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R(t)=1-f Qb(x-x(wt))P(w)dw 1forvbuxz0 0forbjv5rx<0

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Academic year: 2021

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土 木 学 会 論 文 集No. 744/IV-61, 15-27, 2003. 10 [特 集]

イ ン フ ラ ス トラ ク チ ャ ・マ ネ ジ メ ン ト研 究 の

課 題 と展 望

小 林 潔 司10上 田 孝 行2 1フ ェ ロ ー 会 員 工 博 京 都 大 学 教 授 大 学 院 工 学 研 究 科 都 市 社 会 工 学 専 攻 (〒606-8501京 都 市 左 京 区 吉 田 本 町)

E-mail: kkoba@psa2. kuciv. kyoto-u. ac. jp

2正 会 員 工 博 東 京 工 業 大 学 助 教 授 大 学 院 理 工 学 研 究 科 国 際 開 発 工 学 専 攻(〒152-8552東 京 都 目黒 区 大 岡2-12-1) E-mail: tueda@plan. cv. titech. ac. jp

本 稿 で は, 伝 統 的 な 工 業 経 済 学, 信 頼 性 工 学 に お け る 修 繕 ・補 修 モ デ ル の 考 え 方 を述 べ, イ ン フ ラ ス ト ラ ク チ ャ ・マ ネ ジ メ ン トへ の 適 用 可 能 性 に つ い て 言 及 す る. イ ン フ ラ ス トラ ク チ ャ ・マ ネ ジ メ ン ト問 題 の プ ロ トタ イ プ を 一 般 的 な 確 率 イ ンパ ル ス 制 御 モ デ ル と して 定 式 化 し, そ の 基 本 的 な 解 法 を 示 す. ま た9そ の 特 殊 型 と し て 離 散 型 確 率 動 的 計 画 モ デ ル を 定 式 化 す る と と も に, そ の 活 用 方 法 を 示 す. さ ら に, IMの 高 度 化 の た め に 必 要 と な る 研 究 課 題, 中 で も プ ロ ジ ェ ク ト会 計 シ ス テ ム, 制 度 的 メ カ ニ ズ ム 設 計 に 関 わ る研 究 課 題 の 重 要 性 に つ い て 考 察 し, 本 特 集 論 文 の 位 置 づ け と今 後 の 研 究 の 方 向 性 につ い て と り ま と め る.

Key Words : infrastructure management, maintenance/replacement, stochastic control, accounting, mechanism design

10は じめ に わ が国 で は, 公 共 事業 に対 して厳 しい批 判 が提 示 され て い る. また, 財政 制約 上, 新 規 投 資が 今後 も 現 在 の水 準 で推 移す る とは考 え に くい. 瑛 在 の イ ン フ ラス トラクチ ャ(以 下, イ ン フ ラと略 す)の ス ト ック水 準が 適正 か否 か とい う議 論 は別 に して も, す で にわ が国 で は膨大 な イ ンフ ラ ・ス トックが 蓄 積 さ れ て い る. 今後 は効 率 的な 分野 へ の新 規 投資 が必 要 とされ るだ け でな く, 既 存 ス トック を維 持管 理 しな が ら最 大限 有効 に活 用 し, 必要 な 更新 投 資 を実 施 し な けれ ばな らな い0 イ ンフ ラス トックの 増加 に伴 って, 維 持 ・補修 費 は年 々 増加 の傾 向 を辿 って い る・ た と えば, 舗装 事 業 に関 して は, 1980年 代 よ り新 規事 業 費が減 少 して い く中で, 1ggO年 代 に は補 修修 繕 費の 占め る割 合が 逆 転 した こ とが指摘されている1)0既存インフ ラの 老 朽 化 に伴 って今 後必 要 とな る更 新需 要 につ いて, い くつ か の予測 が 試み られ て いる ・例 え ば, 高 橋 ・ 横 田2)は 港湾 施設 を対象 として, 2mm年 時点で 補修 費 と更 新費 は全体事業 費の2. 8%と697%を 占め てい る もの の, 2025年 にはそれぞ れ1107%と17. 6%に まで拡 大 す る としてい る・ 一 方, イ ン フ ラの老 朽化 を放置 す る ことは, 災 害 リス ク を高 め る危 険性 もあ る0阪 神 ・淡 路 大震 災 以 降, イ ン フラの 信頼 性 に対 す る 国民 的 関心 は 非常 に 高 く, イ ン フラ の維持 管理/更新 は, 災 害 リス クへ の 対 応 と して も極 め て重 要 で ある0国 内 で の新 規投 資 需 要 の伸 び が期 待 で きな い 中で, 今 後 土木 施 設 の維 持/更 新 等, 効 率 的 な イ ン フ ラ ・マ ネ ジ メ ン ト

(h丘astructure management: 以 下, IMと 略 す)に 対 す る需要 は確実 に増 加す る・ 1Mを 簡 潔 に定義 す る ことは難 しい. マネ ジ メン ト とい う用 語 の意 味 はそ れ を扱 う分野 によ り異 な り, 統 一 的 な定 義 を与 え る こ とは不 可能 で あ る. それ で も敢 え て定 義す れ ば, 狭 義 に は 「不 確 実 な将 来 にお いて, 生 じ得 る状 況毎 に実行 す る行 動 をル ー ル と し て 事 前 に決 定 し, 状況 を的確 に把握 しなが らそれ を 遵 守す る こ と」 と言 え る. 広 義 に は, これ に 「と り ま く環 境 につ いて の知 見 を取 り入れ な が ら, ルー ル 自体 を改 善 して い くこ と」 を加 え る こ とが で きよ う. マネ ジメ ン トの多様 性 と対応 してIMの 定 義 も多様 で ある. 広 義 には, IMは イ ンフ ラの維 持/更新 問題 を 部 分 問題 と して 包 含す るよ うな複 合 的 なマ ネ ジ メ ン ト問題 を意 味す る. 最 近 で は, メ タマ ネ ジメ ン トと で も呼ぶ べ きIMモ デル もい くつか提案 され てい る0

