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カレントトピックス 移植医療の現状と新潟県の取り組み

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Academic year: 2021

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著者プロフィール

< 現職 >

・秋山政人(アキヤマ マサト)

 公益財団法人 新潟県臓器移植推進財団

< 学歴 >

・1989年 3 月  長野大学産業社会学部社会福祉学科  卒業(医療福祉学専攻)

< 表彰 >

・1998年 8 月  ぐんま臓器移植推進財団理事長,群馬 県知事表彰

       「臓器移植医療の推進に寄与」

・2014年 4 月  平成26年度 文部科学大臣表彰 科学 技術賞 理解促進部門

        「地域医療機関を中心とした献腎移植 の普及啓発」

< 所属学会・団体役員等 >

・ 一般社団法人 日本移植学会,代議員,ネットワー ク委員会副委員長

・ 日本臨床腎移植学会 評議員,コーディネーター部 門 幹事長

・日本組織委移植学会

・日本移植コーディネーター協議会(JATCO)

< 臓器提供関連資格 >

・ 臓器斡旋委嘱(ドナーコーディネーター)

 1995年 4 月〜2016年 7 月

・眼球斡旋委嘱(新潟県)

 2001年 4 月〜

・ Donor Action Train-The-Trainers Course 修了  (ベルギー2002年 4 月)

・ Transplant Procurement Management(TPM)

Advanced Course 修了  (スペイン2006年11月)

< 非常勤講師等 >

・ 新潟大学大学院地域予防医学講座法医学分野 非常 勤講師(法医学)

・ 新潟医療福祉大学 非常勤講師(内科学Ⅰ,病態生 理・治療学Ⅰ)

・ 新潟県立新発田看護専門学校(看護関係法規)

・ 新潟県警察学校外部講師(強行犯法医専科)

Corresponding author:

公益財団法人新潟県臓器移植推進財団

〒950-8570 新潟市中央区新光町 4 番地 1 Tel・Fax:025-283-4880

E-mail:[email protected]

移植医療の現状と新潟県の取り組み

秋 山 政 人

公益財団法人 新潟県臓器移植推進財団

(2)

< 作業班・研究班等 >

・ 厚生労働省「臓器移植に係る普及啓発に関する作業 班」班員

・ 厚生労働省「臓器提供意思登録システムに関する作 業班」班員

・ 平成11年度厚生科学研究事業北川分担研究「臓器移 植の社会的資源に向けての研究」研究協力者(平成 12年終了)

・ 厚生労働科学研究費補助金(免疫アレルギー疾病予 防等・治療研究事業 移植医療研究分野)高橋分担 研究 移植医療の社会基盤整備に関する研究「DAP の検証」に関する研究 研究協力者(平成25年終了)

・ 平成26年度厚生労働科学研究費補助金「適切な臓器 提供を可能とする院内体制整備とスタッフの教育研 修プログラムの開発に関する研究」研究協力者

1 .移植医療とは

なんとなくイメージが湧く移植医療であるが,それ を説明することになるとスムースに説明できないもの である.

移植医療とは,病気や怪我により臓器の機能が低 下,または機能を失い服薬などの内科的治療や手術な どの外科的治療を施しても臓器機能が回復しない病状 の場合,機能を失った臓器を入れ替えるという治療法 が臓器移植,または移植医療である.その際に必要な のは第三者から提供さる健康な臓器である.移植医療 が「特殊な医療」と言われる意味はここのところであ る.すなわち「病気の治療」とは,端的に患者と医師 などの医療者がいれば成り立つ.しかし移植医療はそ の両者プラス第三者からの臓器の提供が無ければ成り 立たないという事が「特殊」を意味するところであり,

したがって「医療」として特殊なのではなく,「第三 者が必要」というところが他の医療と違うところであ る.

臓器の提供を受ける際には 2 つの方法がある.その 1 つは,健康なご家族から病気のご家族へ移植される

「生体間移植」である.2 つ目は,亡くなった方から ご提供いただき臓器不全で苦しむ方へ移植される「死 体臓器移植」である.

