幼児の同一・差異学習に影響する要因
著者 杉村 健
雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学
巻 32
号 1
ページ 207‑216
発行年 1983‑11‑25
その他のタイトル Factors Affecting Identity‑Difference Learning in Young Children
URL http://hdl.handle.net/10105/2304
奈良教育大学紀要 第32着 第1号(人文・社会)昭細年 Bull. Nara Univ. Educ. Vol.32, No.1 (cult. & soc.), 1983
幼児の同一・差異学習に影響する要因*
杉 村 健 (奈良教育大学心理学教室)
(昭和58年4月16日受理)
同一・差異学習の研究においては、さまざまな課題が用いられてきたが、大別して次の2つに 分けることができる。 (1)水平配列課題 ‑AAB. CBB,ACC, BBAといった各刺激セットにおい て、 3つの刺激を横に配列して提示するOまんなかの刺激との関係によって、同一学習の場合に は上のセットの順にA、 B、 C、 Bを選択するように訓練し、差異(特異)学習の場合にはB、
C、 A、 Aを選択するように訓練する。 (2)標本比較課題‑この課題では、各セットのまんなか の刺激を標本として三角形の頂点の位置に、左右の刺激を比較(選択)刺激として底辺の両端の 位置に提示するo同一(見本合わせ)学習の場合には、標本と同じものを比較刺激の中から選択 するように訓練し、差異学習の場合には異なるものを選択するように訓練する。
本研究の目的は、水平配列課題と標本比較課題における同一学習と差異学習の成績が、視覚刺 激と事例刺激を用いて課題を作成した場合(実験I)、および2刺激と4刺激を用いて課題を作 成した場合(実験Ⅱ)でどのように異なるかを検討することである。
実 験 I
目的 本実験の目的は、視覚刺激(色と形)と事例刺激(事例の線画)を用いて水平課題と 標本課題を作成し、同一学習と差異学習の成績を比較することである。これまでに、 2つの学習 の成績を比べた研究は案外少なく、一貫した結果が得られていない。水平課題では2つの学習が ほぼ同じ成績であるか(Scott, 1964)、差異学習の方が容易であること(Vaughter, 1975)が見 出されており、他方、標本課題では同一学習の方が容易であることが示されている(Levin &
Maurer, 1969;杉村・島、 1982)。そこで、 1つの実験計画の中に2種の課題と学習型を組み入 れることによって、従来の研究成果から、 2つの要因の間に交互作用が予測される。
もう1つの要寓として、視覚刺激と事例刺激を用いたときに、どのような影響があるかを検討 する,J この点に関しては、水平課題の差異学習において事例刺激の方が容易であることが報告さ れている(Brown & Lloyd, 1971)0
方法 (1)実験計画と被験者‑2 (課題:水平、標本)×2 (学習型:同一、差異)×2 (刺 激:視覚、事例)の要因計画が用いられたO 披験者は幼稚園と保育園の年長組の男児160名と女 児160名であり、男女の数と年令が同じになるようにして8群に分けた。各下位群の平均年令は
6:1か6:2であった。
(2)材料‑視覚刺激として色と形を用いた。色課題は赤、肯、式色の1辺が3.0cmの正方形
*本研究は、昭和56年度科学研究費補助金(研究課題番号5610060)によって行われた。
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を組み合わせたものであり、形課題はすべて赤色で、迫径3.2cmの円、 1辺3.7cmの正三角 形、 1辺3.0cmの正方形を組み合わせたものであるo事例刺激としては4.0cmx4.5cmの大 きさに描かれた線画を用いた。課題Aはキリン、ライオン、サルの線画を組み合わせたもので あり、課題Bはリンゴ、チューリップ、カブト虫を組み合わせたものであるO
それぞれの組み合わせにおける3刺激をJl、 B、 Cで表すと、 ABの対ではAAB、 BAA、 AI BB、 BBAの4つのセットができ、さらにACの対とBCの対でも同様に4つのセットができ るので、合計すると12セットになる。この12セットを①正刺激が同じ位置(左か右)に3回以上 続いて現れないこと、 ②左、右、左、右といった位置交替反応によって解決できないことを条件 にして配列した。