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このよ うに広義 の意 味 にお け るIMで は, 意 思決定者 によ る課 題 の発見 や 認 知, 課 題 の構造 化, 解決 の プ ロセ スな どの非 常 に深遠 か つ 広 汎 な問 題 につ いて も 考 えな けれ ばな らない0狭 義 のIMは ハ ー ド・ソ フ ト 技術 を駆使 したイ ン フラ の維持/更新 のマ ネ ジメ ン ト を意 味 して いる. 本 特集 論 文 で は, 狭 義 の意味 にお けるイ ンフ ラの維 持/更新 マネ ジ メ ン トモ デル を取 り 上 げてお り, 本稿 で はIMで 用 い られ るイ ンフラの維 持/更新 モデ ル に関す る展望 に焦 点 を絞 りた い. した が って, 狭義 の1Mを 支 え るハ ー ドな技術 体系 に関 し て は議論 の対 象 と しな い. 本 稿で は, 建設 段 階か ら供 用期 間 中 の維持/更新 を 含む長 期的 なIMに つ いて, 筆 者 らの基本 的な考 え方 を示 し, そ れ に基 い て今 後 の研 究 課題 を展望 す る0 以下, 2. で は, 関連 分 野 にお け る既存 の維 持/更新 問題へ のア プ ローチ を整 理す る. 3. で は, IM問 題 を 離 散 型 確 率 的 イ ンパ ル ス 制 御(stochasticpulse control: 以下, SICと 略 す)問 題 として定 式化す る. 4. ではSIC問 題 の特 殊型 と して確 率 動的 計画 モデ ル を定式 化 し, そ の最 適解 と して 状況 依存 的 な更 新 ル ール が得 られ る こ とを示 す. 50で はIMの 高度 化 の課 題 として, 最適維 持/更新 問題, プ ロジェ ク ト 会 計 シス テ ム, 契 約 等 の 制度 メカ ニズ ム設 計 の 問題 をと りあげる. 29維 持/更 新 に 関 す る 既 往 の 研 究 概 要 (1)既往 の代表 的 アプ ローチ 維 持/更新 につ いて は, 大 別 して シ ステ ムの信 頼性 を基 準 とす る信 頼性工学3)-7)と, ある 信 頼性 を保 持す る もとで の費 用効 率 性 を基 準 とす る工業 経 済学 にお けるReplament Analysis(RA)8)-19)の分 野 で研 究 が 蓄積 された. 信 頼 性 工学 は, シ ステ ム の信頼 性 の観 点か ら, 損 傷 した システ ム また はそ の構 成部 品 等 の取 り替 え時期 や 回 数 な ど を求 め る こと を 目的 と して いる. 一方, 工業経 済 学 にお け るRAで は, 既 に稼 動 してい る既 存 シス テム(また は対 象 とす る部品) を防衛 者(dende1)と し, それ を代 替す る候補 にな る 新規 シス テ ム を挑 戦 者(ChaHenger)とす る. 防衛 者 は 挑 戦 者 に よ って丸 ご と取 って代 わ られ る こ とが 想定 され, また, 挑 戦者 は防衛 者 に取 っ て代 わ った とし て も, 将 来 は いず れ 同タ イ プの 挑 戦者 によ って 取 っ て 代 わ られ る もの とす る. そ れ ぞ れ の平均 寿 命 の最 小 公倍 数 を と り, そ の期 間 にお け る等 価 一様 年 間費 用(Equivalent UnimmAnnual Cst: EUAC)を 算 出 して 費 用 比較 を行 い, 低 い方 を採 択す る とい う手 法で あ る0 これ によ り, あ る時 点で 取 替 え を行 うか否 か の判 断 を行 う こ とがで き る. 当然 なが ら, 信頼 性 と費用 の 両 面 を考 慮 した 両者 の 中間 的な バ リア ン トと して位 置 づ け られ る手 法 は多数 考 え られ る. さ らに, これ ら2つ の ア プ ローチ の考 え方 を取 り入 れた 動 学 的な 意思 決 定 モデ ル も多 数 開発 され て いる. 以 下 で は, 両者 のア プ ロー チ の中か ら, 信頼 性 工学 にお け る最 も基 本 的 なモ デル と土木 工学 の構造 設 計分 野 で の信 頼性 評価 を取 り上 げて, IMに 適用 す る うえで の課題 につ いて言 及す る. (2)信頼性 工学 の アプ ロ+チ 信頼性 工学 に関す る教 科書は多数ある3)-7). そこ で は, 観 測 や 実験 によ って シス テム また は そ の構 成 部品 の故 障 確 率 を推定 し, 故 障過 程 をモ デル 化 す る 方法 が採 用 され て いる. そ の上 で, 信頼 性 を向 上/保 持 す るた め に必要 な修 繕/取替 え戦 略 を求 め る手 法が 開発 され て い る. 信頼 性 工学 にお け る最 も単 純 な モ デル は, システ ム ま たは構 成部 品 が所 与 の機 能 を発 揮 で き る状 態 を正 常状 態, 発揮 で き な い状態 を故 障 状 態 とす る2状 態モ デル である. ある時点Jま で に故 障 して い る確 率 をF(J)と す れ ば, そ の時 点 で故 障状 態 に無 い こ とが信 頼性 で あ りR(J)=1-F(J)で 表 され る. シス テ ム全体 の信頼 性 は, それ を構成 す る部 品 の 信頼 性 に依 存 して いる. シス テ ムの 構造 に基 づ い て シス テ ム全 体 の信 頼性 を求め る方 法 も多 数提 案 さ れ て いる. 信 頼性 工 学 の文献 で は, 物 理的 な特 性 を 表す 諸元 と信 頼性 の 関係 につ いて は実験 結 果 に基 づ い た知見 が 既 に数 多 く蓄 積 され て いる. た だ し, シ ステ ム の劣 化 が実 システ ム を取 り巻 く環 境 に大 き く 依 存 して いる ことが事 実 で ある に も関わ らず, 試験 体 レベル で 実験 結 果 に比 べて 実 シス テム レベル で の 知 見 の蓄 積 は容 易 で な く, デ ー タの蓄 積 も未 だ大 き な課 題で あ るとす る見 解20)も 見 られ る× い ま, 状態x(J)Xに つ いて, シス テ ムが ある 機 能 を発 揮 で きる臨界 水準 を7と して, x(J)≦7で ある ことを正常 状態 にある とする. x(J)≦7の 実現 した経 路 をω∈Ω で ラベル付 けす るもの と し, x(ω, J)∈Xで 表す0任 意 の 時 点Jに お ける シス テム の 信頼 性R(J) は

R(t)=1-f

Qb(x-x(wt))P(w)dw

(1) と定義 で き る. な お, δぐ)は以 下 のス テ ップ 関数 で あ り, P(うは経 路 ω が 実現 す る確 率密度 関 数で あ る. a(X) 1forvbuxz0 0forbjv5rx<0 (2)

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信 頼 性 工学 で は, 対 象 とす る シス テ ムが 修復 系 か, 非 修 復 系か に よ り異 な った ア プ ローチ が 採用 され る0 前者 は故 障部 品 の取 り替 え が可 能 な シス テム で あ り, 修 復 を適 切 に行 え ば システ ム の寿命 は無 限 にな る. 後 者 は構成 部 品 の取替 えがで きな い シス テム で あ り, ネ ッ トワー ク構 成の 冗長 性 を考 慮 して シス テム全 体 の信頼性 を如何 に保持す るかが 重要 にな る. 修 復 系 の信頼 性 工学 で は, ある時 点 また は一定 期 間 にお け るア ベイ ラ ビリテ ィ(avaabmty)を 最 大 にす る よ うな 取替 えル ー ルが検 討 され て きた. アベイ ラ ビ リテ ィは信 頼性 をよ り拡 張 した概 念 で あ り, 信頼 度 に加 え て修復 の しや す さ の指標 で ある保 全性 を考 慮 した もので あ る. 保 全性 は, 構 成 部 品 の故 障 によ っ て シス テム が機 能 しな い時 点 か ら時 間 τの 間 にシ ステ ムが修復 され て機能 を回復 す る確 率M(τ)で 表 さ れ る. 故障 が 生 じる とす ぐに修 復 を行 うとすれ ば, あ る時点の アベイ ラ ビリテ ィは, 次式 で示 され る.

A(t)=R(t)+1F(t-i)M(i)di

(3) あ る 一 定 期 間 の 平 均 ア ベ イ ラ ビ リテ ィ ー に は い くつ か の 定 義 が あ る が, 無 限 期 間 で の 平 均 を 考 え る と, 平 均 故 障 間 隔 時 間(mean time between faure: MTBF)と 平均 補 修 時 間(mean time to lepah: MTrR)を 用 い て,

(4) と定義 され る. 信 頼 性工 学 で は, 構 成 部 品 に故障 が 生 じる とそ の 取 替 え を行 う事 後 修復(Emelgency Repah)が 想 定 され て い る. 事 後修 復 はCorrective Mahtenanと も呼 ば れ る. 一 方, ま だ故 障 に至 って い な い時点 で 予 防的 に取 替 え を行 う場合 はPreventive Mahtenanと 呼 ば れ る0事 後 修 復 だ けを繰 り返 す管 理 戦 略 を用 いた 場 合, ある 時点 まで に生 じた故 障 回数 が そ の まま修復 回数 に一致 す る. 一定 の期 間 にお いて必 要 な修 復 費 用 は この 回数 の期 待値 によ って代 表 され る こと にな る. この よ うな故 障/修復 プ ロセス はRenewal pross と呼 ば れ, そ の確 率過 程 の特性 に関 して研究 が 蓄積 され て いる21)-23). さらに, 修復系 の システ ムの 保 全 戦略 を考 える場 合 に は, 構 成 部 品 の取替 え を繰 り返 す こ とが前 提 にな るた め, 設 計段 階 にお い て, 第1に 取替 え が容易 に(低コ ス トで)行え るよ うに設計 す る こと, 第2に, 取替 え のル ール を事 前 に設定 し て お く こ とが 必要 にな る. 一 方, 非 修 復系 で は故 障 した構 成 部 品 を修 復 で きな いた め, 設 計段 階 にお い て あ る一定 の信頼 性 を確保 す る ことが 必要 にな る. 非修 復 系 に含 まれ る構 成 部品 の寿 命 は, ある実 現 し た劣化 の経路 ω につ いて

i(w)=mintlxzx(wt)}

(5) と定義 され る0劣 化 は確 率過 程 で あ るた め, 寿 命 も 確 率変数 で あ り, 次 の よ うな期 待値 で定義 で きる.

