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P ha rm a ce ut i ca l A ppr o a che s fo r I m pro v i ng P sy chi a t ri c P ha rm a co t he ra py

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Academic year: 2021

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(1)

1

精 神 疾 患 領 域 に お け る 薬 物 治 療 適 正 化 の 取 り 組 み

P ha rm a ce ut i ca l A ppr o a che s fo r I m pro v i ng P sy chi a t ri c P ha rm a co t he ra py

平 成

2 9

年 度 論 文 博 士 申 請 者

安 藤 正 純

(An do , Ma s a zum i )

指 導 教 員

越 前 宏 俊

(2)

2

目 次

序 章

・ ・ ・

p3

第 Ⅰ 章

・ ・ ・

p4

第 Ⅱ 章

・ ・ ・

p1 4

第 Ⅲ 章

・ ・ ・

p2 0

ま と め

・ ・ ・

p2 4

謝 辞

・ ・ ・

p2 6

参 考 文 献

・ ・ ・

p2 7

図 表 ・ ・ ・

p3 2

(3)

3

序 章

近 年 、医 療 の 質 の 向 上 お よ び 医 療 安 全 の 確 保 の 観 点 か ら チ ー ム 医 療 に お い て 薬 剤 師 の 主 体 的 な 薬 物 療 法 参 加 が 推 進 さ れ て い る .精 神 神 経 科 領 域 の 薬 物 治 療 は 、入 院 治 療 の 頻 度 が 高 く 、多 剤 併 用 が 多 い こ と が 指 摘 さ れ て い る . 平 成

2 4

年 度 の 診 療 報 酬 改 訂 で は 薬 剤 師 の 医 療 従 事 者 の 負 担 軽 減 お よ び 薬 物 療 法 の 有 効 性 、安 全 性 の 向 上 に 資 す る 業 務 に 対 し て 「 病 棟 薬 剤 業 務 実 施 加 算 」 が 新 設 さ れ た . 従 来 、 薬 剤 師 の 病 棟 業 務 の 有 益 性 に 関 す る 報 告 は 一 般 病 棟 を 中 心 に な さ れ て お り 、 精 神 神 経 科 領 域 で の 報 告 は 少 な い .「 精 神 科 薬 剤 業 務 実 施 加 算 」も 新 設 さ れ た が 実 施 期 間 に つ い て は 当 初「 入 院 後

4

週 間 ま で 」 の 制 約 が あ り 、 そ の 後 「 入 院 後

8

週 間 ま で 」 延 長 さ れ た が 人 的 資 源 不 足 等 の 問 題 か ら 精 神 科 病 棟 で の 病 棟 活 動 は い ま だ に 十 分 推 進 さ れ て い な い .

そ こ で 、申 請 者 は こ の 現 状 を 打 ち 破 る た め に 薬 剤 師 が 精 神 神 経 疾 患 の 薬 物 治 療 の 適 正 化 に 貢 献 で き る こ と を 研 究 成 果 で 示 す べ く 幾 つ か の 試 み を 行 い 、 一 定 の 成 果 を 得 た の で 報 告 す る .

(4)

4

Ⅰ .バ ル プ ロ 酸 に よ る 高 ア ン モ ニ ア 血 症 発 現 の 病 態 と 併 用 薬 に よ る 影 響 に 関 す る 検 討

【 背 景 】

バ ル プ ロ 酸 (

VPA

) は 、 全 般 性 ま た は 部 分 性 の て ん か ん の 治 療 に 広 く 使 用 さ れ て い る

[1 ]

最 近 、 双 極 性 障 害 、 躁 病 精 神 病 、 精 神 分 裂 症 患 者 な ど の 暴 力 行 為 の 改 善 や 予 防 に 有 効 で あ る こ と が 示 さ れ て い る た め 、VPA は 様 々 な 精 神 疾 患 患 者 に 処 方 さ れ て い る

[1 ]

本 や 米 国 で は 病 院 に 入 院 し て い る 統 合 失 調 症 患 者 の

3

分 の

1

以 上 が

VPA

や そ の 他 の 気 分 安 定 剤 を 投 与 さ れ て い る と の 報 告 が あ る

[2 ] [3 ]

統 合 失 調 症 は 若 年 で 発 症 し 長 期 に わ た り 抗 精 神 病 薬 を 服 用 す る こ と が 特 徴 で あ る .治 療 を 継 続 す る 中 で 激 越 症 状 等 が 併 発 す る 場 合 に は 適 応 外 使 用 で は あ る が 気 分 安 定 化 作 用 を 期 待 し て バ ル プ ロ 酸 や カ ル バ マ ゼ ピ ン を 併 用 す る こ と が あ る . バ ル プ ロ 酸 (

VPA

) 投 与 は 、1 0 -7 0% の 頻 度 で 無 症 候 性 の 高 ア ン モ ニ ア 血 症 を 生 じ 、1% 弱 の 頻 度 で 症 候 性 脳 症 を 生 じ る . 高 ア ン モ ニ ア 血 症 は 、

V PA

の 投 与 に 伴 う 稀 で は あ る が 重 篤 な 有 害 反 応 で あ る .

VPA

誘 発 高 ア ン モ ニ ア 血 症 の 臨 床 症 状 は 、軽 度 の 意 識 障 害 か ら 昏 睡 状 態 に 及 ぶ 可 能 性 が あ

[4 -6 ]

VPA

2 -

プ ロ ピ ル ペ ン タ ン 酸 の

N a

塩 で あ り 、構 造 的 に は 脂 肪 酸 で あ る .

VPA

は グ ル ク ロ ン 酸 抱 合 に よ り 代 謝 さ れ る が , 一 部 は 他 の 脂 肪 酸 と 同 様 に カ ル ニ チ ン を 輸 送 担 体 と し て ミ ト コ ン ド リ ア に 取 り 込 ま れ た 後 に β 酸 化 を 受 け て 活 性 を 消 失 す る

[7 , 8 ] .

長 期 の

VPA

投 与 に よ り 担 体 輸 送 に カ ル ニ チ ン が 消 費 さ れ る と 、 他 の 脂 肪 酸 の ミ ト コ ン ド リ ア 内 へ の 輸 送 も 低 下 し 、β 酸 化 に よ り 生 じ る ア セ

チ ル

C o A

が 低 下 す る . 低 下 し た ア セ チ ル

- C o A

と グ ル タ ミ ン 酸 が 、

(5)

5

N -

ア セ チ ル グ ル タ ミ ン 酸 シ ン タ ー ゼ (

N AG S) に よ っ て 生 成 さ れ る N -

ア セ チ ル グ ル タ ミ ン 酸 (

N AG

) も 低 下 す る と 考 え ら れ る

[9 ]

N AG

は ア ン モ ニ ア を 尿 素 サ イ ク ル に 導 く 上 で 重 要 な 働 き を す る カ ル バ モ イ ル シ ン テ ー ゼ

1

CP S1 ) の 活 性 を ア ロ ス テ リ ッ ク な 機 構

で 亢 進 さ せ る 作 用 が あ る の で

[1 0 ]、 N AG

の 低 下 は

CP S 1

活 性 の 低 下 か ら ア ン モ ニ ア 代 謝 障 害 を 生 じ る 可 能 性 が あ る .

C P S 1

へ の ア ン モ ニ ア の 供 給 は 主 と し て グ ル タ ミ ナ ー ゼ に よ る グ ル タ ミ ン の 加 水 分 解 で あ る .

VPA

服 用 患 者 に お け る ミ ト コ ン ド リ ア 内 の

N AG

CP S 1

活 性 を 直 接 測 定 す る こ と は で き な い た め 、 血 清 中 の カ ル ニ チ

ン や ア ミ ノ 酸 濃 度 の 変 化 か ら

VPA

に よ る ア ン モ ニ ア 代 謝 へ の 影 響 を 推 測 し た ( 図

1

).

VPA

誘 発 性 の 高 ア ン モ ニ ア 血 症 の 病 態 は て ん か ん 患 者 ま た は 双 極 性 障 害 患 者 で は 血 清 カ ル ニ チ ン お よ び ア ミ ノ 酸 濃 度 を 変 化 さ せ る こ と が 報 告 さ れ て い る が

[11 -1 4 ]

、 抗 精 神 病 薬 が 多 剤 併 用 さ れ て い る 統 合 失 調 症 で は 検 討 さ れ て い な い .

そ こ で 本 研 究 で は 、

VPA

服 用 中 の 統 合 失 調 症 患 者 に お け る ア ン モ ニ ア 代 謝 に 関 係 す る ア ミ ノ 酸 濃 度 の 変 化 を 検 討 す る た め 、血 清 ア ン モ ニ ア 濃 度 の 変 動 に 関 係 す る 抗 精 神 病 薬 の 影 響 に 対 し 検 討 を 行 っ た .

【 方 法 】

対 象 患 者 は 、

2 0 1 3

1

月 か ら

2 0 14

2

月 に ハ ー ト フ ル 川 崎 病 院 に 入 院 中 の 統 合 失 調 症 患 者 で

VPA

を 服 用 し 研 究 へ の 同 意 能 力 が あ っ た 患 者 と し た .

