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元素の. 周期表. 化学は,物質の性質や変化を調べ,その仕組みを原子・分子レベルか. ら理解し,さらにその仕組みを応用して新しい物質を実験によって生み. 出す学問である.高校での化学は暗記の科目という印象が強かったかも. しれないが,大学での化学はむしろ物質の世界を支配する法則を理解. し,その法則に基づいて物質を統一的に理解しようとする.この法則を. ひとたび理解することができれば,身の回りの物質の特性を的確に把握. し,これを利用し応用することができるようになる.化学はわれわれに. とってとても魅力的であり,実践的な学問なのである.. 近代化学Chemistry は,自然科学の他の分野と同じく,観察による作. 業仮説の提唱と実験による作業仮説の検証の繰り返しに基づいて発展し. た.近代化学の誕生に大きく貢献したのは,化学反応における質量保存. 則を見つけたことで知られるフランス人のラボアジェ(1743〜1794 年). である.ラボアジェ以前の化学は,科学的(実証的)な根拠に基づかな. い宗教的な色合いの濃いものであった.中世ヨーロッパで発展したその. 時代の化学を錬金術Alchemy という.錬金術の時代,化学は不老不死. の薬を手に入れることを求めて発展した.さらに時代をさかのぼると,. 人類が火を手にしたときに,化学という学問はすでに始まっていたとも. 言える.火を自在に扱うことができるようになったことで,人類は土器. を造り,酸化反応と還元反応を利用して青銅を造り,鉄を造り,文明を. 発展させてきた.. 有史以前はどうであっただろうか.地球上に生命が誕生したとき,生. 命体は外界から栄養分を体内に取り込み,様々な化学反応を利用してエ. ネルギーを生産し,子孫を残してきた.生命の営みのすべては化学反応. で成り立っている.生命の誕生以前の地球では,大気や海,地殻の中で. 複雑な化学反応が起こっていた.究極のところ,宇宙に原子が誕生した. 138 億年前に,すでに化学反応は始まっており,その結果として現在の. われわれが存在していると考えることができる.そして,重要なこと. は,138 億年前も現在も,物質の世界を支配し,化学反応を支配する法則. は同じであるということだ.. ii. はじめに. 本書では,物質の誕生と変化の歴史を,原子の誕生物質の誕生物. 質の変化生命の誕生人類の誕生未来の化学という順序でたどる.. このような構成は,これまでの一般化学の教科書とは異なるかもしれな. いが,宇宙に原子が誕生したときから現在までの長い歴史の中で,自然. 界で物質がどのようにして形づくられ変化してきたのか,さらに人類は. 物質の変化(化学反応)をどのように制御してきたのかを,時代経過に. 沿って学ぶことにより,化学の面白さや醍醐味を深く学ぶことができる. であろう.. 本書は,大学初年次の基礎化学あるいは一般化学の教科書として使用. することを想定し,各章は 1回 90分〜100分の授業に適切と思われる分. 量を割り当てている.また,理解度をチェックするための練習問題を各. 章に用意した.是非,活用してほしい.. 最後に,本書の作成にあたりご支援をいただいたすべての皆様にこの. 場を借りて深く感謝申し上げます.本書が化学を学ぶ諸氏の一助となる. ことを願っております.. 2018 年 8月. 著者一同. iii. 第 1部 原子の構造 …………………………………………………… 1. 第 1章 原子の成り立ち 2. 第 2章 原子軌道 6. 第 3章 電子スピンと電子配置 10. 第 4章 元素の周期律 14. 第 2部 化学結合 ……………………………………………………… 19. 第 5章 化学結合の種類 20. 第 6章 イオン結合 24. 第 7章 共有結合 1 28. 第 8章 共有結合 2 32. 第 9章 金属結合 36. 第 3部 状態変化と化学平衡 ………………………………………… 41. 第 10 章 物質の三態 42. 第 11 章 エンタルピー 46. 第 12 章 エントロピー 50. 第 13 章 気体 54. 第 14 章 液体 58. 第 15 章 固体 62. 第 16 章 化学平衡 66. 第 17 章 溶液の性質 1 70. 第 18 章 溶液の性質 2 74. 第 19 章 酸と塩基 1 78. 第 20 章 酸と塩基 2 82. 第 4部 反応速度論 …………………………………………………… 87. 第 21 章 反応速度 88. 第 22 章 活性化エネルギーと触媒 92. 第 23 章 多段階反応 96. iv. 目 次. 第 5部 生命化学:生命がもたらした恵み ………………………101. 第 24 章 生命誕生と生体分子 102. 第 25 章 脂質と糖類 106. 第 26 章 アミノ酸とタンパク質 110. 第 27 章 核酸 114. 第 6部 化学が支える物質文明………………………………………119. 