• 検索結果がありません。

Stutus and Problems in Online Data Processing

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "Stutus and Problems in Online Data Processing"

Copied!
26
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

520 特 集 ・オ ン ラ イ ン デ ー タ 処 理 の 現 状 と問 題 点 日本 原 子 力 学 会 誌

特 集 ・オ ン ラ イ ンデ ー タ 処 理 の 現 状 と 問 題 点

Stutus and Problems in Online Data Processing

(日 立)和 嶋 常 隆,(原 研)小 山 謹 二,(動 燃)柴 公 倫,(東 北 大)小 山 田 正 幸, (武 工 大)村 田 裕,(都 立 大)山 形 武 虎,(放 医 研)飯 沼 武 ・福 久 健 二 郎, (NAIG)門 田 一 雄 ・安 藤 泰 正,(日 立)大 沢 康 男 ・(原研)飯 田 浩 正, (日 立)井 上 清,(京 大炉)神 田 啓 治 ・林 正 俊 ・藤 根 成 勲 I. ま え が き II. 多 目 的 デ ー タ 処 理 シ ス テ ム III. 単 目 的 デ ー タ 解 析 シ ス テ ム IV. そ の 他 V. あ とが き I. ま え が き 多 量 の デ ー タ を実 時 間 で処 理 しなけ れ ば な らな い現 象 や シス テ ムが,科 学 技 術 の発 展 に伴 って 最 近 非常 に 多 くな って き た。 こ のた め に は,検 出器 の よ うな端 末 と計 算 機 が 直 接 オ ン ラ イ ンで 結合 され てい な け れ ば充 分 な効 力 は 発 揮 で き ない 。 オ ン ライ ン に結 合 す る こ と に よ り,計 算機 は対 象 の環 境 を動 的 に把 握 す る こ とが 可 能 とな り,そ の 変化 を 捕 え,予 測 し,対 象 を 最 適 に制 御 す る こ と も可能 とな る。 測 定 され た デ ー タが 実時 間 で 処 理 され 必 要 な 回答 が 出 され るな らば,こ れ は 制御 シ ス テ ムに 直 ち に つ なが る。 一 方,実 時 間 に 至 らな い オ ン ラ イ ンデ ー タ処理 シ ステ ムに は,ま だ 制 御 の 段 階 が 必 要 で ない もの,処 理 に 時 間 を要 す る も の,対 象 と シ ス テ ム を研 究 的 に 結 ん でみ る もの な どが あ るが,い ず れ も多 量 のデ ー タの処 理 を必 要 とす る ため,測 定 され た デ ー タは 高 速 自動 処 理 に適 す る よ う必 要 な 形 式 が 整 え られ て一 旦 記 録 され,可 及 的 速 や か に処 理 され る。 この よ うに,究 極 的 に オ ン ラ イ ン・実 時 間 シス テ ム が 可能 にな って きた の は,シ ス テ ムに対 す る要 求 が 明 確 化 し て きた こ と,ソ フ トウ ェ ア技 術 の発 達 と新 しい 入 出 力装 置 や 補 助 記憶 装置 の開 発 改 良 を含 む ハ ー ドウ ェア の進 歩 した こ と,最 近 の ミニ コン ピ ュー タに 代表 され る低 価 格 高 性 能 の計 算 機 が 比 較 的 手軽 に 利 用 で き る よ うに な り従 来 の ワイ ヤ ドプ ロ グ ラム の分 析 機 に と っ てか わ る よ うに な っ た こ と,な どが 原 因 して い る。 い ず れ に せ よ,単 純 な プ ロ グ ラ ム と単一 の計 算 機 で要 求 を1つ1つ 処 理 して い く簡 単 な もの か ら,多 数 の 入 出 力を もつ 多 重 計 算方 式 の きわ め て 複 雑 な も の まで, そ の シ ス テ ム構 成 は非 常 に多 岐 に わ た ってい る。 こ の よ うな 程度 の差 こそ あ れ,原 子力 の分 野 で も各 種 の実 験 に,あ る いは 制 御 を 指 向 して,オ ン ラ イ ン計 算 機 が と り入れ られ て き てい る。 そ して,1970年2月 に 京 大 炉 短 期研 究 会"原 子 炉 の計 算 機 制 御"が,ま た 同 年4月 に 「炉 中 性子 」研 究 専 門 委 員 会"オ ン ラ イ ン ・コ ン ピ ュー タに よる デ ー タ処 理 の 現 状 と 問 題 点"な どの 研 究 会 が 持 た れ,研 究 者 の この 方 面 へ の 関 心 が 高 ま って き てい る。 この よ うな現 状 に か ん が み,本 「特 集 」を企 画 し,こ の 方面 のわ が 国 の実 情 の紹 介 を 試 み た 。 そ の内 容 は,多 目的 デ ー タ処 理 シス テ ム と単 目的 デ ー タ解 析 シス テ ム に関 す る もの とに 大 別 す る こ とが で き る。 前 者 に は 原 研FCA,動 燃DCA,東 北 大 核 理研 な どの シ ス テム の 例 を,ま た 後 者 に は 泡 箱 と 放 電 箱, RIイ メー ジ,反 応 度 バ ラ ンスな どの 解 析 応 用 例 を あ げ た。 いず れ も原 則 とし て,「特 集 」企 画 時 に す で に 学 会, 講 演 会 な どに発 表 され た 稼 動 中 の シ ス テ ムを 対 象 と し た 。 あ るい は 調査 洩 れ の も の もあ るか も知 れ な い が, そ の時 は ご容 赦 を戴 きた い と思 う。 また 原 子 炉 制 御 に 関 連 した 分 野 は ペ ージ数 の関 係 か ら今 回 の 対 象 か らは ず した が,非 常 に 興 味 の あ り,か つ 今 後 計 算 機 の 応 用 が期 待 され て い る 分野 な の で,機 会 を み て 別 に ぜ ひ 特 集 な どの 形 で企 画 され る こ とを 希 望 す る。 本 「特 集 」の 最 後 には,研 究炉 の オ ンラ イ ン管 理 の1例 を 紹 介 し, また 企 画 後 に 情 報 を入 手 した 原 研 の 核 デ ー タ研 究 関 係 の シス テ ムを簡 単 に紹 介 した 。 本 「特 集 」に 述 べ られ る よ うな シ ス テ ムに は ,処 理 す べ き情 報 の 量 的 な 飛 躍 と同時 に,従 来 のや り方 で は 扱 え なか った 種 類 の もっ と複 雑 な問 題 を 解 決 す る質 的 な 向上,つ ま り計 算 機 に よる実 験 の質 的 革 新 へ の期 待 が 含 まれ て い る。 そ して,最 終 的 には,人 間 が 随 時 必 要 な判 断 を 下 しな が ら計 算機 の 力 を活 用 し,人 間 と計 算 機 が1つ の ルー プを 形成 して ダイ ナ ミッ クに 問題 を処

(2)

理 す る方 式 に 発 展 して い くに 違 い な い 。(和 嶋 常 隆) II. 多 目的 デ ー タ 処 理 シ ス テ ム 1. FCAのMPDA-9*シ ス テ ム (1) シ ス テ ムの使 用 目的 とそ の 構成 に 対 す る 基 本 思 想 MPDA-9シ ス テ ムはFCA**を 制 御す るた め の も ので は な く,FCAに よる各 種 の実 験 お よび 実 験 デ ー タ の解 析 を よ り高 精 度 に,よ り早 く結 果 を 得 る た め に 設 置 され た もの であ る(1)(2)。MPDA-9シ ス テ ムの 付設 を計 画 す る段階 に お い てす でにFCAは 運 転 状 態 に あ り,加 えて 反応 度,中 性 子 束分 布 等 を 測定 す る 主要 測 定 装置 もお の お の設 置 され てお り,さ らに これ らの測 定 装置 等 か ら得 られ た 実 験 デ ー タの 解析 に は,い わ ゆ る小 型 制 御 用計 算機 の 演 算能 力を 大 幅 に越 えた 数値 処 理 を必 要 と して いた(3)。この た め 最 終 的 な デ ータ の数 値 処理 は 大型 計 算 機 を 用 い,そ して 各種 の測 定 は特 殊 な もの を 除 い て既 設 の 測定 装 置 を利 用 す る こ とを前 提 としてMPDA-9シ ステ ム の仕 様 は 定 め られ た。 こ の 仕 様 決 定 に際 して 留 意 した 重 点 項 目を以 下 に 列記 して お く。 (1) 入 力信 号 とそ の デ ー タ形 式 (a) 測 定 用 各 入 力 チ ャ ンネ ルは 原 則 と して バ ッ フ ァー レジス タを 通 して1語 単 位 で転 送 し, 同時 刻 に 測 定 され た 異 種 デ ー タの 読 込み を可 能 に す る。 (b) PHA, TOFユ ニ ッ ト等 を利 用 す る 測 定 の た め に は,計 算 機 と独立 に も動 く波高 分 析 器 を 使 用す る。 そ して後 者 は 前 者 に よ り制 御 さ れ,デ ー タ の転 送 は いず れ の方 向 に も任 意 の ア ドレスか ら任 意 の ア ドレス に行 うこ とが可 能 で あ る こ と。 (c) ソフ トを 介 しプ リセ ッ ト可能 な バ イナ リー ・ス ケ ー ラを 備 え て い る こ と。 この ス ケ ー ラ は,外 部 か らの起 動,停 止 信号 に よ って も制 御 で き る こ と。 (2) 出 力信 号 とそ の デ ー タ形 式 (a) シ ステ ムに接 続 され る各測 定 装 置 の制 御 は, 1語 単 位 で 出 力 され るパ ラ レル 信 号 の ビ ッ ト 構 成 に よ り行 う。 (b) 測 定 結 果 の 出力 は,直 接 大 型 計 算機 の イ ン プ ッ トデ ータ と して 使用 で き る こ と。 (c) 集 め られ た デ ー タは必 要 に 応 じて プ ロッ タ に よ り作 図す る。 そ し て デ ー タの リス トは 最 小 限 に とどめ て テ レタ イ プの み で行 う。 (d) シス テ ムが 拡 張 され る段 階 で,大 型 計 算 機 とオ ン ラ イ ン接 続 の で き る入 出 力端 子 を備 え てい る こ と。 (3) 演 算能 力 お よび プ ロ グ ラム形 式 (a) デ ー タの 集 積 に重 点 を置 くた め 演 算 能 力 が 劣 る こ と もや む をえ ない,特 に 実 数 演 算 用 レ ジ ス タの 有 無 は計 算機 の選 定 規 準 と しな い 。 (b) 使 用 す る プ ロ グ ラム の形 式 は,入 出 力 制 御 の容 易 な ア セ ンブ ラ形 式 と し,フ ォ ー トラ ン 形 式 の プ ロ グラ ムは 使 用 で きな く と も よい。 (2) シス テ ム の構 成 と仕 様 概 要 前 節 で 述 べ た重 点 項 目に 基 い て 構成 した シス テ ムが 第1図 に 示 され て い る。 この シス テ ム は 種 々 の測 定 装 置 か らデ ー タを 集め る こ とを 主 目的 とし て構 成 され て い るが,既 設 の装 置 に は 計 算機 と接続 す るた め の入 出 力 端 子 は 備え られ て い な か った 。 しか もほ とん どす べ て の 装 置 の デ ー タ形 式 は 入 力か らBCD***5桁 の数 で あ る。 この ため デ ー タ集 積 用入 出 力端 子 は1語 単 位 の 転 送 を 標 準型 と し,制 御方 式 も可 能 な 限 り統 一 した。 そ して優 先 割 込 み 機 能 はMPDA-9シ ステ ム内 の 各 入 出 力 端子 ま での 範 囲 で動 作 し,Data READYそ し て RECEIVED等 の制 御 信 号 か ら割 込 み を起 して い る。 こ こ でMPDA-9シ ス テ ム****を構成 して い る 各機 器 の 仕様 の概 略 を 列記 し てお く。 な お,〔 〕内に メー カ を記 す 。 (1) 計 算 機 PDP-9 8k×18 bit 〔DEC〕 サ イ クル ・タ イ ム 1.2μsec 整 数 割 算 速 度 6.0∼15.6μsec デ ー タ 転 送 速 度 277k語/sec 優 先 割 込 み 16チ ャ ン ネ ル40レ ベ ル (2) 一 般 周 辺 機 器 紙 テ ー プ ・リ ー ダ 200ch/sec 〔DEC〕 紙 テ ー プ ・パ ン チ 50ch/sec 〔DEC〕 カ ー ド ・リ ー ダ 200card/sec 〔Burroughs〕 カ ー ド ・パ ン チ 100card/sec 〔Univac〕 磁 気 テ ー プ 送 り 45inch/sec 800BPI 〔HP〕 プ ロ ッ タ 300step/sec 〔Calcomp〕 注 上 記(2)の 項 目 に 記 さ れ て い る 各 機 器 とPDP-9と の イ ン タ ー フ ェ ー ス は す べ てDEC製 で