生体間移植の場合は,健康なご家族から提供される ことから,腎臓など,臓器が 2 つあるものや,肝臓や 膵臓のように 2 つに分けることのできるものに限られ る.しかし生体移植で問題なのは,基本的に健康な方 の体にメスを入れることになり,治療としては正しい

姿ではない.したがって国際的にも,わが国の方針と しても臓器提供,臓器移植は死体からの提供・移植で 賄うべきものであるとされている.

しかしわが国の死体臓器提供の現状は,年間で110 例程の提供にとどまり,臓器不全患者への恩恵には程 遠い状況がある.

2 .臓器の移植に関する法律 ―概要と留意点―

臓器の移植に関する法律(以下,臓器移植法)は,

1997年10月16日に施行,12年後の2009年 7 月12日に改 正され現在に至っている.言うまでもなく臓器移植法 は,亡くなった方からの臓器提供・移植を適切に行う ために定められた法律である.その骨子は,①本人が 生前に臓器提供を拒否していない場合,及び提供の意 思が不明な場合は家族の書面による承諾で提供が可 能,②脳死判定・臓器提供のするための年齢制限を撤 廃,③親族への臓器の優先提供を認めた事である.す なわち年齢を問わず国民に対し提供,及び移植の機会 の権利を保障したことにある.言い換えれば,海外に 依存することなく年齢を問わずわが国で臓器移植がな される法体系となったと言える.

さらに臓器提供意思を叶えるために医療機関へも,

提供意思確認を義務づけたことも大きな変化である.

臓器移植法のガイドライン(第 6 条 1 項 主治医等)

によれば,「脳死とされうる状態など予後不良にある 患者家族に対し,その不可逆的状況を十分に家族に説 明し,その理解の状況を踏まえ,臓器提供の機会があ ることと移植コーディネーターによる説明が受けられ る事を書面,又は口頭で告げる」こととなった.

具体的には,医療機関に入院する際,全ての患者が 何らかの意思表示をしているか否かを確認し,不幸に も危篤となった場合に,その患者の意思を尊重する か,またはご家族のご意向がどうであるかを尋ねる制 度となった.しかしこの確認が十分ではなく,わが国 の提供意思の尊重は他国に比べて少なく,結果,提供 者数は少ない状況となっている.

3 .臓器提供の現況

(公社)日本臓器移植ネットワーク(以下,JOT:

Japan Organ Transplant Network)によると,2018 年 3 月31日時点で臓器移植を待っている人は,心臓 665名,肺325名,肝臓306名,腎臓12,343名,脾臓42 名などとなっている一方,2017年度における脳死者か らの臓器提供は77名に留まっている.臓器移植法が施 行され,「家族の書面での承諾」に基づく臓器提供が

(3)

可能となってから臓器提供は増えているが,臓器移植 待機者にとってはまだまだ十分ではないのがわが国の 現状である1 )

臓器提供を詳細にみると,わが国全体では人口100 万人当たり約0.9人 /pmp(Per Million of Population)

である.新潟県においては,2017年 1 月〜12月の提供 者数は 6 名で2.6人 /pmp となり,全国トップとなっ ている.また,直近 5 年間の平均においても,新潟県 は約2.0人 /pmp であり,わが国全体の平均の約 2 倍

の臓器提供がなされていることがわかる(表 1 , 2 )

提供者が増えた要因は,2000年10月より新潟県内の 主だった医療機関に対し,県行政などと共に積極的に 臓器提供推進活動を開始したことが挙げられる.医療 機関に対する活動は,特に救急における看取り医療を いかに構築するかを念頭においた活動であり,徐々に 各施設状況に即した,すなわちテーラーメードの院内 における臓器提供の環境づくりが定着し,それに伴い 臓器提供数も増えてきたという経過がある.