第 28 章 酸化・還元反応 120. 第 29 章 無機物質 124. 第 30 章 青銅と鉄 128. 第 31 章 電池 132. 第 32 章 電気分解 136. 第 33 章 石炭・石油化学 1 140. 第 34 章 有機合成 144. 第 35 章 石炭・石油化学 2 148. 第 7部 未来の化学 ……………………………………………………153. 第 36 章 新エネルギー 154. 第 37 章 新素材(機能材料) 158. 第 38 章 バイオテクノロジー 162. 第 39 章 環境問題 166. 問題の解答 …………………………………………………………………170. 付録 …………………………………………………………………………179. 索引 …………………………………………………………………………183. v. 第1部. 原子の構造. 宇宙は巨大なエネルギーの爆発(ビッグバン)から始まったと. される.爆発によって生じた無数の粒子(素粒子)は,その発. 散とともに次第に冷却され,素粒子同士が集まって原子核がで. き,原子核が電子を捕獲して原子が誕生した.このようにして. 生まれた初期の原子は,その後核融合と核分裂を繰り返し,現. 在の宇宙が形づくられた.宇宙に存在する原子には,どのよう. な種類があり,それらは互いにどのような共通の性質をもち,. あるいは異なる性質をもっているのだろうか.. 第 1部では原子の構造について概説する.原子の性質を特徴づ. けるものは,原子番号と質量数,電子配置である.これらの基. 本事項を学ぶことよって,元素(原子番号によって分類される. 原子の種類)には周期律があることを理解する.. 1. 1 原子説. 原子の書き方. X Xは元素記号. Aは原子番号(=陽子数). Zは質量数(=陽子数+中性子. 数). 原子の種類は元素記号(X)を用. いて表す.元素記号の左下に原子. 番号(A),左上に質量数(Z)を付. けることもある.. 物質を小さく分割していくと,それ以上分割できない小さな粒子にた. どり着く.これが原子である.このように「すべての物質は原子から構. 成されている」という考えを提唱したのはイギリス人のドルトン. (1766〜1844 年)であり,これを原子説という.ドルトンは原子には種. 類があり,それぞれに固有の質量があると考えた.たとえば,金属の鉄. は鉄原子Fe(質量 9.28×10 kg)から,気体の酸素は酸素原子O(質量. =2.66×10 kg)から構成される.鉄原子も酸素原子も,そしてそれ以. 外の原子も,ほとんどの原子は 46 億年前に太陽系ができたときからす. でに存在していたものである.初期の太陽系には 100 種類以上の原子が. 存在したと想像されるが,現在は 90 種類ほどの原子しか存在しない.. 残りの原子は不安定であったために,46 億年の間に核分裂してなくなっ. てしまったと考えられる.逆にいえば,現存する原子は非常に安定で,. 46 億年もの間,核分裂することなくそのまま残っていたか,消えた原子. の核分裂によって生じた残骸である.. 1. 2 原子核. 原子の構造. 原子核は小さいが,原子の質量の. 大部分が集中している.電子は原. 子核の周囲に存在し,原子の大き. さを規定している.原子の大きさ. は,直径でおよそ 2〜5Å(1Å=. 1×10m)である.. 質量欠損と核エネルギー. E=mc. Eは物質のエネルギー. mは物質の質量. cは光速(=3.00×10 ms). 原子核の質量は,それを構成する. 陽子と中性子の質量の和よりもわ. ずかに小さい.このことは,陽子. と中性子が集まって原子核ができ. るとき,質量の一部が消失するこ. とを意味する.これを質量欠損と. いう.消失した質量は巨大なエネ. ルギーとなって空間に放出され. る.この物質の質量とエネルギー. の関係を見つけたのは,アインシ. ュタイン(1879〜1955 年)であ. る.原子核の反応によって得られ. るエネルギーは,原子力発電など. に利用されている.. 原子は中心に原子核があり,その周りに電子 electron(記号 e)が存在. する.原子核の大きさは非常に小さく,原子の大きさをサッカーボール. に例えると,原子核の大きさは微小粒子状物質 PM(粒子径 2.5 μm程. 度)に相当し,肉眼では見ることができない.原子核は,正電荷を帯び. ていて,サイズが小さいにもかかわらず,原子の質量のほとんどは原子. 核に集中している.たとえば,炭素原子 C では,全質量の 99.97%が. 原子核にあり,残りの 0.03%が電子ということになる.. 原子核はいくつかの陽子 proton(記号 p)といくつかの中性子 neu-. tron(記号 n)が集まってできている.陽子は正電荷をもつ粒子(核子). で,その電荷は+1.602×10クーロン,質量は 1.673×10 kg であ. る.一方,中性子は電荷をもたない.質量は 1.675×10 kg であり,陽. 子よりもわずかに重い.. 1. 3 電子. 