* Multi-Purpose Data Aquisition system used PDP-9の 略 。

** 原 研 東 海 研 究 所 に 設 置 さ れ て い る 高 速 炉 臨 界 実 験 装 置 の 略 称 。

*

** Binary Corded Decimal (2進 化10進)の 略 。 *

(3)

522 特 集 ・オ ン ラ イ ン デ ー タ 処 理 の 現 状 と 問 題 点 日本 原 子 力 学 会 誌 第1図 MPDA-9シ ス テ ム 構 成 あ る。 (3) 波 高 分 析 器 ND-3300 4k×20bit 〔N.D〕 モ ー ド 2-パ ラ メ ー タ 4-入 力 (4) 特 殊 な 入 出 力 機 器 バ イ ナ リー ・ス ケ ー ラ 18+OVERFLOW bit 〔DEC〕 ダ ブ ル ・パ ル ス 分 解 能 0.1μsec BCD to Binary and Binary to BCD変 換 器

〔JAERI〕 ビ ッ ト長 バ イ ナ リ ー18, BCD 24 bit 変 換 速 度 80k語/sec V-F変 換 器 〔JAERI〕 入 力 ±10Vま た は ±1mA 出 力 max 1MHz, 100kHz, 10kHz 直 線 性 0.1%フ ル ス ケ ー ル 上 に 示 した 特 殊 な入 出力 機 器 の うちBCD to Binary, Binary to BCDの2種 の変 換 器 は,計 算 機 と既 設 測 定 装置 の異 った 形 式 の デ ー タを 互 い に 変換 す る こ とに よ り,両 者 を 同 一 の デ ー タ形 式 の 入 出 力端 子 と見 な し て接 続 す るた め に 用 い る。 この よ うな機 能 は 本 来 ソ フ トに 負 うべ き性 質 の もの であ る。 しか し外 部 測 定 系 が 計 算機 の基 本 語 長 を 越 え る ビ ッ ト数 のBCD形 式 の デ ー タ で統 一 され て い る場 合 ,デ ー タの 読込 み 等 に 必要 な時 間 を 最 小 に す る と同時 に 計 算 機 の メモ リーを 有 効 に 利 用 す るた め に は,こ の種 の変 換 器 を使 用 す るの が 有 利 であ る との判 断に 基 づ き特 に 付 設 した 。 (3) シス テ ムが 整 備 され て 来 た 経 過 と問 題 点 前 項 で 示 され て い る シ ス テ ム は 当初(1969年4月 作 動 開始)か ら 完 成 され た 構 成 で納 入 され た も ので は な い。MPDA-9シ ステ ム は,ま ずPDP-9, ND-3300を 中心 とす る部 分 か ら動 き始 め,こ の 時 点 か ら大 幅 に 遅 れ1970年12月 に カ ー ド・パ ンチが 納 入*さ れ,引 き続 き 別 に発 注 したV-F変 換 器,BCD to Binary変 換 器 等 の 特殊 機 器 が1971年3月 にか け て 納 入 され て い る。 以 上 の よ うな 経 過 を取 った 主 な理 由は,予 算 の問 題 もあ る が,仕 様 決 定 の 段 階 で メ ー カ と原 研 と の間 で シ ス テ ム の構 成 に 対 す る 基 本的 な考え 方 に大 き な相 違 が あ った こ とに起 因 す る所 が 多 い。 す なわ ち,メ ー カはPDP-9 の標 準 型 を 基 本 に 考 え,既 存 の装 置 と の接 続 は 極 端 な ま で に避 け よ うと し,一 方 原 研 として は 可 能 な限 り接 続す る こ とを 仕 様 に組 み 込 も う とした 。 結 局,接 続 を 容 易 にす る一 般 的 な入 出 力端 子 ま で をDECで 作 製 す る こと とな り,他 の部 分 は原 研 が 別 に 作 る こ ととな っ た。 以 上 の よ うな経 過 を た どって シ ス テ ムは 整 備 され て 来 た が,こ の シス テ ム の構 成 お よび 使 用 す る ソフ トに 関 し,今 ま での 使 用経 験 か ら特 に 感 じ た2, 3の 点 を 次 に記 し て お く。 第1に オ ン ラ イ ン シス テ ム は可 能 な * 仕 様 に 合 わ せ る た め 機 種 変 更 が あ っ た の で ,こ の よ うに 遅 れ た 。 30

(4)

