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表 1 UTI UTI UTI Escherichia coli (70 80%) Escherichia coli (50%) Enterococcus spp. Enterococcus spp. Klebsiella spp. Pseudomonas aeruginosa Pro

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小児尿路感染症に関する最近の考え方

Key words:尿路感染症 / 膀胱尿管逆流現象 / 逆流性腎症 / 排尿障害 / 排尿時膀胱尿道造影

木全 貴久・辻  章志・金子 一成

(受付日:平成 26 年 10 月 6 日  採用日:平成 26 年 10 月 7 日)

●総 説●

要   旨

 小児の尿路感染症(UTI)は,一般的な感染症で,臨床 的に上部 UTI,下部 UTI,無症候性細菌尿に大別され る。乳幼児の上部 UTI に対しては,しばしば適切な診断 がなされないままに,抗菌薬が投与される。不適切な抗 菌薬の投与は耐性菌を増加させ,高率に合併する膀胱尿 管逆流現象(VUR)などの先天性腎尿路奇形の発見を妨 げ,UTI の反復や腎の瘢痕化をきたし,腎不全に至るこ ともある。したがって私達小児科医は乳幼児の上部 UTI を適切に診断し,管理する必要がある。発熱を呈する乳 幼児において,感染巣が不明な場合には,UTI を念頭に おいて抗菌薬投与前にカテーテル採尿を行い,KOVA slide法で尿中細菌を確認することで診断率は向上する。 上部 UTI を起こした乳幼児に UTI を反復させないために は,基礎疾患(VUR や排尿異常)を発見することが重要 で,そのためには排尿時膀胱尿道造影を施行し,高度 VURを認めた場合には最新のエビデンスに基づき抗菌薬 の予防内服を行う必要がある。

はじめに

 尿路感染症(urinary tract infection; UTI)とは腎から尿道 にいたる尿路系で発生する感染症の総称で,細菌,ウイ ルス,真菌のすべてが原因となるが,狭義には細菌によ るものを指し,通常無菌的に得られた尿検体を用いた 尿培養で,有意な数の細菌が検出されることが必要で ある1)–6)。3 か月未満の乳児では最も頻度の高い細菌感染 症で,小児全体でも呼吸器感染についで 2 番目に多い感 染症である。  本稿では,上部 UTI を中心に,小児の UTI の診断・病 因・治療・管理について,最近の考え方を紹介する。

小児の UTI の疫学と分類

1.疫学  発熱原因が不明の乳児の約 5%が UTI に罹患している ともいわれる7)。また新生児期の UTI の約 30%,生後 l∼ 3か 月 児 の UTI の 約 20 %, 生 後 3 か 月 以 降 の 児 の 約 5%が菌血症を合併する8)。UTI の発症率には性差がみ られ,8 歳までに女児の 7∼8%,男児の 2%が罹患す る1)–6)。この性差の理由としては解剖学的特徴が挙げら れる。すなわち,女児は尿道が太くて短く,膀胱まで直 線的であるために細菌の侵入は容易であるが,男児では 尿道が長く,2 箇所の括約筋部という狭窄部分が存在し 簡単には細菌が上行しないために女児が罹患しやすいと 考えられている。ただし,新生児・乳児期(1 歳未満)は 男児に多く(女児の 5 倍),1 歳以降に女児の罹患率が男 児のそれよりも高くなる(男児の 10 倍)1)–8)。また UTI は 乳児の罹患率が高く,男児では約 80%,女児も約 50%を 乳児が占めている1)–8) 2.分類  UTI の臨床的な分類としては,感染部位によるもの と基礎疾患の有無によるものがある。感染部位による 分類では,UTI を上部 UTI,下部 UTI,無症候性細菌 尿の 3 つに大別する5)6)9)。そして急性腎盂腎炎(acute pyelonephritis),急性巣状細菌性腎炎(acute focal bacterial nephritis; AFBN),腎膿瘍などの腎実質で炎症が生じるも のを上部 UTI と分類する1)–10)。上部 UTI は,臨床所見と して発熱, CRP 陽性を呈し,腎実質障害をきたす可能性 がある1)–10)。発熱の存在は,感染が腎実質で生じてい ることを示すとする報告もある(感度 53∼84%,特異度 44∼92%)3)。一方,膀胱炎,尿道炎,前立腺炎など膀胱 関西医科大学小児科学講座 (〒 573-1191 大阪府枚方市新町 2-5-1)

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あるいは尿道に限局した感染症を下部 UTI と呼ぶ1)–10) 下部 UTI は,発熱を認めることは少なく(無熱性 UTI), 腎実質障害はきたさない1)–10)。主に 3 歳以上の女児で発 症するが6),一般的に頻尿や排尿時痛などの局所症状を 伴うためその診断は容易である1)–6)。無症候性細菌尿 は,検診で発見されることが多いが,診断や治療の必要 性については種々の意見がある1)–10)  また基礎疾患がないものを単純性 UTI とし,基礎疾 患があるものを複雑性 UTI とする場合もある。複雑性 UTIは,基礎疾患として尿の停滞をきたす病変や,上部 尿路へ細菌の侵入を容易にする病変を有するため再発が 多い。尿の停滞をきたす病変としては,腎盂尿管移行部 狭窄,尿管膀胱移行部狭窄,機能的排尿障害,神経因性 膀胱,尿道弁,包茎などがあり,上部尿路へ細菌の侵入 を容易にする病変としては,膀胱尿管逆流現象(vesico-ureteral reflux; VUR)が挙げられる1)–10)

