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「数」の「学」問としての数学(5) ―遠隔授業のための書き下ろし資料―

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(1)

[資料]

「数」の「学」問としての数学(5)

―遠隔授業のための書き下ろし資料―

星野 治

Mathematics, the Learning of Number:

5. Documents for Remote Lectures.

Osamu Hoshino

キーワード:遠隔授業、情報科学、数学

Key Words:remote lecture, informational science, mathematics

要約:本稿では、コンピュータ関連の遠隔授業のために新たに書き下ろした履修者閲覧用の長文 資料を紹介して、それらの内容について概説するとともに、今後の授業への手掛かりとなる知見 についても簡潔に触れる。資料はいずれも、数学という観点から授業目的や授業内容の一端を見 つめ直したエッセイに相当するものであり、実際の教室において生身の履修者に話しかけるつも りで、数学そのものよりも数学的思考の重要性をできる限り分かりやすく記述した所存である。

Abstract(English): In this paper the author shows documents newly written by him for those

college students who have remote lectures on basic informational science. The author introduces

the whole contents of all documents and the brief comments on them toward the IT lectures in a

near future. Those documents are written as simply as possible, as if the author himself told

them to the real students in the real lecture rooms, on the view point of the importance of

mathematical way of thinking rather than mathematics itself .

(2)

1 は じめに

本稿 では、『情報 処 理』(秋 草学 園短期 大 学地域 保育学 科一 年生 向け必 修科目 )の 遠隔 授 業にて 、

Google Classroom

に公 開した 長編 の書き 下ろし 文書 資料 の中か ら二本 を紹 介し 、 それぞ れの文 書ご とに 筆者の コメン トを 簡潔 に付す 。これ らの 資料 にはも ともと タイ トル が付い ていな いた め、 本稿で は便宜 を図 って 、各節 の冒頭 に[

]付き で各資 料の テー

マを付 記した 。具 体的 には、 以下の とお りで ある。

資料1 [授業 科目 履修 者のた めの記 述式 問題 に係る 出題意 図] ( 後節2 -1)

資料2 [プロ グラ ミン グに係 る筆者 (= 授業 担当者 )の見 解] ( 後節2 -2)

以下 に、こ れら の資 料の執 筆経緯 を簡 潔に 記す。

上記科 目『情 報処 理』 は演習 授業の 一つ であ り、授 業開講 に当 たり 履修者 一人に つき 一 台のコ ンピュ ータ 利用 が前提 となっ てい る。 そのた め、通 常で あれ ばいき なりコ ンピ ュー タの操 作に係 る説 明か ら授業 に入る こと は特 に珍し いこと では なく 、例年 その形 での 授業 が実施 されて きた 。し かし、今年度(

2020

年度)の授業 に関 して は、新 型コロ ナウ イル ス 感染防 止対策 とし て当 面、遠 隔授 業を併 用す ること が正式 に決 定さ れ、2020年6 月ま で の 間は大 学構内 全体 の事 実上の 閉鎖措 置が 実施 された 。これ は、 特 に

2020

年4月以 降、 東 京都を はじめ とす る各 自治体 で非常 事態 宣言 が発令 される ほど に、 新型コ ロナウ イル スへ の大規 模な罹 患流 行が 懸念さ れたた めで ある 。した がって 、既 述 の 「初め にコン ピュ ータ ありき 」状態 の授 業体 制は従 来年度 より も著 しく緩 和され た状 況で (つま り、コ ンピ ュー タが実 質上使 用で きな い状態 で)授業 が開 始 される ことと なり、本 学(秋草 学園短 期大 学 ) では前 期授業 のう ち最 初3回 分の授 業を 学生 向けレ ポート 計三 本分 によっ て代替 した 。今 回紹介 する二 本の 資料 のうち 、最初 の「資 料 1」の 冒頭に 掲げ られ た計3 問の「 課題」は 、 上述の 学生向 けレ ポー ト三本 分に当 たる(後 節2- 1を参 照)。ま た、各 資料 の内 容は必 ず しもコ ンピュ ータ 関連 分野だ けに特 化し ては おらず 、むし ろコ ンピ ュータ 科学の 周辺 領域 にまで 話題を 広く 浅く 展開し ており 、こ れら を通読 した授 業の 履修 者各位 の視線 が、 小学 校・中 学校・ 高等 学校 レベル の算数 ・数 学・ 情報の 授業だ けで は習 得しき れてい ない であ ろう領 域にま であ る程 度達し 得るよ うに 配慮 しつつ 、執筆 を進 めた 次第で ある。 また 、授 業の履 修者の 多く が近 い将来 、幼稚 園、 保育 所、施 設等で 活躍 する 有資格 指導者 への 途を 目指し ている こと に鑑 み、一 見する と無 関係 に思え るよう な知 見の 習得が 指導者 育成 に不 可欠で ある事 由に つい ても、 併せて 述べ たつ もりで ある。

なお、 ここに 紹介 する 各資料 は、原 文の 主旨 を変更 しない 程度 に若 干の字 句改変 を施 し てある 。これ は、 各資 料の公 開後に 準備 都合 ・時間 不足等 を原 因と する誤 字脱字 や書 き間 違いが 多々見 受け られ たこと に加え て、 この たび各 資料が 大学 紀要 の形で 広く学 外諸 氏の 目に触 れるで あろ うこ とを、 併せて 考慮 した ためで ある。

また、 本稿全 般を 通し て登場 する、 特殊 な固 有名詞 等の商 標に 係る 権利一 切は、 当該 固 有名詞 等の所 有者 に属 するこ とにご 配慮 をい ただき たい(例:Google Classroom、

Gmail

Microsoft Office、 Word、 Excel

PowerPoint、広辞苑 、ツ イッタ ー、そ の他)。

(3)

2 書 き下ろ し資 料の 紹介

この 章では 、前 章1 で紹介 した二 本の 資料 を、節 単位で 個別 に紹 介する 。各節 の初 号で は資料 の全文 を、 同・ 次号で は初号 の資 料に 係る現 時点で の筆 者の コメン トを、 それ ぞれ まとめ て記し てあ る。

なお 、各資 料と もに 、実際 の教室 で生 身の 履修者 諸氏へ 向け て直 接 話し かける 気分 に浸 りつつ 、でき る限 り丁 寧に記 述した つも りで ある。 そのた め、 字数 にして 数千字 (

400

字 詰め原 稿用紙 に換 算し て十数 枚)と いう 冗長 な読み 物にな って しま った。 しかし なが ら、

学術文 献のよ うな 堅苦 しさは できる 限り 避け ている ので、 筆者 とし ては学 生向け の科 学エ ッセイ (数学 エッ セイ という ほうが 的確 かも 知れぬ )のつ もり で気 楽に読 んでい ただ けれ ばと考 える次 第で ある 。

2-1 資料 1[ 授業 科目履 修者の ため の記 述式問 題に係 る出 題意 図]

2-1 -1 資料 の全 文

この授 業のシ ラバ スは 大学の ホーム ペー ジで 公開さ れてい ます ので 、ご覧 になれ る人 は ご一読 くださ い。 なお 、現時 点で公 開さ れて いるシ ラバス はす べて 、対面 授業の 実施 を前 提とし て作成 され てい ますの で、今 月か ら始 まった 遠隔授 業の 内容 とは必 ずしも 一致 しな いこと があり ます 。そ の点、 ご了承 くだ さい 。

今年度 前期の 第

1

回 ~ 第3回 の授業 につ いて は、「課 題」3題 分の出 題およ びそれ らに 対 する回 答をも って 代替 するこ とにな って いま す。今 日の授 業で は上 記の「 課題」 に関 する 簡単な 解説等 を行 いた いと思 います が、 その 前に一 つ、教 員と して 大変気 懸りな こと があ ります 。それ は、「 課 題が皆 さんの お手 元に 無事届 いてい るか 」と いうこ とです 。今 回は 、 郵送で はなく 電子 メー ル(