限 り実 験 装 置(特 に制 御方 式,デ ー タの 転 送 方 法)を 含 め て同 時 に 企 画作 製 し,1つ の 代表 メー カに 一 括発 注 す る。 第2に 計 算機 の基 本 的 な 入 出 力装 置 の選 択,す な わ ち紙 テ ー プ・リー ダ パ ンチ を 使 用す るか,カ ー ド リ ー ダパ ンチを 使 用 す るか に つ い て は,採 用 した 計 算 機 の 標 準 として い る もの を使 用 し,少 な く とも この 部 分 で は 計 算機 の仕 様 を 変更 し ない 。 第3に オ ン ラ イ ン シ ス テ ムの 使用 目的 を で きる だけ 制 限 し,単 目的 に 近 い シス テ ムを作 る よ う努 力 す る。 これ は われ わ れ の研 究 室 が オ ンラ イ ン シス テ ムを 計 画 した 時 点 と異 り,小 型 の 高性 能 計 算 機 が 比較 的 安 価 に,し か も数 多 く の種 類 が 発 売 され て い る現 在 では,多 目的 を 前 提 と した シ ス テ ムを 構 成す る利 点 が 少 な くな って来 た こ とを 意 味す る。 最 後 にMPDA-9シ ス テ ムを 整備 す る段 階 で予 想 外 に 困 難 で あ った点 を記 し てお く。 それ は 原 研 が特 注 した 部 分 を 制御 す る プ ロ グ ラム,い わ ゆ るI/Oハ ン ド ラ ー の作 製 改造 が非 常 に 困難 であ った。 特 に カ ー ド・ パ ンチ 等 の基 本的 な 機 器 に 関す る もの につ い て,当 初 予 定 して い た 仕様 の ハ ン ドラーを 作 る こ とは1研 究 室 の作 業 量 を 大 幅 に越 えて い る ことが 明 らか に な っ た。 また 既 設 の実 験 装置 と計 算機 システ ム との接 続 も実 験 の 中断 が 問 題 とな り,時 間的 な要 因 か ら大 きな 問題 と な っ てい る。 (4) あ とが き 計 算 機 を利 用 した オ ン ライ ン実 験 に 関連 して,わ れ わ れ の研 究 室 で使 用 して い る シ ステ ムにつ いて の経 験 を 解説 的 に,啓 蒙 的 に,そ し て 今後 利 用 され るで あ ろ う 研 究者 に対 し有 益 な コ メ ン トとな る よ うな紹 介 を との こ とで あ った が,条 件 が あ ま りに も難 か しい。 この た め われ わ れ がMPDA-9シ ステ ムを 設 置 した 目的 と構 成 理 由 を中 心 に 仕様 概 要 を 述 べ,付 録 的 に経 過 と問 題 点 を上 げ るに と どめ た 。実 施 例等 に つ い て は,ま た 別 の 機会 に紹 介 す る こ ともあ る と思 う。(小 山 謹 二) 2. DCAの シ ス テ ム (1) シ ステ ム の設 計 方 針 重 水 臨界 実 験 装置(DCA)は 重 水 減 速圧 力管 型 軽 水 冷 却炉(ATR型 炉)の 研 究 開発 を行 うた めに 設 置 され た もの で あ り,こ の型 の原 子炉 の設 計 製 作 な らび に 運 転 に寄 与す る各 種 デ ー タの 測 定 を 目的 と し て い る た め,高 い精 度 で 短時 日の間 に要 求 され る測定 値 も少 な くな い。 した が って実 験 デ ー タを能 率 よ く 収 集 し,こ れ を 迅 速に 処 理 し,最終 デ ー タを 求め る こ とが 要 求 さ れ る。 しか し今 日では,炉 物 理研 究 の精 密 化 お よび 実 験 技 術 の進 歩 等 に よ り,大 量 の実 験 デ ー タが 扱わ れ る た め,マ ニ ュア ルに よ るデ ー タ処 理 は も と よ り,電 算 機 に よる オ フ ラ イ ン デ ー タ処 理 で も この よ うな 要 求 に 応 え る こ とは難 し く,電 算 機 に よ るオ ン ラ イ ンの デ ー タ収 集 ・処理 シス テ ムに よ るデ ー タ解 析 が 必要 とな る 。 この よ うな 背景 の も とに,DCAで の 当面 の研 究 テ ー マ の 性 質 を考 慮 して,オ ン ラ イ ンな い しは オ ン ラ イ ン ・リアル タイ ム で の デ ー タ処 理 に 重 点 を 置 い た 電 算機 シ ステ ムを採 用 した 。 DCAの シ ス テ ムの 特 色 は,電 算機 の 端末 機 器 とし て 各 種 の 自動 測定 器 を 設 け て 各 測 定器 で 集積 され た デ ー タを オ ン ライ ン で収 集 し,簡単 な 処 理 を行 な っ た後,磁 気 テ ー プな い しは 紙 テ ー プに 出 力 させ る方 式 に あ る。 この よ うな方 式 だ と,デ ー タ処理 が ソフ トで行 え る た め,ソ フ トウ ェアの 多 様 性 を 生 か し て,最 小 自乗 法 程 度 の計 算 を デ ー タ収 集 中 も し くは 収 集直 後 に行 な っ て,2種 以 上 の物 理 量 の 関 係 か らパ ラ メー タ を即 座 に 見 出す こ とが で き る。 さ らに,ソ フ トウ ェア言 語 とし て フ ォー トラ ン相 当 の も のが 使 用 で きれ ば,実 験 の進 展 に伴 うデ ー タ処理 方 法 の変 更 も極 め て 容 易 に 行 え る。 (2) シス テ ム の構 成 と主 要 仕様 DCAに お い て シス テ ム の 構 成 お よび計 算 機 の仕 様 を決 定 す る際 に 考 え られ た 端 末 の 測定 器は (1) 臨 界 実 験 装置 の プ ロセ ス 計 装 (2) 中性 子 束 分布 自動 測 定 装 置 (3) 自動 試 料 交換 器(サ ン プル チ ェン ジ ャ) (4) パ ル スAD変 換 器 (5) ND-3300型 マル チ チ ャン ネ ル ア ナ ライ ザ の5種 で あ る。 また,デ ー タ収 集 と同 時 に行 う計 算 処 理 とし ては,3個 の パ ラメ ー タを 求 め る非 線型 の最 小 自乗法 の計 算 が 行 え る程 度 まで 考 え た 。上 述 した(1)∼ (3), (4), (5)の各 測 定機 器 の デ ー タを 収 集 処 理 す る た め に,計 算機 は 少 な く と も (1) マ ルチ プ レクサ を 含 んだ アナ ロ グお よび デ ィ ジ タ ル入 力 装 置 を有 して い る こ と。 (2) Add-1処 理 を 高速 度 で行 え る こ と。 (3) 高 速 度 デ ー タ転送 回路 を 有 して い る こ と。 等 の機 能 を具 備 して い る必要 が あ る。 次 に,デ ー タ収 集 の み な らず デ ー タの計 算 に も重 点 を お く シ ステ ムが 必 要 で あ るた め,処 理 プ ロ グ ラム の作 成 が,実 験 テ ー マ の 変 更等 に 際 して 容 易 に組 替 えが 行 え る よ うに,フ ォー トラ ン-IV程 度 の コ ンパ イ ラ ー言 語 が 使 用 で き る こ とを要 請 した 。 次 に,シ ス テ ム の 運 用 とし て (1) 2種 以上 の測 定 機 器 か らの デ ー タを 同時 処 理 す る (2) オ ン ラ イ ンに よる デ ー タ処 理 と平 行 して オ フ

(5)

524 集 ・オ ン ラ イ ン デ ー タ 処 理 の 現 状 と問 題 点 日 本 原 子 力 学 会 誌 ラ イ ンで の バ ッチ処 理 が 実 行 で きる。 等 を考 え た が,こ れ らの要 求 を み たす ため に 優 先 度 制 御 を 行 う機 能 が 備わ っ てい る こ とが必 要 であ る。 以 上 述 べ て きた要 求 を も とに組 み立 て られ た シ ステ ム の構 成 図 を 第2図 に示 し て あ る。 採 用 され た 計 算 機 は,東 芝(株)製のTOSBAC-3400モ デ ル31で デ ィス ク 第2図 シ ス テ ム 構 成 図 ベ ース の機 器 であ る。 この シ ス テム の大 き な特 徴 は 直 接 入 力 装 置(DAC)で あ る。 この 装 置 を用 い る こ とに よ り,各 端 末 測 定 機器 と計 算 機 の コア との間 の デ ー タ の 授 受 を演 算 制 御 回路 を経 る こ とな くハ ー ド的 に行 え る よ うに な って い る。 こ のた め,デ ー タを コアへ 書 き 込 む動 作 お よび コアか ら読 み 出す 動 作 が コア ア クセ ス タ イ ム よ り速 い時 間 で行 え る よ うにな って い る 。なお , シ ス テ ム構 成 図 中 に示 され て い る イ ン ク レ メ ン トユ ニ ッ トと シ ー ケ ンス ユ ニ ッ トは,パ ルスAD変 換 器 と組 み 合 わ せ て パ ル ス の波 高 分 析 を行 うもの で あ る。 前 者 はAD変 換 器が 指 定 した ア ドレスの 内 容 をAdd-1す る機 能 を有 して お り,シ ー ケ ンス ユ ニ ッ トはAD変 換 器 の 出 力 を時 系 列 的 に コア の指 定 され た 先頭 番 地 か ら 順 次 書 き込 んで ゆ く機能 を有 して い る もので あ る。 本 シス テ ムに 使 用 され て い る主 要 機 器 の性 能 を 以 下 に列 挙 す る。 記 憶 装 置 (1) 磁 気 記 憶 装 置 容 量 16k語 サ イ クル タ イ ム0.8μsec (2) デ ィ ス ク パ ッ ク 装 置 容 量 2.4M語 演 算 時 間 固定(24bit) 加 減 算 3μsec 乗 算 25μsec 除 算 28μsec 浮 動 (48 bit) 加 減 算 8μsec 乗 算 21μsec 除 算 37μsec 直 接 入 出 力 制 御 装 置 チ ャ ン ネ ル 数16 サ イ ク ル タ イ ム 1.2μsec 動 作 モ ー ド 3種 ア ナ ロ グ ・デ ィ ジ タ ル 入 力 装 置 (1) ア ナ ロ グ 入 力 装 置 入 力 点 数 16点 (2) デ ィ ジ タ ル 入 力 装 置 入 力 点 数 16点 入 力 桁 数 24bit 切 換 時 間 6μsec デ ィス プ レ イ 装 置 有 効 視 野 面 積 80×8mmmm2 分 解 度 1024×1024 表 示 速 度 5μsec/1点 輝 レ ベ ル 4レ ベ ル 32

(6)

イ ン ク レメ ン トユ ニ ッ ト チ ャン ネル 数 16k 計 数 能 力 23bit 動作 時 間 2μsec (3) 主 な 使 用方 法 シス テ ムの 完 成 は1970年4月30日 で,以 後 順 調に 稼 動 を 続 け,DCAに おけ る実 験 デ ー タ処 理 の 迅 速化 に 大 い に 役立 って い る。 計 算機 へ の 割込 み は,端 末測 定 機 器 が 設 置 され て い る部 室か らテ レタ イ プ ラ イタ に よ って行 わ れ るが,AD変 換器 に よ る波 高分 析 に お い て は,処 理 プ ロ グ ラム の選 択 を ハ ー ド的 に ス イ ッチ で行 うよ うに して あ る。 第3図 と第4図 に,各 端 末 測 定 機 器 の オ ン ラ イ ン作 動 時 の ブ ロ ッ ク ダ イア グラ ム を示 し て あ る。 中 性 子束 分 布 自動 測 定 装 置 お よび サ ンプ ル チ ェ ンジ ャ等 は,い ず れ も 自己 の 持 つ 制御 回路 で規 定 さ れ て い る プ ロ グ ラムに 従 って動 作 して デ ー タを レデ ス タ に記 録 して ゆ き,デ ー タの 集 積 終 了 毎 に計 算 機 に デ ー タ読 取 り要 求 の信 号 を 送 り,デ ー タ を計 算 機 に送 っ て 処理 され る よ うにな って い る。 この よ うに 今 まで の と ころ,シ ステ ム の重 点 構 成 機 種 で あ る 直接 入 出力 制 第3図 運転 状 況 の記 録 お よび 中 性子 束 分 布測 定 装 置 の オ ン ライ ン作 動 第4図 サ ン プ ル チ ェ イ ン ジ ャ の オ ン ラ イ ン 作 動

(7)