電子は負電荷をもつ素粒子で,その電荷は−1.602×10クーロンで. あり,電荷の絶対値は陽子と等しい.この電気量を電気素量という.ま. た,電子の質量は 9.109×10 kg であり,陽子の質量の約 1800 分の 1で. ある.1つの原子に含まれる電子の数は,原子核を構成する陽子の数と. 等しく,原子内では電気的中性が保たれている.電子は,陽子や中性子. とは異なり 1粒ずつ別々に存在し,互いにクーロン力によって反発して. いる.したがって,電子は原子核からのクーロン引力の影響を受けなが. らも互いに反発し,空間的に広がることで原子の大きさを規定している.. 2. 第1 章 原子の成り立ち. 第 1 部. 1 個の原子では,中心にある正電荷をもった原子核とその周りに存在. する負電荷をもった電子がクーロン力で引き合っているが,両者は衝突. することは決してない.また,電子は原子核に比べて非常に軽いので,. その動きは迅速である.したがって,原子核から見ると電子は近くには. 存在しているが,その位置を特定することができない.逆に電子から見. ると,原子核の動きは遅く,常に止まっているかのように見える.すな. わち,電子は原子核の動きに常に追随することができると考えられる.. これを Born-Oppenheimer 近似といい,化学結合の形成や化学反応を. 考えるうえで基本となる概念である.原子の中の電子の状態を雲に例え. て,電子雲とよぶことがある.. 1. 4 水素原子. ラザフォードの原子模型. ラザフォードが水素の原子模型を. 発表した当時,原子の構造はまだ. よくわかっていなかった.トムソ. ンは,原子はぶどうパン(パンが. 正電荷をもち,レーズンが電子). のような構造をもつと考えた.長. 岡半太郎は,原子は土星(土星が. 正電荷をもつ原子核,その周りを. リング状に電子が回転)のような. 構造をもつと考えた.. 原子の種類の中で最も単純な水素原子( H )を考える. H では,原子. 核は陽子 1個でできており,その周りに 1個の電子が存在する.原子核. (陽子)と電子は互いにクーロン力によって引き合うが,両者が衝突しな. いためには軽い電子は高速で原子核の周りを飛び回っていなければなら. ない.このような推察から,ラザフォード(1871〜1937 年)は,水素原. 子は中心に原子核(陽子)があり,その周りを電子が周回運動している. と考えた.この原子モデルは,引力(向心力)が万有引力ではなくクー. ロン力であることを除けば,太陽の周りの軌道を地球が回っていること. によく似ている.しかし,ラザフォードの単純な原子モデルでは,電子. が回る軌道の距離を自由に変えることができ,やがて電子は電磁波を放. 出して原子核に衝突してしまう.正しい水素原子モデルを得るには量子. 力学の助けが必要であった.これについては次章で詳しく述べる.. 1. 5 同位体. 原子は,その原子核を構成する陽子と中性子の数によって細かく分類. される.まず,陽子の数によって原子は元素に分類され,次に,中性子. の数によって同位体 isotope に分類される.同位体とは,陽子の数が等. しく中性子の数が異なる原子同士をいう.. たとえば,原子核に陽子が 1 つあれば水素 H ,2つあればヘリウム. He ,3つあればリチウム Li という元素である.水素 H には,さらに. 原子核に含まれる中性子の数が 0個,1個,2個の同位体が存在する.そ. れぞれ水素(あるいは軽水素) H ,重水素(deuterium) H (=D),三重. 水素(tritium) H (=T)とよばれる.後に述べるように,原子(あるい. は元素)の化学的性質は電子の数によって決まり,電子数は陽子数と等. しいから,同じ元素の同位体の化学的性質は中性子数が異なってもほぼ. 同じである.ヘリウムやリチウムにも同位体は存在する.また,フッ. 素,ナトリウム,アルミニウム,リンのように 1種類の安定な同位体し. か存在しない元素もある.. 1. 5 ● 同位体. 3. 1. 6 放射性同位体. 放射性元素ラジウムの発見. [出典:Wikipedia]. マリ・キュリー(1867〜1934 年). は女性科学者の先駆けであり,生. 涯に 2度のノーベル賞を受賞した. (1903 年物理学賞,1911 年化学. 賞).化学賞の受賞理由は,放射. 性元素のラジウム Raとポロニウ. ム Po の発見であった.彼女は 1. トンの鉱石からわずか 0.1 g の新. 元素ラジウムの塩化物を単離し,. その性質を明らかにした.. 同位体の中には放射線を放出して自然に核分裂を起こすものと,自発. 的には核分裂を起こさないものがある.前者を放射性同位体(ラジオア. イソトープ),後者を安定同位体という.地球上に存在する原子はほと. んどが安定同位体であるが,放射性同位体も多少は存在する.放射性同. 位体は,医療,年代測定,原子力発電など,様々な分野で広く利用され. ており,われわれの生活に多大な恩恵を与えている.一方で,放射性同. 