Gmail)に て、 課 題を送 付した と伺 って おりま す。

今後も 繰り返 しお 願い するこ とにな ると 思い ますが、

Gmail

( 特に、大学か ら発信 され る

Gmail) は必ず 、い つ でも読 める状 態に して おいて くださ い。 諸事 情によ り Gmail

を使 え

ない環 境にあ る場 合は 、遠慮 なく授 業担 当教 員や学 級指導 教員 へご 相談く ださい 。ち なみ に私の 授業の 場合 、追 ・再試 験受験 該当 者へ の個別 連絡 は

Gmail

を 用いて 行いま す。

さて、 今回の 「課 題」 は、次 の3つ でし た。

課題① :

本学入 学前に あな た自 身が実 際に参 加し た、 情報科 学関係 の学 校授 業や講 習会、 サー ク ル等に おいて 、あ なた が学習 した内 容を 簡潔 に記し てくだ さい 。

固有名 詞を記 述す る場 合は、 アルフ ァベ ット 等によ る匿名 表記 を用 いてく ださい (例 : 秋草学 園の場 合は A学 園と記 す、等 々)。

(4)

課題② :

あなた 自身 が

IT

機器(パソ コン やスマ ート フォン など )を使 うよ うにな ったき っか け、

また、 それに よっ てあ なた自 身の生 活に 現れ た変化 の概要 を、 差し 支えな い程度 で結 構で すので 、簡潔 に記 して くださ い。

固有名 詞を記 述す る場 合は、 アルフ ァベ ット 等によ る匿名 表記 を用 いてく ださい (例 : 秋草学 園の場 合は A学 園と記 す、等 々)。

課題③ :

幼児教 育・保 育の分 野 におい て、IT 機器 の利 活用は 事務レ ベル で急 速に浸 透しつ つあ る 半面、 幼園児 を相 手と する現 場では まだ 充分 に導入 されて いる とは 言えま せん。

幼児教 育・保 育の 現場 における

IT

機器 の利 活用に ついて 、あ なた 自身の 現時点 での 見 解を、 簡潔に 記し てく ださい 。

如何で したで しょ うか 。

課題① は、た いて いの 人が何 か書け たと 思い ます。 しかし なが ら、 課題② や課題 ③は 、 ふだん からい ろい ろな ことに 注意を 払っ てい ないと、書き 辛かっ た のでは ないで しょ うか 。

特に、 課題③ は、 実は この授 業(情 報処 理) の最終 目標に 相当 する もので あり、 現時 点 できち んと書 くこ との できる 人のほ うが むし ろ少な いでは ない かと 想像致 します 。

以下、 順番に 、解 説し たいと 思いま す。

課 題 ① の 出 題 意 図 は 、『 皆 さ ん が ど の 程 度 パ ソ コ ン や ス マ ー ト フ ォ ン の こ と を 学 ん で き ている かを教 えて いた だきた い』と いう こと です。

この授 業のシ ラバ スに は、

Microsoft Office

群 のビジ ネス系 ソフ トウ ェア(

Word

Excel

PowerPoint

) に つ い て 学 ぶ こ と が 中 心 に 書 か れ て い ま す が 、「 そ の 程 度 の ソ フ ト ウ ェ ア な ら中学 ・高校 の時 点で さんざ ん使い 倒し てき て、も う飽き 飽き して いる! 」と自 信を もっ て言え る人は 、果 たし てどの くらい おら れる でしょ うか。

私ども 教員の 高校 生時 代(とい うと、今 から 約

40

年前 です)に は 、一つの 高校に パソ コ ンが一 台あれ ば御 の字 という 状況で あり 、実 際に運 用でき る人 は教 職員に も生徒 にも ほと んどい ません でし た。 しかし 今では 、教 室で 一人一 台のパ ソコ ンが 使えて 、しか もパ ソコ ンの授 業が必 修化 して いると いう、 かつ てと は全く 異なる 時代 を迎 えてい ます。

この授 業(情 報処 理) は本来 、パソ コン 操作 という 実技を 伴う 授業 ですの で、各 人の 習 熟程度 に応じ た授 業を 展開す るのが 理想 です (いわ ゆるパ ソコ ンス クール では、 実際 にそ のよう な授業 を展 開し ていま す)。しか し、本 学では 時間的 制約 その 他の理 由によ り 、クラ ス単位 での授 業を 遂行 するこ とにな って いま す。そ うなり ます と、登山と 同じく 、体 力( こ の授業 の場合 は体 力で なく操 作能力 です が) が最も 弱い人 に合 わせ て進む ことが 大前 提と なりま す。

したが って、 この 授業 のシラ バスに も書 きま したよ うに、 この 種の 装置の 扱いが 苦手 な らば「 覚える より も慣 れるこ と」の 大切 さを 、逆に パソコ ンも スマ ホも得 意中の 得意 とい

(5)

うので あれば 「よ り賢 いパソ コン活 用の 仕方 」を、 それぞ れ理 解し ていた だきた いと 思い ます。

課題② の出題 意図 は、先の課 題①の 出題 意図 と類似 してい ます が、『ご自 分の日 常生 活の 中にお ける

IT

機 器の 便利さ・不便 さを、現 時点で どの程 度意 識し ておら れるの か、教 え て いただ きたい 』と いう ことで す。

確かに 、パソ コン やス マホを 使いこ なす こと によっ て、私 たち の生 活能力 には大 きな 変 化が生 じまし た。 ほと んどの 場合、 その 変化 につい ての言 及は 、ど ちらか といえ ば肯 定的 な側面 が目立 って いる ことが 多いと 思い ます 。しか し、私 とし ては 、肯定 的な側 面だ けで なく、 否定的 な側 面( という よりは 危険 な側 面とい うほう が適 切で しょう か)に も忘 れず 目を向 けてほ しい と考 えます 。

たとえ ば、皆さ んは 岩 波書店 の発行 する『 広 辞苑』を ご覧に なっ た ことが あるで しょ う。

『広辞 苑』は 、国 語辞 典の代 表格で す。 一冊 一冊が 非常に 大型 の書 籍で、 うっか り手 を滑 らせて 足の上 へ落 とし てしま うと大 変な こと になり かねな いほ どの 重量を もって いま す。

しかし ながら 、文字情 報とい う観点 で見 ます と、『 広辞 苑 』一冊 分 に含ま れる情 報は 、フ ロ ッピー ディス ク( って 見たこ とがあ りま すか ?)一 枚以内 に収 まっ てしま うと言 われ てい ます。フ ロッピ ーデ ィ スクは 最近滅 多に 見か けなく なって しま いま したが、いわゆ る

USB

メモリ ならば 家電 量販 店など で普通 に見 かけ るでし ょう。 あの

USB

メモリ 一個の なか に 、 フロッ ピーデ ィス ク数 千枚分 のデー タが、余 裕で入 ってし まい ます 。このよ うに 今日で は 、 大容量 の情報 (デ ータ )を小 さな装 置の 中へ 保存し て持ち 歩く こと が、ま ったく 当た り前 のよう になっ てい ます 。