526 特 集 ・オ ン ライ ンデー タ処 理 の 現 状 と問題 点 日 本 原 子 力 学 会 誌 御 装 置(DAC)の 性 能 を充 分 に生 か しき った方 法 を し て い な い な ど,か な り大 きな 問題 点が 残 され て い る が, デ ー タ処理 に重 点 に お い た シス テ ム と して は充 分満 足 す べ き もの で あ ろ う。 設 置 後 約1年 間 の使 用経 験か ら重 点 を お い た シス テ ム で,次 に 述 べ る2点 が 考 慮 され る こ とが,そ の シ ス テ ムの 効 果 を上 げ るた め に 必要 で あ る と考 え られ る。 (1) 収 集 され,処 理 され た デ ー タは 人 手 を 介 さず に 再度 計 算機 の入 力 とな る よ うに 磁 気 テ ー プ な い しは紙 テ ー プに 出 力 しなけ れ ば ,収 集 お よび 処 理 を オ ン ラ イ ンで 行 な った 意 味 が な くな る。 (2) 実 験方 法お よび 使 用経 験 の蓄 積 に よ り,デ ー タ処理 の プ ログ ラ ムは か な りの頻 度 で 修正 を行 う必要 が生 ず るた め,プ ロ グラ ムの さ しか えが 簡 単 に行 え る方 式 が採 用 され るべ きで あ る。 (4) 結 び DCAに 設 置 され た 電 子 計 算 機 を 含 ん だ実 験 デ ータ の 処理 シス テ ムの 概 要 を述 べ て きた 。 この シ ス テ ムは パ ル スAD変 換 器 と組 み合 わ せ て 行 う波 高 分 析 と して の 働 きを行 わ せ る もの の ほか は デ ータ処 理 に重 点 を お い た もの とな った が,こ れ はDCAに おけ る当 面 の研 究 テ ーマ の 内容 が か な り反 映 され た 結果 に よ る もの で あ る。 シス テ ムの 構 成 を 考 え る際 に 収集 と処 理 の い ず れ に 重 点 を置 くべ きか,ま た は 両 者 の 調和 点 を ど こに 求 め る か は,シ ステ ムを使 用 す る方 法 お よび 測 定 対 象 に よ り規定 され るべ き問 題 であ り,DCAの 場 合 に つ い て み る な らば,処 理 に重 点 を 置 く とい う設 計 方 針 で 今 まで の とこ ろ大 きな誤 りは な か った もの と確 信 して い る。DCAに おけ る研 究 の 進 展 と共 に 将 来 に お い て は デ ータ収 集 に重 点 が おか れ,直 接 入 出 力制 御 装 置 の 機 能 を充 分 に生 か した シス テ ムの 運 用が 進 め られ るも の と思 われ る。 近 い 将来 の計 画 と して,2種 以上 の入 力 信 号 に関 す る 自己 相関 関 数 お よび 相互 相 関 関 数 を求 め オ ン ライ ン ・リアル タ イ ムで デ ィス プ レイす る た め の 端 末機 器 の設 定 と プ ロ グラ ムの 作成 を考 えて い る。 (柴 公 倫) 3. 東 北 大 核 理 研 の シ ス テム (1) 東 北 大 核 理 研 に おけ る研 究 の概 要 東 北大 核 理 研 で は1963年 に 最 高 加 速 エ ネ ル ギ ー300 MeVの 電 子 リニ ア ックの 建 設 が 開始 され1967年5月 に 完 成 した(4)。電 子 リニア ッ クか ら 得 られ る 高 エ ネ ル ギ ー の電 子,γ 線,中 性子 等 を 用 い て,原 子 核 物理 学, 中 性子 物 理 学,物 性物 理 学,核 化 学,放 射 化 分 析,生 物 学,医 学,そ の 他 の広 い分 野 に わ た っ て研 究 が 行 わ れ て い る。 現 在 オ ン ラ イ ン・デ ー タ処 理 装 置 を 用 い て 行 な っ て い る研 究 は,実 験 装 置 で分 類 す れ ば 下 記 の とお り で あ る(5)。 (1) β-γスペ ク トロス コ ピ ー (2) 高 エ ネ ルギ ー電 子 の 原 子 核 に よ る散 乱 (3) γ線 に よる 原 子核 か らの 陽 子放 出 反応 (4) γ線 に よ る原 子 核 か らの 中 性 子 放 出 反 応 (5) γ線 に よ る原 子核 か らの α粒 子 放 出反 応 (6) 熱 中性 子 の 結 晶等 に よる 回折 お よび散 乱 (1), (4), (5)はADCを 利 用 し, (2), (3), (6)は専 用 の イ ンタ ー フ ェ イス を 用 い て 計 算機 に接 続 され て い る。 (2) オ ン ライ ン・デ ー タ処 理 シス テ ムへ の要 求 加 速 器 お よび 測定 器 が 大 型 化 す るに つ れ て,単 位 時 間に 得 られ る実験 デ ー タは 尨 大 に な る。 一 方,運 転 ・維 持 に 要 す る費 用 も莫 大に な る の で,マ シ ンタ イ ムは 少 し の無 駄 もな く利 用 しなけ れ ば な らな い。 加 速 器 は 前 項 で述 べ た よ うに多 目的 で,各 種 の実 験 に 日単 位 で マ シ ン タ イ ムが 割 り当 て られ るの で,各 実 験 装 置 毎 に デ ー タ の収 集 お よび処 理 装 置 を 持 た せ る よ りは ,電 子計 算 機 を 中 央 処理 装 置 として 集 約 化 して,各 実 験 装 置を イ ン タ ー フ ェ イスに よ り接 続 した 方 が 経 済 的 で,か つ 高 度 の デ ー タ処理 を行 うこ とが で き る。 オ ン ラ イン デ ー タ処 理 シス テ ム の導 入 を 計 画 した 当 時 は,国 内 では わ ず か に東 大 核研 で ア メ リカのDEC社 の 小型 計 算 機 が 使 わ れ て い た にす ぎな か った 。 前 項 の(1)∼(6)の実 験 装置 側 か らの要 求 は,第1に コ ア メモ リーに対 し て高 速(2μsec以 内)に ア クセ ス(メ モ リー の 内容 に1を 加 え る,ま た は 直 接 読 書 き)で き る こ と。 第2に 各 種 の イ ン タ ーフ ェイ スが 容 易 に か つ 自 由に 接 続 で き る こ と であ った。 当時 の国 産 機 の 中 に は この条 件 を充 た す 機 種 は な か っ たが,東 芝 は 一 般 計 算 科 学 用 のTOSBAC-3400に 上記 の条 件 を 充 た す 付 加 回 路 を 短期 間 に 開発 し て 付 け て くれ た(6)。現 在 の シス テ ム の構 成 を第5図 に 示 す 。 当初 は 中性 子 散 乱 実 験 装 置 は な く,ラ イ ンプ リ ン タ,カ ー ブプ ロ ッタ,磁 気 ドラ ムの16k語 分 も後 日増 設 した もの で あ る。 中 央 処 理 装 置 のTOSBAC-3400の 仕 様 を下 記 に示 す 。 回 路方 式 ク ロ ック720MHz相 当 のDC結 合 方式 メモ リー 8k語(1語24bit) 1.38μsec 磁 気 ドラム 32k語10msec ライ ン プ リン タ 132字450行/min プ ロ ッタ 300step/sec 25×35cm CRTデ ィス プ レイ 5μsec/ス ポ ッ ト 紙 テ ー プ リー ダ 1,000字/sec 紙 テ ー プパ ンチ 20字/sec 自動 タ イ プ ラ イ タ 500字/min

(8)

第5図 東 北 大 核 理 研 オ ン ラ イ ン 実 験 装 置 直 接 入 出 力 制 御 装 置+1 1.80μsec5チ ャ ン ネ ル 直 接 書 込 み 1.38μsec1チ ャ ン ネ ル 直 接 読 出 し 1.38μsec1チ ャ ン ネ ル (3) オ ン ラ イ ン実 験 装 置 と イ ン タ ー フ ェ イ ス 各 種 実 験 装 置 と計 算 機 を 結 ぶ イ ン タ ー フ ェ イ ス は 第 5図 の よ うに5つ に 分 け られ る 。 オ ン ラ イ ン 実 験 を コ ン ト ロ ー ル す る パ ネ ル は 各 実 験 共 通 で,新 し く実 験 装 置 を 接 ぐ場 合 に も計 算 機 と人 間 と の 対 話 は こ の パ ネ ル に よ る 。 電 子 散 乱 お よ び 広 帯 域 荷 電 粒 子 ス ペ ク ト ロ メ ー タ は 共 に 大 型 電 磁 石 の 焦 点 面 に 半 導 体 検 出 器(SSD) を 各100個 並 べ て あ り,SSDか ら の 信 号 は 増 幅 さ れ て バ ッ フ ァ ー レ ジ ス タ に 一 時 記 憶 され る。 電 子 リニ ア ッ タ は300ppsの パ ル ス 運 転 で,核 反 応 の 起 る 時 間 は ビ ー ム の 出 て い る3μsecな の で ,次 の ビ ー ム パ ル ス が 来 る ま で の3msecの 間 に バ ッ フ ァ ー レ ジ ス タ の 内 容 を 直 列 に 送 り出 し,対 応 す る コ ア メ モ リー の 内 容 に1 を 加 え る 。 実 験 室 と 計 算 機 室 は ケ ー ブ ル 長 で150m離 れ て い る 。 第6図 に,中 性 子 散 乱 実 験 用 の イ ン タ ー フ ェ イ ス の ブ ロ ッ ク 図 を 示 した 。32本 のBF3カ ウ ン タ は4群 に ま とめ ら れ て お り,そ れ ぞ れ が1 ,024チ ャ ン ネ ル のTOFス ペ ク ト ラ ム と な る。 チ ャ ン ネ ル の 時 間 幅 は 図 中 に 示 し た よ う に,2∼16μsecの 間 で 任 意 に 設 定 で き る。 (4) オ ン ラ イ ン デ ー タ 処 理 プ ロ グ ラ ム PHA用 対 話 型 プ ロ グ ラム 以 外 は す べ て研 究 者 が プ ログ ラ ムを作 製 した 。対 話 型 は 初 め は 便 利 で あ っ た が な れ て くる と冗 長 す ぎる の で,現 在 で は コ ン トロー ルパ ネ ル を用 い て,一 般 のPHAと 同 様 の 使 い方 が で き る新 し い プ ロ グ ラム を用 い て い る。 電 子散 乱 用 の プ ロ グ ラムは 各SSDの 検 出 効 率 の ちが い に よ る補 正 を 行 な ってCRT表 示や プ ロ ッ トを 行 う。 焦 点 面 上 の SSDの す きま を埋 め るた め に,磁 場 一 定 の ままSSD 群 を 焦点 面 に 沿 って1/4間隙 ず つ 動 か し て4回 の測 定 を 行 う。 この よ うに して得 られ る散 乱電 子 の運 動 量 幅 は 3.3%に す ぎな い ので,磁場 を3.3%変 化 させ て 上 記 の 測 定 を繰 り返 して 必要 な運 動 量 幅 まで カバ ー して い く。 以上 の方 法 で 得 られ た デ ー タは散 乱電 子 の スペ ク トル を示 す よ うに 編集 され てCRTに 表 示 され る と共 に プ ロ ッ トや 紙 テ ー プに パ ンチ され ,研 究 者 に 対 して 実 験 遂 行 上 の 貴 重 な情 報 とな る。 結 果 の1例 を 第7図 に 示 した 。 これ は24Mgを タ ー ゲ ッ トと して 入 射 電 子 エ ネ ル ギ ー250MeV,散 乱 角55° のデ ー タ で ,各 ピ ー クは 24Mgの 各 励 起 準 位 に対 応 して い る 。 広 帯 域 荷 電粒 子 ス ペ ク トロメ ー タの 場合 に は,1回 の 磁 場 の 設 定 で得 られ る運 動 量 幅 が60%と 広 い の で,磁 場 を 変 化 させ て デ ー タ を接 ぐ操 作 は 必要 としな い が ,焦 点 面 の 両 端 で は立 体 角 が 大 き くち が うの でそ の 補 正 も 行 な っ て い る。 こ の実 験 で は デ ー タを 集 積 す るた め に専有 す る コ