測 定 項 目 は 、 血 清 ア ン モ ニ ア 濃 度

(

酵 素 法

)

、 血 清

VPA

濃 度

(HP L C/ MS

)

、 血 中 カ ル ニ チ ン 濃 度 と

4 0

種 類 血 清 ア ミ ノ 酸 濃 度

(6)

6

(H P L C

)

で 行 い 、 患 者 の 早 朝 空 腹 時 の 静 脈 血

1 0

L

を 採 取 し た .

測 定 項 目 の 基 準 値 は 株 式 会 社

B ML

が 定 め て い る 健 常 正 常 人 値 を 使 用 し た .

血 清

VPA

濃 度 は 著 者 が 明 治 薬 科 大 学 で 測 定 を 行 っ た . 統 計 解 析 は 、 血 清 ア ン モ ニ ア 濃 度 と 相 関 す る 臨 床 因 子 、

VPA

投 与 量

/

濃 度 、 血 清 ア ミ ノ 酸 濃 度 を 多 変 量 解 析 で 検 討 し た

(J MP v e r. 11 )

倫 理 的 配 慮 は 、試 験 計 画 は 明 治 薬 科 大 学 研 究 倫 理 委 員 会 で 承 認 さ

(Ap pro v a l N o . : 2 4 0 3 )

、 患 者 か ら 自 筆 署 名 で 同 意 を 取 得 し た

.

VPA

の 抽 出 は 血 清

1 m L

5 m L

の メ タ ノ ー ル を 加 え 、遠 心 分 離 後 、 上 清 を 測 定 試 料 と し た

.

分 離 は カ ラ ム

: C 1 8 O D S (2 x 5 0 m m )

で 行 い 、 移 動 相 は

2 0 m M

a m m o ni um fo rm a t e a nd a ce t o ni t ri l e ,

流 速

: 0 . 2 m L / m i n

で 行 っ た .検 出 は

L C-MS 2 0 2 0 sy st e m (S hi m a d zu, J APAN ), S I

モ ー ド

m / z 1 4 3 . 3

で 行 っ た . 血 清 ア ン モ ニ ア 濃 度 は 酵 素 法 で 行 い 、血 清 ア ミ ノ 酸 濃 度 お よ び 血 清 カ ル ニ チ ン 濃 度 は

H PAL C

法 で 行 い 株 式 会 社

B ML

に 測 定 を 依 頼 し た ( 表

1

).

【 結 果 】

VPA

を 服 用 し て い る 統 合 失 調 症 患 者 は 、 男 性

2 4

名 、 女 性

1 3

の 合 計

3 7

名 で あ っ た ( 表

2

). 年 齢 は 平 均

5 7 + 1 0

歳 [

3 7 -7 7

歳 ]、

体 重 の 平 均 は

5 7 + 11

㎏ [

3 4 -8 2

㎏ ]、 罹 病 期 間 の 平 均 は

2 8

±

1 6

1 -5 6

年 ]、

VPA

投 与 量 の 平 均 は

1 2 + 5

/

㎏ [

2 . 9 -23 . 4

/

㎏ ]、

抗 精 神 病 薬 の 投 与 量 を 示 す ク ロ ル プ ロ マ ジ ン 換 算 (

C P

換 算 )

[1 5 ]

の 平 均 は

1 , 4 8 1 + 1 , 3 4 7

/ da y

113 -5 , 5 3 2

/ da y

] で あ っ た . 肝 機 能 と 腎 機 能 は ほ ぼ 正 常 で あ っ た . 緩 下 剤 を 服 用 し て い た 患 者 は

3 2

名 (

8 6

% ) で あ っ た .

3 7

名 の 対 象 患 者 の 主 要 薬 物 療 法 は 抗 精 神 病 薬 の 平 均 が

3 . 3 + 1 . 7

(7)

7

[1 -8

]

で あ り 、 気 分 安 定 化 薬 の 平 均 は

1 . 3 + 0 . 5

[1 -3

]

あ っ た( 表

3

).抗 精 神 病 薬 は 最 大 で

8

剤 も の 種 類 を 併 用 し て い た . 抗 精 神 病 薬 の 処 方 率 は 、 ロ シ ゾ ピ ロ ン (

5 9

% )、 ク ロ ル プ ロ マ ジ ン

4 9

% )、 ハ ロ ペ リ ド ー ル (

4 9

% )、 リ ス ペ リ ド ン (

3 5

% )、 フ ル フ ェ ナ ジ ン(

2 7

% )な ど で あ っ た .気 分 安 定 薬 の 処 方 率 は 、

V PA

1 0 0

% )、

炭 酸 リ チ ウ ム (

1 4

% )、 カ ル バ マ ゼ ピ ン (

1 4

% ) で あ っ た .

血 清 ア ン モ ニ ア 濃 度[ 基 準 値:

1 8 - 7 0 µ g / d L

]は 平 均 で

6 4 ± 1 9 µ g / d L

で あ り 、 基 準 値 の 上 限 を 上 回 っ て い た 割 合 は

3 0

% 、 基 準 値 の 下 限 を 下 回 っ て い た 割 合 は 無 か っ た( 図

2

).一 方 、

V P A

濃 度[ 基 準 値 :

5 0 - 1 0 0 µ g / m L

は 平 均 で

5 1 ± 2 4 µ g / m L

で あ り 、基 準 値 の 上 限 を 上 回 っ て い た 割 合 は

1 4

% で あ り 、 基 準 値 の 下 限 を 下 回 っ て い た 割 合 は

5 4

% で あ っ た .

V PA

服 用 患 者 に お け る 血 清 カ ル ニ チ ン 濃 度 、血 清 ア ミ ノ 酸 濃 度 は 、 基 準 値 の 上 限 を

3 0

% 以 上 超 え た 項 目 は 、

α -

ア ミ ノ

- n -

酪 酸 濃 度

3 5 ± 8 n m o l / m L[ 8 . 1 -3 1 . 0

]、 グ リ シ ン 濃 度

3 9 4 ± 1 0 2 nm o l / m L[ 1 4 0 . 4 - 4 2 7 . 3 nm o l / m L

]、グ ル タ ミ ン 濃 度

7 0 0 ± 1 2 8 n m o l / m L

4 1 8 . 0 - 7 3 9 . 8 n m o l / m L

]、

グ ル タ ミ ン 酸 濃 度

1 2 2 ± 5 9 n m o l / m L

1 2 . 2 - 8 2 . 7 n m o l / m L] な ど で あ

っ た ( 図

3

). 一 方 で 基 準 値 の 下 限 を

3 0

% 以 上 下 回 っ た 項 目 は 、 ト リ プ ト フ ァ ン 濃 度

3 7 ± 1 0 n m o l / m L [ 3 6 . 2 - 7 9 . 3 n m o l / m L ]

、 総 カ ル ニ チ ン 濃 度

4 0 . 8 ± 1 6 . 5 µ m o l / L [ 4 5 - 9 1 µ m o l / L ]

、遊 離 カ ル ニ チ ン 濃 度

3 3 ± 1 3

µ m o l / L [ 3 6 - 7 4 µ m o l / L ]

で あ っ た .総 カ ル ニ チ ン 濃 度 お よ び 遊 離 カ ル ニ チ ン 濃 度 の 平 均 が 基 準 値 の 下 限 を 下 回 っ て お り

V PA

の 服 用 に よ り 濃 度 の 低 下 が 見 ら れ る こ と が 推 察 さ れ た ( 図

4

). 血 清 ア ン モ ニ ア 濃 度 と 正 の 相 関 を 認 め た 項 目 は 、 グ ル タ ミ ン 酸 濃 度

( r = 0 . 4 4 ,

p < 0 . 0 1 )

、 ト リ プ ト フ ァ ン 濃 度

( r = 0 . 3 5 , p = 0 . 0 3 )

で あ っ た ( 図

5

). 血

(8)

8

清 ア ン モ ニ ア 濃 度 と 負 の 相 関 を 認 め た 項 目 は グ ル タ ミ ン 濃 度

( r = - 0 . 4 1 , p

0 . 0 1 )

、グ リ シ ン 濃 度

( r

- 0 . 5 4 , p < 0 . 0 1 )

、で あ っ た( 図

5

).

血 清 ア ン モ ニ ア 濃 度 に 影 響 を 与 え る 血 清 ア ミ ノ 酸 濃 度 に つ い て 重 回 帰 分 析 を 行 っ た . 血 清 ア ン モ ニ ア 濃 度 が

1

µ g / d L 上 昇 す る と グ ル タ ミ ン 酸 濃 度 は

0 . 0 9 6 nm o l/ mL

上 昇 し 、 ト リ プ ト フ ァ ン 濃 度 は

0 . 6 0 1 nm ol / m L

上 昇 す る が 、 グ リ シ ン 濃 度 は

0 . 0 9 9 nm o l / m L

減 少 す る こ と が 示 唆 さ れ 、 寄 与 率

R 2

0 . 5 2

で あ っ た ( 表

4

).