位体のもつ放射能(放射線を放出する能力)は,取り扱いを間違えると. 人体へ悪影響を与える可能性がある.放射性同位体を取り扱うには,管. 理された施設が必要であり,法律に基づいた手順によって扱うことが義. 務づけられている.. 放射性同位体から放出される放射線には,主にアルファ線,ベータ線,. ガンマ線の 3種類がある.アルファ線は+2の正電荷をもち,ヘリウム. He の原子核が高エネルギー状態で放出されたものである.質量があり. 物質に当たるとすぐに吸収される.ベータ線は負電荷をもつ高エネルギ. ー状態の電子である.アルファ線と同じく物質に吸収されるが,アルフ. ァ線よりも透過性が良い.ガンマ線は高エネルギーの電磁波であり,電. 荷をもたず,物質を透過する能力が最も高い.たとえば,ウラン U が. 核分裂してトリウム Th となるとき,アルファ線が放出される(α崩. 壊).. U  Th +α( He ). α崩壊が起こると,原子番号が 2つ,質量数が 4つ減少して別の原子に. なる. U の半減期は 45 億年であり,地球の年齢とほぼ等しい.した. 第 1章 ● 原子の成り立ち. 4. 表 1. 1 主な元素の同位体. 元素 同位体 存在度. (原子百分率). 元素 同位体 存在度. (原子百分率). 水素 H 99.99 ネオン Ne 90.48 Hydrogen H (D) 0.01 Neon Ne 0.27. H (T)* 0 Ne 9.25 ヘリウム He 0.0001 ナトリウム Na 100 Helium He 99.9999 Sodium リチウム Li 7.6 マグネシウム Mg 78.99 Lithium Li 92.4 Magnesium Mg 10.00 ホウ素 B 19.9 Mg 11.01 Boron B 80.1 アルミニウム Al 100 炭素 C 98.93 Aluminum Carbon C 1.07 リン P 100. C * 0 Phosphorus 窒素 N 99.63 塩素 Cl 75.78 Nitrogen N 0.37 Chlorine Cl 24.22 酸素 O 99.76 アルゴン Ar 0.337 Oxygen O 0.04 Argon Ar 0.063. O 0.20 Ar 99.600 フッ素 F 100 カリウム K 93.26 Fluorine Potassium K * 0.01. K 6.73. * 放射性同位体. 原子量. 原子量の基準は炭素 12( C )同. 位体の質量であり,原子の原子量. は C の質量を 12 としたときの. 相対質量として表される.したが. って,原子量はその質量数におお. よそ等しい.. 元素の原子量は,同位体の存在度. を考慮した平均値である.たとえ. ば,炭素には約 1.07%の C 同位. 体が含まれているので,炭素の原. 子量は,. 12×0.9893+13×0.0107 = 12.01. となる.. 第 1 部. がって, U の量は地球ができたときから現在までに約半分になったと. 考えられる.一方,炭素 C の半減期は 5730 年であり,ベータ線を放出. (β崩壊)して窒素 N となる.. C  N +β(e). この核反応は,有機物質の年代測定に広く利用されている.β崩壊が起. こると,原子番号が 1つ増える.形式的には,原子核中の中性子が陽子. と電子に分裂したことになる.. 1. 7 原子核の反応. 通常の化学反応においては,化学反応の前後で原子核が変化すること. はなく,したがって反応によって原子が新たに生成したり消滅したりす. ることはない.しかし,高エネルギーをもつ粒子を物質に照射したり,. 放射性同位体(ラジオアイソトープ)を含む物質を反応したりすると,. 原子核の反応が起こり,原子が別の原子に変化することがある.このよ. うな核反応は自然界でも,わずかながら日常的に起こっている. C 年. 代測定法で用いる C 放射性同位体は,宇宙線によって生じる中性子 n. と窒素原子 N が反応することで生じ,大気中に一定の濃度でわずかに. 存在している.. n + N  C + p. イオンや電子を光速に近い速さに加速し,これを原子核に当てること. で人工的に核反応を起こすことができる.このようにして,ウランより. も原子番号の大きい元素が人工的に合成され,その化学的性質が明らか. にされている.113 番目の元素であるニホニウム Nhは,2004 年に日本. の森田浩介ら(理化学研究所)によって合成された.ニホニウムは日本. 人が発見した唯一の元素である.. ■問題. 1. 1 塩素 Cl の 2種類の同位体は,それぞれ陽子と中性子をいくつず. つもっているか.アルゴン Ar ではどうか.. 1. 2 塩素 Cl の原子量はいくらになるか計算し,元素の周期表(図. 4. 1)の値と比較せよ.. 1. 3 リン P には 1種類の同位体 P しか存在しないが,リンの原子量. は 30.97 であり,この値は P の質量数よりもわずかに小さい.こ. の理由を述べよ.. 1. 