i=E(z(w))=fr(w)P(w)dw

(6) (3)土木構造 物 に関す る信頼 性評 価の現 状 土木 工 学 の構 造 設計 にお いて も信 頼 性 に 関す る研 究 成果 は 取 り入 れ られ て い る. 供用 期 間 中 に生 じる 様 々な 確 率 的現 象 と設 計 ・施 工 段階 にお け る多様 な 不確 定 要 因 を勘 案 して, 構 造 物 の信 頼 性 を直 接0間 接 に評 価 して いる. 土 木分 野 で の信 頼性 解析(例 え ば, 土 木 学会24), 尾坂 ・高 岡 ・星谷 乃)を参照)は, 水準1, II, IIIに 分類 され て いる. 水 準IIIは関 係す る変 数 の確 率分 布 を明示 的 に考慮 して 直接 的 に破 壊(故障)確率 で構造 物 の信 頼性 を評価 す る. 水 準H: で は平 均 と分 散 に関 す る情 報 か ら安 全性 指 標 βを算 出 して 破壊 確 率 に代 え てそ れ で信 頼 性 を評価 す る. 水 準1は 荷 重 係数 設 計 法 と呼 ばれ, 強 度 と荷 重 に係数 を乗 じて大 小 関係 を 確 認す る とい う形式 で安 全性 を照査 す る. 形 式 的 には 確 率 モ デル が 用 い られて いな い よ うに見 え るが, そ れぞ れ の係 数 を決 定 す る背後 に は確 率 モデ ルが あ る とい う意 味で 間接 的 に信 頼性 を評価 して い る0 これ らの い ずれ の水 準 で信 頼 性 を評 価 す る にせ よ, 長 期 的な 時 間視 野 にお いて信 頼 性 を照 査 す る際 に は 変 数 を時 間依 存 の 確率 過 程 と して考 慮 す る こ とが必 要 であ る. 供 用期 間 中に作用 す る外 力(地震外 力)が確 率 的で ある こと, あ る いは材 料 強度 が 腐食 や 疲 労 に よっ て低 下 す る こ とな どを考 慮 して照 査す る こ との 重 要性 に注意 しな けれ ば な らな い0従 っ て設 計段 階 にお いて は これ らの確 率過 程 を正確 にモデ ル と して 取 り込 む ことが 根本 的 に重 要 に な る0ま た, 供用 後 にお いて は, 構造 物 の損 傷 や 劣化 を点検 によ り把 握 して耐 荷 力評価 を行 って信 頼 性 を評価 す る と ともに 点検 時以 降 の劣化 を予測 して お くこと(例えば 土木 学会(1989)24)などを参照)が補修 ・更新 の 実施 を判 断 す る上 で不可 欠 にな る. 物理 的 な破 壊 基 準 を ある 一定 の性 能 や 機能 が 保持 で き な い とす る よ り もさ らに一 般 的 な基 準 に広 げ, そ して, 上 に述 べ た よ うな既 に土木 分 野 の信 頼 性解 析 で用 い られて いる確 率 分布 を援用 す れ ば, イ ン フ ラにつ い て も式(5)に示 した 定義 を用 いて寿 命 を定 義 す る こ とが 可能 で あ る, しか し, 実 際 に はイ ンフ ラ の 供用 寿命 は設 計 にお い て は先験 的 に与 え られた も の として 設定 され, そ の期 間 にお いて 生 じる 地震 外 力等 を確 率 的 に扱 う こ とで 供用 期 間 中 に保 持 され る

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信頼性 を評価 す る ことが 行な われ てい る. (4)× の視 点か ら見た課 題 信頼 性 工学, 工業 経 済 学 の アプ ロー チ は いず れ も 一般 的 な工 業製 品 の信 頼 性 を対 象 として い る. 前者 では, 1つ の製 品 を シス テ ム と して把 握 し, そ の信 頼 性 を アベ イ ラ ビ リテ ィ とい う視点 か ら評 価 す る0 後 者 にお い て も, 工作 機械 のよ うな1つ の設 備が 対 象 とな ってお り, 伝 統 的 なキ ャ ッシ ュフ ロー 分析 に よる現 在価値, 特 に費 用 を用 いて が維 持/更新 戦略 を 検 討 して いる. 信 頼性 工学, 工 業経済 学 の手法 をIM に用 いる 場合, イ ン フラ の特 性 に付 随 して い くつ か の 克服 す べ き課題 が 存在 す る. 以 下 で は, シ ステ ム 全体 の信頼 性, 寿命 とい う視 点か ら, IMに お いて重 要 となる課題 につ いて考 察す る. 土 木構 造 物 は大 規模 シス テ ムで あ り, 工 業製 品や 工場 設備 よ り も複 雑 な構造 を有 す る場 合 が 少な くな い. (3)で述 べた よ う に, 土木 構造 物 の構成 部材 の信 頼性 につ いて は, 試験 体 レベル で 多数 の 知見 が あ り, 設計 段 階で も信 頼 性 につ いて照 査 が行 わ れ る0し か し, 土木 構 造物 全 体 につ い て の信頼 性, さ らにはイ ン フ ラ ・ネ ッ トワー×ク全 体 の信 頼性 を解析 す る こと は容 易で は な い. 供用 期 間 中の 構造 物 の点 検 結果 に 基 づ いて, 土 木 構造 物 全体 の信 頼性 を リアル タイ ム で 評価 す る シス テ ムが 十 分 に定 着 して い る とは言 え な い. IMの 立場 か らは, 設 計段 階だ けでな く, 供用 期 間 中の点 検 結果 か ら土木 構 造物 の信頼 性 を評価 す るシステ ムの開発 が必 要 とな る. イ ンフ ラ ・ネ ッ トワー クの信 頼 性 に 関 して は, 伝 統 的な 信頼 性 工学 の ア プ ロー チ に基 づ いて道 路 網や 鉄道網 の信頼 性 を分析 した事例 は多 数26)×28)存在す る. しか し, ネ ッ トワー クの各 リン ク/ノー ドを構成 す る土木 構 造物 の劣化 状 態 を考 慮 して, 例 え ば災害 に対 す るイ ンフ ラ ・ネ ッ トワー クの信 頼性 を評価 し た研 究事 例 は筆 者 らの知 る限 り見 当た らな い. 当然 の こ とな が ら, 土木 構 造物 の信 頼性 評価 自体 が容 易 では な く, そ れ よ りも上位 の ネ ッ トワー ク レベル の 信 頼性 を十分 な精 度 で 評価 す る ことは さ らに困難 で ある. しか し, IMの 立場 か らは, 不 特 定多数 の人 間 が用 いるイ ンフ ラ ・ネ ッ トワー ク全体 の信頼 性 を確 保す る ことが 最終 的な課 題で あ る. 工 業 経 済 学の文献13)一14)では工業製 品 の寿 命 (Product Life)と して4つ の概 念 を提 示 して いる. 1)物理 的寿命(Actual Physical Life): 新規 に製 造 された 製 品が実 際に使用 で きる期 間. 2)償却 寿命(Depreciation Life): 製 品の価 値 が減 耗 して 消滅 す る会 計上 の期 間. 3)供用 寿命(Servie): 製 品 の生 み 出すサ ー ビス が ある一定 水準 以上 を保 持 でき る期 間. 4)経済寿 命(Economic Life): 製 品か ら得 られ る経 済 的 利 益が最 大 になる使 用期 間であ る0 4)の経 済 寿 命 は, 製 品 の調達 と再 販 売 の両 方 を最 適 な タイ ミ ングで行 う ことが 前提 で あ り, 厳 密 には 最 適 ス ケ ジュー リン グを求 め る最 適化 問 題 の解 に よ って定義 される29). インフラの寿命に関 して は, こ れ ま で主 と して 土木 構造 物 の物 理 的寿 命 につ いて議 論 され て き た. 構 造 物 が所 与 のサ ー ビス が提 供 で き な くな る状態 によ り物理 的 寿命 を判 断 して いる とす れ ば, 供用 寿 命 と物 理 的寿命 が 同一 視 され て い る と も考 え られ る. この よ うな理 解 は, イ ンフ ラが一 般 の工 業製 品 と異 な り, 市 場で 転売/再販 され る ことが な く, 1回 の 供用 寿 命 しか経 る ことが な い とい う理 由 によ る. イ ンフ ラは政 府部 門(地 方公 共 団体 も含 む)の 所 有 にな って い る ものが多 い. 公 的 会計 にお いて は一 般 に企 業 会 計 に見 られ る償 却概 念 がイ ンフ ラ には適 用 され ず, 耐 久 工業 製 品で い う償却 寿 命 の 概 念 は な い. しか し, 公 営企 業 ある い は民 間企 業 が イ ンフ ラ を所 有 す る場 合 は, 会 計 上 の償 却概 念 が適 用 され る こ とにな り, イ ン フラ の償却 寿 命 を定 義 で きる. た だ し, 転 売/再販 が不可 能 なイ ン フ ラで あれ ば, 償 却 寿命 も1回 だ け発 生す る こと にな る. 以上 の理 由よ り, イ ンフ ラ事 業 の 開始 か ら終 了 まで の期 間 を プ ロジ ェ ク トライ フ と呼び, 1回 だ けの 供用 寿 命 を考 慮す る とい う方法 が取 られ て きた0し か し, 最 近で はイ ン フラ の長寿 命化 とい う新 しい課題 が 生 まれて き た. イ ン フ ラの長寿 命化 を達 成 した場 合, 通常 の方 法 で は供 用 寿命 が終 了 した の ちで も長 寿 命 化 され たイ ンフ ラがサ ー ビス を供 用す る こと にな る. 長寿 命化 の 経済 効 果 を検 討す る場 合, 供 用寿 命 の 異 な るイ ン フラ の経 済効 果 を比 較す る必 要 が 生 じる. この場 合, イ ン フ ラが 早 く寿命 を終 えた こと によ り 逸 失 した 純便 益 を長 寿 命化 の経 済効 果 に組 み 入 れ る こ とが 必 要 とな る. したが っ て, 供用 寿命 を1回 だ け と考 え る ので はな く, 長期 的 な視 野 の 中 にお け る イ ンフ ラの供 用 シナ リオ を考 慮 す る こ とが 必 要 とな る0ま た, イ ンフ ラに は機能 そ の もの の陳 腐化 とい う社 会 的寿 命 も存 在す る. 社 会 的寿 命 を考 え る場 合 に は, イ ン フラの 転用 や 更新 の 問題 も考 慮 した ア プ ローチが 必要 とな る. 3. 最 適 維 持/更 新 問題 と して 見 た × (1)最 適維 持/更 新 問題 対象 とす るイ ンフ ラの特 性 やそ の管 理 ・運 用 方法 に応 じて維 持/更 新 問題 の構 造 は多様 に異 なる0ま ず,