反面、持 ち歩 ける情 報 が膨大 な量に なっ た場 合、それ らの 情報を き ちんと 整理で きる か、

また、 その整 理さ れた 中から 必要な 情報 を随 時、迅 速に取 り出 せる かは、 日常生 活の 特に ビジネ スの場 で、 非常 に大切 なスキ ルに なり ます。 ビジネ スは 一種 の競争 であり 、少 しで も速く ライバ ルの 先を 行く形 で、お 客様 にサ ービス を提供 する 必要 があり ます。 した がっ て、情 報の管 理能 力が ない人 の場合 、い ざ必 要な状 況に対 面し たと きに素 早く相 手の 求め る情報 (広い 意味 での サービ ス)を 提示 でき ず、ラ イバル に負 けて しまう という こと が起 こって も不思 議で はあ りませ ん。

また、最 近の記 録装 置 は非常 に精密 です。記 録部品( いわゆ る

IC

チップ)の一部 に何 か 支障を きたし ただ けで 、その 部品の 付い た装 置全体 が正常 に動 かな くなる という こと は、

普通に 起こり ます 。よ く聞く 話は、 稼働 中の 外付け ハード ディ スク ドライ ブに衝 撃を 与え たこと によっ て、 その ドライ ブに保 存さ れて いた何 万、何 億も の個 数の情 報(フ ァイ ル)

が読み 取り不 可に なっ てしま うとい うも ので す(私 自身に も、 私用 のハー ドディ スク ドラ イブを 机の上 から 床へ 落とし てしま い、 過 去

10

年間以上に わた って収 集して いた 膨大 な データ 全部を 永久 に喪 失した という 、苦い経 験があ ります )。した がって 、一 度に 扱える デ ータが 大量で あれ ばあ るほど 、より 高度 なデ ータ管 理能力 が自 然と 要求さ れるこ とに なり ます。

以上は データ の大 きさ (容量 )に関 する こと だけで すが、 他に も深 刻な状 況はた くさ ん ありま す。デ ータ の大 きさだ けでな く、 デー タの種 類によ って も、 そのデ ータに 関係 のあ

(6)

るすべ ての人 や物 への 影響(特 に悪影 響)を 見逃す ことは でき ませ ん。その 典型的 な例 は 、 最近ニ ュース など でし きりと 話題に 出る よう になっ た、「 個人 情報 」の取り 扱いで す 。昔の ことわ ざ「人 のう わさ も七十 五日」 とは 全く 逆に、 一度ネ ット 上へ 流れ出 した情 報や デー タは、 地球全 体が 一度 に死滅 しない 限り 、半 永久的 にネッ ト上 を流 れ続け ます。 パソ コン やスマ ホから の画 像デ ータ流 出につ いて は、 もしか すると 経験 され た人が 皆さん の中 にい ないと も限り ませ ん。 さらに 、日本 語で 書か れてい るから とい って 、油断 するの も禁 物で す。日 本語を 話す こと はでき なくて も、 読む 言語と して日 本語 を操 る能力 を有す る外 国人 は大勢 います 。「海 外 のハッ カーに よっ てホ ームペ ージを 無断 で書 き換え られた 」(星 野 注:

正確に はハッ カー では なく「 クラッ カー 」と 呼ぶべ きです )等 々の 話題を テレビ や新 聞、

雑誌な どで知 った 際、 自分自 身とは 無関 係と 思って 油断し てい る人 は、案 外多い ので はな いでし ょうか 。

課題③ の出題 意図 は、実は課 題とい うよ りも むしろ、『 この授 業( 情報処 理)の目 的を常 に意識 してほ しい 』と いう教 員側の 希望 表明 です。シラ バスに も書 きまし たが、「幼 児教育・

保育の 現場で の情 報メ ディア 活用法 」は 、今 後の幼 児教育 ・保 育の 現場で 大きな 問題 (良 い意味 でも、悪い 意味 でも)になる と思 いま す。こ こに、幼児教 育・保育 と申し まし たが 、 私たち の相手 にな るこ どもた ちは必 ずし も、幼稚園 や保育 園に 通っ ている とは限 りま せん 。 すべて のこど もた ちを 守り育 てるこ と、 その ことが 、私た ちに 課せ られた 大事な 使命 とい っても よいで しょ う。その使 命を十 二分 に果 たすた めの手 段の 一つ として、

IT

機器は 今後 、 大きな 力にな るだ ろう と私自 身は考 えま す。 ただし 、課題 ②に 関す る解説 の際に 述べ まし たとお り、こ の種 の武 器はい わゆる 諸刃 の剣 です。 使いか たを 誤る と大変 な事態 を招 きま すので 、それ なり の注 意を払 う必要 があ りま す。

もしか すると 、《 授業 が始ま るまえ から 、授 業の結 論を書 かせ て、いった いどう いう つも りだ》 と憤る 人が 、い らっし ゃるか も知 れま せん。 しかし 、た とえ ば皆さ んの将 来の 就職 先での 面接試 験の 場で 、課題 ③と同 主旨 のこ とをい きなり 尋ね られ た時、 ご自分 のそ の時 点での 意見を 、ご 自分 の言葉 で即座 にき ちん と話す ことが でき ます か。こ の種の 漠然 とし た話題 や目標 に関 して は、常 日頃か ら注 意を 払って いるこ とが 大切 です。

また、 この授 業( 情報 処理) は、地 域保 育学 科では 必修科 目に なっ ていま す。幼 稚園 や 保育園 の先生 にな るの になぜ 、パソ コン の授 業など を受講 する 必要 がある のかと 、い ぶか しく思 われる かた が皆 さんの 中にお られ るか もしれ ません 。も しそ うであ れば、 私が 今回 この資 料で述 べた こと を、今 一度振 り返 って みてく ださい 。先 生に なると いうこ とは 、何 かを相 手に伝 える 仕事 をする ことで す。「 こ ういう ことを 相手 に伝 えたい 」とい う心 構え が 足りな い人が 教員 免許 を取得 しても 、そ のま までは 本当の 意味 での 先生に はなれ ない と思 います 。

以上、 はなは だ簡 単で すが、 課題① ~③ の出 題意図 や、そ れら にま つわる いろい ろな 話 題につ いて申 し上 げま した。

課題の 出題時 には「

100~ 300

字程度 書きな さい 」的な 指示 を出し ました が、もう 回答を 完成し 提出を 終え てい る人は とにか く、 そう でない 人はも っと 少な い字数 でも、 ある いは

(7)

箇条書 きでも かま いま せんの で、と にか く何 か書き 下ろし てみ てく ださい 。人は 、文 字を 読み書 くこと によ って 、いろ いろな 知見 を頭 の中に 取り入 れて いき ます。 単に聞 き流 すだ け、単 に眺め るだ けで は、知 識はな かな か身 に付き ません 。

たくさ ん書く のが 苦手 という 人は、 ツイ ッタ ーの要 領でつ ぶや いて みるの もよい でし ょ う。日 本版ツ イッ ター の場合 は一度 に

140

字 までつ ぶやけ るこ とに なって いるそ うで すの で( 参考ま でに 、私自 身は考 えると ころ があ って 、ツイ ッタ ーは利 用して いませ ん)、一 秒 間に2 文字ず つし ゃべ るとす ると約 1分 間強 の小ス ピーチ にな りま す。そ の小ス ピー チの 原稿を 要旨と して、自 分自身 の考え を丁 寧に 説明す るつも りで 文章 を適当 に膨ら ませ れば 、 すぐに

300

字 前後 の長 文にな ってし まい ます 。

いった ん書き 下ろ した ら、声 を出し てご 自分 の文章 を音読 して みま しょう 。当た り前 で すが、 自分自 身が 理解 できな い文章 では 、他 者の理 解を得 るこ とな どでき ません 。自 分自 身が充 分に納 得で きる 内容お よび書 きか たに なって いるか どう か、 常に振 り返る だけ の余 裕をも って、 今後 の大 学での 勉強を 続け てい ただけ ればと 思い ます 。