視覚刺激の水平課題では、 3つの刺激が櫨に並べられて9.0cmx14.0cmの白い厚紙に貼り つけられ、標本課題では、 3つの刺激が三角形の3つの角の位置に置かれ、 10.0cmx15.0cm の白い厚紙に貼りつけられた。事例刺激の水平課題では9.0cmx18.5cm、標本課題では11.0 cmxIt).0cmの白い厚紙に3刺激が貼りつけられた。図ト1と図I‑2は課題の例を示したも のである。
(3)手続き‑水平課題と標本課題それぞれの色課題、形課題、事例課題A、事例課題Bにつ いて40名ずつが割り当てられ、それぞれについて20名ずつに同一学習か差異学習を行わせたL,
車1●
視 覚 刺 激
図I‑1
視 覚 刺 激
i y‑^‑* ・ "** ①
事 例 刺 激 水 平 課 題
①
壷 ①
事 例 刺 激
図I‑2 標 本 課 題
幼児の同一・差異学習に影響する要因
209
割り当てられた課題の第1試行のセットを提示し、次の教示を与えた。 =これからカード遊び をしましょう。 (左右の絵を指さしながら)こっちかこっちのどちらかが当たりの絵です。 (まん なかか又は上の絵を指さして)この絵をよく見て、当たりと思う方の絵を拒さして下さい。当た っていれば,当たり'、まちがっていれば̀まちがい'と言います。たくさん̀当たり'と言われる ように頑張って下さい。''
教示に続いて、被験者の反応速度に応じカードを1枚ずつ提示した。同一学習の場合には、ま んなか(水平課題)または標本(榎本課題)と同じ刺激を選択すれば正反応とし、差異学習の場 合には異なる刺激を選択すれば正反応とした。正反応には̀当たり"、誤反応にはりまちがい"
という情報を与え、非修正法により連続10回正反応の学習基準に達するまでか、最大48試行まで
Riras謂
結果と考察 (1)学習に要した試行数と学習基準達成者‑48試行までに学習基準に達しなか った場合は48試行とみなし、各群の平均試行数を示したのが表II1ある。 J諭す変換を用い た2×2×2の分散分析を行ったところ、刺激の主効果だけがF(l,312)‑6.35, P<.01で有意 であった。これは、事例刺激を用いた課題の方が視覚刺激を用いた課題よりも速く学習されたこ とを示す。
表ト2は、 48試行以内に連続10回正反応の学習基準に達した者の割合を示したものである。
角変換値による2×2×2の分散分析の結果は、試行数の場合と同様に、刺激の主効果だけがx2 (1)‑5.05, P<.05で有意であり、事例刺激を用いた課題の方が基準達成者が多かった。
以上のように、従来の研究から予想された学習型と課題の間の有意な交互作用は得られなかっ た。従来の研究の中で最も多くの被験者を用いている杉村・島(1982)の研究では、視覚刺激を 用いた標本課題において、 4‑6才児が差異学習よりも同一学習で良い成練を示したが、本実験 では、 2つの学習の間にはほとんど差がなかった(25.4と24.3)このようなちがいが生じたの は、先の研究では2つの色または形を組み合わせた課題であったが、本実験では3つの形または 色を組み合わせた課題であったことによるのかもしれない。いずれにしても、現在のところ同一
表I‑1 基準達成に要した試行数の平均
水 水
平 均 25.4 i 24.9 25.1 20.6 表I‑2 基準達成者の割合(%)
視 覚 刺 激
水 平1標 本 t 平 均
同 一 学習 差 異 学 習 平 均
事 例 刺 激
水 平l標 本l平 均
57. 5 57. 5 57.5 63. 8 75. 0 69. 4
学習が速いのか差異学習の方が速いのかについては結論を出すことができない。
試行数と基準達成者について得られた唯一の有意差は、事例刺激を用いた課題の方が視覚刺激 を用いた課題よりも成績がよいということであったO これは、 Brown and Lloyd (1971)による 水平差異学習の結果とII一致しているO この年令の子どもにとっては、視覚刺激よりも事例刺激に おいて、刺激問の同一・差異関係が気づきやすいといえる。
(2)第1試行が正反応の場合‑第1試行において被験者がどの刺激を選択するかは、刺激の布 置(水平、標本)と種類(視覚、事例)に依存していると考えられる。表I‑3は、第1試行にお いて正反応をした者の割合を示したものである。角変換値による分散分析の結果、学習型の主効 果がZ2(l)‑6.17, P<.05,学習型×刺激の交互作用がx2(l)‑4.27, P<.05、学習型×刺激×課 題の交互作用がx2(l)‑7.55, P<.01で有意であった。
