318 岩医大歯誌 25巻3号 2000
岩手医科大学歯学会第26回総会抄録
日時:平成12年12月2日(土)午後1時 場所:岩手医科大学歯学部大講堂(A棟4階)
特別講演 ルウオーターなどによる化学的プラークコントロール
の可能性にっいて考察した。
「虫歯で子供を泣かさない」
一 般演題 田中 光郎
岩手医科大学歯学部小児歯科学講座
演題1.舌粘膜上皮下毛細リンパ管構築 一酵素組織化学的検索一
「どうしたら虫歯で子供を泣かさないようにできる か」という課題は,すべての小児歯科医にとって古く からの,そして現在も変わらないテーマであろう。私 にとっても,これまでの臨床と研究において,さらに これから先の岩手医科大学での活動においても,共通 するキーワードであると考えている。
「虫歯で子供を泣かさないためには,虫歯を作らな ければよい」という事で,私の研究活動は主に虫歯予 防の観点から進めて来ている。初期の虫歯が,プラー クの液体成分であるプラークフルイドへの歯質の物理 化学的な溶解過程であるという考えに立って,溶解さ れる側の歯質の強化と,溶解する側であるプラークフ ルイドの,溶解のドライビングフォースを弱小化する 事を目標にしてきた。歯質の強化にっいては,フッ素 徐放性シーラント,フッ素徐放性コート材の研究開発 や,歯質に取り込まれたフッ素の持っ耐酸性向上効果 を定量的に検討した。溶解ドライビングフォースの弱 小化では,プラークフルイドの歯質に対する飽和度を 効果的に高める方法を検討してきた。この飽和度は全 体のイオン強度にも依存するが,主としてそのpH,
カルシウムイオン濃度,リン酸イオン濃度に大きく影 響を受ける。糖質を摂取したときのpH酸性化によ る,プラークフルイドの飽和度低下を防ぐために,カ ルシウムイオン濃度,リン酸イオン濃度のどちらを増 加させるのがより効果的であるかを検討した。pHを 一 定にして,カルシウムとリン酸のイオン濃度を変化
させたin vitroの実験で,プラークフルイドの無機イ オン組成に近い条件において,カルシウムイオン濃度 の増加が,リン酸イオンの増加に比べてはるかに飽和 度を上げる効果が高いことが分った。この結果を踏ま えて,カルシウムを多く含む飲料である牛乳やミネラ
○梁 榮洲,藤村 朗,小野寺政雄,野坂洋一郎 岩手医科大学歯学部口腔解剖学第一講座
【目的】癌の転移経路および薬剤吸収の面から,口腔 領域のリンパ管構築は臨床的に非常に重要であるにも 関わらず,ほとんど検索されていない。本研究では,
舌の粘膜上皮下のリンパ管構築を明らかにし,先に報 告されている,舌内の集合リンパ管までの経路をっな
ぐことを目的としている。
【材料および方法】実験にはゴールデンハムスター の舌を用い,舌背および舌下面粘膜上皮下毛細リンパ 管構築を5 −Nucleotidase(以下5 −Nase)染色(金属 塩法)により明示し,血管にはAlkaline phosphatase
(以下ALPase)染色を施した。さらに, hit point法に よってリンパ管の密度を計測した。
【結果】舌背粘膜上皮下の毛細リンパ管は粘膜固有
層にて網目を構成し,この網目から各結合組織乳頭内
に一致して盲端を形成していたが,網目の形態は不規
則であり,太さにも15〜20畑と規則性は認められな
かった。リンパ管の密度は舌の前方が後方より有意に
高くなっていた。一方,舌下面の粘膜上皮の平坦な基
底層の下の固有層に管径10畑弱の亀甲状の網目を形成
している毛細リンパ管網が存在したが,盲端形成は認
められなかった。リンパ管の密度は舌の前方と後方の
間に差は認められなかったが,舌背に比べると明らか
に密度が少なかった。さらに,この毛細リンパ管網の
上皮側には管径50〜100μnの太い集合リンパ管が認め
られた。この集合リンパ管は筋層に侵入することな
く,粘膜固有層内を舌根方向に向かって走行してい
た。太さからこの集合リンパ管はリンパ輸送能が高い
岩医大歯誌 25巻3号 2000 319 ものと推測され,舌下面では吸収した物質の輸送効率 演題3.温熱歯磨き剤使用による歯肉炎の改善効果の が高いと考えられた。 判定
演題2.舌のリンパ管による巨大分子クリアランスに 関する研究
○謝 雪峻,藤村 朗,小野寺政雄,野坂洋一郎 岩手医科大学歯学部口腔解剖学第一講座
腫瘍の転移,薬剤の吸収といった様々な観点から近 年,舌のリンパ管による巨大分子のクリアランスに注 目が集っている。本研究にはマウスでアルブミン注射 後経時的にアルブミンの顎下リンパ節,深頚リンパ節 における分布と,量の比較で観察し,舌のリンパ管に よる所属リンパ節への巨大分子のクリアランスを調査
した。
FITC標識抗体でラベリングした牛血清アルブミン
(FITC−Alb)を舌前方部の右辺縁部に注入し,5分,30 分と60分経過時に,左右顎下リンパ節,深頚リンパ節 および舌を摘出,4%パラフォルムァルデヒドで固定,
パラフィン包埋した。連続切片を作成,蛍光顕微鏡で 観察した。また,1℃メチル化ウシ血清アルブミン
(RI−Alb)を同様に注入して,顎下リンパ節,深頚リン パ節と血液中のRI−Albの量を液体シンチレーション カウンターにて測定した。
注入5分後にはFITC−Albは舌前方部全体に認めら れた。注入60分後にも舌体外までには拡散していな かった。すなわち,5分以内に注入したアルブミンは すでに舌中隔を越えて反対側まで拡散していたが,実 験観察期間以内には拡散が舌体内に留まっていた。
実験観察期間以内にはRI−Alb量の移行が注入側顎 下リンパ節には反対側顎下リンパ節より有意に多かっ た。さらに,辺縁洞の一部,およびその直下のリンパ 小節を除いた皮質域に蛍光局在が観察された。これは アルブミンが舌から主に注入側所属リンパ節に移行 し,所属リンパ節に流入したアルブミンはセグメント を構成している辺縁洞およびリンパ小節を除いた皮質 域に留まっていた。アルブミンは5分以内に両側顎下 リンパ節に到達した。アルブミンは辺縁洞に充満する までは持続的に流入し,辺縁洞内に充満することによ り,顎下リンパ節への流入が止められた。注入後30分 から60分の間に顎下リンパ節内のアルブミンは深頸リ
ンパ節に輸出されるようになる。
○小野寺政雄,藤村 朗,謝 雪峻,薦 新顔 佐々木 信英,水川 卓磨*,關 聖太郎**,
野坂洋一郎
岩手医科大学歯学部口腔解剖学第一講座 同歯科矯正学講座*
同口腔外科学第一講座**
【目的】歯肉炎罹患患者に与える温熱歯磨剤の効果 を,通常歯磨剤との間で比較検討した。さらに歯周組 織の状態の客観的な評価法として新しく開発した血流 測定装置のデータを目視による臨床評価と比較し,そ の有用性を検討した。
【材料および方法】〔1)試験歯磨剤二水の吸着に よって発熱する活性ゼオライトを配合。プラセボ歯磨 剤:活性ゼオライトの代わりにリン酸カルシウム2水 塩を配合。(2)歯周組織の状態をGIおよびBOPによっ て,歯垢付着状態はQHIで評価した。(3)被験者は30
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