 乳児期の上部 UTI の診断は容易ではないため,しばし ば適切な診断がなされないままに,抗菌薬が投与され る。不適切な抗菌薬の投与は耐性菌の増加を招くだけで なく複雑性 UTI の診断を妨げ,上部 UTI の反復,および 腎の瘢痕化 (逆流性腎症:reflux nephropathy; RN) を招 き,腎不全に至る可能性があるため1)–6),上部 UTI を正 しく診断し管理することはきわめて重要である。

小児の UTI の病因と病態

 尿路系は通常,無菌状態であるが,外陰部周辺の細菌 が尿道を経由し膀胱に達すると,膀胱粘膜に炎症を伴う 膀胱炎(下部 UTI)を発症する。さらに一部の症例では, 細菌が腎臓に達し上部 UTI となる10)–12)。多くの UTI は このような上行性感染であるが,新生児においては血行 性感染の場合もある10)11)。UTI は,他の感染症と同様 に,宿主であるヒトと侵入する病原体との関係(Host-Parasite relationship)によって成立する。すなわち,細菌 の尿路系に対する付着能や病原性と宿主の感染防御機構 の関係が重要となる10)–13)。本項では,病原体因子と宿主 因子に分けて最近の UTI の病因論を紹介する。 1.病原体因子(細菌の付着性と病原性)  小児の UTI の起炎菌を表 1 に示した1)–10)。成人の場合 と同様に,小児の UTI においても,単純性か複雑性であ るかを問わず,起炎菌としては,Escherichia coli (E.coli) が最も多い1)–10)。E.coli は,P 線毛を始めとする付着 因子を有しており,尿路上皮への付着を容易にしてい る10)–13)。尿路上皮に付着した E.coli が放出したエンドト キシ(lipopolysaccharide) は,toll-like receptor(TLR)4 を活 性化する。活性化した TLR4 が細胞表面上の CD14 に結 合することで,nuclear factor κB(NF-κB)が核内に移行し, IL-6や IL-8 などの炎症性サイトカインやケモカイン,一 酸化窒素,transforming growth factor β(TGFβ)などのメ ディエーターを産生する。これらの炎症性メディエー ターは血管透過性を亢進させ,好中球を動員し炎症反応 を誘導することで感染が成立する10)–19)。また IL-6 は, IgAを産生する B 細胞を活性化するとともに C 反応性蛋 白(C-reactive protein; CRP)の産生を亢進し20)21),IL-8 は 尿路上皮細胞および好中球の表面上の受容体 CXCR1 お よび CXCR2 と相互作用することにより,好中球の感染 巣への走化を促進することが知られている20)21) 2.宿主因子(内因性感染防御機構)  細菌の宿主側の尿路上皮への付着防止機構としては, 表 1 小児の UTI の起炎菌7)8)10) 単純性 UTI 複雑性 UTI 尿路基礎疾患 なし あり

特徴的原因菌 Escherichia coli (70∼80%) Escherichia coli (50%) Enterococcus spp. Enterococcus spp.

Klebsiella spp. Pseudomonas aeruginosa Proteus mirabilis Klebsiella. spp Pseudomonas aeruginosa Proteus mirabilis

Streptococcus aureus

耐性菌関与 比較的少ない 多い

複数菌感染 少ない 多い

抗菌薬有効率 90∼100% 50∼70%

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定常的な排尿・尿流,尿中の免疫グロブリン,粘液産 生・バリア形成,尿中 microbiome,尿中の単糖類,抗菌 ペプチド,Uromodulin(Tamm-Horsfall protein),ラクト フェリン,リポカインなどがあるが11)–15),本項では,近 年急速に研究の進んでいる抗菌ペプチドについて概説す る11)  抗菌ペプチドとは,すべての生物自身が産生する天然 の抗菌物質であり,細菌が侵入すると白血球や上皮細胞 で誘導される陽イオン蛋白である11)22)23)。抗菌ペプチド は抗菌薬と異なり,狭いスペクトルの抗菌活性を示し, 耐性菌を生じにくい11)22)23)。尿路で発現する抗菌ペプチ ドには,ディフェンシン,カテリシジン,ヘプシジン, およびリボヌクレアーゼ 7 がある11)22)–24) ①ディフェンシン  α ディフェンシンと β ディフェンシンに大別される11) α ディフェンシンは好中球のアズール顆粒に存在し,グ ラム陽性およびグラム陰性細菌,ウイルス,真菌,お よび原生動物に対する広いスペクトルの抗菌活性を有 する22)–26)。β ディフェンシンは尿路上皮に存在し,尿路 管腔内をコーティングすることで尿路上皮への細菌の付 着を抑制する22)–26)。ディフェンシンは直接の抗菌作用に 加え,未成熟の樹状細胞の誘導因子として細胞性免疫に おける役割も有している25)26) ②カテリシジン  近位尿細管,腎盂および尿路上皮に発現し,グラム 陽性菌,グラム陰性菌およびウイルスに対して抗菌活 性を有し,好中球および単球の誘導因子として作用す る11)27) ③ヘプシジン  肝臓で合成され尿中に排泄される。広い抗菌スペクト ルを有しているのみならず,病原体に必要な栄養素であ る鉄を枯渇させる作用も有する11)28)29) ④リボヌクレアーゼ 7  最も強力な抗菌ペプチドで,膀胱,尿管,腎集合管に 発現し,グラム陰性菌やグラム陽性菌に対して抗菌作用 を有し,尿路を無菌的に維持する11)30)–33)

