弁
長
・
良
忠
に
お
け
る
﹃
往
生
要
集
﹄
理
解
に
つ
い
て
那
須
一
雄
︻一. 問 題 の 所 在 ︼ 法 然 (1133∼1212 ) は 源 信 (942 ∼1017 ) を 教 系 相 承 の 中 に 入 れ て い な い が 、 法 然 教 学 は ﹃往 生 要 集 ﹄ (以 下 ﹃ 要 集 ﹄ ) と 常 に 関 わ り 合 い を 持 ち な が ら 展 開 し て い っ た 。 浄 土 宗 第 二 祖 の 弁 長 (1162 ∼1238 ) 三 祖 良 忠 (1199 ∼1 287 ) も 同 じ く 、 源 信 を 教 系 相 承 の 中 に 入 れ て い な い 。 だ が 弁 長 の 諸 著 作 に は 、 源 信 や ﹃ 要 集 ﹄ に つ い て 触 れ て い る 箇 所 が あ る 。 ま た 良 忠 に は ﹃ 往 生 要 集 義 記 ﹄ ( 以 下 ﹃義 記 ﹄ ) と い う 注 釈 書 が あ る 。 本 論 で は 、 二 師 の ﹃ 要 集 ﹄ 理 解 の 特 色 は ど の よ う な 点 に あ っ た か に つ い て 検 討 す る 。 そ し て 教 理 史 的 に 見 て 、 ﹃ 要 集 ﹄ が 二 師 に ど の よ う な 影 響 を 及 ぼ し た か に つ い て 考 え る 。 ︻ 二 . 法 然 に お け る ﹃ 要 集 ﹄ 理 解 ︼ 法 然 の ﹃ 要 集 ﹄ に つ い て の 解 釈 は 、 ﹃ 要 集 詮 要 ﹄ ( 以 下 ﹃ 詮 要 ﹄) ﹃ 要 集 釈 ﹄ ( 以 下 ﹃釈 ﹄ ) ﹃ 要 集 料 簡 ﹄ ( 以 下 ﹃ 料 簡 ﹄ ) ﹃ 要 集 略 料 簡 ﹄ ( 以 下 ﹃ 略 料 簡 ﹄ ) と ﹃ 一 期 物 語 ﹄ に 見 ら れ る 。 ﹃ 要 集 ﹄ 四 種 釈 書 ( 以 下 ﹁釈 書 ﹂ ) で は 、 ﹃ 要 集 ﹄ の 正 意 に つ い て 探 求 す る 中 で 、 正 修 念 仏 門 に お け る 観 念 念 仏 と 称 名 念 仏 の 問 題 、 助 念 方 法 門 の 助 念 仏 と 但 念 仏 の 問 題 、 往 生 階 位 で 説 か れ る 行 の 問 題 、 助 念 七 法 の 受 け 取 り 方 等 が 、 特 に 問 題 点 と し て 取 り 上 げ ら れ 、 法 然 は こ れ ら の 問 題 に つ い て 、(2) 善 導 の 念 仏 義 を 基 準 に 答 え て い る 。 嶋 田 法 宣 氏 に よ れ ば 、 法 然 は 初 め は ﹃ 要 集 ﹄ 当 面 の 意 味 を 尊 重 す る 立 場 で あ っ た の が 、 ﹃ 要 集 ﹄ に 説 か れ る 念 仏 義 と 善 導 の 念 仏 義 と を 区 別 し つ つ 、 善 導 の 念 仏 義 で ﹃ 要 集 ﹄ を 理 解 す る 立 場 へ 、 そ し て 最 終 的 に は ﹃ 要 集 ﹄ の 念 仏 と 善 導 の 念 仏 と を 同 一 視 す る と い う 立 場 へ と 展 開 し て い る と さ れ る 。(3) ま た ﹃ 一 期 物 語 ﹄ で は 、 ﹃ 要 集 ﹄ と 道 綽 ・ 善 導 の 念 仏 と の 間 に 相 違 が あ り 、 自 身 は ﹃ 散 善 義 ﹄ 就 行 立 信 釈 の 文 に よ り 称 名 念 仏 一 行 に よ り 往 生 が で き る 道 理 を 発 見 し た こ と を 述 べ る 。 (昭 和 新 修 法 然 上 人 全 集 ︹以 下 昭 法 全 ︺437 頁 ) い ず れ に せ よ 、 法 然 は ﹃ 要 集 ﹄ を 、 淨 土 往 生 行 の 肝 要 と は 何 か と い う こ と に 焦 点 を 当 て て 解 釈 し 、 ﹃ 要 集 ﹄ の 上 に 、 ﹁ 一 念 一 無 上 ⋮ 千 念 千 無 上 ﹂ ( ﹃選 択 集 ﹄ 真 宗 聖 教 全 書 ︹以 下 、 真 聖 全 ︺ ①953 頁 ) と い う 価 値 を 持 つ 往 生 行 と し て の 称 名 念 仏 が 説 か れ て い る こ と を 見 い だ し た 。 従 っ て 、 印 度 學 佛 教 學 研 究 第 五 十 五 巻 第 二 号 平 成 十 九 年 三 月 一 七 九弁 長 ・ 良 忠 に お け る ﹃往 生 要 集 ﹄ 理 解 に つ い て (那 須 ) 一 八 〇 別 時 行 儀 や 臨 終 行 儀 に つ い て は 、 ﹁下 別 時 等 五 門 此 非 要 ﹂ (﹃ 詮 要 ﹄ 昭 法 全 10 頁 ︹以 下 、 釈 書 に つ い て は ﹁昭 法 全 ﹂ を 略 す ︺、 ﹃釈 ﹄ 24 頁 、 ﹃ 料 簡 ﹄ 12 頁 ) と 述 べ 、 ﹃ 要 集 ﹄ 解 釈 上 は 重 視 し な か っ た 。 