表 1  新潟県における臓器提供者数(各年度 4 月 1 日~ 3 月31日)

表 2  人口100万人あたりの県別臓器提供割合(2017年度)

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9

脳死下提供者数 心停止下腎提供者数

H29 H28 H27 H26 H25 H24 H23 H22 H21 H20 H19 H18 H17 H16 H15 H14 H13 H12 H11 H10 H9 H8 H7

2 2

1

0 0 0 0

1 2

1 5

3

4 4 4 4

3 5

7

1 4

5

2 2 2 2

1 1 1 1

病院啓発 事業開始

ドナーアクション プログラム開始

1.26/pmp

2.11/pmp

1.68/pmp

0.84/pmp 2.95/pmp

3.37/pmp 3.43/pmp

1.31/pmp 0.86/pmp

2.6/pmp

1.68/pmp 1.26/pmp

直近 5 年平均

≒ 2 人 /pmp

平成 30 年 1 月 10 日現在

都道府県 100万割合 都道府県 100万割合

1 新潟県 2.6

10 徳島県 1.3

2 静岡県 2.4 12 広島県 1.1

3 群馬県 2.0 12 愛知県 1.1

4 鹿児島県 1.9 12 岡山県 1.1

5 富山県 1.8 15 香川県 1.0

6 三重県 1.7 15 東京都 1.0

7 長崎県 1.4 17 大阪府 0.9

7 沖縄県 1.4 17 山形県 0.9

7 島根県 1.4 19 奈良県 0.7

10 兵庫県 1.3 19 山口県 0.7

(4)

4 .臓器提供,新潟県の普及啓発の経過

わが国の臓器提供をみると1990年代の法律では脳死 の概念はなく,心臓死後の腎臓と眼球の提供のみで あった.

この頃の死体からの腎臓提供(以下,献腎)は,危 篤を宣告されたご家族からの尊い提供の申し出によっ てなされてきた.この事は多くの地域で共通した事柄 でもある.当時の普及啓発は,地域の移植医らがボラ ンティアによって,自身の勤める病院,同窓会,地域 医師会活動などの折,脳外科や救急科の医師に臓器提 供への協力をお願いするという,いわば個人の努力で 推進活動をしていたのが普及啓発の現実であった.

そのような経過の中,1990年 4 月,わが国の方針と して移植医に代わり臓器移植コーディネーター(以 下,DTC:Donor Transplant Coordinator)がその任 を担う形となったが,その人は何をして,どのような 立場であるのかが十分知られていない存在であったた め,さらに保守的な医療界では,信頼度などが不明な DTC はあまり相手にされていない状況があり十分に 啓発活動ができずにいた.

また,移植医について「臓器を受ける側が,提供の 現場(救急・集中治療部)にいることは良くない」と の雰囲気が高まり,すなわち「公正・公平」の名のも とに,それまで普及啓発の中心であった移植医も普及 啓発の現場から遠ざかるを得ない現象も起きた.その 結果,1990年代より各地域での活動で得た臓器提供数 を下回る結果になった.

これを好転すべく行った活動は,あえて移植医に啓 発の現場に戻ってきていただき,以前のように積極的 に啓発活動に邁進していただくことが大事であるとの 認識が高まり,現在では移植医も一緒になって普及啓 発が行われている.

すなわち移植医と DTC の共同活動の意図は,移植 医が,信頼度が低い DTC を病院長や救急医に紹介し,

今後の具体的な臓器提供のための院内システム構築 を,DTC と医療機関が主体的に展開してほしい旨を 紹介して歩くことでその信頼性と実効性を上げること を目的とした.

新潟県においては,いわゆる臓器提供意思を無理な く尊重するための院内環境づくり,とりわけ医療機関 における臓器提供システムの構築や救急における看取 り医療の実現を目指した活動,すなわち医療機関啓発

(Professional Education)を「官民一体の活動」とし て積極的に始動した経緯である.

5 .新潟県の臓器提供推進.ゼロからの挑戦 ―これ までの歩み―

( 1 )背景:救急医療現場で直面する問題点(提供意 思尊重の観点から)

1997年10月16日,臓器の移植に関する法律が施行さ れ,2009年に現在の臓器移植法に改正され今日に至っ ている.この法律の画期的なことは,基本理念(第 2 条 1 項)に「臓器提供者の意思は尊重されなければな らない」とし,提供者の権利を明確に条文化したこと である.

2009年の臓器移植法改正にあわせ健康保険証や運転 免許証にも臓器提供意思表示カードと同様の内容が刷 り込まれ,現在では国民の全てが臓器提供の意思表示 ができる環境となった.しかしその意思を拾い上げる のは,各医療機関において事実上医師の裁量に委ねた のである.