表I‑3から明らかなように、全体としてみると差異刺激(43.8%')よりも同一‑刺激(57.5%) が多く選択されているが、学習型×刺激の有意な交互作用は、視覚刺激では同一と差異の差が小 さく、事例刺激では同一(60.0%)が差異(35.0%)よりも有意に多いことを示している。この 年令の子どもは、事例刺激の場合には標本またはまんなかと同じものに注目しやすいといえる。
有意な2次の交互作用は、視覚刺激の水平課題においてのみ差異刺激が多く選択された(70.0
%)ことを示す。この結果は、視覚刺激の水平課題だけが他の3つの課題とは異なる受けとめ方 をされていることを示唆する。しかし、表「3 と表I‑1および表I‑2 とはまったく異なるパ ターンを示しているので、第1試行における正反応が、学習の標準的な測度である学習基準達成 に要した試行数や基準達成者の割合には反映されないといえる。
第1試行が正反応であって、その後に誤りが1つもないということは、第1試行における選択 の際に、 iE反応は同一あるいは差異関係であるということに被験者が気づいていたこと、または、
同一あるいは差異関係が正反応であるという仮説を持っていたことを示す。表「4は、第1試 行が正反応であって、その後に誤りが1つもなかった者の割合を示したものである。角変換値を 用いた分散分析の結果は、学習型の主効果だけがxHD‑2.93、 P<.10で有意な傾向を示したO これは同一学習(48.4%;)が差異学習(32.5%)よりも多いことを示し、同一刺激を選択した老
衰I‑3 第1試行が正反応の者(%) 個 ^KIHi
水 平I標 本l平 均
辛辛
事 例 刺 激
悶"1ISl 巴 屈
均 61.3 j 46.3 53.8 50.0 45.0 47.4 表I‑4 第1試行が正反応で以後誤反応がない者(%)
視 覚 刺 激 F 事 例 刺 激
水平I標本T
均
・l 石'). ・l∴ ふIl) * ・!"?‑i
38.1 33.9 】 36.0 52.7 37.1 】 44.9
幼児の同一・差異学習に影響する要因
211
の方が同一関係が正反応であるという仮説をより明確に持っていたことを示唆する。(3)第1試行が誤反応の場合‑第1試行が誤反応の場合には、次の2つの分析を行った。表 卜5は、第1試行だけが誤反応で直ちに学習基準に達した者の割合を示したものである。これ は表ト4の場合と同様に、第1試行における選択の際に、同一あるいは差異関係の仮説をもっ ていたことを反映している。角変換値による分散分析の結果、学習型の主効果だけがZ2(l)‑
6.91、 P<.01で有意になり、差異学習(26.4%)の方が同一学習(10.0%)よりも多かった。
このことは、同一反応(誤反応) ‑差異反応(正反応) ‑の移行が差異反応(誤反応) ‑同一反 応(正反応) ‑の移行よりも容易なことを示し、同一関係に気づくことは暗に差異関係にも気づ
いていることを示唆する。
表「Gは、第2試行以後で固執的な誤りを示したものの割合であり、学習型の主効果のみが x2(l)‑3.80、 P<.10で有意な傾向を示したO これは同一‑・学習(10.0)が差異学習(30.030 よ りも少ないことを示し、同一反応が固執されやすいことを示唆する。これは上述の結果と矛盾す るが、第1試行のあとで1試行でも固執的誤りをした者を取り上げたことによるものと考えられ
ii
Oo
表I‑5 第1試行が誤反応で以後正反応のみの者(%) 視 覚 刺 激
同 一 学 習 差 異 学 習
事 例 刺 激 辛 標 本・平J!J
10.5 5.9 16.7 23. 1
平 均 13.6 ! 14.5
80 7.7 19.9 25.9
14.1
15.8 11.7 40. 0 33. 0
16. 8 27. 9 22. 4
表I‑6 第1試行の誤反応を固執した者(%)
視 覚 刺 激
,,t、 1 ‑t首 T >'J
刺 激
辛 均 70. 1 65. 2 67. 6
実 験 Ⅱ
目的 House, Brown and Scott (1974)は、幼児の差異(特異)学習を促進する2つの手 続きを示唆した、、 1つは、各刺激セットにおける同一刺激の数を増やすことであり、 Gollin, Saravo and Salten (1967)によって"知覚的増強"の効果と名づけられた。もう1つは、課題 を構成している刺激の数を増すことである(Scott, 1973; Scott House, 1978; Small. 1970)′‑,木 実験は後者の手続きに関係している,,