小児の UTI の臨床所見と検査所見

1.臨床所見  年長児や学童の下部 UTI では,排尿時痛,頻尿,尿意 切迫感,下腹部不快感などが,また上部 UTI では,腹部 の自発痛,圧痛,腰背部痛,叩打痛など特異的な症状が みられる1)–10)。一方,新生児・乳児においては,それら の症状は乏しく,上部 UTI の場合に,発熱以外に顔色不 良,哺乳不良や不機嫌がみられるとされている1)–10)。し かし筆者らの経験では,乳児の上部 UTI の約 9 割の症例 は顔色や活気も良く,8 割の症例では機嫌や哺乳力も良 好であった(図 1)34)。したがって臨床所見から新生児や 乳児の上部 UTI の診断を行うことは困難である。 2.検査所見  UTI の診断は,無菌的採尿で得られた尿検体の培養で 有意な菌数の細菌(中間尿の場合 ≥105/mℓ,カテーテル 尿の場合 ≥5×104/mℓ)を証明することである7)8)10)。無菌 的採尿に適した尿検体は,膀胱穿刺尿 ≥ カテーテル尿> 中間尿の順とされている7)–10)。排尿が自立した年長児 は,外陰部を消毒した上で,中間尿を採取すればよい が,自立排尿ができない年少児においては,尿道力テー テルまたは膀胱穿刺による採尿が必要である7)8)。わが国 のプライマリケアの現場でよく行われる乳幼児の採尿 バッグによる採尿は,得られた尿検体での尿培養の偽陽 性率 7.5%,偽陰性率 29%と,診断精度が低いため推奨 されない7)10)。米国小児科学会(American Academy of Pediatrics: AAP)によれば,「尿細菌培養の陽性をコロニー 図 1 自験例での乳児上部 UTI 初診時の臨床症状(n=84) 乳児の上部 UTI の 9 割は顔色や活気が良好で,8 割の症例は機 嫌や哺乳力も良好であった。

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形成単位(CFU)> 103/mℓと定義すると,カテーテル採尿 による尿検体は感度 95%,特異度 99%」である35)。した がって尿細菌培養検体の採取を目的とした採尿法として はカテーテル採尿が診断精度と侵襲性のバランスから考 えて適切である。一方,膀胱穿刺は,最も汚染の少ない 採尿法であるが,侵襲的であることと,膀胱に尿がたま るまで待つ必要があるといった理由で,わが国ではほと んど行われない10)  尿の沈渣鏡検で,400 倍視野あたり 5 個以上の白血球 を認めた場合に膿尿(白血球尿)があると診断する7)8)10) 2011年の AAP のガイドラインでは,UTI の診断は,膿 尿の存在に加えて,尿培養で単一菌 5×104 /mℓ以上が同 定されることでなされ,膿尿のない細菌尿は,コンタミ ネーションや無症候性細菌尿を考え,診断に膿尿の重要 性が示されている8)。実際,UTI を疑った場合,一般小 児科診療の現場では膿尿の有無を診断の手がかりにする ことが多い。しかし膿尿は腎の間質の炎症,例えば薬剤 その他の原因による間質性腎炎でも出現する36)。また川 崎病では無菌性の膿尿が高率に認められる36)。逆に膿尿 を認めない UTI の存在も以前から報告されている37)。筆 者らの経験でも,上部 UTI の小児 129 例(男児 88 例,月 齢中央値 4.1 か月)を対象として,UTI における膿尿の出 現頻度について検討した結果,18 例(14.0%)に膿尿を 認めない症例が存在し,その 40%に VUR を認めてい る38)。したがって膿尿の存在を UTI 診断の手がかりとす ると,上部 UTI を見逃す可能性があるばかりでなく, VURをも見逃す可能性がある。また 2007 年の英国ガ イドライン(National Institute for Health and Clinical Excellence: NICE)でも,「膿尿が認められなくても UTI は除外できない」と記載されている37)。以上のような所 見は,膿尿の存在による UTI の診断精度が,感度約 80%,特異度約 85%と決して高くないこととも一致して いる7)10)  また随時尿を用いて膿尿と細菌尿の有無を判定できる 試験紙も市販されているが,膿尿の感度は 83%,特異度 は 78%で,細菌尿に到っては感度 53%,特異度 98 %と 決して満足できるものではない7) 1)上部 UTI の診断率向上の試み  以上述べてきたような乳幼児の上部 UTI の診断上の問 題点を鑑み,筆者らは,カテーテル採尿で採取した尿検 体を用いて,簡易血球計算盤である Kova slide による迅 速診断(KOVA slide 法)を行っている10)。この方法は非遠 沈尿 1 滴で簡便かつ迅速に膿尿と細菌尿を確認可能で, 診断精度も高い(感度 91%,特異度 98%)10)39)。また, 細菌尿を確認することができるため,膿尿を認めない UTIの診断も可能である10)。実際,筆者らの検討では, UTIのスクリーニングをバッグ採尿と尿沈渣で行ってい た時期とカテーテル採尿と KOVA slide 法に変更した時 期での UTI の正診率を比較すると,早期診断症例が増加 し,起炎菌の検出率も向上していた。さらに膿尿を認め ない UTI 症例の診断率も向上していた40)。加えて KOVA slide法の利点として,細菌を直接観察できることが挙げ られる。すなわち,桿菌であれば,E.coli,Klebsiella 属 を想定し,セフェム系抗菌薬を選択し,球菌であれば, セフェム系抗菌薬に耐性を示す Enterococcus feacalis (腸 球菌)を想定しペニシリン系抗菌薬を選択する,といった 有効な抗菌薬の選択が診断時に可能である10) 2)UTI の部位診断  前述のように,乳幼児の上部 UTI の診断は容易ではな いため,しばしば適切な診断がなされないままに,抗菌 薬が投与される。その結果,複雑性 UTI の診断が妨げら れ,上部 UTI の反復や RN を招き,腎不全に至る可能性 がある。  臨床上,感度の高い上部 UTI の症状は高熱であるた め,2 歳未満の小児の発熱では常に上部 UTI を考慮した 対応が必要である7)。血液検査では,白血球数の増加, CRPの上昇,赤沈の促進,プロカルシトニンの上昇を上 部 UTI の診断根拠とすることが多い1)–8),いずれも非特 異的である。画像診断では,発症から 1 か月以内の急性 期に DMSA(dimercaptosuccininc acid)腎シンチグラフィー を施行することで部位診断を行うことが欧米では推奨 されている41)–45)。しかし,上部 UTI による急性変化と 陳旧性腎瘢痕および低形成腎を鑑別することはできな い41)42)。超音波検査は,上部 UTI では腎盂壁肥厚や腎実 質の部分的エコ一輝度上昇や低下,びまん性輝度上昇な どが観察されるが,検者の習熟度により差がある9)。造 影 CT(腎の炎症部位が造影不良域となる)や MRI が有用 との報告もあるが,乳幼児への放射線被曝や造影剤の使 用,鎮静の必要性などを考慮すると積極的には推奨され ない9)

