後遺障害逸失利益の中間利息控除の基準時について
著者 阿部 満
雑誌名 明治学院大学法学研究 = Meiji Gakuin law journal
巻 98
ページ 63‑88
発行年 2015‑01‑31
その他のタイトル On Methods of Calculating the Present Value of Loss of Income in Personal Injury Cases
URL http://hdl.handle.net/10723/2450
後遺障害逸失利益の中間利息控除の基準時について
阿 部 満
目 次
1 .問題の所在
2 .中間利息控除の法的位置づけと基準時 3 .裁判実務の傾向
4 .事故時損害賠償債権発生ドグマと個別積み上げ方式 5 .不法行為の帰責性と症状固定長期化リスク 6 .症状固定時説の実質的合理性と残された課題 7 .結論
1 .問題の所在1
民法は,不法行為の損害賠償額の算定について具体的規定を置いていない。
裁判実務において,損害の種類に応じた損害賠償の算定方法が判例法として形 成されている。とりわけ,交通事故人身賠償については,交通事故の加害被害 の特質に対応して数多くの裁判例の中で,基本ルールと事案類型に応じたルー ルを形成・発展させてきている。
本稿の主題である「後遺障害逸失利益」も,裁判実務が形成した損害項目で ある。後遺障害逸失利益は,不法行為(事故)によって発生した後遺障害がな ければ将来得られたであろう利益=収入を意味する。人身賠償実務においては,
損害賠償理論一般に用いられる損害分類「積極損害=不法行為によって出費を 余儀なくされた費用」・「消極損害=不法行為によって失われた利益」の区分に,
症状固定時を基準とした過去分・将来分の区分軸を加え,「過去・積極損害」(例,
症状固定までの治療費,通院費,介護費用,車いす等の装具,住宅改造費など),「過去・
消極損害」(例,休業損害),「将来・積極損害」(例,症状固定後の介護費用,将来
の装具・住宅設備等の買い換え費用など),「将来・消極損害」(例,逸失利益)とい う損害項目分類を用い,それぞれの性質に応じた算定を行っている(図 1)。 後遺障害逸失利益は,「将来分・消極損害」として位置づけられている損害 項目である。将来得られたであろう利益を裁判の時点で正確に予想することは 事実上困難であり,損害賠償の方法は,一時金による金銭賠償で請求・認容さ れることがほとんどなので,割り切った方法で積算することになる。具体的に は,
後遺障害逸失利益=(基礎年収)×(労働能力喪失割合)×(労働能力喪失期間)
という算式で求める(2)。
本来,収入は,例えば給与所得者であれば毎月給与として長期間に渡って取 得されるものであるが,損害賠償は原則一時金として支払われるので,利息分 の二重取りを防止するため,将来の所得の中間利息を控除し,現在価格に置き 換えて損害額が算定される。中間利息の控除方法として複利計算であるライプ
人身賠償算定の枠組
・個別積み上げ方式
過去分 将来分
積極損害
治療費、入通院費、付添・
看護費用、車いす、住宅 改造、装備等々
実費
将来介護費用・衛生用品、
車いす・装具等の買い換 え費用
積算 抽象的 中間利息控除
消極損害 休業損害
実損害
逸失利益 積算 抽象的 中間利息控除
*症状固定時を基準に過去・将来を分ける 図 1
ニッツ方式を用いることは平成 11 年のいわゆる「三庁共同提言」(3)によって実 務上定着している。
本稿は,後遺障害逸失利益から中間利息を控除する際,中間利息の起算点を いずれの時点におくべきかを検討するものである。死亡事例の場合,事故時と 死亡時が同時あるいは近接していることが多いのに対し,後遺障害事例の場合,
事故によって受傷し,治療を受け,これ以上治療による症状改善が見られたな いと医師が判断する「症状固定診断」により,障害の程度及び存続期間が具体 的に把握可能になる。事故→症状固定→請求→裁判→賠償の支払いという後遺 障害逸失利益賠償の過程で,中間利息控除をどの時点での「現在」価格に引き 直すのかに争いがある。
学説には,①事故時説、 ②症状固定時説,③紛争解決時説があり,裁判実務 では,②症状固定時説に基づく逸失利益の請求が定着しており,多くの裁判例 でも②症状固定時を基準とする中間利息控除が行われている。
上記の学説のほとんどが裁判官,弁護士によって主張されており,この論点 が研究者によって積極的に取り上げられることは少なく,代表的な不法行為法 の教科書でもほとんど言及されていない(4)。現行裁判実務を客観的に整理分析 し,その理論的評価を行う必要がある。
本稿では,まず,中間利息控除の根拠を整理し,各学説の主張の要点を明ら かにした上で( 2 ),裁判実務の傾向を概観する( 3 )。そして事故時説がその根 拠としている「不法行為時損害賠償債権発生」という考え方の守備範囲と裁判 実務がとる「個別積み上げ方式」の関係を整理し( 4 ),本論点を考察する際 に考慮すべき「症状固定長期化リスク」について説明した上で( 5 ),現行裁 判実務の支持する症状固定時説の実質的合理性について検討し,残された課題 を指摘したい( 6 )。
2 .中間利息控除の法的位置づ と基準時
交通事故人身賠償において,中間利息控除は,( 1 )将来分の積極損害,( 2 ) 死亡逸失利益,( 3 )後遺障害逸失利益の算定で行われる。( 1 )と( 3 )につ いては,現行裁判実務は症状固定時を基準時としている(5)。
中間利息控除が肯定される根拠は,被害者が,将来具体化する損害の賠償金 を一時金として現時点で受領して利殖を行った場合,本来得られなかった利息 を得ることになり,不公平な結果となるからだ,と一般に説明される(6)。この ような説明は,不法行為で賠償金を得ることによって被害者が得るであろう利 息を実質上,損益相殺的に調整することを意味しているようにみえる(7)。 しかし,中間利息控除は,損益相殺そのものではなく,実際に被害者が将来 において利殖を行い利息が得られるかを問題としない。抽象的な利殖可能性を 理由として「損害賠償額の現在価格」を算定するために観念的に法定利息によ り複利で運用した場合の中間利息を控除するという説明になる(このライプニッ ツ方式による中間利息控除は,最高裁が認める算定方法であり,法定利息によるべきこ とは最高裁が明言しており,本稿主題ではないのでその妥当性はひとまず置く)。 この中間利息控除の基準時について,既述の通り 3 通りの考え方がある。
①事故時説
不法行為による損害賠償債権は,不法行為時に発生すると抽象的に把握される 以上,その賠償額も不法行為時を基準に算定されるべきであり,不法行為による 損害の一部分である逸失利益も不法行為時の現在価格に換算されるべきであるか ら中間利息も不法行為時=事故時を基準に算定されるべきであるとする(8)。
②症状固定時説
交通事故による後遺障害の具体的な損害は,事故後の経過の中で発生するの で具体的な損害の発生時を基準とすべきとの考え方で,逸失利益については,