例えば、 AとBの2つの刺激を用いて課題を作ると、 AA.B、 ABB、 BBA、 BAA という4つ の刺激セットができ、特定の刺激(例えば、 A)がある試行では同一刺激として提示され、他の 試行では特異刺激として提示されるというように、報酬価の逆転が生じる。 A、 B、 C、 Dの4
刺激で課題を構成すると、 ABB、 CCD、 BAA、 AACというような刺激セットが提示されること になり、この場合は報酬価の逆転が少なくなる。さらに、全く異なる刺激を用いて、 ABB、 DDC、
EEF、 GHH‑・‑‑‑というような課題を作ることができる。
このような刺激数の効果について、 Sugimura and lyoda (1982)は年少児(4:8‑5:3)では刺 激数によって差異学習の成績が異ならないが、年長児(5:7‑6:2)の場合には、 2刺激課題よりも
4刺激課題と36刺激課題の差異学習が容易であることを見出した。その研究では水平課題の差異 学習だけが取り上げられているので、本実験では標本課題と同一学習も実験計画の中に組み入れ、
刺激数(2と4)の効果を総合的に検討した。
方法 (1)実験計画と被験者‑2 (課題:水平、標本)×2 (学習型:同一、差異)×2 (刺激 敬: 2、 4)の要因計画が用いられた。被験者は幼稚園の年長組の男児160名と女児160名であり、
男女の数と年令が同じになるようにして8群に分けた。各下位群の平均年令は6:2か6:3であ った。
(2)材料 ‑4.0cmx4.5cmの大きさに描かれた事例の線画が用いられた。 2刺激Aではリン ゴとチューリップ、 2刺激Bではカブト虫とクツを組み合わせ、 4刺激ではリンゴ、チューリ ップ、カブト虫、クツを組み合わせて、水平課題と標本課題を作成した。各セットの3刺激は実 験Iの場合と同じ大きさの白い厚紙に貼りつけられ、実験Iと同じ条件の下に配列された。なお、
2刺激の場合にはAAB、 ABB というように、同一学習では正刺激がA‑B、差異学習ではB→
Aのように正負の刺激が連続的に逆転するが、 4刺激の場合には、この種の逆転は少くても4試 行以上離れて生じるように配列した。
(3)手続き‑各40名ずつの8群に割り当てられ、 2刺激の場合は2刺激Aに20名、 2刺激B に20名を割り当てた。教示、学習基準、その他の手続きは実験Iと同じであった。
結果と考察 (1)学習に要した試行数と学習基準達成者‑48試行までに学習基準に達しなか った場合は48試行とみなし、各群の平均試行数を示したのが表Il‑1である。 J前言変換値を
表Ⅱ‑1 基準達成に要した試行数の平均
同 一 学習 差 異 学 習
平 均
22. 0 19.3 20. 6 18. 6 14. 5 16. 5
表Ⅱ‑2 基準達成者の割合(%)
2 刺 激 4 刺 激
均 68. 8
幼児の同一・差異学習に影響する要因
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用いた2×2×2の分散分析を行ったところ、学習型の主効果だけがF{1,312)‑4.25, P<.0.5 で有意であった。これは、同一学習(16.4)が差異学習(20.8)よりも速いことを示す。 3刺激 を用いた実験Iの事例刺激の結果は同一学習(19.8)と差異学習(18.2)がほとんど同じ速さで あり、実験Ⅱの結果と一致しなかった。
表Ⅱ‑2は、学習基準に達した者の割合を示したものである。角変換値による2×2×2の分 散分析を行ったところ、学習型の主効果がZ2(l)‑5.17、 P<.05で有意であり、同一学習 (76.9%')の方が差異学習(65.1%)より達成者が多かった。実験Iの事例刺激の結果は同一学 響(68.8^)と差異学習(70.0%)がほとんど同じであった。刺激数×課題の交互作用は5%水 準では有意にならなかったが(Z2‑2.83、 P<.10)、標本課題では2刺激よりも4刺激の達成者
がZ2(l)‑4.65、 P<.05で有意に多かった。
以上のように、標準的な学習の測度である試行数と達成者について得られた結果は、同一学習 が差異学習よりも容易であるということであり、本実験のねらいであった刺激数の効果について は、主効果も交互作用も有意にならなかった。標本課題では2刺激よりも4刺激の成績がよかっ たが、水平課題の場合には刺激数のちがいはなかった。後者の結果は、ほぼ同じ年令の幼児を用
いたSugimura and Iyoda (1982)の結果と一致しない.。したがって、刺激数の効果については 明確な結論を出すことができない。