ま た ﹃ 要 集 ﹄ の 観 察 門 で 説 か れ る 別 相 観 ・ 惣 相 観 ・ 雑 略 観 と い う 三 つ の 色 相 観 に つ い て も 、 初 期 の 著 作 と さ れ る ﹃詮 要 ﹄ で は 、 そ れ ぞ れ に つ い て 説 明 し て い る の に 対 し 、 ﹃ 釈 ﹄ ﹃料 簡 ﹄ ﹃ 略 料 簡 ﹄ で は 、 ﹁初 二 別 相 観 者 。 (云 云 ) 。 三 雑 略 観 者 。 (云 云 ) ﹂ 等 と い う よ う に 説 明 を 略 し て い る 。 こ の よ う な 立 場 に 立 つ 法 然 が 、 ﹃ 選 択 集 ﹄ で ﹃ 要 集 ﹄ を 引 用 し た り 、 源 信 に つ い て 触 れ る の は 、 称 名 念 仏 を 説 き 示 す 場 合 の み で あ る 。 特 に 三 輩 章 に お い て 、 念 仏 と 諸 行 と の 関 係 に つ い て 、 廃 助 傍 の 三 義 で 示 す 中 で 、 傍 正 義 に つ い て ﹁雖 説 念 仏 諸 行 二 門 以 念 仏 而 為 正 以 諸 行 而 為 傍 ﹂ と 述 べ る が 、 こ の 場 合 の ﹁正 ﹂ の 例 文 と し て ﹃ 要 集 ﹄ 念 仏 証 拠 門 の 文 、 ﹁傍 ﹂ の 例 文 と し て ﹃ 要 集 ﹄ 諸 行 往 生 門 の 文 を あ げ て い る の は 注 意 さ れ る 。 即 ち 法 然 は ﹃ 要 集 ﹄ 当 面 に 説 か れ る 行 に つ い て は 傍 正 義 で 理 解 し て い た と い う こ と で あ る 。(4) ︻三. 弁 長 に お け る ﹃ 要 集 ﹄ 理 解 ︼ 弁 長 の 著 作 中 で 、 源 信 や ﹃ 要 集 ﹄ に 触 れ て い る 箇 所 、 或 い は ﹃ 要 集 ﹄ か ら 引 用 し て い る 部 分 と し て 、 以 下 の よ う な 箇 所 を あ げ る こ と が で き る 。 ① ﹃ 浄 土 宗 要 集 (以 下 ﹁ 西 宗 要 ﹂ ) 五 ﹄ に お け る 問 い の 中 で 、 源 信 は 四 修 三 心 五 念 門 を 一 向 専 修 の 助 業 と し た と 述 べ 、 そ の 答 え の 中 で ﹃ 要 集 ﹄ 助 念 方 法 門 に 、 方 処 供 具 以 下 の 七 項 目 が 説 か れ る の は 、 正 業 を 助 け る 用 心 と し て の 助 業 に つ い て 示 し た も の だ と す る 部 分 (浄 土 宗 全 書 ︹ 以 下 本 項 、 全 書 名 は 略 ︺ ⑩ 228 頁 ) 。 ② ﹃ 徹 選 択 本 願 念 仏 集 ( 以 下 ﹃ 徹 選 択 ﹄ ) ﹄ で 、 ﹃要 集 ﹄ の 冒 頭 の 文 を 要 約 し て あ げ る こ と に よ り 、 源 信 の ﹁ 一 選 択 ﹂ を 示 す 部 分 (⑦ 94 頁 ) 。 ③ ﹃ 徹 選 択 ﹄ に お い て 、 ﹃ 要 集 ﹄ の ﹁往 生 之 業 念 仏 為 本 ﹂ ﹃ 妙 行 業 記 ﹄ の ﹁往 生 之 業 念 仏 為 先 ﹂ と い う 文 に 出 会 っ た こ と 、 源 信 が 覚 超 (960 ∼1034 ) に ﹁我 但 行 称 名 也 往 生 之 業 称 名 尤 足 。 一 生 念 仏 勘 其 員 数 二 十 倶 胝 返 也 ﹂ と 述 べ た こ と 、 法 然 も 善 導 や 源 信 に 従 っ て 称 名 念 仏 に 励 ん だ こ と 等 を 述 べ る 箇 所 (⑦ 95 頁 ) 。 ④ ﹃ 西 宗 要 二 ﹄ で 、 日 本 に 念 仏 が 四 度 興 盛 し た と 述 べ 、 そ の 第 三 は 、 源 信 が ﹃ 要 集 ﹄ を 造 っ て 弘 め た 時 だ と 述 べ た 箇 所 (⑩160 頁 ) 。 ⑤ ﹃ 西 宗 要 二 ﹄ で 、 源 信 が 、 諸 経 に 明 か さ れ る 往 生 は 因 明 の 往 生 で あ り 、 ﹃ 阿 弥 陀 経 ﹄ に 明 か さ れ る 往 生 は 直 弁 往 生 で あ る 。 そ し て 因 明 往 生 は 迂 廻 道 の 往 生 で あ り 、 直 弁 往 生 は 直 道 の 往 生 で あ る 。 だ が ら ﹃ 阿 弥 陀 経 ﹄ に 依 る べ き で あ る と 述 べ る く だ り (⑩ 174 頁 ) 。 ⑥ ﹃ 西 宗 要 五 ﹄ で 、 ﹃ 要 集 ﹄ 念 仏 証 拠 門 中 の 文 を 引 用 し て ﹁別 発 ﹂ の 意 味 を 明 か し た 部 分 。 (⑩ 238 頁 ) ⑦ ﹃ 聖 光 房 に 示 さ れ る 御 詞 ﹄ で 、 法 然 が 弁 長 に ﹁摩 詞 止 観 の 念 仏 ・ 往 生 要 集 の 念 仏 ・ 善 導 の 念 仏 ﹂ と い う 三 重 の 念 仏 を 説 き 明 か し た こ と を 述 べ る 箇 所 (昭 法 全743 頁 ) 。 ⑧ ﹃ 末 代 念 仏 授 手 印 ﹄ で 、 観 察