一般論であるが,臓器提供者が多く発生する救急等 の医師にすれば,救命を尽くす事で精一杯,かつ多忙 を極める救急現場では「意思表示はありましたか?」

などと聴くゆとりも意識もない.そのような状況で臓 器提供者の権利は尊重されているのであろうか.さら に救急現場で臓器提供の話をする際,当然のことなが ら救命を尽くした後の話である.すなわち救命医療と 臓器提供は分離した状況下で行われなくてはならない が,臓器提供の話を切り出す事で救命治療を疎かにし ているとの誤解を生じさせてしまうのではないか,と 考えている場合も少なくない.

他方,家族側から考えた場合,救命センター等の重 症ユニットへ搬入される患者は,慢性疾患患者とは違 い,受傷・発症する瞬間まで元気だった方が多数を占 める.家族からすれば,極めて受け入れがたい事象が 突然襲ってくるのが特徴の医療現場である.すなわち 家族にとっては急激に,また重く悲嘆を伴う瞬間でも ある.家族へのケア,寄添いの援助を中心にしたケア のためには,臨床経時的な配慮をもったコミュニケー ションスキルや心のケアを活用できる人材がそこには 必要となる.

寄添いの援助が未成熟な救急医療機関においては,

悲嘆に暮れている家族に対し「臓器提供意思の抽出」

を行うのは容易なものではない.すなわち家族の悲嘆 の軽減を図り患者の病状を理解させ,結果,回復の見 込みがない由を家族に認識させた後に臓器提供意思の 抽出を図る事ができていない現状であった.

(5)

( 2 )救急施設職員の意識改革の本質は何処になるのか 結論から言えば,前述のように急激な経過をたどる 救急患者において,連続性があるケアの中から現場の 負担を最小にして臓器提供意思を抽出することが院内 の臓器提供システムづくりでは重要な課題である.

また経験として,筆者が DTC の任に就いた1995年 を思い出せば,救急施設の医師の多くが「日本人の死 生観,宗教観がね」と言われていた事を思い出す.結 果,予後不良患者家族への対応は「自由に面会をさせ る」や「そーっとしておいてあげよう」とコミュニ ケーション豊かにご家族との接触を図る事が十分では なかったと思う.この「人と人」という医療における 本質的な部分をいかに無理なく実現するかに主眼を置 く医療機関の環境づくりが本質であり,重要なことと 位置付け活動する事が大切なことであるとした.

( 3 )病院開発,取り組みのポイント

このポイントは,医療機関における意識づけ等,い わば“下地作り”をしないとうまくいかない.それを 病院開発と呼んだ.

病院開発の視点の第 1 点は,従来から行われている 心停止下の腎提供の定着こそ重要であると考えた.そ の事から医療機関,とりわけ救急医などに腎移植後の 透析離脱症例の紹介や,さらには移植患者が社会復帰 し,新たな生活を獲得しているなど,移植医療のすば らしさを広めていくという,いわば成功神話の伝達こ そが,移植医療を定着させるための必要事項と結論づ けたのである.刻々と進化する医療技術,当然,臓器 提供における目標設定は実情に即した展開を考えるこ とも必要である.

第 2 点目は,病院開発は移植医や DTC,院内コー ディネーター(以下,院内 Co)だけではなく,行政 や患者会,地域の各種団体,さらにはマスコミなどと 一致協力するという,すなわち 7 者一体の活動が重要 な要素である.この事が永年に渡って臓器提供システ ムを継続する事につながると考えた.すなわち,地域 社会全体が必要性を理解するような方式が肝要である と考えたのである.2001年の出来事である.

具体的には,新潟県では臓器提供を増やすための本 質は,家族の悲嘆の軽減を図り患者の病状を理解さ せ,結果,回復の見込みがない由を認識させた後に臓 器提供意思の抽出を図る事ができる現状を構築するこ とにある,とコンセプトを明確にしている.(図 1 ) すなわち病院職員に対し,臓器提供は Living Will(生 前の意思)の 1 つとしてとらえていただくような学習

会などを開催し職員の意識改革から始めることにした.