VPA

服 用 患 者 の 高 ア ン モ ニ ア 血 症 に 対 す る 併 用 薬 の 影 響 に 関 す る 多 変 量 解 析 を 行 っ た . 対 象 者 は

3 7

名 で 、 抗 精 神 病 薬

1 7

種 類 、 気 分 安 定 薬

3

種 類 の 投 与

[0 / 1 ]

、 年 齢 、 性 別 、 体 重 、 罹 病 期 間 、 ア ラ ニ ン ア ミ ノ ト ラ ン ス フ ェ ラ ー ゼ (

ALT

)、 ク レ ア チ ニ ン (

C r

)、

VPA

投 与 量 、 血 清

VPA

濃 度 を リ ス ク 因 子 と し て 解 析 を 行 っ た . 年 齢 が 高 く な る と 血 清 ア ン モ ニ ア 濃 度 は 減 少

(p< 0 . 0 0 0 1 )

す る こ と が 示 さ れ た ( 表

5

). カ ル バ マ ゼ ピ ン

( p= 0 . 0 0 7 2 )

と レ ボ メ プ ロ マ ジ ン

(p= 0 . 0 4 2 )

の 服 用 は 血 清 ア ン モ ニ ア 濃 度 を 上 昇 さ せ 、リ ス ペ リ ド ン

(p= 0 . 0 0 8 6 )

と ス ル ト プ リ ド

( p= 0 . 0 1 38 )

の 服 用 は 血 清 ア ン モ ニ ア 濃 度 を 低 下 さ せ る こ と が 示 さ れ た ( 表

5

).

【 考 察 】

今 回 の 調 査 の 結 果 か ら 、統 合 失 調 症 患 者 に お け る

3 7

名 の

VPA

用 患 者 の 平 均 服 用 薬 剤 数 は 抗 精 神 病 薬 が

3 . 3

剤 ( 最 大 で

8

剤 )、 気 分 安 定 薬 が

1 . 3

剤 ( 最 大

3

剤 ) で あ っ た ( 表

3

). 肝 機 能 が 正 常 範 囲 内 で

VPA

の 投 与 量 が 多 く な い に も 関 わ ら ず 血 清 ア ン モ ニ ア 濃 度 が 高 い こ と が 示 唆 さ れ た ( 図

2

). ま た 、 患 者 で は 血 清 ア ン モ ニ ア 濃 度 の 増 加 、遊 離 カ ル ニ チ ン 濃 度 の 低 下 、ト リ プ ト フ ァ ン 濃 度 の 低 下 を 認 め た . ま た 、 グ ル タ ミ ン 酸 濃 度 、 グ ル タ ミ ン 濃 度 、 グ リ シ ン

(9)

9

濃 度 、

α

ア ミ ノ -

n

- 酪 酸 濃 度 の 上 昇 を 認 め た ( 図

3

). 血 清 カ ル ニ チ ン 濃 度 と 、遊 離 カ ル ニ チ ン 濃 度 の 平 均 は 基 準 値 の 下 限 よ り 低 か っ た ( 図

4

). 血 清 ア ン モ ニ ア 濃 度 と 代 表 的 な ア ミ ノ 酸 と 関 連 を 検 討 し た 結 果 、グ ル タ ミ ン 酸 と ト リ プ ト フ ァ ン で 正 の 相 関 を 、グ ル タ ミ ン 、 グ リ シ ン 、 シ ト ル リ ン と 負 の 相 関 を 示 し 、 カ ル ニ チ ン と 相 関 を 認 め な か っ た ( 図

5

). 多 変 量 解 析 に よ り 各 種 ア ミ ノ 酸 の 独 立 し た 血 清 ア ン モ ニ ア 濃 度 変 動 へ の 影 響 を 検 討 し た と こ ろ 、グ ル タ ミ ン 酸 と ト リ プ ト フ ァ ン 濃 度 と 正 の 相 関 を 認 め 、グ リ シ ン 濃 度 と 負 の 相 関 を 認 め た ( 表

4

). ま た 、 多 変 量 解 析 に よ り 血 清 ア ン モ ニ ア 濃 度 は カ ル バ マ ゼ ピ ン ま た は 、レ ボ メ プ ロ マ ジ ン の 併 用 に よ り 増 加 す る こ と が 示 さ れ 、リ ス ペ リ ド ン と ス ル ト プ リ ド の 併 用 に よ り 低 下 す る こ と が 示 唆 さ れ た ( 表

5

).

VPA

の 服 用 に よ る 血 清 ア ン モ ニ ア 濃 度 増 加 の 病 態 を 考 察 す る と 、

VPA

服 用 に よ り 分 枝 鎖 脂 肪 酸 の 輸 送 に 利 用 可 能 な カ ル ニ チ ン プ ー ル が 枯 渇 し た 場 合 、 こ れ ら の 脂 肪 酸 の β 酸 化 お よ び ア セ チ ル

-Co A

の 産 生 が 損 な わ れ た 可 能 性 が あ る 。 そ の 結 果 、 ア セ チ ル

-Co A

お よ び グ ル タ ミ ン 酸 か ら の

N AG

の 生 成 も 損 な わ れ て い る 可 能 性 が あ る

[7 , 8 ]

. 血 清 グ ル タ ミ ン 酸 レ ベ ル の 有 意 な 上 昇 は 、 ア セ チ ル

-Co A

よ び グ ル タ ミ ン 酸 か ら の

N AG

産 生 の 低 下 に よ る も の と 考 え ら れ る .

N AG

は 、 ア ン モ ニ ア や グ ル タ ミ ン と 重 炭 酸 塩 か ら の カ ル バ モ イ ル リ ン 酸 の

AT P

依 存 性 合 成 の 重 要 な 酵 素 で あ る カ ル バ モ イ ル リ ン 酸 シ タ ー ゼ

1

CP S 1

) の 活 性 を 刺 激 す る た め

[1 0 ]

N AG

の 不 足 は 、 尿 素 サ イ ク ル の 活 性 を 低 下 さ せ る と 考 え ら れ る .

VPA

CP S 1

の 活 性 を 阻 害 す る と い う 考 え は 、

Va zq u e z

[1 6 ]

に よ る 文 献 に お い て 初 め て 提 案 さ れ た .彼 ら は 、カ ル ニ チ ン お よ び

(10)

10

ア セ チ ル カ ル ニ チ ン の 変 化 し た 血 清 濃 度 と 比 較 し て 、て ん か ん を 有 す る

11

人 の 小 児 患 者 の

VPA

誘 発 高 ア ン モ ニ ア 血 症 に つ い て 検 討 を 行 っ た . さ ら に 、 本 研 究 で は 、 カ ル ニ チ ン

/

ア シ ル カ ル ニ チ ン 濃 度 の 変 化 だ け で な く 、変 化 し た ア ン モ ニ ア 代 謝 に も 関 与 す る 可 能 性 が あ る 他 の ア ミ ノ 酸 に つ い て も 、

VPA

を 投 与 さ れ た 患 者 の ア ン モ ニ ア 代 謝 を 調 査 し た . 従 っ て 、 本 研 究 で は

Va zq ue z [1 6 ]

ら に よ り 提 出 さ れ た

CP S 1

お よ び 高 ア ン モ ニ ア 血 症 の 活 性 に 対 す る

VPA

の 阻 害 効 果 の 元 の 概 念 を 拡 大 し 、 深 化 さ せ た と 言 え る .

現 在 の と こ ろ 、

V PA

投 与 量 あ る い は 血 漿 中 濃 度 と ア ン モ ニ ア の 血 漿 中 濃 度 の 関 係 に 関 す る 報 告 は 相 反 し て い る .我 々 は 、多 変 量 解 析 を 用 い 統 合 失 調 症 患 者 で

VPA

を 服 用 し て い た 患 者 を 対 象 と し て ア ン モ ニ ア 血 中 濃 度 に 及 ぼ す

VPA

の 定 量 的 な 関 係 を 検 討 し た . そ の 結 果 、 血 中 ア ン モ ニ ア 濃 度 と

VPA

投 与 量 、 ま た は

VPA

、 遊 離 カ ル ニ チ ン お よ び ア シ ル カ ル ニ チ ン の 血 清 濃 度 と の 間 に 有 意 な 相 関 は 観 察 さ れ な か っ た . こ の 点 は 以 前 の 研 究

[1 7 ]

と 矛 盾 す る が 、 他 の 研 究

[1 8 , 1 9 ]

と は 一 致 し て い た . 一 方 、 シ ス テ イ ン 、 エ タ ノ ー ル ア ミ ン 、 グ ル タ ミ ン 酸 、 バ リ ン 、 グ ル タ ミ ン 酸 、

α -

ア ミ ノ

-n -

酪 酸 お よ び

3 -

メ チ ル

-

ヒ ス チ ジ ン の 血 清 濃 度 は 血 中 ア ン モ ニ ア 濃 度 と 有 意 に 相 関 し て い た . そ の う ち 、 グ ル タ ミ ン 酸 は 、 血 中 ア ン モ ニ ア 濃 度 の 変 動 性 に 最 も 大 き く 貢 献 し て い た . グ ル タ ミ ン が グ ル タ ミ ン

-

α

-

ケ ト グ ル タ ル 酸 に よ っ て こ れ ら の ア ミ ノ 酸 を 異 化 す る こ と に よ っ て 合 成 さ れ る た め 、血 清 シ ス テ イ ン お よ び バ リ ン 濃 度 の 変 化 は グ ル タ メ ー ト 濃 度 の 上 昇 に よ っ て 影 響 を 受 け て い る 可 能 性 が あ る と 推 測 し た

[2 0 ].