(5)

維持/修 繕 を管 理す る意 思決定 レベ ル によ り, 1)単 一 のイ ン フラの維持/更 新, 2)シ ステ ム と して のイ ンフ ラの維持/更 新, 3)複 数 のイ ンフ ラで構 成 され る ネ ッ トワー ク レベルで の維持/更 新, とい う3つ の レベ ルが 考え られ る. 既往 の イ ンフ ラの維持/更 新 モ デル の多 くは, 単 一 のイ ンフ ラの更 新 を対 象 とした もので あ る. しか し, 橋 梁 のよ うな 複雑 な イ ン フラ はそ れ ぞれ の部 材 だ けで な く, 橋 梁 全体 と しての維 持/更 新戦 略が必 要 とな る0さ らに, 道路網, 上0下 水 道等, ネ ッ トワー ク施設 の維 持/更 新戦 略 も必要 と なる. 維持/更 新 モデ ル に関す る研 究 の蓄 積 は浅 く, 2)3)を と りあ げた研 究 事例 は極 めて 少 な いのが 実 情 であ る. これ ら複 雑な維 持/更 新 戦略 を考 えるた めに は, そ の基礎 とな る単一 イ ン フラの維 持/更 新モ デ ル に 関す る研究 の蓄積 が 必要 とな る. 本稿 の 以下 で は, 単 一イ ンフ ラの維 持/更 新 モデル に焦 点 を絞 る こと とす る. 単 一 システム の維持/更 新 問題 に焦 点 を絞 って も, イ ンフ ラの運 用 計画 に よ りア プ ロー チ の方 法 が異 な る0イ ンフ ラが半 永久 的 に供 用 され る場合, イ ンフ ラが 供用 され る限 り便益 が発 生す るた め, 維 持/更新 戦 略 の検 討 にイ ン フラが もた らす 便 益 を考 慮す る必 要 はな い. ライ フサ イ クル費 用 を最 小 にす る よ うな 維 持/更 新 戦略 を検討 すれ ばい い0し か し, 将 来時点 でイ ン フラの転 用 や容 量増 強 が予 定 され て い る場 合, イ ン フ ラの最適 な 供用 年数 を考 慮 に入 れた ア プ ロー チが 必 要 とな る. 一度, イ ンフ ラが もた らす 便 益や 残 存期 間 を考 慮 した よ うな維 持/補 修 戦略 を検討 す る こ とが 必要 とな る. このよ うにイ ンフ ラの維 持/更 新 問題 はイ ンフ ラの運 用 計画 に よ り多様 な 内容 を持 っ て い る0す べて のタイ プの 問題 に適用 可能 な維持/更 新 モ デル を 開発す る ことは不 可 能 で あ り, 問題 のタ イ プ に応 じた維 持/更 新 モデル を 開発せ ざ るを得 ない. 本節 で は, 多様 な 内容 を持つ維 持/更 新 問題 の タイ プ の 中か ら, もっ と も簡 単 な 内容 を持 つ 問題 を と りあ げ る. す なわ ち, 無 限の供 用 期 間 を有 す る単一 イ ン フラの維持/更 新 問題 に焦点 をあて る こと とす る. こ の タイ プ の問題 で は, 期待 ライ フサ イ クル 費用 を最 小 にす る よ うな維 持/更 新戦 略 を分析 す る ことが課題 とな る. (2)劣化過 程 とイ ンパル ス制 御 イ ン フラ の計画 か ら建 設, 運 営, 維 持管 理 を経 て 更新 に至 る まで の プ ロジェ ク トライ フは長 期 にわ た り, そ の 間 に生 じる外 的環 境 の変 化 を事 前 に確 定 す る ことは不 可 能で あ る. イ ン フラ の管 理者(以 下, 管 理 者 と呼 ぶ)は, 将 来 の各 時点 で 生 じるそれ ぞれ の 状 態 毎 に実 行 す る べ き 行 動 を 事 前 に ル ー ル と して 定 め て お く必 要 が あ る. 以 下 で は, 最 適 維 持/更 新 問 題 を 定 式 化 し, イ ン フ ラ の維 持/更 新 ル ー ル を 求 め る 基 本 的 な 考 え 方 を 説 明 し よ う0い ま, イ ン フ ラ の 状 態 変 数x(J)の 定 義 域 をX, 行 動 変 数 π(J)の定 義 域 を Uと 表 そ う. プ ロ ジ ェ ク トラ イ フ に お け る 任 意 の 時 点J∈[0, ∞。)に お け る イ ン フ ラ の 劣 化 状 態x(J)∈Xは 不 確 実 な 外 的 環 境 ω(J)と 管 理 者 の 行 動 配(J)∈Uに 依 存 して 確 率 微 分 方 程 式 2=8P(x(J), π(J), ω(J)) (7) に 従 っ て 推 移 す る. 初 期 劣 化 状 態 をx(0)=双0)と 表 す. 双0)は 確 定 値 で あ る0最 適 維 持/更 新 ル ー ル は 状 態x(J)∈Xと 行 動 配(J)∈Uの 間 に 成 立 つ 写 像 Nr: x(J)∈X→ κ(J)∈U (8) と し て 定 義 で き る0修 繕 や 更 新 投 資 は 時 間 軸 上 の 限 られ た 時 点 に お い て の み 実 施 さ れ る 場 合 が 少 な くな い0す な わ ち, 管 理 者 の 行 動 η(J)∈Uは 連 続 変 数 で は な く, 特 定 の 時 点 に お い て の み 特 定 の 数 値 を と り え る イ ン パ ル ス 制 御 変 数 で 表 さ れ る. い ま, 修 繕 が 時 点 θ鳶(κ=100)で 実 施 さ れ る と し, イ ン パ ル ス 制 御 変 数 η(J)∈Uを π(J)= 1ift=ek(k=i) 0otherwise (9) と定 義 しよ う. イ ンパ ル ス 制 御 が 実 施 され る時 点 θん(κ=10)に お いて, 状 態 は所 与 の 回復水 準X に離 散 的 にジ ャ ンプす る. 劣 化 過 程 がイ ンパ ル ス制 御 され る時 には劣化 過程(7)は

x(t)=h(x(t)w(t))+{X-x(t)}u(t)

(10) と表す こ とがで き る0こ の時, イ ンパ ル ス制 御 の前 後 にお いて, 状 態変数 が

x(8k)=limjh(x(r)w(t))di

(11.

a)

x(Bk)=X(k=1,)

(11.

b)

と変化 す る と考 えよ う. このよ うにIMの プロ トタイ プ をSIC問 題 として表 す ことが で きる. (3)S-C問 題 の基本 形式 い ま, 時点 か ら終 端 時刻 に至 る プ ロジ ェ ク トライ フ期 間 中の期 待 ライ フサ イ クル純 便 益 の現 在価 値 を 最 大 にす る よ うに マネ ジ メ ン トを行 う問題 を考 えよ う. いま, 状態 変 数 のサ ンプル パ ス ω(J)と表そ う. また, 回復 水準Xも 選択 す る こ とが可 能 であ る と考 え よ う. この時, 管 理者 が解 くべ き最 適 化 問題 は プ

(6)

ロジ ェ ク トの期待 純 便 益 を最 大 にす る よ うに イ ンパ ル ス制御 を実 施す る タイ ミ ング θ鳶と回復 水準Xを 求 め る問題

V(x(0))=maxEw[fr(x(t))exp(Pt)dt

o

-{F(x(O)X)+Q}exp(-Pe)

al $sggt.