正 行 に つ い て 述 べ る 中 、 ﹃要 集 ﹄ に 依 る 場 合 は 三 種 の 観 の 中 の 一 観 を 用 い る こ と を 述 べ た と こ ろ (⑩ 2 頁 ) 。 ⑨ ﹃ 西 宗 要 一 ﹄ で 、 尋 常 念 仏 も 別 時 念 仏 も 一 生 の 間 修 す る と 言 え る と い う こ と の 根 拠 と し て 、 ﹃ 要 集 ﹄ 別 時 念 仏 に お け る 記 述 を あ げ る 部 分 。 (⑩ 35 ∼1 36 頁 ) ⑩ ﹃ 西 宗 要 四 ﹄ で 、 別 時 行 儀 並 び に 臨 終 行 儀 に つ い て 述 べ る 際 、 ﹁ 慧 心 御 房 往 生 要 集 ⋮ ﹂ ﹁慧 心 釈 云 ⋮ ﹂ ﹁師 云 、 慧 心 御 意 ⋮ ﹂ ﹁善 導 和 尚 慧 心 先 徳 西 方 往 生 極 楽 先 達 也 。 祖 師 也 ⋮ ﹂ ﹁善 導 和 尚 慧 心 先 徳 既 以 臨 終 行 儀 教 ﹂ 等 と 、 源 信 の ﹃ 要 集 ﹄ に お け る 説 を 挙 げ て い る と こ ろ (⑩206 ∼211 頁 )。 ⑪ ﹃ 西 宗 要 六 ﹄ で、 ﹃ 臨 終 行 儀 ﹄ ( 恵 心 僧 都 全 集 ①594 頁 ) に 依 り 、 臨 終 時 の 善 知 識 は 三 人 か 五 人 に す る 事 を 述 べ る 部 分 (⑩240 頁 ) 。 ⑫ ﹃浄 土 宗 名 目 問 答 ﹄ に お い て 、 四 修 や 難 易 二 道 を 述 べ る 中 で (⑩404 、407 、408 頁 )(6) 。 右 に あ げ た 箇 所 か ら 窺 わ れ る ﹃ 要 集 ﹄ 理 解 の 特 色 を ま と め る と 次 の よ う に な る 。 即 ち 弁 長 に お い て は 、 ﹃ 往 生 要 集 ﹄ に 説 か れ る 念 仏 と 善 導 念 仏 と を 区 別 し 、 自 分 は 善 導 念 仏 に 依 る こ と を 述 べ る か 、 自 分 が 依 る 善 導 念 仏 と ﹃ 要 集 ﹄ に 説 か れ る 念 仏 は 同 じ だ と す る 法 然 的 な 立 場 が 基 本 的 に は 示 さ れ て い る 。 だ が 三 種 行 儀 に つ い て 強 調 し 、 法 然 が あ ま り 説 か な か っ た 別 時 行 儀 や 臨 終 行 儀 に つ い て 、(7) ﹃ 要 集 ﹄ に 基 づ き 詳 説 し て い る 。 ま た 弁 長 は 、(8) 坪 井 俊 英 氏 も 述 べ て い る よ う に 、 念 仏 と 諸 行 の 問 題 に つ い て 、 仏 の 本 願 の 意 か ら 見 れ ば 念 仏 往 生 が 凡 夫 に 最 も ふ さ わ し い が 、 ﹃ 選 択 集 ﹄ に 説 か れ る 傍 正 義 の 立 場 か ら 諸 行 に よ る 往 生 も 認 め る 立 場 を 取 る 。(9) ま た 正 定 業 で あ る 称 名 念 仏 を 強 調 は す る が 、 三 種 の 色 相 観 に つ い て も 正 行 と し て 重 視 し 、 さ ら に は 別 時 念 仏 に よ る 見 仏 を 強 調 す る 立 場 も 示 さ れ る 。 こ れ ら も ﹃ 要 集 ﹄(10) の 影 響 [で あ る と 言 え る 。 ︻ 四 . 良 忠 に お け る ﹃ 要 集 ﹄ 理 解 ︼ 良 忠 が ﹃ 義 記 ﹄ に お い て 依 用 し た 釈 書 に つ い て は 、 大 谷 旭 雄 氏 に よ り 、 ﹃ 詮 要 ﹄ ﹃ 釈 ﹄(11) の み と す る 説 が 出 さ れ て い る 。 し か し 以 下 の よ う な 理 由 か ら 、 良 忠 は 釈 書 す べ て を 披 覧 し て お り 、 四 書 の 中 か ら 自 分 の 立 場 に 適 っ た 箇 所 を 引 用 し た と 考 え る 。 ⑦ 大 谷 氏 も 指 摘 し て い る よ う に 、 ﹃ 義 記 ﹄ の 撰 述 よ り 十 年 前 に 良 忠 の 弟 子 道 光 (1248 ∼1 330 ) が 編 纂 し た ﹃ 漢 語 燈 録 ﹄ に 四 書 が 収 め ら れ て お り 、 良 忠 は 四 書 す べ て を 所 覧 し 得 た 。 ま た ﹃ 義 記 ﹄ に は 、 当 時 存 在 し た 他 の ﹃往 生 要 集 ﹄ の 諸 注 釈 の ほ と ん ど が 引 用 さ れ て い る が 、 こ の よ う な 引 用 態 度 を 取 る 良 忠 に お い て 、 ﹃ 料 簡 ﹄ ﹃ 略 料 簡 ﹄ か ら の 引 用 が な い と 考 え る の は 不 自 然 で あ る 。イ 良 忠 が ﹃義 記 ﹄ で 引 用 し て い る 釈 書 の う ち 、 ﹃ 料 簡 ﹄ ﹃ 略 料 簡 ﹄ か ら の 引 文 と も 考 え ら れ る も の は 、 ほ と ん ど ﹃ 釈 ﹄ の 文 と 重 な る が 、 こ れ は 良 忠 が ﹃ 料 簡 ﹄ ﹃ 略 料 簡 ﹄ を 所 覧 し て い な い と い う こ と の 根 拠 に は な ら な い 。 ◎ 大 谷 氏 は ﹃ 義 記 一 ﹄ の ﹁故 二 祖 師 料 簡 引 上 文 云 故 知 如 説 念 仏 不 必 可 具 持 戒 等 矣 ﹂ (下 記 ② ) 中 の ﹁ 上 文 ﹂ を 、 冒 頭 部 分 に 長 文 弁 長 ・ 良 忠 に お け る ﹃ 往 生 要 集 ﹄ 理 解 に つ い て (那 須 ) 一 八 一