薬 物 代 謝 酵 素 な ど を 誘 導 す る 性 質 の あ る 抗 て ん か ん 剤( カ ル バ マ

(11)

11

ゼ ピ ン 、 フ ェ ノ バ ル ビ タ ー ル 、 フ ェ ニ ト イ ン な ど ) と 併 用 投 与 さ れ た 場 合 の

CP S 1

活 性 は 変 化 し て い た

[1 0 ]

. 現 時 点 で 、 特 定 の 抗 精 神 病 薬 の 組 み 合 わ せ が

CP S 1

活 性 を 低 下 さ せ る か ど う か は 明 ら か で は な い .本 研 究 の 統 合 失 調 症 患 者 は 、物 理 化 学 的 お よ び 薬 理 学 的 特 性 が 大 き く 異 な る

1 7

種 の 抗 精 神 病 薬 と 気 分 安 定 剤 を 投 与 さ れ て い た た め 、こ れ ら 併 用 薬 剤 が 血 中 ア ン モ ニ ア 濃 度 に 影 響 を 与 え る か ど う か を 多 変 量 解 析 の 手 法 で 解 析 し た .そ の 結 果 、4 種 類 の 薬 剤 が ア ン モ ニ ア の リ ス ク 因 子 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た . 先 行 研 究 で は 、

VPA

と 抗 精 神 病 薬 リ ス ペ リ ド ン の 併 用 は 、 薬 物 タ ン パ ク 質 結 合 の 競 合 に よ り 生 じ る 遊 離 形

VPA

濃 度 の 増 加 が 高 ア ン モ ニ ア 血 症 の 危 険 因 子 で あ る 可 能 性 が 示 唆 さ れ て い る

[11 -1 3 ]

. し か し 、 酵 素 誘 発 性 の あ る カ ル バ マ ゼ ピ ン 他 の 抗 て ん か ん 剤 ( フ ェ ノ バ ル ビ タ ー ル 、 フ ェ ニ ト イ ン な ど ) と

VPA

を 併 用 し て

CP S 1

活 性 を 変 化 さ せ る こ と が 示 さ れ て い る

[2 1 , 2 2 ]

. リ ス ペ リ ド ン 併 用 投 与 は 、 以 前 の 研 究

[11 -1 3 ]

で 報 告 さ れ た 結 果 と 幾 分 矛 盾 す る ア ン モ ニ ア の 血 中 濃 度 の

低 下 と 関 連 し て い る こ と が 示 さ れ た が 、今 後 よ り 多 く の 試 験 で 確 認 す る 必 要 が あ る .ス ル ト プ リ ド と レ ボ メ プ ロ マ ジ ン が ア ン モ ニ ア 濃 度 に 影 響 を 与 え て い る と の 調 査 は 行 わ れ て い な い .こ れ ら の 薬 剤 は 古 典 的 な 抗 精 神 病 薬 で あ り 、両 剤 と も 脳 内 の ド パ ミ ン 受 容 体 を 強 く 阻 害 す る .し か し 、今 回 得 ら れ た 資 料 か ら 血 清 ア ン モ ニ ア 濃 度 へ の 影 響 を 検 討 す る に は 根 拠 に 乏 し い . 今 後 の 調 査 を 期 待 し た い .

血 中 ア ン モ ニ ア 濃 度 は コ ル チ コ ス テ ロ イ ド 薬 の 投 与 や 栄 養 状 態 に よ り 影 響 を 受 け る 可 能 性 が あ る

[2 3 -2 6 ]

. し か し 、 本 研 究 の 対 象 患 者 は コ ル チ コ ス テ ロ イ ド を 投 与 さ れ て い な か っ た .さ ら に 、彼 ら は 標 準 的 な 病 院 食 を 摂 取 し て お り 、中 心 静 脈 影 響 な ど で 非 経 口 的 ア

(12)

12

ミ ノ 酸 の 投 与 を 受 け て い な か っ た .従 っ て 、患 者 で 観 察 さ れ て 血 清 ア ン モ ニ ア 濃 度 上 昇 の 原 因 が こ れ ら の 要 因 で あ っ た と は 考 え 難 い . ま た 、 ア ン モ ニ ア は 肝 臓 の 尿 素 サ イ ク ル に よ っ て 代 謝 さ れ る た め 、 肝 機 能 障 害 は ア ン モ ニ ア の 血 中 濃 度 の 上 昇 と 関 連 し て い る 可 能 性 が あ り う る .し か し な が ら 、い ず れ の 患 者 も 重 度 の 肝 機 能 障 害 を 有 し て い な か っ た ( 表

2

) た め 、 肝 機 能 障 害 が 高 ア ン モ ニ ア 血 症 に 関 連 し て い る 可 能 性 は 低 い と 考 え ら れ た .著 者 ら は 、本 研 究 に お い て

VPA

を 投 与 さ れ た 統 合 失 調 症 患 者 の グ ル タ ミ ン 酸 お よ び グ リ シ ン の 血 清 レ ベ ル が 上 昇 し て い る こ と を 見 出 し た .グ ル タ ミ ン 酸 は 脳 の 興 奮 性 神 経 に お け る

N -

メ チ ル

-D -

ア ス パ ラ ギ ン 酸 (

N MD A

) 受 容 体 の ア ゴ ニ ス ト で あ り 、 グ リ シ ン は

N MD A

受 容 体 の 共 ア ゴ ニ ス ト で あ る た め 、

VPA

の 投 与 は 患 者 に よ っ て は 治 療 効 果 を 相 殺 す る 可 能 性 も あ る と 考 え た .

現 在 、

VPA

は 統 合 失 調 症 患 者 の 激 越 症 状 等 の 改 善 お よ び

/

ま た は 予 防 に 頻 繁 に 使 用 さ れ て い る

[1 -3 ]

. 統 合 失 調 症 患 者 で 観 察 さ れ た 血 中 ア ン モ ニ ア 濃 度 に 対 す る

VPA

の 効 果 は 、 他 の 精 神 障 害 患 者 お よ び て ん か ん 患 者 の 場 合 に 報 告 さ れ た も の と 合 致 し て い た

[1 0 -1 4 ]

. し か し 、

VPA

投 与 量 、 併 用 薬 、 遺 伝 的 背 景 に は 大 き な 違

い が あ る た め 、 結 論 を 導 く 際 に は 注 意 が 必 要 で あ る .

VPA

の 投 与 を 受 け て い る 慢 性 統 合 失 調 症 の 患 者 で は 、激 越 症 状 等 が 観 察 さ れ た か 否 か に 関 わ ら ず 、用 量 の 減 量 ま た は 中 止 に つ い て は 議 論 さ れ て い な い 事 が 多 い . そ の 結 果 、 患 者 は し ば し ば 多 剤 併 用 療 法 を 受 け る . 多 剤 併 用 療 法 が 単 剤 療 法 よ り 効 果 的 で あ る と い う 証 拠 は な い

[ 2 8 ]

本 研 究 で は 、

VPA

が 統 合 失 調 症 患 者 の

3 0

% に お い て 血 中 ア ン モ ニ ア レ ベ ル が 上 昇 す る よ う に 、

VPA

を 長 期 服 用 し て い た 統 合 失 調 症

(13)

13

患 者 で は カ ル ニ チ ン の 枯 渇 が 生 じ て お り 、脂 肪 酸 β 酸 化 に よ り 生 じ る ア セ チ ル

Co A

、 ア セ チ ル

Co A

と グ ル タ ミ ン 酸 か ら 合 成 さ れ る

N AG

の 産 生 低 下 も 生 じ て い た と 推 察 さ れ た .

N AG

の 低 下 は ア ン モ ニ ア を 尿 素 回 路 へ 導 く

CP S 1

の 活 性 低 下 を 介 し て 尿 素 回 路 の 活 性 低 下 を 招 き 高 ア ン モ ニ ア 血 症 を 生 じ て い た と 解 釈 さ れ た .

我 々 の デ ー タ に 基 づ け ば 、 統 合 失 調 症 患 者 で は

VPA

の 投 与 量 を 減 ら す か 、可 能 で あ れ ば 、投 与 を 中 止 す る こ と が 望 ま し い と 考 え ら れ る .

4

つ の 対 策 が 考 慮 さ れ る . 第

1

に 、 可 能 な 場 合 は

VPA

を 中 止 す る こ と で あ る .

VPA

の 投 与 量 は ア ン モ ニ ア 濃 度 へ 直 接 的 な 影 響 を 与 え て い な か っ た が 、カ ル ニ チ ン の 低 下 や グ ル タ ミ ン 酸 濃 度 の 増 加 な ど か ら 尿 素 回 路 へ の 影 響 が 考 え ら れ て い る .

2

名 の 症 例 観 察 例 が あ り 、

2

名 と も ア ン モ ニ ア 濃 度 の 低 下 を 認 め て い る . 第

2

は レ ボ カ ル ニ チ ン の 補 充 で あ る

[2 9 , 3 0 ]

.4 名 の 症 例 観 察 例 が あ り 、う ち

2

名 で ア ン モ ニ ア 濃 度 の 低 下 を 認 め て い る .第

3

は カ ル グ ル ミ ン 製 剤 の 投 与 で あ る .本 製 剤 は

2 0 1 6

11

月 に 本 邦 で 上 市 さ れ

N AG

構 造 類 似 体 で あ り

CP S 1

を 直 接 活 性 化 さ せ る

[3 1 ]. レ ボ カ ル ニ チ ン

と 比 較 し 本 製 剤 は よ り 尿 素 回 路 に 近 い と こ ろ で 作 用 す る た め ア ン モ ニ ア 濃 度 の 低 下 が 期 待 で き る .し か し 、保 険 適 応 は 尿 素 回 路 内 の 酵 素 欠 損 症 に よ る 高 ア ン モ ニ ア 血 症 で あ り 、

VPA

誘 発 性 の 高 ア ン モ ニ ア 血 症 に は 適 応 が な い . 今 後 の 研 究 が 進 む こ と が 期 待 さ れ る .