最後に、しつこ くて 申 し訳あ りませ んが、大 学から 送信さ れる

Gmail

を 常時 必ず読 める 状態に してお いて くだ さい。毎 年、スマ ホの 機種変 更をし たら

Gmail

が 届か なくな った と いう人 が、非 常に 大勢 います 。中に は開 き直 ってし まって 「

Gmail

なんて 届かな いか ら、

あんな の読ま なく てい い」等 々と凝 り固 まっ てしま う人も いる ほど ですが 、それ では 困り ます。Gmail は 、本 学 におけ る公式 の

SNS

ツール です。Gmail が 届かな いこと は、大学 か らの大 事な連 絡が 皆さ んのお 手元へ 届か ない ことと 、同じ にな りま す。検 索ホー ムペ ージ

Google

のフロ ント ペ ージ(検 索ワー ドを 入 力する 欄が出 てい るホ ームペ ージ )を 表示 で き

IT

機器 であれ ば、メール 送受信 用に 特化 された アプリ を使 わな くても「ウ ェブメ ール 」

形式で

Gmail

を読む こ とは可 能です 。今現 在 この文 章を読 めて いる 人であ れば、

Gmail

読むこ とはそ れほ ど難 しくな いと思 いま す。

また、 この授 業( 情報 処理) のクラ スル ーム の「ス トリー ム」 には 、この 授業に 関す る 質問や 確認を 投稿 して いただ いてか まい ませ ん。た だし、 すで に私 がスト リーム へ記 しま したよ うに、 授業 とは 無関係 な内容 の投 稿は 、遠慮 いただ きた く存 じます 。あと 、投 稿内 容は原 則とし て、 後か ら削除 せずに 済む 内容 のもの をお願 いし ます (その ために は、 投稿 前に充 分な推 敲を 行う 必要が ありま す)。せ っかく 書き込 んで いた だいて も、削 除さ れる と 後から 読み返 すこ とが できな くなっ てし まい 、同じ 内容の 質疑 応答 が何度 も繰り 返さ れる という ことに なり かね ません 。一人 の抱 える 疑問・ 不安は 得て して 、その 人の所 属す るク ラス全 員に共 通す る疑 問・不 安でも あり ます 。独り で閉じ こも らず 、でき る限り 話題 を共 有する ように しま しょ う。

今回は 、通常 の対 面授 業でお 話しす る内 容を 、その まま文 章化 して みまし た。字 数に し

て約

6,000

字(

400

字 詰め原 稿用紙 に換 算し て

15

枚前 後)ありま す。一 度に あまり たく さ

ん読ん でいた だい ても すぐに は頭に 入っ てい かない だろう と思 いま すので 、ひと まず ここ で止め ます。

(8)

本日の 課題は 、以 上の 文章に 対する 皆さ んご 自身の 現時点 での 感想 ・コメ ントを 、回 答 欄に

140

字前 後記 入し て、この 授業の 終了 時 刻まで に送信 して いた だくこ とです。当分 の 間、課 題の送 信を もっ て、皆 さんの 出席 確認 に替え ること とし ます 。

次回も どうぞ よろ しく お願い 申し上 げま す。 〓

2-1 -2 コメ ント

前章 1で述 べた よう に、『情 報処理 』はコ ン ピュー タ利活 用を 前提 とする 演習授 業で あり 、 本来な らば能 力別 の授 業開講 体制が 望ま しい ところ ではあ るが 、授 業日数 のその 他の 事情 により 実際に は能 力別 クラス による 開講 はな かなか 難しい 。そ のよ うな場 合、資 料の 本文 中にも 述べた とお り、 初心者 レベル に合 わせ た授業 進行を 原則 とす る「護 送船団 」方 式の 授業展 開にな らざ るを 得ない 。した がっ て、 授業の 履修者 各位 が現 在まで の間、 コン ピュ ータを はじめ とす る情 報機器 全般に 関し て、 どの程 度の知 見を 習得 してき たかを 確認 する ことは 、重要 な準 備作 業であ るとい える 。

各問に 対する 履修 者各 位の回 答は本 稿で は伏 せるが 、特に パソ コン の操作 に関し ては 習 熟度が 千差万 別で あり 、全員 一律な 授業 展開 は授業 担当教 員だ けで なく履 修者の 大半 にと っても 、少な から ぬ負 担であ ること が充 分に 感じら れた次 第で ある 。

2-2 資料 2[ プロ グラミ ングに 係る 筆者 (=授 業担当 者) の見 解]

2-2 -1 資料 の全 文

今回は、「プ ログラ ミ ング」 につい て、 簡単 にお話 しした く存 じま す。

ここし ばらく 、コ ンピ ュータ の授業 とは 名ば かりで 、数学 の話 題ば かりを 取り上 げて い る感が 非常に 強く 、数 学の苦 手な各 位に は少 なから ず申し 訳な く思 います 。しか し、 計算 機は数 学とと もに 発達 したと いう歴 史的 な経 緯があ り、ど ちら も決 して無 縁では あり ませ ん。ここで はそ の例と して 、三角 形の 面積の 計算を 取り上 げま す。「何 だ 、結局 は数 学の 話 じゃな いか」と怒り 出 す人が いるか も知 れま せんが、少し 我慢し て お付き 合いを 願い ます 。 面積の 計算は 、数学 の「積分」と 深い 関係に ありま す。「微 分・積 分」とか「 微積 分」と かいう ように 、「積 分 」は「 微分」と対 にし て扱わ れるこ との 多い 分野で あり、高校 数学 Ⅲ では最 初に微 分を 学び 、その 逆演算 とし て積 分を学 びます 。し かし 、歴史 上の知 見と して 現れる のは、 実際 には 微分よ りもむ しろ 積分 のほう が先で す。 積分 という 計算は 、紀 元前 の昔か ら盛ん に行 われ てきま した。 これ は、 たとえ ば領主 が民 衆か ら租税 を徴収 する 際、

民衆の もつ土 地の 広さ に応じ て租税 の額 を決 めるた めに、 土地 の面 積を計 算する 必要 があ ったの です。 現在 の高 校数学 Ⅲで普 通に 教え られて いる「 積分 は微 分の逆 演算」 とい う発 想は、 後世に なっ てか ら生ま れた概 念で す。 この辺 りの事 情を 分か りやす く記し てい る参 考書と して、武 藤(

1980)を紹介し てお きま す。遺憾 ながら、この 本は現 在絶版 です。今

(9)

回の新 型コロ ナウ イル ス騒動 がある 程度 沈静 化して 、図書 館の 運営 が再開 されて から 、図 書館で 探して 読ん でみ てくだ さい。

さて、高校 までの 数学 で習っ たよう に、ここ では「

xy

座標 」とい え ば「直 交す る2本 の 定直線 を基準 とし て定 義され た実数 平面 座標 」を意 味する こと にし ます。

図 1 に 示 す よ う に 、 三 つ の 点

A x y (

1

,

1

) , B x y (

2

,

2

) , C x y (

3

,

3

)

が 与 え ら れ た と き 、 三 角 形

ABC

の面 積

S

はい く らにな るでし ょう か。

図1 三角形 の面 積の 計算( その1 )

面白い ことに 、こ の種 の問題 は案外 、小 難し い知見( 例:三点

A

B

C

が三角 形の 頂点

を構成 するた めの 条件 、等々 )をた くさ ん知 り過ぎ ている 私た ちよ りもむ しろ、 図形 の面 積につ いての 知識 を学 んだば かり小 学生 や中 学生の ほうが 、す いす いと解 ける場 合が 多い ようで す。た とえ ば、 次のよ うに考 えて みて は如何 でしょ うか 。