UTI の治療

 UTI の治療は,感染部位,患児の年齢,重症度,起炎 菌によって異なる。治療方針の決定において重要なのは 感染部位である7)8)。したがって治療に際して,年長児で は臨床所見(上部 UTI では腹部の自発痛,圧痛,腰背部 痛,叩打痛など;下部 UTI では排尿時痛,頻尿,下腹部 不快感など)から感染部位を決定する。一方,乳幼児の上

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部 UTI は臨床症状に乏しく,診断は容易ではないため, フェイルセーフの考え方に基づいて,24 か月未満の発熱 を伴う UTI 患児は上部 UTI として治療する7) 1.下部 UTI の治療  第一選択薬として E.coli に感受性の高いセフェム系抗 菌薬(セファクロル,セフジニル,セフジトレンピボキシ ルなど)を 3∼5 日間経ロ投与する7)8)10)。しかし耐性菌出 現の防止のため,セフェム系抗菌薬の使用を避け,ST 合 剤(スルファメトソキサゾール + トリメトプリム)による 治療を勧める意見もある10) 2.上部 UTI の治療  腎瘢痕形成を防ぐため,適切に尿培養の検体採取後, 速やかに抗菌薬治療を開始する。初発の上部 UTI では第 一選択薬として E.coli に感受性の高い第 2,3 世代のセ フェム系抗菌薬(セフォチアム,セフォタキシム,セフト リアキソンなど)を投与する7)。UTI の起炎菌は球菌であ ればグラム陽性球菌であり,桿菌であればグラム陰性桿 菌である。したがって KOVA slide 法による検鏡やグラ ム染色で連鎖状の球菌が確認された場合は,E. feacalis を 疑いアンピシリンを第一選択とする7)10)。新生児期の起 炎菌は,E.coli と E. feacalis が多いため,初期治療として アンピシリンとアミノグリコシド系抗菌薬を併用するこ ともある7)8)。48∼72 時間後に治療の効果判定と起炎 菌,感受性の確認を行い,より狭域な抗菌スペクトラム の抗菌薬に変更する。近年,E.coli を含む UTI の起炎菌 の Extended-spectrum beta-lactamases(ESBL)産生株の増加 が指摘されており,ペニシリンやセフェム系抗菌薬に対 する耐性化に対する対策が臨床上,大きな課題となって いる9)。実際,筆者らが 2006∼2012 年に行った検討で も,小児の上部 UTI 症例 243 例のうち,ESBL 産生菌に よるものが 45 例(18.5%)を占めていた(図 2)46)。また菌 種別の検討では,E.coli の 19%,Klebsiella 属の 47%が ESBL産生株であった46)。ESBL 産生菌は,多剤耐性だが 現時点では,カルバペネム系が感受性を有している。セ ファマイシン系やアミノグリコシド系の抗菌薬にも感 受性が残っているものがあり,臨床的には治療が可能 である9)  3∼7 日間の経静脈的投与ののち,臨床症状の改善が 認められれば経ロ抗菌薬に変更する。抗菌薬投与期間 は,経口抗菌薬とあわせて 14 日間の治療が推奨されて いる7)8)。AFBN では腎膿瘍への進展防止と再発防止を 目的に,約 3 週間の経静脈的抗菌薬投与が推奨されてい る7)–10)。腎膿瘍では抗菌薬投与に加えてドレナージなど 外科的治療が必要なこともある7)–10)  抗菌薬の投与法に関しては,経口投与でも経静脈投与と 同等の効果が得られるという RCT が報告されており47) 図 2 自験例での上部 UTI の起炎菌における ESBL 産生菌(2006∼2012) 上部 UTI 243 例のうち,ESBL 産生菌は 45 例(18.5%)であった。年次別に見る と,起炎菌の 15.0∼22.7%の範囲で推移していた。

