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成層圏プラットフォーム技術実証機について

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(1)

参考資料1-6

成層圏プラットフォーム 技術実証機について

平成15年4月25日 成層圏プラットフォーム

技術実証機検討チーム

(2)

成層圏プラットフォーム 技術実証機について

目 次 1.はじめに

2.成層圏プラットフォームに関する海外の動向 2.1 アメリカ

2.2 欧州等 2.3 韓国

3.技術実証機の位置付け

3.1 技術実証機の位置付け

3.2 成層圏プラットフォーム飛行船の技術課題 4.飛行船システムの検討

4.1 要求仕様の検討 4.2 開発計画案

4.3 開発計画案の詳細

4.4 開発計画の選定についての所見 5.ミッション系の検討

6.技術実証機の開発の在り方 6.1 開発着手に向けての工程 6.2 開発体制

6.3 官民の役割分担

6.4 開発に当たっての留意事項

参考資料1 技術実証機検討チーム構成員名簿

参考資料2 技術実証機検討チームにおける検討の過程

(3)

1.はじめに

技術実証機の最初の概念は、航空宇宙技術研究所によって平成10年度から11 年度にかけて行われた成層圏プラットフォームのフィージビリティ・スタディにお いて、システム技術の実証手段として提案されたものである。

その後、成層圏プラットフォーム開発協議会(以下、「協議会」)研究開発評価 部会による「最初から実用規模のものを技術実証するのではなく、サブスケールの ものから研究開発を進める等、段階を踏んで目標を達成することが重要」との評価 結果(平成11年9月)を受け、ミレニアム・プロジェクトの2つの飛行試験の後 に総合的な技術実証のための飛行試験を行う研究開発計画が策定された。

さらに、要素技術の進展等を踏まえて、平成12年4月に開催された第4回協議 会では、「平成15年度から実証機の基本設計を開始、平成17年度から実証試験 開始を目標」として検討を進めるとされた。

しかしながら、電源系に関する技術動向が大きく変化したことから、平成14年 5月の第6回協議会では、平成12年4月の上記方針を見直し、「今後1年間をか けて、技術実証機の在り方について検討を進める」こととなった。

この方針を受け、航空宇宙技術研究所では、平成14年7月よりそれまでの機体 システムの検討結果を出発点として、数種類の機体概念及びそれらの開発計画等の 検討を開始した。

一方、平成14年12月には、文部科学省、総務省、航空宇宙技術研究所、通 信・放送機構、宇宙開発事業団、海洋科学技術センター、通信総合研究所の7者か ら成る「技術実証機検討チーム」が設置され、以後3回の会合を開催し、海外の技 術動向、実現可能な機体システム、ミッション系において実証可能な技術課題、開 発体制等について調査・検討した。本報告書は、これらの結果をとりまとめ、今後 の技術実証機の開発の在り方を示したものである。

(4)

2.成層圏プラットフォームに関する海外の動向 2.1 アメリカ

米国の先進概念技術実証(ACTD)プログラムは、2006 年までに高高度飛行 船の実証までを行う計画となっている。現在までに公募に対する提案の中から Lockheed Martin NE & SS-Akron 社(以下、「LM 社」)、Boeing 社、

Worldwide Aeros 社の 3 社が選ばれ、米国ミサイル防衛庁(MDA)との調整に 入った。今年中に審査を行い来年早々に主契約社を決定する。うち LM 社の提案 は、半硬式タイプの全長 144.6m の飛行船を用いるものである。

また、NASA の Helios 計画では、SkyTower 社(AeroVironment 社の子会 社)が通信・放送用ソーラプレーンの開発を進めている。2001 年 8 月の飛行試 験では、日帰り飛行で太陽電池を使って世界最高の高度(約 29km)に到達した。

2003 年夏の飛行試験では再生型燃料電池の搭載を行わず、太陽電池と燃料電池 の組み合わせで 14 時間以上の飛行試験を行う予定。

2.2 欧州等

マレーシア政府に対して英国 ATG 社等 6 社が提案している StratSat 計画は 18 ヶ月の実証機開発プロジェクト(約 195 億円資金)であり、低緯度のマレー シア地域で耐風 10m/s 以下の飛行実証試験を行い、その後高緯度地域にもビジ ネスを拡大する戦略を構想するものである。全長 200m 級、耐風能力 35m/sec の飛行船を開発し、ペイロード・モジュール、推進系のみ回収・再使用する方式 をとる。2002 年 7 月にマレーシア政府に提案書を提示し、現在回答を待ってい る状況。

2.3 韓国

韓国では、韓国航空宇宙研究所(KARI)が主体となって成層圏プラットフォー ムの研究開発が行われている。現在進行中の第1フェーズでは、50m 級試験機に よる高度 3km での飛行試験を 2003 年 6~8 月に予定している。船体は米国 Worldwide Aeros 社で製造、動力は国内開発のターボシャフト発電機を用いる。

また、平行して、1kW 試作 RFC モデル試作による地上評価試験、太陽電池選択 の検討評価を進めている。

第1フェーズの結果を見て着手する予定の第2フェーズ(2004~07 年)にあ たる 150m 級実証機開発では、太陽電池、再生型燃料電池、膜材料、開発コスト 低減を重要な課題に挙げ、第2フェーズ以降では国際的な共同開発プロジェクト を要望している。

(5)

3.技術実証機の位置付け

3.1 技術実証機の位置付け

技術実証機は、ミレニアム・プロジェクトとして現在計画が進められている2 つの飛行試験(成層圏滞空飛行試験及び定点滞空飛行試験)の後、更なる技術課 題の解決を行い、将来の実用機開発につながるものとして位置付けられている。