4

は 気 分 安 定 薬 と し て の カ ル バ マ ゼ ピ ン の 中 止 で あ る .カ ル バ マ ゼ ピ ン は て ん か ん 患 者 の

CP S 1

に 影 響 を 与 え ア ン モ ニ ア 濃 度 を 上 昇 さ せ る こ と が 知 ら れ て い る が

[2 1 , 2 2 ]

、 統 合 失 調 症 患 者 で 気 分 安 定 薬 と し て 服 用 し て い て ア ン モ ニ ア 濃 度 を 上 昇 さ せ る 場 合 に は 中 止 を 検 討 す る 必 要 が あ る と 考 え ら れ た .

(14)

14

Ⅱ . 長 期 の 酸 化 マ グ ネ シ ウ ム 服 用 患 者 に お け る 電 解 質 異 常 の 検 討

【 背 景 】

酸 化 マ グ ネ シ ウ ム は 緩 下 剤 や 制 酸 剤 と し て 広 く 用 い ら れ て い る 薬 剤 で あ る .精 神 系 疾 患 患 者 で は 酸 化 マ グ ネ シ ウ ム の 処 方 さ れ る 患 者 が 多 い .特 に 患 者 に 高 齢 者 が 多 く 、定 型 的 抗 精 神 病 薬 は 脳 内 の ド パ ミ ン 受 容 体 の 遮 断 薬 で あ り 、三 環 系 抗 う つ 薬 な ど 他 の 併 用 薬 に も 抗 コ リ ン 作 用 を 有 す る 薬 物 が 多 い の が 特 徴 で あ る

[3 2 ]

.抗 精 神 病 薬 は 脳 内 の ド パ ミ ン 受 容 体 を 遮 断 す る 作 用 を 有 す こ と で 興 奮 を 抑 え る 。 低 力 価 の ド パ ミ ン 受 容 体 遮 断 薬 は 抗 コ リ ン 作 用 を 有 し て い る . 抗 コ リ ン 作 用 は 腸 管 運 動 を 抑 制 し 便 秘 を 引 き 起 こ す

[3 3 ]

.こ の よ う な 要 因 に 基 づ き 精 神 科 領 域 で は 便 秘 薬 の 使 用 量 が 増 え て い る と 考 え ら れ る .高 齢 者 に 対 す る 漫 然 と し た 長 期 の 酸 化 マ グ ネ シ ウ ム の 投 与 は 高 マ グ ネ シ ウ ム 血 症 か ら 、不 整 脈 等 の 重 大 な 副 作 用 を 生 じ る こ と が あ る .

2 0 1 5

1 2

月 に 医 薬 品 ・ 医 療 安 全 等 安 全 性 情 報 が 出 さ れ 、酸 化 マ

グ ネ シ ウ ム の 投 与 に 対 し 注 意 喚 起 が 行 わ れ た .

2 0 1 2

か ら

2 0 1 4

年 に

2 9

例 の 高 マ グ ネ シ ウ ム 血 症 に よ る 副 作 用 例 が 報 告 さ れ 、 う ち

4

が 死 亡 し た と 報 告 さ れ て い る

[3 4 ]. と く に 6 5

歳 以 上 や 便 秘 症 の 患 者 が 多 く , 腎 機 能 が 正 常 な 場 合 や 通 常 用 量 以 下 の 投 与 で あ っ て も 重 篤 な 転 帰 を た ど る 例 が 認 め ら れ た .そ こ で 精 神 神 経 科 疾 患 の う ち 特 に 精 神 科 単 科 病 院 で の 血 清 マ グ ネ シ ウ ム の 血 清 濃 度 を 調 査 し 、高 マ グ ネ シ ウ ム 血 症 の リ ス ク 因 子 を 解 析 し 、酸 化 マ グ ネ シ ウ ム の 投 与 に よ る 潜 在 的 な 問 題 点 の 解 明 を 行 っ た .

【 方 法 】

ハ ー ト フ ル 川 崎 病 院 に 入 院 中 統 合 失 調 症 、気 分 障 害 、パ ー ソ ナ リ

(15)

15

テ ィ ー 障 害 の 患 者 を 対 象 と し 、認 知 症 は 除 い た .調 査 項 目 は 併 用 薬 と し て の 酸 化 マ グ ネ シ ウ ム 製 剤 お よ び 抗 精 神 病 薬 の 服 用 の 有 無 と

1

日 あ た り の 服 用 量 と 臨 床 検 査 値 を 調 査 し た . 採 血 は 昼 食 前 に 行 い 、 血 清 マ グ ネ シ ウ ム 濃 度 の 測 定 は 株 )

BML

へ 依 頼 し た .

統 計 解 析 は

J MP v e r. 11

で 行 い 、 血 清 マ グ ネ シ ウ ム 濃 度 と 各 種 臨 床 検 査 項 目 の 相 関 関 係 は ピ ア ソ ン 検 定 で 、酸 化 マ グ ネ シ ウ ム 服 用 群

( 服 用 群 ) と 酸 化 マ グ ネ シ ウ ム の 非 服 用 群 ( 非 服 用 群 ) の 平 均 の 差

t

‐ 検 定 で 行 い 、 そ れ ぞ れ

p< 0 . 0 5

を 有 意 と し た . 血 清 マ グ ネ シ ウ ム 濃 度 の 変 動 因 子 の 調 査 に つ い て 多 変 量 解 析 を 行 い

p< 0 . 1

を 有 意 水 準 と し た .

倫 理 的 配 慮 は 医 療・介 護 関 係 事 業 者 に お け る 個 人 情 報 の 適 切 な 取 扱 い の た め の ガ イ ド ラ イ ン

(

平 成

2 8

1 2

1

日 改 正

)

に 準 拠 し た .

【 結 果 】

調 査 に 参 加 し た 被 検 者 は

1 5 1

名 で あ り 、 男 性

6 7

名 、 女 性

8 4

で あ っ た ( 表

6

). 酸 化 マ グ ネ シ ウ ム 服 用 群 は

1 0 3

名 、 非 服 用 群 は

4 8

名 で あ っ た . 酸 化 マ グ ネ シ ウ ム の 服 用 量 は 服 用 群 の 平 均 が

1 . 5 1

g / dL

で あ っ た .血 清 マ グ ネ シ ウ ム 濃 度 は 服 用 群 の 平 均 は

2 . 4 m g / dL

で あ り 最 大 で は

3 . 6 m g / dL

を 観 察 し た . 非 服 用 群 の 平 均 は

2 . 2

m g / dL

で あ り 、 服 用 群 は 非 服 用 群 と 比 べ 有 意 に

( p < 0 . 0 1 )

高 か っ た . 高 マ グ ネ シ ウ ム 血 症 の 発 生 頻 度 は 服 用 群 が

11

% で あ り 、 非 服 用 群

2

% と 服 用 群 が 非 服 用 群 に 比 べ 有 意 に

(p< 0 . 0 1 )

多 か っ た . 血 清 ク レ ア チ ニ ン 濃 度 お よ び ク レ ア チ ニ ン ク リ ア ラ ン ス は 服 用 群 と 非 服 用 群 で 有 意 な 差 を 認 め な か っ た .高 マ グ ネ シ ウ ム 血 症 発 症 の リ ス ク 因 子 と し て は 、 緩 下 剤 服 用 数 は 服 用 群 の 平 均 が

2 . 2

剤 で あ り 、非 服 用 群 が

0 . 4

剤 で 有 意 に

(p< 0 . 0 1 )

多 か っ た . 抗 コ リ ン 薬 は 服 用 群 の 平

(16)

16

均 が

2 . 0

/ da y

で あ り 非 服 用 群 の 平 均 は

1 . 3

/ da y

で 服 用 群 が 非 服 用 群 よ り

1

日 あ た り の 服 用 が 多 い 結 果 と な っ た

( p= 0 . 0 6 )

.抗 精 神 病 薬 、抗 う つ 薬 、抗 不 安 薬 で 服 用 群 と 非 服 用 群 で 有 意 な 差 を 認 め な か っ た ( 表

6

).