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AAPガイドライン7)でも,2 か月以上のほとんどの患児 において経口抗菌薬による外来治療が可能とされてい る。しかし,これらの RCT の対象からは,高リスク症例 が除外されている47)ため,少なくとも菌血症を合併が多 い 3 か月未満の患児や重症例の初期治療は入院による経 静脈的投与が望ましい。

UTI を起こした乳幼児に対する基礎疾患の検索

 UTI を起こした乳幼児の治療の最終目標は,上部 UTI の反復と RN およびそれによる慢性腎不全の予防であ る。小児慢性腎不全の原因の約半数は VUR や水腎症な どの先天性腎尿路奇形(congenital anomalies of the kidney and urinarytract; CAKUT)であり,CAKUT は,出生前診断 されたものを除くと,乳児期の UTI を契機に発見される ことが多い1)–10)。換言すれば,UTI を起こした乳幼児に おいては反復性 UTI の背景因子として重要な CAKUT の 検索とその管理が重要である1)–10) 1.VUR の検索と管理 1) VUR の病因論  VUR の発生には,解剖学的な要素だけでなく下部尿路 機能異常や排便機能異常が関与する48)–52)。家系内発症例 も報告され,VUR の多くは常染色体優性遺伝形式であ り,浸透率は 100%ではなく,多因子遺伝や環境因子に もよる9)。家族内スクリーニングで発見される VUR は軽 度のものがほとんどで9)10),臨床的に問題になる高度の VURの発生にはさらに排尿機能異常など勝胱内圧を高め る因子などの関与も考えられる48)–52)。出生前診断例を含 め新生児・乳児期に診断される VUR は圧倒的に男子に 多く,下部尿路の機能的未熟性が VUR の病態に関与し ている。したがってこれらの未熟性に起因する VUR は 自然治癒傾向が強い。実際,VUR は 0.5∼1.0%の乳児に 認められるが,8 歳までにその 70%は自然消失する7)8) そして VUR の程度が low grade であるほど,また発症年 齢が低年齢であるほど,そして片側例より両側例の方 が,より自然治癒が期待できる7)53)。一方で,年長児以 降に診断される VUR は,新生児・乳児期に診断される VURと異なる病態をもつとされ,機能的排尿異常や蓄 尿期に不随意的な排尿筋収縮が起こる過活動性膀胱 (overactive bladder; OAB)などが関与する48)–52)

2)VUR の診断方法とその適応をめぐる議論

 VUR の標準的な画像診断法は,排尿時膀胱尿道造影 (voiding cystourethrography; VCUG)である。VUR は,上 部 UTI の乳幼児の 8∼50%に合併するため,1999 年の AAPのガイドライン7)では,2 か月から 2 歳までの上部 UTI症例には初回であっても,全例に VCUG を行うこと を推奨した。しかし近年,この考え方に変化がみられ, 2007年の英国の NICE ガイドライン37)や 2011 年の AAP ガイドライン8)では,初回の上部 UTI 全例に VCUG を施 行することを推奨していない(表 28)37))。これらの新ガ イドラインにおける VCUG の適応は,腎臓超音波検査に おいて水腎症や腎瘢痕を認めた症例,および臨床経過が 非典型的で難治性の症例とされている8)。また急性期に DMSA腎シンチグラフィーを行って異常所見がみられた 場合にのみ VCUG を行う“top-down approach” によって不 必要な VCUG を減らすことができるとする意見41)–44) や,急性期 DMSA 腎シンチグラフィーと腎臓超音波検 査を組み合わせることで有用性が高まるとする報告もあ

表 2 各種ガイドラインで推奨されている上部 UTI の乳幼児に対する画像診断7)8) 37)

画像診断法 AAPガイドライン NICE ガイドライン(2007)

1999 2011 治療後 48 時間以内に解熱した UTI 非定型 UTI 反復 UTI

超音波検査(急性期) ○ ○ × ○ ○ 超音波検査 ○ × × (感染症消失後 6 週以内) DMSA腎シンチグラフィー ○ ○ × ○ ○ (感染症消失後 4 ∼ 6 か月) 排尿時膀胱尿道造影 ◎ △ × ○ ○ ◎:実施すべき,○:実施したほうが良い,△:症例によっては実施,×:実施しなくて良い

AAP, American Academy of Pediatrics; NICE, National Institute for Health and Clinical Excellence; UTI, urinary tract infection; 非定型 UTI, seri-ous illness; poor urinary flow, abdominal or bladder mass, raised serum creatinine level, septicemia, non-E.coli organism from urine culture, and poor response to suitable antibiotics