図2 三角形 の面 積の 計算( その2 )

(10)

図2に おいて 、三角 形

ABC

に外 接する 長方 形(図中 の破 線の図 形 )を考え ます。この 長 方形の 各辺 は

x

軸お よ び

y

軸に 並行 であり、三角形 のすべ ての 頂点 は必ず この長 方形 の辺 上に存 在する とし ます 。この ような 性質 をも つ長方 形は、 任意 の鋭 角三角 形に対 して 必ず 存在し ます( 三角 形全 般の場 合につ いて は、 後ほど 言及し ます)。 この長 方形の 面積

S

0

( ) ( )

0 3 2 1 2

S = xx × yy

として 計算で きま すが 、図2 をよく 見ま すと 、三角 形の各 頂点 の座 標には

2 1 3

x ≤ ≤ x x

およ び

y

2

y

3

y

1

という 関係が あり ます ので、 もっと 一般 的に

( ) ( )

{ } { ( ) ( ) }

0

max

1

,

2

,

3

min

1

,

2

,

3

max

1

,

2

,

3

min

1

,

2

,

3

S = x x xx x x × y y yy y y

と表す ことが でき ます 。ここ に、

max ( ) 

およ び

min ( ) 

はそれぞれ 、引 数の最 大値 および 最小値 を与え る関 数で す。

一方、 長方形 の各 頂点 を直角 として 辺

AB

、 辺

BC

お よび 辺

CA

を それぞ れ斜辺 とす る、

直角三 角形の 面積 を各 々

S

AB

S

BCおよび

S

CAとしま すと 、図4 から

(

1 2

) (

1 2

) (

3 2

) (

3 2

) (

1 3

) (

1 3

)

, ,

2 2 2

AB BC AB

x x y y x x y y x x y y

S − × − S − × − S − × −

= = =

のよう になり ます 。ま た、先 述の長 方形 の条 件から 、求め る面 積

S

( )

0 AB BC CA

S = SS + S + S

として 与えら れる こと は明ら かです 。

以上の 知見を 一括 して 書き下 ろすと 、次 に示 すよう な式に なり ます 。

( ) ( )

{ } { ( ) ( ) }

0

max

1

,

2

,

3

min

1

,

2

,

3

max

1

,

2

,

3

min

1

,

2

,

3

S = x x xx x x × y y yy y y

( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( )

{

1 2 1 2 2 3 2 3 3 1 3 1

}

1

2 x x y y x x y y x x y y

− × − × − + − × − + − × −

この式 は、 二つの 数の 組み合 わせ

( x y

i

,

i

)

に関 する「 対称式 」に なって いま す。た とえ ば

( x y

1

,

1

)

( x y

2

,

2

)

とを 互いに 入れ 替え ても、こ の式は 成立 し ます。言 い換え れば、

x

iおよび

y

iが三角 形の頂 点を 構成 するた めの必 要充 分条 件(三 つの座 標点 が同 一直線 上に存 在し な いこと )を満 たす 限り 、頂点 の各座 標間 の大 小関係 を気に する こと なく、 上記の 式を 使っ て三角 形の面 積を 計算 できま す。不 安な 人は 、いろ いろな ケー スで 計算を 試して みて くだ さい。

上記の 式を よく眺 めま すと、 少し 厄介な のは

x

iおよび

y

iの最 大値、 最小 値をど のよ うに 計算す るかく らい で、 後はほ ぼ数式 どお りの 計算に なりま す。 計算 作業の 手順を 具体 的に 記すと 、たと えば 次の ように なりま す。

① 三角形 の座標

( x y

i

,

i

)

を設 定し ます(

i = 1, 2, 3

)。

x

iの最大 値を

X

maxとしま す(

i = 1, 2, 3

)。

x

iの最小 値を

X

minとしま す(

i = 1, 2, 3

)。

y

iの最大 値を

Y

maxとしま す(

i = 1, 2, 3

)。

y

iの最小 値を

Y

minとしま す(

i = 1, 2, 3

)。

S = ( X X ) ( × Y Y )

を計算 しま す。

(11)

S

12

= ( x

1

x

2

) ( × y

1

y

2

)

を計算 しま す。

S

23

= ( x

2

x

3

) ( × y

2

y

3

)

を計算 しま す。

S

31

= ( x

3

x

1

) ( × y

3

y

1

)

を計算 しま す。

S

123

= S

12

+ S

23

+ S

31 を計算 しま す。

123 123

2

T = S

を計算 しま す。

S = S

XY

T

123 を計算 しま す。

⑬ 上記⑫ で求め た

S

が、 求める 三角形 の面 積で す。

上記の ①~⑬ の計 算作 業を、 コンピ ュー タに 行わせ るため の手 順と して組 み立て るこ と が、「プ ログ ラミン グ 」とい われる 作業 です 。計算 手順の 一つ 一つ を「ソ ースコ ード 」と い い、そ の記述 には コン ピュー タとそ の利 用者 との双 方を仲 立ち する 特殊な 言語( プロ グラ ミング 言語) を用 いま す。② ~⑤の 作業 は、 プログ ラミン グ言 語の 「組み 込み関 数」 を利 用する ことに よっ て、 簡単に 記述で きま す。 実際の 計算は 、ソ ース コード をコン ピュ ータ が直接 理解で きる 状態 に変換 してか ら( この 作業を 「コン パイ リン グ」と いいま す) 行い ます。

ここで 、図2 に戻 りま す。実 は、図 2の 破線 に示す ような 長方 形を うまく 見つけ るこ と ができ るのは 、三 角形 の三つ の辺の 勾配 の符 号が同 じでな い場 合で す。た とえば 図3 に示 すよう に、三 辺の 勾配 がいず れも同 じ符 号と なるよ うな三 角形 の場 合、図 2の要 領で 長方 形を決 めるこ とは でき ません 。三つ の頂 点の いずれ かが、 長方 形の 辺の上 へ乗ら なく なっ てしま うため です 。し たがっ て、こ のま まで は先ほ ど紹介 した 計算 手順① ~⑬を 適用 でき ません 。

図3 三角形 の面 積の 計算( その3 )

上述の 問題に つい ては 、いろ いろな 逃げ 道が あると 思いま す。 たと えば、 三角形 の面 積 は「任 意の頂 点か ら対 辺(の 延長線 上) に降 ろした 垂線の 長さ 」と 「その 対辺の 長さ 」と

(12)

だけで 決まり ます 。そ こで、 与えら れた 三角 形の三 つの頂 点の うち の一つ を、そ の対 辺と 並行に 移動さ せる とい う案が ありま す( 図4 )。

図4 三角形 の面 積の 計算( その4 )

図4で は三角 形が 鋭角 三角形 になる まで 頂点 を移動 させて いま すが 、実用 的には 三辺 の 勾配の 符号が 等し くな い状態 となれ ば良 いの です。 図1 で いえ ば、 辺

CA

x

軸 とが 並行

になる まで頂 点

C

を 移動さ せれば 充分 です 。こ の場合 、辺

CA

は 長方形 の辺と 重な りま す けれど も、先 に示 した 面積

S

CAの値が

0

になる だけで 、①~ ⑬の 手順 はその まま適 用可 能 になり ます。 原点 移動 の手続 きは、 もち ろん コンピ ュータ の利 用者 の手元 で予め 済ま せて おくこ ともで きま すが 、普通 は手順 ①と 手順 ②との 間に頂 点移 動の ための 手順を 追加 して おき、 コンピ ュー タに すべて の計算 を実 行さ せる方 法が採 られ ます 。