症状固定によって障害の程度=労働喪失割合,障害の存続期間も明らかになる ので,症状固定時の価格で現在価格に換算されるべきであるとする(9)。
③紛争解決時説
中間利息控除の根拠が被害者による一時金の利殖可能性にあるのだから,現実 に被害者が賠償を受けたとき=紛争解決時から中間利息控除を行うべきとする。
ただし,裁判で賠償額算定をする段階において,現実の賠償を受ける時を考慮し て算定することは困難なので,口頭弁論終結時を基準にすることになる(10)。 ①②説とも,中間利息の損害賠償額の現在価格への引き直しという側面を重 視し,中間利息控除の根拠である被害者の利殖可能性を抽象的に捉えているの に対し,③説は利殖可能性を重視し,賠償を現実に受けるとき(裁判手続きで それに近似する口頭弁論終結時)まで中間利息を控除しないとしている。
①事故時説と②症状固定時説の違いは,損害賠償算定基準時のとらえ方にあ る。事故時説は,不法行為時に損害賠償債権は発生するとの考えを重視し,事 故時に一つの損害が発生しているので不法行為時で算定されるべきだとするの に対し,症状固定時説は,逸失利益は症状固定時に発生する(それ以前は休業損 害)ととらえる。
①説と②説は,「現在価格」の「現在」が異なるため,同じ事象に関しての 評価が異なってくる。事故時説の立場では事故から症状固定までの期間が長引 いた場合,加害者は賠償したくともできず,事故時から発生する遅延損害金の 額が膨らむため,中間利息控除の基準時を症状固定時とすると,早期に症状固 定した場合と比べ「不当に」高い利息分を加害者は払わざるを得ないので症状 固定時説は妥当でないと評価する。症状固定時の立場では,逸失利益が確定し ない事故時に遡って中間利息を控除すると,同じ程度の障害で早期に固定した 被害者と比べると逸失利益の額が「不当に」割り引かれるので事故時説は妥当 でないと評価する。
事故時説,症状固定時説,それぞれで逸失利益がどのように計算されるか,
比較してみよう(図 2)。
事故時説の中間利息控除の計算は,以下のように行う。上述の後遺障害逸失 利益の算式の「労働能力喪失期間」を,事故時から労働能力喪失期間の終期ま でのライプニッツ係数から事故時から症状固定時までのライプニッツ係数を引 いたものとし,「基礎年収」に「労働能力喪失割合」を乗じたものに乗じる。
図 2 の設例だと,事故時 20 歳,症状固定時 22 歳,労働能力卒室期間の終期を 平均稼働年齢の 67 歳なので,20 歳から 67 歳までの 47 年間のライプニッツ係 数 17.981 から 20 歳から 22 歳までのライプニッツ係数 1.859 を引いた,(17.981
− 1.859)を乗じることになる。このような算式になる理由は,事故時を基準 に逸失利益の中間利息控除がされるので 47 年間の中間利息を控除することに なるが,症状固定時までの期間の被害者の減収は「休業損害」として実損害が 賠償され,逸失利益は症状固定後の期間のみ発生し,20 歳から 22 歳までの 2 年間は労働能力喪失期間に入らないので 2 年分差し引くからである。
これに対して症状固定時説では,症状固定時を基準に逸失利益が発生し,中 間利息が控除される,と考えるので,症状固定時 22 歳から 67 歳までの 45 年
事故時と症状固定時具体例比較
例) 20 歳男子大学生が事故で受傷。22 歳で症状固定、労働能力喪失割合 100 パー セント、67 歳まで
事故時
6,481,260×1×(17.981−1.859)=104,490,226
(平成 24 年度賃金センサス大卒・院卒男子全年齢平均)
症状固定時
6,481,260×1×17.774=115,197,915
およそ 1070 万円の差
図 2
間のライプニッツ係数 17.774 を「労働能力喪失期間」として乗じることになる。
設例では,約 1070 万円,症状固定時の賠償額から見ると約 1 割程度差が出 ることになる。
③紛争解決時説は,中間利息控除の根拠である利殖可能性を重視する点で控 除の実質的根拠付けとして理解しやすいメリットがあるが,紛争解決が長期化 すると被害者の賠償額が膨らむ(遅延損害金の分)ので,経済的に余裕のある被 害者には紛争解決を遅らせる(急がない)動機付けとなり,一種のモラル・ハザー ドとなるとの批判がある。
各説とも内在的な論理としては一応理屈が通っている反面,他説の立場から は不合理であるとの批判がある。民法そのほかの制定法上これらを律する明文 がない以上,実務上の各説の評価は,現行裁判実務との整合性および損害賠償 理論上の妥当性から判断されるべきであろう。
この観点から,次節では,裁判実務の傾向を概観する。
3 .裁判実務の傾向
裁判例の傾向分析については,優れた先行業績がある(11)。これらの業績によ ると,多くの裁判例が,症状固定時説に立っている。いくつか事故時説に裁判 例もあり,紛争解決時説に立つ判例はほとんどないようである。
後遺障害事例の判決で,中間利息控除の基準時が直接論点になり,積極的に 事故時,症状固定時を採用する理由が判示されることはそう多くない。
浅岡論文で分析対象となった判決以降で,理由を積極的に示したものをいく つか見てみよう。
事故時説に立った判決として,①大阪地判平成 20 年 3 月 14 日交通民集 41 巻 2 号 327 頁がある。この判決は,「なお,中間利息の控除については両説あ るところであるが,治療費等について厳密に事故時現価を算定していない実務
の扱いは計算上の便宜や遅延損害金の起算日の簡明化の要請によるものであ り,本来は中間利息の控除をしたり支出時から遅延損害金を付することにして もおかしくはないことにかんがみると,遅延損害金が事故日から発生するもの とすることとの均衡上,二重取りを避けるために,事故日を基準に現価額を算 定することが相当であると当裁判所は判断する。逸失利益の算定上複利で多額 の中間利息が控除されるということも,金利情勢次第のことであって,これに より中間利息の控除の基準時を左右することは相当ではない」とした。
②大阪高判平成 21 年 3 月 26 日交通民集 42 巻 2 号 305 頁は,事故日から約 1 年 5 か月後に症状固定と認定された事案につき,被告(被控訴人)側から主 張された,中間利息控除の基準日は不法行為日に求めるべきであるとの主張に 対し,次のように判示し,これを排斥している。
「被控訴人らは,中間利息控除の起算日を,不法行為日である本件事故日に すべきであると主張する。しかしながら,抽象的には不法行為日である本件事 故日に損害が発生しているとはいえるものの,後遺障害による損害である逸失 利益は症状固定時に具体化するものであること,被害者における利殖可能性を 理由とする中間利息控除の基準時と加害者における債務の履行遅滞を理由とす る遅延損害金の発生時とは必ずしも厳密な論理的関連性があるとはいえないこ と,遅延損害金は単利で計算されるのに対し,中間利息控除は複利で計算して いること及び治療費や休業損害については実務上中間利息控除を行っていない こと等を考慮すれば,本件において症状固定時を基準として中間利息を控除し ても,損害の公平な分担という不法行為法の理念に背馳するとまではいえず,