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る54)。こういった乳幼児の上部 UTI の管理方針の変化 は,「VUR の有無よりも腎実質病変の有無によって腎機 能予後が規定される」という考え方に基づいている。必然 的に VUR が見逃される可能性が高まるが,発見されな い VUR のほとんどは軽度であり,その後の腎瘢痕の進 展はないと報告されている41)–45)。しかし,わが国の小児 医療の現状を考慮すると,上部 UTI の乳幼児は,大多数 が腎シンチグラフィーを実施できない二次医療施設で診 療されているため一般的な検査手順にはなりにくいと思 われる。筆者らは,新ガイドラインの妥当性を検証する ために,初回の上部 UTI の乳幼児に対して超音波検査で スクリーニングを行った場合の VUR や腎瘢痕の発見率 についての検討を行った55)。その結果,対象(月齢中央 値 4 か月の男児 200 例を含む 306 例の乳幼児)の 35%に VURを認めたが,その約半数においては,腎臓超音波検 査で異常所見を認めていなかった。すなわち腎臓超音波 検査での異常所見の有無で VUR の診断精度を検討する と,感度 46%,特異度 85%,陽性予測値 66%,陰性予 測値 71%と低い値であった55)。さらに腎臓超音波検査で 見逃された高度 VUR 症例の 70%に DMSA 腎シンチグラ フィーで腎瘢痕を認めた。したがって筆者らは,「上部 UTIの乳幼児に対して VCUG を制限することは,反復性 UTIの危険因子である高度 VUR の見逃しおよびそれに よる腎瘢痕を増やす可能性がある」と考えて,初回の上部 UTIで入院した乳幼児全例に VCUG を行っている。この ように上部 UTI 全例に VCUG を行う従来の手順を,近 年,“bottom-up approach”と 呼 び, 前 述 の“top-down approach”と区別している。VCUG は,VUR の有無や国 際分類による grade の評価だけではなく,蓄尿時の膀胱 形態,排尿時の尿道形態の詳細な観察ができるため,下 部尿路機能異常や下部尿路の器質的異常を評価するため にも有用である7)10)。したがって筆者らは,乳幼児の上 部 UTI の管理においては,“top-down approach”よりも “bottom-up approach”が適切であるとの立場で,近年のガ イドライン8)37)の中でも VCUG の適応については再考す べきであると考えている。 3)VUR と RN の関係  RN は VUR に随伴して認められる腎実質障害を指し, 上部 UTI に伴う腎実質の瘢痕・萎縮と VUR に合併する ことの多い先天性腎低形成が含まれる。しかし UTI によ る腎実質障害がなければ,VUR の存在のみでは RN は生 じない。RN はその 5∼30%で思春期以降に腎機能障害が 顕著化し,末期腎不全に至る7)52)。 逆に小児から思春期 の末期腎不全患者の原因の 5%が RN による7)8)。した がって VUR が自然消失,または手術により治癒しても RNが認められる場合には,蛋白尿や高血圧などの出現 に注意し,少なくとも思春期までは経過観察が必要であ る。また,女児の場合には将来の妊娠期に UTI,高血圧 などのリスクが高い56)とされているため,患者本人への 十分な情報提供が必要である。  UTI は RN(≒腎瘢痕化)の必要条件であるが,初回の 上部 UTI に対する治療の遅れが腎の瘢痕化に影響するか 否かについては詳細な検討がなされていなかった。その 点について最近,いくつかの報告がみられる。すなわ ち,初回の発熱性 UTI の小児において,発熱の出現後 24 時間以内に有効な治療を開始され,発症から 48 時間以内 に解熱すれば,腎瘢痕は起こらないとする報告や57),初 回の発熱性 UTI で治療開始の遅延は,腎瘢痕形成の危険 因子となることが報告され58),初回の上部 UTI の発熱期 間と腎瘢痕形成の関連が示唆されている。そこで筆者ら も上部 UTI の発熱の長期化が,腎瘢痕の危険因子となる か否かについて検討を行ったので紹介する。対象は初回 の上部 UTI の乳幼児 112 例(年齢中央値 0.5 歳,男児 76 例)で,全例,保存期(上部 UTI が改善してから 4 か月以 降)に DMSA 腎シンチグラフィーで腎瘢痕の有無を評価 した59)。そして腎瘢痕あり群(74 例)となし群(38 例)に 分けてレトロスペクティブに検討した結果,発熱から治 療開始後解熱するまでの時間の中央値(四分位値)は,腎 瘢痕あり群が 60(36∼77)時間,腎瘢痕なし群が 22(19∼ 26)時間であり,腎瘢痕あり群が有意に解熱までの時間を 要していた(p<0.001)59)。また ROC 曲線で腎瘢痕のリス クが有意に高くなる発熱期間を求めたところ,31 時間で あった(特異度 84.2%,鋭敏度 92.0%)59)。したがって, 初回の上部 UTI であっても,発熱期間の長期化は腎瘢痕 の危険因子となるため,有熱期間が長い(31 時間以上)場 合は VUR 合併の有無にかかわらず,DMSA 腎シンチグ ラフィーを施行し,腎瘢痕を認めた場合には,長期の経 過観察を行うべきであると考えている。 2.下部尿路異常の検索  上部 UTI を起こした小児や VUR を有する小児では器 質的(解剖学的),ないし機能的な排尿機能異常が認めら れることがある。すなわち,頻尿,切迫排尿,切迫性尿 失禁などの不安定膀胱の症状や,排尿回数が 3∼4 回以下 と少ない lazy bladder syndrome の症状,尿線が弱い, 断続的である,残尿といった下部尿路通過障害や排尿 筋尿道括約筋協調不全の症状が認められる例が少なく ない60)。また,便秘症では不安定膀胱になりやすい60)