4 ラジウム Ra が α崩壊してラドン Rn となるときの反応式を書. きなさい.. 1. 5 ある遺跡から出土した土器に付着した有機物を調べたところ, C. の濃度が現在に比べて 4 分の 3 に減少していた.この土器は何年. 前に作られたものと推定できるか.. 1. 7 ● 原子核の反応. 5. C14 年代測定法. [出典:信濃川火焰街道連携協議会]. 放射性核種は自発的に壊変し,そ. の速さ(確率)υは放射性核種の. 数 N に比例する.. v= dN. dt =−λN. λは核種に固有の定数で壊変定数. という.この式より. ln N. N = −λt. が得られる.Nは壊変前の放射. 性核種の数.半減期 τは ln 2λ=. 0.693λとなる. C の濃度は地. 上では炭素の循環によって一定に. 保たれているが,地中に埋もれて. 炭素循環から遮断されると C の. 濃度は β崩壊によって次第に減. 少する.したがって, C の半減. 期(5730 年)を用いて,有機物質. の年代測定を行うことができる.. 超ウラン元素. 現在地上に存在する元素の中で最. も原子番号が大きいものはウラン. U である.ウランよりも原子番. 号の大きい元素は超ウラン元素と. よばれ,基本的には核融合によっ. て人工的につくられ,その化学的. 性質が明らかにされている.超ウ. ラン元素はすべて寿命の短い放射. 性元素であり,核分裂して原子番. 号の小さい元素に崩壊する.. 113 番元素ニホニウムNh. 新しい元素の命名権はそれを発見. した研究者に与えられる.超ウラ. ン元素である 113 番元素について. は,ロシア,アメリカ,日本の研. 究チームで合成が報告され,その. 命名権の帰属が注目されていた. が,2015 年 12 月に理化学研究所. の森田浩介博士が率いる日本の研. 究チームに正式に命名権が与えら. れた.森田博士は,亜鉛 Zn と. ビスマス Bi の原子を衝突させ. ることでウンウントリウム Uut の合成に成功していた.. 第 1章では,原子の構造を示し,中心にある原子核の成り立ちと性質. について詳しく述べた.第 2章では,原子核の周りに存在する電子につ. いて詳しく見ていこう.. 2. 1 原子スペクトル. 単体(1種類の元素のみからなる物質)を封入し,高電圧をかけて放電. すると,原子が発光して,光が放出される.この光をプリズムに通して. 波長に応じて展開する(分光する)と原子スペクトルが得られる.太陽. 光をプリズムに通すと 7色の虹に連続的に展開されるが,原子の発光に. よって生じる光を分光すると連続スペクトルとはならず,ある特定の波. 長の光による線スペクトルに展開される.. たとえは,水素封入管に高電圧をかけると,水素分子 Hは開裂して. 原子状態の水素 Hとなり,この水素原子が発光する.発光の原因は原. 子に含まれる電子であり,放電によって高エネルギー状態となった電子. が安定な低エネルギー状態に変化(遷移)するときに,余分なエネルギ. ーを光として放出するのである.バルマー(1825〜1898 年)は,水素の. 原子スペクトルにおいて可視光領域に一連の線スペクトル(バルマー系. 列)を観測し,その光の波長にはある規則性があることを発見した.そ. の後,リュードベリ(1854〜1919 年)は,紫外線領域や近赤外線領域に. 観測される他の系列の線スペクトルも含めて,水素の原子スペクトルの. 波長 λは次の一般式に従うことを明らかにした.. 1 λ = R 1n − 1m . nとmは自然数(n<m)であり,Rは定数でリュードベリ定数(R=. 109737 cm)という.n=2のときがバルマー系列であり,n=1の系列. はライマン系列(紫外線領域),n=3の系列はパッシェン系列(近赤外. 線領域)という.水素以外の原子でも原子スペクトルは不連続な線スペ. クトルとなる.. 原子から放出される光が不連続であることは,原子の中の電子のエネ. ルギー状態も不連続であることを意味する.このことは第 1章で紹介し. たラザフォードによる古典的な原子模型では説明することができない現. 象であった.エネルギー状態が不連続でとびとびとなっていることを,. エネルギーが量子化されているという.. 2. 2 光電効果(光の粒子性). 光は電磁波(波動)であり,回折や干渉といった波の性質を示す.一. 方で,光は粒子としてもふるまうことが知られている.その代表的な現. 象が光電効果である.光電効果とは,金属表面に光を当てると電子が放. 出される物理現象で,このとき,ある振動数よりも大きな振動数の光を. 6. 第2 章 原子軌道. 単体と化合物. 1 種類の元素で構成される物質を. 単体,2 種類以上の元素で構成さ. れる物質を化合物という.水素. Hや酸素 Oは単体であるが,水. HOや過酸化水素 HOは化合物. である.酸素 Oとオゾン Oの. ように,同じ元素からできている. が異なる単体を互いに同素体とい. う.. 原子発光の利用. 原子による発光は日常生活の中で. も利用されている.