x(t)=h(x(t)w(t))+{X-x(t)}u(t)

(12.

b)

x(0)=x(0)given (12. c) として定 式化 で きる. た だ し, π(x(J))は時点Jに お いて プ ロジ ェ ク トが 生み 出す 便 益 を表 す. サ ンプル パ ス ω(J)ごと に最 適 行 動 ガ(J)∈σ が 定 義 さ れ る. 凡 臼 はサ ンプルパ ス ω に関 して期 待値 を とる演算 子 で あ り, ρは社 会 的割 引率 で ある. 汎 関数(12a)の右 辺 第1項 は便 益 の瑛 在価 値 を, 第2項 は修繕 費用 の 瑛在 価 値 を表 す0F(x(θx)+gは 修繕 費用 で あ り, 修繕 が実 施 され るタ イ ミ ング θ-にお いて のみ非 負で 有限 の値 をとる. SIC問 題 で は限 られ た時 点 において のみ 修繕 が 実施 され るた め, 修 繕 費用 には 固定 費用 ρ が含 まれ る. 固定 費用 が 存在 しな けれ ば, SIC問 題 の最適 行動 は連続 関数 で与 え られ, S1C問 題 は通常 の確率制 御問題 にな る0 SIC問 題 は, イ ンパ ルス 制御 のタイ ミ ングを決定 す る問題 と して与 え られ る た め, 通常 の 最適 制 御 問題 の最適 化 条件(ポ ン トリャー ギ ンの最 大値 原 理)を 適 用す る ことが で きな い. この よ うな特 殊 な構 造 を 持 つ確 率最 適 制御 問 題(最 適停 止 問題)に 関 して は, 金 融工 学の分 野 で研 究 が進展 した30>33). この よ うな 金融 工学手法 をは じめ てIM問 題 に適用 した研 究 と し て栗 野等32)が あ げ られ る. SIC問 題 を最 適停 止 問題 の アル ゴ リズ ム を用 いて 解 いて み よ う0い ま, あ る 時刻Jに おいて修 繕 を実施 しな い ことが最適 で ある こ とが判 明 して いる と しよ う0時 刻 」にお ける最適値 関 数を

V(x(t))=Ew[ft+dt(xQ)exp{-p(u-t)}du

(13)

+exp(-pdt)V(x(t+dt))]

と表 す こ と が で き る. 栗 野 等 は 式(12b)が ト レ ン ドを 持 つ 幾 何 ブ ラ ウ ン運 動36) x(t)=-ax(t)dt-/3x(t)dW(t) (14) に 従 う場 合, 式(13)をJの 近 傍 でTaylo1展 開 す る こ と よ り, 微 分 方 程 式 (15) が得 られ る こ とを示 した 図). ただ し, α, βは劣化 過 程 を規定 す るパ ラメー タ, W(J)は 正 規分 布N(0, J)に 従 うウイナ ー過 程で あ る0劣 化過 程 が初 期値7(0)か ら始 ま り, 修繕 しな い こ とが 最 適で あ る限 り, 施 設 の 資産 価値 を表 す 最適 値 関 数 π(J)は微 分方 程 式(15) に従 って変 化(減 少)す る・ 劣化 過 程 が異 なれ ば異 な った微 分 方程 式 が誘 導 され る ことは言 うまで もな い. い ま, 劣化 の進展 によ り状 態変 数x(J)の 値 が 小 さ くな る と仮 定 しよ う. 修 繕 を実 施 しな い ことが 最 適 で ある 限 り(状 態変 数x(J)が あ る臨界 的 なx3に 到 達 す るまで)微 分方 程式(15)が成 立す る. また, 修 繕 後 の最 適 な劣化 水 準 をXと 表そ う. さ らに, 修繕 費 用 関 数 がF(x(θ9, x)=f(x-x(θ τ))と与 え られ, 2 次 の最 適化 条 件 を満 足す る としよ う・ 最適 臨 界水 準 ガ において V(x)=max-f(X-x)-Q+V(X) (16) が成 立す る. こ こに, π(X)は 修繕 後 の劣 化 水準. X か ら最適 に修繕 を実施 した場 合 に得 られ る最適 値 関 数で ある. 式(16)を最大 にす るよ うな最適 な 回復 水準 Xを2ピ と表 そ う. 式(15)は臨界x零で修繕 を実施 す る のが最 適 で あれ ば, 修 繕 前のx3に お いて定 義 され る 最 適値 関数 と, 修繕 後 の劣化 水準2ピ で定義 され る最 適 値 関 数 と修 繕 費 用 の 和 が等 し くな る と い うvalue matchhg条 件 を 表 して い る ・ こ こで, 最 適 値 関 数 π(x)と 修 繕 関 数f(x-x)が2回 連 続 微 分 可能 で あ ると しよ う0こ の 時, SIC問 題 は微 分方 程式(15)を境 界条件 V(x)=-f(X-x)-Q+V(x*) (17. a) (17. b) (17. c) の下 で 解 く 問 題 に 帰 着 され る ・ 式(17a)は 前 述 のvalue matching条 件, 式(17b)は 回 復 状: 態 λ=3に関 す る最 適 条 件, 式(17c)は 臨 界 水 準x*に お い て 最 適 値 関 数 が 連 続 微 分 可 能 で あ る た め のsmooth pasting条 件35)で あ る9 この よ う にSIC問 題 は 微 分 方 程 式 を 解 く問 題 に帰 着 す る. しか し, 瑛 実 のIM問 題 で は最 適 値 関 数 が 臨 界 水 準x事 で 微 分 可 能 で な くsmooth pasting条 件 が 成 立 し な い 場 合 が 少 な くな い. こ の 場 合, 境 界 条 件 が1本

(7)

足 りな くな り微 分方 程 式法 を用 いて最 適 ルー ル を求 め る ことが で きな い0た とえ ば, 田村 等 は修 繕 関数 が 修繕 前後 の状 態 に関 わ らず一 定 とな る場合 には臨 界 水 準 にお いて 最適 値 関数 の微 分 可能 性 が成 立せ ず, 微 分 方程 式 法 を利用 で きな い こ とを示 した0そ の上 で, モ ンテ カル ロシ ミュ レー シ ョ ンによ り最 適修 繕 ル ール を求 めて い る方法 を提案 して いる36). さ らに, 本特 集 の慈 道等3力は劣 化水 準が 点検 を通 じての み観 測 可能 なSIC問 題 を対象 として, 積 分方 程式 によ り 最 適ル ー ル を求 め る方法 を提 案 して いる0こ の よ う にIM問 題 の特 性 に対 応 して, SIC問 題 を解 く方法 が 異な る. SIC問 題 の解 法 に関 して は研究 が蓄積 され て お らず, 今 後の研 究 に期 待す る ところが大 きい0 (4)維持/更 新 問題 への適用方 針 1Mは プロジ ェク トに関わ る多 くの要 因の マネ ジメ ン トを含 む広 汎な概 念で ある0し か し, 本稿 で はIM をイ ンフ ラの維持/更新 に関す る意 思決 定 問題 に限定 して いる. 具 体的1M問 題 に対 して は, 個 々 のイ ンフ ラの特 性 に応 じた 最適 維 持/更 新 モ デル を 定式 化す る必 要 があ り, SICモ デル(12a)一(12c)は, 多 くのIM 問題 に共通 す る特 性 を表現 した もので ある. しか し, IM問 題 の特性 に応 じて, 各 種 の拡 張 や再定 式化 を試 みる必要 があ る ことは言 うまで もない. 具体 的なIM 問題 では, SICモ デ ル(12a)9(12c)の状 態変 数, 行 動, 純 便益 は表-1に 示 す よ うな 指 標 を用 いて表 現 され る ことになる. イ ン フラ の種類 によ っ て は, 劣化 水 準 が離 散的 状 態 変数 を用 いて 定義 され る場 合 も少な くな い. 本 特 集 にお ける貝戸等39), Madanat and Guimaumt40)は, 劣 化 状態 を数段 階 のカ テ ゴ リー に分類 した離 散 的状 態 変 数 を用 いて い る0イ ンフ ラの 物理 的 特性 の ほ とん どは連 続 量 と して表 現 され るが, 実 際 の検 査 で は数 値 的な 検査 結 果が 報 告 され る だ けで な く, それ らに 加 えて, 専 門 家 の 目視 に よる 総合 的 な 判断 が行 わ れ るた め, 状 態 を離 散 的 な レベ ル に分 類 して 記述 す る 場 合が 少なくない41. 42). 劣化水準が離 散 的状 態変 数 で 表現 され る場合, 離散 的 な 状態 の間 での 推移 過程 を 吸収 マル コフ行 列 で表 現 した マル コ フ決 定モ デル が 有 用 で あ る. 本 特 集 に お い て は, Madanat and Guillaumot40)がマルコフ決定モ デル を提案 して いる. 1Mを 資産 管理(asset management)の アプ ローチ で考 え る と, イ ンフ ラの 資産 価値 を会 計 シ ステ ム によ っ て常 にモニ タ リン グす る こ とが 必 要 で ある. 米 国 あ る いは我 が 国で 一 部試 み られ て いる資 産 管理 の ア プ ロー チ43)44)は, インフラの資 産 価 値 を貸 借 対 照 表 (Balan Sheet: BS)に よ り表現 し, そ の 中で減 価償 却 に よ り資 産価 値 の 減価 を表現 す る, あ るい は将来 発 生す る維 持/更新 費用 を現 在価 値 で反 映 させ る方法 を 採 用 してい る. BSで 資産 管理 を行 う とすれ ば, 負債 な どの プ ロジ ェク トの財務 状 態 を表 す 変数 も状態 変 数x(J)に 含 め る こ とが必 要 に な り, ま た, 将来 の維 持/更新 を どのよ うな財 源 に よっ て フ ァイ ナ ン シング して い くか と い う視 点 か ら, 行 動 配(J)には借 入 額や 増 資額, あ るい は返 済, 配 当額 な ど も変 数 に含 め る 必要 があ ろ う. 4. 離 散 型 確 率 制 御 を 用 い た1Mの 例 (1)離散型 確率制 御モ デル 既 往 の維 持/更 新 モデ ル は, 例 え ば橋 梁 の 維 持修 繕 プ ログ ラ ムパ ッケ ー ジ で あ るPONTISで も採 用 さ れ て い る マ ル コ フ 決 定 毛 デ ル の よ う に離 散 型 確 率 制 御 モデ ル を用 い る場 合 が 多 い0イ ン フ ラの 種類 によ って は, 構造 物 の 劣化 水 準(機i能 水 準)を 連続 的 状態 変 数x(J)∈Xで 表現 す る こ とが 困難 で あ り, 離散 的 な カテ ゴ リー 変数 で 表現 せ ざる を得 な い場合 表-1 1Mに お け る問題 の構成 要 素

