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C . 研究結果

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Academic year: 2021

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平成28年度 医療的ケア児に対する実態調査と医療・福祉・保健・教育等の連携に関する研究

厚生労働科学研究費補助金(障害者政策総合研究事業)

分担研究報告書 平成28年度

医療的ケア児に対する実態調査と医療・福祉・保健・教育等の連携に関する研究 分担研究課題(Ⅰ-3):「医療的ケア児数と資源調査③‐厚労省データと文科省データの比較―」

研究協力者 : 奈倉 道明(埼玉医科大学 総合医療センター小児科)

研究分担者 : 田村 正徳(埼玉医科大学 総合医療センター小児

A . 研究目的

医療的ケア児数を全国規模で経時的に算出す るためには、定義の透明性と算出の簡便性が求 められる。前研究では診療報酬の算定件数に着 目し、医療的ケア児数を算出するために4つの 定義を提示し、それらに基づく数値を算出した。

これらを「厚労省データ」と名付ける。厚労省 データにおける4つの定義にはそれぞれ長短が あり、いずれを妥当とすべきかの決め手はなか った。一方で、文部科学省(文科省)は平成 19 年度から特別支援学校等を対象に調査を行って おり、全国の医療的ケアを必要とする児童生徒 数を把握している。学校は義務教育年齢の子ど もを全数調査する場として最も適した場所であ り、文部科学省が把握しているデータは信頼性 が高いと言える。本研究の目的は、文科省のデ

ータを詳細に分析し、さらに厚労省データと比 較して、最も整合性の高い「医療的ケア児数」

を選択することである。

B. 研究方法

文科省では平成 19 年度より「特別支援学校医 療的ケア実施体制状況調査」を実施し、全国の 医療的ケアの対象となる児童生徒数を把握して きた。平成 24 年度からは実数把握の調査を「特 別支援学校等の医療的ケアに関する調査」と題 し、医療的ケア児に特化した解析を行っている。

医療的ケア児数としては、平成27年5月1日に 実施した調査が最新であり、その結果を本研究 で使用することとする 1)。この調査結果から普 遍性の高い医療的ケア児数を算出し、厚労省デ ータの4つの定義に基づいた医療的ケア児数と

【研究要旨】

医療的ケア児数を全国規模で経時的に算出するためには、定義の透明性と算出の簡便性が求められる。前 研究では診療報酬の算定件数に着目し、医療的ケア児数を算出するための4つの定義に基づく6種類の数字 を提示した(厚労省データ)。一方で、文部科学省による特別支援学校等の調査で、信頼性の高い医療的ケア 児数が得られている(文科省データ)。これらを比較し、最も信頼性の高い医療的ケア児数を算出する方法を 選択した。

<1> 文科省データの解析

文科省データから、全国の7~18歳の医療的ケア児数は9194人前後と考えるのが妥当と考えた。この数は、

7~18歳児の1万人中、6.724人に相当する。

<2> 文科省データと厚労省データとの比較

厚労省データに基づいた6種類の算出方法から7~18歳の医療的ケア児数を推計すると、第1定義の①:

27,650、②:22,298、③:8,801、第2の定義:8,358、第3の定義:8,169、第4の定義:4,413となった。

これらの中で、文科省データと最も整合性が取れていたのは、第1定義の③「在宅自己注射指導管理料を除 く全ての在宅療養指導管理料の算定件数を合計する方法」であった。よって、この方法をもって医療的ケア 児数の算出方法とする。

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平成28年度 医療的ケア児に対する実態調査と医療・福祉・保健・教育等の連携に関する研究

比較し、厚労省データによる整合性の高い「医 療的ケア児数」を選択する。

C . 研究結果

<1> 文科省データの解析

文科省による「特別支援学校等の医療的ケア に関する調査」の調査対象は、全国の公立特別 支援学校に在籍する日常的に医療的ケアが必要 な幼児児童生徒、及び全国の公立小中学校に在 籍する日常的に医療的ケアが必要な児童生徒と されている。調査結果は下記のとおりである。