この手法を取り入れた根拠は,マーケッティングの 手法を用いた,ベルギーの Donor Action Foundation が開発した“Donor Action Program”(以下,DAP)

で 活 用 す る 病 院 職 員 の 意 識 調 査 HAS注 1 )(HAS:

Hospital Attitude Survey)から見出した.本県の複 数の医療機関で約800人の医師・看護師などに調査し た結果,「臓器提供によって人の命が救われるか?」

は約83%が「思う」と答えているのに対し,「臓器提 供によって家族の悲しみが癒されると思うか?」の設 問に約62%が「わからない」と答えている.すなわち 臓器提供は家族の心情に何らかの変化をもたらすか否 かについて考察することが医療機関,特に救急では無 かったと推察する.また同じ設問でヨーロッパの医療 者約5,000人とわが国の同数の医療者に対しての比較 結果もこれと同様であり,新潟県の傾向というより,

わが国の環境がそうであることが推察できる結果で あった.(表 3 )すなわち我々が考える急性期におけ る看取りの医療について医療者の思考には,Living Will の選択肢に臓器提供は含まれていないことが分 かったのである.むしろその発想すらないのが現況で あった.

これら救急現場においける発想の転換と患者・家族 の Living Will に沿った看取りを取り組む姿勢は,臓 器提供にこだわることなく,重症ユニットには必要な 事だとする意識改革が最重要として医療機関啓発に力 を注いだ.今日においても,欠かすことなく医療機関 と学習会を重ねこのシステムの維持に邁進している.

新潟県の DAP コンセプト

─救命救急医療と移植医療─

▪大前提は共通です。救える患者さんを可能な限り助けること。

▪そのためには、質の高い救命救急医療が必要です。

▪しかしどうしても救命できない患者さんもいらっしゃいます。

 突然のご不幸にご家族の悲しみは計り知れません…。

▪救命救急施設はこうした患者さんの看取りと悲嘆家族の心のケ ア(グリーフケア)を行うことも大切な仕事です…。

 質の高い医療の提供には絶対に必要です。

▪施設として・チームとして「お別れの医療と心のケア」のなか で、「臓器提供」の選択肢をご家族の心情に配慮しながら提示 する、そのなかで、臓器提供意思を抽出し、移植医療に結びつ けていこうとする活動が「ドナーアクションプログラム」です。

図 1

(6)

6 .おわりに

医療機関啓発においては,家族が納得する治療があ り,そして臓器提供にも感謝をしていただけるような 院内環境の構築が最も重要である.その事が臓器提供 を増やすきっかけである事が著者の活動の実感として も感じられる.

患者に対する可能な限りの救命治療を提供するのと 並行して,刻々と変わる病状を受け止めなければなら ない家族に対するケア,救命できなかった場合の看取 りの医療から臓器提供へとつながる連続的な流れを構 築してゆくよう時代に合った臓器提供推進活動をして 行くこと,そして医療者すべてが救急における看取り について知見を獲得し,また考察する柔軟性が患者・

家族への寄添いには大切であると考えていただければ 幸いである.

注書

注 1 )HAS:Hospital Attitude Survey(病院職員意識調査)

   ◆病院職員に対する匿名アンケート    ◆意識・知識・ニーズを明らかにする

    質問項目の構成は,職種・所属・個人としての臓器提供 への考え方・移植医療についての一般的意識・移植コー ディネーターへの希望などとし,職員の求めているもの

や移植医療の知識度を把握するアンケート

参考文献

1 )公益社団法人日本臓器移植ネットワーク http://www.

jotnw.or.jp/index.html

2 )小野元(聖マリアンナ医科大学病院) :グリーフケアの意義,

高橋公太(編),MEDICAL VIEW 社,東京,2009,52-53.

3 )秋山政人,高橋公太:OPINION_ 臓器提供を増やすには

─基盤整備の視点から─,今日の移植,Vol.13(3),日本医 学館,東京,2000.

4 )秋山政人,高橋公太,大島伸一,長谷川友紀,鈴木和男:

DISCUSSION_ 献腎移植を増やすには,今日の移植,Vol.14

(2),日本医学館,東京,2001.

5 )秋山政人 齋藤和英 高橋公太:ドナーアクションプロト コール〜新潟県の試み〜,Organ Biology,Vol.8(3), (社団)

日本臓器保存生物医学会,2001.