一定の合理性を有しているということができる。したがって,被控訴人らの主 張は採用できない。」
③大阪地裁平成 24 年 9 月 14 日判決交通民集 45 巻 5 号 1151 頁は,事故日か ら約 1 年 10 か月後に症状固定と認定された事案につき,「被告らは,逸失利益 につき,遅延損害金は発生時期を症状固定時とすべきであり,不法行為時から
とするのであれば,事故時から症状固定までの中間利息を控除すべき旨を主張 するが,後遺障害による逸失利益が具体化するのは,症状固定時であるが,そ のような損害が発生したのは事故時というべきである。個々の損害費目ごとに 遅滞の時期が異なる見解は採用できない。」とする。③判決は,遅延損害金の 起算日が争点になっている。被告は,遅延損害金の起算日と中間利益の控除の 基準時をそろえるべき旨を主張しており,事故時説と同じ考えに立っていると いってよい。判決は遅延損害金については事故時を起算点とし,中間利息控除 については,症状固定時とする裁判実務の傾向を支持し,事故時説と同じ発想 の被告の主張を退けた。
交通事故民事裁判例集に掲載された平成 24 年 1 月から平成 25 年 8 月までの 判決のうち,逸失利益算定期間を 10 年以上認定した裁判例 78 件について調査 してみた(文末の判決一覧表)。その結果,事故時説を採用している判決は 13 番,
40 番,42 番,67 番の 4 件であったが,このうち 3 件(13 番,40 番,42 番)は 同一裁判官による判決であった。いずれも事故時説に立つ理由を示してはいな い。症状固定時説が判例の多数であることは浅岡論文以降も変わりないことが 確認できた。
4 .事故時損害賠償債権発生ド マと個別積み上 方式
事故時説を支持する論稿の中には,「不法行為による損害賠償債権は,不法 行為時(事故時)に一定のものとして発生する」という考え方から,後遺障害 逸失利益から事故時を基準時に現価換算するため中間利息控除を行うべきこと を演繹する主張がある(12)。
損害概念,賠償額認定に関するいくつかの判例から,判例の立場は損害の発 生を観念的抽象的には不法行為時に全損害が発生するとし,この理解から,不 法行為時に損害はすべて賠償されるべき(遅延損害金が発生する)とし,被害者
は全損害賠償金の支払いを受けるべき(利殖可能になる)なので,遅延損害金と 中間利息控除の発生時期は平仄を合わせるべきだとの主張のように思われ る(13)。
確かに,判例は不法行為=損害発生時に損害賠償債権が発生するとの立場を とっている(14)。しかし,このことはすべての損害が不法行為時に発生すると観念 的抽象的に一貫して評価すべきことに直結するわけではない。
むしろ,裁判実務では,交通事故については,事故後に様々な具体的な損害
(治療費,介護費用,交通費などの積極損害,休業損害,逸失利益などの消極損害)が 発生・具体化し,これらの損害を個別に算定し,その合計額を交通事故による 損害賠償額とする「個別積み上げ方式」を採用している。確立した裁判実務で は,後遺障害事例の損害について,症状固定時を基準時とし過去分と将来分を 分け,過去分については原則実損害額(積極損害については個々の支出の時点にお いて現実に支出した額,休業損害においては事故がなく従前通り就労すれば給与・報酬 の各支払時期に得られていたはずの額)を特定の一時点(たとえば事故時)に現価換 算することなく損害額として認めている。症状固定時以後の介護費用や逸失利 益など将来分については抽象的仮定的積算として算定し,症状固定時基準に中 間利息を控除している(図 1 参照)。
この個別積み上げ方式を維持しながら,逸失利益だけを不法行為時の現在価 格に引き直すことは論理的には一貫しない。不法行為時評価が原則というなら ば,すべての損害を事故時の現在価格に引き直すべきではないだろうか。この 場合,たとえば治療が長引き事故後 2 年後に治療費 10 万円を病院に支払った 被害者に 9 万 0700 円(10 万円×ライプニッツ 2 年係数 0.90700)を賠償をすれば 足りるとの結論になるが,これが完全な賠償といえるのだろうか。到底一般に は受け入れられない結論である。
なお,事故時説の論者は,中間利息計算の煩雑さを避けるため症状固定以前 の損害については中間利息控除をしない実務を「許容」できるとし,また事故
から症状固定まで 1 年程度の場合,逸失利益も症状固定時で中間利息控除する ことを「許容」できるとしている(緩やかな事故時説)(15)。上記のような後遺障 害事例における不法行為時評価への批判に配慮した結論であろうが,そうだと すれば何故,逸失利益のみを事故時で評価しなければならないとされるのか疑 問である。
個別積み上げ方式の考え方には,不法行為による損害は抽象的には一つだが,
具体的な損害項目計算に当たっては個別具体的に算定することにより,人身損 害の現実に適合した賠償を可能にする実務的な知恵が働いているといえる。
不法行為による損害は一個の損害であり,損害賠償債権は不法行為時に発生 するとの考え方は,範囲を限定せずに貫徹させると「ドグマ」として機能し,
不当な結論を導くものと思われる。詳細な検討はここではできないが,この考 え方の主な機能は,不法行為は他人の権利を侵害する行為であり,違法と評価 されるため,侵害行為による損害は即時に原状回復されるべきなので遅延損害 金を発生させることや,一個の損害として観念することで一個の訴訟物とし,
逸失利益や慰謝料などの損害項目を分割して別訴で請求する不経済を回避する とともに,請求額の範囲内で各損害項目間の流用を肯定する(16)ところにある のではないだろうか。少なくとも事故時説論者が主張する「不法行為時に全額 の支払いを受けるべき」立場に被害者があるとの規範が必然的に導かれる実質 的な根拠は示されていない。
以下に示すように,このような主張は被害者に不可能を強いるだけでなく,
経済的に不当な負担を課すことになる。
5 .不法行為の帰責性と症状固定長期化リス 紛争解決長期化リ ス との比較
既述のように,事故時説の立場から,症状固定が長引き遅延損害金が長期に
わたり発生しこれを加害者が負担することは妥当ではないので事故時から中間 利息を控除すべきとの主張がある。
事故により受傷し,治療を受け,医師のこれ以上症状の改善がみられないと の医学的診断を基に症状固定時を認定することになる。通常の賠償実務では,