弁 長 ・ 良 忠 に お け る ﹃ 往 生 要 集 ﹄ 理 解 に つ い て (那 須 ) 一 八 二 で 引 用 さ れ て い る ﹃ 釈 ﹄ 中 の 文 (浄 土 宗 全 書 ⑮ ︹ 以 下 本 項 浄 土 宗 全 書 ⑮ は 略 ︺158 頁 下 16 ∼159 頁 上 1 ︹上 下 は 上 段 下 段 、 そ の 下 の 数 字 は 行 数 を 表 す ︺ ) と 理 解 し 、 こ の 文 が ﹃ 料 簡 ﹄ ﹃ 略 料 簡 ﹄ か ら の 引 用 で あ る 可 能 性 を 否 定 し て い る が 、 こ の ﹁上 文 ﹂ は 、 直 前 の ﹁ 即 集 文 云 問 念 仏 自 滅 罪 何 必 堅 持 戒 。 答 若 一 心 念 誠 如 所 責 ﹂ (159 頁 下 14 ∼ 15 ) を 指 す と 考 え る べ き で あ る 。 従 っ て こ の 文 を ﹃料 簡 ﹄ ﹃ 略 料 簡 ﹄ か ら の 引 用 と 考 え る こ と は 可 能 で あ る 。エ 大 谷 氏 は 、 ﹃ 義 記 七 ﹄ の ﹁祖 師 料 簡 云 唯 勧 詞 正 指 上 観 察 門 中 行 住 座 臥 等 文 也 ﹂ (下 記 ⑮ ) の 文 は 、 ﹃ 義 記一﹄ 冒 頭 引 用 の ﹃ 釈 ﹄ 中 の ﹁ 私 云 初 問 意 者 可 唯 勘 語 正 指 上 観 察 門 中 行 住 座 臥 等 文 也 ﹂ (159 頁 上 16 ∼ 17 ) に 依 る と し て い る 。 だ が こ の 巻 七 の 文 に つ い て も 、 巻 一 冒 頭 引 用 の ﹃ 釈 ﹄ の 文 と の 関 係 は 見 い だ す こ と は で き な い 。 し か も こ こ で は 、 大 谷 氏 も 指 摘 し て い る よ う に ﹁唯 勧 詞 ﹂ と い う よ う に ﹁詞 ﹂ と い う ﹃ 略 料 簡 ﹄ の み が 使 用 し て い る 字 が あ る こ と よ り 、 こ れ は ﹃ 略 料 簡 ﹄ か ら の 引 用 と 考 え る こ と が で き る 。オ ﹃ 義 記 五 ﹄ に ﹁ 心 念 常 存 者 祖 師 云 ⋮ 是 往 生 最 要 出 離 秘 術 。 留 心 思 之 ﹂ ( 277 頁 下 10 ∼11 ) と い う 文 (下 記 ⑬ ) が あ る が 、 こ の ﹁是 往 生 最 要 ⋮ 留 心 思 之 ﹂ と い う 締 め く く り の 言 葉 は 、 ﹃ 料 簡 ﹄ ﹃略 料 簡 ﹄ に 依 っ て い る と 思 わ れ る 。カ 下 記⑱ の ﹁祖 師 云 慧 心 尽 理 定 往 生 得 否 以 導 和 尚 釈 為 指 南 也 。 然 則 用 慧 心 之 輩 必 可 帰 導 和 尚 ﹂ は 引 文 で は あ る が 、 ﹃ 釈 ﹄ ﹃ 料 簡 ﹄ ﹃ 略 料 簡 ﹄ の ど れ と も 同 文 で は な く 、 取 捨 選 択 の 跡 が 見 ら れ る 。 ま た ﹃ 義 記 ﹄ の こ の 引 文 が 指 す も の は 、 釈 書 と は 全 く 違 う 。 従 っ て こ の 文 は ﹃ 釈 ﹄ ﹃ 料 簡 ﹄ ﹃ 略 料 簡 ﹄ の 述 作 か ら 、 良 忠 が 自 己 の 文 脈 に 合 う よ う に 創 作 し た と 考 え ら れ る 。 次 に ﹃ 義 記 ﹄ に お け る 釈 書 か ら の 引 用 箇 所 と 、 釈 書 に お け る 出 拠 と し て 可 能 性 の あ る 箇 所 を 示 す と 以 下 の よ う に な る 。 ① ﹁ 要 者 祖 師 釈 云 ⋮ (已 上 祖 師 釈 ) ﹂ (158 頁 下 10 ∼159 頁 下 5 ) : 釈 (昭 法 全 ︹以 下 、 釈 書 の 昭 法 全 は 略 ︺ 19 頁 8 ∼ 26 頁 7 ︹頁 の 下 の 数 字 は 行 数 ︺ ) 。 ② ﹁ 故 祖 師 料 簡 ⋮ (已 上 ) ﹂ (159 頁 下 段 16 ∼ 17 ): 釈 ( 21 頁 10 ) 料 簡 ( 12 頁 14 ) 略 料 簡 ( 15 頁 13 ∼ 14 ) 。 ③ ﹁故 祖 師 立 難 易 勝 易 称 名 為 勝 亦 為 易 行 ﹂ (160 頁 下 9 ) : 詮 要 ( 5 頁 17 ∼ 6 頁 1 ) 。 ④ ﹁ 集 者 祖 師 釈 云 ⋮ ( 已 上 ) ﹂ ( 160 頁 下 13 ∼ 14 ): 釈 ( 18 頁 2 ) 。 ⑤ ﹁第二 釈 文 ⋮ 如 祖 師 分 文﹂ (163 頁 下 2 ∼ 3 ) : 釈 ( 18 頁 4 ∼ 5 ) 。 ⑥ ﹁ 総 有 十 門 者 祖 師 釈 云 ⋮ (已 上 祖 師 釈 ) ﹂ (166 頁 上 9 ∼ 下 17 ): 釈 ( 18 頁 4 ∼ 19 頁 6 ) 。 ⑦ ﹁初 別 相 観 者 祖 師 云 ⋮ 有 広 略 (云 云 ) ﹂ (167 頁 下 12 ∼ 14 ): 詮 要 ( 5 頁 7 ∼ 8 ) 。 ⑧ ﹁二 総 相 観 者 祖 師 云 ⋮ ( 己 上 ) ﹂ (271 頁 上 14 ∼ 15 ): 詮 要 ( 5 頁 8 ∼ 10 ) 。 ⑨ ﹁初 者 祖 師 云 ⋮ (云 云 ) ﹂ (274 頁 下 3 ∼ 4 ): 詮 要 (5 頁 10 ) 。 ⑩ ﹁祖 師 云 ⋮ 。 (云 云 ) ﹂ (275 頁 上 1 ): 詮 要 ( 5 頁 10 ) 。 ⑪ ﹁祖 師 云 ⋮ (云 云 ) ﹂ (275 頁 下 12 ): 詮 要 ( 6 頁 4 ∼ 5 ) 。 ⑫ ﹁問 今 斯 勧 進 ⋮ ( 此 全 同
祖 師 意 ) ﹂ (277 頁 上11 ∼277 頁 下 9 ) : 詮 要 (5 頁 181 ∼ 6 頁 2 ) 、 釈 (24 頁 4 ∼ 7 ) 、 料 簡 ( 10 頁 12 ∼ 15 ) 、 略 料 簡 ( 14 頁 14 ∼ 15 頁 1 ) 。 ⑬ ﹁心 念 常 存 者 祖 師 云 ⋮ 思 之 ﹂ (277 頁 下 9 ∼11 ) : 詮 要 ( 5 頁 12 ∼ 16 ) 、 釈 ( 24 頁 4 ∼ 8 ) 、 料 簡 ( 10 頁 14 ∼ 15 ) 、 略 料 簡 ( 14 頁 14 ∼ 15 頁 1 ) 。 ⑭ ﹁称 念 仏 行 善 者 ⋮ 如 空 上 人 料 簡 (已 上 ) ﹂ (303 頁 上 8 ∼ 9 ) : 詮 要 (9 頁 8 ∼ 9 ) 、 釈 ( 21 頁 6 ) 、 料 簡 ( 11 頁 17 ∼ 12 頁 1 ) 、 略 料 簡 ( 15 頁 9 ∼ 10 ) 。 ⑮ ﹁ 三 番 大 意 者 祖 師 云 ⋮ ( 已 上 ) ﹂ (334 頁 上 5 ∼ 下 3 ) : 詮 要 ( 6 頁 10 ∼ 7 頁 10 ) 。 ⑯ ﹁故 祖 師 料 簡 云 ⋮ 文 也 ﹂ (334 頁 下 8 ∼ 9 ) : 釈 (25 頁 14 ∼ 26 頁 1 ) 料 簡 ( 13 頁11 ) 略 料 簡 ( 16 頁11 ) 。 ⑰ ﹁其 余 行 法 因 明 等 者 祖 師 云 ⋮ ( 已 上 ) ﹂ (336 頁 上 3 ∼ 9 ) : 詮 要 ( 6 頁 17 ∼ 7 頁 5 ) 。 ⑱ ﹁祖 師 云 ⋮ (已 上 ) ﹂ (349 頁 上 15 ∼ 16 ) : 釈 (26 頁11 ∼ 13 ) 、 料 簡 (14 頁 3 ∼ 4 ) 、 略 料 簡 ( 17 頁 2 ∼ 3 ) 。 ⑲ ﹁故 祖 師 云 ⋮ 為 広 略 ﹂ (369 頁 下 2 ∼ 3 ) : 釈 (19 頁 8 ∼ 9 ) ? 。 次 に 、 ﹃義 記 ﹄ に お い て 、 釈 書 の 引 用 以 外 で 法 然 に 触 れ て い る も の と し て は 以 下 の も の が あ る 。 ① ﹁ 祖 師 意 ⋮ 則 此 義 也 ﹂ (167 頁 上 3 ∼ 5 ) 。 ② ﹁問 深 奥 分 ⋮ 此 三 重 義 先 師 初 謁 祖師之 時⋮ (云 云 ) ﹂ (267 頁 上 10 ∼ 15 ) 。 ③ ﹁祖 師 云 引 摂 想 者 ⋮ (或 有 異 説)﹂ (275 頁 下 7 ∼ 8 ) 。 ④ ﹁ 問 無 常 院 ⋮ 答 祖 師 説 章 云 ⋮ (云 云 ) ﹂ (312 頁 上 7 ∼ 8 ) 。 ⑤ ﹁此 之 諸 業 ⋮ 祖 師 口 伝 云 ⋮ (云 云 ) ﹂ (317 頁 下 3 ∼ 下 5 ) 。 ⑦ ﹁其 仏 本 願 力 者 ⋮ 具 如 祖 師 三 経 略 釈﹂ (329 頁 上 14 ∼ 15 ) 。 ⑥ ﹁縦 雖 下 凡 ⋮ 祖 師 口 伝 如 余 処 記 ﹂ (350 頁 上 8 ∼ 下 2 ) 。 右 記 の 箇 所 か ら 良 忠 の ﹃ 要 集 ﹄ 理 解 を 見 て い く と 、 基 本 的 に は 法 然 を 承 け て ﹃ 要 集 ﹄ に 説 か れ る 行 業 に つ い て 、 称 名 念 仏 一 行 を 中 心 に 理 解 し よ う と し て い る こ と が わ か る 。 し か し ﹃ 義 記 ﹄ 全 般 に お い て は 、 ① 助 念 仏 の 容 認 、 ② 諸 行 の 容 認 、 ③ 観 念 念 仏 、 ④ 三 種 行 儀 、 ⑤ 傍 正 義 、 ⑥ 見 仏 等 に つ い て 、 か な り 強 調 し て 説 か れ て い る 。 