技術実証機において、どこまでを実証の目標とするかは、実証機と実用機の技 術レベルの格差、開発費用、開発期間等の観点から総合的に決定すべきものであ ると考えられる。

3.2 成層圏プラットフォーム飛行船の技術課題

ミレニアム・プロジェクト期間で確立する予定の技術課題と、その後実用化ま でに解決すべき技術課題を整理すると表3-1のようになる。技術実証機の技術 目標は、両者の間に来ることになる。

表3-1 成層圏プラットフォーム飛行船の主要な技術課題 技術

分野

ミレニアム・プロジェクト期間で 確立予定の技術課題

実用化までに解決すべき 技術課題

材料 構造

・軽量・高強度膜材の開発(単体強 度の目標を達成)

・膜構造製造技術の確立

・膜材の耐久性、耐環境性

・大規模膜構造の製造技術

・軟式に留まらない最適な機体構造 の選定

・ヘリウムガスの漏洩対策

制御 追跡 管制 運用

・定点に留まる制御技術の確立(高 度 4km まで)

・遠隔操縦技術の確立

・回収・地上ハンドリング技術の蓄 積(60m 級まで)

・上昇・降下運用の確認

・対流圏界面通過時のデータ取得

・風観測・予測技術(高度

25km、格子間隔 5km、40 時 間先まで予測可能)

・成層圏での定点滞空技術の実証

・大型飛行船の上昇・降下・対流圏 界面通過運用の確立

・大型飛行船の回収・地上ハンドリ ング技術の確立

・離着陸場近傍の精度の高い地上風 予測技術

熱制御 電源 推進

・太陽電池装備技術の蓄積

・再生型燃料電池システムの運用研 究(1kW)

・長期間滞在可能な電源系(太陽電 池+再生型燃料電池)の開発

・太陽光曝露下の過熱対策等、熱制 御技術の確立

・成層圏用推進システムの開発

その他

・長期運用に耐えるメンテナス・フ リー性

・市街地上空の運用、燃料電池用水 素ガスの塔載を考慮した安全対策

(6)

4.飛行船システムの検討 4.1 要求仕様の検討

上記技術実証機の定義、海外動向等を勘案し、技術実証機としては成層圏に到 達、動力飛行し、何らかの手段で帰還回収・再利用が可能な成層圏飛行船が妥当 と考えられる。これらの条件を満たし、また飛行試験がある程度現実的な条件の もとで確実に実施できるようにすることを考慮し、機体の要求仕様を以下のよう に設定した。

表4-1 技術実証システムの要求性能

項 目 要求性能

到達高度 18~20km

耐風能力 到達高度において最大 15m/s 構造様式

重量物による荷重分布も含めた検討を行い、将来につながり うる構造も含めて検討する。内部構造様式は要求仕様を満た す限りにおいて任意とする。

搭載電源

滞空期間 下記に別載

運 用 回収、再使用が可能であること。

ミッション ペイロード

100kgの集中荷重を搭載可能とする。また、滞空中を通 じて 800W の電源供給。

成層圏プラットフォーム飛行船の動力源としては太陽電池と再生型燃料電池を 組み合わせた、クリーンかつ長期滞在可能な再生型電源系の開発が必須であり、

技術実証機の段階で極力これら電源系の開発を進め、飛行試験の中で制御・運用 も含めて実証することが望ましい。一方、化石燃料を用いた既存の動力系を技術 実証機に適用する場合、成層圏での利用を前提とした改造等の開発要素が生じる 一方で、その成果を将来の実用機に生かすことができない。

以上の点から、技術実証機の動力源としては将来の成層圏プラットフォーム飛 行船電源系の構成要素となる太陽電池、及び再生型燃料電池または燃料電池を用 いて構成するものとし、その組み合わせに対応して4ケースの電源構成を想定し た。

・SC機: 太陽電池(SC)のみを装備し、昼間の一定時間成層圏 に留まる試験機

・FC機: 燃料電池(FC)のみを装備し、一定時間成層圏に留ま る試験機

・SC+FC機: 太陽電池と燃料電池を装備し、一昼夜に渡って成層圏に 留まる試験機

・SC+RFC機: 太陽電池と再生型燃料電池(RFC)を装備し、一昼夜 から数日に渡って成層圏に留まる試験機

(7)

これらの各電源系の構成の特徴は以下の通りである。

・SC機、FC機は、いずれも成層圏プラットフォーム電源技術の2つの柱と なる太陽電池と燃料電池のいずれか一方を欠いており、この飛行試験をもっ て成層圏プラットフォーム技術を総合的に実証したとは言い難い。一方で、

低コストで早期に成層圏動力飛行を実現できる利点がある。

・SC+FC機は太陽電池と燃料電池の双方の電源システムの実証が可能であ るが、再生型燃料電池については地上試験等で補完する必要がある。

・SC+RFC機は単体で成層圏プラットフォーム技術の総合実証と言い得る が、開発要素が大きいこと、機体規模が増大することなどから開発リスクが 大きくなることが問題である。

電源系以外で特に問題となると考えられる回収・再利用については、定点滞空 試験機同様の陸上基地への帰還回収を考えた場合、

・試験機の海面付近における耐風性能は 5~6m/sec 程度しかない。

等の問題があるため、何らかの機体の再利用が可能な海上回収オプションも持っ ておくことが必須である。このため技術実証機の回収については

・地上基地へ自力帰還する能力を追及する一方、

・海上にホバリングさせた飛行船を何らかの船舶により捕獲牽引する等の海上 回収技術を併せて確立する

ことを前提に検討するものとする。

また、ミッションペイロードについては、当初前項の数値(重量 100kg、電源 供給 800W)の数値で検討を行ったが、その後ミッション側より

・100kg のペイロードに対しては、2kW 程度の電源供給が望ましい。

・可能ならばペイロード 250kg、5kW 程度が望ましい。

との要望を受け検討を行った。その結果、

・電源出力については現状想定しているシステムでほぼ対応可能

・搭載重量増、燃料増に対しては、数 m の機体規模の増大で対応可能

との結果が得られた。これにより、機体の実施設計の中で対応することが可能で あると考えられる。

(8)