(2)第1試行が正反応の場合‑表止‑3は、第1試行においてiE反応をした者の割合を示した ものであるO角変換値による分散分析の結果、学習型の主効果だけがZ2(D‑16.78、 P<.01で 有意であり、差異刺激(40.5#)よりも同一刺激(63.220が多く速択された。この結果は実験 Iの事例刺激の場合とよく似ており(35.0%と60.0%)、この年令の幼児は同一‑刺激をより多く 選択すると結論することができる。なお、実験Ⅱの場合には、第1試行における正反応の割合と 試行数および達成者の割合の間に対応する結果が得られており、第1試行で同一刺激が多く選択
され、同一学習の成績がよかった。この点は実験Iと異なっている。
表Ⅱ‑4は、第1試行が正反応であって、その後に誤反応が1つもなかった者の割合を示した ものである 角変換値による分散分析の結果は学習型の主効果だけがZ2(l)‑7.84、 P<.OLで
表Ⅱ‑3 第1試行が正反応の者(形)
*']
水 平 F 標 本l平
MI
4 刺 激 水 車 岬Iこ ・・・JiJ
辛 均】 51.3 50.0 i 50.6 51.3 i 55.0 53.1
表Ⅱ‑4 第1試行が正反応で以後誤反応がない者(形) 2 刺 激
辛
4 刺 激
水 平】標 本1平 均
均 57. 6 57. 2 57. 4 58. 6 50. 3 54. 4
有意であった。これは、同一学習(66.830 が差異学習(45.0%)よりも多いことを示して実験 Iと同様な結果であり、第1試行において同一反応が正反応であったときに、より定着しやすい ことを示唆する。
(3)第1試行が誤反応の場合‑表n‑5は、第1試行のみが誤反応で直ちに学習基準に達した 者の割合を示したものであるO 角変換値による分散分析の結果は刺激数の主効果だけがx2u) ‑ 6.48、 P<.05 で有意であった。表から明らかなように、 4刺激の方がかなり多くなっている。
これは、 2刺激の場合にはAAB‑ABB といった正刺激の逆転があるので誤反応が生じやすい ことによるのかもしれない。いずれにしても、刺激数の有意な効果がみられたのは、この測度だ けである。表Ⅲ‑6に示した尚執的誤反応にっては、有意な変動因は1つもなかった。
表正一5 第1試行が誤反応で以後正反応のみの者(形) 2 刺 激
水 平I標 本i平 均
同 一 学 習
差異学 習
4 刺 激
水平j標本I平均 Z::52
933::
平 均15.6 9.7 12.7】 32.2 26.8 29.5
表Ⅱ‑6 第1試行の誤反応を固執した者(%)
i 2 刺 激
水 平l標 本 ‑f‑ i‑'J
同 一 学 習
差異 学習
平 均 52. 2
4 刺 激
杢̲̲。̲空一標本t平均
58.4】 55.3 35.9 50. 8 43. 3
要 約
幼児における同一・差異関係の学習に影響する要因を調べるために、 2つの実験が行われた,、
実験I :同一・差異学習に及ぼす課題の型(水平、標本)と刺激の種類(視覚、事例)の効果 を調べた。被験者は幼稚園と保育園の幼児320名で、平均年令は6 : 1であった。学習課題は連続 10回正反応までか、 48試行まで与えられた。学習基準達成までの試行数と基準達成者の割合では、
事例刺激で構成した課題が視覚刺激よりもよい成績を示したが、同一学習と差異学習の成績は課 題の型と刺激の種類による影響を受けなかった。、第1試行では同一刺激が差異刺激よりも多く選 択され、第1試行が誤反応で以後正反応のみの者は、同一学習よりも差異学習で多かった。
実験丑:課題の型と課題を構成する事例刺激の数(2、 4)の効果が調べられた。被験者は幼 稚園児320名で、平均年令は6 : 2であった。基準達成までの試行数と基準達成者の割合では、同 I‑学習が差異学習よりも容易であったが、 2つの学習の成績は課題の型と刺激の数による影響を 受けなかった。第1試行では同一刺激が差異刺激よりも多く選択され、第1試行が誤反応で以後 正反応のみの者は、 2刺激課題よりも4刺激課題で多かったo
幼児の同一・差異学習に影響する要因
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実験Iの結果は、従来の研究から引き出された予測を支持しなかった。実験Ⅱの結果は、先の Sugimura and Iyoda (1982)の結果と一致しなかったr,
引 用 文 献
Brown, A.L., & Lloyd, B.B. 1971 Criteria of success in a developmental study of oddity learning.