被害者側は,症状固定診断を待って,逸失利益,将来分の積極損害分の算定を 行い加害者・加害者側保険会社に請求する。加害者側から見れば,症状固定が 遅れることで紛争解決が遅れ,自分の意思に反して賠償が遅れることによる遅 延損害金まで負担するのは不公平だとの感情が湧く故,上記のような主張が行 われるのだろうが,この主張は果たして妥当なのだろうか。
事故で受傷した被害者にとっても,症状固定の長期化は自分の意思ではコント ロールできない事象である。被害者側から見れば,不幸にも事故に遭い,なかな か治らず,治療が長期化した果てに障害が残ったわけである。早期に症状が固定 し同じ程度の障害が残った被害者と比べ逸失利益の額が低額になるのは納得がい かないだろう。障害程度が重く症状固定まで長期に及んだ場合,遅延損害金が単 利で中間利息が複利計算されることにより,受け取る賠償額が生涯障害を抱えて の生活を維持する上で十分なものではなくなる可能性が大きくなる。
このように症状固定が長期化するリスクは,加害者・被害者双方にとってコ ントロール不可能である。この点,紛争解決時説への批判である,被害者が紛 争解決を長期化させるモラル・ハザード(17)(これがどれだけ現実味のある指摘なの かはひとまず置くとして)と,このリスクとは区別されなければならない。
では,この症状固定長期化リスクは,加害者,被害者いずれが負うべきなの だろうか。不法行為現象は,加害・被害関係であり,不法行為責任が加害者へ の帰責性判断に基づいて賠償責任が発生することに鑑みれば,症状固定長期化 のリスクは,事故により受傷させた加害者が負うべきであろう。被害者がこの リスクを負担すべき所以はない。このようなリスク分配は,症状固定時から中 間利息の控除を行うことで実現できる。
このように考えると,症状固定までの長期化リスクを加害者が負い,症状固 定以後の長期化リスクは被害者が負うことになるので,紛争解決の早期化への インセンティブが働くことになる。敷衍すると,以下の通りである。
賠償される逸失利益の利用機会という観点から,事故時,症状固定時,賠償 時(紛争解決時説の口頭弁論終結時は訴訟上の便宜なので理論的に実際に賠償されたと きと仮定する)をそれぞれ基準時として,中間利息を控除して算定した場合の 違いを比較してみよう。
中間利息を控除した賠償額(=各時点での「現在価格」)は,一見,事故時<症 状固定時<賠償時の順で高くなるように見える(受け取る賠償額自体は高くなる)。 しかし,事故時から就労可能期間終了までに得られる経済的利益は,事故時,
症状固定時,賠償時どの「現在」を基準にとっても理論的には同じである。各 時点での賠償額の差は,理論的には,利用機会を先送りすることによる元本の 利用価値の目減りの補正に過ぎないことになり,経済的利益は増減しない。
各説の違いは,基準時から賠償時まで,利用機会がないのに仮定的な運用益 を控除する期間の違いである。事故時の場合,事故時から賠償時まで,症状固 定時説では症状固定時から賠償時までの利用機会のない運用益(法定利率によ り複利計算)が控除され,紛争解決時説では理論的には利用機会の喪失はない(実 際の紛争解決時説は,裁判手続の要請上,口頭弁論終結時を基準にするので賠償時まで 利用機会の喪失はある)。
この点,利用機会の喪失という観点からすると,紛争解決時説は説得力があ る。しかし,現行の民事訴訟手続で逸失利益の額を特定せずに請求する(請求 の段階では口頭弁論がいつ終結するか分からないので,被害者としては,中間利息を控 除せずに逸失利益を算定し,中間利息は口頭弁論時を基準に控除すべきことを主張する ことになるのであろうか)をことが認められるのか,紛争の進行によって基準日 がずれるという処理が妥当なのか,疑問がある。少なくとも現行民事訴訟実務 を前提にする限り,採用が困難であると思われる。
症状固定時説に立った場合,症状固定から賠償までの期間が長引くと利用機 会がないのに仮定的な運用益が控除されてしまうので,被害者としては,賠償 が遅れるとその分だけ得られる利益が目減りしていくことになるため,被害者 に紛争解決を急ぐインセンティブとなる。遅延損害金を考慮しても,症状固定 から賠償金受領までの期間は,単利の遅延損害金と複利の中間利息控除とでは 複利の方が利回りが高くなるので,「遅延損害金−中間利息」はマイナスとなり,
長引けば長引くほど単利と複利の差が拡大していくので,被害者は,早く賠償 金を受領しないと自らの損失を大きくしてしまうのである。
賠償する加害者の側から見ると遅延損害金の分だけ賠償支払時期が先に伸び れば伸びるほど支払う実際の賠償額は大きくなるが,履行期(判例では不法行為 時)に支払わなければならない賠償を先送りし,賠償されるべき逸失利益を運 用する機会を享受できるので,理論的には,どこで支払いをしても得られる経 済的利益は同じなのである。加害者は,単利で運用すれば損失が発生しない分 だけ,複利で運用しなければならい被害者よりも有利な条件ともいえる。賠償 支払い側がこれを損失と考えるのは,実際に現在の金融市場で法定利率 5 分で 運用することが困難なため,規範的な利率=法定利率と加害者の実際の運用益 との差額が確定してしまうからである。
法定利率と実際の運用益の差を「損失」と考えるならば,賠償支払者=加害 者側が被る「損失」は事故から賠償までの期間であるのに対し,被害者は,固 定時説で考えると固定時から労働能力喪失期間の終期にまで複利の法定利率と 実際の運用益の差が「損失」となるため,加害者側の被る「損失」の総額より もかなり大きくなることを指摘しておく。例えば,図 2 の例で症状固定 2 年後 被害者 24 歳の時に賠償がされた場合,加害者は 4 年間分(20 歳から 24 歳)単 利の「損失」であるのに対し,加害者は 45 年間分(22 歳から 67 歳,しかも 22 歳から 24 歳の 2 年分は運用ができない)複利の「損失」となる。
加害者側の「損失」が確定しているのに対し,被害者の「損失」が将来のこ
とでまだ顕在化していないだけであり,加害者側が紛争解決長期化による遅延 損害金の増大を殊更に不当であると主張するのは経済的には根拠がない。不法 行為損害賠償債務の遅延損害金が法定利率によるべきこと,中間利息控除も法 定利率によるべきこと(最判平成 17 年 6 月 14 日民集 59 巻 5 号 983 頁)は,確立し た判例であり,法定利率で運用出来ない「損失」は法的には考慮されず,統一 的に処理される安定性のメリットを優先させている。現行法では,この「損失」
は,両当事者が甘受するしかない。
要するに,症状固定時説は,症状固定長期化リスクを適切に分配し,現行民 事訴訟実務に適合する明確な中間利息控除の基準時を定める点で優れている。
6 .症状固定時説の実質的合理性と残された問題
これまで,事故時説,症状固定時説,紛争解決時説それぞれの問題点を,現 行実務のとる個別積み上げ方式との整合性,および症状固定長期化リスクの観 点から検討してきた。以上の検討より,事故時説のとる観念的抽象的損害概念 を貫徹させようとする不法行為時基準は,現行の個別積み上げ方式と整合的に 逸失利益のみを不法行為時で評価することを説明できず,実質的にも加害者に よる受傷の治療長期化のリスクを被害者に負担させる結論を導き妥当性を欠く ことが明らかになった。