(9)

528 特 集 ・オ ン ラ イ ン デ ー タ 処 理 の 現 状 と 問 題 点 日 本 原 子 力 学 会 誌 第6図 低 速 中 性 子 タ イ ム ・オ ブ ・フ ラ イ ト分 析 用 イ ン タ ー フ ェ イ ス 第7図 散 乱 電 子 の ス ペ ク ト ル 例 ア メモ リーの 容量 が 比 較 的 少 な くてす む の で,プ ログ ラ ムは フ ォ ー トラ ンと ア セ ン ブ ラーを 混 用 して い る。 これ に よ り処理 の計 算 式 の変 更 や入 出力 の フ ォー マ ッ トの変 更 が 容 易 に 行 うこ とが で きる。 中 性 子 散 乱 用 の プ ログ ラ ムは デ ー タエ リア と して4 k語,CRT表 示 に1k語 必 要 な の で,残 り3k語 に 種 種 の処 理 ル ーチ ン を押 し込 め て あ る。 デ ー タの一 時 記 憶 として 磁 気 ドラ ム16k語 を 使 って い るの で,4回 分

(10)

ま で の デ ー タの 比 較に 便 利 で あ る。 実 験 で得 られ た デ ー タは,紙 テ ー プに パ ンチす る と 共 に ライ ン プ リンタ で打 ち出 して フ ァイ ル して い る。 チ ャ ンネ ル数 の多 い 中性 子 散 乱 やPHAで は,チ ャ ン ネル 毎 の デ ー タ の大 きさ に従 って1∼4字 のバ イナ リ ー方 式 を 用 い て,紙 テ ープ の長 さを 必要 最 低 限 に して い る。 (5) シ ステ ムの稼 動 状況 デ ー タ処 理 シ ステ ム は,1967年4月 か ら動 き出 して 5月 に電 子 リニ ア ッ クが 初め て ビー ム加 速 に 成 功 した 翌 日か ら実 際 に オ ン ラ イ ン実 験 に使 用 さ れ て き て い る。4年 間 の月 間 稼動 実 績 を第8図 に 示 す 。 この 間, 回 復 に1日 以 上 要 す る 大 き な故 障 もな く,ほ とん ど連 日連 夜使 用 され て い る。1968年 度 前 期6ヵ 月 の 加 速 器 第8図 東 北大 核 理 研 デ ー タ処 理 装置 月 間 稼 動 時間 の 実 験 割 当て 日の75%が オ ン ライ ン で使 用 され るた め に,月2回 の定 期 保守 日を 除 く と平 日昼 間 に オ フ ラ イ ン デ ー タ処 理 に 利 用 で き るの は平 均 して 週 に1日 程 度 が 現 状 な の で,大 半 の処 理 は 深夜 お よび 日曜 祭 日に 行 わ な け れ ば な らな い。 オ フ ラ イン処 理 で 標 準 化 され た 手 続 きは コア メモ リー の許 す か ぎ り随 時 オ ンラ イ ン プ ログ ラ ムに追 加 して い る。 計 算機 室 の運 用 は,全 利 用 者 の協 力 を得 て ほ ぼ完 全 な オ ー プ ンシ ョッ プ制に もか か わ らず トラ ブル もあ ま り経 験 して いな い。 しか し シ ス テ ムの耐 用 年 数 と ダウ ン した時 の影 響 の 大 き さを 考 え れ ば,次 のオ ン ライ ン デ ー タ処 理 シ ステ ムの導 入 を 真 剣 に 考 え なけ れ ば な らな い 時期 に来 て い る。 (小 山 田 正 幸) 4. 武 蔵 工 大 の シ ス テ ム (1) 装 置 の 目的 と建 設

武 蔵 工大 のMEPSY (Musashi Experiment Proces-sor SYstem)シ ス テ ムは,放 射線 計 測 を 含 め て電 気 工 学 科 関 係 の実 験 の多 次 元 解析 オ ン ラ イ ン処 理 を 行 お う とす る科 内共 同施 設 で,1965年 に 企 画 され1967年 に 基 本 シ ステ ムの建 設 が 完 了 し,そ の後 分 析 系 の 充 実 が 図 られ て い る。 オ ン ラ イ ン・ネ ッ トワ ー クは装 置 の設 置 場 所(放 射 線 計 測研 究 室)か ら科 内5研 究 室 の お のお の に 高 忠実 度 伝 送 線6本 と30芯 の マ ルチ ・ケ ー ブルが 配 線 さ れ,そ の 総延 長 は120mに 達 して い る。 各研 究 室 は デ ー タを デ ィジ タル 化 して マ ル チ ・ケ ー ブル で 伝送 し て も,ア ナ ロ グ・デ ー タを 高 忠実 度 線 で装 置 に伝 送 し て も任 意 で あ る。 た だ し,同 時 には1研 究 室 しか実 験 し ない こ と とし て,タ イ ム・シ ェア リン グ的 考 慮 は 全 くな され て い な い。 装置 は実 験 デ ータ(多 次元)の1次 処 理 を 目的 と し, 高 度 の演 算処 理 を 伴 う解 析処 理 は 紙 テ ー プ また は マ ガ ジ ン・フ ァイ ルを 媒 体 と して,中 央 電 算 室 の 計 算 機 (FACOM-270/30)で 行 う方 針 で あ る。

(11)

530 特 集 ・オ ン ライ ン デ ー タ処 理 の現 状 と問 題 点 日本 原 子 力 学 会 誌 設 計 お よび建 設 は,予 算 面 の 制約 と 当時 この 種 装 置 の 製 作経 験 を有 す る メ ー カー が なか った こ とか ら,一 部 を 外 注(コ ア・メモ リー:松 下 通 工,ADC: Packard, PTP: Ricoh, LP: Aoba, MF:富 士 通,等)し た 以外 す べ て 大学 側 で行 な った 。 (2) 装 置 の 概 要 装 置 の 全構 成 を 第9図 に 示す 。 本 来 実 験 デ ー タ の1 次 処 理 に要 求 され る機 能 は,デ ー タ の分 類 と収 集が 主 で あ る。 そ こ で装 置 の 演 算 機能 は加 ・減 算 の み とし て, 広 範 囲 な実 験 に対 処 で き る よ うに分 析 や デ ー タ の マ ッ ピ ン グを 含 む入 出力 機 能 に重 点 を置 い て あ る。 第9図 シ ス テ ム構 成 図 (1) 中 央 処 理 装 置 制 御 方 式 は 完 全 な ワ イ ヤ ー ド ・プ ロ グ ラ ム 方 式(ス イ ッ チ お よ び ピ ン ・ボ ー ドに よ る)で, 実 験 者 の 使 い や す さ と 処 理 時 間 の 短 縮 を ね ら い と し た も の で あ る 。 基 本 命 令 は 同 期 命 令24種,非 同 期 命 令10 種 で あ る 。 メ モ リ ー は4,096語,21bit/語,10進5桁+1パ リテ ィ,サ イ ク ル ・タ イ ム3μsecで,ア ド レ ス は4進6桁 表 示 で あ る 。 これ は 多 次 元 の マ ッ ピ ン グ と デ ー タ 内 容 の 視 察 を 容 易 に す る た め で あ る 。 演 算 部 は 加 ・減 算 器2組,レ ジ ス タ10組,カ ウ ン タ2 組 よ り構 成 され,デ ー タ の 積 算,差 分,ス ト リ ッ ピ ン グ, マ ッ ピ ン グ,等 を 行 う。 収 集 機 能 はADD1(指 定 番 地 の 内 容 に1を 加 え る), ADDn(指 定 番 地 の 内 容 にnを 加 え る),WRITEn(指 定 番 地 の 内 容 をnに す る)の3種 で,い ず れ もDMA (Direct Memory Access)方 式 で あ る 。

(2) 入 力 装 置 入 力 装 置 お よ び そ の 性 能 は 第1表 の と お りで あ る 。 用 途 別 のA-D変 換 器 群,そ れ ら を 制 御 す る タ イ ム ・フ ァ ン ク シ ョ ン ・ジ ェ ネ レ ー タ,直 接 デ ィ ジ タ ル 入 力 端 末 よ り構 成 さ れ,多 様 な 信 号 型 式 の 分 析 処 理 が で き る よ うに し て あ る 。 各A-D変 換 器 の デ ィ ジ タ ル 出 力 と 直 接 デ ィ ジ タ ル 第1表 入 力 装 置

(12)