ナトリウム. Na の発光はナトリウムランプ. (黄)として,ネオンNeの発光は. ネオンサイン(赤,ピンクなど). としてよく見かける.花火の色. は,火薬に含まれる銅Cu(青)や. ストロンチウム Sr(紅)などの金. 属原子の発光を利用している.学. 生実験で行う炎色反応も原子発光. を利用した元素分析法である.. 水素原子の電子のエネルギー状態. 電子が原子核から遠く離れた位置. にあるときの電子のポテンシャル. エネルギーを 0 eV とすると,電. 子が原子核に近づくにつれて電子. のポテンシャルエネルギーは減少. する.このとき電子が取り得るエ. ネルギー状態が不連続であると,. 電子はある状態mから別の状態. nに飛び降りることになる(m>. n).この遷移に伴い,余ったエネ. ルギーが光として放出される.こ. れが水素の発光スペクトルであ. る.逆に,エネルギーが低い状態. からエネルギーが高い状態に電子. が遷移するためには,電子は光や. 熱を吸収する必要がある.. 第 1 部. 照射すると電子を取り出すことができるが,ある振動数よりも小さな振. 動数の光をいくら照射しても電子を取り出すことはできない.このこと. は,光のエネルギーが振動数によって決まっていることを示している.. アインシュタイン(1879〜1955 年)は光電効果を説明するために,振動. 数 ν(ニュー)の光はエネルギー hνをもつ粒子(光子)の集まりである. と考えた.. E= hν. 角運動量. 質量mの物体が速度 υで,ある. 場所を中心に半径 r の軌道を円. 運動しているとき,その物体の角. 運動量 Lは r×mυで表される.. 角運動量はベクトル量であり,そ. の大きさは  r×mυ =mυr であ. る.. ボーアの水素原子模型. エネルギーは量子化され,電子は. 決まった軌道上を等速円運動して. いる.n=1, 2, 3はそれぞれ K. 殻,L殻,M殻に対応する.電子. が K 殻にいるときに最もエネル. ギーが安定であり,これを基底状. 態という.電子が K 殻以外にい. るときは,エネルギー的に不安定. であり,これを励起状態という.. 基底状態にある電子を無限遠に引. き離すのに必要なエネルギーが水. 素のイオン化エネルギーであり,. その値は n=1の軌道のエネルギ. ー(−13.6 eV)の絶対値と等し. い.. Eは光子 1 個のもつエネルギー,hはプランク定数(6.626×10 m. kgs),νは光の振動数(単位:Hz)である.νは光速 cを光の波長 λで. 割ったものなので,大きな振動数をもつ光は,エネルギーが大きく波長. が短いことがわかる.. 2. 3 ボーアの原子模型. ボーア(1885〜1962 年)は,水素原子の電子のエネルギー状態が量子. 化されていることから,ラザフォードの原子模型を改良して次のような. 原子模型を考えた.原子は原子核を中心として電子がその周りを高速で. 等速円運動している.電子が回ることのできる軌道は原子核からの距離. がとびとびの場所しか許されない.電子が軌道の間を遷移するときに光. の吸収や放出が起こる.. ボーアはさらに,電子のもつ角運動量mvr も量子化されている. mvr = nh2π (2. 1). との考察から,電子が回ることのできる軌道半径 r の条件を求めた.式. 2. 1 をボーアの量子化条件という.光が波動と粒子の 2面性をもつのと. 同様に,高速で運動する電子も波動としての性質をもち,ド・ブロイ. (1892〜1987 年)によるとその波長は. λ= hmv (2. 2). となる.運動する物質のもつ波動を物質波またはド・ブロイ波という.. 式 2. 1 と式 2. 2 より,. 2πr = nλ (2. 3). の関係が導かれる.式 2. 3は電子が回ることのできる軌道の円周は電子. の物質波の波長の整数倍になることを示している.n=1のときの水素. 原子の電子の軌道半径をボーア半径 aという.aの値(0.53 Å)は量子. 力学で用いられる原子単位系の基本単位の 1つである.ボーアの原子模. 型は古典力学に基づくラザフォードの原子模型に量子化条件を取り入れ. た半古典的なものであり正確さに欠けるものであったが,水素原子の性. 質をうまく説明でき,現在でも原子の構造を表すモデルとして広く使用. されている.. 2. 3 ● ボーアの原子模型. 7. 2. 4 水素原子のシュレーディンガー方程式. ポイント. 1.シュレーディンガーの波動方. 程式の解は,波動関数 ψとそ. れに対応するエネルギー固有. 値 Eである(i=1, 2, 3, ⋯).. 2.ψは電子が動く軌道を表す.. 3.Eは軌道のエネルギーを表す.. 波動関数 ψの性質. ∫∫∫ .  ψψdxdydz=1(i= j)0(i≠ j). 波動関数 ψの物理的な意味づけ. は難解であるが,ψを 2乗したも. のはその空間に電子を見出す確率. として解釈できる.電子は必ずど. こかに存在しているので,ψを. 全空間で積分すると 1になる(規. 格化).