血 清 マ グ ネ シ ウ ム 濃 度 の 変 動 因 子 と し て 経 口 酸 化 マ グ ネ シ ウ ム 投 与 量 、 腎 機 能 、 緩 下 剤 服 用 数 、 抗 精 神 病 薬 を ク ロ ル プ ロ マ ジ ン で 置 き 換 え た ク ロ ル プ ロ マ ジ ン 換 算 量(

C P

換 算 )、炭 酸 リ チ ウ ム の 併 用 と し 、AI C を 指 標 と し た ス ッ テ プ ワ イ ズ 変 数 増 加 ・ 減 少 法 を 用 い て 多 変 量 解 析 を 行 っ た .血 清 マ グ ネ シ ウ ム 濃 度 に 影 響 を 与 え て い た 因 子 は 酸 化 マ グ ネ シ ウ ム 投 与 量 を 増 や す と 血 清 マ グ ネ シ ウ ム 濃 度 を 有 意 に 上 昇

( p< 0 . 0 0 1 )

さ せ 、 酸 化 マ グ ネ シ ウ ム 濃 度

1

日 あ た り

6

g の 服 用 で 血 清 マ グ ネ シ ウ ム 濃 度 を

0 . 7 4 m g / dL

上 昇 さ せ る こ と が 示 唆 さ れ た ( 表

7

). ク レ ア チ ニ ン ク リ ア ラ ン ス が 低 下 す る と 血 清 マ グ ネ シ ウ ム 濃 度 は 有 意 に 上 昇

( p= 0 . 0 9 6 )

さ せ 、 ク レ ア チ ニ ン ク リ ア ラ ン ス

5 0 m L / m i n

の 低 下 で 血 清 マ グ ネ シ ウ ム 濃 度 を

0 . 0 5 m g / dL

上 昇 さ せ る こ と が 示 唆 さ れ た .炭 酸 リ チ ウ ム の 服 用 は 有 意 に 血 清 マ グ ネ シ ウ ム 濃 度 を 有 意 に 上 昇

( p< 0 . 0 0 1 )

さ せ 、リ チ ウ ム の 併 用 で 血 清 マ グ ネ シ ウ ム 濃 度 を

0 . 11 m g / dL

上 昇 さ せ る こ と が 示 唆 さ れ た( 表

7

).

【 考 察 】

今 回 の 調 査 の 結 果 か ら 、酸 化 マ グ ネ シ ウ ム 服 用 群 の 平 均 血 清 マ グ ネ シ ウ ム 濃 度

2 . 4 m g / dL

は 非 服 用 群 の 平 均 血 清 マ グ ネ シ ウ ム 濃 度

2 . 2 m g / dL

よ り 有 意 に 高 か っ た . 服 用 群 の 高 マ グ ネ シ ウ ム 血 症 の 発 生 率

11

% は 非 服 用 群 の 高 マ グ ネ シ ウ ム 血 症 の 発 生 率

2

% よ り 有 意 に 高 か っ た ( 表

6

). 高 マ グ ネ シ ウ ム 血 症 の リ ス ク 因 子 に は 、 酸 化

(17)

17

マ グ ネ シ ウ ム の 投 与 量 の 増 加 、腎 機 能 の 低 下 、炭 酸 リ チ ウ ム の 服 用 が 挙 げ ら れ た ( 表

7

). 精 神 神 経 科 入 院 患 者 に お け る 高 マ グ ネ シ ウ ム 血 症 の 発 症 に は 、薬 物 副 作 用 と し て の 便 秘 の 治 療 に 用 い ら れ る 酸 化 マ グ ネ シ ウ ム 緩 下 剤 の 投 与 と 腎 機 能 、炭 酸 リ チ ウ ム の 服 用 が 関 係 し て い る と 推 察 さ れ た .

酸 化 マ グ ネ シ ウ ム の 服 用 が 増 え て い る 要 因 と し て 精 神 科 入 院 患 者 に 多 い 便 秘 が 関 与 し て い る も の と 推 察 さ れ る 。す な わ ち 、便 秘 発 症 機 序 と し て は 、抗 精 神 病 薬 の う ち 特 に 低 力 価 の ド パ ミ ン 受 容 体 遮 断 薬 は 抗 コ リ ン 作 用 を 有 し て お り ,抗 精 神 病 薬 を 投 与 す る と 脳 内 の ド パ ミ ン 受 容 体 が 遮 断 さ れ 、脳 内 の ア セ チ ル コ リ ン 濃 度 が 上 昇 す る

[3 2 ]

.ア セ チ ル コ リ ン の 上 昇 を 抑 え る 為 に 抗 コ リ ン 薬 が 併 用 投 与 さ

れ る .こ れ ら の 薬 剤 は 腸 管 運 動 を 抑 制 し ,便 秘 を 引 き 起 こ す と 推 察 さ れ る 。ま た ,酸 化 マ グ ネ シ ウ ム を 服 用 し て い る 患 者 は 他 の 緩 下 剤 を 併 用 し て い る 割 合 が 多 く 重 度 の 便 秘 を 引 き 起 こ し て い る と 推 察 さ れ る ( 表

6

).

精 神 神 経 科 疾 患 患 者 で は 、薬 物 に よ る 副 作 用 と し て 便 秘 が 生 じ る 事 が 多 く 、酸 化 マ グ ネ シ ウ ム の 投 与 が 高 マ グ ネ シ ウ ム 血 症 を 生 じ る リ ス ク が あ る 事 を 認 識 す る 必 要 が あ る と 考 え ら れ た .リ チ ウ ム は 腎 障 害 を 引 き 起 こ す こ と が 知 ら れ て い る が

[3 4 ]、多 変 量 解 析 の 結 果 よ

り ク レ ア チ ニ ン ク リ ア ラ ン ス の 低 下 と リ チ ウ ム の 服 用 の 有 無 は 独 立 し た 因 子 で 、そ れ ぞ れ が 血 清 マ グ ネ シ ウ ム 濃 度 に 影 響 を 与 え て い た .酸 化 マ グ ネ シ ウ ム 濃 度

1

日 あ た り

6

g の 服 用 で 血 清 マ グ ネ シ ウ ム 濃 度 を

0 . 7 4 m g /dL

上 昇 さ せ . ク レ ア チ ニ ン ク リ ア ラ ン ス

5 0 m L / m i n

の 低 下 で 血 清 マ グ ネ シ ウ ム 濃 度 を

0 . 0 5 m g /dL

上 昇 さ せ る こ と が 示 唆 さ れ た . リ チ ウ ム の 併 用 で 血 清 マ グ ネ シ ウ ム 濃 度 を

(18)

18

0 . 11 m g / dL

上 昇 さ せ る こ と が 示 唆 さ れ た .リ チ ウ ム は 腎 機 能 を 低 下

さ せ る こ と が 知 ら れ て お り 、結 果 と し て 血 清 マ グ ネ シ ウ ム の 上 昇 を 招 く と 考 え ら れ た .し か し 、多 変 量 解 析 の 結 果 で は 血 清 マ グ ネ シ ウ ム 濃 度 に 対 し 、酸 化 マ グ ネ シ ウ ム の 服 用 量 と 腎 機 能 の 低 下 、リ チ ウ ム の 服 用 は 独 立 し た 因 子 で あ っ た .こ れ ら の 結 果 か ら 該 当 患 者 で は 、 腎 機 能 評 価 と と も に 血 清 マ グ ネ シ ウ ム の モ ニ タ リ ン グ を す べ き で あ る と 考 え ら れ た .

ハ ー ト フ ル 川 崎 病 院 で は 本 研 究 実 施 当 時 に 高 マ グ ネ シ ウ ム 血 症 の 中 止 基 準 は 設 け て い な か っ た た め 検 討 を 行 っ た .

U p -t o -D a t e (2 0 1 7 )

に よ る と 、 血 清 マ グ ネ シ ウ ム 濃 度 が

4 . 8 -7 . 2 m g/ dL

で は 、 嘔 気 、 発 汗 、 頭 痛 、 深 部 腱 反 射 減 弱 、 脱 力 感 な ど が 、

7 . 2 -1 2 m g / dL

で は 、 低 カ ル シ ウ ム 血 症 、 重 度 の 傾 眠 、 心 電 図 異 常 、 呼 吸 筋 麻 痺 な ど が 見 ら れ 、

1 2 m g / dL

以 上 で は 、 房 室 ブ ロ ッ ク が 観 察 さ れ る . し た が っ て 、 血 清 マ グ ネ シ ウ ム の 血 清 濃 度 が

4 m g / dL

を 超 え た 場 合 に は 酸 化 マ グ ネ シ ウ ム の 投 与 を 中 止 す べ き と 考 え ら れ た

.

( 表

8

).

今 回 の 調 査 で 腎 機 能 の 低 下 が 血 清 マ グ ネ シ ウ ム 濃 度 に 影 響 を 与 え て い た こ と か ら 、抗 精 神 病 薬 の 服 用 が 腎 機 能 の 関 係 に つ い て 検 討 を 行 っ た .Hw a ng

[3 5 ]

2 0 1 4

年 に 非 定 型 抗 精 神 病 薬 の 服 用 が と 急 性 腎 不 全 に 与 え る 影 響 に つ い て 検 討 を 行 っ た .そ の 研 究 に よ る と 、 カ ナ ダ の オ ン タ リ オ 州 で 新 規 に 非 定 型 抗 精 神 病 薬 を 服 用 し た

6 5

以 上 の

9 7 , 0 0 0

名 に の ぼ る 患 者 の 症 例 対 象 コ ホ ー ト 研 究 を 行 っ た . 結 果 は 薬 物 開 始

9 0

日 以 内 の 急 性 腎 障 害 に よ る 入 院 の 患 者 が 、 対 照 群 よ り 有 意 に 高 く

(O R: 1 . 7 3 , 9 5 % CI :1 . 5 -1 . 9 )

、 全 死 亡 率 も 高 い こ と が 示 さ れ た

(O R: 2 . 4 , 9 5 % CI : 2 .3 -2 . 5)

. 以 上 の こ と か ら 、 新 規 に 抗 精 神 病 薬 を 開 始 す る 患 者 で は 腎 機 能 を モ ニ タ ー し 、腎 機 能 が 低 下 し

(19)

19

て い る 患 者 に 緩 下 剤 を 投 与 す る 場 合 は 酸 化 マ グ ネ シ ウ ム 以 外 の 緩 下 剤 を 選 択 す る 必 要 が あ る と 考 え ら れ た .