こ れ は 弁 長 の ﹃ 要 集 ﹄ 理 解 の 影 響 の 下 で ﹃要 集 ﹄(16) の 行 業 論 を 受 容 し た 結 果 で あ る と い え る 。 ︻五 . 結 論 ︼ 弁 長 ・ 良 忠 は ﹃ 要 集 ﹄ に 説 か れ る 行 業 に つ い て 、 法 然 を 承 け て 称 名 念 仏 一 行 を 中 心 に 理 解 し よ う と し て い る 。 し か し 以 下 の 点 に は 、 ﹃要 集 ﹄ 理 解 に 関 し て 二 師 の 独 自 性 が 見 ら れ る 。 ま ず 二 師 は 、 称 名 念 仏 を 浄 土 往 生 の た め の 正 定 業 と し て 強 調 し つ つ 、 諸 行 に つ い て も 積 極 的 に 認 め て い る が 、 二 師 が こ の よ う な 立 場 を 採 る 根 拠 の 一 つ に 、 ﹃ 選 択 集 ﹄ で 説 か れ る 傍 正 義 が あ る と 考 え ら れ る 。 こ の 傍 正 義 は 、 ﹃ 要 集 ﹄ に 基 づ い て 説 か れ た も の で あ り 、 こ こ に 二 師 に 対 す る ﹃ 要 集 ﹄ の 影 響 を 見 て 取 る こ と が で き る 。 次 に 二 師 は 三 種 行 儀 を 強 調 す る が 、 こ れ ら の 行 儀 の 内 容 に も ﹃ 要 集 ﹄ の 影 響 が 見 ら れ る 。 ま た 見 仏 も 強 調 す る が 、 こ こ に も ﹃ 要 集 ﹄ の 影 響 を 見 る こ と が で き る 。(17) 以 上 、 教 理 史 的 に 見 た 場 合 、 法 然 教 学 は ﹁ 傍 正 ← 助 正 ← 廃 立 ﹂ と い う 方 向 性 で 理 解 す る こ と が で き る が 、 弁 長 ・ 良 忠 の 浄 土 教 学 に は ﹁廃 立 ← 助 正 ← 傍 正 ﹂ と い う 方 向 性 を 見 弁 長 ・ 良 忠 に お け る ﹃往 生 要 集 ﹄ 理 解 に つ い て (那 須 ) 一 八 三
弁 長 ・ 良 忠 に お け る ﹃ 往 生 要 集 ﹄ 理 解 に つ い て (那 須 ) 一 八 四 い 出 す こ と が で き る 。 こ の よ う に 方 向 性 が 転 換 す る 一 つ の 根 拠 と な っ た も の が ﹃ 要 集 ﹄ で あ っ た と 言 え よ う 。 1 八 木 昊 恵 ﹃ 恵 心 教 学 の 基 礎 的 研 究 ﹄ 51 頁 。 2 法 然 は ﹃ 散 善 義 ﹄ の 五 正 行 を 起 行 を 示 す も の と 考 え 、 称 名 念 仏一 行 専 修 を 善 導 念 仏 義 の 帰 結 と 考 え る 。 (拙 稿 ﹁法 然 に お け る 善 導 教 学 の 受 容 に つ い て ﹂ ﹃真 宗 学 ﹄ 88 号 参 照 ) 3 嶋 田 法 宣 ﹁往 生 要 集 四 種 釈 書 の 研 究 ﹂ ﹃宗 学 院 論 集 ﹄ 58 。 4 廃 助 傍 の 三 義 に つ き ﹃新 淨 土 宗 辞 典 ﹄ に は ﹁廃 立 義− 純 善 導 意 。 助 正 義 -正 依 善 導 意 兼 依 恵 心 意 。 傍 正 義-純 恵 心 意 ﹂ と あ る 。 5 他 に 三 種 行 儀 を 解 説 し た 箇 所 と し て は 、 ﹃ 末 代 念 仏 授 手 印 ﹄ (浄 全 ⑩ 8 頁 ) ﹃ 淨 土 宗 名 目 問 答 ﹄ (浄 全 ⑩417 ∼418 頁 ) が あ る 。 6 他 に 源 信 や ﹃要 集 ﹄ に つ い て 述 べ た 箇 所 と し て は 、 ① 源 信 が 一 條 の 橋 で 往 生 に 関 し て 辻 占 い を し た 話 ( ﹃念 仏 三 心 要 集 ﹄ 淨 全 ⑩395 頁 ) ② ﹃要 集 ﹄ で は 四 修 に つ い て は ﹃ 摂 大 乗 論 ﹄ に 依 り 説 い て い る と 述 べ る 。 ( ﹃ 西 宗 要 二 ﹄ 浄 全 ⑩166 頁 ) 、 ③ ﹃ 要 集 ﹄ ﹃阿 弥 陀 経 略 記 ﹄ の ﹁大 小 ﹂ ﹁多 少 ﹂ の 概 念 規 定 を 紹 介 。 ( ﹃西 宗 要 二 ﹄ 淨 全 ⑩187 頁 ) ※ ﹁淨 全 ﹂ は ﹁浄 土 宗 全 書 ﹂ の 略 。 7 法 然 に 別 時 念 仏 を 勧 め て い る 文 は あ る が ( ﹃七 箇 条 の 起 請 文 ﹄ 昭 法 全813 頁 1 ∼ 3 ) 、 弁 長 ほ ど 重 視 は せ ず 細 か い 規 定 も し て い な い 。 ま た 臨 終 行 儀 に つ い て は 人 に 応 じ て は 認 め つ つ も 、 法 然 自 身 は 特 に 形 式 的 な 行 儀 は 行 わ な か っ た (﹃ 法 然 上 人 行 状 絵 図 ﹄ 第 37 巻 第 2 図 、 法 然 上 人 伝 全 集243 頁 4 ∼ 6 ) 。 ( ﹃ 淨 土 宗 大 辞 典 ② ﹄ 52 頁 参 照 ) こ れ に 対 し 、 弁 長 は ⑩ か ら も わ か る よ う に 、 三 種 行 儀 を 重 視 し 別 時 行 儀 や 臨 終 行 儀 に つ い て 詳 説 し て い る 。 こ れ ら の 行 儀 の 記 述 に は 、 明 ら か に 源 信 の 影 響 が 見 ら れ る 。 8 坪 井 俊 英 ﹁良 忠 上 人 の 浄 土 教 学 に お け る 念 仏 と 諸 行 ﹂ ﹃ 良 忠 上 人 研 究 ﹄ 参 照 。 次 の 良 忠 の 項 で も 参 照 。 9 即 ち 弁 長 は 、 諸 行 を 仏 の 本 願 に か な っ た 行 と す る 立 場 に 対 し て は 諸 行 本 願 義 と し て 批 判 し ︼ 線 を 画 し て い る が 、 諸 行 往 生 を 積 極 的 に 認 め る 立 場 を 取 る 。 例 え ば ﹃ 西 宗 要 四 ﹄ に は ﹁往 生 行 有 二 通 因 行 別 因 行 也 。 念 仏 是 阿 弥 陀 仏 本 願 。 故 別 因 行 也 。 三 福 是 一 切 諸 仏 通 因 行 也 ﹂ (浄 全 ⑩222 頁 下 15 ∼ 17 ) と 述 べ ら れ る 。 そ し て こ の よ う な 立 場 を 取 る 一 つ の 根 拠 に な っ て い る の が 廃 助 傍 の 三 義 の 中 の 傍 正 義 で あ る 。 例 え ば 弁 長 は 、 ﹃ 念 仏 名 義 集 ﹄ に ﹁此 の 佛 の 本 願 な る が 故 に 、 阿 弥 陀 仏 に も 、 此 の 如 く 浄 土 の 三 部 経 と 申 す は 、 阿 弥 陀 仏 の 思 し 召 す 正 意 を 明 か し て 三 部 経 の 正 意 と は 申 す 也 。 然 れ ば 、 雙 巻 経 の 中 に 堂 を 造 り 、 ⋮ 様 様 の 功 徳 を 為 し て 往 生 す と 明 か す は 、 皆 是 れ 傍 意 な り 。 唯 だ 一 向 に 念 仏 し て 往 生 す と 明 か す 。 是 れ こ そ 阿 弥 陀 仏 の 正 意 に て 候 は め 。 観 経 に も 亦 た 持 戒 を 以 て 往 生 す と 明 か し 、 ・: と 明 か す は 、 皆 是 れ 傍 意 な り 。 其 の 故 は 阿 弥 陀 仏 の 本 願 に 非 ざ れ ば な り ﹂ ( 浄 全 ⑩366 頁 上 10 ∼ 下 1 ) と 述 べ て い る 。 上 述 の よ う に こ の 傍 正 義 の 立 場 は ﹃要 集 ﹄ の 立 場 を 受 け た も の で あ る 。 10 弁 長 は ﹃ 西 宗 要 二 ﹄ に ﹁ 口 称 名 号 念 仏 行 者 所 期 以 見 仏 三 昧 所 期 ﹂ ( 浄 全 ⑩172 頁 上 14 ∼ 15 ) と 述 べ 、 見 仏 に つ い て 積 極 的 に 勧 め て い る 。 ﹃ 三 昧 発 得 記 ﹄ の 記 述 (昭 法 全868 頁 1
∼ ) よ り 、 法 然 の 三 昧 発 得 に よ る 見 仏 は 窺 え る が 、 法 然 が 三 昧 発 得 に よ る 見 仏 を 積 極 的 に 勧 め た 文 は な い 。 一 方 源 信 は ﹃要 集 ﹄ 別 時 念 仏 、 念 仏 利 益 下 で 観 仏 三 昧 ・ 念 仏 三 昧 に よ る 見 仏 を 説 く 。 ま た ﹃観 念 法 門 ﹄ に も 同 様 の 見 仏 が 説 か れ る 。 従 っ て 弁 長 の 見 仏 強 調 は 、 源 信 や 善 導 を 承 け て い る と 言 え る 。 11 大 谷 旭 雄 ﹁﹃ 往 生 要 集 義 記 ﹄ に つ い て ﹂ (﹃ 浄 土 学 36 ﹄) 12 ﹃ 釈 ﹄ の 略 例 の 二 度 の 惣 結 要 行 の 文 の 引 用 中 、 助 念 仏 の 意 は 此 の 集 の 意 で は な い と し た 第 一 文 に 関 す る 記 述 の み が 引 用 。 13 ﹁然 観 念 称 念 勝 劣 難 易 。 即 観 念 勝 称 念 劣 ⋮ 称 念 易 行 ﹂ (昭 法 全 5 頁 17 ∼ 6 頁 1 ) に 依 り つ つ 意 味 を 変 換 。 14 ﹃ 詮 要 ﹄ で は 、 こ こ を 観 念 と 称 名 で 理 解 し て い る の に 対 し 、 ﹃ 義 記 ﹄ に は ﹃ 詮 要 ﹄ よ り も 称 名 念 仏 を 中 心 と し た 理 解 が な さ れ る 。 一 方 ﹃ 釈 ﹄ ﹃ 料 簡 ﹄ ﹃略 料 簡 ﹄ は 称 名 念 仏 で 理 解 し て い る と 考 え ら れ る が 、 ﹃ 料 簡 ﹄ に は ﹁私 云 是 則 此 集 勧 進 也 。 行 者 能 可 留 於 心 也 ﹂ (10 頁 15 ) 、 ﹃略 料 簡 ﹄ に は ﹁ ⋮ 行 者 能 可 留 心 ﹂ (15 頁 1 ) と あ り 、 ﹃ 釈 ﹄ に は こ の 言 葉 が な い 。 