教員 (以下T Aと略す)でロールプレイを導入し,

「見るJ

r

待つJ

r

うなずく・あいづちj の3

(3)

- 67 - つのポイントをふまえた Goodモデルと Bad モデソレを示した。続いて 3人一組のグルー プを作り,ポイントに留意させながら「相手 に聞いてほしいことj をテーマにリハーサル を行った。最後に,援り返りアンケートとシ ェアpングを千子った。

セッション3: 

W

話しかける・話を続ける』

2部構成とし, 90分で実施した。インスト ラクション1では,生徒に質問しながら「話 しかけるJときのポイントを確認した。モデ リングでは,筆者と生徒がロ ~Jレプレイによ って

r

相手を見るJ

r

相手に近づくJ

r

適 切 な声の大きさ」の3つのポイントをふまえた Goodモデルと Badモデ、/レを示した。特に「相 手に近づく」モデルでは,パーソナノレ・スペ ース,すなわち fコミュニケーションをとる 相手が,自分に近づくことを許せる空間的な 距 離 感Jを体感させた。その後 3人一組の グループを作り,ポイントに留意させながら

「知らない高校生問士で自己紹介をするj場 面設定でリハーサノレを行った。続いてインス トラクション2では

r

話を続ける

J

につい て,はじめにスキルのポイントを提示した。

モデリングでは,筆者と T Aがローノレプレイ によって

r

質問を使い分ける J

r

おまけの情 報をつけ加えるJ

r

質問をつけ加えるjの3 つのポイントをふまえたモデ、ノレを示した。生 徒 は 総 て の ポ イ ン ト に 留 意 し な が ら

r

名刺 交 換Jをして i3分会話を続ける」というテ ーマでリハーサノレを行った。最後に援ワ返り アンケートとシェアリングを行ったc

セッション4:Wお願いの仕方』

インストラクションで,生徒に人にお願い された時,自分が嫌な気持ちにならない額ま

れ方について発表させ,お顕いをするときの ポイントを確認した。モデリングでは,筆者 と生徒がロ)ノレプレイによって

r

因ってい ることを表現して話すJ

r

因っている状況を 具 体 的 に 話 すJf[もしよかったら] [お願い できませんか}などの言葉を付け加えるJ

r

別 の方法を提案するjの4つのポイントをふま えたBadモデルと Goodモデルを示した。Good モデノレを行って良かったところを振り返っ た。 リハーサノレの前にスキルアップを図るた めワークシ}トを配布した。ワークシートに は

r

代わりに出席をお顕いをする場面J

r

お 願いをしたのに断られてしまった場面Jを設 定し,生徒にセリフを記入させた。 3人一組 のグループを作り,役割を順番に回し,リハ ーサ/レを行った。最後に,振り返りアンケー

ト,自己評価とシェアリングを行った。

セッション 5: 

W

上手な断り方』

インストラクションで,人に頼み事をされ て 断 っ た 体 験 に つ い て 発 表 さ せ

r

上手な断 り方」のポイントを確認した。モデリングで は,筆者がお願いする側で生徒が断る頓11にな り「謝罪Ji表明J

r

理由J

r

代わりの提案」

の4つ の ポ イ ン ト を ふ ま え た Badモデルと Goodモデルを示した。 Goodモデルを行って 良かったところを振り返った。リハーサノレで、

は3人一組のグノレープワークを導入した。リ ノ¥ーサノレを行う前に共通のワークシートを配 布 し 4つの場面の中から一つ場面を選択し シナリオを作成させた。作成したシナリオを 用いて,役割を1)民番に回しリハーサノレを行っ た。最後に,援ワ返号アンケート,自己評価

とシェアリングを行った。

(4)

- 68 -

考察

本実践研究では,高校生を対象に少人数ク ラスで

SST

を実施し, ソーシヤノレスキノレの 変化を検討した。ソーシヤノレスキルの理解度 においては,全セッションで「とてもよくわ かったJと回答した人数の平均{直が 84.5%と 高い数値を示した。実行期待度に関しては,

フィーノレドワーク Iで行ったセッション2か らセッション3では,質問項目 f今日習った ことを,これからやってみようと患いました か ?J に対して

r

とてもやりたしリと回答 した人数の平均値は 83.5%と高い数値を示し た。しかし,アィーノレドワークEで行ったセ ッション4及びセッション5において,その 数値は 61.5%と減少した。実施前と実施後で ソーシヤノレスキルがどのように変化したのか を見るために,

S  ST

前と

SST

後のソーシ ヤノレスキノレ尺度の下位尺度の平均得点を比較 した。その結果,スキノレ平均得点が

SST

後 において, S S T前よりも全体的に高くなっ ていることが示された。また t検定の結果 を見ると,非言語的スキノレ(

0.01),仲 間関係の開始 (p 0.05),話し合い (p

0.05)で有意に得点が上昇しており,セッシ ョン 2で行った聴くスキノレやセッション 3で 扱った話しかけるスキノレタあるいはグループ ワークを活動に取り入れたことが影響してい るのではないかと思われる。聞く・話す,ア サーションに関しては,一定の得点の上昇は 見られたが有意とまではならなかった。これ は

r

開く・話すJ の項目の中のスピーチを するというテーマや,

r

アサーションj の中 にある「伝える・断る」というテーマが課題 として難しく,実際にできるようになったと

実感するまでには至らなかったのではなし1か と推測される。

E 成果と課題

本実践研究の大きな成果として考えられる のは次の3つの点が挙げられる。 1点目は,

生徒が

SST

のポイントを良く理解できたと いうことである。 2点目は,生徒の成功体験 を重視し,成就感や達成惑を得ることができ たのではないかということである。 3点目は,

生徒の意欲が深まったことである。

Yーシヤルスキルは第一に学習性のスキル であること,第二に応答と働きかけから成り 立っているという特徴をもっ(佐藤, 2003)。 筆者は,生徒の行動観察や,生徒への事前調 査の結果から,今関

SST

を実施したクラス では,仲間に話しかける,人前で話をする,

相手に考えや思いを伝える,といったことが できておらず,スキノレの学習不足と考えてい た。今後,学校場面,社会場面において教員 や,クラスの他の生徒の働きかけに応じたり,

自分の考えや思いを伝えたりすることができ るようになることが必要であり,このことが 対人関係を高める力になると考える。これら のことから,生徒の実態に即したターゲット スキノレを学習することをクラスで共有したこ

とは意義があったと考える。

今後の課題は次の 2つの点について検討し ていく必要がある。 工点自は, ソーシヤノレス キル教育実施後,学習したスキノレを日常生活 で般化維持させられるよう支援するための方 法である。 2点目は, ソーシャルスキノレトレ ーニングに関して教職員の共通理解と実施体 制の充実を図ることである。

参照

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