4.2 開発計画案

成層圏プラットフォーム技術を一通り実証できる研究開発計画案として、試験 機の機能・性能、開発コスト、開発期間、開発リスク等の観点から3案の開発計 画を設定した。

・開発計画A:太陽電池と再生型燃料電池を装備する成層圏飛行船(SC+R FC機)を開発し、一昼夜~数日に渡る滞空飛行試験を行い、

成層圏プラットフォーム技術の総合実証を行う。

成層圏滞空飛行試験

定点滞空飛行試験

SC+RFC技術実証機

実用機 大型化、長寿命化

信頼・安全性向上

プロトタイプ機

・成層圏動力飛行の実現

・一昼夜~数日の滞空

・成層圏プラットフォーム技術の総合実証

・成層圏飛行の実現

・材料・構造技術の実証

・飛行制御、

運用管制技術の実証

SC

Motor

RFC

SC

Motor Motor

RFC

・開発計画B:太陽電池と燃料電池を装備する成層圏飛行船(SC+FC機)

を開発し、一昼夜に渡る滞空飛行試験を行う。また、別途搭載 可能な再生型燃料電池システムの開発を行い、地上において評 価・実証試験を行う。

成層圏滞空飛行試験

定点滞空飛行試験

SC+FC技術実証機 大型化、長寿命化 実用機

信頼・安全性向上

プロトタイプ機

・成層圏動力飛行の実現

・一昼夜の滞空

・太陽電池、燃料電池電源技術の実証

・成層圏飛行の実現

・材料・構造技術の実証

・飛行制御、

運用管制技術の実証 再生型燃料電池の開発地上試験 ・再生型燃料電池技術の実証

SC

Motor

FC

SC

Motor Motor

FC

・開発計画 C:燃料電池のみを装備する成層圏飛行船(FC機)を開発し、数 時間に渡る滞空試験を行う。この成果等も反映して太陽電池と 再生型燃料電池を装備する成層圏飛行船(SC+RFC機)を 開発し、一昼夜~数日に渡る滞空飛行試験を行い、成層圏プラ ットフォーム技術の総合実証を行う。

(9)

成層圏滞空飛行試験

定点滞空飛行試験

SC+RFC技術実証機 大型化、長寿命化信頼・安全性向上 実用機 プロトタイプ機

・一昼夜~数日の滞空

・成層圏プラットフォーム技術の総合実証

・成層圏飛行の実現

・材料・構造技術の実証

・飛行制御、

運用管制技術の実証

SC

Motor

RFC

SC

Motor Motor

RFC

FCのみ装備

技術実証機

・成層圏動力飛行の実現

・2時間程度の滞空

・燃料電池技術の実証

電源系の 補完等

Motor

FC

昼・夜

Motor Motor

FC

昼・夜

4.3 開発計画案の詳細

上記A~Cの開発計画について、試験機の諸元、開発スケジュール、開発費用 等の検討を行った。

(1)開発計画A

開発計画Aは、太陽電池、再生型燃料電池を装備した技術実証機により、成 層圏に一昼夜~数日滞空する飛行試験を実施するものである。本計画における 試験機の仕様、必要な電源要素技術レベル、開発費用、期間、開発スケジュー ル等は以下の通りである。

66kW(RFC33kW×2、SC定格525kW)

電源出力

飛行試験 開発

約330億円(地上設備等を含む)

再生型燃料電池 太陽電池性能

1.5年 4.5年

エネルギ密度420Wh/kg 比重2.5g/W

効率13%

期間 費用 要素技術 レベル

10.9ton(地上全備130.6ton)

船体質量

搭載重量250kg、

電力供給5kW程度まで ミッション

ペイロード

一昼夜~数日 滞空時間

船体長150m(L/D=4)

船体規模

15m/sec(高度18km)

耐風性能

18km以上 最大到達高度

試験機仕 66kW(RFC33kW×2、SC定格525kW)電源出力

飛行試験 開発

約330億円(地上設備等を含む)

再生型燃料電池 太陽電池性能

1.5年 4.5年

エネルギ密度420Wh/kg 比重2.5g/W

効率13%

期間 費用 要素技術 レベル

10.9ton(地上全備130.6ton)

船体質量

搭載重量250kg、

電力供給5kW程度まで ミッション

ペイロード

一昼夜~数日 滞空時間

船体長150m(L/D=4)

船体規模

15m/sec(高度18km)

耐風性能

18km以上 最大到達高度

試験機仕

100 地上設備、回収設備等整備・維持

地上設備整備等

60 搭載品製作

評価試験※)

15 RFC構成機器開発

再生型燃料電池

15 EM設計、製作、試験(1式)

費用総額 約330

※) 再生型燃料電池の信頼性を確保するための評価試験を待たずに搭載するため、1、2日の滞在が限界。評価試験の結果を 踏まえた改修等により数日間の滞空が可能。

セル・パネル開発、

製造設備整備 太陽電池

30 搭載品設計・製作(3式)

10 飛行試験

50 機器調達・機体製作

10 製造設備整備

40 基本/詳細/維持設計・開発試験

試験機設計・製作

開発費用 6年目 (億円)

5年目 4年目

3年目 2年目

開発1年目

100 地上設備、回収設備等整備・維持

地上設備整備等

60 搭載品製作

評価試験※)