このような事故時説の問題点を克服し,紛争解決時説への批判(紛争解決遅 延へのモラル・ハザード)を回避する立場として,裁判実務の作り出した症状固 定時説は一定の合理性・妥当性を持つといえる。
ここで改めて,他の論点も含め,症状固定時説の合理性について整理しておく(18)。
①遅延損害金と中間利息の異質性
事故時説は,不法行為時から加害者に遅延損害金が発生することとのバラン スから中間利息も不法行為時から控除されるべきであると主張するが,遅延損
害金は,他人の権利・法律上の利益を侵害した者は即時に原状回復すべき義務 を負うのに填補されていないことへの賠償であるのに対し,中間利息控除は被 害者の利殖可能性に着目した金銭評価上の問題であり,全く異質の問題である。
発生時期を一致させる必然性はない。
②単利・複利の差
上記の事故時説のいう遅延損害金と中間利息のバランス問題を仮に受け入れ るにしても,遅延損害金は単利で,中間利息は複利で計算するのが現行実務で あるため,同じ時を基準とすると,加害者の賠償である遅延損害金の割合より も控除される中間利息の割合の方が大きくなり,紛争解決が長期化するだけ落 ち度がない被害者の負担が増すことになり,逆にアンバランスが生じる。
また,現行実務は年単位でライプニッツ係数を算出しており,この考え方で は年末に一度に年収が入ると仮定するが,一般的に現実の収入は月単位で入る ため年単位で計算すると割引率が高くなり,中間利息は多めに控除されている 点も指摘しておく(19)。
③自然・簡易な算定
逸失利益は症状固定によって算定が可能になり,それ以降の障害がなければ 得られた利益なので,症状固定時を基準に算定するのは自然な算定方法であり,
計算も簡便である。
④個別積み上げ方式との整合性(4 で詳述済み)
現行裁判実務が採用する個別積み上げ方式は,人身損害によって個別具体的 に発生する損害を一個の損害と把握しながら,個別の損害が発生した時点で評 価する方法であり,③で指摘した症状固定時における逸失利益の自然・簡便な 算定は,これと整合的である。
⑤症状固定長期化リスクの分配(5 で詳述済み)
症状固定まで長期化することは,加害者も被害者もコントロールできない事 象である以上,そのリスクは不法行為によって被害者を受傷せしめた加害者が
負うべきである。
最後に,残された問題も指摘しておく。時効の起算点の問題である。
現在実務では,逸失利益の算定が可能となる症状固定を待って損害賠償の請 求をすることが定着している。民法 724 条は,「被害者又はその法定代理人が 損害及び加害者を知ったときから三年間」請求権を行使しないときは消滅時効 にかかるとしている。症状固定が長期化した場合,症状固定時を「損害を知っ たとき」と読むことで消滅時効の完成は回避可能であろうが,遅延損害金の起 算日を不法行為時とする判例の立場と整合的に説明出来るのかが理論的に問題 となりうる。今後の課題としたい(20)。
7 .結論
以上検討してきたように,裁判実務が形成してきた個別積み上げ方式に基づ く人身損害算定においては,後遺障害逸失利益の中間利息控除は,大多数の判 例が従う症状固定時説に合理性があり,事故時説には理論上も実際上も大きな 問題点がある。これまで通り,症状固定時による中間利息控除を行うべきであ り,この方向での裁判実務の安定が望ましいと考える。
以上
注
( 1 ) 本稿は,大槻遼太弁護士(札幌弁護士会)の依頼に基づき,北河隆之琉球大学大 学院法務職研究科教授とともに作成した,意見書を元にしている。文末添付の判 決一覧表は,北河教授と共同・分担作成したものであり,本稿の記述の多くの部 分が,北河教授との文献情報・意見交換,議論の結果が反映されている。その意 味で,本稿の多くの部分は北河教授との共著としての性格があるが,意見書には 盛り込まれなかった内容,新たに加筆した内容を含んでおり,本稿作成の責任は,
阿部にある。本稿の作成をご快諾いただいた北河教授,大槻弁護士に感謝したい。
また北河教授は,本稿のテーマについて北河隆之「後遺障害逸失利益の中間利息
控除の基準時」琉大法学 93 号(玉城勲教授・渡名喜庸安教授退職記念号)を公表予定 である。
( 2 ) 実務で定着した算出方法であり,基礎年収には原則就労者は前年年収,未就労 者や主婦については賃金センサスの全年齢平均年収を用いる。加賀山茂「逸失利 益の算定における中間利息控除方法の問題点について」判タ 714 号 17 頁(1990 年)
は,年齢別平均を使って算定すべき旨を主張する。
( 3 ) 井上繁規=中路義彦=北澤章功「交通事故による逸失利益の算定方法について の共同提言」判例タイムズ 1014 号 52 頁以下。以下「三庁共同提言」という。
( 4 ) 四宮和夫『不法行為法』(青林書院)590 頁以下はこの点を論じる数少ない教科 書である。
( 5 ) 大阪地裁民事交通訴訟研究会『大阪地裁における交通損害賠償の算定基準第 3 訂版』(判例タイムズ社,2013 年)7 頁,東京地裁民事交通訴訟研究会『民事交通訴 訟における過失相殺率の認定基準全訂 5 版』(判例タイムズ社,2014 年)15 頁以下,
井上繁規=中路義彦=北澤章功「交通事故による逸失利益の算定方式についての 共同提言」判例タイムズ 1014 号 52 頁の【逸失利益の算定についての具体的な適 用例】㉓も症状固定時説に立脚している。宮﨑直己『交通事故損害賠償の実務と 判例』(大成出版社,2011 年)139 頁以下は積極的に症状固定時説を支持しており,
佐久間邦夫=八木一洋『交通損害関係訴訟』177 頁(中辻雄一朗執筆部分)(青林書院,
2009 年),『民事弁護と裁判実務 5 損害賠償Ⅰ』385 頁(渡邉和義執筆部分)(ぎょうせ い,1997 年)は症状固定時説が裁判実務の趨勢であることを指摘し,異論を差し 挟んでいない。
( 6 ) 浅岡千香子「損害算定における中間利息控除の基準時」『民事交通事故訴訟損 害賠償額算定基準(赤い本)・2007(下)』172 頁(以下,浅岡論文とする)。
( 7 ) 四宮・前掲(注 4)604 頁は,中間利息を損害相殺が問題なる利益の一類型とし てとりあげている。
( 8 ) 石原稚也「中間利息控除の基準点と遅延利息金の起算点」『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(赤い本)・1990 年』74 頁。
( 9 ) 浅岡・前掲(注 6),本田晃「逸失利益の現価算定の基準時」『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(赤い本)・2003 年』303 頁。
(10) 四宮・前掲(注 4)(青林書院)590 頁。
(11) 本田・前掲(注 8) p. 308,浅岡・前掲(注 5) p. 186。