統 合 失 調 症 は 抗 精 神 病 薬 や 抗 コ リ ン 薬 、抗 う つ 薬 を 併 用 し て 治 療 を 行 う が ,こ れ ら の 治 療 の 副 作 用 と し て イ レ ウ ス を 引 き 起 こ す こ と が 知 ら れ て い る . イ レ ウ ス の リ ス ク 因 子 は 年 齢 が

1 . 0 3

倍 , 女 性 が

1 . 6

倍 , 第 一 世 代 抗 精 神 病 薬 が

2 . 2 9

倍 , 抗 コ リ ン 薬 が

1 . 4 8

倍 , ク ロ ザ ピ ン が

1 . 9 9

倍 ,三 環 系 抗 う つ 薬 が

2 . 2 9

倍 ,オ ピ オ イ ド が

2 . 1 4

倍 で あ っ た 。 致 死 的 な イ レ ウ ス は ク ロ ザ ピ ン

6 . 7 3

倍 , 抗 コ リ ン 薬

5 . 8 8

倍 と 報 告 さ れ て い る

[3 6 ]. 今 回 の 調 査 で は 抗 コ リ ン 薬 の 服

用 で 酸 化 マ グ ネ シ ウ ム の 服 用 群 と 非 服 用 群 で わ ず か に 有 意 な 差

( p= 0 . 0 6 )

を 認 め な か っ た が ( 表

6

)、 抗 コ リ ン 薬 の 服 用 も 注 意 が 必 要 な 薬 剤 と 考 え ら れ る .腎 機 能 が 低 下 し て い る 患 者 や リ チ ウ ム を 服 用 し て い る 患 者 で は 抗 コ リ ン 薬 の 中 止 を 検 討 す る 必 要 が あ る と 考 え ら れ る .

精 神 神 経 疾 患 患 者 の 便 秘 に 対 し て は 、緩 下 剤 な ど 薬 剤 に 頼 る だ け で な く 、食 事 に よ る 植 物 繊 維 摂 取 増 加 や 運 動 の 奨 励 、非 マ グ ネ シ ウ ム 緩 下 剤

(

ラ ク ツ ロ ー ス 等

)

な ど で 対 処 可 能 か 検 討 を す る 必 要 が あ る と 考 え ら れ た .

精 神 神 経 疾 患 の 入 院 患 者 で は 、抗 精 神 病 薬 な ど に よ り 便 秘 症 状 を 生 じ 、安 全 な 緩 下 剤 と 認 識 さ れ て い る 酸 化 マ グ ネ シ ウ ム が 長 期 に 投 与 さ れ る た め に 高 マ グ ネ シ ウ ム 血 症 を 生 じ る リ ス ク が 高 い 事 が 示 唆 さ れ た 。特 に 酸 化 マ グ ネ シ ウ ム を 服 用 し て い る 患 者 、腎 機 能 の 低 下 患 者 、単 酸 リ チ ウ ム の 服 用 患 者 で は 十 分 な 注 意 が 必 要 で あ る .酸 化 マ グ ネ シ ウ ム の 使 用 に 当 た っ て は 重 篤 な 副 作 用 を 回 避 す る た め 定 期 的 な 血 清 マ グ ネ シ ウ ム 濃 度 測 定 が 必 要 で あ る 。

(20)

20

Ⅲ .薬 剤 師 の 病 棟 活 動 が 精 神 神 経 疾 患 の 薬 物 治 療 の 効 果 と 副 作 用 に 与 え た 影 響

【 背 景 】

近 年 、医 療 の 質 の 向 上 お よ び 医 療 安 全 の 観 点 か ら 、チ ー ム 医 療 に お い て 薬 剤 師 の 主 体 的 な 薬 物 療 法 参 加 が 推 進 さ れ て い る

[3 7 . 3 8 ]

精 神 神 経 科 領 域 に お け る 薬 剤 師 の 薬 物 治 療 介 入 は 他 の 分 野 に 比 べ て 遅 れ て い る . 平 成

2 4

年 に 薬 剤 師 が 医 療 従 事 者 の 負 担 軽 減 お よ び 薬 物 療 法 の 有 効 性 、安 全 性 の 向 上 に 資 す る 業 務 を 実 施 し て い る こ と を 評 価 し た 「 病 棟 薬 剤 業 務 実 施 加 算 」 が 新 設 さ れ

[3 9 ]

、 一 般 病 棟 で の チ ー ム 医 療 に お け る 薬 剤 師 の 関 与 の 有 益 性 を 示 す 報 告 が 多 数 な さ れ て い る

[4 0 - 4 2 ]

. 精 神 科 病 棟 業 務 実 施 に 対 す る 臨 床 報 酬 加 算 算 定 は「 入 院 後

8

週 ま で 」に 制 限 さ れ て お り 、チ ー ム 医 療 に お い て 薬 剤 師 へ の 員 数 割 り 当 て の 問 題 か ら 薬 剤 師 が 病 棟 業 務 に 十 分 な 関 わ り を 持 て ず 、薬 剤 師 の 果 た し て い る 役 割 が い ま だ 十 分 に 認 知 さ れ て い な い .そ こ で 、精 神 神 経 疾 患 の 薬 物 治 療 に 対 す る 薬 剤 師 の 処 方 介 入 が 治 療 効 果 の 改 善 と 副 作 用 の 軽 減 に ど の よ う な 貢 献 を し て い る か 調 査 し た .

【 方 法 】

対 象 患 者 は 平 成

2 5

3

月 か ら

5

月 ま で の

3

ケ 月 間 に 「 精 神 科 医 療 を 考 え る 薬 剤 師 の 会 」の メ ン バ ー が 所 属 す る

7

施 設 の 精 神 科 外 来 お よ び 入 院 患 者 で 、 選 択 基 準 は 服 薬 指 導 の 対 象 患 者 、 処 方 箋 記 載 ・ 内 容 、 臨 床 検 査 値 、 薬 物 治 療 モ ニ タ リ ン グ (

T D M

) 記 録 、 家 族 患 者 ま た は チ ー ム 医 療 の 他 職 種 か ら の 相 談 に よ り 薬 学 的 観 点 か ら 提 案 実 施 が 必 要 と 判 断 し た 患 者 と し 、薬 学 的 観 点 か ら 提 案 を 行 う こ と に よ り 改 善 が 見 込 め る と 判 断 し た も の か ら 適 宜 行 っ た .調 査 項 目 は

(21)

21

該 当 患 者 の 診 療 録 で 、倫 理 的 配 慮 は 医 療 ・ 介 護 関 係 事 業 者 に お け る 個 人 情 報 の 適 切 な 取 り 扱 い の た め の ガ イ ド ラ イ ン

(

平 成

2 8

1 2

1

日 改 正

)

に 準 拠 し た .

【 結 果 】

薬 剤 師 に よ る 処 方 変 更 提 案 の 対 象 患 者 は 、外 来 患 者

2 7

(2 0 . 8 %)

と 入 院 患 者

1 0 3

件 (

7 9 . 2 %

) の 合 計

1 3 0

件 で あ っ た . 疾 患 別 の 件 数 は 統 合 失 調 症

6 6

件 (

5 0 . 8 %

) が 最 も 多 く 、 次 い で 双 極 性 障 害

2 7

2 0 . 8 %

)、大 う つ 秒 性 障 害

2 2

件(

1 6 . 9 %

)、不 安 障 害

4

件(

3 . 1 %)、

認 知 症

3

件 (

2 . 3 %

)、 そ の 他

8

件 (

6 . 2

% ) の 順 で あ っ た ( 表

9

).

薬 剤 師 の 処 方 提 案 の 内 容 は 、「 副 作 用 の 回 避 ・ 軽 減 」 と 「 治 療 効 果 の 向 上 」が 全 提 案 件 数 の

7 0 . 8 %

を 占 め て い た .全 処 方 提 案 の

8 5 %

が 採 択 さ れ て い た( 図

8

).副 作 用 の 回 避 ・ 軽 減 へ の 処 方 提 案 で は 、 錐 体 外 路 症 状 (

3 3

% )、 検 査 値 異 常 (

2 1

% ) へ の 提 案 で 全 体 の 約 半 数 を 占 め て い た . そ の 他 の 項 目 で は 、 消 化 器 症 状 (

1 2

% ) や 傾 眠 ・ ふ ら つ き (

7

% ) な ど 各 症 状 に 対 し 提 案 を 行 っ て い た ( 図

9

). 療 効 果 向 上 へ の 処 方 提 案 で は 、 薬 剤 の 増 量 (

3 7

% )、 他 薬 の 併 用

2 9

% )、 他 薬 へ 変 更 (

2 0

% )、 薬 剤 の 減 量 (

1 4

% ) な ど 薬 剤 師 は 様 々 な 手 法 を 用 い な が ら 患 者 の 症 状 に 対 応 し て い る こ と が 示 さ れ た ( 図

1 0

).