15 RFC構成機器開発

再生型燃料電池

15 EM設計、製作、試験(1式)

費用総額 約330

※) 再生型燃料電池の信頼性を確保するための評価試験を待たずに搭載するため、1、2日の滞在が限界。評価試験の結果を 踏まえた改修等により数日間の滞空が可能。

セル・パネル開発、

製造設備整備 太陽電池

30 搭載品設計・製作(3式)

10 飛行試験

50 機器調達・機体製作

10 製造設備整備

40 基本/詳細/維持設計・開発試験

試験機設計・製作

開発費用 6年目 (億円)

5年目 4年目

3年目 2年目

開発1年目

本計画は、成層圏プラットフォーム技術を飛行試験の中で総合実証すること が可能であり、開発計画 B 案と比較した場合に実用段階へ積み残す技術リスク

(10)

が大きく減ること、実用機に至る開発費用をC案に比べて少なくできること等 の利点があるが、多くの開発要素を含んだ、150m 級の飛行船を最初から開発 することになるため、開発リスクが大であるという問題がある。

(2)開発計画B

開発計画Bは太陽電池、燃料電池を装備した技術実証機により、成層圏に一 昼夜滞空する飛行試験を実施する一方、併せて再生型燃料電池の開発を行い、

地上で評価試験を行うものである。本計画における試験機の仕様、必要な電源 要素技術レベル、開発費用、期間、開発スケジュール等は以下の通りである。

48kW(FC24kW×2、SC定格191kW)

電源出力

飛行試験 開発

約220億円(地上設備等を含む)

再生型燃料電池 燃料電池 太陽電池性能

2年 3年

エネルギ密度420Wh/kg エネルギ密度350Wh/kg 比重3.0g/W

効率13%

期間 費用 要素技術 レベル 7.7ton(地上全備90.3ton)

機体重量

搭載重量250kg、

電力供給5kW程度まで ミッション

ペイロード

一昼夜 滞空時間

船体長110m(L/D=3)

船体規模

15m/sec(高度18km)

耐風性能

18km以上 最大到達高度

試験機仕様

48kW(FC24kW×2、SC定格191kW)

電源出力

飛行試験 開発

約220億円(地上設備等を含む)

再生型燃料電池 燃料電池 太陽電池性能

2年 3年

エネルギ密度420Wh/kg エネルギ密度350Wh/kg 比重3.0g/W

効率13%

期間 費用 要素技術 レベル 7.7ton(地上全備90.3ton)

機体重量

搭載重量250kg、

電力供給5kW程度まで ミッション

ペイロード

一昼夜 滞空時間

船体長110m(L/D=3)

船体規模

15m/sec(高度18km)

耐風性能

18km以上 最大到達高度

試験機仕様

RFC構成機器開発 15

再生型燃料電池開発

45 地上設備、回収設備等整備・維持

地上設備整備等

15 EM設計、製作、試験(1式)

15 評価試験※)

PM設計・製作(1式)

費用総額 約220

※)電源技術確立のため、再生型燃料電池の開発は飛行試験と平行して別途行い、地上で 評価試験を行う。

搭載品 45 製作 搭載用電源系開発

10 設計、製作(2式)

燃料電池

飛行試験

セル・パネル開発 太陽電池

5 45 機器調達・機体製作

25 基本/詳細/維持設計・開発試験

試験機設計・製作

開発費用 5年目 (億円)

4年目 3年目

2年目 開発1年目

RFC構成機器開発 15

再生型燃料電池開発

45 地上設備、回収設備等整備・維持

地上設備整備等

15 EM設計、製作、試験(1式)

15 評価試験※)

PM設計・製作(1式)

費用総額 約220

※)電源技術確立のため、再生型燃料電池の開発は飛行試験と平行して別途行い、地上で 評価試験を行う。

搭載品 45 製作 搭載用電源系開発

10 設計、製作(2式)

燃料電池

飛行試験

セル・パネル開発 太陽電池

5 45 機器調達・機体製作

25 基本/詳細/維持設計・開発試験

試験機設計・製作

開発費用 5年目 (億円)

4年目 3年目

2年目 開発1年目

本計画は、技術実証機の段階で一昼夜に渡る成層圏滞在の実証が可能であるこ と、開発期間、開発費用を3案の中で最小にすることができること等の利点があ るが、飛行試験のみでは成層圏プラットフォーム技術の総合実証とはならず、再 生型燃料電池系については別途地上試験での補完となること、すでに実績のある 機体規模までしか開発しないため、将来の大型飛行船の開発・運用に際して技術 ステップが大になる可能性があること等の問題がある。

(11)

(3)開発計画C

開発計画Cは燃料電池を装備した第一ステップ試験機により、早期に成層圏 に到達し2時間程度滞空する飛行試験を実施し、これに続いて、太陽電池、再 生型燃料電池を装備した技術実証機により、成層圏に一昼夜~数日滞空する飛 行試験を実施するものである。本計画における試験機の仕様、必要な電源要素 技術レベル、開発費用、期間、開発スケジュール等は以下の通りである。

再生型燃料電池

100kg、

電力供給800W以上 上空2時間 48kW(FC24kW×2)

6.6ton(地上全備77.5t) 船体長100m(L/D=3)

15m/sec(高度18km)

18km以上

ステップ1 効率13%

要素技術 太陽電池 レベル ステップ2

66kW (RFC33kW×2、SC定格525kW)

電源出力

飛行試験 開発

約400億円(地上設備等を含む)

(1step/2step = 約200/約200億円)

1.5年(第一ステップ1年)

4.5年(第一ステップ2.5年)

エネルギ密度420Wh/kg 比重2.5g/W

期間 費用 10.9ton (地上全備130.6ton)