(12) 田中俊行「判例の立場を前提とした損害論と中間利息控除の基準時(上)(下)」 判タ 1396 号 79 頁,同 1397 号 65 頁。
(13) 田中・前掲(注 12)判タ 1397 号 67 頁。
(14) 大判大正7年 10 月 10 日 民録 24 巻 1893 頁。
(15) 田中・前掲(注 12)判タ 1397 号 71 頁以下。
(16) 最一小判昭和 48 年 4 月 5 日民案 27 巻 3 号 419 頁。
(17) 浅岡・前掲(注 6)179 頁。
(18) 詳しくは,北河隆之『交通事故損害賠償法』167 頁,北河隆之ほか『詳説後遺 障害』65 頁参照。
(19) 佐藤信吉『人身事故の賠償計算』(日本経済新聞社,1969 年)に「法定利率によ る単利年金現価表」として「(5%のとき)」と「(5/12%のとき)」=月単位が掲載さ れている(複利の表は掲載されていない)。これを利用して,年収 600 万円の被害者(症 状固定時 30 歳,労働能力喪失率 67%)の症状固定時から 67 歳まで 37 年間(444 月)
の後遺障害逸失利益を算定すると,前者では,600 万円× 0.67 × 20.6254 = 8291 万 4108 円となるが,後者では,600 万円÷ 12 × 0.67 × 251.0323 = 8409 万 5820 円となる。佐藤は,「毎月末に生ずる損害が,まとまって毎年末に生ずるものと みなし,……現在価格を計算してはいけません。これは等価の原則を無視してい るからです」と指摘している(同書 124 頁)。
(20) 明治学院大学法律科学研究所共同研究「債権法改正を考える」研究会で加賀山 茂教授からご指摘をいただいた。
82
後遺障害逸失利益の中間利息控除の基準時について法学研究 98号(2015年1月)
番号 裁判所 判決日 出 典 事故日 事故時
年 齢 症状 固定日
症 状 固定時 年 齢
中 間 利 息 控除基準時
逸失利益
算定期間 逸失利益の算式 備 考
1 横浜地裁 H24.1.27 交民
45 1 95 H20.2.1 43 H21.3.16 44 症状固定時 23 年
(16 年,7 年)
7,766,290 × 16 年ライプ 10.8378 5,436,403 × 0.67 ×(23 年ライプ 13.4886−10.8378)
2 岡山地裁 H24.1.31 交民
45 1 138 H14.12.19 22 H21.5.9 29 症状固定時 38 年 4,461,200 × 0.07 × 16.8679 3 横浜地裁 H24.2.2 交民
45 1 183 H20.1.30 49 H21.3.31 50 症状固定時 17 年 事故前 3 ヶ月給与 915,327 ÷ 3 × 12 × 0.05 × 11.274
4 大阪地裁 H24.2.20 交民
45 1 226 H20.8.24 38 H21.4.30 38? 症状固定時 15 年 2,768,280 × 0.18 × 10.3796 田中俊行裁判官 5 横浜地裁 H24.2.27 交民
45 1 255 H19.4.26 46 H22.2.19 49 症状固定時 18 年 3,324,150 × 0.09 × 11.6896 6 横浜地裁 H24.3.1 交民
45 2 297 H18.10.9 50 H19.12.31 51 症状固定時 16 年 450 万× 0.07 × 10.8378 7 東京地裁 H24.3.16 交民
45 2 334 H21.3.2 55 H22.4.22 56 症状固定時 11 年 5,769,874 × 0.27 × 8.3064 8 名古屋地裁 H24.3.16 交民
45 2 347 H19.10.26 23 H21.9.30 25 症状固定時 43 年 5,503,900 × 1.00 × 17.5459 9 神戸地裁
洲本支部 H24.3.22 交民
45 2 379 H14.11.6 41 H16.7.28 43 症状固定時 24 年 3,612,000 × 0.56 × 13.7986 10 東京地裁 H24.3.27 交民
45 2 405 H18.10.7 49 H20.9.30 51 症状固定時 10 年 1,000,000 × 0.14 × 7.7217 11 横浜地裁 H24.3.29 交民
45 2 447 H20.12.14 17 H22.1.25 19 症状固定時 48 年 5,230,200 × 0.05 × 18.077 12 名古屋地裁 H24.3.30 交民
45 2 455 H17.4.30 38 H19.10.12 40 症状固定時 27 年 6,250,911 × 0.14 × 14.643 13 京都地裁 H24.4.11 交民
45 2 466 H19.9.3 22 H21.9.5 24 事故時 43 年 5,547,200 × 1.00 ×(17.774−1.8594)佐藤明裁判官
14 東京地裁 H24.4.26 交民
45 2 499 H17.2.8 33 H17.8.12 33 症状固定時 10 年
(4 年,6 年)
5,439,512 ×(0.09 × 4 年ライプ 3.546 + 0.14 ×(10 年ライプ 7.7217
−3.546))
83
後遺障害逸失利益の中間利息控除の基準時について15 さいたま
地 裁 H24.5.11 交民
45 3 602 H20.4.25 49 H21.9.29 50 症状固定時 17 年 647 万× 0.09 × 11.2741 16 大阪地裁 H24.5.17 交民
45 3 650 H17.11.17 54 H19.9.20 56 症状固定時 13 年 9,722,386 × 0.27 × 9.3936 17 横浜地裁 H24.5.30 交民
45 3 703 H19.6.1 39 H21.1.30 41 症状固定時 10 年 5,424,000 × 0.14 × 7.7217
18 東京地裁 H24.6.20 交民
45 3 732 H19.11.20 52 H20.12.19 53 症状固定時 17 年
(障 害 の 程 度と平均余 命を踏まえ て)
3,499,900 × 1.00 × 11.2741
19 東京地裁 H24.7.17 交民
45 4 792 H18.9.25 36 H20.9.29 38 症状固定時 29 年 6,657,333 × 0.45 × 15.1411 20 東京地裁 H24.7.17 交民
45 4 820 H20.1.24 60 H22.2.23 62 症状固定時 10 年 3,949,900 × 1.00 × 7.7217 21 東京地裁 H24.7.18 交民
45 4 846 H20.5.6 55 H22.5.17 57 症状固定時 10 年 3,138,120 × 0.30 × 7.7217 22 大阪地裁 H24.7.25 交民