(8)

が 少 な くな い. この よ うな離 散 的な 状態 変 数 を用 い た 場合, マル コ フ決 定 過程 の よ うな 離散 的 確 率制 御 モ デル によ るア プ ロー チ の方 法 が有 効 で ある9離 散 型 維持/修 繕 モデ ル は これ ま で の維持/更 新 戦 略 に関 す る文 献 に よ り幅広 く用 い られ て きた経 緯 もあ り, 読 者 の理解 を助 け る ため に上 田 らによ る離 散 型確 率 動 的 計 画(Stochastic Dynamic Plogrammhg: 以下, SDP と略す)モデ ル を具 体的 に紹介 しよ う45). (2)問題設定 い ま, あ る土 木構 造 物(た とえ ば道 路橋)の 構 造 部 材 を取 替 えな が ら, あ る一 定 の プ ロジ ェ ク トライ フ にお ける社 会 的純 便 益 を最 大化 す る 問題 を と りあ げよ う. 時 間軸 を 離散 化 し, プ ロ ジ ェク トライ フを 40期 に分割 しよ う0第1期 の時点 をJ=1と し, 構 造 部 材の物 理的状 態 を4つ の離散 的状態 変数 f(J)=f∈{1, 2, 3, 4}J∈{10, 40} (18) で表そ う. 状態 変数値fが 大 き くな るほ ど, 劣化 が進 行 して いる と考 え る. 劣化 の進行 過 程 を状 態 変数 間 の推移 確 率 として 表現 す る0終 末残 存価 値 は状態 に よ らずゼ ロとす る0状 態変 数がfの 時 に管理 者が とり え る行 動 πf(J)は, 部材 を取替 るか, 取 替 え を見送 る か, の いずれ かで あ り, そ れぞ れ ηf(J)= 0取 替え を見 送 った場 合 1取 替 えた場合 (19) と 表 す. 純 便 益 πf(J)を状 態f∈{1, 2, 3, 4}ご と に n(t)={b(R-lu(t)h(t)-c}-Cu(t -(20) =(bRh(t)-c)-(blh(t)+C)u(t) と定義 す る. こ こに, 5は 交 通 量1単 位 当た りの年 間利用 者便 益, 瓦 は状 態fに お いて 構 造物 が 使用 可 能 な確率 で あ り信 頼性 を表 す. 1一瓦 が災 害等 によっ て 使用 不 能 にな る確 率 で あ り, 劣 化 が進 行 す る ほ ど 信 頼性 は小 さ くな る. 1fは取 替 工事 によ って使 用不 能 に なる 日数 の 年 間 日数 に対す る割 合 で ある. この 係 数 は取替 を実施 す る場 合 には有 効 に な るが, 見送 る場 合 は純便 益 には影響 しな い. h(J)は年 当 た り交 通量 で あ り, 一定 率 で変 化 す る とす る. ∂は取替 と は 関係 な く発 生 す る年 間運 営費 用 で ある. qは 状態 fに お いて取替 を実施 す る場合 の取替 工事 費用 であ る. IMは 時点 と状態fに 応 じて 取替 え を実施 す るべ きか, 見 送 る べ き か を対 応 させ た ル ー ル η、(J)∈{0, 1}を 導 出 す る問題 と して 表 され る. どの 劣化 状 態 に あって も, 取 替 を実施 した場 合 は, そ の次 の期 には レベル1の 状態 に確率1で 移 る もの とす る9 一・定 量 の交 通量 万が通 過 した 場合 に, 物 理 的状 態 が推移 す る確率 を表 したマル コ フ行列 を P= P 2 0 0 0 2 P3 0 0 0 P33 P34 0001 (21) と定義 す る0あ る期 にお いて, 年 間 交通 量 がh(J)で ある と予 想 され て い る場合 に は, そ の期 にお け る状 態推 移 は行 列Pをh(J)/万回乗 した行 列 h(r) P(t)=Ph (22) で表 され る0ど の劣 化 状態 に あ って も, 取 替 を実 施 した場 合 は, そ の次 の期 には レベ ル1の 状 態 に確 率 1で 移 る もの とす る. そ のた め, 取替 を実 施 した場 合 は, 行列 P00 = 1 0 0 10 0 1 10 0 (23) で状態 が 推移 す る. 取 替 の実施 と見 送 りに応 じて 状 態 推移 確 率が ス イ ッチ す るよ う に, これ らの行 列 の (f1)要 素 とηf(J)を用 いて

Q=(1-u(t))P7(t)+u(t)P

(24)

forallijE{1

4}

と表す0こ の時, 最適 取替 えルール はSDPモ デル max Ea(t)(flt-1n(t)) {uI(t)}E{1 4}, tE{l40} tE{1 40}

(25) の 解 と し て 表 せ る. E}(J)日は 状 態 変 数f(J)の 推 移 に 関 す る す べ て の サ ン プ ル パ ス に 対 す る 期 待 値 を 表 す. こ の 問 題 のBenman方 程 式46)は

Y(t) maa{o1}{bRh(t)-c)-(blh(t)+G)u(t) (

26)

+f3Qj(u(t))Vj(t+1)}foralliE{14}

j=1 と表 せ る0こ の 問 題 は μ(J)C∈{1 4}, J∈{L 40})に つ い て 線 形 で あ り, 偏 微 分 係 数 4 (blh(t)+C)+(-P (t)+P)V(t+1) (27)

(9)