船体質量

搭載重量250kg、

電力供給5kW程度まで ミッション

ペイロード

一昼夜~数日 滞空時間

船体長150m(L/D=4)

船体規模

15m/sec(高度18km)

耐風性能

18km以上 到達高度

試験機仕

再生型燃料電池

100kg、

電力供給800W以上 上空2時間 48kW(FC24kW×2)

6.6ton(地上全備77.5t) 船体長100m(L/D=3)

15m/sec(高度18km)

18km以上

ステップ1 効率13%

要素技術 太陽電池 レベル ステップ2

66kW (RFC33kW×2、SC定格525kW)

電源出力

飛行試験 開発

約400億円(地上設備等を含む)

(1step/2step = 約200/約200億円)

1.5年(第一ステップ1年)

4.5年(第一ステップ2.5年)

エネルギ密度420Wh/kg 比重2.5g/W

期間 費用 10.9ton (地上全備130.6ton)

船体質量

搭載重量250kg、

電力供給5kW程度まで ミッション

ペイロード

一昼夜~数日 滞空時間

船体長150m(L/D=4)

船体規模

15m/sec(高度18km)

耐風性能

18km以上 到達高度

試験機仕

第2ステップ用地上設備、回収設備等改修・整備・維持

40 第1ステップ用地上設備、回収設備等整備・維持

地上設備整備等

RFC構成機器開発 15

70 製造設備整備

飛行試験

20 基本/詳細/維持設計・開発試験

第1ステップ試験機

40 機器調達・機体製作

5

60 搭載品製作

評価試験※)

10 搭載用FC設計、製作(2式)

再生型燃料電池

15 EM設計、製作、試験(1式)

基本/詳細/維持設計・開発試験

費用総額 約400

※) 再生型燃料電池の信頼性を確保するための評価試験を待たずに搭載するため、1、2日の滞在が限界。評価試験の結果を 踏まえた改修等により数日間の滞空が可能。

セル・パネル開発、

製造設備整備 太陽電池

30 搭載品設計・製作(3式)

10 飛行試験

50 機器調達・機体製作

10 25 第2ステップ試験機

開発費用 6年目 (億円)

5年目 4年目

3年目 2年目

開発1年目

第2ステップ用地上設備、回収設備等改修・整備・維持

40 第1ステップ用地上設備、回収設備等整備・維持

地上設備整備等

RFC構成機器開発 15

70 製造設備整備

飛行試験

20 基本/詳細/維持設計・開発試験

第1ステップ試験機

40 機器調達・機体製作

5

60 搭載品製作

評価試験※)

10 搭載用FC設計、製作(2式)

再生型燃料電池

15 EM設計、製作、試験(1式)

基本/詳細/維持設計・開発試験

費用総額 約400

※) 再生型燃料電池の信頼性を確保するための評価試験を待たずに搭載するため、1、2日の滞在が限界。評価試験の結果を 踏まえた改修等により数日間の滞空が可能。

セル・パネル開発、

製造設備整備 太陽電池

30 搭載品設計・製作(3式)

10 飛行試験

50 機器調達・機体製作

10 25 第2ステップ試験機

開発費用 6年目 (億円)

5年目 4年目

3年目 2年目

開発1年目

本計画は、成層圏プラットフォーム技術を飛行試験の中で総合実証すること が可能であり、開発計画 B 案に比べて実用機段階に積み残す技術リスクを大き く減らせること、第一ステップの試験により、成層圏動力飛行及びミッション 実証試験を3案の中で最も早期化できること、また第一ステップの試験により、

飛行試験のリスクの低減が可能であること等の利点があるが、技術実証段階全 体の開発費用が最大となるという問題がある。

4.4 開発計画の選定についての所見

各開発計画の特徴をまとめると、以下のようになる。

(12)

開発計画 A 開発計画 B 開発計画 C 開発期間 4.5 年 3 年 ①2.5 年

②4.5 年 開発費用 約 330 億円 約 220 億円 約 400 億円 到達点 RFC+SC 機飛行試験 FC+SC 機飛行試験

及び RFC 地上試験 RFC+SC 機飛行試験 機体規模 150m 110m ①100m

②150m 到達高度

耐風性能

18km 以上 最大 15m/sec

滞在期間 一昼夜~数日 一昼夜 ①上空 2 時間

②一昼夜~数日 開発計画 A、C は SC+RFC 機による飛行試験を行うものであり、飛行試験単体 で成層圏プラットフォームの総合実証となるものである。しかし、一方で B 案と 比較した時には RFC 開発のスケジュールがタイトになるなどの問題がある。

また、A 案については、150m 級の飛行船に最初から着手することになり、定 点滞空試験機(70m 級)からの製造・運用における技術ステップが大きい。また、

本試験の船体は軟式構造を前提としているが、150m 級の軟式構造飛行船は過去 に例が無く、構造の詳細設計の結果によっては半硬式構造などの導入により開発 コスト、期間が増大するリスクがあり、これも実績のある 100m 級船体を用いる B 案との開発リスクの差となる。一方で C 案については 100m 級試験機による 第一ステップの試験で得られた製造・運用技術を反映することにより大規模飛行 船の製造・運用に最初から着手するリスクを避け、また成層圏動力飛行の早期化 を図っているが、開発コストが最大であることが問題となる。

一方、B案については費用、期間とも最小であり、機体規模も比較的小さいも ので済むが、電源技術の主要な要素となる再生型燃料電池系が飛行試験機には含 まれていない。再生型燃料電池系については地上で環境槽などを用いて単体評価 試験を行うが、実際に飛行船システムに組み込んで実環境で動作させる実証を行 うことは出来ず、システム全体としての問題点、評価試験における条件設定の問 題など、いわば開発リスクを後の実用機開発に積み残す部分がある。また、比較 的小さい機体規模であるため、将来の大型飛行船の開発・運用に際して技術ステ ップが大になる可能性もある。