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1)下部尿路の器質的異常  下部尿路の先天性の器質的異常としては,後部尿道弁 や尿道狭窄などの尿道の異常と,尿管瘤や膀胱憩室など の膀胱の異常に分けられる。これらの診断は VCUG でな されるため,VCUG 施行時には VUR の有無のみならず 排尿時の膀胱と尿道の観察を忘れてはならない60)。また 男児においては,後部尿道弁や尿道リング状狭窄などの 器質的尿道異常による続発性 VUR の可能性も念頭にお いて尿道を丁寧に観察する必要がある60) 2)下部尿路の機能的異常

 近年,VUR と下部尿路機能障害(lower urinary tract dysfunction; LUTD)の関連が報告されている60)–63)。LUTD は,神経因性膀胱,排尿筋・括約筋の異常,dysfunctional elimination syndrome(DES)などの機能的排尿障害の三つ に大別される60)–63)。DES は排尿自立後の児童にみられ る OAB や便などを総称する概念である60)。LUTD を有 する小児では VUR の自然消失率が低く,LUTD を認め た場合,VUR の自然消失率は 1 歳で 5%,3 歳で 18%, LUTDを認めない児(1 歳で 52%,3 歳で 77%)と比較し て有意に低いと報告されている60)–63)。LUTD を認める VURの患児の場合,逆流防止術施行後も UTI の再発や 逆流の残存,反対側への逆流出現が多くみられ,腎瘢痕 の出現率も高い60)–63)。LUTD に対しては排尿習慣の改善 (定時排尿,二段排尿)や便秘のコントロール,あるいは 薬物療法(抗コリン薬や α アドレナリン阻害薬),間欠的 自己導尿が行われる60)–63)。LUTD の管理を適切に行え ば,年長児では VUR の自然消失率は 1 年で 50∼60%と 報告されている60)–63)  筆者らは幼児期以降に初めて上部 UTI を発症した小児 においては,LUTD が関与しているのではないかと考え て検討を行った64)。対象は 5 歳以降に初めて上部 UTI を 発症した 24 例(年齢中央値 6.8 歳,女児 17 例)で,表 3 に示した項目についての問診と診察所見,および腹部超 音波検査所見によって LUTD の有無を検討した64)。その 結果,全体の 21 例(88%)に LUTD が認められたほか, 12例(50%)に VUR を認め,4 例(17%)が III 度以上で あ っ た64)。 さ ら に 非 感 染 時 の 超 音 波 検 査 で,14 例 (58.3%)に膀胱壁の肥厚(≥5 mm)がみられ,13 例(54%) に残尿を認めた64)。これらの LUTD を認めた症例に対し て排尿指導とともに抗コリン薬を投与した結果,過半数 の症例で昼間遺尿・頻尿・残尿・VUR の改善を認めた。 したがって幼児期以降に発症した上部 UTI の患者におい ては,排尿障害の評価とそれらに対する適切な管理・指 導が必要である。 3.UTI と VUR の管理  上部 UTI の反復は,不可逆性の腎実質障害である腎瘢 痕を生じるため7)8),高度 VUR を有する児では上部 UTI の反復を予防する目的で,内科的治療(抗菌薬少量長期予 防内服)と,外科的治療(逆流防止手術)が選択される9) 1)内科的治療  VUR を有する患者に対する内科的治療の理論的根拠 は,「VUR は自然消失する可能性のある現象で(8 歳まで に 70%は自然消失7)8」),上部 UTI さえ起こさなければ腎 瘢痕が新生する危険は低く,自然治癒までの期間,UTI 再発と腎障害の進行を防ぐために抗菌薬の予防投与を行 う」ということである7)8)。しかし 2006 年以降,表 4 に示 すように否定的な論文もあり一定の見解が得られていな かった52)61)62)65)–67)。また抗菌薬予防投与による内科的 治療と手術治療を比較すると腎瘢痕の新生の頻度は両者 で差がないことも報告されていた68)。しかし,最近発表 された大規模な共同研究である The RIVUR(randomized intervention for children with vesicoureteral reflux)trial の結 果によれば,UTI 後に VUR と診断された小児におい て,予防抗菌薬(ST 合剤:37.5 mg/kg/day)を投与した場 合,再発リスクが大幅に軽減したという(50%低下)69) この報告では,腎瘢痕の発生率については,予防抗菌薬 投与群とプラセボ投与群で有意差はみられなかったとし ているが,上部 UTI の反復は腎瘢痕のリスクであるた め7)8),予防抗菌薬投与は,長期的には腎瘢痕のリスク軽 減につながるものと思われる。  また LUTD に対する内科的治療としては,排尿習慣の 表 3 排尿・排便異常に関する問診項目 症  状 I 日中,オシッコをもらす II 夜間,オシッコをもらす III しゃがんだり,裾のほうを押えたりすることで オシッコを我慢するようなことがある IV オシッコをしたいと感じたら,もう我慢できない V 1日に 3 回くらいしかオシッコをしない VI 1日に 8 回以上オシッコをする VII お腹に力をいれないとオシッコができない VIII オシッコをする時に痛みをかんじる IX 便がでない日がある X かなり頑張って,お腹に力をいれないと便がでない 文献72)を基に改変して作成