入力 端 末 よ りの信 号 は,中 央 処 理 装置 の ス イ ッチ ・ボ ー ドや マ ッ ピ ン グ・コ ネ クタの 指定 に よ っ て 任 意 のマ ッ ピン グが 行 え る。 各 研 究 室 よ りの オ ン ラ イ ン用 伝 送 線 との 結合 は コネ クタ のつ な ぎ替 え に よ って 行 い,電 子 回 路 的 マ ル チ プ レクサ機 構 は 全 くな く,完 全 な 両方 向性 結 合 で あ る。 オ ン ラ イ ン実 験 が 不 可 能 な 場 合(実 験 場 所 等 で)は,移 動 用 の リア ル タ イ ム型 の デ ィ ジ タ ル ・デ ー タ ・レコー ダに よっ て デ ー タを 収 集 し,そ れ の 再生 信 号 を 処 理 す る こ とに よっ て疑 似 オ ン ラ イ ン化 で きる。 (3) 出 力 装 置 出 力 装 置 お よび そ の性 能 は 第2表 の と お りで あ る。 中央 電 算 室 との デ ータ媒 介 用 の マ ガ ジ ン ・フ ァ イル と紙 テ ー プ出 力 と,記 録 用 ラ イ ン ・プ リン タ と視 察 用 の 色彩 化 デ ィス プ レ イ とか らな る。 第2表 出 力 装 置 色 彩 化 デ ィス プ レイは デ ー タ内容 の直 観 的把 握 を 便 に す るた め,色 彩 化 の3次 元 表 示 と同時 に,そ の任 意 の切 截 面 の2次 元 表示 や 全 体 の ア イ ソメ ト リッ ク表 示 が行 え る。 また 任 意 の デ ー タの 内 容 の読 取 りや 変更 も 行 え る。 これ に よ り多 次 元 の実 験 条 件 の設 定 が 能率 的 に 行 えて 極 め て有 効 で あ る。 (3) 稼 動 の 状況 科 内共 同 利 用 施設 であ る の で,装 置 管理 委 員 会 を 設 け てす べ て の 管理 ・運 営 を 行 な っ てい る。 1969年 あた りか ら稼 動 率 が上 昇 し,学 会 シー ズ ンの 前 な どで は終 日運転 が 連 続 す る 状態 で,マ シ ンタ イ ム の割 当 て に苦 労 す る こ とが あ る。 使 用 分 野 は 高電 圧 工 学,放 電工 学 が 多 く,放 電 機 構 の 解 明 に 偉 力 を 発 揮 し て い る よ うで あ る。 原 子 力 関 係 では,多 重波 高 分 析 以 外 に 波 形 識 別*や 中 性子 寿 命 測定**に 用 い られ た 。 (4) 問題 点 と今 後 の計 画 装 置 は 初期 の 目的 を 完全 に 満 た して 安定 に 稼 動 して い る。 しか し基 本発 想 が 多 次 元解 析 のみ を 目的 と した ので,多 用 途 で は あ るが 単 能 機的 性 格 が 強 い 装置 とな って しま った 。 多 次元 解 析 が 可能 とな る と実 験 者 に 次 の欲 が起 り,実 験 の 自動 化 や あ る 程 度 の 演 算処 理(た とえば 最小2乗 法 等)の 要 求 が 強 くな った 。 これ らの実 現 に は ソフ トの 援用 が不 可 欠 で あ るが, 本 装 置 は ソフ ト機 能 が ゼ ロであ る。 本 装 置 に ソ フ ト機 能 を 付加 す る こ と も考 え られ るが,そ れ では ワイヤ ー ド・プ ロ グラ ム方 式 に よる処 理 時 間 の 短 縮 と 使 い や す さの 利 点が な くな って しま う。 そ こで将 来 の装 置 と し て,ミ ニ コン ピ ュ ータ(HITAC-10)を 中心 とした 全 く新 しい シス テ ムを 並設 す る こ とに した。 この シス テ ムは 特 殊 な ハ ー ドウ ェ アを 計 算機 の 内外 に増 設 し,装 置 全 体 は 計 算 機 の イ ン ス トラ ク シ ョ ン・ コン トロ ール下 にお か れ る。 しか し使 用 者 は 従 来 の単 能 多重 分 析 装 置 の よ うに ス イ ッチ制 御 のみ で も,コ ン ソー ル タ イ プに よる ソフ ト・レベ ル で の マ ン ・マ シ ン・ コ ミュニ ケ ー シ ョ ンで も,あ るい は両 者 の混 用 で も, 好 み の方 法 で装 置 を運 転 す る こ とが で き る。 また デ ー タの 収 集 はDMA方 式 の ハ ー ド・レベル で 行 わ れ る の で,処 理時 間 は ワイ ヤ ー ド方 式 なみ の短 時 間 で あ る。 さ らに演 算処 理 に つ い て は,収 集 デ ー タが そ の ま ま 自動 的 に 演 算用 デ ー タに な る よ う リン ケ ー ジ され る の で,実 験 者 は め ん ど うな 操 作 仕 様 に なや ま され る こ と が ない 。 この新 しい 装 置 は 目下 建 設 中 で,1971年 中 には 稼 働 を 開始 す る予 定 で あ る。 (村 田 裕)

* Nucl. Inst. Meth ., 94, 141 (1971).

** Nucl. Inst. Meth., 87, 261 (1970).

(13)

532 特 集 ・オ ン ラ イ ン デ ー タ 処 理 の 現 状 と 問 題 点 日 本 原 子 力 学 会 誌 III. 単 目 的 デ ー タ 解 析 シ ス テ ム 1. 放 電箱 と泡 箱 の 写真 解析 (1) は じめ に 放電 箱 と泡 箱 は,現 在 高 エ ネル ギ ー物理 学 実 験 に お い て も っ と もひ ろ く使 わ れ て い る粒 子 測 定 装 置 で あ る。 これ らはWilsonの 霧 箱 と同 様 に,目 に 見 えな い 素 粒 子 の 飛跡 を見 え る よ うにす る装 置 で あ っ て.泡 箱 の 場 合 は 細 か い泡 粒 の つ な が りと して,放 電 箱 の場 合 は ス パ ー ク とし て飛 跡 が 観 測 され る。 これ らを写 真 に 撮 影 し,後日 写 真 デ ー タにつ いて 飛 跡 の位 置 を精 密 に 測 定 し,こ れ よ り素 粒 子反 応 の解 析 が 行 われ る。 写 真 デ ー タの 測定 は,近 年 電 子計 算 機 の 発 達 に伴 って 自動 的 に 行 わ れ る よ うに な って来 た 。 こ こで は東 京 大 学 原 子 核 研 究 所 に おい て,筆 者 らが 製 作 した 装 置 とそ れ に よる 解析 につ い て 述 べ る。 (2) 放 電 箱 写 真 解 析 放 電 箱 写真 の解 析 は,泡 箱に くらべ る と 簡 単 で あ る。 それ は ス パ ー クの 飛ぶ 場 所 が 電 極 板間 の狭 い ギ ャ ッ プに 限定 され て い る こ と,バ ッ ク グ ラ ウ ン ド(測定 しよ うとす る素 粒 子 反 応 に 関与 しな い,た また ま居 合 わ せ た た め に写 って しまっ た粒 子 に よ る スパ ー ク)が 少 な い こ と,ス パ ー クの位 置 の 読取 り精 度 も泡 箱 よ り 1桁 ほ ど悪 くて も よい な ど の理 由 に よる。 こ のた め比 較 的単 純 な座 標 読取 り装 置 と小型 計 算 機 を 用 い て 自動 測 定 とそ れ に 続 く解 析 を行 うこ とが で き る。 手 動 測定 で は従 来 写 真1枚 あた り10minぐ らい か か って い た ものが,自 動 測 定 に よ り1secた らず で測 定 で きる。 実 験 の精 度 を 上 げ るた め,ま た 稀 な現 象を 捉 え るた め, 近 年 ます ます 大 量 の デ ー タ処 理 が 必要 と な っ て 来 た が,こ れ は 自動 測定 を用 い て 初 め て可 能 とな る もの で あ る。 写 真 解 析 装 置設 計 の方 針 と しては,特 定 の実 験 だけ で な く種 々の実 験に 使 用 で き るも のを 考 え た。 こ のた め ハ ー ドウ ェア は単 純 で,計 算機 の プ ロ グ ラ ミン グに よ り,フ ィル ム面 上 の任 意 の 点 を任 意 の 順序 で ス キ ャ ン で き る方式 の もの と した。 こ の方 式 はDeutschに よ り提 案 され た もの でSPASS方 式(7)と呼 ばれ て い る 。 装 置 の 原 理 図 を第10図 に 示 した 。 計 算 機 は ア メ リカのDEC社 のPDP-7を 用 い た 。 この 計 算 機 の仕 様 は 泡 箱 写 真解 析 に 用 い たAICOM-C2(ア イ電 子 測 器)と と もに 第3表 に 記 した。 フ ィル ムを ス キ ャ ンす る光 点 の発 生 に はDEC社 の Precision CRT Display Type 30Nを 用 い た 。 これ はDumontの 陰 極 線 管16ADP7A(直 径16")を 主 体 と 第10図 放 電 箱 解 析 装 置 の 原 理 図 第3表 写 真解 析 装 置 に用 いた 計 算 機 の 仕 様 し,PDP-7の 命 令 に よ って そ の映 像 面 上 の任 意 の1 点(x,y)を 任 意 の輝 度(8レ ベ ル)で10μsecの 間 光 ら せ る機 能 を 持 っ て い る。 映 像 面 の 大 き さは24cm×24 cmで,x,yそ れ ぞ れ1,024点 の座 標 値 を取 る こ とが で きる。 こ の光 点 を 光 源 と し,レ ンズ に よ り測 定 し よ うとす る フ ィル ム面 に 結 像 さ せ る。 フ ィル ム面 上 の そ の 点 の濃 度 を,フ ィル ムの背 後 に お かれ た 光 電 増 倍 管 が 読 み取 る こ とが で き る。 光 電 管 の 出 力 は,Schmitt triggerを 通 してyesかnoか の信 号 として 電 子 計 算 機 に送 られ る。 計 算 機 は,こ の 装置 に よ りフ ィル ム面

(14)

上 のす べ て の点 の 情報 を読 み 取 る こ と もで き るが,放 電 箱 写 真 の場 合,情 報 の存 在 す る場所 が 限定 され て い る ので,そ こだ け を ス キ ャンす る よ うに プ ログ ラムす れ ば 能 率 的 な写 真 解 析 が 可能 とな る。 この 装 置 は1967年 に 完成 し,原 子 核研 究所 の電 子 シ ン クロ トロ ンに よ る γ線 の弾 性 散 乱 測 定 の実 験 解 析 に 用 い られ た 。 写 真1は 同 実 験 の放 電 箱 写 真 の 例 で あ り,ま た これ を プ ロ グラ ム ・ス キ ャン した とき,光 点 の 動 きの あ とを 別 の 陰極 線 管表 示 装置 に 表 示 した も ので あ る。 この実 験 で は 約150,000枚 の写 真 の 解析 が行 わ れ た が,自 動 読 取 り速 度 は,フ ィル ム巻 き 上 げ,磁 気 テ ー プへ の書 込 み を 含 め て 平 均1枚0.8secで あ り そ の成 功 率 は82%で あ った。 写真1 放 電 箱 写 真 の例 問 題 点 として は,こ の成 功 率 を100%に 高 め る こ と が 望 ま し い。 今 回 の実 験 で は成 功 率 を 高 め る こ とは そ れ ほ ど重 要 で は なか った の で,む しろ簡 単 な プ ロ グ ラ ムで 解析 速 度 を上 げ る方 を 選 ん だが,必 要 な場 合 は プ ロ グ ラム のsophisticationに よ り成 功 率 を高 め る こ と は 可能 と思 われ る。 また 自動 解 析 の 難 易 は放 電 箱 写 真 の 品質(全 体 の コ ン トラス ト,スパ ー クや 表 示 ラ ン プの 明 る さの一 様 性,バ ック グ ラ ウン ドの 数 な ど)に左 右 さ れ るか ら,品 質 を高 め て実 験 中 そ れ を 保持 す る こ とが 大 切 であ る。 この装 置 の ハ ー ドウ ェア と電 子 計 算機 の結 合 に つ い て は文 献(8),プ ロ グ ラ ミン グ と 解 析 結果 につ い て は文 献(9)に詳 し く述 べ て あ る。 (3) 泡 箱写 真 解 析 泡箱 写 真 の例 を 写 真2に 示 した が,放 電 箱 写 真 に く らべ て 粒 子の 飛 跡 の描 写 は よ り詳 細 で,精 度 が 高 い(フ ィル ム面 上 で1μ の程 度)。 また,対 象 と す る素粒 子 反 応に 関 係 のな い 粒 子 飛 跡 も数 多 く写 っ てい る ので, 粒 子 飛跡 の選 別 が 必 要 で あ る。 このた め,放 電 箱 写 真 解 析 とは 異 った 方 針 で 解 析 装置 を作 らな け れ ば な らな い。 現 在 世 界 の 各 国 で この方 面 の研 究 が 行 わ れ,い く つ か の方 式 が 成 果 を 上 げ て い るが,そ の 現 状 に つ い て は 文 献(10)を参 照 して い た だ きた い。 写 真2 泡 箱 写 頁 の 例