British Journal of Psychology, 62, 21‑26.
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House, B. J., Brown, A.L., & Scott, M.S. 1974 Children's discrimination learning based on inentity and di仔erence. In H.W. Reese (Ed.), Advances in child development and behavior. Vol. 9. New York : Academic Press, pp.ト45.
Scott, K. G. 1964 A comparison of similarity and oddity. Journal of Experimetal Child Psychology, 1, 123‑134.
Scott, M. S. 1973 Some observation on the cognitive ability of very young children. Journal of Genetic Psychology, 122, 17‑25.
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Small, M. Y. 1970 Children's performance on an oddity problem as a function of the number of value on the relevant dimension. Journal of E.坤erimental Child Psychology, 9, 336‑341.
Sugimura, T., & Iyoda, Y. 1982 Children's oddity learning as a function of age and stimulus repetition.
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杉村 健・島 恒生1982 子どもの一致学習と不一致学習の比較 近親大学教育研究所紀要, 6, 35‑43.
Vaughter, R. M. 1975 A developmental investigation of oddity and matching. Journal of Genetic Psy‑
chology, 126, 177‑186.
<付記> 本研究を行うにあたり、実験Iでは私立菊水園(東大阪市)と奈良市立佐保幼稚園、実験Ⅱでは 奈良市立大安寺幼稚園、田原本町立田原本北幼稚鼠、同南幼稚園、川西町立結崎幼稚園の御協力を得たO心か
ら感謝します。
Factors Affecting Identity‑Difference Learning in Young Children
Takeshi Sugimura
Department of Psychology, Nara University of Education, Nara, Japan (Received April 16, 1983)
Two expenmevlts were performed to examine factors affecting identily‑differeence learning in young children.
Experiment 1:The effect of type of tasks (horizontal vs. triailgular array) and kind of stimuli (visual vs. instance) on identity‑di斤erence learning were examined. The subjects were 320 kindergarten and nursery school children whose mean age was 6:1. They were given the learning tasks to reach a criterion of 10 successive correct responses or a maxi‑
mum of 48 trials. For the mean number of trials to criterion and the proportion of the subjects who could solve the tasks, performances were better on the tasks with the instailCeS than those with the visual stimuli but the performances of identity‑difference learning did not change by the type of tasks and/or the kind of stimuli. In the first trial tlle subjects
chose the identical stimuli more frequent王y than the different stimuli. The proportion of
the subjects who made no error after the丘rst incorrect response was larger for the dine‑
rence learning than xor the identity learniilg.
Experiment II: The e斤ect of type of tasks and number of instances used in the task (two vs. four) were examined. The subjects were 320 kindergarteil children whose meatl age was 6:2. They were given the learning tasks to reach a criterion of 10 successive correct responses or a maximum of 48 trials. For the mean number of trials to criterion and the proportion of the subjects who could solve the tasks, performances were better on the identity learning than on the differetlce learning but the performances did not change by the type of tasks and/or the number of instances. In the丘rst trial the subjects chose the identical instances more frequently than the different instances. The proportion of the subjects who made no error after the first incorrect response was larger on the four‑instance task than on the two‑instance task.
The obtained丘ndings in Experiment I did not support the prediction derived from the previous studies and those in Experiment II did not con丘rm the Sugimura and Iyoda's findings.