の符 号 に 応 じて 配、(J)が決 定 さ れ る. foralliE{1 4}tE{l 40} (2g) (3)数値 計算 事例 簡 単 な数 値 計算 事例 を考 え最適 取 替 えル ール を求 め て み よ う. い ま, SDPモ デ ル(26)のパ ラメー タ を 表 一2の よ うに設 定 しよ う0最 適 取替 えル ール は パ ラ メー タ値 に敏 感 に依 存 して お り, パ ラ メー タ値 を 変 化 させ る こ とによ り多様 な 取 り替 えル ー ルが 導 出 で き る0図 一1は, 将 来交 通 量 の伸 び率 をゼ ロ と し て, どの期 にお いて も交通 量 は一 定 で ある とした ベ ンチ マ ー クケ ース の計 算事 例 を示 して いる. 交 通量 が 一 定 で ある ため, 劣 化 の推移 確 率 は どの期 にお い て も同 じマ ル コ フ行 列 に従 う0こ の場 合 に は, どの 期 にお いて も, 状 態が 劣化 レベ ル2以 上 にな れ ば直 ち に取替 る とい うルー ルが 得 られ る. す なわ ち, 取 り替 えル ール は時間不 変なル ール にな る. つ ぎ に, 交通量 は初期 時点 よ り3%の 割合 で増加 す るが, ある 時点 で交 通量 の 増加 が と ま り, そ れ以 降 一 定 に推 移 す るケー ス を考 えよ う. さ らに, 取替 工 事費 を上 のベ ンチマー クケー スよ りもそれぞ れ の状 態 にお いて お お よそ7倍 ほ ど大 き く設定 して いる. 本 ケー ス の場合, 交 通量 が 比較 的 少 な い早 い時期 に お いて は, レベル4に な れ ば取 替 る と い うル ール が 得 られ る0し か し, 交 通 量 が増 加 した段 階 にお いて は, 初期 段 階 よ り も劣 化 が進 行 す る確 率 が大 き くな る. した が って, レベ ル2以 上 に到 達 すれ ば直 ちに 部 材 を取 替 る こ とが必 要 にな る. レベ ル4が 「放 置 で きな い破損 レベル 」 を表 して い る と考 えよ う. 以 上 の計 算 結果 によれ ば, 初 期 段 階で は破 損 を認 知 し た 場合 に補修 を行 うとい うConective Mahtenanル ー ルが 得 られ る. しか し, 将来 時 点 で は, 破 損 に至 る前 に レベ ル2の 段 階 で 予 防 的 に補 修 す る と い う Preventive Mahtenanル ール を採用 す るこ とが望 ま し くなる9将 来 時点 で は, 構造 部 材 の劣 化 状態 が た と え レベル2で あ る ことが確 認 され て も, 利 用 交通 量 が多 い ため, っ ぎの期 には劣 化 が著 し く進 行 す る可 能 性 が大 き い. したが って, 部 材 の損 傷が もた らす 損 失額 が 十 分大 き けれ ば, 予 防 的 に補修 を行 うこ と 表-2 計算 例で の変数 設定 (a)劣化状態別数値 (b)そ の他 数 値 (c)劣化 プ ロセ ス 図-1計 算事 例(定 常 ルー ル) 交通 量伸 び 率=0 図 一2 計 算事 例(時 間依 存ル ール) 交通 量 伸率 二3%取 替 え工事 費増 図 一3 最 適 値関 数 -◆-V1(t)----×V2(t) V3(t) V4(t)

(10)

が 効 率的 とな る. このよ うに本 章 で示 した単 純 なモ デ ル にお いて さ え, 将 来 の外 的環 境 に応 じて 取替 ル ー ル を適 応 させ るよ うな 時 間依存 的取 替ル ー ル を得 る こ とがで き る. 図 一2の ケ ー ス につ いてBeman 方 程式 で定 義 され る最適 値 関数 の値 を示 した のが 図 一3で ある 0最 適関数値は, その期以降の各期に道 路 橋 が もた らす 社 会的 純便 益 をス トック化 した もの で あ り, そ の期 にお ける 道路 橋 の社 会 的資 産価 値 を 表 して いる と解 釈 で きる. ある期 にお いて, 劣化 が 進 ん で いれ ば資 産価 値 は低 く, 補 修 を行 って レベ ル 1の 状 態 に戻 れ ば 資産 価値 が 高 くな る ことが 見て 取 れ る0補 修 を行 っ て劣 化 を回 避す る こ とが 資 産価 値 の ター ム で見 て 社会 的 に望 ま しい こ とが示 されて い る. 以 上 の数値 計 算事 例 で も明 らか な よ うに, SDPモ デ ル は適用 範 囲 も広 く, モデ ル の構 造 が直 観 的 に理 解 しや す い と い う特 徴 を持 って い る0一 方 で, 状 態 変数 や 政策 変 数 の数 が 多 くな る と推移 行 列 の次 元 が 極端 に大 き くな り, 解 法 に工 夫す る 必要 が 生 じる. ま た, 修 繕/更新 戦 略 の経済 学 的な解 釈 が 困難 とな る 場合 もあ る0計 算 負 荷 の軽 減や 経 済学 的 な解 釈 が 可 能 な分析 を実 施す るた め には, 前 章 で紹 介 したよ う なSICモ デルや 本特集 で と りあげた竹 林論 文 仰, 慈 道 ・小林 論文3力 のよ う に新 しい タイ プのモ デル の 開 発 に果敢 に取 り組 む ことが重 要で ある. 59× の 高 度 化 の た め の 研 究 課 題 (1)プロジェク ト会計 シス テム 従 来 よ り, プ ロジ ェ ク ト評価 にお いて事 業 採算 性 の観点 か ら事 前 評価 の一部 と して財 務 分析 が行 わ れ, そ の ため に財 務 諸表 も作成 され て きた. 伝 統 的 な財 務 分析 は, 割 引現在 価 値や 内 部収 益 率 を評 価 指標 と したDiscounted Cash Flow法 が 中心 で ある. そのた め, 損益 計算書(prot and Loss Statement: PL)の 作 成 を中心

と してお り, 貸借対 照 表(BalanSheet: BS)を 中心 と した ス トック ベー ス で プ ロジ ェ ク トの財 務評 価 を 実施 す る こ とは一 般 的で はなか った. 既 に述 べ た よ うに, イ ン フラ ・ス トッ クの経 済価 値 はプ ロ ジェ ク トライ フ を通 じて イ ンフ ラの状 態 変数 を最適 に制御 す る ことを前提 として評価 され る. 特 に, S1C問 題 で はイ ン フラの維 持/更新が 最適 ル ール に従 って実施 さ れ る場 合, イ ン フラ の資産 価 値 が最 適値 関数 と して 導 出 され る. この よ うにイ ン フラ の資産 価 値 が求 ま れ ば, それ を用 いて各期 のBSを 作 成す る こ とが可能 で ある4刀. このよ うな考 え方 で作成 され たBSは, 将 来 にわ た って1Mを 遂行 して い く上 でマ ネ ジメ ン トが 適 切 に行 わ れて い るか どうか を経 済 ・財 務的 な 観点 か ら検 討 す るた め の参 照点 と して の役 割 を果 たす0 本 研究 で は プ ロジ ェ ク トライ フ を通 じて イ ン フラ の 資 産価値 を計測 し, それ に基 づ いて望 ま しいIM戦 略 を検 討す る シス テ ム をプ ロ ジェ ク ト会 計 シス テ ム と 呼 ぶ0 イ ンフ ラが公 共 目的 の も とに整備/運営 され る もの で あ る限 り, プ ロジ ェク ト会 計 システ ム は民 間主 体 によ る収益 事 業 の よ うな私 的経 済価 値 の 範囲 を カバ ー す るだ けで な く, 社 会的 な経 済価 値 まで もカバ ー した もの でな くて はな らな い0キ ャ ッ シュ フ ロー と して実現 しな いよ うな社 会 的便益/費用 を推定 す る方 法 は多 数 開発 されて お り, 既 に費用 便 益分 析 のた め に適用 され て い る. 従 って, 直 ち に出 て くる 非常 に 自然な 発想 と して, そ れ らの方 法 で推 定 され た社 会 的便 益/費用 を従 来 の会 計 にお ける実 際の キ ャ ッシュ フロー に含 め て考 える こ とで対 応 でき る0こ の発 想 は, 宮 本他 娼)にも見 られ る. 従 来 の費 用便 益 分析 で は, プ ロジェ ク トライ フを 設定 し, それ に対 応 して 発生 す る社会 的便 益/費用 の フロー に基 づ いて 投 資判 定 を行 って きた0そ の場 合, イ ン フラ整 備 の プ ロジ ェ ク トライ フ と して 一般 的 に は物 理的 寿命 に従 って設 定 され てき た. しか し, IM のた め の プ ロジ ェク ト会 計 を設 計す る上 で 問題 とな る のは, 終 了時 点 の設 定 で ある. 実 際 には 当初 想定 した 耐用 年 数 を経 な いで機 能 向上 の ため に更 新 が行 われ る場 合 が多 数 あ る. また, 耐 用 年数 が過 ぎ た場 合 にも維持/更新 あ るい は更新 によ りサ ー ビスの提 供 が継続 され るの が-一般 的 であ る0し たが って, 耐 用 年 数 を根拠 と して プ ロジ ェ ク トライ フ を設 定 す るよ りも, イ ンフ ラ全体 を修 復 系 と考 え プ ロジ ェク トラ イ フを無 限期 間 で把 握 した 方が 理 論的 に は望 ま しい. た だ し, 十 分長 い将 来 の プロ ジェ ク ト便益/費用 の割 引現 在価 値 は無視 し うるた め, 実用 的 に は十分 に長 いプ ロジ ェ ク トライ フを設定 し終末 残存 価値 をゼ ロ とお くことで 対処 可能 であ ろう. プロ ジェ ク ト遂 行 中 には事 前 に予 想で き な い事象 が発 生す る. 実 際 に実行 され た行 動 の結 果 と して実 現 した資 産 や負 債 額 に基 づ いて, 各期 ご とに実績 ベ ースのBSを 作成 す る ことが で きる. あ る期 にお いて, そ れ以降 の スケ ジ ュール をSICの フ レームで 見直 す 場合 に は, 実績 ベー スのBSが 状態変 数の初期 値 を与 える こ とにな り, そ れ を通 じて, 既 に実行 され た 過 去 の行 動 はそ れ以 降 のIMに 反 映 され てい く. あ る期 にお いて, 事 前 に作成 したBSと 実績 ベー一ス のBSが 著 しく異 な る場 合 が 生 じる. 厳 密 に言 えば, 事 前 の BSは 不 確実性 を含 む外 的な環 境 を反 映 してお り, BS の 中に含 まれ る各 状態 変 数 は確 率変 数で あ る0従 っ

