HIV 検出ウエスタンブロット診断薬の評価と わが国における HIV 検査における使用法の検討
国立感染症研究所エイズ研究センター
草 川 茂
(平成 30 年 5 月 1 日受付)
(平成 30 年 11 月 12 日受理)
Key words : HIV-1, HIV-2, confirmatory test, Western blot
要 旨
2013 年から 2015 年に収集した国内 HIV-1 陽性 89 検体と市販の抗 HIV-1/2 抗体陽性パネルに含まれる 34 検体を用いて,HIV-1 と HIV-2 それぞれのウエスタンブロット診断薬であるラブ ブロット 1 とラブ ブロッ ト 2 の性能と HIV-1/2 陽性検体に対する交差反応性について評価を行った.ラブ ブロット 1 を用いた国内 HIV-1 陽性検体の検出に大きな問題はなく,Env のバンドだけを用いる WHO 基準に比べ,Env のバンドに 加え Gag p24 のバンドも用いる CDC 基準に従うと,HIV-1 陽性と判定できる例が 95.5% から 98.9% に増加 した.一方ラブ ブロット 2 との交差反応を検討した結果,添付文書に記載の判定基準では 12 検体が HIV-2 陽性と判定され HIV-1/2 鑑別不能となったが,WHO 基準ではこれらはすべて HIV-2 判定保留となった.抗 HIV-1/2 抗体陽性パネル検討の結果,ラブブロット 1 で測定し WHO 基準で判定した場合に比べ,CDC 基 準で判定した場合に HIV-1 陽性検体の検出感度は 46.2% から 84.6% に高まったが,HIV-2 陽性 13 検体中 6 検体(46.2%)が HIV-1 も陽性と判定されたため,HIV-1/2 鑑別不能となった.我が国における HIV 流行の 状況を考えると,確認検査法としてまずラブ ブロット 1 を用い,ラブ ブロット 1 陰性又は判定保留で,HIV- 1 核酸増幅検査が陰性の場合,HIV-2 感染リスクも考慮した上でラブ ブロット 2 を用いて確認検査を行うこ とが推奨されるが,ラブ ブロット 1 とラブ ブロット 2 を並行して使用する検査フローで,ラブ ブロット 1/
2 を HIV-1/2 鑑別診断の目的で使用する場合は,WHO 基準を用いるのが望ましいと思われる.
〔感染症誌 93:12〜17,2019〕
序 文
2008 年に日本エイズ学会・日本臨床検査医学会に より呈示された「診療における HIV-1/2 感染症の診 断ガイドライン 2008」
1)に記されている通り,現在 HIV スクリーニング検査の陽性例に対し,真の HIV 感染 陽性例を確定診断するため,ウエスタンブロット法
(WB 法)による確認検査が実施される.我が国にお ける HIV 感染例のほとんどは HIV-1 によるものであ るが,愛知県における 5 例の HIV-2 感染例の報告を 受けて,平成 21 年に通知「医療機関および保健所に 対 す る HIV-2 感 染 症 例 の 周 知 に つ い て(健 疾 発 第 0203001 号)」が発出されて以降,弊所に対しラブ ブ ロット 1 とラブ ブロット 2 を用いた HIV-1/2 鑑別診
断法についての問い合わせや,行政検査の依頼につい て相談を受けるケースが増えている.ラブ ブロット 1 添付文書には HIV-2 陽性検体との交差反応に関する 記載は無く,ラブ ブロット 2 添付文書には HIV-1 陽 性 131 検体のうち 21 検体が HIV-2 陽性と判定された ことが示されているが,バンドの観察結果については 記載されていない.ペプチラブ 1,2(バイオ・ラッド ラボラトリーズ)が HIV-1/2 抗体鑑別の用途で使用 可能であるが,準備されている検査施設は限られてい る.ラブ ブロット 1 とラブ ブロット 2 はいずれも 1990 年に製造販売承認を受けた診断薬であり,最近 収集された検体への対応について再評価するととも に,HIV-1 陽性および HIV-2 陽性検体を用いた交差 反応性に関する検討を行い,HIV-1/2 鑑別診断の一助 とすべく,その結果を報告することが必要と考えた.