このように、これらの開発計画は、何れも開発コスト、開発リスクのトレード オフが存在しており、投入可能な費用、実用段階への移転のタイミング等の外的 要因に拠るところが大であると考えられる。また、開発主体がどこになるかによ っても、開発の進め方に大きな影響があるので、開発計画については開発体制と 併せて引き続き検討する必要がある。

(13)

5.ミッション系の検討

技術実証機で想定される主要なミッションを選定し、そのミッションにより実証 可能な技術課題や機体システムに対する要求等を検討した。通信・放送ミッション の概要を表5-1、地球観測ミッションの概要を表5-2に示す。通信・放送ミッ ションの検討では、機体システムとして、搭載重量50kg、供給電力500Wで も可能であるが、搭載重量100kg以上、供給電力2kW以上(可能であれば搭 載重量250kg以上、供給電力5kW以上)の条件が確保されることが望ましい という結果が得られた。一方、地球観測ミッションの検討では、一般に、搭載重量、

供給電力に対する要求は小さいものの、24時間から数日程度の滞空時間を確保で きることが望ましいという結果が得られた。

(14)

表5-1 通信・放送ミッションの概要

主要アプリケーション(上段)と主要技術課題(下段)

No. ミッション名 特徴と効果

(実用化時のイメージ)

搭載重量 50kg 所要電力 500W のケース

搭載重量 100kg 所要電力 2kW のケース

搭載重量 250kg 所要電力 5kW のケース

高速無線アクセ

(DBF)

31/28GHz

・ブロードバンド伝送を多数のユー ザとアクセスポイント間で行う。

マルチビームの DBF アンテナを 使用

Ø

・直径 100km 程度までの広域に 渡る無線 LAN 接続(インターネ ット、IP 電話、電子メール等)

が可能

・小型地上アンテナ(10-20cm 程度)で数 M から数十 Mbps 以 上のブロードバンド接続可能

・航空機、列車、バス、車両等高速 移動体への広域無線サービスが可

・インターネット接続・電子メール

・無線 LAN 中継

・映像伝送

(動画及び地図情報等)

・高速移動車両捕捉・追尾通信

Ø

アダプティブアンテナ技術

・多ビーム化:100 素子以下

・空間分割多元接続

・適応マルチビーム制御

・地上局捕捉・追尾

・プラットフォーム動揺補償 周波数共用技術

・ビーム間干渉低減

・覆域内周波数再利用

(リソースマネジメント)

・降雨減衰対策

(ビーム出力制御)

地上端局アンテナ技術

・捕捉・追尾技術

・搭載重量 100kg のケースの約 2 倍の通信性能を持つことが出来、

地上から搭載器材内の通信プロト コル変更も可能

Ø

アダプティブアンテナ技術

・多ビーム化(100-200 素子)

・空間分割多元接続

・適応マルチビーム制御

・地上局捕捉・追尾

・プラットフォーム動揺補償

・ソフトウェア無線技術 アクセス制御技術

・アクセス制御プロトコル

・無線資源割り当て技術 周波数共用技術

・Dynamic Channel Assign- ment(DCA)

・適応変調・伝送速度制御技術 地上端局技術

・小型・軽量アンテナ(直径 10-

20cm)

移動体通信

(IMT2000)

2GHz

・地上基地局の交換機能を搭載す る。ITS(各車両との送受)にも 適用可

Ø

・地上基地局間のネットワークが地

・スルーリピー タによる通信 可能

・携帯電話インターネット接続・電 子メール

・携帯電話映像伝送

(動画及び地図情報等)

・複数地上小型携帯端末同時通信

・搭載重量 100kg の場合に比較し て約 4 倍の通信性能を持つこと が可能

Ø

アクセス制御技術

(15)

上回線を介せずに低コストで接続 可能

・多数地上設置されている携帯用ア ンテナ鉄塔が不要

・海上、山岳地帯、遠隔地等従来の 不感地域、サービス外地帯でも携 帯電話の低コストでサービスエリ ア拡大可能

(ハンドオーバ)

Ø

搭載基地局技術

・交換技術

2GHz 帯マルチビームアンテナ技

・16 ビーム以下

・適応信号処理技術

・マルチビーム制御

・ハンドオーバ機能

・アクセス制御プロトコル

・小型軽量化搭載型大容量交換技術 マルチビームアンテナ技術

・多ビーム化

(16―100 ビーム)

・ソフトウェア無線技術

・適応信号処理技術

・マルチビーム制御

・ハンドオーバ機能

広帯域伝送

(MBH)

47/48GHz

・ミリ波帯で広帯域大容量

(100Mbps)の情報を伝送可能 で、放送用素材伝送、携帯電話・

ITS 等各種通信の基幹通信に適用

Ø

・マラソン中継等同時多地点との高 精細映像の放送素材集配信が可能

・災害、交通渋滞、領海等のリアル タイム高精細映像での監視

・高精細映像監視・高速通信機能に よる陸海空の管制、保安等が可能

・遠隔医療診断、移動救急医療診断 等可能

・インターネット接続・電子メール

・無線 LAN 中継

・高精細映像伝送(高精細動画映像 及び高精細地図等)

・高精細映像複数チャンネル伝送

・高速移動車両受信

Ø

広帯域マルチビームホーンアンテナ 技術

・多ビーム化アンテナ機構

(7素子以下)

・周波数再利用

・可変サービスエリアアンテナ 降雨減衰対策

・インタリーブ機能長周期化

(機能確認)