(11)

て, どの実績 ベース のBSも 事 前 のBSの 集合 に含 ま れ て お り, そ の中 か らあ る確 率 で実 現 し得 る こ とに な る. ある実績 ベー スのBSが 事 前 のBSか ら生 じる 確 率 が非 常 に小 さ い もので ある 場合, あ る い は実現 しない もので ある場合 には, 事 前のBSス ケ ジュール の作 成方 法 に問題が あ った可能性 が あ り, BSス ケジ ュー ル を修 正す る必要49)がある. こ の よ うな プロジ ェ ク ト会 計 シス テム に関 して は ほ とん ど研 究 の蓄 積 がな く, IMを 効 果的 に実施す るた めの プ ロジ ェク ト 会 計 シス テム に 関す る研究 が 重要 課題 とな っ て いる0 (2)× を取 り巻 く制度 とその設 計 1Mの 意思 決定者 は責任 主体 と して は単 独 であ って も, そ れ を取 り巻 く制 度 を介 して 複 数 の主体 が関 与 す る. もし, 複 数 の主 体が それ ぞ れ 分権 的 に意 思 決 定 を行 う余 地 が ある場 合 には, ある 主体 が解 くべ き IM問 題 に含 まれ るパ ラメータ は, 他 の主体 のそれ ら と相互 依 存 関係 を持 つ ことにな る. 3. で定 式 化 し たSICモ デル は, マネー ジ ャが集権 的 な立 場で, あ るいは外 的環境(自然)を相 手 として1人 ゲー ム をプ レ イ して い く中で, 自己 に課 した ル ール で あ る. それ に対 して, 広義 のIM問 題 で は, 個 々の主体 が遵 守す べ きル ー ル はよ り複 雑 とな る, 互 い に相手 の行動 を 拘束 しあ うもの として機 能す る. この よ うな ルー ル は, 事 前 に契 約 あ るい は法律 の形 で 正 式 に記 述 され な けれ ばな らな い0 イ ンフ ラの最終 的 な所有 者/責任 主体 は公 共 で あっ て も, 建 設 か ら運 営 ・維持/管理 の 各段 階 は契 約 に基 づ いて 民 間主体 に委託 され る場 合 が 多数 あ る. 経済 学 で は, この よ う な 関 係 を 依 頼 人 一代 理 人 関 係 (p1cipa1-agent)50)としてモデル化して, 契 約 の設 計 問 題 を分析 した例 が 多数 蓄積 され て い る0近 年で は, 将 来 生起 す る状 態 に応 じて, 契 約者 双 方 が取 るべ き 行 動 を全 て列 挙 して契 約 に書 き込 み きれ な い とい う 意 味 で, 契約 が 完備 で はな い場 合 を分 析す る不完 備 契約 理 論51>53)が発 展 しつつ あ る. この よ うな不 完備 契約 に関 して は, 既 に小林・大本54)50)等が建設工事 に お け る請 負 契 約 の設 計モデ ルや 紛 争解 決 モ デル を 提案 し, 外 部 的 オ プシ ョ ン(仲 裁 や 裁判)の 利 用 可 能性, 第3者 の介 入, 所有 権, 再 交 渉 のル ール な ど の制 度 的 メカ ニズ ム がゲ ーム の均 衡解 に及 ぼす 影響 を分析 して いる0 不完 備 契約 にお いて は, 契約 遂行 上生 じた紛 争 を 解 決 す る上 で, 紛 争 の原 因 とな っ て い る契 約 事項 の 内 容 を 当事者 以 外 の第三 者 が客 観 的 に確 認す る こと が可 能か どうかが 問題 となる. しか し, IMに 付随 す る 多 くの 不確 定 要 因や投 資 内容 は契 約 の 中 に具体 的 な契 約 事項 と して 明記 されて い な い. また, 専 門家 でな い第 三者 が 不確 定 要 因 の実 現値 を客観 的 に観 測 で きな い 場合 も少 な くな い. この 場合, 裁 判所 や 第 三者 が これ らの 実現 値 に基 づ いて紛 争 を仲 裁す る こ とが困 難 とな る. このよ うな 要 因 は観察 可 能 で ある が立 証不 可能(unveriable)であ る と呼 ばれ る51)0契 約 に この よ うな 要 因が 含 まれ て い る場 合, 相 手 が実 施 した投 資結 果 を 戦略 的 に利 用 し, 自己 に有 利な よ う に故 意 に契約 違 反 を行 うホ ール ドア ップ問題52)や, 自己 に とって不 利 益 を もた らす よ うな情 報 を秘 匿 し よ う とす るモ ラル ハ ザード53)が生じる危 険性 が あ る. この場 合, 契約 を遵 守す る こ とが契 約 当事者 に とっ て最 適 とな る よ う に契約 を設 計す る ことに よ り, ホ ール ドア ップ 問題 や モ ラル ハザ ー ドを 回避 す る よ う な制 度 を設 計す る必 要が あ る0今 後, 多様 な 契 約形 態 に基づ く1Mを 実現 す るた め には, 以上 で述べ た制 度 設計が 重要 な研究 課題 とな る. 6. お わ りに 本 稿 で は, 最 適 維 持/更 新 問題 の プ ロ トタイ プ を SICモ デル と して 定式化 す る こと によ り, 狭義 の意 味 にお けるIM問 題 の基本 的 な研 究課 題 につ いて 筆者 ら の見 解 を示 した. 本 特 集 で と りあ げた 各論 文 は, い ずれ も狭義 に意 味 にお け る1M研 究 の フ ロンティ アを 構成す る もので あ り, 今後 のIM研 究 の方向性 を示唆 して いる と考 え る0本 稿で は, これ らの論 文で 明 ら か にな った 知見 を踏 ま えて 今後 に残 され た研 究課 題 つ いて考 察 した もの であ る. も とよ り, IM研 究 は最 適維持/更新 問題だ けで な く, IMに 関わ る広 範 な内容 を取 り扱 う必要 が あ る. この よ うな広 義 の意 味 にお けるIM研 究 に関 しては, ほ とん ど研 究が進 展 してい な いのが 実 状で あ る. 本 稿 で は, このよ うな広 義 の 意 味にお けるIM研 究 の課題 の 中か ら, プロジ ェク ト 会 計, 制 度 的 メカ ニズ ム 設計 を と りあげ, 今後 の研 究課 題 につ いて 考察 した. 本 稿 お よび 本特 集 が今 後 のIM研 究 の発展 に寄 与 しうる点 が あれ ば, 筆 者 らの 望外 の幸せ で ある. 参 考 文 献 1)多 田宏行 編: 語 り継 ぐ舗 装技 術一道 路舗 装 の設 計 ・施工 ・ 保 全-, 鹿 島出版 会, 2000. 2)高 橋 宏直, 横 田弘: 港 湾施 設 の 維持 補 修 費 の推 計モ デル 構 築 お よ び 将 来 動 向 の 推 計, 土 木 学 会 論 文 集, No. 679/VI-51, pp. 135-140, 2001.

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(12)

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PERSPECTIVES AND RESEARCH AGENDAS OF INFRASTRUCTURE MANAGEMENT

Kiyoshi KOBAYASHI and Takayuki UEDA

This paper overviews traditional approaches in engineering economics and reliability engineering to maintenance and replacement and examines their applicability to infrastructure management. Problem of infrastructure management is formalized as a general stochastic impulse control (SIC) model and then a way for solving it is instructed. As a special case of the problem, the discrete stochastic dynamic programming (SDP) is illustrated with its application to replacement of an infrastructure. Finally, the research agendas for the methodological development of infrastructure management, particularly topics in project accounting system, mechanism design are discussed in perspective view.

参照

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