薬 剤 師 の 処 方 提 案 と 転 帰 で 、処 方 提 案 の 採 択 例 と 非 採 択 例 で フ ィ ッ シ ャ ー の 正 確 試 験 を 行 っ た と こ ろ 、有 意 に 分 布 に 偏 り が 見 ら れ た . 特 に 改 善 の 項 目 で 偏 り が 大 き く 、採 択 例 で は 薬 剤 師 が 処 方 提 案 を 行 っ た う ち

7 0

% が 改 善 し て い た の に 対 し 、 非 採 択 例 で は

1 0

% の み が 改 善 し て い た ( 図

11

).

(22)

22

【 考 察 】

今 回 の 調 査 か ら 、精 神 神 経 科 の 薬 物 治 療 に お い て 薬 剤 師 に よ る 処 方 提 案 の

8 5

% が 医 師 に 承 認 さ れ て い た ( 図

8

). 薬 剤 師 に よ る 処 方 提 案 は 錐 体 外 路 症 状 や 検 査 値 異 常 な ど 数 値 化 で き る 項 目 に つ い て 提 案 を 行 っ て い た ( 図

9

). 治 療 効 果 向 上 へ の 処 方 提 案 と し て 様 々 な 手 法 を 用 い 対 処 し て い た ( 図

1 0

). 処 方 提 案 の 受 け 入 れ は 患 者 転 帰 を 有 意 に 改 善 し て い た ( 図

11

).

厚 生 労 働 省 の 調 査 で も 精 神 病 床 入 院 患 者 の 約

6 0

% が 統 合 失 調 症 で あ り 、そ の 傾 向 が 処 方 提 案 件 数 に も 反 映 さ れ て い る と 考 え ら れ た . 一 方 で 、入 院 患 者 数 で

2

位 に 位 置 す る 認 知 症 に 対 す る 処 方 提 案 は 全

体 の

2 . 3

% に と ど ま っ て い た . 認 知 症 へ の 処 方 提 案 は 統 合 失 調 症 と

比 べ 処 方 提 案 が 低 い 結 果 と な っ た .認 知 症 治 療 薬 は 抗 精 神 病 薬 と 比 べ 薬 剤 の 種 類 が 少 な く 薬 剤 選 択 の 幅 が 少 な い 事 や 患 者 の 疎 通 性 等 の 問 題 が あ り 評 価 を 行 い に く い こ と が 考 え ら れ た .

薬 剤 師 に よ る 処 方 提 案 で は 「 副 作 用 の 回 避 ・ 軽 減 」 と 「 治 療 効 果 の 向 上 」 が 全 処 方 提 案 の

7 0 . 8

% を 占 め た .「 副 作 用 の 回 避 ・ 軽 減 」 に つ い て 処 方 提 案 を 行 っ た 具 体 的 な 症 状 は 「 錐 体 外 路 症 状 」「 検 査 値 異 常 」が 過 半 数 を 占 め た(

3 1

件 ,

5 4

% ).錐 体 外 路 症 状 は

D I EP S S

を 用 い る こ と で 、薬 剤 師 が 数 値 化 し て 評 価 で き 、検 査 値 に つ い て も 、 異 常 の 有 無 を 数 値 化 し て 把 握 す る こ と が 可 能 で あ る . こ の よ う に 、 数 値 と し て 客 観 的 評 価 が 可 能 な 点 が よ り 多 く の 処 方 提 案 を 生 み 出 し て い る と 考 え ら れ た . 採 択 さ れ た 処 方 提 案 に よ る 患 者 転 帰 で は 、 改 善 が

7 0

% を 占 め 、 悪 化 し た 例 は 見 ら れ な か っ た . 薬 剤 師 の 処 方 提 案 の 多 く は 、副 作 用 の 評 価 や 検 査 値 の 確 認 等 、患 者 の 薬 学 的 管 理 を 基 に し た 根 拠 の 明 確 な も の と な っ て お り 、こ の よ う な 点 が 医 師 に

(23)

23

受 け 入 れ ら れ や す い 提 案 内 容 と な っ て い る こ と が 推 察 さ れ た . 精 神 神 経 科 領 域 の 薬 剤 師 の 薬 物 治 療 へ の 介 入 は 可 能 か つ 有 益 で あ り 、今 後 推 進 す べ き で あ る

.

今 後 の 学 術 活 動 に よ り 精 神 科 病 棟 業 務 実 施 に 対 す る 診 療 報 酬 加 算 算 定 の 上 限 で あ る 入 院 後

8

週 間 の 制 限 を 延 長 ま た は 撤 廃 す る よ う 働 き 掛 け る 必 要 が あ る .本 研 究 は 薬 剤 師 が 関 与 し た 後 の デ ー タ の 検 討 で あ る .対 照 デ ー タ と し て 薬 剤 師 非 関 与 の 患 者 デ ー タ で も 検 討 す る 必 要 が あ る .

(24)

24

ま と め .

今 回 の 調 査 か ら 精 神 科 領 域 で も 病 棟 薬 剤 業 務 を 積 極 的 に 実 施 す る こ と で チ ー ム 医 療 に 十 分 貢 献 で き る こ と が 示 さ れ た .精 神 科 領 域 で は 長 期 に わ た り 薬 を 服 用 す る こ と が 多 く 見 ら れ 、単 剤 で 治 療 を 開 始 し て も 、治 療 効 果 が 十 分 で 無 い か 再 発 、再 燃 を 繰 り 返 し た た め 多 剤 併 用 療 法 と な る 場 合 が あ る .今 回 の 調 査 で も 明 ら か に な っ た よ う に 、

VPA

は 長 期 服 用 で も 安 全 な 薬 剤 と 考 え ら れ 、 高 ア ン モ ニ ア 血 症 に 対 す る 対 策 が 十 分 に 行 わ れ て い な か っ た .同 様 に 酸 化 マ グ ネ シ ウ ム も 安 全 な 薬 剤 と 考 え ら れ て い た が 、高 マ グ ネ シ ウ ム 血 症 を 引 き 起 こ し て い る こ と が 明 ら か に な っ た .臨 床 現 場 で は 安 全 な 薬 と 認 識 さ れ て い る こ れ ら の 薬 で も 副 作 用 の 発 生 が 認 め ら れ 、医 師 の 診 察 で も 見 過 ご さ れ て い る こ と が あ る こ と が 明 ら か と な っ た .医 師 は 主 症 状 の 治 療 に 追 わ れ て お り 、多 剤 併 用 の 影 響 ま で 十 分 に 検 討 す る 時 間 が さ け て い な い . そ こ で 薬 の 専 門 家 で あ る 薬 剤 師 が 病 棟 で 活 動 し 、 副 作 用 な ど の 問 題 を 医 師 へ フ ィ ー ド バ ッ ク す る こ と で 精 神 科 領 域 で も 薬 剤 師 が チ ー ム 医 療 に 貢 献 で き る と 考 え ら れ る .

精 神 神 経 科 領 域 の 病 棟 薬 剤 業 務 は 員 数 割 り 当 て が 不 足 し て い る た め に 十 分 な 臨 床 活 動 が 出 来 て い な い の が 現 状 で あ る

.

学 術 研 究 を 通 じ て 多 く の 精 神 科 病 院 の 薬 剤 師 が 連 携 を 行 い 、成 果 を 発 表 す る こ と で 精 神 神 経 科 領 域 の 病 棟 薬 剤 業 務 を 活 性 化 し 、最 終 的 に は 保 険 診 療 上 の 規 制 を 撤 廃 で き る よ う 努 力 し た い

.

(25)

25

本 研 究 の 内 容 は 下 記 の 3 論 文 に 掲 載 さ れ た .

 A n d o M . , A m a y a s u H . , I t a i T. , Yo s h i d a H . , B i o p s y c h o s o c . M e d . , 5 , 11 - 1 9 ( 2 0 1 7 ) .

安 藤 正 純

, 天 保 英 明 ,

板 井 貴 宏

,

吉 田 久 博

,

日 精 協

,3 6 , 111 - 11 5 ( 2 0 1 7 ) .

村 野 哲 雄

, 安 藤 正 純 ,

浦 野 慎 也

,

遠 藤 洋

, 木 村 伊 都 紀 ,

橋 結 花

,

永 田 あ か ね

,

長 郷 千 香 子

,

林 広 紹

,

林 や す み

,

場 寛 子

,

齋 藤 百 枝 美

,

日 精 協 誌

, 3 3 , 8 7 - 9 3 ( 2 0 1 4 ) .

表 1  血清 VPA 濃度、血清アンモニア濃度、アミノ酸濃度、カルニチン濃度の測定法
図 11  薬剤師による処方提案と転帰

参照

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標値 0 0.00% 2018年度以上 2018年度以上 2017年度以上

[r]

(A)3〜5 年間 2,000 万円以上 5,000 万円以下. (B)3〜5 年間 500 万円以上

水素濃度 3%以上かつ酸素濃度 4%以上(可燃限界:水素濃度 4%以上かつ酸素