地上端局技術

・捕捉・追尾技術

・搭載重量 100kg の場合に比較し て約 3 倍の通信性能を持つこと が可能

Ø

広帯域マルチビームホーンアンテナ 技術

・多ビーム化アンテナ機構

(20 素子以下)

・周波数再利用

・可変サービスエリアアンテナ 搭載通信制御局技術

・多チャンネル広帯域通信制御 周波数共用技術

・適応変調・伝送速度制御技術

・インタリーブ機能長周期化

・降雨減衰対策(蓄積等)

地上端局技術

・小型軽量化

放送

・UHF 帯

・UHF 帯 TV 放送局機能を搭載す る。出力数十W、高度 20km で 直径約 200km の地域をカバー することが可能

・スルーリピ-

タによる 2 チ ャンネル位の 中継放送可能

・市販地上ディジタル放送受信機放 送受信

・高速移動車両受信

Ø

・ほぼ実用レベル(地上ディジタル 放送と同等のチャンネル数可能)

Ø

(16)

Ø

・東京タワーのような大出力放送塔 は不要

・多数の地上放送タワーが不要

・ハイビジョン TV を新幹線、航空 機、バス等移動体で受信可能

搭載放送局技術

・中継・切り換え技術

(5 チャンネル以下)

広域放送技術

・広ビームアンテナ(覆域検証)

・多チャンネル中継・切り換え技術 広域放送技術

・可変サービスエリア機能アンテナ

・広ビームアンテナ 周波数共用技術

・単一周波数ネットワーク技術

・周波数再利用技術

・地上放送局との共用技術

地上電波電位置 評定

・地上の電波源の探知位置評定が可

Ø

・山岳救難、雪崩埋設救難、海上遭 難漂流信号探知

・違法電波探知

・直交リニアア レイアンテナ

(各 8 素子以 下)による到 来電波探知機 能確認

・擬似遭難信号探知

・擬似違法局探知

Ø

・高分解能アレイアンテナ・キャリ ブレーシション技術

・位置精度向上技術(一部)

・高分解能擬似遭難信号探知

・擬似違法局探知

Ø

・高分解能アレイアンテナ・キャリ ブレーシション技術

・位置精度向上技術

(大口径アレイアンテナ)

・電波諸元判定技術

実用システム基 盤技術

・プラットフォ ーム間データ リンク網

・複数プラットフォーム間データリ ンク機能

Ø

・地上系ネットワークと独立し得る 幹線系の構築(地上災害の影響を 受けない)独自の大容量データ伝 送幹線系通信・情報インフラの実

・光信号追尾機 能確認(地上

/飛行船間)

・光信号捕捉・追尾技術

(地上/飛行船間)

・広帯域フィーダーリンク接続

Ø

・地上/飛行船間光通信接続・追尾

・搭載光アンテナ

・広帯域光伝送(200Mbps 以 下)

・飛行船 2 機以上必要 自律制御 ネットワーク技術実証には 3 機 以上必要

Ø

・プラットフォーム間捕捉追尾技術

・広帯域技術(200M-1Gbps)

(大気のゆらぎ補償技術等)

・自律制御ネットワーク技術

その他

・超低周波受信 機能

・GPS 代替補完 機能

・地震探知、火山活動監視、地球観 測(ホイッスラー受信等)

・GPS 不感地帯の補完、遭難者探 知・精度向上

小型化長波長高感度搭載アンテナ

・電波諸元判定技術

・判定アルゴリズム GPS 代替情報送信技術

(17)

表5-2 地球観測ミッションの概要

No. ミッション名 ミッションの概要

技術的意義

(このミッションにより実 証できる技術課題等)

機体システムに対する要求

(ミッション系の重量、電 力、滞空時間等)

備考

(実現する際の課題、実用 機との関連等)

小型長時間動作大気測定シ ステム

・成層圏試験機の大気採取 測定システムを小型化か つ長時間動作が可能なシ ステムとする。

・CO2 以外の気体も検討 する。

・システムが実際に長時間 使用可能であることの実

・他の気体観測機の開発検

重量:成層圏試験機と同等 電力:200W 以下

動作時間:24 時間以上

・実用機では測定精度を保 持しながら長期間動作さ せなければならない。そ のための手法の開発が課

海洋ロボット、調査船の遠 隔制御と海洋観測機器の監

・日本近海海上の海洋ロボ ット、調査船、ブイ、浮 上式海底地震計などと陸 上の双方向通信を行う。

・小型小電無線機、海上表 面アンテナを用いたディ ジタルデータ伝送

・可能であれば IP 化

・遠隔制御方法

重量:100kg 電力:500W 以下 動作時間:12 時間程度

・高速 IP 通信を行う為に は、安定した無線回線の 確立が必要

植生観測実証実験

・超多周波数を持つハイパ ースペクトロメータ

(100 チャンネル以上)

を搭載し、次のミッショ ンを行う。

(1)植生の基礎的情報の 取得(生態系における物 質収支等)

(2)農作物の成育モニタ 実験(収穫量予測、害虫 被害監視等)

(3)衛星による日本全土 の樹種分類のための事前 実験

・将来の衛星搭載ハイパー スペクトロメータの技術 実証

・農作物成育把握のための 解析アルゴリズムの実証

・樹種分類のための解析ア ルゴリズムの実証

重量:100kg 程度 電力:150W 程度 動作時間:数日~数ヶ月

・ハイパースペクトロメー タの軽量化・省電力化

・定点試験機より大きいと 考えられる位置、姿勢外 乱から画像を補正する手 法が課題

防災・災害監視

・熱赤外域を含む光学セン サにより、火災発生の監 視、火山噴火の監視、地 震発生後の状況把握等の

・小型・軽量・超寿命化の 実証

重量:200kg 程度 電力:250W 程度 動作時間:数日~数ヶ月

・定点試験機より大きいと 考えられる位置、姿勢外 乱から画像を補正する手 法が課題

(18)