もしく は、三 辺の いず れか一 つが座 標軸 (

x

軸または

y

軸)と 並行 になる まで、 三角 形 を回転 移動さ せる とい う案も ありま す。 こち らの方 法では 、三 角形 の形状 が一定 に保 たれ る替わ りに、「回 転変 換」と いう 手続 きを別 途行わ なけれ ばな りま せん。ここ では 詳述し ま せんが 、回転 変換 を行 うには 「行列 の一 次変 換」お よび「 三角 関数 」の知 識が必 要に なり ます。 しかも 、三 つの 頂点全 部を同 時に 移動 させな ければ なり ませ んので 、それ なり に計 算の手 間が増 えま す。 こちら の案の 場合 も、 先の頂 点移動 の場 合と 同じく 、手順 ①と 手順

②との 間に回 転変 換の 手順を 追加す るの が普 通です 。

ところ で、中 学校 の数 学で「 三平方 の定 理」 や「平 方根」 を学 んだ 際、皆 さんの 中に は もしか すると 、「 ヘロ ンの公 式」とい う名称 で知ら れる 、三 角形の 面積の 計算方 法を 教わ っ た人が おられ るか もし れませ ん(ヘ ロン は古 代ギリ シャの 数学 者)。三角 形の三 つの 辺の 長 さをそ れぞ れ

a

b

c

とする とき、 三角 形の 面積

S

は次 の式 で求め ること ができ ます 。

( ) ( ) ( )

S = s × − × − × − s a s b s c

ただ し

2 a b c s = + +

この式 の成立 を証 明す る方法 はいろ いろ あり ますが 、ここ では 省略 します (たと えば 、 高校数 学Ⅲで 「三 角関 数」を 学んで いれ ば、「第二 余弦定 理」 に基 づく証 明が可 能で す)。

(13)

ヘロン の公式 を用 いて 三角形 の面積 を計 算す るに当 たり、 三角 形の 形状に ついて 特に 制 限はあ りませ ん。三角 形

ABC

の 辺の 長さを それぞ れ

BC = a , CA = b , AB = c

とすると 、三 平方の 定理か ら、 三つ の頂点 の座標 を用 いて

(

2 3

) (

2 2 3

)

2

, (

3 1

) (

2 3 1

)

2

, (

1 2

) (

2 1 2

)

2

a = xx + yy b = xx + yy c = xx + yy

という 式が得 られ ます 。先ほ どのプ ログ ラミ ングと 同じよ うに 、ヘ ロンの 公式を 使う 場合 の計算 手順を 整理 しま すと、 たとえ ば次 のよ うにな ります 。

(1)

三角形 の座標

( x y

i

,

i

)

を設 定し ます(

i = 1, 2, 3

)。

(2)

二つの 座標

( x y

2

,

2

)

および

( x y

3

,

3

)

から 、

a = ( x

2

x

3

) (

2

+ y

2

y

3

)

2 を計 算し ます。

(3)

二つの 座標

( x y

3

,

3

)

および

( x y

1

,

1

)

から 、

b = ( x

3

x

1

) (

2

+ y

3

y

1

)

2 を計 算し ます。

(4)

二つの 座標

( x y

1

,

1

)

および

( x y

2

,

2

)

から 、

c = ( x

1

x

2

) (

2

+ y

1

y

2

)

2 を計 算し ます。

(5) d = + + a b c

を計算 しま す。

(6) 2

s = d

を計算 しま す。

(7) p = − s a

を計算 しま す。

(8) q = − s b

を計算 しま す。

(9) r = − s c

を計算 しま す。

(10) t = × × × p q r s

を計算 しま す。

(11) S = t

を計算 しま す。

(12)

上記

(11)

で 求め た

S

が 、求め る三角 形の 面積 です。

前回の 黄金数 の計 算の 場合と 同様に 、三 角形 の面積 の求め かた にも いろい ろな方 法が あ ること がわか りま す。

三角形 の頂点 の座 標が 最初か らすべ て整 数値 で与え られて いる 場合 には、数 値計 算の「 打 ち切り 誤差」 とい う観 点から みて、 最初 に紹 介した プログ ラミ ング のほう が有利 と思 われ ます。 しかし 、す でに 申し上 げまし たよ うに 、三角 形の形 状に よっ ては適 用不可 な場 合が 存在し ますの で、 その 対策を 事前に きち んと 立てな ければ なり ませ ん。

一方、 三角形 の形 状に 制限が なく、 かつ 頂点 あるい は図形 全体 の移 動変換 がどち らも 不 要であ るとい う観 点か らみれ ば、ヘ ロン の公 式を活 用する プロ グラ ミング のほう が楽 でし ょう。 しかし 、ヘ ロン の公式 では平 方根 の計 算を行 うこと が必 要に なりま すので 、整 数値 で座標 値を与 えて いて も、そ の計算 途中 に無 理数が 介入す るこ とは 原則と して避 けら れま せん。 理論的 には 無理 数が打 ち消さ れて 有理 数だけ が残る 場合 であ っても 、数値 計算 では 必ず有 限桁数 で計 算を 打ち切 ってか ら先 へ進 みます ので、 打ち 切り 誤差の 累積が 計算 結果 に影響 を及ぼ す懸 念は 最後ま で残っ てし まい ます。

要は、 どの計 算方 法も 、決し て完全 無欠 では ないと いうこ とで す。 コンピ ュータ の利 用 者は、実 際の 計算条 件 に応じ て、最 適と思 わ れる方 法をそ のつ ど選 択する しかな いの です 。

(14)

プログ ラミン グっ て何 だか複 雑だな と思 う人 は、た とえば 自炊 でカ レーラ イスを 作る こ とを想 像して くだ さい 。カレ ーライ スを 作る ために 必要な もの は、 材料と レシピ です 。三 角形の 面積の 計算 との 比較で いえば 、材料 は 三角形 の座標 の設 定に 、レシピ は計 算手順 に 、 それぞ れ相当 しま す。 カレー ライス の材 料に もレシ ピにも 、無 数の 組み合 わせや テク ニッ クがあ ります 。本 格的 なカレ ーソー スを 作ろ うとす れば数 々の 香辛 料の組 み合わ せか ら出 発する 必要が あり ます が、そ こまで いか なく ても、 既存の 市販 ルー (ある いは業 務用 レト ルトソ ース) で間 に合 わせる 人も多 いで しょ う。今 回紹介 した プロ グラミ ング例 の場 合、

「三つ の数の 中の 最大 値およ び最小 値の 抽出 」ある いは「 三平 方の 定理を 使った 正の 平方 根の計 算」と いう 、処 理作業 がやや 複雑 な個 所につ いては 、プ ログ ラミン グ言語 の「 組み 込み関 数」を 利用 した 簡便な 記述が 可能 です 。ここ が、カ レー 作り でいう 市販ル ー( ある いは業 務用レ トル トス ース) の利用 に相 当す ると思 います 。

少々余 談です が、 市販 ルーを 使う料 理は 、お おむね 調理方 法が 類似 してい ますの で、 自 炊の苦 手な人 にも お奨 めです 。具材 を油 でよ く炒め た後、 所定 量の 水を加 えて煮 込み 、い ったん 火を落 とし てか らルー を加え てよ く溶 かし、 とろみ が付 くま で再度 煮込み ます 。あ まり調 理に詳 しく ない 者から すると 、ル ーを 加える 際にな ぜ加 熱を いった ん止め る必 要が あるの か、よ く理 解で きませ ん。確 実に いえ ること は二つ あり 、一 つは上 記のよ うに ルー を加え る際に は必 ず加 熱を止 めるこ と、 そし てもう 一つは 、ル ーと してど のよう な種 類の ものを 加える のか に応 じて、 カレー でも シチ ューで も何で もで きて しまう ことで す( 広い 意味で 。こ の辺 りの知 識につ いては むし ろ、皆さん のほう が詳 しい でしょ う)。原理 原則 は 難しい かも知 れま せん が、そ の結果 を利 用す ること は比較 的簡 単で す。カ レー作 りに して も、三 角形 の面 積の計 算にし ても 、私 たちの 多くに とって 必要 なこ とは、「原理 原則 の概 要 を理解 してい るこ と」 および 「現時 点で の自 分自身 の能力 に合 う手 段を選 択する こと 」の 二つで す。