本研究では,国内 HIV-1 陽性検体,市販の抗 HIV-1/
原 著
別刷請求先:(〒162―8640)東京都新宿区戸山 1―23―1 国立感染症研究所エイズ研究センター
草川 茂
Table 1 Criteria for determination of HIV-1/HIV-2 by NEW LAV BLOT I and II (a) Interpretation of NEW LAV BLOT I/II
New LAV BLOT I Positive Negative Indeterminate
WHO criteria 2 or more Env bands no specific bands other profiles
CDC criteria 2 or more gp160/120,
gp41 or p24 bands
no specific bands other profiles
New LAV BLOT II Positive Negative Indeterminate
WHO criteria 2 or more Env bands no specific bands other profiles Package insert Gag+Pol+Env bands no specific bands other profiles
(b) Determination of HIV-1/HIV-2
NEW LAV BLOT II NEW LAV BLOT I
Positive Indeterminate Negative
Positive HIV Pos Untypable§ HIV-2 Positive
HIV-1 Indeterminate
HIV-2 Positive
Indeterminate HIV-1 Positive
HIV-2 Indeterminate
HIV Indeterminate HIV-2 Indeterminate
Negative HIV-1 Positive HIV-1 Indeterminate HIV Negative
§HIV Pos Untypable: HIV positive, untypable
Table 2 Determination of HIV-1/HIV-2 of HIV-1 positive specimens in Japan
New LAV BLOT II
New LAV BLOT I
WHO criteria CDC criteria
Positive Indeterminate Positive Indeterminate
WHO criteria Positive 0 0 0 0
Indeterminate 85 4 88 1
Package insert Positive 12 0 12 0
Indeterminate 73 4 76 1
2 抗体陽性パネルを用いた WB 法診断薬の評価を行 い,国内における HIV-1/2 鑑別診断法に適したラブ ブロット 1/2 の使用法について考察した.
材料と方法
1.使用した診断薬
ラブ ブロット 1 およびラブ ブロット 2(いずれも バイオ・ラッドラボラトリーズ)を使用した.ラブ ブロット 1 の判定は WHO 基準
2)(3 つの Env のバン ドのうち 2 つが検出されれば陽性),CDC 基準
3)(Env gp160/gp120,Env gp41,Gag p24 のバンドのうち 2 つが検出されれば陽性)の 2 法で行った(Table 1a).
ラブ ブロット 2 の判定は添付文書に記載された方法
(Env,Gag,Pol のバンドがそれぞれ 1 つ以上検出さ れれば陽性),WHO 基準
2)4)(3 つの Env のバンドのう ち 2 つが検出されれば陽性)の 2 法で行った(Table 1a). HIV-1/2 の鑑別は, Table 1bに示した基準で行っ た.
2.検体
国内 HIV-1 陽性検体として,「標準血清パネル及び 遺伝子多型標準品作成等事業」において,「「献血血液 の研究開発等への使用に関する指針」に基づく公募」
により日本赤十字社から 2013〜2015 年に譲渡を受け,
コバス TaqMan HIV-1 オート Ver.2.0(ロシュダイア グノスティクス)で HIV-1 陽性を確認した 89 検体を 用いた.HIV-1/2 鑑別性能の評価のため,市販の抗 HIV-1/2 抗体陽性パネル,Anti HIV-1/2 Combo Per- formance Panel PRZ201(HIV-1 陽性 6 検体,HIV-2 陽性 6 検体,HIV 陽性鑑別不能 1 検体,HIV スクリー ニング検査陽性確認検査陰性 1 検体,HIV 陰性 1 検 体),PRZ202 (HIV-1 陽性 7 検体,HIV-2 陽性 7 検体,
HIV 陰性 1 検体)(いずれも Seracare Lifescience)を 上記の診断薬で測定した.
成 績
1.国内 HIV-1 陽性検体の測定
ラブ ブロット 1 を用いた測定では,89 検体中 85 検体(95.5%)で 2 本以上の Env のバンドが認められ,
WHO,CDC 両方の基準で HIV-1 陽性と判定された
(Table 2).3 検体は Env gp160 と Gag p24 のバンド
が検出されたが Env gp120 と gp41 のバンドが認めら
れず,1 検体は p24 のバンドが観察されたが 3 つの
Env のバンドは全て認められなかった(Fig. 1). WHO
基準ではこれら 4 検体,CDC 基準では後者の 1 検体
Table 3 Detection frequency of three Env and Gag p24 bands when HIV-1 positive specimens in Japan were tested with NEW LAV BLOT I
Env gp160
Env gp120
Env gp41
Gag p24
+ 88 85 81 89
− 1 4 8 0
Frequency (%) 98.9 95.5 91.0 100
Fig. 1 The results of HIV-1 indeterminate specimens tested with NEW LAV BLOT I
Gag p55 Env gp160
Gag p24/25
Gag p55 Pol p68/66 Env gp160
Gag p24/25 Pol p34/31
Gag p24/25 Gag p55
Pol p68/66 Pol p52/51 Env gp160
Gag p40
Gag p24/25 Pol p34/31
Gag p18/17
HIV-1 indeterminate based on the WHO
criteria and positive following the CDC criteria
HIV-1 indeterminate based on both criteria
P: HIV-1 positive S: HIV-1 indeterminate based on the WHO and/or CDC criteria P
S SP P S P S
が HIV-1 判定保留となった(Table 2).陰性と判定 された検体はなかった(Table 2).ラブ ブロット 1 で判定に重要な 4 本のバンドが検出できた割合は,
Env gp160 が 98.9% (88/89), Env gp120 が 95.5% (85/
89),Env gp41 が 91.0%(81/89),Gag p24 が 100%
(89/89)であった(Table 3).