交通監視

・高分解能カメラにより、

自動車交通量を広域観測 し、混雑状況の情報提供 を行うとともに、将来の 交通システム構築のため の基礎データとする。

・画像情報から交通量を算 出するソフトウェアの実

重量:50kg 以下 電力:50W 以下 動作時間:数日~数ヶ月

・定点試験機より大きいと 考えられる位置、姿勢外 乱から画像を補正する手 法が課題

(19)

6.技術実証機の開発の在り方 6.1 開発着手に向けての工程

(1)ミレニアム・プロジェクトの事後評価

まずは、16年度に完了する定点滞空飛行試験後、ミレニアム・プロジェク トの成果をとりまとめ、事後評価を行うことが必要である。

(2)開発体制の確立

ミレニアム・プロジェクト終了後、技術実証機開発に着手する場合、

①成層圏プラットフォーム開発の最終目的は、民需による実用化であること を鑑みると、国の全額負担は適切でないこと

②これまでの検討から、技術実証機の開発総額は数百億円程度に達するが、

昨今の厳しい国の財政事情から、国の全額負担は困難であること

などを踏まえると、適切な役割分担に基づく官民共同開発体制の検討が必要で ある。

なお、技術実証機の開発は、ミレニアム・プロジェクトに比べて大規模にな ることから、プロジェクト・マネジメント強化が必要である(例えば、機体本 体と機体の追跡・管制の一元的な開発体制等)。

また、ミッション系については、民間主体の開発も視野に入れて検討するこ とも必要である。

(3)開発着手に向けた事前評価

技術実証機の開発着手に先立ち、透明性の高い第三者機関による事前評価が 不可欠である。事前評価として必要と思われる項目の例としては、以下が考え られる。

・実用化した場合の社会的波及効果の再確認

・これまでの成果の検証

・技術実証機の技術的意義と実用機開発までの具体的見通し

・研究開発機関のあり方

・研究開発に係る資金計画

・スケジュールの妥当性

・研究開発課題の妥当性 等

事前評価については、ミレニアム・プロジェクトの事後評価終了後、可能な 限り早期に実施する必要がある。また、事前評価に向けて、評価に必要な基礎 データの充実を図るべきである。

また、飛行船本体の実現性の評価に当たっては、海外の状況等を踏まえつつ、

電源に関する技術動向や大型飛行船の機体構造に関する技術的見通し等を適正 に考慮する必要がある。

更に、準天頂衛星の開発開始等、現在まで、通信・放送分野等の技術動向に 変化が見られ、今後も技術革新が予想され、また、その他地球観測等多目的な

(20)

利用も予想されることから、これらのことを総合的に踏まえて、飛行船の長所、

必要性等を適正に考慮する必要がある。

6.2 開発体制

開発体制の例として以下のようなものが考えられるが、引き続き適切な開発体 制を検討する必要がある。

・民間企業から成る技術研究組合(コンソーシアム)を主体として開発、必要 に応じて補助金等により費用を一部負担

・公的研究開発機関に民間企業から委託等を行って開発(開発主体は公的研究 開発機関)

・国から民間企業に開発経費の一定割合を補助して開発(開発主体は民間企 業)

・公的研究開発機関と民間企業(体)が共同開発 等 6.3 官民の役割分担

国が関与すべき役割としては、現時点では

・薄膜軽量太陽電池、再生型燃料電池など電源系の開発

・膜材料の高度化

など、民間企業での取り組みが難しい技術的リスクの高いものや基礎研究に相当 するものが考えられるが、具体的な項目については技術動向に応じて引き続き検 討が必要である。

6.4 開発に当たっての留意事項

これまでは国内開発を前提に進めてきたが、技術実証機の開発を更に加速する ためには、海外からの技術導入や国際共同開発など海外との連携を視野に入れる べきである。

(21)

参考資料1

技術実証機検討チーム 構成員名簿 顧問

森 幹彦 成層圏プラットフォーム開発協議会飛行船部会長 独立行政法人航空宇宙技術研究所

舞田 正孝 企画経営室長

清水 亨 成層圏プラットフォームプロジェクトセンター長 通信・放送機構

井澤 一朗 研究推進部長(第2回会合まで)

大矢 浩 研究推進部長(第3回会合以降)

大橋 一夫 三鷹成層圏プラットフォームリサーチセンターサブリーダー 鈴木 幹雄 横須賀成層圏プラットフォームリサーチセンター

プロジェクトサブリーダー 宇宙開発事業団

長島 隆一 衛星総合システム本部衛星プログラム推進部長 海洋科学技術センター

釣谷 康 海洋技術研究部長 独立行政法人通信総合研究所

三浦 龍 横須賀無線通信研究センター

無線イノベーションシステムグループリーダー 文部科学省

大塚 洋一郎 研究開発局宇宙開発利用課長 吉田 大輔 研究開発局海洋地球課長 総務省

坂巻 政明 総合通信基盤局電波部衛星移動通信課長

伊丹 俊八 総合通信基盤局電波部次世代航空通信システム開発室長

(22)

参考資料2

技術実証機検討チームにおける検討の過程 第1回(平成14年12月19日)

(議題1)飛行船システムのこれまでの検討について

(議題2)今後の進め方について

(議題3)その他

第2回(平成15年2月6日)

(議題1)機体仕様について

(議題2)ミッションについて

(議題3)海外動向について

(議題4)開発体制等について

(議題5)その他

第3回(平成15年4月25日)

(議題1)報告書案について

(議題2)その他

参照

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