特別支援学校に在籍する医療的ケア児

① 幼稚部 46人

② 小学部4099人

③ 中学部2016人

④ 高等部1982人

公立小中学校に在籍する医療的ケア児

⑤ 839人

これらの数値を年齢層別に考察する。

幼稚部(3~6歳)について考察すると、幼稚 部を持つ特別支援学校は全国で171校であり、

全1114校の15%にすぎない2)。そして、全国 の特別支援学校幼稚部の幼児生徒数は 1499 人 であり 2)、そのうち1378 人(92%)は聴覚障 害もしくは視覚障害を持っている。つまり、特 別支援学校の幼稚部の生徒は、聴覚もしくは視 覚障害を持っている者にほぼ限られている。よ って「幼稚部の医療的ケア児46人」という数値 は、この年齢層の全医療的ケア児を反映したも のではないため、3~6歳の年齢層の全国データ として採用すべきではない。

小学校~中学校の年齢層(7~15 歳)につい ては、義務教育年齢であるため、この年齢層の 医療的ケア児の全数を捕捉していると言え、信 頼性が高い。

高等部について考察すると、特別支援学校中

学部の卒業生9967人のうち、96.3%が特別支援 学校高等部へ進学しているが、進学せずに福祉 施設への入所・通所する者が86人いる2)。重症 な高校年齢の医療的ケア児はこちらに含まれる 可能性が高い。また、中学校特別支援学級の卒 業生18227人の94.1%は高校へ進学し、61.4% は特別支援学校高等部へ進学している 2)。中学 校特別支援学級の医療的ケア児は、通常高校よ りも特別支援学校高等部へ進学する可能性が高 いと考えられる。よって、高校年齢の医療的ケ ア児は、特別支援学校高等部及び福祉施設に在 籍していると考えられる。高校年齢の医療的ケ ア児の推計値としては、④の特別支援学校高等 部に在籍する 1982 人に加え、福祉施設在籍者 86人×3学年=258人を加えるべきと考えられ る。よって、全国の7~18歳の医療的ケア児数 は9194人前後と考えるのが妥当であろう。

②+③+④+⑤=8936人

➡ ②+③+④+⑤+258=9194人

ちなみに総務省統計局人口推計によれば、平 成27年10月1日における7~18歳の人口の合 計は1367.4万人である3)。よって、7~18歳の 児童生徒の中では1万人中6.724人が医療的ケ ア児である、と言うことができる。

<2> 厚労省データと文科省データとの比較 以上を踏まえて、前述の厚労省データによる 医療的ケア児数を振り返る。厚労省データは 0

~19 歳を対象年齢としたが文科省データは 7~

18 歳を対象年齢としていることから、両者を比 較するためには、厚労省データを 5~19 歳で再 集計した上で以下の仮定に基づく補正を行わな ければならない。

5~19 歳(15 年分)の数値×80%

=7~18 歳(12 年分)の数値

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平成28年度 医療的ケア児に対する実態調査と医療・福祉・保健・教育等の連携に関する研究

この仮定に従うと、前述の厚労省データの6種 類の算出方法に基づいた 7~18 歳の医療的ケア 児数は以下のようになる。

第1の定義

(全ての在宅療養指導管理料)

① 在宅自己注射を全て含む---27,650

② 在宅自己注射の一部を除く-22,298

③ 在宅自己注射を除く ----8,801 第2の定義 ----8,358

(他者により施される医行為)

第3の定義 ----8,169

(文部科学省調査の基準に則る)

第4の定義 ----4,413

(喀痰吸引等)

第1定義の③、第 2 定義、第3定義、第4定 義での推計値は、いずれも 8 千人台で近い値で あるが、文科省データ 9194 に最も近いのは、第 1定義の③の 8801(95.7%)である。よって、

第 1 定義の③をもって「医療的ケア児数」と定 義すれば、文科省データとの整合性が最も高い と考えられる。

以上をまとめると、文科省データからは全国 の 7~18 歳の医療的ケア児数は9194人前後と 考えられ、同年齢の1万人中6.724人に相当す る。そして、診療報酬の算定件数に着目した医 療的ケア児数の 6種類の算出方法の中で文科省 データと最も整合性が高い方法は、定義1の③

「在宅自己注射指導管理料を除く全ての在宅療 養指導管理料の算定件数を合計する方法」であ る。

D.健康危険情報 なし

E. 研究発表

なし

F.

知的財産権の出願・登録状況 なし

文献

1) 文部科学省「特別支援教育に関する調査の 結果関連」より「平成27 年度特別支援学校 等の医療的ケアに関する調査結果について」

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubet u/1343889.htm

2) 文部科学省「特別支援教育資料(平成27年 度)」

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubet u/material/1373341.htm

3) 総務省統計局人口推計「年齢(各歳),男女 別人口-総人口,日本人人口(平成 27 年 10 月 1 日現在)」

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