一方,電子は同時に 2 つ. の軌道に存在することはないの. で,ψψを全空間で積分すると 0. になる(直交性).これら 2 つの. 性質を合わせて波動関数の規格直. 交性という.. 水素の原子模型は量子力学の登場によって完成された.量子力学では. 電子の運動をシュレーディンガーの波動方程式を用いて表す.. Hψ(x, y, z) = Eψ(x, y, z) (2. 4). H はハミルトン演算子といい,電子の運動エネルギーと電子が原子核か. ら受けるクーロン引力(ポテンシャルエネルギー)をその成分として含. む.ψ(x, y, z)と Eが波動方程式の解であり,ψ(x, y, z)は波動関数(電. 子が動く軌道),Eはエネルギー固有値(軌道のエネルギー)である.シ. ュレーディンガーの波動方程式を解くことは困難であり,解くこと自体. が不可能な場合が多い.しかし,水素原子については方程式を解いて. ψ(x, y, z)と Eの正確な解を求めることができる.. 2. 5 水素原子の原子軌道. 水素原子のシュレーディンガー方程式を解くと,多数の ψと Eの組. が解として求められる.こうして明らかになった水素原子の描像は,ボ. ーアの原子模型と共通点は見られたものの,想像を超える複雑なもので. あった.電子のエネルギー状態や角運動量が量子化されている点や軌道. のエネルギーが上がるとともに電子の軌道が大きくなる点では,ボーア. の原子模型とシュレーディンガー方程式を解いて得られた水素原子の軌. 道(これを原子軌道という)は一致している.しかし,実際の原子軌道. は円形ではなく,3次元空間に球状に広がっており,原子核からの距離. も等速円運動のように常に一定なのではなく,いろいろな距離を取りう. る.また,原子軌道には亜鈴形など,球状以外の複雑な形をとるものも. ある.水素原子の原子軌道は,他の原子の原子軌道を考えるうえで基本. となるものなので,以下に詳しく解説する.. 原子軌道のエネルギー準位. 水素原子では,主量子数 nが同じ. 軌道はすべて縮重しているが,水. 素以外の原子では,方位量子数 l. の違いによって縮重が解け,2sと. 2p,3sと 3pと 3dは互いに異な. るエネルギーとなる.. シュレーディンガー方程式の解の組をエネルギー Eの小さいものか. ら順番に (ψ, E), (ψ, E), (ψ, E), ⋯としよう.そうすると,最もエネ. ルギー準位の低い原子軌道は 1つであるが,次にエネルギー準位の低い. 原子軌道は 4つあり,ψ〜ψが同じエネルギー準位になっている(これ. を軌道が縮重あるいは縮退しているという).その次は 9 つの軌道が縮. 重している.ψがボーアの原子模型の n=1(すなわちK殻)に相当し,. ψ〜ψが n=2(L殻),ψ〜ψが n=3(M殻)に相当する.nを主量子. 数という.. 主量子数 nが 1 のとき,原子軌道は 1 つ存在し,この原子軌道を 1s. 軌道と表記する.記号 sの前の 1 は n=1であることを示している.1s. 軌道は球状であり,電子は原子核の周りに等方的に存在している.実際. の電子は原子核から相当遠いところにいる確率もあるが,便宜的にある. 確率で電子が見いだされる空間を考え,その境界面を用いて軌道の形を. 表す.. 主量子数 nが 2のとき,原子軌道は 4つ存在する.これらの軌道は空. 第 2章 ● 原子軌道. 8. 第 1 部. 間的な形の違い(方位量子数 lの違い)から,1つの 2s軌道(l=0)と 3. つの 2p軌道(l=1)に分類される.2s軌道は 1s軌道と同じ形をしてい. るが空間的な広がりが 1s軌道よりも大きい.2p軌道は亜鈴形で,原子. 核を挟んで上下に広がり,波動関数の符号が上下で逆転する.p軌道に. は x軸方向,y軸方向,z軸方向に伸びているものがあり,これら 3つの. p軌道は互いに磁気量子数mの値(−1, 0または+1)が異なる.. 主量子数 nが 3になると,原子軌道の数は 9つに増え,空間的な広が. りはさらに大きくなる.これらの軌道は方位量子数 lの違いから,1 つ. の 3s軌道(l=0)と 3つの 3p軌道(l=1)と 5つの 3d軌道(l=2)に. 分類される.5種類の d軌道はかなり複雑な形をしている.これらは互. いに磁気量子数mの値(−2, −1, 0, +1または+2)が異なる.. 主量子数 nが 4では,原子軌道の数は 16に増え,これらは 1つの 4s. 軌道(l=0),3つの 4p軌道(l=1),5つの 4d軌道(l=2),7個の 4f軌. 道(l=3)に分類される.主量子数 nが 5になるとさらに複雑になる.. 水素原子の原子軌道にはたくさんの種類があり,それらは決められた. エネルギー準位と空間的な広がりをもつ.電子は原子軌道のどこかにい. るが,通常は最もエネルギー準位の低い 1s軌道に存在している.. 図 2. 1 水素原子の原子軌道の形(p軌道は正確にはずっと丸まった形をしている). ■問題. 2. 1 リュードベリによって導かれた式を用いて,水素原子の 2s軌道の. 