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改善(定時排尿や二段排尿)や便秘のコントロール,ある いは薬物療法(抗コリン薬や α アドレナリン阻害薬),間 欠的自己導尿と予防的抗菌薬投与がある60) 2)外科的治療  自然治癒の期待しにくい年長児以降の高度 VUR の患 者には逆流防止術が行われ,手術によって 95∼98%は完 全に治癒する70)。その他,break-through UTI(抗菌薬予防 投与下で生じる UTI)を起こした VUR 症例に対しても手 術治療が考慮される70)。国際分類で grade III∼V 度の高 度 VUR のうち,腎瘢痕を認める例は腎瘢痕のない例に 比べてその後の break-through UTI の頻度が圧倒的に高い (60%対 6%)7)8)70)。したがって,VUR 診断時に DMSA 腎シンチグラフィーで腎瘢痕の有無を確認することは重 要である。近年,逆流防止術として,従来の開放手術に 加え,Deflux®と呼ばれる注入材を内視鏡的に膀胱粘膜下 に注入する治療法も施行されている(保険適用あり)。1 回 の 注 入 療 法 で,I∼II 度 の VUR で 78.5 %,V 度 で も 51%の症例で VUR が消失でき,2∼3 回の再注入で 85% の成功率が得られることが報告されている71)。本治療は 低侵襲であるため,今後さらにその適応は拡がるものと 思われる。

おわりに

 乳幼児(2 歳未満)の上部 UTI は特異的臨床所見や検査 所見に乏しく診断は困難である。バッグ採尿での尿培養 の結果は,偽陽性も偽陰性も高く診断的意義は少ない。 また UTI を膿尿でスクリーニングした場合,感度 80%, 特異度 85%と,ともに高くない。したがって,発熱で受 診した乳幼児において,明らかな感染巣が不明な場合に は,UTI を念頭において,抗菌薬を投与する前にカテー テル採尿を行い,採取した尿検体で KOVA slide 法を行 い,尿中細菌を確認するべきである。そうすることで乳 幼児の上部 UTI の診断率は向上するものと思われる。ま た上部 UTI を起こした乳児に腎瘢痕を形成させないため には, 基礎疾患(VUR や排尿・排便異常)を見逃さないこ とが重要である。そのためには,VUR だけでなく下部尿 路の異常の評価も可能な VCUG を上部 UTI 症例全例に施 行すべきであると思われる。高度 VUR を有する乳幼児 に対しては抗菌薬の予防内服を行い反復性 UTI の予防を すべきである。  「日本小児腎臓病学会の定める基準に基づく利益相反に 関する開示事項はありません。」 文   献

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表 4 VUR の乳幼児に対する抗菌薬予防内服の効果

報告者 n 年齢 VUR Grade 期間 UTI 再発抑止効果 腎瘢痕抑止

Garin, EH 65), 2006 218 3m-18y I-III 1y NS NS

Conway, PH 61), 2007 611 <6y I-V (5 y) NS NA

Pennesi, M 62), 2008 100 <30m II-IV 4 y NS NS

Montini, G 66), 2008 338 2m- 7y I-III 1 y NS NS

Rossey-Kesler, G 52), 2008 225 1m- 3y I-III 18 m grade III男児 NA

Craig JC 67), 2009 564 <18y 42%に VUR 12 m 6%低下 NA

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(12)

Current concept on urinary tract infections in children

Takahisa Kimata, Shoji Tsuji, Kazunari Kaneko

Department of Pediatrics, Kansai Medical University School of Medicine

Urinary tract infection (UTI) is one of the most common infections encountered by pediatricians. UTI can occur either as bladder infections (lower UTI) or infections involving the kidneys (upper UTI). Upper UTI can be an important cause for end stage renal failure as it may lead to renal scarring without inappropriate management. Therefore, we should have high index of suspicion that all febrile infants without evident focal signs have upper UTI. To make a correct diagnosis of upper UTI, urine samples for culture should be obtained by bladder catheterization before administration of antimicrobial agents. Furthermore, bacteriuria should be screened using KOVA slide immediately for the prompt treatment which alleviate the risk of renal scarring. In order to prevent recurrent UTI, all infants with first upper UTI should be screened for underlying conditions predisposing to UTI, such as vesicoureteral reflux (VUR) or lower urinary tract dysfunctions by voiding cystourethrography (VCUG). If he/she has high grade VUR by VCUG, they should receive continuous antibiotic prophylaxis for recurrent UTI based on the recent findings from the RIVUR (Randomized Intervention for Children With Vesicoureteral Reflux) trial.

Key words: renal ultrasound, urinary tract infection, 99m-technetium dimercaptosuccinic acid scintigraphy, vesicoureteral

参照

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