現 在 建 設 中 の 装 置CAMP (Computer-Aided Meas-uring Projector)(11)の 原 理 図 を 第11図 に 示 し た 。 フ

ィル ム は,x,y両 方 向 に サ ー ボ モ ー タ で 移 動 で き る ス

(15)

534 特 集 ・オ ン ライ ンデ ー タ 処 理 の現 状 と問 題 点 日 本 原 子 力 学 会 誌 テ ー ジに の せ られ て お り,ス テ ー ジの 位 置 は2μ の 精 度 で数 値 化 して 計 算 機 に送 られ る。 計 算 機は ア イ電 子 測 器 のAICOM-C2(第1表)を 用 い た。 フ ィル ム像 は 机 面 上 に10倍 に 拡 大 して投 影 され て お り,オ ペ レー タ は 目的 とす る素 粒 子 反応 を 選び 出 して,粒 子 の飛 跡 上 の3点 をrough digitizerを 用 い て計 算 機 に 指 示 す る。 計 算機 は,こ の3点 を 通 る軌 道 を 計 算 し,こ の軌 道 に 沿 って ス テ ー ジを 移 動 す る。 軌 道 がroughで あ るか ら,追 従 精度 もroughで よい とい う考 え で,30 mm/secの 高 速 で ス テ ー ジを 移動 させ る。 通 常 の飛 跡 は だ い た い1secで カバ ー され る。 ス テ ー ジが 移動 す る と同 時 に,レ ン ズ の光 軸 付近2 mmの 視 野が,第12図 の 飛跡 自動読 取 機 構 に 送 られ る。 これ はDcveプ リズム,八 角 柱 回転 鏡,ス リ ッ ト よ り成 る飛 跡 走 査 を行 う。 視 野 を 回 転す るDoveプ リ ズ ム は計 算 機 に よ りコン トロ ール され,測 定 す べ き飛 跡 像 はつ ね に 回 転 鏡 の母 線 と ス リッ トの方 向に 一 致 す る よ うに 保 た れ る。 ス リッ トの 大 きさ は フ ィル ム面 に 換 算 し て1mm×20μ で あ り,飛 跡 に直 角 の方 向に2 mmの 距 離 が 走査 され る。 走 査 は100回/secく り返 され る。 ス リッ トの背 後 に 置 かれ た 光 電増 倍 管 の 出力 が, 電 子 回 路 で処 理 され て 数 値化 され る。 計 算機 に送 られ る情 報 は,ス テ ー ジの 位 置,と ら え た 飛 跡要 素 の光 軸 中 心 か らの 距離,飛 跡 要 素 の 波高 と 幅,Doveプ リズ ム の 角 度 で あ っ て,こ れ らが18bit×4語 に ま とめ られ て1デ ー タを構 成 す る。 計 算機 は これ らの情 報 か ら飛 跡 要 素 の 精 密 な座 標 値 を 計 算 し,ま た 数 点ず つ ま とめ て そ の 重 心 点 の座 標 値 を 作 り,こ れ を 紙 テ ー プ に 出力 す る。 この 紙 テ ー プは,大 型 計 算機 に よ り詳 し く解 析 され る。 第12図 CAMP飛 跡 自動読 取 機 構 の 原 理 図 こ の装 置 は,点 で な く線 素 に よる走 査 を 行 な って い るた めS/N比 が 高 い。 走 査 の 方 向 はつ ね に 飛 跡 と直 角 で あ るか ら,精 度 の高 い測 定 が 可 能 とな って い る。 現 在 は まだ 電 子 回 路 等 の 調 整 段 階 で あ るが,解 析 実 用機 と して 役立 て る べ く作業 を 進 め て い る。 (山 形 武 虎) 2. RIイ メー ジ の収 集 と処 理 (1) は じめ に 放 射 性 同 位 元 素(RI)お よ び そ の標 識 化 合 物 を 用 い て,病 気 の 診 断や 治療 を行 う医学 の1分 野 は核 医 学 (nuclear medicine)と 呼 ば れ,原 子 力平 和 利 用 の発 展 と共 に 急 速 に普 及 し て き た。 こ の核 医学 の うち の重 要 な診 断 手 技 にRIイ メー ジ ン グまた はRIシ ンチ グ ラ フ ィー とい われ る方 法 が あ る。 それ は,あ るRIま た は そ の 標 識 化合 物 が人 体 に投 与 され た 場 合,特 定 の 臓 器 に 集 積 す る 性 質 を利 用 し て,γ 線 検 出器 に よ り人 体 外 よ り臓 器 の形 状 を撮 影 し,そ の臓 器 の形 態 学 的 異 常(主 に癌)を 発 見 し よ う とす る もの で あ る。 そ の代表 的 な例 は131Iを用 い た 甲 状腺 の撮 像 で,各 種 の 甲状腺 疾 患 を診 断 す るの に不 可 欠 な 手段 とな っ て い る(12)。RI イ メー ジ撮 影 系 に は,臓 器 に集 積 したRIよ り放 出 さ れ る γ線 に 対 して 指 向性 を もつ よ うな コ リメ ー タを付 したNaI(T1)シ ン チ レー シ ョン計 数 管 が 主 と して使 わ れ てい る。 そ の 代表 的 な もの は,撮 影 す べ き臓 器 の 上 を走 査 す る レクテ ィ・リニア ・ス キ ャ ナ(以 下 スキ ャ ナ と略)と,臓 器 上 に 固 定 した ま ま 撮 影 す るRIカ メ ラで あ る。 わ れわ れ がRIイ メー ジ系 に オ ンラ イ ン電 子 計 算機 を 導 入 し よ うと した 理 由 は,ま ず 第1に,今 ま で のRI イ メ ージ 装 置(ス キ ャナや カ メ ラ)で は,検 出器 部 よ り 得 られ る情 報 の一 部 が 失 な わ れ る と共 に,出 力機 器 で あ る記 録 装 置(フ ィル ムお よび 記 録 紙 上 に 臓 器 の パ タ ー ン を印 画 す る)にお い て 情 報 が 歪 み を 受 け る 可 能性 が 多 い こ とで あ る。 特 にRIカ メ ラの 出 力情 報 は γ線 の入 射 位 置(XとY座 標),そ の 時 間(T)お よび エネ ル ギ ー(E)の 関数 とし て得 られ る計 数 値 とい う多次 元 の 情 報 であ り,ハ ー ドウ ェア のみ で構 成 され るデ ー タ処 理 装 置 で は それ らの全 情 報 の収 集 は 困 難 で あ る。 第2 に,わ れ わ れ は 数年 前 よ りRIイ メ ー ジに 対 して各 種 の処 理 を 行 い,医 師 の 眼 に見 や す い 像 を 提 供 す るた め の基 礎 実 験 を 行 な って き た の で(13),オ ン ラ イ ン計 算 機 に よ って 画 像 デ ー タを 収集 し た後,画 質 改 良 処理 を 施 して診 断 能 の 向 上 を 目指す と共 に,さ らに パ ター ン 認 識 に よる 自動 診 断 の 研 究 を 試 み るた め であ る。第3 に,計 算 機 を組 み 込 ん だRIイ メ ー ジ ・シス テ ムを実 際 の 臨 床 に ル ーチ ンに 利 用 す る に は,速 度 の点 か らオ ン ラ イ ン・シ ス テ ムが 必 要 で あ る こ とな どの諸 点 であ る。 (2) シス テ ム の構 成

(16)