ラブ ブロット 2 との交差反応を調べたところ,89 検体中 86 検体(96.6%)で Gag p26 のバンドが認め られ,次いで Pol p34(38/89,42.7%),Pol p68(27/
89,30.3%),Env gp105(21/89,23.6%)のバンドが 観察された(Table 4).いずれかの Pol のバンドが認 められた検体は 47 検体(52.8%)であった(Table 4).
一方 Env gp140 と gp36 特異的なバンドが検出された 検体はなく,Gag p56 のバンドを認めた検体は 5 検体 で交差反応性が低かった(Table 4).添付文書に記載 の基準による判定に従うと,Env gp105,Gag p26 の バンドに加えて Pol p34 あるいは Pol p68 またはその 両 方 の バ ン ド が 検 出 さ れ た こ と に よ り,12 検 体
(13.5%)が HIV-2 も 陽 性 と 判 定 さ れ た(Table 2).
一方,WHO 基準で判定した場合には,すべて HIV-2 判定保留であった(Table 2).ラブ ブロット 1 で WHO 基準 HIV-1 判定保留となった 4 検体はすべてラ ブ ブロット 2 のいずれの判定基準においても HIV-2 判定保留であった(Table 2).
2.抗 HIV-1/2 抗体陽性パネルの測定
Anti HIV-1/2 Combo Performance Panel PRZ201 と PRZ202 をラブ ブロット 2 で測定し添付文書の基 準で判定したとき,Gag または Pol のバンドとの交差 反応が観察され,HIV-1 陽性 13 検体のうち 12 検体が 判定保留となった(Table 5).HIV-2 陽性 13 検体は,
いずれの判定基準に従った場合でも全て HIV-2 陽性 と判定された(Table 5).
同じパネルをラブ ブロット 1 でも測定し,ラブ ブ
ロット 2 の判定結果と併せて HIV-1/2 の鑑別を行っ
Table 4 Detection frequency of HIV-2 specific bands when HIV-1 positive specimens in Japan were tested with NEW LAV BLOT II
Env Gag Pol
gp140 gp105 gp36 p56 p26 p16 p68 p34 p68 and/or p34
+ 0 21 0 5 86 14 27 38 47
− 89 68 89 84 3 75 62 51 42
Frequency (%) 0 23.6 0 5.6 96.6 15.7 30.3 42.7 52.8
Table 5 Determination of HIV-1/HIV-2 of HIV-1/2 Combo Performance Panel with NEW LAV BLOT II
Datasheet WHO criteria Package insert Pos$ Ind# Neg‡ Pos$ Ind# Neg‡
HIV-1 positive 0 12 1 0 12 1
HIV negative 13 0 0 13 0 0
Indeterminate 0 1 0 0 1 0
HIV-2 positive 4 0 3 4 0 3
$Pos: Positive #Ind: Indeterminate ‡Neg: Negative
た(Table 6).ラブ ブロット 1 を WHO 基準で判定 した時,HIV-1 陽性 13 検体のうち 6 検体で gp160 以 外の Env のバンドが検出されず判定保留となった
(Table 6a).CDC 基準で判定した場合,そのうち 5 検体は Env gp160 に加え Gag p24 のバンドが検出さ れたことにより HIV-1 陽性と判定され,判定保留は 1 検体であったが(Table 6b),HIV-2 陽性 13 検体のう ち 6 検体で,Env gp160 と Gag p24 のバンドとの交 差反応により HIV-1 陽性判定となり,HIV-1/2 両方 が陽性判定となったため鑑別不能となった(Table 6 b).