電子が 1s軌道に遷移するときに放出される光の波長を求めよ.ま. た,3s1s,4s1sの遷移ではどうなるか.. 2. 2 問 2. 1 で求めた光の振動数を求めよ.. 2. 3 4p軌道,4d軌道,5s軌道,5f軌道について,それぞれの原子軌道. の主量子数 nと方位量子数 lの値を答えよ.. 2. 4 1s軌道と 2p軌道を図示し,この 2つの軌道が直交していること. を確認せよ.. 2. 5 2p軌道と 2p軌道を図示し,この 2つの軌道が直交していること. を確認せよ.. 2. 5 ● 水素原子の原子軌道. 9. 原子軌道の節の数. 波動関数の符号が+から−に入れ. 替わる面を節(せつ)とよぶ.節. の面上は波動関数の値が 0 であ. り,電子の存在確率も 0となる.. 原子軌道(1s, 2s, 2p, 3s, 3p, 3d,. ⋯)は,主量子数 nが 1増えるご. とに節の数も 1 ずつ増える.1s. 軌道には節はないが,2p軌道に. は節が 1 つ,3d軌道には節が 2. つある.2s軌道には節がないよ. うに見えるが,軌道の内部に球状. の節があり,原子核付近は波動関. 数の符号が逆転している.. 原子軌道の大きさ. 原子の大きさは原子核の周りの電. 子雲の大きさと考えてよい.シュ. レーディンガー方程式の解による. と,水素原子の 1s軌道の大きさ. は,ボーア半径 aの 1.5 倍(⟨r⟩ =1.5a)である.これに対し,2s. 軌道の大きさは 1s軌道の 4 倍. (⟨r⟩=6a),3s軌道の大きさは. 1s軌道の 9 倍(⟨r⟩=13.5a)で. ある.主量子数 nが異なると原. 子軌道の大きさが著しく異なるこ. とがわかる.. 3. 1 水素以外の原子の原子軌道. 最外殻の原子軌道の比較. 原子番号の増加とともに,原子軌. 道のエネルギー準位は低下し,軌. 道半径は小さくなる.同じ周期で. は,s 軌道と p 軌道の大きさはさ. ほど変わらないが,エネルギー差. は次第に大きくなることがわか. る.[『基礎量子化学―軌道概念で. 化学を考える』友田修司著,東京. 大学出版会(2007 年)を参考に作. 成]. 水素原子のシュレーディンガー方程式は解くことができ,その原子軌. 道を求めることができた.しかし,水素以外の原子では,電子が 2個以. 上存在するためにシュレーディンガー方程式を正確に解くことはできな. い.これは,シュレーディンガー方程式のハミルトニアン演算子の中に. 電子間のクーロン反発による項が入り込むためである.電子は互いのク. ーロン場を感じながら複雑な動きをすることになる.このような電子間. の相互作用を電子相関という.. シュレーディンガー方程式の解を求めることはできないが,その近似. 解は求めることができる.近似解を求めるためには,1つの電子だけに. 着目し,それ以外の電子は原子核の周りに平均的に存在すると考えれば. よい.このような近似を 1 電子近似という.1電子近似したシュレーデ. ィンガー方程式は,原子核の正電荷の大きさ(陽子の数)とその周りに. 存在する平均的な電子の影響を除けば,水素原子のそれと似ており,し. たがってその解(波動関数とエネルギー固有値)も水素原子の原子軌道. に似たものとなる.. 水素以外の一般の原子にも 1s, 2s, 2p, 3s, 3p, 3d, ⋯といった原子軌道. が存在する.これらの軌道の形状と数は水素の原子軌道(図 2. 1)と同. じである.しかし,実際には原子核の正電荷が水素原子より大きいの. で,一般の原子では電子はより強く原子核に引き寄せられている.その. 結果,各原子軌道の大きさは水素原子の場合よりも小さくなり,これに. ともない軌道のエネルギーも低くなる.また,水素原子では縮重してい. た 2s軌道と 2p軌道のエネルギー準位が分裂し,2p軌道は 2s軌道より. も少し高いエネルギーとなる.同様に,3s軌道,3p軌道,3d軌道も縮. 重が解け,それぞれ異なるエネルギーをもつようになる.これらのうち. 最もエネルギーの高い 3d軌道のエネルギー準位は,主量子数が 1 つ大. きい 4s軌道のエネルギー準位に近くなっている.. 10. 第3 章 電子スピンと電子配置. 表 3. 1 一般の原子の原子軌道の数と種類. 主量子数 n 方位量子数 l 原子軌道の数 原子軌道の記号. 5 4 9 5g(この軌道に電子が入ることは通常はない) 3 7 5f(7種類の軌道がある) 2 5 5d, 5d, 5d, 5d, 5d. 1 3 5p, 5p, 5p 0 1 5s. 4 3 7 4f(7種類の軌道がある) 2 5 4d, 4d, 4d, 4d, 4d. 1 3 4p, 4p, 4p 0 1 4s. 3 2 5 3d, 3d, 3d, 3d, 3d. 1 3 3p, 3p, 3p 0 1 3s. 2 1 3 2p, 2p, 2p 0 1 2s. 1 0 1 1s

参照

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