シ ス テ ム の 導 入 に 当 っ て わ れ わ れ が 基 本 的 に 問 題 と し た 点 は,(1)RIイ メ ー ジ 装 置 か ら の ラ ン ダ ム な 時 系 列 情 報 を オ ン ラ イ ン で 収 集 で き る こ と 。(2)画 像 デ ー タ の 収 集 中 も し く は 収 集 後,で き る だ け 速 や か にRIイ メ ー ジ を 表 示 で き る と 共 に 表 示 は 対 話 形 式 で 行 え る こ と。(3)画 質 改 良 処 理 が フ ォ ー ト ラ ン ・レ ベ ル の プ ロ グ ラ ム で 行 え る こ と。(4)バ ッチ ・ジ ョ ブ と し て 普 通 の 科 学 技 術 計 算 を 実 行 で き る た め に 必 要 な 入 出 力 機 器 を 有 す る こ と,等 で あ る。 本 シ ス テ ム の 構 成 は 第13図 に 示 す よ うに,TOSBAC 3400 Model 31のCPU(中 央 演 算 処 理 装 置)を 中 心 と した オ ン ラ イ ン ・シ ス テ ム で あ る*。 シ ス テ ム は 中 央 計 算 機 室 と3個 所 の オ ン ラ イ ン 実 験 室 に 分 か れ て お り, そ の 間 は 約300mの 同 軸 ケ ー ブ ル で 結 ば れ て い る 。 機 器 構 成 か ら 見 る と,直 接 入 出 力 制 御 装 置(DAC)に 接 続 さ れ る 入 出 力 機 器 群 は オ ン ラ イ ン 機 器 でDACを 介 し て 直 接 コ ア ・メ モ リ ー の 書 込 み,読 出 し が 可 能 で あ る 。 コ ア ・メ モ リー は 容 量16k語,24bit/語 構 成 とな っ て お り,メ モ リー ・サ イ ク ル タ イ ム は0.8μsecで あ る。 他 の 入 出 力 機 器 はCPUお よ び 優 先 度 制 御 ユ ニ ッ トに 接 続 さ れ,特 に 重 要 な も の は,2台 の デ ィ ス ク ・パ ッ ク装 置(各2,400k語,転 送 速 度54.2k語/sec,平 均 ア ク セ ス 時 間85msec)と,2台 の 磁 気 テ ー プ 装 置(7ト ラ ッ ク,転 送 速 度28.8kキ ャ ラ ク タ/sec)で あ る 。 前 者 は シ ス テ ム ・プ ロ グ ラ ムや オ ン ラ イ ン ・プ ロ グ ラ ム 等 を 登 録 し て い る 。RIイ メ ー ジ 装 置 か ら の デ ー タ の 収 集 と表 示 は オ ン ラ イ ン 機 器 に よ っ て 行 わ れ る 。 ま ず 装 置 か ら の 各 種 パ ル ス 信 号 が 実 験 室 に あ る イ ン ピ ー ダ ン ス 変 換 器 を 経 由,計 算 機 室 に ケ ー ブ ル を 通 じ て 伝 送 さ れ る。 信 号 は 波 高 分 析 用 ア ナ ロ グ ・デ ィ ジ タ ル 変 換 器 (Nuclear Data 2200:4096チ ャ ネ ル,ク ロ ッ ク 周 波 数 100MHz)に 入 力 さ れ て 波 高 値 に 比 例 し た デ ィ ジ タ ル 量 に 変 換 さ れ る 。 つ づ い て デ ィ ジ タ ル 出 力 は シ ー ク ェ 第13図 放 医 研 オ ン ラ イ ン シ ス テ ム の ブ ロ ッ ク 構 成 図 ン ス ・ユ ニ ッ ト(SEQ)ま た は イ ン ク リメ ン ト・ユ ニ ッ ト(INC)に 接 続 され る。 前 者 は コア ・メモ リー 内 に確 保 した2個 所 の バ ッフ ァ ー領 域 の 先 頭 番地 の ワー ドか らデ ィジ タル 出 力 を順 次 書 き込 ん で 行 く機 能 を もつ 。 1領 域 の メモ リー(通 常1k語 程 度)が す べ て書 き込 ま れ る と割 込 み 信号 を 発 生 し,そ の 後 に 入 力 され る情 報 は 第2の 領 域 の先 頭 番 地 か ら書 き込 ま れ る と共 に,最 初 の領 域 の 情 報 は デ ィス クに 転 送 され る。 第2領 域 が 満 杯 に な る と前 回 と逆 に 新 しい 情 報 が 第1領 域 に書 か れ,第2領 域 の情 報 は デ ィス クに 転送 され る。 こ の動 作 を繰 り返 す こ とに よ って イ メ ー ジ装 置 か らの パ ル ス 情 報 を時 系 列 と してす べ て 収 集 す る。 一 方,後 者 は コ ア ・メ モ リー内 にAD変 換 器 の デ ィ ジ タル 出 力 の最 大 値 に等 しい 数 の 領 域 を確 保 し,各 デ ィジ タ ル 出 力(1 か ら最 大値 の範 囲 に あ る正 の 整 数)に 等 しい番 地 の 内 容 を読 み,1を 加 え て再 び書 き込 む と い う動 作 を 行 う。 これ は 通 常 の 波 高分 析 を 行 な って い るこ とに対 応 す る 。例 えば256チ ャン ネ ル の波 高 分 析 を行 う時 はAD 変 換 器 の 出力 が 最 大256に な る よ うに 設定 し,コ ア ・メ モ リー 内に 確 保 した256語 の領 域 に お い て 各 出 力 の到 来 毎 に対 応 す る番地 に1を 加 え る とい うジ ョ ブを実 行 させ る。INCお よびSEQに は3台 のAD変 換 器 の 出 力 の ほか タ イ マ ーの 出 力(10bit)を 接 続す る こ と も で き,接 続方 法 は パ ッチ ボ ー ド上 で任 意 に 変 え ら れ る。 な お,タ イマ ーは 割 込 み に よって イ メー ジ装 置 の 始 動 と同期 して ス ター トさせ,時 間 信号 は最 小1msec か ら100secま で ス テ ップ状 に 可 変 で あ る。 さ らに 収 集 した 情 報 を 画像 デ ー タに 変換 して表 示 を 行 う機 器 と して,オ ン ライ ン実 験 室 に ブ ラ ウ ン管 表 示 装 置(CRT) が 設 置 され て い る。CRTは 有 効 視 野8×8cm ,表 示 点 は1,024×1,024,輝 度 レベ ル は4レ ベ ル と 暗 で あ る。 実 際 に眼 で 見 て ち らつ か な い 像 は64×64(4,096)点 が 上 限 であ る。CRTと 共 に入 出力 タ イ プ ラ イタ(IOT) も併 設 され て お り,実 験 者 と計 算 機 の対 話 用 と して 各 種 オ ン ラ イ ン・プ ロ グ ラム の実 行 や 画 像表 示 の 際 に 使 用 され て い る。 (3) ス キ ャナ の デ ー タ収 集 と処理 各 種 のRIイ メー ジ装 置 の うち,わ れ われ が 本 シ ス テ ムに よ る オ ン ラ イ ン収 集 を 行 な って い る の は ス キ ャ ナ で,1970年2月 よ り稼 動 を 開 始 し現 在 ル ー チ ンの 臨 床 に 用 い て い る。 さ らに1971年 度 に は 近 く導 入 予定 の 遅 延 線型RIカ メ ラ(14)をシス テ ム と結 合 す る こ とに な って い る。 本 項 では 主 に ス キ ャナか ら のデ ー タ収 集 に

* CPUの 加 減 算2 .7μsec,乗 算20.0μsec

,除 算20.2 μsecで あ る 。

(17)

536 特 集 ・オ ン ラ イ ン デ ー タ 処 理 の 現 状 と 問 題 点 日本 原 子 力 学 会 誌 つ い て 述べ る。 第14図 に そ の基 本 的 な ブ ロッ ク図 を示 す 。 第14図 レ ク テ ィ ・リ ニ ア ー ・ス キ ャ ナ か ら の オ ン ラ イ ン デ ー タ 収 集 ま ず,ス キ ャナ の検 出 器 の位 置を 示 す 信 号 を 得 るた め,検 出 器 部 を走 査 させ る駆 動 ア ー ム と連 動 す る ポ テ ン シ ョメ ー タを と りつ け,中 間 タ ップ よ り走 査 距 離 に 正 比 例 して 増 減 す る直 流 電 圧 を 取 り出す 。 こ の電 圧 を 検 出器 か らの γ線 パ ル ス(E信 号)に よ って サ ン プル し て パ ル ス 出力(X信 号)を 得 る(第14図(a)参 照)。 そ こで ス キ ャナか ら の信 号 と してEパ ル ス と同時 に そ の位 置 を 示すXパ ル スが 出 力 され る 。こ の両 パ ル ス 信号 は,実 験 室 の イ ン ピ ー ダ ンス 変 換 器(IC)を 経 て 計 算 機 室 に 伝 送 され てAD変 換 器 に 入 力 され る。(第14図(b)参 照) こ こで得 られ る デ ィジ タ ル出 力 はXお よびEパ ル ス の 波 高 値 に 比 例 し て お り,前 者 は9bit (512),後 者 は 7bit (128)の 並 列 情 報 に 変 換 され,計 算 機 室 の タ イマ か ら得 られ る7bitの 時 間 信 号 と共 に 前 述 のSEQに 接 続 され る。 第14図(c)に 示 す よ うに,SEQは これ らの 3種 の情 報 を1語(24bit)中 に パ ッ クし て コア ・メ モ リ ー に順 次 書 き込 む と共 に デ ィス クへ の 転 送 を 行 う*。 ス キ ャナ の始 動 と同 期 して オ ン ラ イ ンデ ー タ 収 集 を開 始 す る と,検 出器 が γ線 を 検 出 す る毎 に そ の エ ネ ル ギ ー(E) ,そ の走 査 方 向 の位 置(X)お よび ス キ ャナ始 動 後 の 経 過 時 間(T)が デ ィス ク中 に 記 憶 され る。 ス キ ャ ンが 終 了 す る と一 定 エ ネ ルギ ー範 囲 内 の 情 報 だ け を単 位 のX増 分 毎 に計 数 値 として ま とめ,一 走 査 線 の デ ィ ジ タ ル画 像 情 報 を 求 め る。 次 に,走 査 方 向 と直 角方 向 の位 置 情 報 は,X信 号 の微 分 値 の符 号 が 変 化 す る の を 利 用 して ソフ ト的 に検 知 し,最 終 的 には2次 元 の デ ィ ジ タ ル画 像 を デ ィス ク内 に形 成 させ,後 述 の画 質 改 良 お よび表 示 プ ロ グ ラ ムへ と進 む。 RIカ メ ラの デ ー タ収 集 に は 目的 に よ って 数 種 の方 法 を 計 画 し てい るが,最 も単 純 な静 的 なRI像 の場 合 は 前 述 のINCを 用 い て64×64メ モ リー語 の うち,カ メ ラか らのXお よびY信 号 に よ って 決 ま る ア ドレスの 写 真3 頭 部 のRI像(99mTc投 与 。 正 面 ・後 面 ・右 側 面 ・左 側 面 の 像) * X,Eお よ び 時 間 信 号 に 割 当 て るbit数 は 固 定 的 で な く,1語 内 で 自 由 に か え ら れ る 。

参照

関連したドキュメント

Note that most of works on MVIs are traditionally de- voted to the case where G possesses certain strict (strong) monotonicity properties, which enable one to present various

Note that most of works on MVIs are traditionally de- voted to the case where G possesses certain strict (strong) monotonicity properties, which enable one to present various

In particular, we show that, when such a polynomial exists, it is unique and it is the sum of certain Chebyshev polynomials of the first kind in any faithful irreducible character of

(The Elliott-Halberstam conjecture does allow one to take B = 2 in (1.39), and therefore leads to small improve- ments in Huxley’s results, which for r ≥ 2 are weaker than the result

In this section we apply approximate solutions to obtain existence results for weak solutions of the initial-boundary value problem for Navier-Stokes- type

We observe that the elevation of the water waves is in the form of traveling solitary waves; it increases in amplitude as the wave number increases k, as shown in Figures 3a–3d,

The advection-diffusion equation approximation to the dispersion in the pipe has generated a considera- bly more ill-posed inverse problem than the corre- sponding

Keywords Catalyst, reactant, measure-valued branching, interactive branching, state-dependent branch- ing, two-dimensional process, absolute continuity, self-similarity,