考 察
HIV ス ク リ ー ニ ン グ 検 査 法 に は IC 法,PA 法,
ELISA 法, CLIA 法があり,検出感度を優先し,0.1〜
0.3% 程度の偽陽性が発生するが偽陰性を出さない(真 の感染者を見落とさない)ように開発されている.ス クリーニング検査で陽性または判定保留となった場合 でも,偽陽性である可能性が否定できないので,必ず 確認検査を行う.確認検査法には,より特異性が高い ウエスタンブロット(WB)法が用いられる.国内で は,抗 HIV-1 抗体検出用のラブ ブロット 1,抗 HIV- 2 抗体検出用のラブ ブロット 2 がそれぞれ市販され ている.
国内における HIV 感染のほとんどは HIV-1 による ものであるが,平成 21 年に,愛知県における 5 例の
HIV-2 感染例の報告を受けて,通知「医療機関および
保健所に対する HIV-2 感染症例の周知について(健 疾発第 0203001 号)」が発出されて以降,HIV-1/2 鑑 別診断についての問い合わせを受ける機会が増えてい
る.
ラブ ブロット 1 を用いた国内 HIV-1 陽性検体の測 定結果から,添付文書に記された WHO 基準より, Gag p24 を加えた CDC 基準を用いることで検出感度が高 まることが示された(Table 2).しかしながら CDC 基準を用いた場合, HIV-2 陽性 13 検体中 6 検体が Env gp160 と Gag p24 のバンドと交差反応を示し HIV-1/2 鑑別不能となった(Table 6b).本研究で使用した国 内 HIV-1 陽性検体すべてで Gag p24 のバンドが検出 されたこと(Table 3)に加え,Gag p24 に対する抗
体が HIV-1 感染の比較的早期から検出されることが
知られていることからも,確認検査法として CDC 基 準を考慮することは,HIV-1 感染急性期における判定 保留例を減らすことに寄与すると思われるが,HIV-2 感染リスクが高い症例で HIV-1/2 鑑別の目的で使用 する場合には,WHO 基準を用いることが有効である と思われた.
ラブ ブロット 2 を用いて国内 HIV-1 陽性 89 検体 を測定した結果,3 つの Env のバンドを用いる WHO 基準で判定した場合にはすべて判定保留であったのに 対し,添付文書に記載の基準による判定では 12 検体
(13.5%)が HIV-2 陽 性 と 判 定 さ れ た(Table 2).添 付文書に記載された判定基準では Env,Gag,Pol の バンドがそれぞれ 1 つ以上検出されれば陽性と判定す るが,89 検体中 86 検体(96.6%)で Gag p26 のバン ドが,47 検体(52.8%)で Pol p34 または p68 の少な くとも 1 本のバンドが観察された(Table 4).一方 Env gp140 と gp36 特異的なバンドが検出された検体はな く(Table 4),HIV-1/2 鑑別の目的では,3 つの Env のバンドのうち 2 つが検出されれば陽性とする WHO 基準に従って判定した方が良いと思われる.
市販の抗 HIV-1/2 抗体陽性パネルの測定では,国 内 HIV-1 陽性検体測定の結果と異なり,HIV-1 陽性 検体がラブ ブロット 2 で陽性と判定されることはな かった(Table 5).ラブ ブロット 1 の結果を WHO 基準で判定した時に,HIV-1 陽性 13 検体中 6 検体で Env のバンドが 1 本しか検出されず判定保留となっ たことから,本パネルに含まれる HIV-1 陽性検体の 抗体価が比較的低い可能性が示唆された(Table 6).
一方,HIV-2 陽性検体をラブ ブロット 2 で測定した
Table 6 Determination of HIV-1/HIV-2 of HIV-1/2 Combo Performance Panel with New LAV BLOT I and II
(a) Interpreted New LAV BLOT I results based on the WHO criteria
Datasheet HIV-1 Pos$ HIV-2 Pos$ HIV Pos$ Untypable Ind# HIV Neg‡
HIV-1 positive 6 0 0 6 1
HIV-2 positive 0 13 0 0 0
Indeterminate 0 0 0 1 0
HIV negative 0 0 0 0 3
(b) Interpreted New LAV BLOT I results based on the CDC criteria
Datasheet HIV-1 Pos$ HIV-2 Pos$ HIV Pos$ Untypable Ind# HIV Neg‡
HIV-1 positive 11 0 0 1 1
HIV-2 positive 0 7 6 0 0
Indeterminate 0 0 0 1 0
HIV negative 0 0 0 0 3
$Pos: Positive #Ind: Indeterminate ‡Neg: Negative
時,いずれの判定基準に従ってもすべて HIV-2 陽性 と判定された(Table 5).ほとんどの HIV-2 特異的 なバンドが検出されていたことから,これらの検体は 抗体の産生が十分な無症候期以降の検体と考えられ た.