45 4 868 H18.9.15 29 H19.8.31 30 症状固定時 37 年 6,807,600 × 1.00 × 16.7112
23 大阪地裁 H24.7.30 交民
45 4 933 H17.7.14 18 H22.9.11 23 症状固定時 44 年 5,230,200 × 0.79 × 17.663
田中俊行裁判官 事故から症状固定まで 5 年 か か っ た 事 案 で あ る が,症状固定後の保険代 位 に よ る 求 償 請 求 で あ り,遅延損害金の起算日 が保険金支払日の翌日と なっている。
24 横浜地裁 H24.7.30 交民
45 4 922 H18.6.14 49 H22.7.5 52 症状固定時 15 年 3,459,400 × 0.20 × 10.3797 25 横浜地裁 H24.7.31 交民
45 4 940 H17.6.8 24 H20.1.17 26 症状固定時 10 年 4,400,100 × 0.35 × 7.7217 26 東京地裁 H24.8.24 交民
45 4 976 H20.10.4 26 H21.10.28 27 症状固定時 40 年 4,860,600 × 0.79 × 17.1591
84
後遺障害逸失利益の中間利息控除の基準時について法学研究 98号(2015年1月)
28 名古屋地裁 H24.8.29
45 4 1051 H18.6.3 38 H20.7.24 40 症状固定時 27 年 3,853,600 × 0.14 × 14.6430
29 東京地裁 H24.9.5 公民
45 5 1096 H21.4.22 54 H21.12.2 54 症状固定時 13 年
新聞販売店経営者であるが症状固 定日から 3 年間は妻が事業に従事 するための費用を逸失利益とし,
その後の 10 年間は事故前年の純収 入に一部の固定経費を合計した額 を基礎収入額とした。
3,640,000 × 1.00 × 2.7232 7,748,624 × 1.00 ×(9.3936 − 2.7232)
30 岡山地裁 H24.9.13 交民
45 5 1142 H17.2.22 7 H20.9.16 10 症状固定時 18 歳から 49 年
5,298,200 × 0.56 × 12.2973(10 歳 から 67 歳までの係数から,10 歳 から 18 歳までの係数を引いた係数)
31 大阪地裁 H24.9.14 交民
45 5 1151 H19.8.9 49 H21.6.17 51 症状固定時 16 年 2,716,812×0.235×10.8377
32 大阪地裁 H24.9.19 交民
45 5 1164 H18.3.15 44 H20.1.31 46 症状固定時 21 年
(10年,11年)
7,124,221 × 0.20 × 7.7217 7,124,221 × 0.79 × 5.0994(21 年 ライプ−10 年ライプ)
33 東京地裁 H24.9.28 交民
45 5 1216 H19.5.24 23 H20.12.31 24 症状固定時 43 年 5,503,900 × 0.45 × 17.5459 34 東京地裁 H24.10.11 交民
45 5 1239 H20.5.19 24 H21.11.4 25 症状固定時 42 年 5,292,000 × 0.80 × 17.4232 35 京都地裁 H24.10.17 交民
45 5 1272 H18.1.15 28 H23.4.19 35 症状固定時 32 年 4,853,100 × 1.00 × 15.8027 36 名古屋地裁 H24.10.26 交民
45 5 1314 H19.10.13 30 H21.9.9 32 症状固定時 35 年 393,161 × 12ヶ月× 1.00 × 16.3742 37 横浜地裁 H24.10.31 交民
45 5 1322 H19.12.11 35 H22.7.27 38 症状固定時 29 年 4,810,229 × 0.20 × 15.1411
38 名古屋地裁 H24.11.27 交民
45 6 1370 H20.6.21 10 H22.5.26 12 症状固定時 18 歳から 49 年
4,667,200 × 0.05 × 13.5578(12 歳 か ら 67 歳 ま で の 係 数 か ら,12 歳 から 18 歳までの係数を引いた係数)
85
後遺障害逸失利益の中間利息控除の基準時について39 大阪地裁 H24.12.12 交民
45 6 1455 H20.2.10 46 H22.11.1 49 症状固定時 10 年 3,904,825 × 0.14 × 7.7214
飛行機内事故のため自賠 責による等級認定がない。
事故時年齢は判決の記載 によったが,誕生日(S 35.11.18) か ら 計 算 す る と満 47 歳。
40 京都地裁 H24.12.17 交民
45 6 1478 H13.12.4 44 H17.1.5 47 事故時 10 年 3,434,400 × 0.10 ×(9.3935−2.73232)佐藤明裁判官 41 東京地裁 H24.12.18 交民
45 6 1495 H18.11.18 28 H20.2.22 30 症状固定時 37 年 5,503,900 × 0.79 × 16.7113
42 京都地裁 H24.12.19 交民
45 6 1532 H19.8.2 43 H21.2.18 45 事故時 22 年
競輪選手(当初 5 年間は前年収入 を,その後 17 年間は賃金センサス を基礎収入とした。)
5,894,240 × 0.14 ×(5.7863 − 1.8594)
5,298,200 × 0.14 ×(13.7896−
5.7863)
佐藤明裁判官
43 横浜地裁 H24.12.20 交民
45 6 1548 H21.10.10 35 H22.9.16 36 症状固定時 31 年 720 万× 0.14 × 15.5928 44 東京地裁 H24.12.21 交民
45 6 1556 H21.8.21 43 H23.5.20 45 症状固定時 22 年 6,072,140 × 0.05 × 13.1630 45 東京地裁 H25.1.16 交民
46 1 49 H11.2.20 32 H14.9.30 36 症状固定時 31 年 4,891,766 × 0.05 × 15.5928 = 3,813,816
46 大阪地裁 H25.1.16 交民
46 1 63 H21.7.1 23 H21.12.14 24 症状固定時 43 年 3,468,800 × 0.20 × 17.5479 = 12,174,031
事故年と症状固定年が同 年
47 大阪地裁 H25.1.24 交民
46 1 103 H20.8.7 14 H21.1 15 症状固定時 19 歳から 48 年
5,298,200 × 0.27 ×(18.4181−
3.5460)= 21,274,747
48 名古屋地裁 H25.1.24 交民