15 上 述 の よ う に ﹃ 釈 ﹄ ﹃料 簡 ﹄ ﹃ 略 料 簡 ﹄ は 、 但 念 仏 を ﹃要 集 ﹄ の 結 論 と す る こ と を 強 調 す 惹 た め に 上 記 の 私 釈 を し て い る 。 こ れ に 対 し ﹃ 義 記 ﹄ で は 、 ﹃ 要 集 ﹄ の ﹁又 観 経 善 導 禅 師 ⋮ 為 深 位 行 ﹂ (真 聖 全 ①896 頁 14 ∼897 頁 2 ) と い う 文 が 表 す 善 導 の 教 説 を 強 調 す る た め に こ の 私 釈 を 引 用 し て い る 。 ま た 文 末 の ﹁可 ゆ 帰 導 和 尚 ﹂ と い う 言 葉 に 関 し て 大 谷 氏 は 、 ﹃ 釈 ﹄ に ﹁可 帰 道 綽 善 導 (善 導 道 綽 ) ﹂ と あ る の は 不 自 然 で あ り 、 良 忠 所 覧 の ﹃ 釈 ﹄ に ﹁道 綽 ﹂ は 無 か っ た の で は な い か と 推 定 し て い る 。 だ が こ れ は ﹃ 要 集 ﹄ 往 生 階 位 お い て 、 ﹃ 安 楽 集 ﹄ と ﹃往 生 礼 讃 ﹄ が 引 用 さ れ て い る こ と を 示 し た の を 受 け て 述 べ て い る こ と で あ り 、 ﹁道 綽 ﹂ が あ る こ と は 不 自 然 と は い え な い 。 こ の ﹁可 帰 導 和 尚﹂ は 、 ﹃ 料 簡 ﹄ ﹃ 略 料 簡 ﹄ の ﹁ 必 可 帰 善 導 哉 ﹂ ( 14 頁 4 、 17 頁 3 ) に 依 る と 考 え て も い い の で は な い だ ろ う か 。 16 良 忠 も 傍 正 義 を 重 視 し 、 諸 行 を 非 本 願 と し つ つ も 往 生 行 と し て 認 め る 。 ( ﹁ 既 立 三 義 。 何 非 二 義 耶 。 以 初 為 正 者 、 対 傍 之 言 也 。 不 可 云 大 師 意 全 不 存 余 ニ 義 。 是 故 疏 四 上 六 品 立 余 行 往 生 等 、 是 傍 正 意 也 。 ⋮ 又 廃 諸 行 非 本 願 之 故 也 。 依 之 引 望 仏 本 願 之 釈 而 為 廃 立 証 。 非 ︼言 不 生 。 ⋮ 何 云 祖 師 意 不 許 但 諸 行 往 生 。 ⋮ 正 者 顕 経 之 元 意 也 。 非 言 無 余 行 往 生 也 ﹂ ( ﹃東 宗 要 三 ﹄ 浄 全 ⑪ 64 頁 上 11 ∼ 下 3 ) ﹁唯 云 念 仏 。 至 下 問 答 委 述 三 義 。 要 集 意 當 傍 正 義 。 ⋮ 若 言 余 行 不 往 生 者 後 之 二 義 便 為 虚 妄 。 ⋮ 三 義 倶 不 出 大 師 所 判 。 云 何 是 一 而 非 二 乎 ﹂ (﹃ 選 択 伝 弘 決 疑 鈔 ﹄ 浄 全 ⑦246 頁 上 7 ∼249 頁 下 9 ) 。 ﹁此 念 仏 対 於 助 念 故 名 正 修 。 ⋮ 又 含 傍 正 意 。 対 ア 第 九 門 応 名 正 修 ﹂ (﹃ 義 記 ﹄ 浄 全 ⑮246 頁 上 4 ∼ 8 ) 。 ま た 三 種 行 儀 に つ い て は 、 ﹃義 記 ﹄ の 第 六 別 時 念 仏 の 項 で 、 見 仏 に つ い て は ﹃義 記 ﹄ 第 五 助 念 方 法 の 修 行 相 貌 、 第 六 別 時 念 仏 、 第 十 問 答 料 簡 の 尋 常 念 相 ・ 臨 終 念 相 の 項 等 で 説 か れ る 。 17 ﹃要 集 ﹄ は 二 師 の 善 導 教 学 理 解 に も 影 響 し た と 考 え ら れ る 。 ︿キ ー ワ ー ド ﹀ 弁 長 、 良 忠 、 法 然 、 ﹃ 往 生 要 集 ﹄ 、 法 然 門 下 (龍 谷 大 学 大 学 院 修 了 ) 弁 長 . 良 忠 に お け る ﹃往 生 要 集 ﹄ 理 解 に つ い て (那 須 ) 一 八 五
Journal of Indian and Buddhist Studies Vol. 55, No.3, March 2007 (227 )
(942-10117)can be dated to Year 2 of the Kanna Era寛 和 二 年(i.e.986)on the
basis of the colophon appended to the most widely spread edition of the text.
However, a different recension of the text found in the collection of the
Kanazawa Bunko (Kanagawa
Pref.) contains a colophon dated Year 7 of the
Kanko Era寛 弘 七 年(1010). The necessity to re-examine the composition date