6 )秋山政人:新潟県における現状と取り組み,高橋公太(編),

献腎移植を増やすには─献腎提供運動は意義あるボランティ ア活動である─,日本医学館,東京,2001,13-20.

7 )秋山政人,齋藤和英,高橋公太:救命救急医療の家族ケア と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン,TRENDS & TOPICS IN TRANSPLANTATION,Vol.15(2),2004.

8 )秋山政人,齋藤和英,高橋公太:ドナーアクション:新潟 県のケース,清水信義・高橋公太(編)特集「ドナーアクショ ン」,移植,Vol.39(4),日本移植学会,2004.

9 )秋山政人:Ⅱ. 腎移植登録の実際とそのシステム ドナー コーディネーターの役割,高橋公太(編),腎移植のすべて,

メジカルビュー社,2009,43-45.

10)秋山政人,中川由紀,齋藤和英,高橋公太,中村晴美,小 野元,力石辰也:小児ドナーから小児レシピエントへの献腎 提供〜臓器移植コーディネーターとしての関わり〜,今日の 移植,Vol.22(5):100-103,日本医学館,東京,2009.

11)秋山政人:献腎移植における preemptive 登録,今日の移 植,Vol.23(5):642-643,日本医学館,東京,2010.

12)秋山政人:いまどきの臓器提供─新潟県の現況と官民一体 の活動─,日本小児腎不全学会誌,Vol.30:9-16,2010.

13)秋山政人:心停止下献腎提供の手順,腎移植・血管外科学 会,23(2):30-36,2011.

14)秋山政人:Donor Action と臓器移植法の改正の留意点,

表 3

0 10 20 30 40 50 60

70 69.3 Europe Japan

11.6 8

30.6

22.7 57.8

% yes % no % don’ t know,

no answer

臓器提供は家族の悲嘆を軽減する

Total Survey

ヨー ロッパとの 対比

HAS データの比較 :

日本:9 県の 29 病院 (n=5,039)

ヨーロッパ:8 カ国 (n=5,447)  ・Finland, France, Greece, Hungary, Poland, Sweden,

  Switzerland, United Kingdom

データ収集時期:2001/01- 2004/04

(7)

Organ Biology,Vol.18(1) :39-45,日本臓器保存生物医学会,

2011.

15)秋山政人:長期透析患者の献腎移植におけるコーディネー ターの対応,腎移植・血管外科,Vol.24(2):154-159,2012.

16)秋山政人:ESSAY_ 改正臓器移植法「子供を守ることに 意義」,今日の移植,Vol.25(6),日本医学館,東京,2012.

17)秋山政人:(特集)腎保存と臓器提供推進活動 _ 臓器提供 推進活動,腎と透析,Vol.75(1):103-107,東京医学館,東 京,2013.

18)秋山政人:(特集)臓器移植と今後の展望 _ 臓器提供推進 活動(Donor Action),Vol.49(9):1-5,医薬ジャーナル,

2013.

19)秋山政人:(総説)臓器提供推進活動(Donor Action)─

新潟県,ゼロからの挑戦─,新潟県医師会報,No.768:1-7,

2014.

20)秋山政人:献腎移植への道のり─臓器移植法改定後─「新

潟県における Donor Action Program ─官民一体の活動─」,

泌尿器外科,Vol.27(臨時増刊号),医学図書出版株式会社,

2014.

21)秋山政人: 【腎移植】移植コーディネーターの役割 透析・

腎移植の全て,腎と透析,Vol.76(増刊号),東京医学社,

2014.

22)秋山政人:移植に関わるコーディネーターはどのような仕 事をするのか,深川雅史(監)/ 西愼一(編),腎移植コン サルタント,金芳堂,東京,2016,278-282.

23)秋山政人:日本臨床腎移植学会の事業─わが国での役割に ついて「啓発活動」,日本臨床腎移植学会50周年記念誌:

327-333,日本臨床腎移植学会,2017.

24)秋山政人:(総説)移植コーディネーターと透析医・透析 スタッフとの接点,臨牀透析,Vol.33(13) :25-30,日本メディ カルセンター,2017.

25)秋山政人:臓器提供の現状とコーディネーター,長岡赤十

字病院医学雑誌,Vol.31(1):5-10,2018.

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