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何 が 自 死 を と ど ま ら せ 、 回 避 さ せ う る か

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先端倫理研究第12号(2018)

何 が 自 死 を と ど ま ら せ 、 回 避 さ せ う る か

山 梨 八 重 子

1 , は じ め に

我々は自殺を試みようとする者を目の前にしたとき、とっさにそれに介入し阻止するだ ろう。阻止介入に対して、その当事者からの非難や抗議の声があるとしても、社会通念は 介入を当然の行為とみなし、もし介入せずに放置したならば道徳的な責めを受けるであろ う。しかし自殺自体は本人の意思による行為であり自己決定を優位にとらえるならば、そ

れを阻止する介入は、その自己決定に対する侵害と見なされる可能'性もある。

本レポートでは、意志ある者で行為可能な者による自死に限定し、自死に対する道徳的

判 断 と さ ら に 、 自 死 を 踏 み と ど ま る 時 、 我 々 の 中 に 生 起 す る 思 い と そ の 判 断 の 根 底 に あ る

ものを、R・ドウオーキン(RonaldDworkin)の人間の生の「本来的価値」を手がかりに

検討することを目的とする。

2,自死のとらえ方一今日の法律および歴史的変遷一

今 日 に お け る 日 本 で の 自 死 の 法 学 的 解 釈 を 見 る と 、 自 死 は 、 一 般 に 違 法 で あ る が 不 処 罰 な も の と 解 釈 さ れ て い る 。 法 的 に 自 死 は 「 違 法 性 が 低 く 、 少 な く と も 刑 罰 に 相 応 す る 可 罰

的違法 性がない」こと、さらに「有責性」がないことから処罰の対象とならない。しかし

自 殺 者 を 救 済 せ ず に 放 置 し た 場 合 は 、 自 殺 関 与 罪 で 処 罰 の 対 象 と な る 。

橋本正博によれば')、自死とは生命法益処分の一つであり、自死でいえばその法益は生命 と い う 「 コ ト 」 で そ の 客 体 は 人 と い う 「 モ ノ 」 で あ り 、 「 コ ト 」 を 終 わ ら せ る ( 法 益 を 侵 害 す る ) た め に 「 コ ト 」 を 構 成 し て い る 要 素 で あ る モ ノ と し て の 身 体 に 働 き か け そ の 機 能 を 停 止 さ せ る こ と で あ る 。 つ ま り 生 命 を 処 分 す る と は 、 生 命 現 象 が 営 ま れ な く す る た め に 物 質 的 身 体 に 影 響 を 及 ぼ す 作 用 と 説 明 さ れ る 。 こ の 作 用 が 他 者 に よ っ て な さ れ 、 そ の 他 者 が

「 コ ト 」 の 終 了 に 至 る 全 事 象 の 支 配 可 能 性 を 握 っ て い る 場 合 は 、 生 命 へ の 侵 害 と し て 刑 法 で 違 法 と な る 。 自 死 で は 、 生 命 と い う 法 益 が そ の 個 人 で あ る こ と か ら 、 自 死 が そ の 個 人 の

自己決定による場合、その違法'性はないと解釈されるのである2)。

しかしながら自死は、歴史的に長きにわたって刑罰の対象としてされてきた3)。それは、

生死は神のなす領域ととらえられていたために、自死は神への冒涜であり自然法に抵触し、

君 主 , 国 家 へ の 犯 罪 的 行 為 と 見 な さ れ た の で あ る 。 自 死 が 私 事 の 領 域 に あ り 刑 罰 の 対 象 と さ れ な い と い う 今 日 の 法 的 解 釈 は 、 近 代 以 降 の 個 人 の 権 利 を 背 景 に 徐 々 に 形 成 さ れ て き た ものである4)。しかし自死のとらえ方には異なるとらえ方もあり5)、自死のとらえ方は必

ずしも一致したものではない。また日本においては自死に対し西洋と異なる死生観があり、

切腹や心中などに対し、一概に自死を悪とし犯罪視しない文化的背景を持つといわれる6)。

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参照

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