HIV-2 感染例を見過ごさないことは重要であるが,
これまでにわが国で報告された HIV-2 感染例は来日 外国人,HIV-2 流行地域への渡航者やそのパートナー
であり
5)〜7).まずは聞き取りによって HIV-2 感染リス
クがあるかどうかを確認することが重要である.国内 における HIV 感染のほとんどが HIV-1 によるもので あること,さらに現在製造販売承認を受けている HIV スクリーニング検査試薬は,すべて HIV-2 感染例に も対応できることが確認されているので,まずスク リーニング検査を行い陽性あるいは判定保留となった 検体の確認検査法としてはラブ ブロット 1 を用いる.
ラブ ブロット 1 陰性又は判定保留で,HIV-1 核酸増 幅検査で陰性の場合,ラブブロット 2 を用いて確認検 査を行うことが推奨される.本研究において,添付文 書記載の基準と WHO 基準のいずれの基準に従って 判定した場合においても,すべての HIV-2 陽性検体
は HIV-2 陽性と判定されていることから,このケー
スではいずれの基準で判定しても問題はないと思われ る.一方 HIV-2 感染リスクを考慮してラブ ブロット 1 とラブ ブロット 2 による測定を並行して実施する 場合には,HIV-1 陽性検体がラブ ブロット 2 の Gag,
Pol に高い交差反応を示すことを考慮し,HIV-1/2 鑑 別診断の基準を定めておく必要がある.本研究の結果 は,ラブ ブロット 1/2 ともに WHO 基準で鑑別する のが望ましいことを示唆している.
本研究の成果は,HIV-2 感染例を念頭においた HIV 感染診断フロー構築の一助となると考えられる.
謝辞:本研究は国立研究開発法人日本医療研究開発
機構(AMED)の医薬品等規制調和・評価研究事業 ならびに厚生労働省・標準血清パネル及び遺伝子多型 標準品作成等事業の支援によって行われました.研究 遂行にあたり,一般社団法人日本臨床検査薬協会,バ イオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社,日本赤十字 社,国立感染症研究所血液・安全性研究部 浜口功先 生,同エイズ研究センター 巽正志先生にご協力・ご 助言いただきましたことを感謝いたします.
本論文の要旨は,第 92 回日本感染症学会学術講演 会にて発表した.
利益相反自己申告:申告すべきものなし
文 献1)山本直樹,宮澤幸久:診療におけるHIV-1/2 感 染症の診断ガイドライン2008(日本エイズ学会・
日本臨床検査医学会標準推奨法).日本エイズ学 会誌 2009;11:70―2.
2)World Health Organization, Geneva : Acquired immunodeficiency syndrome(AIDS):Proposed WHO criteria for interpreting results from western blot assays for HIV-1, HIV-2, and HTLV-I/HTLV-II. Wkly Epidemiol Rec 1990;
65(37):281―3.
3)Centers for Disease Control prevention:Inter- pretive criteria used to report Western blot re- sults for HIV-1-antibody testing -- United States.
Morb Mortal Wkly Rep 1991;40(40):692―5.
4)World Health Organization, Geneva : Acquired immunodeficiency syndrome ( AIDS ):Recom- mendations for the interpretation of HIV-2 western blot results. Wkly Epidemiol Rec 1990;65(10):74―5.
5)Kusagawa S, Imamura Y, Yasuoka A, Hoshino H, Oka S, Takebe Y:Identification of HIV type 2 subtype B transmission in East Asia. AIDS Res Hum Retroviruses 2003;19(11):1045―9.
6)Utsumi T, Nagakawa H, Uenishi R, Kusagawa S, Takebe Y:An HIV-2-infected Japanese man
who was a long-term nonprogressor for 36 years. AIDS 2007;21(13):1834―5.
7)Ibe S, Yokomaku Y, Shiino T, Tanaka R, Hattori
J, Fujisaki S,et al.:HIV-2 CRF01̲AB : first cir- culating recombinant form of HIV-2. J Acquir Immune Defic Syndr 2010;54(3):241―7.
Evaluation of HIV Western Blot Test Kits for HIV Confirmatory Diagnosis in Japan Shigeru KUSAGAWA
AIDS Research Center, National Institute of Infectious Diseases