閑話休 題。も うご 存じ と思い ますが 、今 年度 の小学 校高学 年よ り、 プログ ラミン グに 関 する授 業の履 行が 義務 化され ていま す。プ ロ グラミ ングと はい って も、いき なり

FORTRAN

(科学 技術計 算向 けの プログ ラミン グ言 語で すが、 最近で はあ まり 使われ なくな って いま

す)や

C(現 行の パソ コン用 ソフト ウェ アの 圧倒的 多数は 、こ のプ ログラ ミング 言語 によ

ってソ ースコ ード が記 述され ていま す) を使 ってソ ースコ ード を作 成する のでは なく (実 際 に そ う い う 作 業 が 得 意 な 小 学 生 も 実 在 す る よ う で す が )、 既 存 の モ ジ ュ ー ル の 組 み 合 わ せによ って新 たな 機能 を作り 出すこ との 面白 さを学 ぶとい うも ので す。か つて一 世を 風靡 した、「 電子 ブロッ ク」(って ご存じ です か? )を取 り扱う よう なも のです 。パソ コン が学 校に一 台あれ ば御 の字 という 状況が 当た り前 であっ た世代 から みる と、隔 世の感 があ りま す。

そのよ うな新 しい 教育 を受け て育つ 世代 と私 たちと が近い 将来 、対 等に交 流でき るよ う になる ために も、 今回 申し上 げたよ うな 知識 は、持 ってい て得 する ことは あって も損 する ことは ありま せん 。私 たちの 多くは いわ ゆる コンピ ュータ の専 門家 ではあ りませ んが 、プ ログラ ミング に関 する 基礎概 念を理 解し てい るだけ でも、 何も 知ら ないよ りは遥 かに まし です。 プログ ラミ ング だけで は制御 判断 しき れない もの、 たと えば 人間の 心の動 きな どの 重要さ を探る うえ で、 コンピ ュータ に関 する 学習は 大きな 意義 があ ると信 じる次 第で す。

(15)

上記の ことと 併せ て、この遠 隔授業 の初 回で ご覧い ただい た解 説文(筆者 注:本 稿の「 資 料1」 を指す )を 、今 一度読 み返し てみ てく ださい 。以前 にも 申し 上げた とおり 、教 諭免 許の取 得には コン ピュ ータ関 連授業 の履 修が 義務付 けられ てい ます 。それ は単に 、コ ンピ ュータ を業務 用の 道具 として 、使い こな せる 能力を 問われ てい るだ けでは ありま せん 。コ ンピュ ータは 、そ の利 用者が 指示し たと おり にしか 、動く こと がで きない 存在で す。SF 分 野の文 芸作品 では しば しば、コ ンピュ ータ 対 人間の 権力闘 争や、

AI(人工知 能)の暴 走な

どが描 かれて いま す。 しかし 、現実 には 、そ のよう な事態 を引 き起 こして いる悪 役は コン ピュー タでは なく 、そ のコン ピュー タを 裏で 操作し ている 人間 です 。今後 とも、《 コンピ ュ ータは 自身の 創造 者( つまり 人間)以上 の存 在には なり得 ない 》と 私は考 えます 。も し《 そ れ》が 事実で ない とす れば、 無から 有が 生じ ること になっ てし まい ます。 無から 有が 生じ ないこ とは、 少な くと も現代 物理学 の分 野で は、す でに確 立し た概 念とな ってい ます 。

繰り返 しにな りま すが 、コン ピュー タは あく までも 、人間 に使 役さ れる存 在です 。自 分 自身が 【責任 をも って コンピ ュータ を取 り扱 える人 物】を 育成 でき る指導 者にな ると 同時 に、自 分自身 もま たそ のよう な【人 物】 に成 長する こと。 それ が、 教師を 志す皆 さん に対 して、 コンピ ュー タ授 業の履 修義務 が課 せら れる所 以であ ると 思う のです 。〓

2-2 -2 コメ ント

本資 料は、 履修 者諸 氏に最 後まで 通読 して 感想・ コメン トを 記述 してい ただく とい う主 旨の課 題のた めに、「 情報科 学で最 も重 要な ことは 、数 学そ のもの よりも むしろ 、数学的 な 考えか たであ る」 こと を前提 として 、書 き下 ろした もので ある 。

本資 料の冒 頭で 武藤(

1980)を紹介し てい るが、こ こで はむし ろ 、「微分 よりも 先に 積 分

が誕生 した 」旨 をより 深く敷 衍した 、同じ著 者によ る武藤(

2012)を紹介 するほ うが 適切

だった かも知 れな い。ただし、筆者が 高等 学 校在校 時代(本 稿執 筆 時より 約

40

年前)に 武

藤(

1980)を 読ん で深 い感銘 を受け たこ とは 間違い なく 、この 種の 感銘が その後 の筆 者自

身の進 路に大 きな 影響 を与え たこと もま た事 実であ る。大 学の 教員 として は、こ の種 の感 銘を、 教員養 成課 程に 在籍す る学生 諸氏 に対 しても 、頭脳 が柔 軟か つ成長 しつつ ある この 時期に 、でき る限 り多 く経験 しても らい たい と願う 。

本資 料では 三角 形の 面積の 計算方 法に つい て二種 類の方 法を 述べ たが、 資料公 開後 に相 当の期 間を経 てか ら、「ベク トルの 外積」を 利用し た計算 法を 解説 しても よかっ たで あろ う と考え た。具 体的 には 、次の とおり であ る。

z

軸とい う座標 軸を 追 加して

xyz

直交 座標を 考え、 三角 形

ABC

xy

平 面上 にある とし てその 三頂点 の座 標を

(

1

,

1

, 0 , ) (

2

,

2

, 0 , ) (

3

,

3

, 0 )

A x y B x y C x y

と する 。 こ のと き 、「 二 つの ベ ク トル

 AB

お よ び

 AC

の 外 積と し て 得 られ る ベ クト ル

Σ 

の 大 きさは 、三角 形

ABC

の面積

S

2

倍に なる 」こと に着目 する 。つ まり

sin

2 2 2

AB AC AB AC

S ⋅ ⋅ θ × Σ

= = =

  

と し て 、 三 角 形 の 面 積 を 計 算 し よ う と い う わ け で あ る (

θ

 AB

お よ び

 AC

の 成 す 角 度 )。

ここに 、列ベ クト ル表 記で具 体的に 各ベ クト ルを成 分表示 する と

(16)

( )( ) ( )( )

2 1 3 1

2 1 3 1

2 1 3 1 3 1 2 1

, ,

0 0

0 0

x x x x

AB y y AC y y

AB AC

x x y y x x y y

− −

   

   

=  −  =  − 

   

   

 

 

Σ = × =  

 − − − − − 

 

 

  

である から、 求め る面 積は

(

2 1

)(

3 1

) (

3 1

)(

2 1

)

1

2 2

S Σ x x y y x x y y

= = ⋅ − − − − −



となる 。最後 の式 をも う少し 整理す ると 、

( ) ( ) ( )

1 2 3 2 3 1 3 1 2

1

S = ⋅ 2 x yy + x yy + x yy

が得ら れる 。これ は、

( x y

i

,

i

)