46 1 116 H15.11.4 17 H16.5? 18? 症状固定時
症状固定の 3 年 後 か ら 49 年後まで 46 年
3,791,200 × 0.12 ×(18.1687−
2.7232)= 7,026,837
86
後遺障害逸失利益の中間利息控除の基準時について法学研究 98号(2015年1月)
49 東京地裁 H25.1.28 交民
46 1 140 H21.4.19 24 H22.10.2 25 症状固定時 10 年
(就労の始 期は 26 歳)
階に分けて算定しているが,26 歳
〜29 歳までの分については次のと おり算定している。
4,191,800 × 0.05 ×(3.5460−0.9524)
= 543,592 50 大坂地裁 H25.1.29 交民
46 1 162 H19.2.22 35 H20.7.1 36 症状固定時 31 年 3,551,358 × 0.30 × 15.5928 = 16,612,684
51 東京地裁 H25.1.30 交民
46 1 176 H14.11.21 59 H18.10.31 63 症状固定時
平均余命の 半分である 13 年
3,432,500 × 1.00 × 9.3936 = 27,407,002
52 京都地裁 H25.2.5 交民
46 1 212 H21.7.26 47 H22.6.30 48 症状固定時 症状固定時 から 10 年
5,166,000 × 0.80 × 7.7217 = 3,265,352
事故時説による判決が多 い佐藤明裁判官による症 状固定時説による判決 53 名古屋地裁 H25.2.6 交民
46 1 224 H22.5.3 58 H23.3.31 59 症状固定時 11 年 3,017,534 × 0.09 × 8.306 = 2,255,727
54 京都地裁 H25.2.14 交民
46 1 246 H16.10.10 42? H20.12.8 46 症状固定時 21 年 7,807,927 × 0.20 × 12.8211 = 20,021,242
55 名古屋地裁 H25.2.21 交民
46 1 277 H15.11.10 19 H21.7.8 25 症状固定時 42 年 4,705,700 × 1.00 × 17.4232 = 81,988,352
56 福井地裁 H25.3.1 交民
46 2 301 H21.5.5 24 H21.12.28 25 症状固定時 42 年 5,298,200 × 0.40 × 17.4232 = 36,924,639
57 大阪地裁 H25.3.8 交民
46 2 333 H21.5.25 44? H22.7.13 46 症状固定時 21 年 2,325,850 × 1.00 × 12.821 = 29,819,722
58 東京地裁 H25.3.13 交民
46 2 353 H19.12.29 62? H22.12.24
H23.1.14 65 症状固定時 12 年 9,600,000 × 0.14 × 8.8633 = 11,912,275
59 名古屋地裁 H25.3.19 交民
46 2 419 H18.5.12 8 H20.5.14
H20.5.22 10 症状固定時 18 歳から 49 年
5,503,900 × 0.79 × 12.2973 = 53,469,656
60 横浜地裁 H25.3.26 交民
46 2 445 H19.4.27 21? H20.7.14 23 症状固定時 就労開始 25 歳から 42 年
6,686,800 × 0.80 ×(17.6628−
1.8594)= 84,539,340
61 大阪地裁 H25.3.27 交民
46 2 491 H18.7.15 23
(大学生)H19.10.10 24 症状固定時 43 年 6,729,800 × 1.00 × 17.5459 =
118,080,397 医療過誤との競合
87
後遺障害逸失利益の中間利息控除の基準時について62 さいたま
地裁 H25.4.16 交民
46 2 539 H11.3.8 33 H20.11.14 43 症状固定時 24 年 5,316,000 × 0.92 × 13.7986 = 67,485,088
63 東京地裁 H25.4.26 交民
46 2 577 H19.10.25 41? H20.7.末 42 症状固定時 25 年
基礎収入を定年時(60 歳)までの 18 年間と 60 歳から 67 歳までの 7 年間で分けているが,当初の 18 年 間分は次のとおり算定している。
8,007,323 × 0.20 × 11.6896
64 大阪地裁 H25.5.21 交民
46 3 616 H21.7.13 55 H22.1.20 56 症状固定時 10 年
基礎収入を当初 5 年間までとその 後の 5 年間で分けているが,当初 の 5 年間分は次のとおり算定して いる。
5,367,232 × 0.09 × 4.329 = 2,091,127
65 東京地裁 H25.5.28 交民
46 3 677 H20.7.12 58 H22.9.22 60 症状固定時 11 年 4,724,014 × 0.35 × 8.3064 = 13,733,842
66 東京地裁 H25.5.29 交民
46 3 682 H14.6.1 23 H22.4.9 31 症状固定時 20 年 4,619,000 × 0.14 × 12.4632 事故から症状固定まで 8 年 かかった事案
67 大阪地裁 H25.5.30 交民
46 3 707 H20.8.13 18 H22.3.10 19
(就労開 始 21)
事故時 21 歳から 46 年
3,459,400 × 0.25 ×(18.1687−2.7232)
= 13,358,041 横地大輔裁判官
68 東京地裁 H25.6.28 交民
46 3 811 H22.3.5 36? H23.8.9 38 症状固定時 29 年 4,214,080 × 0.35 × 15.1411 = 22,332,032
69 横浜地裁 H25.6.28 交民
46 3 831 H22.3.11 39? H23.4.1 41 症状固定時 26 年 3,459,400 × 0.14 × 14.3752 = 6,962,139
70 大阪地裁 H25.6.28 交民
46 3 842 H21.10.31 54 H23.3.26 56 症状固定時 11 年
会社役員の事故前収入の 30%を経 済的不利益(業務対応部分)と認 定した。4,610,000×8.3064=
38,292,504
71 名古屋地裁 H25.6.28 交民
46 3 856 H22.1.18 55 H23.8.17 57 症状固定時 10 年
基礎収入を定年までの 3 年間,60 歳から 64 歳まで,65 歳から 67 歳 までに分けているが,当初の 3 年 間分は次のとおり算定している。
8,391,990 × 0.20 × 2.7232 = 4,570,613