に関す る対 称式 である 。しか も面 白いこ とに この式 は、 本資 料の中 で示し た面 積の 式より も、は るか に単 純明快 な形の 式で ある 。つま り、二 次元 平面 上での 問題を 、よ り高 次元( ここで は三 次元 空間) のイメ ージ で問 題を考 察し直 すこ とに よって 、従前 より も見 通しの よい解 が得 られ たこと になる 。こ れは 、コン ピュー タプ ログ ラミン グでい うと ころ の「最 適化」 の一 例と もいえ る。

文章中 に「前 回の 黄金 数の計 算」と ある のは 、この たびの 授業 に先 立って 実施さ れた『電 卓を使 った黄 金数 の計 算演習 』を示 す。 左記 『演習 』の概 要を 述べ ると、 正則連 分数 や二 次方程 式( ニュ ートン・ラフソン 法の 利用)、複 平方根 、そし てフ ィボナ ッチ数 列を 使っ た 各々 の計 算結 果が い ず れも 黄金 数

1 5

1.6180339887

φ = + 2 = 

へ 収束 す るこ とを 確認 させ 、 ニ ュ ー ト ン ・ ラ フ ソ ン 法 の 場 合 を 除 く 計 算 原 理 が す べ て 二 次 方 程 式

φ

2

− − = φ 1 0

( た だ し

φ > 0

)を 適宜変 形す ること により 導かれ る旨 を解 説した 次第で ある(当『演 習』の詳 細な 紹介は 、本稿 では 省略 する)。

議論 の途中 で唐 突に カレー ライス 作り の話 が飛び 込んで きた 所以 は、筆 者が実 際に 自宅 にてカ レーラ イス を自 炊しな がら本 資料 の原 案を執 筆した ため でも あるが 、それ 以上 に、

難しく 複雑に 思え るこ とをで きる限 り単 純に 身近な 例を通 して 理解 しては 如何と いう 、筆 者自身 の日頃 の思 いの 強い反 映でも ある 。例 として 、回転 対称 形の コップ に入れ た水 を勢 いよく 撹拌す ると 、水 面が放 物面を 呈す るこ とはよ く知ら れて いる 。しか し、そ の理 由を 説明す るため には 、流 体力学 などの 知見 が必 要であ る。あ るい は、 まっす ぐな壁 へ距 離を 離して ほぼ同 じ高 さに 打ち込 んだ二 本の 釘と 釘との 間へ、長めの 細 い一様 な鎖を 垂ら すと 、 鎖はし ばらく 揺れ た後 、下に 凸の左 右対 称な 形状に 落ち着 く。 この ときの 鎖の形 状は 「懸 垂線」 と呼ば れて おり 、電柱 と電柱 との 間の 電線の 張られ 具合 など 、我々 の日常 生活 環境 の中で ごく普 通に 観察 される もので ある 。し かし、 この懸 垂線 の数 学的・ 物理学 的な 性質 を究め ようと すれ ば、 やはり 解析力 学や 微分 方程式 論など の知 見が 必要と なる。 若干 の仮 定が必 要には なる が、 懸垂線 は数学 分野 で「 双曲線 余弦関 数」 と呼 ばれる 特殊な 指数 関数

cosh 2

x x

e e

y x

+

= =

を使 って 表現 でき る こと が知 られ てい る。 筆者 は小 学生 高学 年の 頃、

(17)

当時の クラス 担任 の教 諭から 「垂れ てい る電 線の描 くカー ブは 双曲 線であ る」と 教え られ たこと を、今で も記 憶 してい る。実際、双曲 線余弦 関数や 双曲 線

2 2

2 2

1

x y

ab = −

の「下に 凸 な極 値」 の 付近 は いず れも 、放 物 線

x

2

= 4 py

で 充 分 に近 似で き る。 以 上の よう に、 台所 などの 身近な 現場 での 日常現 象の中 から 、よ り難解 にして 重要 な自 然現象 のアナ ロジ ーを 見出す ことを 通し て、 科学全 般にも っと 興味 関心を もって もら おう とする 研究活 動は 、た とえば 「キッ チン 地球 科学」 などの 呼称 を付 けられ て、地 球科 学等 の諸分 野にお ける 重要 なアウ トリー チ活 動の 一つと なって いる 。

本資 料の末 尾の 「無 から有 が生じ ない こと は、少 なくと も現 代物 理学で は、す でに 確立 した概 念とな って 」い る云々 の記述 は、 文章 全体の 流れか ら少 し浮 き上が った感 があ る。

これは、理論物 理学 者 アイン シュタ イン が提 唱した「 質量

m

と エネ ルギー

E

と の相 互関係

式」

E = mc

2 のことを 書こ う として(

c

は光 の速 さ )、結局 書くこ とを 思 いとど まった こと の名残 である 。つ まり 、《ある 閉じ られた 系 におい て、系 内物 質の 質量増 減

± m

が生じて も エネル ギー保 存が 成立 する( 系全体 のエ ネル ギー総 量が常 に一 定で ある) ための 必要 充分 条件を 求める と 、そ の 系内で のエネ ルギ ー減 増

mc

2が質 量増減 と同 時に 生じる こと(複 合 同順) という 結論 が得 られる 。これ より 、エ ネルギ ーのな いと ころ に物質 が生じ るこ と 、 すなわ ち、無 から 有が 生じる ことは 、エ ネル ギー保 存の観 点か らみ て、あ っては なら ない ことが わかる 》と いう 主旨の 説明を 書こ うと したの である 。し かし 、ただ でさえ 『情 報処 理』の 授業目 的か ら乖 離しが ちな話 題で ある ことに 加えて 、現 代理 論物理 学分野 の専 門家 とは必 ずしも いえ ない 授業担 当教員 (つ まり 筆者) が生兵 法を 振り 回して よいか どう か。

これら の二点 に鑑 み、 今後の 議論へ 向け た発 展の突 破口( 蛇足 かも 知れな いが) を何 気な く残し て、本 資料 の筆 をおい た次第 であ る。

3 お わりに

本稿 では、 新型 コロ ナウイ ルス感 染防 止対 策の一 環とし て急 遽、 遠隔授 業の形 で開 講し た

2020

年度前期 のコ ンピュ ータ関 連演 習授 業『情 報処理 』に おい て、履 修者諸 氏に 提示 した資 料のう ちの 二本 を紹介 した。 いず れも 、実際 の教室 にて 履修 者諸氏 へ直接 話し かけ るつも りで、 でき る限 り丁寧 に記述 した つも りであ る。そ のた め、 通常の 論文や 報告 など と比較 して、 文章 の調 子は総 じてか なり 緩慢 なもの となり 、長 々し い文章 になっ てし まっ た感が ある。

しかし このた び、 諸事 に関す る自分 自身 の見 解を文 章化す るこ とが 、同時 に記述 事項 に 関する 自分自 身の 解釈 の深浅 を見つ め直 す良 い機会 であっ たこ とは 否めな い。今 回の 資料 はいず れも実 際の 授業 の開始 時刻を 念頭 に置 きなが ら焦り つつ 書き 上げた 文章が ほと んど である ため、 表現 の不 適切さ に加え て筆 者自 身の理 解の錯 誤が 露出 してい ないと も限 らな い。万 一、記 述内 容に 推敲を 施すべ き箇 所が あれば 、ぜひ ご指 摘を 賜りた い所存 であ る。

4 資 料

(18)

武藤 徹(

1980):

『数学 のはな し 微分 ・積分 への道 』 新日本 出版社 ,新 日本 新書

284, pp.186.

武藤 徹(

2012):

『面積 の発見 』

岩波書 店,岩 波科 学ラ イブラ リー

200, pp.124.

参照

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